電線共同溝の管路継手抜けが問題になる理由
電線共同溝は、電力線や通信線などを道路の地下空間に収容し、道路景観の向上、防災性の向上、道路空間の有効活用などを図るための施設です。管路は一定の長さの部材を連続して接続することで構成されるため、施工区間には多数の継手が設けられます。 この管路継手が施工中や埋戻し後に抜けると、単に管路が数センチ離れるだけでは済まない場合があります。継手部に段差や隙間が生じることで、ケーブルを通す際の通線抵抗が増えたり、通線用ロープやケーブル先端が引っ掛かったりするおそれがあります。隙間から土砂や地下水が入り込めば、管内閉塞や汚損の原因にもなります。 ケーブル敷設後に継手が抜けた場合は、管路の角やずれた部分がケーブル被覆に接触し、長期的な損傷につながる可能性もあります。すでに舗装まで完成した後で不具合が判明すると、舗装の切断、再掘削、管路補修、埋戻し、舗装復旧といった工程が必要になり、周辺交通や近隣施設への影響も大きくなります。 継手抜けは接合時の作業だけで決まるものではありません。管路材料の選定、保管状態、接合面の清掃、挿入長さ、管路の曲がり、基礎の仕上がり、埋戻し方法、転圧荷重、特殊部との取り合いなど、複数の条件が重なって発生します。そのため、接合作業員だけに注意を求めるのではなく、施工計画から完成検査まで一貫した管理を行うことが重要です。 また、電線共同溝の構造や管路材料、継手方式は、道路管理者、発注者、占用事業者、設計条件などによって異なります。同じ外観の管路であっても、接合方法や必要な挿入長さ、使用できる潤滑材、接着方法、養生条件が同じとは限りません。現場の経験だけで判断せず、設計図書、施工仕様書、承認された材料資料、施工要領を確認する姿勢が継手抜け防止の出発点になります。
管路継手抜けが発生する主な原因
管路継手抜けの代表的な原因は、差し込み不足です。管の差口を受口の奥まで挿入したつもりでも、土砂の付着、シール材のねじれ、挿入角度のずれなどによって途中で止まっていることがあります。外観だけでは挿入量を判断しにくいため、差口に挿入位置を表示していない現場では不足を見逃しやすくなります。 反対に、必要以上の力で押し込むことも適切ではありません。無理な挿入によって受口、差口、シール材などが損傷すると、接合直後はつながっているように見えても、埋戻し後に抜けや水の浸入が生じる可能性があります。管路の接合は、強く押せば安全になる作業ではなく、定められた位置まで正しい姿勢で挿入する作業です。 接合面の清掃不足も大きな原因です。差口や受口に砂粒、泥、砕石片、切削くずなどが残っていると、シール材が正しい位置に収まらず、挿入抵抗が局所的に大きくなります。雨天時や湧水のある掘削部では、清掃後の管端に再び泥水が付着することもあるため、接合直前まで管端を保護する必要があります。 管の切断面が斜めになっていたり、面取りや端面処理が不十分だったりする場合も、挿入時にシール材を押し出したり傷つけたりするおそれがあります。現場で管路長を調整するために切断した箇所は、工場で整えられた管端とは状態が異なります。切断だけで作業を終えず、接合方式に適した端面へ整えることが欠かせません。 管路の曲げや位置ずれも継手抜けを招きます。接合部を支点にして無理に方向を変えると、継手の一方に引張力が集中します。直線部では問題がなくても、曲線部、分岐部、特殊部への接続部、構造物近傍では、線形修正の力が継手に残りやすくなります。埋戻し前は接合されていても、支持材の撤去や転圧によって管路が移動し、継手が徐々に抜けることがあります。 基礎面の不陸や局部的な沈下も見逃せません。管路の下に空洞が残っていると、埋戻し荷重を受けたときに管が沈み、隣接する管との高低差が生じます。継手は管路全体の沈下や曲げを吸収するためだけの部材ではないため、大きな変位が集中すれば抜けや破損につながります。 このほか、異なる仕様の管と継手の混用、シール材の入れ忘れ、保管中の変形、接着部の養生不足、埋戻し時の重機接触、転圧機械の過度な接近、施工後の掘削による引張りなども原因になります。継手抜けを防ぐには、発生原因を接合作業だけに限定せず、材料、施工、検査、周辺作業を含めて管理する必要があります。
接合管理方法1 管路と継手の仕様を施工前に統一する
最初の接合管理方法は、使用する管路、継手、シール材、接合補助材を、承認された仕様と組み合わせに揃えることです。材料の外径や呼び径が同じように見えても、受口形状、差口寸法、シール構造、許容される変位、接合方法が異なる場合があります。 現場へ搬入された材料は、納品書や承認資料を見るだけでなく、現物の表示、寸法、形状、数量を確認します。管と継手が設計図書で指定された組み合わせになっているか、付属するシール材が不足していないか、外観に変形や割れがないかを受入時に確かめます。 特に注意したいのが、施工途中で追加搬入された材料です。初回搬入品と同じ用途で注文したつもりでも、継手形状や施工方法が異なる材料が届く可能性があります。材料置場で混在すると識別が難しくなるため、種類、径、施工区間、搬入時期などが分かるように区分して保管することが大切です。 管路材料を屋外で保管するときは、直射日光、熱、荷重、泥水などによる影響にも配慮します。長尺の管を不均一な支持状態で積み重ねると、管本体や受口が変形するおそれがあります。受口に荷重が集中しないように支持し、管端へ土砂や雨水が入らない状態を保ちます。 施工前には、採用されている接合方式を作業員全員で共有します。電線共同溝の管路には、シール材を用いて差し込む方式、接着による方式、機械的に固定する方式などがあります。接合方式が違えば、清掃方法、端面処理、使用する補助材、挿入手順、養生時間、検査方法も変わります。 たとえば、差し込み式の継手で使用する潤滑材は、挿入抵抗を下げる一方で、管材やシール材との適合性を確認する必要があります。現場にある油類や洗剤などを代用品として使うと、シール性能や材料に悪影響を与える可能性があります。承認された材料と施工要領で定められたもの以外を安易に使用しないことが基本です。 接着による方式では、接着面の状態、塗布範囲、挿入後の保持、養生条件などが接合性能に影響します。気温や湿度、管表面の水分などによって施工条件が変わる場合もあります。接着剤を多く塗れば強くなるとは限らず、過剰な塗布が管内へのはみ出しや接合不良につながることもあります。 施工計画書や作業手順書には、使用材料だけでなく、切断、面取り、清掃、表示、挿入、検査、養生までの流れを記載します。作業員の経験に任せず、監督員、職長、接合作業員が同じ判断基準を持つことで、接合品質のばらつきを抑えられます。 施工開始前に試験的な接合を行うことも有効です。実際に使用する管と継手を用いて、必要な挿入力、挿入位置の見え方、工具の使い方、作業空間の不足などを確認します。試験接合で問題が見つかれば、本施工の前に作業手順や人員配置を修正できます。
接合管理方法2 差口と受口の状態を整えて挿入位置を表示する
二つ目の接合管理方法は、差口と受口を清掃し、正しい端面形状へ整えたうえで、挿入位置を明確に表示することです。継手抜けを防ぐうえで、目視できる挿入管理の基準をつくることは非常に重要です。 接合前には、差口外面と受口内面を確認し、砂、泥、水分、油分、切削くずなどを除去します。布で表面を拭いただけでは細かな砂粒が残ることがあるため、手触りや照明を使って確認します。シール材を使用する方式では、シール材が所定の溝に均等に収まり、ねじれや浮きがないことも確かめます。 清掃後の管端を地面へ直接置くと、すぐに土砂が再付着します。接合まで時間が空く場合は、管端を仮のふたや清潔な養生材で保護します。掘削部に水がたまりやすい現場では、接合作業場所を排水し、泥水が流れ込まない環境を整えることが先決です。 管を現場で切断した場合は、切断面が管軸に対して大きく傾いていないか確認します。斜めに切断された差口を挿入すると、片側が先に当たり、シール材や受口に偏った力がかかります。端面のばりや鋭い角も接合を妨げるため、施工要領に従って面取りと仕上げを行います。 面取りの形状や範囲は管路材料によって異なります。作業者の感覚だけで削ると、削り不足だけでなく削り過ぎも起こります。専用の加工治具や寸法確認用の基準を準備し、誰が加工しても同じ状態になるように管理します。 差口の準備ができたら、施工要領で定められた挿入長さを測り、外周に表示します。表示は一方向からだけではなく、接合後に確認しやすい位置へ付けます。管の下面や側面に表示が隠れる可能性があるため、必要に応じて複数方向から視認できるようにします。 挿入表示は、接合完了を判定するための管理基準です。接合後に管理線が施工要領に示された位置から外れていれば、挿入不足や過挿入の可能性があります。管理線の見え方だけで即断せず、採用した継手方式の判定基準と照合します。 適切な挿入位置は継手方式によって異なります。温度変化に伴う伸縮を考慮して所定の余裕を設ける方式もあれば、定められた位置まで確実に挿入する方式もあります。現場判断で意図的に隙間を設けたり、挿入後に任意の量だけ戻したりしてはいけません。承認された施工要領に示された位置を基準とします。 表示には、消えにくく、管材へ悪影響を与えにくい方法を選びます。雨天や清掃で消える表示では、接合後の検査に使えません。切り傷を付けて目印にすると管材を損傷するおそれがあるため、管へ傷を付けない表示方法が適切です。 接合位置を表示する工程を作業員本人だけの確認で終わらせず、接合前または接合直後に別の担当者が確認する仕組みを設けると、見落としを減らせます。設計図書や施工計画で定められた頻度と方法で確認し、施工区間ごとの品質差を把握できる記録を残します。
接合管理方法3 接合方式に応じた手順で確実に挿入する
三つ目の接合管理方法は、管路を無理のない姿勢に合わせ、接合方式に応じた方法で確実に挿入することです。接合時の力のかけ方が不適切だと、挿入不足だけでなく、管端やシール材の損傷を招きます。 接合作業を始める前に、二本の管の中心線をできるだけ一致させます。差口と受口が斜めになった状態で押し込むと、片側に強い抵抗が発生します。管を人力で曲げながら挿入するのではなく、支持材や作業スペースを調整し、接合部に横方向の力が残らない状態をつくります。 挿入時には、管端の一部分だけをたたくような作業を避けます。局部的な衝撃は、管端の割れ、受口の変形、シール材のずれにつながる可能性があります。挿入用の器具を使用する場合も、管全体へ均等に力が伝わるように取り付けます。 挿入途中で急に抵抗が大きくなった場合は、さらに強い力を加えるのではなく、一度作業を止めて原因を確認します。シール材の浮き、管端の変形、異物のかみ込み、挿入角度のずれなどが考えられます。無理に押し込むと外観から確認できない損傷が生じるため、必要に応じて引き抜いて再点検します。 シール材を用いる接合では、差口がシール材を正常に通過したかを確認します。接合後にシール材の一部が外へはみ出している場合や、受口周辺に不自然な変形がある場合は、正常な接合と判断できません。見える部分だけを押し戻して済ませず、施工要領に従って接合部を点検し、必要に応じて再施工します。 接着方式では、清掃から塗布、挿入までの間隔を含め、定められた作業順序を守ります。接合後すぐに管を動かすと、接着面がずれたり、接合部に隙間が生じたりする可能性があります。所定の養生が完了するまでは、管路の移動、通線確認、埋戻しなどの後工程を急がないようにします。 複数条の管路を並べて施工する場合は、一条ごとの接合が完了してから位置を確認します。先に多数の管を仮置きし、まとめて押し込もうとすると、どの継手に力が集中しているか分かりにくくなります。管路間隔や配列を保ちながら、一つの接合を確実に完了させる施工順序を決めます。 接合後は挿入表示を確認し、管路番号、接合位置、作業日などを記録します。管路を回転させたことで管理線が見えなくなる場合もあるため、写真撮影や確認を終えてから次の作業へ進みます。 施工中に管路の位置を修正する場合は、接合部を引っ張って移動させないことが重要です。離れた位置から管を持ち上げたり、複数人で管路全体を動かしたりして、継手に過大な引張力が集中しないようにします。大きな修正が必要な場合は、採用した接合方式と施工要領を確認し、必要に応じて接合を解除または切り直して、線形を整えてから再施工します。 温度条件にも注意が必要です。樹脂系の管路は温度によって長さや柔軟性が変化します。高温時に施工した管路が冷える過程や、低温時に施工した管路が温められる過程で、接合部や構造物との取り合いに力が発生する場合があります。材料の特性、施工時の気象条件、設計上の伸縮対策を確認し、施工要領に反する固定や拘束を行わないようにします。
接合管理方法4 管路の線形と支持状態を安定させる
四つ目の接合管理方法は、接合した管路へ無理な曲げや引張力を残さず、基礎、支持、埋戻しによって安定した状態をつくることです。継手を正しく挿入しても、その後に管路が移動すれば抜ける可能性があります。 管路を設置する基礎面は、設計された高さと勾配に整えます。局部的な突起やくぼみがあると、管路の一部だけが支持された状態になり、埋戻し荷重によって沈下や曲げが発生します。基礎材を均一に敷きならし、管路の下面が安定して支持されるように仕上げます。 管路を基礎上へ置いた後は、継手付近に空洞が残っていないか確認します。受口の外径が管本体より大きい場合、管本体だけを基準に基礎を仕上げると、受口部分が浮いたり、反対に局部的に持ち上がったりすることがあります。継手形状を考慮した支持状態を確保することが必要です。 曲線部では、短い区間で急に方向を変えないようにします。管路本体の許容曲げや継手の許容角度を超える線形にすると、接合部へ継続的な引張力がかかります。設計された曲線や専用部材を用い、現場で無理に曲げて経路を合わせないことが大切です。 特殊部や引込部との接続箇所では、構造物と埋設管路の挙動が異なる場合があります。構造物側がほとんど動かない一方で、周囲の埋戻し部が沈下すると、接続部に曲げや引張りが集中します。設計図書に示された接続方法、支持方法、伸縮への対応を確認し、構造物直近の継手位置や埋戻し方法を慎重に管理します。 複数の管路を束ねる支持材や間隔保持材を使用する場合は、管路を強く締め付け過ぎないようにします。固定力が強過ぎると、温度変化や沈下による変位が特定の継手へ集中する可能性があります。反対に支持が不足すると、埋戻し中に管路配列が崩れ、継手が引っ張られることがあります。 埋戻しは、管路の両側へできるだけ均等に材料を投入し、片側だけに大きな土圧をかけないように進めます。一方向から大量の埋戻し材を押し込むと、管路全体が横へ移動し、継手が抜けたり曲がったりするおそれがあります。 管路周囲の締固めでは、管路下部や側部に空洞を残さないことが重要です。ただし、管路直上や継手付近へ過大な衝撃や荷重を与えると、変形や位置ずれを起こす可能性があります。使用する締固め機械、施工層厚、締固め方法は、設計図書や施工計画に従って選びます。 埋戻し中は、一定の高さまで進むごとに管路の位置、配列、挿入表示を確認します。すべて埋め戻してからでは、継手の抜けや移動を目視できません。初期の埋戻し段階で異常を発見できれば、掘り返す範囲を小さく抑えられます。 周辺で別の作業を行う際にも注意が必要です。掘削機械の接触、資材の落下、作業員による踏み付け、仮設材の撤去などで管路が動くことがあります。接合後の管路を完成済みとして扱うのではなく、所定の埋戻し高さと締固めが完了するまでは保護対象として管理します。
接合管理方法5 接合直後から埋戻し後まで段階的に検査する
五つ目の接合管理方法は、接合直後だけでなく、管路配列の完了時、埋戻し途中、埋戻し後、通線確認時まで段階的に検査することです。継手抜けは接合した瞬間に発生するとは限らず、後工程の荷重や移動によって生じることがあります。 接合直後の検査では、挿入表示、管路の中心ずれ、受口周辺の変形、シール材のはみ出し、管端の損傷などを確認します。接着方式の場合は、接着剤の状態や管内への過度なはみ出しにも注意します。 管路配列が完了した段階では、各条の通り、高さ、勾配、間隔を確認します。継手位置だけを見るのではなく、前後の管路に無理な曲がりがないか、支持材を外したときに管路が戻ろうとする力が残っていないかを確認します。 埋戻し途中では、管路の横移動、浮き上がり、沈下、配列の崩れを確認します。見えている挿入表示が移動していないかを比較すれば、継手が抜け始めている兆候を発見できる場合があります。確認位置をあらかじめ決め、同じ方向から写真を撮ると変化を追いやすくなります。 埋戻し後は、通線確認用の器具や管内確認手段を用いて、管路内に大きな段差、閉塞、変形がないことを確認します。確認方法や使用する器具の寸法は、対象管路や発注者の基準に合わせます。器具が途中で止まった場合は、力任せに通過させず、停止位置を測定して原因を調べます。 通線確認で異常がなくても、継手が完全に抜けていないとは断定できません。わずかな抜けやシール材の異常は、器具が通過するだけでは把握できない場合があります。そのため、施工中の外観検査と埋戻し後の管内確認を組み合わせることが重要です。 検査記録には、施工区間、管路番号、接合位置、接合方式、作業日、作業者、確認者、気象条件、使用材料、検査結果などを残します。不具合が発生したときに、どの材料をどの手順で接合したか追跡できる記録があると、原因調査と補修範囲の判断がしやすくなります。 写真は、接合部を近くから撮影するだけでは位置関係が分かりません。路線上の位置が分かる全景、管路番号が分かる中景、挿入表示や継手状態が分かる近景を組み合わせると、後から確認しやすい記録になります。 検査を形式的な写真撮影で終わらせないことも大切です。写真に写っていても、挿入表示が見えない、管路番号が分からない、泥で接合部が隠れている状態では、品質を確認できません。何を証明する写真なのかを決めてから撮影します。
施工段階ごとに押さえたい接合管理のポイント
電線共同溝の管路接合は、施工当日の作業だけでなく、準備段階から管理する必要があります。施工計画段階では、管路の種類、接合方式、施工延長、継手数量、曲線部、特殊部との接続位置、施工ヤードを確認します。 狭い掘削部では、管を直線的に挿入するための作業空間が不足することがあります。施工を始めてから作業スペース不足に気付くと、斜め挿入や無理な曲げが生じやすくなります。必要な管路長、挿入方向、器具の設置位置を事前に検討します。 材料搬入時には、数量だけでなく状態を確認します。受口の変形、差口の傷、シール材の不足などを早期に発見できれば、不適合材料を施工場所へ持ち込まずに済みます。使用可否の判断がつかない材料は、正常品と分けて保管します。 施工当日は、天候と掘削部の状態も確認します。管端へ泥水が付着し続ける状況では、清掃しても接合品質を確保しにくくなります。仮排水や作業床の改善を行い、接合できる環境を整えてから作業を始めます。 接合中は、清掃、端面処理、挿入表示、シール確認、挿入、外観検査という工程を省略しないことが重要です。作業量が多い区間では、分業によって責任範囲が曖昧になることがあります。誰がどの工程を担当し、誰が完了確認を行うかを明確にします。 埋戻し前には、管路全体の線形と接合部を確認します。この段階は、目視で継手を確認できる最後の機会になることがあります。工程を急ぐために確認を省略すると、不具合が舗装完成後まで残るおそれがあります。 埋戻し中は、管路を監視する担当者を配置します。埋戻し機械の運転者からは、管路の細かな移動や継手表示が見えにくいためです。異常を発見した場合に直ちに作業を止められる連絡方法も決めておきます。 埋戻し後は、管路の通過性や閉塞の有無を確認し、必要な記録を整理します。検査結果に疑問がある場合は、次工程へ進む前に再確認します。ケーブル敷設や舗装復旧が進んだ後では、補修の影響範囲が大きくなるためです。
継手抜けや接合不良を発見した場合の対応
施工中に継手抜けを発見した場合は、周辺作業を止め、抜けた位置と影響範囲を確認します。見えている一か所だけを押し戻して作業を再開すると、隣接する継手へ力が移り、別の箇所が抜ける可能性があります。 まず、管路がどの方向へ移動したかを確認します。埋戻し材の偏った投入、管路の浮き、基礎の沈下、支持材の撤去、曲線部の反力など、継手抜けを起こした原因を取り除かなければ再発します。 接合部に土砂や水が入っている場合は、そのまま再挿入せず、必要な範囲を取り外して清掃します。シール材や管端に変形、傷、摩耗がある場合は、再使用の可否を施工要領に基づいて判断します。状態が確認できない部材を安易に再使用しないことが重要です。 接着方式で接合不良が生じた場合は、単純な再挿入ができないことがあります。接合部を切除して新しい管や継手で補修するなど、採用された方式に適した方法を検討します。補修方法は発注者や監督員と協議し、承認された手順で施工します。 埋戻し後に異常が判明した場合は、停止位置や異常位置をできるだけ正確に特定します。管路端からの距離、測点、周辺構造物との位置関係を整理し、掘削範囲を検討します。位置の推定だけで掘削すると、必要以上に広い範囲を壊すことになりかねません。 管内確認の結果、段差や隙間が疑われる場合は、管内の映像、通過器具の停止状況、施工記録、埋設位置を組み合わせて判断します。原因が継手抜けなのか、管路の変形なのか、異物の混入なのかによって補修方法は異なります。 補修完了後は、補修箇所だけでなく、その前後の継手も再検査します。補修作業で管路を動かしたことにより、隣接部へ引張力が加わる場合があるためです。再埋戻し後にも管路内の確認を行い、補修記録を残します。 不具合の記録は責任追及だけを目的とするものではありません。材料の混用、作業空間の不足、表示方法の不統一、埋戻し手順の不備など、再発につながる要因を明らかにし、後続区間の施工へ反映することが重要です。
LRTK Phoneを活用して接合位置と施工記録を管理する
電線共同溝の管路接合は、完成後に地中へ隠れるため、施工時点の位置情報と写真記録が重要になります。しかし、写真を大量に撮影しても、撮影場所や対象となる管路が分からなければ、補修や維持管理で十分に活用できません。 LRTK Phoneを活用すれば、測位した座標や位置情報付き写真を施工記録と関連付けて整理しやすくなります。接合箇所ごとに測位点または写真を記録し、管路番号、接合方式、施工日、確認結果などと対応させることで、どの場所にどの継手が施工されたかを追跡しやすくなります。 記録時には、継手の位置だけでなく、特殊部、曲線部、分岐部、管路端部など、施工上重要な位置も合わせて取得すると効果的です。接合部の位置関係を連続的に残せば、埋戻し後に管内確認器具が停止した際、異常位置を検討するための参考資料になります。 写真には、管路番号や測点を示す表示を写し込み、位置情報と対象物を一致させます。同じような継手が連続する区間では、写真だけを見ても場所を区別できないためです。位置、写真、施工記録を一つの流れで管理することが、記録の取り違え防止につながります。 取得した位置情報は、使用した座標系、高さの基準、測位解の状態、アンテナ位置から対象点までの補正方法を記録したうえで、施工図や完成図と照合します。掘削底や構造物近傍では、衛星の遮蔽や反射によって測位品質が低下する場合があるため、測位状態を確認し、必要に応じて開けた場所からのオフセット測定や別の測量方法を併用します。 計画位置との差が確認された場合は、測位誤差や記録条件も含めて再確認し、管路が無理に曲げられていないか、特殊部との接続に無理がないか、継手へ引張力が残っていないかを現地で確認します。位置情報だけで接合状態を断定しないことが重要です。 埋戻し前の管路位置を適切に記録しておけば、完成後の掘削や補修範囲を検討する際の参考になります。ただし、記録座標は地下埋設物調査、管理者への照会、現地探査、試掘などに代わるものではありません。周辺埋設物との離隔や掘削位置は、関係資料と現地確認を組み合わせて判断します。 LRTK Phoneによる位置記録だけで接合品質が保証されるわけではありません。材料確認、清掃、挿入表示、接合検査、埋戻し管理と組み合わせ、現場で行った確認内容と位置情報を関連付けることで、施工管理と維持管理の両方に活用しやすい記録になります。
まとめ
電線共同溝の管路継手抜けを防ぐには、継手を強く押し込むだけでは不十分です。管路と継手を承認された仕様と組み合わせに揃え、接合面と管端を整え、挿入位置を表示し、接合方式に沿って施工する必要があります。 さらに、接合後の管路を安定した基礎で支持し、無理な曲げや引張力を残さないことも重要です。埋戻しを左右均等に進め、転圧や周辺作業による移動を監視することで、接合後に発生する抜けを防ぎやすくなります。 検査は接合直後だけで終わらせず、配列完了時、埋戻し途中、埋戻し後、通線確認時に段階的に行います。施工中の外観確認と完成後の管内確認を組み合わせることで、挿入不足、位置ずれ、段差、閉塞などを早期に発見できます。 万一、継手抜けや接合不良を発見した場合は、見えている部分だけを押し戻すのではなく、管路が移動した原因を確認し、周辺の継手を含めて適切に補修することが大切です。 電線共同溝の管路は、完成後の状態を直接確認しにくい構造物です。だからこそ、埋戻し前の位置、接合状態、管路番号、検査結果を確実に残す必要があります。LRTK Phoneを活用して測位点や位置情報付き写真を施工記録と結び付ければ、施工時の品質確認を補助し、完成後の維持管理や補修計画にも活用しやすい記録を整えられます。