LRTKレフィクシア株式会社

電線共同溝の酸素欠乏事故を防ぐ入溝前6つの安全確認

電線共同溝で酸素欠乏事故が起こる理由

電線共同溝は、電力線や通信線などを地下に収容するための施設です。その内部には、マンホール、ハンドホール、暗きょ、ピット、管廊状の区画などが含まれます。本稿では、作業者の頭部や身体がこれらの内部へ入る行為を便宜上「入溝」と呼びます。

ケーブルなど地下に敷設される物を収容する暗きょ、マンホールまたはピットの内部は、労働安全衛生法施行令別表第六第三号に掲げる酸素欠乏危険場所です。さらに、雨水、河川水または湧水が滞留している、あるいは滞留したことのある槽、暗きょ、マンホールまたはピットは同表第三号の二に該当します。したがって、電線共同溝の内部作業は、開口部から見た印象や臭いの有無だけで安全を判断できる作業ではありません。施設の構造、滞水履歴、接続先、長期間の閉鎖、周辺地盤、隣接設備を調べたうえで、法令上の酸素欠乏危険作業として必要な措置を組み立てる必要があります。([厚生労働省][1])

酸素欠乏症等防止規則では、空気中の酸素濃度が18%未満の状態を「酸素欠乏」と定義しています。また、し尿、腐泥、汚水その他の腐敗し、または分解しやすい物質を入れてあり、または入れたことのあるマンホール、暗きょ、管、溝、ピットなどは、硫化水素中毒のおそれも扱う第二種酸素欠乏危険作業の対象となります。一方、雨水や湧水の滞留履歴だけで直ちに第二種と決まるわけではありません。汚水、腐泥、有機物、海水などの履歴を確認し、第一種か第二種かを正しく区分することが重要です。([厚生労働省][2])

内部の酸素濃度や有害ガス濃度は、上部、底部、奥部、曲がり部、接続管付近などで異なる場合があります。開口部付近で通常の空気が確認できても、その値が内部全体を代表するとは限りません。腐泥や有機物の分解、地層や金属の酸化、周辺からのガス流入、内燃機関の排気、塗装や接着剤の蒸気など、現場条件によって危険要因も変わります。

酸素欠乏事故では、倒れた作業者を助けようとして、呼吸用保護具を着用していない人が続けて入り、二次災害に巻き込まれることがあります。厚生労働省の災害事例でも、マンホール内で倒れた作業者を救助しようとした人が同じ環境で被災した例が示されています。入溝前確認は、最初に入る作業者だけでなく、監視者、救出者、周辺作業者を含む現場全体を守るための手順です。([あんぜんサイト][3])

入溝前確認1 酸素欠乏危険場所の区分と作業体制を確定する

最初に、対象区画がどの酸素欠乏危険場所に該当し、第一種酸素欠乏危険作業として扱うのか、第二種酸素欠乏危険作業として扱うのかを確認します。電線共同溝という施設名だけで区分を決めず、完成図、維持管理記録、排水記録、過去の濃度測定結果、清掃記録、補修履歴、周辺施設の図面を照合します。

ケーブルを収容する暗きょ、マンホールまたはピットの内部は、労働安全衛生法施行令別表第六第三号の酸素欠乏危険場所です。雨水、河川水または湧水の滞留履歴がある場合は同表第三号の二も確認します。海水の滞留履歴がある場所や、し尿、腐泥、汚水などを入れてあり、または入れたことのある場所は、第二種酸素欠乏危険作業に該当し得ます。接続管からの流入、誤接続、過去の浸水、清掃時に確認された堆積物などを調べ、硫化水素を測定すべき場所を見落とさないようにします。

酸素欠乏危険作業には、作業の区分に応じた技能講習を修了した者から酸素欠乏危険作業主任者を選任しなければなりません。第一種では、酸素欠乏危険作業主任者技能講習または酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習の修了者から選任できます。第二種では、酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習の修了者から選任する必要があります。作業主任者は、作業方法の決定と指揮、所定の時機における濃度測定、測定器具や換気装置などの点検、空気呼吸器等の使用状況の監視を担います。([厚生労働省][2])

作業に従事する労働者には、酸素欠乏等の発生原因、症状、空気呼吸器等の使用方法、事故時の退避と救急そ生などに関する特別教育が必要です。作業主任者の技能講習修了証と、入溝者の特別教育記録を混同せず、それぞれ確認します。第二種の場所では、硫化水素を含む教育内容が必要です。([厚生労働省][4])

当日の体制では、作業主任者、入溝者、監視者、濃度測定担当、換気設備担当、交通誘導担当、緊急連絡担当の役割を明確にします。一人が複数の役割を兼ねる場合でも、常時監視が途切れる役割の組合せは避けます。入溝者自身が自分の状態を監視する体制にはできません。監視者は、異常を認めたときに作業主任者その他の関係者へ直ちに通報できなければなりません。

作業前打合せでは、通常手順だけでなく停止条件を共有します。濃度計の警報、換気停止、通信断、停電、予定外の水の流入、異臭、煙、設備の異常、入溝者の体調変化、隣接区画での作業変更などを、退避と再確認の契機として定めます。異常を発見した人が役職に関係なく停止を申し出られる運用にしておくことが大切です。

電線共同溝では、道路管理者、施設管理者、電力・通信事業者、元請事業者、協力会社など複数の関係者が同じ区画に関与することがあります。近接する作業場の作業によって酸素欠乏等のおそれが生じる場合は、作業場間の連絡を保つ必要があります。隣接区画での排水、洗浄、塗装、溶接、発電機の使用、ガス設備の操作などが自区画へ影響しないかを確認し、作業許可条件へ反映します。([厚生労働省][2])

入溝前確認2 開口部と周辺設備からの危険流入を遮断する

二つ目の確認は、蓋を開ける前後の危険を管理し、外部や隣接区画から危険な空気、水、排気などが流入しない状態をつくることです。電線共同溝の開口部は道路上や歩道上に設けられることが多いため、酸素欠乏対策と同時に、車両接触、第三者の転落、工具の落下、蓋の移動、雨水流入なども管理します。

作業帯、立入禁止範囲、資機材置場、送風機置場、ダクト経路、測定位置、救出動線を蓋の開放前に計画します。開口後に資機材を並べ替えると、開口部の周囲が混乱し、転落や救出遅延につながるおそれがあります。作業従事者以外の立入りを禁止し、その旨を見やすい場所に表示します。([厚生労働省][2])

蓋を開けた直後に顔を近づけたり、頭部や上半身を開口部より下へ入れたりして内部を確認してはいけません。開口直後は内部空気が押し出される可能性もあるため、作業者は開口部の直上を避け、風向きや周辺の人の位置にも注意します。臭いがないことは安全の証明になりません。酸素濃度の低下は感覚で判定できず、硫化水素も嗅覚だけに頼って判断できません。

隣接マンホール、接続管、排水管、仮排水ホース、ポンプ配管、ガス管、消火設備、換気配管など、内部へ気体や水が入る経路を確認します。流入源になり得る設備は、施設管理者の許可と正式な手順に従い、停止、閉止、遮断、施錠、表示などを行います。バルブを閉じただけで隔離が成立しない設備もあるため、設備の構造と残留圧力を確認し、誤操作防止の方法を決めます。

電気設備を収容する区画では、感電、アーク、短絡、発熱、火災など別の重大危険があります。酸素濃度が基準を満たしていても、電気的な隔離、活線近接、接地、漏電、浸水の危険が未処理であれば入溝できません。酸素欠乏対策は、電気安全、交通安全、墜落防止などを置き換えるものではなく、作業許可の一部として扱います。

内燃機関を使用する発電機、排水ポンプ、車両などを開口部や送風機の吸気口付近に置くと、排気が内部へ送り込まれるおそれがあります。換気用の空気は、車両排気、燃焼ガス、粉じん、溶剤蒸気などの影響を受けない位置から取り入れます。排気側も、作業者、通行者、周辺建物の吸気口へ向けないようにします。

酸素欠乏症等にかかって転落するおそれがある場合は、要求性能墜落制止用器具その他の命綱を使用させ、安全に取り付けるための設備等を設ける必要があります。使用する器具と取付設備は、その日の作業開始前に点検し、異常を認めた場合は直ちに補修または交換します。([厚生労働省][2])

入溝前確認3 原則として入溝せずに酸素濃度と有害ガス濃度を測定する

三つ目の確認は、入溝前の濃度測定です。酸素欠乏危険作業を行う作業場では、その日の作業開始前に酸素濃度を測定しなければなりません。第二種酸素欠乏危険作業の作業場では、酸素濃度に加えて硫化水素濃度も測定します。測定記録には、測定日時、測定方法、測定箇所、測定条件、測定結果、測定者の氏名、測定結果に基づいて講じた措置の概要を記載し、3年間保存します。([厚生労働省][2])

測定は外部から行うことを原則とし、採気管や延長器具などを用いて、身体を危険場所へ入れずに実施します。測定のために一段だけ降りる、頭を開口部より下へ入れる、腕を深く差し込むといった行為は避けます。構造上やむを得ず内部へ入って測定する場合は、測定前の安全が確認されていない環境へ入ることを前提に、空気呼吸器等、必要に応じた墜落制止用器具、監視者、救出体制を整え、作業主任者の管理下で実施します。厚生労働省の安全衛生教材も、外部からの測定を原則とし、内部で測定する場合には空気呼吸器等と監視を求めています。([都道府県労働局][5])

測定器は、測定対象に対応する機種を用意し、取扱説明書、社内基準、メーカーの保守方法に従って、使用前点検、電池残量、警報動作、センサーの使用期限、採気管の閉塞や漏れなどを確認します。校正や精度確認が必要な機器は、所定の周期と方法に従います。点検結果を確認できない測定器や、警報が正常に作動しない測定器は使用しません。

測定箇所は一か所で終わらせません。開口部付近、上部、中間部、底部、奥部、曲がり部、段差部、ケーブルラックの裏側、排水ます周辺、接続管の出口付近など、空気が滞留しやすい場所を選びます。長い区間や複数区画が連続する場合は、測定点を図面や写真に対応させ、どの位置と高さで測った値か分かるようにします。

法令上、酸素濃度18%未満は酸素欠乏です。作業場所は、原則として換気により酸素濃度18%以上に保つ必要があります。第二種酸素欠乏危険作業では、これに加えて硫化水素濃度を10ppm以下に保つ必要があります。測定値が境界付近で変動している場合や、測定点による差が大きい場合は、一時的に基準内となったことだけで入溝を許可せず、換気条件、濃度の安定性、奥部との差を確認します。([厚生労働省][2])

酸素と硫化水素だけを測れば常に十分とは限りません。周辺設備、作業履歴、当日の作業内容から、一酸化炭素、可燃性ガス、溶剤蒸気などが予測される場合は、リスクアセスメントに基づいて測定項目を追加します。発電機やエンジンポンプの排気が入り得る現場、塗装や接着作業を行った区画、他工事からガスが流入する可能性がある区画では、酸素濃度が18%以上でも別の危険が残ることがあります。

作業主任者は、その日の作業開始前だけでなく、作業に従事するすべての労働者が作業場所を離れた後に再び作業を開始する前、ならびに労働者の身体や換気装置等に異常があったときにも濃度を測定します。雨水の流入、ポンプ停止、隣接区画の開放、汚泥のかく乱、換気ダクトの移動など、空気環境が変わる事象が生じた場合も、いったん退避して再測定する運用が安全です。([厚生労働省][2])

入溝前確認4 換気方法を決めて安全濃度を維持できる状態にする

四つ目の確認は、測定結果と内部構造に基づいて換気を行い、作業中も安全な濃度を維持できる状態にすることです。蓋を開けて時間を置くだけでは、底部や奥部まで十分に空気が入れ替わるとは限りません。送風機とダクトを使用し、滞留部へ清浄な空気を届ける方法、または危険な空気を安全な方向へ排出する方法を計画します。

換気設備の能力は、空間の容積だけで決めません。区画の長さ、断面、曲がり、段差、ケーブルラックや仕切りによる遮へい、開口部の数、ダクト先端の位置を考慮します。送風していても、入口付近だけで空気が循環し、奥部に停滞域が残る場合があります。換気開始後は、事前に定めた複数の測定点で再測定し、濃度が基準内で安定していることを確認します。

酸素欠乏危険作業では、原則として作業場所の酸素濃度を18%以上に保つよう換気します。第二種酸素欠乏危険作業では、酸素濃度18%以上かつ硫化水素濃度10ppm以下に保つよう換気します。換気には純酸素を使用してはいけません。純酸素は可燃物の燃焼を著しく促進し、火災など別の危険を高めるため、清浄な空気を使用します。([厚生労働省][2])

測定値が基準内になった直後に換気を止める運用は避けます。内部の水や堆積物の移動、作業者の動き、隣接区画からの流入、温度変化などにより、作業中に濃度が変わる可能性があります。継続換気が必要な現場では、作業中も換気を続け、停電、ホース外れ、ダクトのつぶれ、吸気口の閉塞、送風機の停止を監視します。

換気設備の停止が直ちに危険につながる場合は、停止を検知する方法、退避の合図、退出経路を事前に決めます。予備電源や予備送風機を用意する場合も、切替えまで作業を継続する前提にせず、原則としていったん退避し、安全を再確認してから再開します。

爆発や酸化等を防止するため換気できない場合、または作業の性質上換気が著しく困難な場合には、同時に就業する労働者の人数と同数以上の空気呼吸器等を備え、使用させる必要があります。ただし、保護具を着ければ通常作業と同じように入れるという意味ではありません。給気量、面体の適合、ホースの保護、使用可能時間、予備空気、通信、監視、救出方法まで含めた専門的な計画が必要です。([厚生労働省][2])

酸素濃度が不足している環境や濃度が不明な環境では、防じんマスクや防毒マスクのように周囲の空気をろ過する方式を、空気呼吸器等の代わりに使用してはいけません。必要な場合は、空気呼吸器、酸素呼吸器または送気マスクなど、規則でいう空気呼吸器等を適切に選定します。

換気用ダクトは、入溝者の移動や救出を妨げず、ケーブルや設備へ損傷を与えないように配置します。ダクトの抜け、折れ、つぶれ、排気の再吸込みを防ぎます。送風機の運転音で会話や警報音が聞こえにくくなる場合は、通信方法を変更し、実際の騒音下で試験します。

入溝前確認5 監視・連絡・入退場管理を機能させる

五つ目の確認は、常時監視、異常時の通報、入退場時の人員点検を実際に機能させることです。酸素欠乏危険作業では、常時作業の状況を監視し、異常があったときに直ちに作業主任者その他の関係者へ通報する者を置くなど、異常を早期に把握するための措置が必要です。また、作業者を危険場所へ入場させるときと退場させるときに、人員を点検しなければなりません。([厚生労働省][2])

監視者は、交通誘導や資材運搬を行いながら、ときどき開口部を見るだけでは常時監視を維持できない場合があります。兼務の可否は、入溝者の人数、距離、通信方法、作業帯の状況などを踏まえ、監視が途切れないことを基準に判断します。監視者は、入溝者の人数と氏名、入溝時刻、予定作業位置、通信状態、携帯測定器の警報、換気設備の運転状況を把握します。

複数の開口部から出入りできる区画では、入口ごとに独立した記録を作って終わりにせず、全体の入退場が一つの管理で照合できるようにします。入口を変更した場合や、別区画へ移動した場合も記録へ反映します。入溝者の位置が分からない状態は、緊急時の救出を遅らせます。

通信方法は、深さ、距離、曲がり、騒音、電波状況を踏まえて事前に試験します。無線や有線通話を使用する場合でも、故障や電池切れに備え、命綱の合図、警報ブザー、定時連絡など補助手段を定めます。合図は、応答確認、異常、即時退避を区別し、全員が同じ意味で理解できるようにします。

作業者が携帯する測定器は、作業中の濃度変化を早期に知るうえで有効ですが、入溝前の遠隔測定や換気後の確認を省略する理由にはなりません。装着位置、吸気口の閉塞防止、警報設定、電池残量を確認します。警報が鳴ったときは、原因を調べながら内部で作業を継続せず、定めた経路で直ちに退避します。

頭痛、めまい、吐き気、息苦しさ、判断力の低下、足元のふらつきなどが見られた場合は、濃度計が警報を発していなくても異常として扱います。酸素欠乏等のおそれが生じたときは、直ちに作業を中止して退避させ、安全が確認されるまで立入りを制限します。酸素欠乏症等にかかった労働者には、直ちに医師の診察または処置を受けさせる必要があります。([厚生労働省][2])

交代や休憩の際は、前の作業者が退場したことと、次の作業者が入場することを別々に点検します。すべての作業者が退出した後に再開する場合は、作業主任者が再測定します。監視者が交代するときも、入溝者の人数と位置、残作業、測定値、換気状況、異常の有無を引き継ぎ、記録と実人数が一致してから交代します。

入溝前確認6 救出計画と避難用具を作業開始前に整える

六つ目の確認は、事故が起きた後に救出方法を考えるのではなく、入溝前に救出計画と必要な用具を整えることです。酸素欠乏危険作業では、空気呼吸器等、はしご、繊維ロープなど、非常時に労働者を避難させ、または救出するために必要な用具を備えなければなりません。酸素欠乏等の場所で被災者を救出する作業に労働者を従事させる場合は、救出者に空気呼吸器等を使用させる必要があります。([厚生労働省][2])

救出計画では、誰が通報し、誰が換気設備を監視し、誰が救出設備を操作し、誰が道路上の安全を確保するかを決めます。救出者の候補を決めず、現場にいる人がその場の判断で内部へ入る運用は危険です。必要な教育、呼吸用保護具を使用する能力、器具の適合、救出経路が確保されていなければ、内部へ入る救出を行えません。

まず、内部へ救出者が入らずに被災者を引き上げられる方法を検討します。命綱、救出用ハーネス、巻上げ設備、三脚などを使用する場合は、入溝前から正しく装着し、救出時に引っ掛からない経路を確保します。ただし、設備配置や内部構造によっては外部救出が困難なこともあるため、現場ごとに実効性を確認します。

避難用具は、現場に置いてあるだけでは不十分です。はしごの長さと固定状態、ロープの損傷、墜落制止用器具の状態、巻上げ設備の作動、空気呼吸器等の空気残量、面体、ホース、接続部、警報機能を作業開始前に点検します。異常を認めた用具は直ちに補修または交換します。救出器具の置場が資材の奥にある、鍵が別車両にある、操作できる人が不在である状態も未準備と判断します。([厚生労働省][2])

緊急連絡先には、消防、救急、施設管理者、道路管理者、元請事業者の安全担当などを含めます。電線共同溝の場所は道路名だけでは特定しにくい場合があります。施設管理番号、マンホール番号、交差点名、進行方向、近くの目標物、進入可能な道路、作業帯の入口を整理し、通報者が短時間で説明できるようにします。

異常が起きた場合は、作業を停止し、入溝者を退避させ、緊急通報を行います。空気呼吸器等を着用していない人は、被災者が見えていても内部へ入りません。救出は、必要な呼吸用保護具と救出装備を使用できる者が、事前に定めた手順で行います。厚生労働省の災害事例では、無装備で救助に入った人が二次被災した事例が示されており、救出者の安全確保が不可欠です。([あんぜんサイト][3])

救出計画は書面だけで終わらせず、作業前に模擬確認を行います。通報文を読み上げる、救出器具を開口部まで移動する、はしごと巻上げ設備の干渉を確認する、退避合図を試すといった確認により、計画上の見落としを発見できます。夜間や交通量の多い場所では、照明、騒音、作業帯の狭さが救出を妨げないかも確認します。

入溝許可を出してはいけない停止基準

六つの確認を実施しても、必要条件がそろわなければ入溝を開始してはいけません。酸素濃度が18%未満である場合、第二種酸素欠乏危険作業で硫化水素濃度が10ppmを超える場合、必要な測定項目の濃度が不明な場合は停止します。換気後に一度だけ基準を満たしても、値が不安定である、測定点による差が大きい、換気設備の状態を維持できない場合は、作業方法を見直します。([厚生労働省][2])

測定器の使用前点検ができない、警報が作動しない、採気管に漏れや閉塞がある、所定の保守・精度確認を確認できない場合も停止します。数値が表示されたことだけで測定の信頼性を判断せず、機器が正常に機能していることを確認します。

必要な資格を持つ作業主任者が不在である、入溝者の特別教育を確認できない、常時監視ができない、入退場時の人員点検ができない、通信試験で確実な連絡を確認できない、避難用具に異常がある、救出経路が確保できない場合も入溝を認めません。書類上の人数がそろっていても、各自が役割と停止条件を理解していなければ作業体制は完成していません。

作業中は、測定器の警報、換気設備の停止、通信断、停電、予定外の水の流入、異臭、煙、温度上昇、電気設備の異常、入溝者の体調変化、隣接区画の作業変更などを停止条件とします。異常の原因が分からないまま再開せず、全員の退避、立入禁止、再測定、設備点検、作業計画の見直しを行います。酸素欠乏等のおそれが生じたときは、直ちに作業を中止して退避させ、安全が確認されるまで立入りを制限しなければなりません。([厚生労働省][2])

工程の遅れを避けたい心理が働いても、「短時間だけ入る」「一人だけ確認する」「前回は問題なかった」という理由は安全確認の代わりになりません。過去の測定値は当日の濃度を保証せず、短時間でも危険な空気を吸入する可能性があります。停止基準を明文化し、工程より優先することが事故防止の基本です。

測定記録と現場写真を次の作業へ引き継ぐ方法

酸素欠乏対策は、当日の作業が無事故で終われば完了するものではありません。測定点、測定値、換気条件、入溝者、作業時間、設備異常、滞水や堆積物の状態を記録し、次回の点検や補修へ引き継ぐことで、危険の予測精度を高められます。

法令上の測定記録には、測定日時、測定方法、測定箇所、測定条件、測定結果、測定者の氏名、測定結果に基づいて講じた措置の概要を含め、3年間保存します。社内の作業許可票、入退場記録、器具点検記録、作業前打合せ記録などは、それぞれの保存ルールに従って管理します。([厚生労働省][2])

記録では、数値だけでなく位置を明確にします。「底部で18.5%」と書くだけでは、どの開口部からどの方向へ何メートルの位置なのか、排水ます付近なのか、別区画なのかが分かりません。施設管理番号、区画番号、測定高さ、測定点の簡略図、換気ダクトの先端位置を対応させます。

再測定を行った場合は、換気前、換気後、作業中、休憩後の再開前、異常後の確認値を区別します。最も良い値だけを残すと、濃度が変化した原因や安全を維持するために必要だった条件が分からなくなります。換気設備の型式、ダクトの長さと位置、運転台数なども、再現に必要な範囲で記録します。

現場写真は、開口部周辺の区画、立入禁止表示、測定方法、測定位置、換気設備とダクトの配置、救出器具の設置、入退場管理の状態を残す補助資料として役立ちます。ただし、測定器の表示だけを撮影しても、測定位置、時刻、測定条件、測定者を十分に示せない場合があります。写真は正式な測定記録の代わりにせず、記録票と組み合わせます。

複数のマンホールや区画を連続して点検する場合は、写真と記録の取り違えを防ぐ仕組みが重要です。LRTK Phoneの測位写真機能を利用する場合は、撮影地点と写真を結び付け、どの開口部で換気設備や測定状況を記録したかを整理する補助にできます。ただし、LRTK Phoneは酸素濃度や有害ガス濃度を測定する専用機器ではありません。専用測定器で得た値と正式な測定記録を中心にし、位置情報付き写真は現場証跡の補助として扱います。

交代時や翌日への引継ぎでは、前回の測定値だけでなく、濃度が変化した要因を伝えます。換気ダクトを奥部まで延長して値が安定した、排水や堆積物のかく乱後に濃度が変化した、隣接区画の開放で空気の流れが変わった、送風機の吸気位置を変更したといった情報は、次回の作業計画に直接影響します。

記録は、作業を実施した証明だけではなく、次回も同じ安全条件を再現するための資料です。異常がなかったという結果だけでなく、安全を維持するために必要だった換気、監視、測定、設備配置の条件を残します。

まとめ

電線共同溝の暗きょ、マンホール、ピットなどは、ケーブルを収容する構造であれば法令上の酸素欠乏危険場所に該当します。入溝前には、第一種か第二種かの区分、作業主任者と特別教育、危険流入の遮断、濃度測定、換気、常時監視、入退場時の人員点検、救出用具を一つの流れとして確認する必要があります。([厚生労働省][1])

特に重要なのは、測定前に安易に身体を内部へ入れないこと、原則として酸素濃度18%以上を維持すること、第二種酸素欠乏危険作業では硫化水素濃度10ppm以下も維持すること、換気に純酸素を使用しないこと、無装備で救出に入らないことです。作業条件が変わった場合は、過去の測定値に頼らず、退避、再測定、設備点検を行います。

安全管理を確実にするには、判断の根拠を記録として残すことも欠かせません。測定値、測定位置、換気条件、入退場、器具点検、異常時の対応を記録し、次の担当者が必要な安全条件を再現できる形で引き継ぎます。現場写真や位置情報を利用する場合も、専用測定器と正式な安全記録を基本とし、写真は補助資料として活用します。

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