LRTKレフィクシア株式会社

電線共同溝の点検カメラ死角を減らす5つの撮影ルート設計

電線共同溝の点検でカメラの死角が生まれる理由

電線共同溝の点検では、特殊部の内部、管路口、ケーブル、支持金物、接続部、排水状態などをカメラで記録します。しかし、単に内部を歩きながら撮影しただけでは、設備の一部が別の設備に隠れ、確認したい箇所が映像に残らないことがあります。このようにカメラから見えない範囲が死角です。

電線共同溝の内部には、複数の管路口やケーブル、ラック、支持材、接地関係の部材などが配置されています。設備の形状や配置は区間ごとに異なり、同じ方向から撮影しても、手前のケーブルによって奥の管路口が隠れる場合があります。床面に近い排水部や壁際の隙間は、立ったままの目線では映りにくくなります。上部の支持部材や天井付近も、水平に向けたカメラでは確認できません。

死角が生じるもう一つの原因は、撮影者が現場で見えている範囲と、記録された映像の範囲を同じだと考えてしまうことです。人は歩きながら周囲を見回せますが、カメラが記録する範囲はレンズが向いている方向に限られます。撮影者が目で異常を確認できていても、その瞬間にカメラが別方向を向いていれば、後から映像で再確認することはできません。

また、電線共同溝の内部は照明条件が安定しにくい環境です。近距離で照明を当てると壁面や金属部が明るくなりすぎ、その周囲が暗く映ることがあります。逆に、奥まで映そうとしてカメラを遠ざけると、細かな腐食や亀裂、取付状態を確認しにくくなります。死角を減らすには、カメラの性能だけに頼るのではなく、どの位置から、どの方向へ、どの順序で撮影するかを事前に設計することが重要です。

撮影ルートを定めておけば、担当者が変わっても記録範囲をそろえやすくなります。前回点検と同じ位置、同じ向き、近い距離から撮影できれば、設備状態の変化も比較しやすくなります。撮影ルート設計は、撮影漏れを防ぐだけでなく、点検記録の再現性を高めるための基本作業です。

撮影前に確認したい安全条件と点検範囲

撮影ルートを考える前に、対象となる電線共同溝の構造、設備配置、立入り条件、作業上の制約を確認します。内部に入って撮影する場合は、施設管理者や道路管理者などが定める手順に従い、必要な許可、連絡、作業体制、安全設備を準備しなければなりません。

特殊部や地下空間では、酸素濃度、有害な気体、浸水、漏水、足元の段差、昇降設備の状態などを確認する必要があります。点検カメラの操作に集中すると、ケーブルや支持金物への接触、床面の開口、堆積物による滑りなどを見落とすおそれがあります。撮影者が後退しながらカメラを向けるルートは避け、原則として進行方向と足元を確認できる動き方を計画します。

電線共同溝内の設備についても、触れてよい部分と触れてはいけない部分を区別します。撮影のためにケーブルを押す、支持部材にカメラを固定する、管路口の封止部に機材を接触させるといった行為は、設備の状態を変化させる可能性があります。見えにくい部分があっても、設備を動かすのではなく、撮影位置やカメラの高さ、向きを変えて確認することが基本です。

撮影範囲は、入孔から退孔までを一続きに考えるだけでは不十分です。入孔部、昇降部、床面、壁面、天井部、管路口、ケーブル支持部、接続部、排水部、補修跡など、確認対象を区分しておきます。区分ごとに必要な映像がそろっていれば、撮影後の確認で漏れを発見しやすくなります。

過去の図面や点検記録が利用できる場合は、設備配置と前回の撮影位置を確認します。ただし、図面と現況が一致しているとは限りません。増設、撤去、補修、占用変更などによって内部状況が変わっている可能性があるため、現場では現況を優先し、相違があれば記録します。

撮影ルート設計1 基準となる主ルートを先に決める

最初の撮影ルート設計は、点検対象区間を通過する基準の主ルートを決めることです。撮影者がその場の判断だけで移動すると、同じ場所を何度も撮影する一方で、壁際や奥側の設備が抜けやすくなります。主ルートを設定し、一定の順序で撮影することで、記録の連続性を確保できます。

特殊部内を撮影する場合は、入孔位置を起点として、進行方向の左右を決めます。たとえば、入孔後に正面全景を撮影し、左壁側、正面側、右壁側、床面、上部という順序を定めます。次の区画へ移動した場合も同じ順序を繰り返せば、撮影者が変わっても記録の並びをそろえやすくなります。

主ルートは、単に最短距離で通過する経路ではありません。安全に立ち止まれる場所、カメラを向けられる空間、設備との離隔、照明の当てやすさを考慮して決めます。狭い区間では、広い場所で全景を撮影してから、必要な方向にカメラだけを伸ばす方法もあります。

撮影の開始時には、対象箇所を識別できる情報を記録します。特殊部の管理番号、区間、撮影方向、日時などを映像や記録票と対応させておくと、後から別の区間と混同しにくくなります。管理番号そのものを設備に直接書き込むのではなく、既存の表示や点検用の識別板などを利用します。

主ルートの映像では、設備の配置関係が分かることが重要です。いきなり管路口や金物を近接撮影すると、どの壁面のどの位置を撮影したのか分からなくなります。そのため、各区画では全景、中景、近景の順で撮影します。全景で設備全体の位置関係を残し、中景で対象設備と周辺の関係を示し、近景で異常や取付状態を記録します。

主ルートに沿った撮影は、点検の骨格となります。ただし、主ルートだけでは設備の裏側や奥側に死角が残ります。そこで、次の工程では同じ経路を戻りながら視線方向を変え、主ルートで見えなかった範囲を補完します。

撮影ルート設計2 往路と復路で視線方向を変える

電線共同溝のカメラ点検では、往路と復路で同じ方向を撮影しても、死角を十分に減らせません。手前の設備に隠れた部分を確認するには、反対側から撮影する必要があります。往路と復路で視線方向を変えることが、撮影ルート設計の二つ目の要点です。

往路では進行方向を基準に、設備の正面と片側面を撮影します。復路では反対方向から、設備の背面側や反対側面を撮影します。ケーブルラックや支持金物は、一方向から見ると重なって見えるため、取付部や壁面との接続状態を確認しにくいことがあります。反対方向から撮影すると、往路では隠れていた固定部や周辺の隙間が映る場合があります。

往復撮影を行う際は、同じ映像を重複して残すのではなく、確認目的を分けます。往路は全体配置と進行方向側の設備、復路は裏面、接続部、壁際の状態というように役割を決めます。これにより、映像量が増えすぎることを防ぎながら、死角を補えます。

特に注意したいのは、管路口とケーブルの重なりです。手前のケーブルが管路口を横切っている場合、正面からの撮影だけでは封止状態や周囲の隙間を確認できません。少し斜めの位置から撮影し、復路では反対側の斜め方向から撮影することで、周囲を立体的に把握しやすくなります。

床面の排水勾配や堆積物についても、往復で見え方が変わります。照明の方向が変わると、凹凸や水たまりの輪郭が現れやすくなる場合があります。ただし、光の反射によって実際より大きな水たまりに見えたり、逆に水面が白く飛んだりすることもあります。往路と復路の両方を残すことで、一方向の映像だけによる誤認を減らせます。

往復ルートでは、復路の開始位置を明確にします。折り返した直後に映像を撮り始めると、往路と復路の区別がつきにくくなるため、折り返し位置の全景や識別情報を記録してから復路を開始します。映像ファイルを分ける場合も、往路と復路を識別できる名称や記録番号を付けます。

撮影ルート設計3 特殊部と管路口を扇状に撮影する

三つ目の撮影ルート設計は、特殊部の壁面や管路口を一方向からまとめて撮影するのではなく、複数の角度から扇状に撮影する方法です。管路口が並ぶ壁面では、正面からの映像だけでは奥行きや突出状態、周囲の隙間を判断しにくいためです。

扇状撮影では、対象の正面位置を基準として、左斜め、正面、右斜めの方向から撮影します。撮影角度を変えると、管路口周辺の欠け、変形、封止状態、付着物、壁面との境界などが見えやすくなります。照明の当たり方も変わるため、正面からは平坦に見えた部分の凹凸を確認できる場合があります。

管路口を撮影するときは、最初に壁面全体を記録します。続いて管路群ごとの中景を撮影し、最後に確認が必要な管路口を近接撮影します。この順序を守ると、近接映像がどの位置の管路口なのかを後から追跡できます。

扇状撮影の中心は、設備の中央とは限りません。ケーブルや支持材が手前にある場合は、対象の見える範囲が最も広くなる位置を中心に設定します。左右に移動できない狭い空間では、カメラを安全な範囲で左右へ動かし、レンズの位置を変えて撮影します。設備に接触するおそれがある場合は、無理に奥へ差し込まず、到達可能な位置から映像を補完します。

管路の内部を撮影する場合は、施設管理者が認めた方法と機材を使用し、既設ケーブルや通線材、封止部を損傷させないことが前提です。管路口の表面状態を確認する撮影と、管内へ機材を挿入する調査は、作業条件や危険性が異なります。通常の目視点検の延長で無断挿入せず、調査目的、挿入距離、管路の使用状況を確認して実施します。

扇状撮影は、マンホールや特殊部の角部にも有効です。二つの壁面が交わる角は、正面から見ると暗くなりやすく、ひび割れや漏水跡が分かりにくい場所です。左右の壁面から角へ向けて撮影し、さらに角の正面から両側へ向けることで、壁面の連続性を記録できます。

撮影ルート設計4 上下方向を分けて設備の裏側まで確認する

四つ目の撮影ルート設計は、水平方向の移動だけでなく、カメラの高さを変えて上下方向を分けて撮影する方法です。電線共同溝では、立った状態の目線だけで撮影すると、床面付近、設備の下面、上部支持材、天井付近に死角が残ります。

基本となる考え方は、上段、中段、下段の撮影帯を設定することです。上段では天井面、上部の支持部材、ケーブルやラックの上側を確認します。中段では設備全体の配置、管路口、壁面、ケーブルの側面を確認します。下段では床面、排水部、支持脚の根元、壁際、ケーブルや管路の下面を確認します。

上段の撮影では、カメラを上に向けたまま歩かないことが重要です。足元が見えなくなり、段差や設備への接触を招くおそれがあります。安全に立ち止まれる位置で停止し、上部を撮影してから移動します。天井面を連続撮影する場合も、短い区間ごとに停止位置を設けます。

下段の撮影では、床面の水、土砂、異物、腐食生成物などを記録します。床面すれすれにカメラを近づけると、奥行きが分かりにくくなるため、最初に斜め上から床面全体を撮影し、その後で必要箇所を近接撮影します。排水口や集水部の周辺は、正面だけでなく斜め方向から撮影すると、堆積物の厚さや閉塞範囲を把握しやすくなります。

設備の裏側を確認する場合は、カメラを無理に差し込むのではなく、視線の通る隙間を探します。上側から見える場合、下側から見える場合、左右の隙間から見える場合を順番に確認します。撮影できない範囲が残るときは、見えなかったこと自体を点検記録に残します。映っていない部分を異常なしと判断しないことが重要です。

上下方向の撮影は、設備の取付状態を確認するうえでも役立ちます。支持金物は正面から見ると健全に見えても、下面や壁面との境界に腐食、緩み、変形の兆候が現れる場合があります。複数の高さから映像を残すことで、設備の状態を立体的に確認できます。

撮影ルート設計5 静止撮影点と折り返し点を設定する

五つ目の撮影ルート設計は、あらかじめ静止撮影点と折り返し点を設定することです。歩きながら撮影した動画は、区間全体の連続性を記録するには便利ですが、揺れやぶれが生じやすく、細部の確認には適さない場合があります。重要な場所では撮影者が停止し、カメラを安定させて記録する必要があります。

静止撮影点には、入孔直後、特殊部の中央、各壁面の正面、分岐部、管路口群の前、接続部、補修箇所、漏水跡、排水部などを設定します。すべての場所で同じ長さの映像を撮る必要はありませんが、設備の配置が分かるまでカメラを安定させます。

動画を撮影するときは、静止撮影点で一度動きを止め、数秒間同じ構図を保つと、後から映像を一時停止して確認しやすくなります。すぐにカメラを振ると、どの設備を撮影したのか把握しにくくなります。左から右へ向きを変える場合も、開始位置、中央、終了位置で短く停止すると、映像の判読性が高まります。

折り返し点は、単に進行方向を変える場所ではなく、往路と復路の記録を区切る基準点です。折り返し地点の全景を撮影し、そこからカメラの向きと確認対象を変えます。折り返し後は、往路で手前にあった設備の反対側を重点的に撮影します。

静止撮影点を多く設定しすぎると作業時間が長くなり、映像整理も複雑になります。そのため、設備配置が変化する場所、死角が生じやすい場所、劣化や異常を確認する必要がある場所を優先します。直線的で設備配置に変化がない区間は連続動画で記録し、重要箇所だけを静止画や停止映像で補う方法が効率的です。

点検を継続して行う区間では、毎回同じ静止撮影点を使用できるように記録します。位置を設備番号、壁面方向、距離、図面上の点などと関連付けておけば、前回映像との比較が容易になります。撮影点を再現できることは、変状の進行を確認するうえで大きな利点です。

カメラの高さと向きを一定に保つ方法

撮影ルートを決めても、撮影のたびにカメラの高さや向きが変わると、記録の比較が難しくなります。特に前回点検との比較を目的とする場合は、同じ設備を近い条件で撮影することが重要です。

カメラの高さは、撮影者の目線だけを基準にせず、設備に対する位置で決めます。管路口の中心高さ、ケーブルラックの中央、床面から一定の高さなど、対象ごとに基準を設定します。撮影者の身長が異なっても、設備を基準にすれば構図をそろえやすくなります。

向きについては、進行方向、反進行方向、左壁、右壁、上部、床面などの区分を決めます。映像記録や写真名に方向を含めると、後から確認しやすくなります。方位や路線方向を利用できる場合は、現場で誤解のない表現に統一します。

広い角度を一度に撮影しようとしてカメラを速く振ると、映像の端が流れ、設備の状態を確認しにくくなります。カメラを動かすときは速度を抑え、対象設備が画面内に入った状態を一定時間保ちます。近接撮影では、対象に寄りすぎると焦点が合わず、全体位置も分からなくなるため、全景から段階的に近づけます。

カメラを伸縮棒などに取り付ける場合は、設備への接触や落下を防ぐため、固定状態と操作範囲を確認します。長く伸ばすほど操作が不安定になりやすいため、必要以上に延ばさず、安全に保持できる範囲で使用します。

照明による白飛びと黒つぶれを防ぐ考え方

電線共同溝の内部撮影では、照明の使い方によって映像の見え方が大きく変わります。照明を強く当てればよいとは限りません。近距離の金属部や湿った壁面に光が反射すると、画面の一部が白くなり、周囲の状態が分からなくなることがあります。

照明は、カメラと同じ方向から当てる方法だけでなく、斜め方向から当てる方法も使います。斜めから光を当てると、壁面の凹凸、ひび割れ、付着物の輪郭が影として現れやすくなります。一方、影が深くなりすぎる場合は、別方向から補助的に照明を当てます。

管路口やケーブルの奥側を撮影するときは、手前の設備が明るくなりすぎないようにします。手前に光が集中すると、カメラが明るさを抑え、奥が暗く映ることがあります。照明の角度や距離を調整し、確認対象へ必要な光が届く位置を探します。

濡れた床面や漏水箇所では、照明の反射によって状態を判断しにくくなることがあります。同じ位置を照明の角度を変えて撮影し、水面の反射と設備表面の状態を区別します。異常箇所を一つの照明条件だけで判断せず、必要に応じて複数の映像を残します。

暗い映像を後から明るく調整しても、元の映像に記録されていない細部を復元できるとは限りません。撮影時に確認対象が見えていることを画面で確認し、暗すぎる場合はその場で撮り直します。照明状態の確認も、撮影ルートの一部として組み込む必要があります。

分岐部や曲がり部の撮影ルート設計

電線共同溝の分岐部や曲がり部は、直線区間よりも死角が生じやすい場所です。進行方向が変化し、壁面や設備が重なるため、一方向からの撮影だけでは内部構造を把握できません。

分岐部では、分岐の手前、分岐点、各分岐方向の入口という順序で撮影します。最初に分岐全体が分かる位置から全景を残し、次に分岐点の設備や壁面を撮影します。その後、それぞれの方向へカメラを向け、進行先の状態を記録します。

曲がり部では、曲がりの外側と内側で見え方が異なります。内側から撮影すると曲がり先が壁面に隠れやすいため、外側寄りの安全な位置から曲がり先を確認します。反対方向からも撮影し、曲がり部の両側を記録します。

曲がり部にケーブルや管路がある場合は、曲率の変化、支持位置、周辺設備との離隔などが確認できる構図を選びます。ただし、映像だけで許容値や健全性を断定できるとは限りません。設計図書、点検基準、現地測定などと組み合わせて判断します。

分岐方向が複数ある場所では、映像の順序を明確にします。分岐ごとに識別情報を入れずに連続撮影すると、後からどの方向の映像か分からなくなります。各分岐へ向きを変える前に、方向や管理上の区分を記録します。

ケーブルや支持金物が密集する場所の撮影方法

ケーブルや支持金物が密集する場所では、手前の設備が奥を隠すため、一般的な全景撮影だけでは十分に確認できません。設備の間に細い視線を通し、複数方向から撮影する必要があります。

最初に、密集部分を含む全景を撮影します。次に、上側、下側、左右の隙間から確認できる範囲を分けて撮影します。一本の映像で全範囲を映そうとすると、カメラの動きが複雑になり、どこを確認しているのか分かりにくくなります。

支持金物は、金物本体だけでなく、壁面や架台との固定部、ケーブルとの接触部、下面、周囲の変色などを確認します。正面から見えない固定部は、斜め方向から撮影します。照明を横から当てると、変形や浮き、表面状態が見えやすくなる場合があります。

ケーブルが重なっている場所では、設備を動かして撮影範囲を確保してはいけません。見える範囲を複数の位置から撮影し、確認できない部分を記録します。必要な確認ができない場合は、管理者と調査方法を検討します。

カメラを設備の隙間へ近づける際は、接触や引っ掛かりに注意します。ストラップやケーブル類が周辺設備に絡まないようにし、落下防止措置を講じます。撮影品質を優先するあまり、既設設備へ危険を与えないことが前提です。

撮影漏れを防ぐ記録番号と位置情報の管理

点検カメラの映像は、どこを撮影したのか分からなければ設備管理に活用できません。死角を減らす撮影ルートと同時に、記録番号や位置情報の管理方法を決める必要があります。

記録番号は、区間、特殊部、壁面、方向、対象設備、撮影順などと対応させます。複雑すぎる番号体系は現場で間違えやすいため、担当者が共通して理解できる規則にします。映像ファイルの名称だけでなく、点検記録や図面上の位置とも対応させます。

位置情報を取得できる場所では、座標や時刻を補助情報として利用できます。ただし、地下や構造物内部では衛星測位が安定しない場合があるため、位置情報だけに依存してはいけません。入孔位置、区間の起終点、特殊部番号、壁面方向、設備番号、撮影距離などを組み合わせて位置を特定します。

内部で位置情報を直接取得しにくい場合は、地上で基準となる位置を記録し、内部の移動経路と関連付けます。入孔位置からの進行方向や距離、通過した設備などを記録すると、映像の位置を追跡しやすくなります。

LRTK Phoneを活用できる現場では、地上部の入孔位置や点検対象施設の位置を高精度な座標と関連付け、写真や点検記録の整理に利用できます。ただし、電線共同溝内部では測位環境が制限されるため、地上で取得した基準位置と内部の設備番号、撮影順序を組み合わせて管理することが重要です。

記録番号と位置情報が整理されていれば、撮影後に映像を確認した際、抜けている壁面や方向を発見できます。撮影ルートの各区間に対応するファイルがそろっているかを確認し、不足があれば現場を離れる前に撮り直します。

動画と静止画を使い分ける判断基準

動画は移動経路や設備配置の連続性を記録するのに適しています。一方、静止画は特定箇所の細部を高い視認性で残すのに向いています。死角を減らすには、どちらか一方に統一するのではなく、目的に応じて使い分けます。

主ルートの移動状況、壁面の連続性、ケーブル配置、区間全体の状態は動画で記録します。動画では、撮影位置から次の撮影位置までの関係が分かるため、設備の位置を把握しやすくなります。

ひび割れ、腐食、変形、漏水跡、封止部、支持金物の取付部、表示内容などは静止画で補います。静止画を撮る前に周辺を含む中景を撮影し、その後に近景を残すと、位置関係を確認できます。

動画から静止画像を切り出す方法もありますが、撮影中の揺れや動きによって細部が不鮮明になる場合があります。重要な変状は、その場でカメラを止めて静止画として記録します。寸法や範囲を示す必要がある場合は、管理者が定める方法でスケールや基準物を使用し、対象設備に影響を与えないようにします。

動画と静止画の記録番号を関連付けると、全景から異常箇所へたどりやすくなります。動画の撮影区間と、その区間内で撮影した静止画を同じ管理単位にまとめる方法が有効です。

点検カメラ映像を設備管理に活用する方法

撮影ルートを設計して得られた映像は、その場の確認だけでなく、設備台帳、維持管理計画、補修検討、経年比較に利用できます。活用を前提とする場合は、毎回の撮影条件を可能な範囲で統一します。

前回映像と比較する際は、同じ設備を同じ方向から撮影した記録を並べます。カメラ位置や照明条件が大きく異なると、変状が進行したように見えたり、逆に変化を見落としたりする可能性があります。静止撮影点、撮影方向、対象までの距離を記録しておくことが重要です。

映像に異常らしい箇所があった場合は、映像だけで原因を確定せず、現地確認や必要な測定につなげます。濡れ、影、汚れ、反射などがひび割れや腐食に見えることもあります。カメラ映像は判断材料の一つとして扱い、点検基準や専門的な確認と組み合わせます。

設備台帳へ映像を関連付ける場合は、対象設備の識別情報、撮影日、撮影方向、点検結果を対応させます。ファイル名だけに情報を詰め込むと管理が難しくなるため、台帳側に必要な項目を整理し、映像への参照関係を持たせます。

撮影したデータは、閲覧権限、保管期間、更新方法、バックアップ方法を定めます。古い映像を上書きすると経年変化を追えなくなるため、点検時期ごとに履歴を残します。個人情報や周辺施設の管理情報などが含まれる場合は、取扱いにも注意が必要です。

電線共同溝の撮影ルート設計で起こりやすい失敗

よくある失敗は、入口から出口まで動画を回し続けただけで、必要な設備が撮影できていると考えることです。連続動画は区間全体の概要を残せますが、カメラの向きが一定であれば、反対側の壁面や設備の裏側は映りません。

次に多いのが、異常箇所だけを近接撮影し、周辺の状況を残さないことです。近接画像だけでは、どの設備のどの部分なのか分からなくなる可能性があります。必ず全景、中景、近景の関係を残します。

広い範囲を短時間で撮影しようとして、カメラを速く振ることも失敗につながります。映像がぶれ、設備番号や細かな変状を確認できなくなります。移動撮影と静止撮影を分け、重要箇所ではカメラを止めます。

照明をカメラの正面から強く当て続ける方法も注意が必要です。金属部や湿潤部が白く飛び、周囲が暗くなることがあります。照明の角度や距離を変え、確認対象に適した明るさを確保します。

位置情報の記録不足も大きな問題です。映像に設備が映っていても、どの特殊部、どの壁面、どの方向か分からなければ補修や再点検につなげにくくなります。撮影開始時と方向変更時に識別情報を残します。

撮影できなかった範囲を記録しないことも避けなければなりません。設備の重なりや安全上の制約によって見えない場所がある場合は、未確認範囲として明確にします。映像がないことと異常がないことは同じではありません。

撮影後の確認で死角を残さないための照査

撮影終了後は、現場を離れる前に映像と静止画を確認します。事務所へ戻ってから撮影漏れが判明すると、再度の立入りや交通規制が必要になる場合があります。現場で確認できる範囲は、その場で照査することが効率的です。

照査では、予定していた主ルート、往路、復路、各壁面、上段、中段、下段、分岐方向、静止撮影点の記録がそろっているかを確認します。目次や点検票に対応した確認欄を設けると、担当者の記憶だけに頼らず確認できます。

映像が存在していても、暗すぎる、ぶれている、対象が画面外にある、照明の反射で見えない場合は、実質的に未撮影です。ファイル数だけで完了を判断せず、確認対象が判読できるかを確認します。

記録番号と実際の撮影内容が一致しているかも照査します。左右の壁面や往路と復路を逆に記録すると、経年比較や補修位置の特定を誤るおそれがあります。方向を変更した箇所では、前後の映像を連続して確認します。

異常らしい箇所については、全景、中景、近景がそろっているかを確認します。必要な範囲が不足している場合は追加撮影します。補修検討に寸法や周辺設備との関係が必要になる可能性も考え、対象だけでなく周囲を含めて記録します。

最後に、データが正常に保存されていることを確認します。撮影機器上で再生できるだけでなく、記録媒体の状態、ファイルの破損、保存容量などを確認します。点検終了後は定められた方法でデータを移し、元データを適切に保管します。

まとめ

電線共同溝の点検カメラで死角を減らすには、機材の性能だけでなく、撮影位置、移動方向、カメラの高さ、照明、停止地点を含めた撮影ルートの設計が重要です。

まず、入孔位置から点検対象区間を通過する主ルートを決め、全景、中景、近景の順で記録します。次に、往路と復路で視線方向を変え、手前の設備に隠れていた部分を反対側から確認します。特殊部や管路口は、正面だけでなく左右の斜め方向から扇状に撮影します。さらに、上段、中段、下段に撮影帯を分け、床面付近、設備の下面、天井部まで確認します。重要箇所には静止撮影点を設定し、映像の揺れや撮影位置の不明確さを抑えます。

撮影できない範囲が残った場合は、無理に設備へ接近したり、ケーブルや支持材を動かしたりせず、未確認範囲として記録します。電線共同溝の内部では、安全条件や設備保護を優先し、施設管理者などが定める作業手順に従う必要があります。

撮影した映像を維持管理に活用するには、特殊部番号、壁面方向、撮影順、日時、地上の基準位置などを関連付けて管理することも欠かせません。地上部の位置記録や点検写真の整理にはLRTK Phoneを活用し、現場の位置情報と撮影記録を結び付けることで、再点検や経年比較を進めやすくなります。

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