LRTKレフィクシア株式会社

電線共同溝の特殊部据付で吊り荷事故を防ぐ6つの安全確認

電線共同溝の特殊部据付で吊り荷事故対策が重要な理由

電線共同溝の特殊部は、管路の接続や分岐、ケーブルの接続・収容、維持管理などに用いられる構造物です。国土交通省が示す無電柱化工事の一般的な工程でも、特殊部を指定位置へ設置し、その後に蓋や管路、引込部などの施工へつなげる流れが示されています。ただし、実際の構造、施工順序、据付方法は設計図書や製作仕様によって異なるため、一般的な工程だけを根拠に現場の作業方法を決めることはできません。

特殊部の据付は、重量物を持ち上げるだけの作業ではありません。道路上の限られた施工空間で、既設埋設物、土留め支保工、交通規制設備、仮設通路、架空線、周辺構造物などを避けながら、掘削部の所定位置へ部材を降ろす複合作業です。吊り荷が落下しなくても、荷振れによる接触、着床時の挟まれ、クレーンの転倒、吊り点の破損、掘削端部の不安定化、第三者の危険範囲への進入などが事故につながる可能性があります。

特殊部は、現場打ちかプレキャストか、一体型か分割型か、開口や管路口がどこにあるか、付属金物を含むかによって、質量や重心、吊り点、荷姿が変わります。外観が似ていても同じ方法で吊れるとは限りません。設計図、製作図、部材表、納入資料、部材表示、製作者が指定する吊り方法を照合し、今回据え付ける部材そのものを対象に計画する必要があります。

厚生労働省の玉掛け作業に関するガイドラインでは、つり荷の質量・形状、玉掛用具、クレーンの能力、運搬経路、関係者の配置、合図、緊急時の作業中断方法などを作業前に明確にし、関係者へ周知する考え方が示されています。つまり、安全確認は朝礼で項目を読み上げるだけではなく、誰が何を確認し、どの情報を根拠に判断し、異常時には誰が停止を伝えるかまで具体化することが重要です。

以下では、電線共同溝の特殊部据付で重点的に確認したい六つの項目を解説します。実際の施工では、関係法令、設計図書、施工計画書、使用機械の取扱説明書、部材製作者の指示、発注者や道路管理者の基準を優先してください。条件が一致しない場合や根拠資料が不足している場合は、経験だけで補わず、作業を始める前に計画を見直すことが基本です。

安全確認1 荷重・重心・揚重経路を施工前に確定する

最初に確認するのは、吊り上げる部材の質量、重心、外形寸法、吊り点、揚重経路です。クレーンのカタログに大きなつり上げ能力が記載されていても、その数値だけで今回の作業が可能とは判断できません。実際に扱える荷重は、機種、ブーム長さ、ブーム角度、作業半径、ジブの有無、アウトリガーの張り出し状態、旋回方向などによって変わります。特殊部本体に加え、吊り梁、ワイヤロープ、スリング、シャックル、フック下の治具、同時に吊る付属部材なども含め、実際の条件で能力を照合します。

部材の質量は、見た目や過去の経験から推定せず、製作図、部材表、納入書類、部材表示など、確認可能な資料を根拠にします。分割部材を仮固定した状態で吊る場合、内部に残水、土砂、梱包材、工具などが入っている場合は、資料上の質量と現物が一致しないことがあります。数量や付属品の有無も確認し、不明な部材を推定値のまま吊り上げないことが重要です。

重心は、部材の外形中心と一致するとは限りません。管路口、点検開口、段差、突出部、埋込み金物、局部的な肉厚の違いがあると、吊り上げた際に傾く可能性があります。傾いた荷は、掘削壁や土留めに接触しやすくなるだけでなく、一部の吊り点や吊り具へ荷重が偏る原因にもなります。製作者が指定した吊り点や吊り方向がある場合は、それを優先し、現場判断で別の開口や金物を流用しないようにします。

揚重経路は、平面図だけでなく高さ方向を含めて確認します。クレーンのブーム、フック、吊り具、特殊部が通過する空間に、架空線、標識、照明、街路樹、仮設材、工事車両、バックホウ、覆工設備などがないかを確認します。掘削部では、腹起し、切梁、土留め壁、既設管、露出した埋設物、管路口などとの離隔も必要です。途中で急な巻上げや不自然な旋回を加えなければ通過できない経路は、荷振れや接触の危険が高まります。

据付位置の直上へ到達できるだけでは不十分です。最後の降下経路に必要な余裕があるか、特殊部の外寸と掘削幅が整合しているか、切梁や管路が干渉しないか、基礎面まで部材を鉛直に降ろせるかを確認します。計画図と現況が異なる場合、吊り荷を空中で待機させたまま現場を直すのではなく、荷を安全な仮置き場所へ戻してから計画を修正します。

作業前打ち合わせでは、部材番号、質量、吊り点、吊り方向、着地方向、旋回方向、作業半径、運転者から見えない範囲、合図者の位置、作業員の待機場所、退避経路、中止条件を共有します。図面上で成立していても、運転席から掘削内が見えないことや、合図者から玉掛け者の位置が見えないことがあります。実際の立ち位置で視認性と通信状態を確認し、合図が途切れる区間を残さないようにします。

作業中に特殊部の向きや吊り方法を変更する場合は、単なる微調整として扱わず、質量、重心、吊り具の角度、クレーン能力、運搬経路を再確認します。現場で吊り具が届かない、予定位置へクレーンを設置できない、仮設材が干渉するといった変更は、計画時の前提を崩します。変更内容を関係者へ周知し、安全条件が成立したことを確認してから再開することが必要です。

安全確認2 クレーン設置位置と地盤条件を確認する

二つ目の確認は、クレーンの設置位置と地盤条件です。電線共同溝工事の周辺には、掘削跡、埋戻し部、既設管路、側溝、ボックス構造物、地下空洞、路肩、仮設覆工などが存在する可能性があります。舗装面が平らに見えても、その下の支持状態まで均一とは限りません。アウトリガー位置は表面の見た目だけで決めず、施工履歴、埋設物資料、試掘記録、掘削範囲、埋戻し状況などを確認して選定します。

特に注意が必要なのは、掘削端部や埋戻し地盤の近くです。掘削端部では、クレーンから作用する荷重が地盤や土留めへ影響し、沈下や変形を生じさせる可能性があります。埋戻し地盤では、表面が締まっていても下層の締固めが不十分なことがあります。厚生労働省の災害事例でも、アウトリガー下の地盤支持力を確認せずに作業し、地盤沈下から移動式クレーンが転倒した事例が示されています。

敷板、敷角、敷鉄板などを使用する場合も、設置しただけで安全になるわけではありません。必要な面積、厚さ、材質、重ね方、配置方法は、アウトリガーに作用する荷重と地盤の支持条件を踏まえて検討します。敷材の下に段差、空隙、軟弱部があると、荷重が均等に伝わらず、局部沈下、割れ、ずれ、機体の傾きにつながることがあります。設置面を整え、載荷後にも沈下や浮きがないかを確認します。

降雨後や地下水の影響を受ける場所では、作業前と作業中で地盤条件が変わることがあります。舗装のひび割れ、敷板周辺の沈み、泥水の湧出、アウトリガーの傾き、土留めの変位など、変化を把握するための確認点を決めます。異常が見られた場合は、荷を安全な位置へ戻し、地盤養生やクレーン配置を見直します。吊り荷を保持したまま敷材を差し込むような対応は避けなければなりません。

アウトリガーは、使用機械の仕様と作業計画に基づく張り出し状態で使用します。道路幅や交通規制の都合で最大張り出しができない場合は、その張り出し幅に対応する定格荷重と作業可能範囲を確認します。張り出し不足を承知したまま、最大張り出し時の能力を当てはめることはできません。必要に応じてクレーンの機種、設置方向、搬入順序、施工時間帯、交通規制範囲を見直します。

クレーン本体の水平状態も重要です。機体が傾いた状態でブームを伸ばし、作業半径が大きくなると、安定性への影響が増えます。設置後に水平を確認し、旋回方向ごとの地盤条件も点検します。片側が強固な舗装、反対側が埋戻し部というように支持条件が異なる場合は、旋回に伴って各アウトリガーへ作用する荷重が変化することを踏まえる必要があります。

クレーンの設置位置を決める際は、旋回体後部の接触にも注意します。仮囲い、交通誘導員、搬入車両、資材置場、安全通路が旋回範囲へ入らないように配置します。クレーンを先に置いた後で、残った空間へ仮置き部材や通路を無理に詰め込むと、退避場所が失われます。クレーン、特殊部、搬入車両、掘削部、歩行者通路を一つの施工ヤードとして計画することが大切です。

安全確認3 吊り具・吊り点・玉掛け方法を照合する

三つ目の確認は、吊り具、吊り点、玉掛け方法です。特殊部には吊り用金物や吊り穴が設けられていることがありますが、外観だけで使用可能とは判断できません。その箇所が吊り点として設計されているか、吊り方向や使用方法に制限があるか、専用治具が必要か、再使用の可否や取付手順が定められているかを製作図や取扱資料で確認します。管路接続用の開口、仮設用の金物、用途不明の埋込み金物を吊り点として流用してはいけません。

吊り点の周辺では、ひび割れ、欠け、変形、腐食、ねじ部の損傷、異物の詰まり、コンクリートの局部破損などを確認します。吊り金具を取り付ける場合は、所定の深さや位置まで装着されているか、向きや締付け状態が指定どおりかを確認します。異常が疑われる場合は、現場で独自に補修して使用せず、部材製作者や施工管理者へ照会し、使用可否と代替方法を決めます。

玉掛け用ワイヤロープ、繊維スリング、チェーン、シャックル、フック、吊り梁などは、荷重と使用条件に適合するものを選定します。点検では、摩耗、素線切れ、つぶれ、曲がり、変形、き裂、腐食、縫製部の損傷、熱や薬品による劣化、表示の不明瞭化などを確認します。ただし、廃棄や使用可否の判断は目視だけで行わず、関係法令、製造者の基準、点検基準、現場の管理基準に従います。能力や履歴を識別できない吊り具は使用しない管理が必要です。

吊り角度が大きくなると、各吊り具に作用する張力は増加します。吊り点間隔が広い特殊部では、吊り具が部材を内側へ押す力や、吊り点に横方向の力が作用することもあります。吊り梁などを使用するかどうかは、部材の指定、吊り点の構造、吊り具の能力、クレーン能力、施工空間を踏まえて決めます。現場で吊り具の長さを変更した場合は、角度と張力も変わるため、能力照合をやり直します。

多点吊りでは、吊り具の長さの違い、吊り点の高さ差、重心の偏りによって、一部の吊り具へ荷重が集中することがあります。全ての吊り具が見た目どおり均等に負担するとは限りません。吊り具のねじれ、交差、フックへの片掛かり、シャックルの向き、ボルトやピンの装着、外れ止めの状態を地切り前に一つずつ確認します。角部に当て物を使用する場合は、吊り具を保護できる位置へ確実に固定し、当て物自体が落下しないようにします。

玉掛け作業の役割分担も重要です。運転者、玉掛け者、合図者、玉掛け作業責任者、補助者の担当を明確にし、独自判断で吊り具の掛け替えや吊り点の変更を行わない体制を整えます。使用するクレーン等のつり上げ荷重や作業内容に応じ、法令上必要な免許、技能講習、特別教育などの要件を確認し、該当する資格・教育を備えた者が担当します。

作業標準や計画にない吊り方へ変更する必要が生じた場合は、いったん作業を止めます。吊り点、吊り具、吊り角度、重心、部材強度、作業半径を再確認し、必要な承認や製作者確認を得た上で変更します。現場の都合だけで、短いスリングへ交換する、吊り点を減らす、管路口へワイヤロープを通すといった変更を行うことは避けなければなりません。

安全確認4 地切りで荷姿と機械の安定を確認する

四つ目の確認は、地切りです。地切りでは、吊り荷を一気に高く上げず、接地面からわずかに浮かせた段階で、荷姿、重心、玉掛け状態、吊り点、機械の安定などを確認します。厚生労働省のガイドラインでも、地切り時につり荷の状態を確認し、必要であれば再び着地させて玉掛けをやり直す考え方が示されています。

地切り前には危険範囲から人を退避させます。吊り具のたるみをゆっくり取り、各吊り点へ荷重が掛かる様子を確認します。急な巻上げは、吊り具への衝撃や荷振れを招く可能性があります。フック、シャックル、スリング、当て物が所定の状態を保っているか、吊り具が突起や開口に引っ掛かっていないかを確認します。

荷が浮くまで手で押さえ続けたり、接地面との隙間へ手足を入れたりしてはいけません。荷の姿勢を制御する必要がある場合は、事前に定めた介錯ロープなどを安全な位置から使用します。ロープを身体へ巻き付けず、荷と固定物の間に立たず、振れた荷に引かれた場合の退避方向を確保します。

荷がわずかに浮いたら、傾き、回転、吊り具の偏りを確認します。想定以上に傾く場合は、重心、吊り点、吊り具の長さ、掛け方が適切でない可能性があります。そのまま高く吊って空中で直そうとせず、荷を安全に着地させて原因を確認します。人力で無理に押す、荷の下へ詰め物を入れる、吊り具を張ったまま掛け替えるといった対応は、挟まれや落下につながります。

同時にクレーン側も確認します。アウトリガーや敷材の沈下、機体の傾き、異音、警報、油漏れ、ブームやワイヤロープの異常、荷重表示などを点検します。地切り時に問題がなくても、旋回や作業半径の増加によって条件が厳しくなることがあります。計画したクレーン位置、ブーム条件、作業半径と現況が一致しているかを再確認してから本吊りへ移ります。

過負荷防止装置などの警報が作動した場合は、警報を無視して作業を続けません。荷を安全な位置へ戻し、作業半径、ブーム条件、アウトリガー張り出し、地盤沈下、荷の質量などを確認します。警報が消えたことだけを再開条件とせず、警報が生じた原因を特定し、計画上の安全条件が成立したことを確認します。

地切り後の移動では、急旋回、急停止、斜め吊り、横引きを避けます。吊り荷は原則としてフックの鉛直下で扱い、クレーンの力で特殊部を横方向へ引き寄せないようにします。据付位置が合わない場合は、機械配置、仮置き位置、吊り直し、掘削内の障害物を見直します。無理な横引きは、機体の不安定化、吊り具のずれ、部材との接触につながる可能性があります。

風の影響も確認します。特殊部本体が低い形状でも、上床版、蓋、養生材、吊り梁などが風を受ける場合があります。風向や突風によって荷振れが大きくなると、狭い掘削部で接触しやすくなります。作業中止の判断は、関係法令、機械仕様、施工計画書、部材形状、現場の風況を踏まえて定め、危険が予想される状態では作業を中止します。

安全確認5 立入禁止範囲と合図系統を明確にする

五つ目の確認は、立入禁止範囲と合図系統です。危険範囲は吊り荷の真下だけではありません。荷が振れたときに届く範囲、吊り具が外れた場合に荷が倒れる範囲、クレーンの旋回体が動く範囲、ブームや吊り荷の通過範囲、掘削端部や土留めが影響を受ける範囲まで考えます。特殊部を掘削内へ降ろす際は、部材と土留めの間へ作業員が入りやすいため、工程ごとに接近可能な位置を決めておく必要があります。

立入禁止範囲は、カラーコーンやバーを置くだけでは管理できません。搬入車両の入替え、玉掛け、地切り、旋回、降下、着床、玉外しで危険範囲は変わります。作業の進行に合わせて規制位置を見直し、監視担当を定めます。資材搬入者、他工種の作業員、監督員、道路利用者などが事情を知らずに入らないよう、揚重作業と交通誘導の連絡方法も決めます。

合図は方法を統一し、運転者が従う合図者を明確にします。複数人が同時に異なる指示を出すと、運転者が判断できません。一方で、危険を発見した人が緊急停止を伝えられる仕組みは必要です。通常操作の合図系統は一本化しつつ、誰でも危険時の停止を伝えられること、停止後の再開は作業責任者が安全を確認してから行うことを周知します。

合図者は、運転者、玉掛け者、吊り荷、運搬経路を可能な範囲で視認できる位置に立ちます。掘削内や死角が見えない場合は、合図系統が曖昧になる配置のまま作業せず、合図者の位置、クレーンの配置、無線、補助映像などを検討します。カメラ映像を使う場合も、映像の遅延、死角、通信断があることを前提に、合図や監視を補助する手段として扱います。

無線を使用する場合は、作業前に通信状態、電池残量、チャンネル、呼出し方法、聞き返しのルールを確認します。騒音が大きい道路上では音声が聞き取りにくくなります。指示を聞き取れなかった場合は推測で操作せず、停止して再確認します。通信が途切れたときは停止するという共通ルールを決めておくと、運転者が迷いにくくなります。

介錯ロープを使用する担当者は、荷の落下・転倒範囲から外れ、ロープが仮設材や車両へ絡まない位置に立ちます。ロープを身体に巻き付けたり、荷と土留めの間に立ったりしません。荷振れが大きく、人力で制御できない場合は無理に押さえ込まず、安全な場所へ荷を戻します。

写真撮影や出来形確認を担当する人も立入管理の対象です。据付状況を近くで撮影するために、吊り荷の下や部材の側面へ入ってはいけません。撮影と測定のタイミングを作業手順へ組み込み、荷が安定し、接近が許可された状態で実施します。記録のための接近が、揚重作業の安全条件を崩さないようにします。

安全確認6 据付位置で挟まれ・接触・不安定化を防ぐ

六つ目の確認は、据付位置での挟まれ、接触、不安定化の防止です。特殊部据付では、吊り上げ時よりも、基礎面へ降ろして位置を合わせる場面で人が荷へ近づきやすくなります。数センチメートルの調整でも、重量物が動けば手足を挟まれるおそれがあります。着床直前は降下速度を落とし、合図者が作業員の位置を確認しながら操作を指示します。

据付前に、基礎面の高さ、平たん性、清掃状態、支持材、中心線、方向、管路口、障害物を確認します。残材、突起、泥、水、調整材のずれがあると、特殊部が片当たりして不安定になる可能性があります。吊り荷を降ろしながら基礎を清掃する、荷の下へ手を入れて調整材を差し込むといった作業を避けるため、荷が来る前に準備を完了させます。

位置合わせでは、測量基準と部材上の基準位置を対応させます。平面位置だけでなく、方向、高さ、管路口の中心、蓋や舗装仕上がりとの関係を確認します。着床後に大きく横移動させる計画は、横引き、吊り点の過負荷、基礎や部材の損傷につながる可能性があります。事前の墨出しとクレーン位置決めを丁寧に行い、無理なく鉛直に降ろせる状態を整えます。

着床時には、特殊部と土留め、既設構造物、管路、基礎の間へ身体を入れません。部材が接触した場合は直ちに停止し、接触位置と原因を確認します。クレーンの力で押し込むと、土留めの変形、管路口の欠損、吊り点への想定外の力、荷の急な回転などを招く可能性があります。離隔が不足する場合は、掘削形状、仮設材、部材方向、吊り方を見直します。

特殊部が基礎へ載った後も、すぐに吊り具を外してはいけません。支持状態、がたつき、傾き、位置、高さを確認し、必要な仮固定や接合を行います。組立式の部材では、接合や支保が完了する前に吊り具を外すと、転倒や移動の可能性があります。吊り具を少し緩めて荷重が基礎へ移った状態を確認し、部材が安定してから玉外しへ移ります。

玉外しは、着地した荷の安定を確認してから行います。玉外しのために部材上へ乗る必要がある場合は、揚重作業とは別に、墜落、転落、開口部への落下を防ぐ作業方法を定めます。昇降設備、作業床、開口養生、保護具などを現場条件に応じて計画し、吊り具へぶら下がる、部材の縁へ無理に立つといった行動を避けます。

据付直後は、位置だけでなく、吊り点周辺の損傷、ひび割れ、欠け、接触痕、接合部、基礎の状態も確認します。異常を次の部材や埋戻しで隠さず、原因と影響を確認します。管路接続に影響する位置ずれや、蓋の高さに影響する傾きは、後工程で無理に吸収しようとすると品質と安全の両方へ影響します。必要な是正は、安全な再揚重方法を含めて計画します。

吊り具を外した後は、吊り用金物の処理、開口部の養生、転落防止、雨水流入防止、第三者進入防止などを行います。揚重が終わっても、掘削部や特殊部周辺の危険がなくなるわけではありません。次の管路接続や上部工へ安全に引き継げる状態まで整えて、据付作業の完了とします。

安全確認を記録と出来形管理につなげる

六つの安全確認を定着させるには、確認結果を記録し、次の作業へ反映できる形にすることが有効です。記録の目的は書類を増やすことではなく、計画と現場の差、異常の兆候、変更の理由を共有し、同じ危険を繰り返さないことにあります。作業前、地切り時、据付直後などの節目で、確認者、時刻、部材番号、使用機械、吊り具、地盤状態、異常の有無、是正内容を残します。

写真は部材全景だけでなく、安全判断の根拠が分かる構図で撮影します。部材表示と吊り点、玉掛け状態、アウトリガーと敷材、設置地盤、立入禁止範囲、基礎面、据付後の位置関係などが対象です。ただし、撮影のために危険範囲へ入ってはいけません。撮影位置とタイミングを作業計画へ組み込み、荷が安定している状態で記録します。

出来形管理では、特殊部の平面位置、高さ、方向、管路口などを、設計図書や施工管理基準に基づいて確認します。着床、安定確認、仮固定、玉外し、出来形測定の順序をあらかじめ決め、安全な状態で必要な測定を行います。測定を急ぐために吊り具を早く外す、固定前の部材へ接近する、吊り荷の下で測量することは避けなければなりません。

位置情報を含む写真や測定記録を残す場合は、基準点、座標系、高さの基準、部材番号、撮影方向、使用した設計図の版を統一します。写真だけでは、後からどの特殊部のどの方向を記録したのか分からないことがあります。ファイル名、部材番号、測点名、記録項目のルールを決め、施工計画書や出来形管理資料と関連付けます。

作業中止や計画変更も記録します。地盤沈下、吊り荷の傾き、吊り具の不適合、風の増大、通信不良、障害物との干渉などで停止した場合は、停止時の状況、原因、対応、再開条件を残します。安全のために止めた判断を失敗として扱わず、危険を早期に把握した有効な情報として共有することが、再発防止につながります。

デジタル記録を活用すると、現場写真、測定結果、位置情報を関係者へ共有しやすくなります。ただし、端末操作が吊り荷の監視や合図を妨げてはいけません。合図担当者や玉掛け者が作業中に入力を兼ねるのではなく、荷を安全に停止した状態で記録するか、別の記録担当者を配置します。通信が不安定でも安全確認が継続できるよう、必要な図面、手順、連絡先は事前に準備します。

LRTK Phoneを位置情報付き写真や測定記録に活用する場合も、現場で要求される精度、基準点、座標系、高さの扱い、受信状態、施工管理基準への適合を確認する必要があります。LRTK Phoneの測位結果だけで、承認された施工計画、必要な基準点測量、発注者が指定する出来形管理方法を省略することはできません。安全確認と出来形確認を効率化する補助として用い、最終的な判定は契約図書と現場基準に従います。

まとめ

電線共同溝の特殊部据付で吊り荷事故を防ぐには、玉掛け直前の点検だけでなく、部材情報の確認、クレーン配置、地盤評価、吊り具選定、地切り、立入管理、着床後の安定確認までを一連の作業として管理する必要があります。特殊部は重量があり、狭い掘削部へ正確に降ろす必要があるため、小さな前提の違いが落下、転倒、挟まれ、接触へつながる可能性があります。

第一の確認は、部材の質量、重心、外形、吊り点、揚重経路を根拠資料で確定することです。第二は、掘削端部、埋戻し部、地下構造物、アウトリガー位置を含め、クレーン設置地盤を確認することです。第三は、吊り点の用途と状態、吊り具の能力、吊り角度、玉掛け方法を照合することです。第四は、地切りによって荷姿と機械の安定を確認し、異常時には着地させて見直すことです。第五は、荷振れ、旋回、転倒を含む危険範囲を管理し、通常の合図系統と緊急停止方法を明確にすることです。第六は、着床時の挟まれを防ぎ、支持と固定を確認してから玉外しを行うことです。

経験は安全な施工に欠かせませんが、経験だけに依存すると、部材や現場条件が変わったときに判断の根拠が曖昧になります。経験を図面照合、作業計画、現地確認、合図、停止基準、記録へ変換することで、関係者が同じ条件で判断しやすくなります。資料が不足しているとき、機械や吊り具に異常があるとき、地盤や風の状態が変化したときは、作業を始めない、または荷を安全な状態へ戻して停止する判断が重要です。

特殊部の据付位置、高さ、吊り点、施工前後の状況を安全なタイミングで記録し、関係者へ共有できれば、安全管理と出来形管理をつなげやすくなります。LRTK Phoneを活用する場合は、承認された測量方法や施工管理基準を優先しながら、位置情報付き写真や測定記録を整理する補助として運用することが大切です。

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