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電線共同溝の防火区画貫通部を確実に封止する6つの施工確認

電線共同溝では、電力線や通信線などを収容するため、特殊部、分岐部、立上がり部、建築物への引込部などにケーブルや管路が配置されます。これらが法令、設計図書、発注者基準などで定められた防火上の区画を貫通する場合、貫通部のすき間や未処理部分が火炎や高温ガスの経路とならないよう、要求された構造方法で処理する必要があります。煙の漏えいを抑える性能まで必要な箇所では、防火措置とは別に、防煙上の要求も確認しなければなりません。

ただし、電線共同溝内のすべての隔壁や仕切りが、建築基準法上の防火区画に該当するとは限りません。道路施設や地下構造物として設けられる隔壁には、延焼防止、設備分離、止水、浸水拡大防止など、異なる目的が設定されることがあります。したがって、現場の見た目だけで防火区画と判断せず、適用法令、設計図、区画図、特記仕様書、承認図、施工要領書を照合して、対象区画と要求性能を明確にすることが出発点です。

防火区画貫通部の処理は、単に開口を不燃材料で埋めれば、あらゆる条件で同じ性能が得られるというものではありません。壁や床の構造、開口寸法、貫通するケーブルや管路の種類、施工厚さ、支持方法などが、採用する構造方法や認定仕様の適用範囲に合っていることが重要です。国土交通大臣認定を用いる場合は、認定を受けた構成を現場判断で組み替えず、認定書、別添仕様、施工要領に従って施工します。

また、防火、遮煙、止水、防水は目的が異なります。外見上はすき間が閉じていても、必要な防火性能が確認されていない一般シーリング材だけでは、防火区画貫通部の処理として認められないことがあります。反対に、防火区画貫通部に使用できる構成であっても、水圧が作用する貫通部の止水性能まで備えているとは限りません。

この記事では、電線共同溝の防火区画貫通部を確実に封止するために、施工前から完成確認まで押さえておきたい6つの施工確認を解説します。施工管理者、現場代理人、品質管理担当者が、法令上の要求と設計・施工上の条件を混同せず、手戻りや封止漏れを防ぐための実務的な考え方を整理します。

電線共同溝の防火区画貫通部で封止が必要になる理由

防火上の区画は、火災時の延焼拡大を抑え、避難や消火活動、設備の保護に必要な時間を確保するために設けられます。壁や床自体が所定の耐火性能または準耐火性能を備えていても、ケーブル、管路、ケーブルラックなどが通る開口部に連続したすき間が残っていれば、区画の弱点になる可能性があります。

ただし、防火区画の法的な位置付けと必要性能は、施設の種類や区画の根拠によって異なります。建築物への引込部や設備室との境界では建築関係法令が適用される場合がありますが、道路施設としての特殊部や隔壁では、設計図書や発注者基準によって独自の防火措置が指定される場合もあります。対象箇所がどの規定に基づく区画なのかを確認せず、一般的な防火材を施工するだけでは、要求を満たしたことにはなりません。

電線共同溝には、電力設備、通信設備、監視設備などのケーブルが集約されます。供用後の増設や更新を見込み、予備管や将来用開口が設けられることもあります。施工時点で使用していない開口であっても、設計上処理すべき区画を貫通している場合は、指定された方法で閉塞し、将来使用するときに適切に復旧できる管理を行います。

貫通部の施工不良が見逃されやすい理由は、完成後に内部の状態を確認しにくくなるためです。表面だけをモルタルやパテ状材料で覆うと、外観上は閉じていても、ケーブルの裏側、ラック下部、管路間、封止層の奥に空洞が残ることがあります。完成面だけで判定せず、施工途中で充填状態や支持材の位置を確認する必要があります。

火災時には、ケーブル被覆の軟化や焼失、樹脂管の変形、金属管を介した熱の伝達などが起こり得ます。そのため、採用する構造方法は、常温時に穴を閉じるだけでなく、想定される加熱時の挙動に対して、設計または認定で求められる性能を維持できる構成でなければなりません。

なお、防火区画貫通部に要求される性能を一律に「遮炎・遮熱・遮煙」と表現するのは適切ではありません。法令や認定の種類によって確認される性能は異なり、一般的な区画貫通処理が自動的に遮煙性能や遮熱性能まで保証するとは限りません。煙の漏えい抑制や非加熱側温度の制限が必要な場合は、その要求が設計図書や採用工法の性能範囲に含まれているかを別途確認します。

施工確認1 要求される防火性能と適用条件を照合する

最初に確認すべきことは、対象となる壁や床が何のための区画であり、貫通部にどのような性能が求められているかです。施工者が現地の外観から「防火区画だろう」と推測するのではなく、設計図、区画図、設備図、特記仕様書、施工計画書、承認図などを確認して対象範囲を明確にします。

電線共同溝に関連する構造物では、立坑と接続施設の境界、建築物への引込部、設備室との境界、特殊部内の隔壁などに貫通部が設けられることがあります。ただし、すべての隔壁が同じ法的区分や性能を求められるわけではありません。延焼防止、設備分離、止水、浸水拡大防止、防煙など、設置目的が異なる場合があるため、図面記号、注記、仕様書の記載まで確認します。

建築関係法令が適用される管の貫通では、管の材質や貫通部周辺の構成、外径条件、国土交通大臣認定の適用など、複数の適合方法が考えられます。したがって、すべての貫通部が必ず同じ認定工法になるとも、反対に不燃材料を詰めるだけで足りるとも限りません。対象となる法令条項、告示、認定、設計仕様を確認し、現場条件に合う方法を選びます。

国土交通大臣認定を採用する場合は、認定番号だけでなく、認定書の別添に示された区画部材の種類と厚さ、最大開口寸法、貫通物の種類と寸法、ケーブル本数や配置、占積条件、施工材料、裏当て材、施工厚さ、施工面、支持方法などを確認します。製品カタログの概要図だけでは、現場条件が適用範囲に入るか判断できないことがあります。

設計図に工法名が記載されていても、施工段階で開口寸法やケーブル構成が変更されていれば、当初の工法をそのまま使えない可能性があります。設計では少数のケーブルを想定していたものの、施工中にケーブルが追加されて開口内が過密になることもあります。反対に、予定していた管路を使用せず、予備開口が残ることもあります。

このような変更が生じた場合は、材料を追加して見た目を整えるだけではなく、設計者、監督員、設備担当者、工法の技術資料を確認できる者などと、適用可否を再確認します。認定工法の適用範囲を超える場合は、開口の補修、ケーブル配置の見直し、別工法への変更、設計変更などを検討します。

また、認定工法や承認工法では、仕切板、裏当て材、充填材、表面材、スリーブ、固定金物などが一つの構成として定められていることがあります。外観が似ているという理由で一部材料を他品に置き換えたり、指定された充填形状や端部処理を省略したりすると、確認された仕様から外れるおそれがあります。

施工前には、貫通部ごとの管理表を作成すると確認しやすくなります。位置番号、区画の根拠、壁または床の種類と厚さ、開口寸法、貫通物、採用工法、認定番号または承認資料、使用材料、施工厚さ、施工面、確認者を整理します。現場で複数の工法を使用するときは、位置番号と施工要領を対応させ、取り違えを防ぎます。

要求性能を確認する段階で重要なのは、「防火用と表示された材料であること」と「その現場条件で必要な構造方法として使用できること」を分けて考えることです。材料単体の名称ではなく、区画部材、貫通物、施工寸法、支持方法を含む構成全体で適合性を確認します。

施工確認2 壁・床・開口部の状態と寸法を確認する

防火区画貫通部の性能は、充填材だけで決まるものではありません。封止材を施工する壁や床の種類、厚さ、開口形状、下地の健全性も重要です。施工前には、対象となる区画部材が設計や認定の前提に合っているかを確認します。

まず、壁厚や床厚を確認します。採用する工法が一定以上の厚さを持つコンクリート壁、床、ブロック壁、乾式間仕切壁などを前提としている場合、実際の区画部材が異なれば、そのまま適用できないことがあります。仕上げ材を含む厚さと、区画性能を担う構成材の厚さを混同しないようにします。

次に、開口寸法を実測します。図面上の寸法と実際の開口寸法は、箱抜き、コア削孔、はつり、スリーブ設置などの施工誤差によって一致しない場合があります。不整形な開口では、縦横の代表寸法だけでなく、局部的な欠け、斜め方向の広がり、隅角部の欠損も確認します。

開口が想定より大きい場合、封止材の量を増やせば対応できるとは限りません。認定や施工要領が定める最大開口寸法を超える場合は、健全な材料で周囲を補修して開口を縮小する、補強を行う、適用可能な別工法に変更するなどの検討が必要です。補修方法自体が区画部材の性能を損なわないことも確認します。

反対に、開口が小さすぎて施工に必要な奥行きや作業空間が確保できない場合があります。ケーブルが密集し、材料を所定位置まで充填できない状態で無理に施工すると、内部空洞の原因になります。配線方法や開口計画を見直せる段階で、封止作業に必要な空間を確保します。

開口周囲の欠損、ひび割れ、浮き、脆弱部も確認します。コンクリートのレイタンス、粉じん、泥、油分、離型剤、既存シーリング材などが残っていると、使用材料によっては付着不良につながります。清掃方法、下地処理、プライマーの要否は、採用工法の施工要領に従います。

電線共同溝は地下構造物であるため、湿潤状態や漏水の影響を受ける場合があります。乾燥面への施工を前提とする材料を濡れた下地に使用すると、硬化や付着に支障が生じることがあります。一方、湿潤面に使用できる材料でも、流れ続ける水や水圧を防火封止材だけで止められるとは限りません。漏水がある場合は、水の経路と原因を確認し、必要な止水処理を計画します。

既設構造物に追加で開口を設ける場合は、鉄筋、埋設管、既設ケーブル、構造部材への影響にも注意します。無計画なはつりや削孔によって区画部材を傷めると、貫通部処理以前に壁や床自体の性能を損なう可能性があります。削孔位置と方法は、設計図、配筋図、探査結果、施工計画に基づいて決定します。

スリーブがある場合は、材質、長さ、突出量、固定状態を確認します。ケーブルとスリーブの間だけを封止しても、スリーブと区画部材の間が未処理なら、貫通経路が残ります。紙製仮枠など、完成時に残すことを想定していない部材が残っていないかも確認します。

開口確認は正面からだけでなく、裏側、下側、ラックとの取り合い、複数管が密集する中央部など、施工後に見えなくなる部分まで行います。必要に応じて照明、鏡、撮影機器を使用し、死角を減らします。施工前の状態を写真に残せば、下地処理や補修範囲を説明する資料にもなります。

施工確認3 貫通物と防火封止材の組み合わせを確認する

防火上の区画を貫通する物には、電力ケーブル、通信ケーブル、光ファイバーケーブル、金属管、合成樹脂管、ケーブルラック、支持金物、予備管などがあります。火災時の変形や焼失、熱伝達の特性が異なるため、貫通物の種類に対応した構造方法を選ぶ必要があります。

金属管や金属製支持材は、区画の反対側へ熱を伝える経路になることがあります。合成樹脂管は、加熱によって軟化、変形、焼失し、管があった部分に開口が生じる可能性があります。ケーブルも外径、被覆、束ね方、配置によって条件が変わります。そのため、「ケーブル用」「配管用」といった大まかな分類だけで判断せず、工法の適用条件を確認します。

複数種類の貫通物が同じ開口を通る場合は、混在条件への適用可否を確認します。電力ケーブルと通信ケーブル、金属管と樹脂管、ケーブルラックと多数のケーブルが同じ開口に配置される場合、単一種類の貫通物だけを対象とした仕様を流用できないことがあります。

ケーブルの占積状態も重要です。開口内にケーブルが密集していると、封止材を奥まで充填できず、ケーブル間や束の中央に連続した空洞が残りやすくなります。表面から見える範囲だけを埋めても、認定や施工要領で求められる充填状態にならない場合があります。

ケーブルを過度に束ねると、一本ごとの周囲に材料を施工しにくくなります。施工要領でケーブル間隔、束径、占積率、ラック上の配置などが定められている場合は、その条件に合わせて配線を整えます。配線担当者と封止担当者が別の場合は、配線段階から封止に必要な作業空間を確保します。

封止材料とケーブル被覆、管材、既存止水材との適合性も確認します。材料によっては、接触可能な樹脂やゴム、使用温度、湿潤環境、プライマー、硬化条件などが定められています。異なる材料を組み合わせる場合は、化学的な影響だけでなく、収縮、硬さ、変位への追従性、既存材への付着方法も確認します。

振動や温度変化、ケーブルの引込みや更新によって、貫通物と封止層の取り合いに力が加わることがあります。ただし、どの程度の変位追従性が必要かは現場条件と採用工法によって異なります。一般論で柔軟材料または硬質材料を選ぶのではなく、設計条件と施工要領に基づいて選定します。

予備管は、外周と管内部を分けて確認します。端部へ一般的なキャップを取り付けただけでは、設計上必要な防火措置にならない場合があります。管内部を閉塞する必要があるか、外周をどの工法で処理するか、将来使用時にどの範囲を撤去して復旧するかを明確にします。

将来用開口も同様です。使用されていないため見落とされやすいものの、区画を貫通する開口であれば、供用開始時点で指定された状態に処理します。将来の増設時には、既存の防火措置を無秩序に破壊せず、復旧までを作業範囲に含めます。

材料の保管状態も確認します。使用期限、保管温度、凍結の可否、開封後の使用可能時間などは材料によって異なります。現場搬入時に品名、ロット等の識別情報、使用期限、容器の損傷を確認し、施工要領に示された保管条件を守ります。

複数材料で一つの工法を構成する場合は、現場判断で類似品を混用しません。裏当て材、充填材、仕切板、表面材の一部を別の製品に置き換えると、認定または承認された構成から外れることがあります。不足材料が生じた場合は、代替可否を確認してから使用します。

施工確認4 充填深さ・施工厚さ・支持方法を確認する

防火区画貫通部の施工では、表面が平らに仕上がっているかだけでなく、指定された位置に必要な封止層が形成されているかを確認します。施工厚さや充填形状が不足すると、外観上は閉じていても、設計または認定で確認された構成を再現できません。

施工前には、必要な封止厚さ、裏当て位置、施工面、仕切板の位置などを作業者へ明示します。壁の片側施工か両側施工か、床の上面または下面にどのような構成を設けるかは、工法ごとに異なります。別の現場で使用した方法をそのまま流用せず、対象箇所の施工要領を確認します。

充填厚さを確保するには、裏当て材や支持材の位置が重要です。裏当て材が奥へ押し込まれすぎると、所定位置に封止層を形成できない場合があります。反対に、手前すぎると必要な厚さが不足します。仕切板や支持材にケーブルとの取り合い形状が指定されている場合は、その端部処理も省略しません。

ロックウールなどを裏当てや充填に使用する場合は、材質、密度、厚さ、詰め方、圧縮状態など、施工要領で指定された条件を確認します。強く押し込むほどよいとは限りません。細かな切れ端を無秩序に詰めると、内部に空洞が残ったり、支持力が不足したりすることがあります。

壁貫通部では、材料が硬化するまで流れ落ちないよう、仮受けや型枠が必要な場合があります。床貫通部では、封止材料の自重、施工時の荷重、完成後の維持管理条件を考慮した支持構成が必要です。下面から見えない床貫通部は、封止材を施工する前に支持材の固定状態を確認します。

モルタル系材料を使用する場合は、指定水量、練混ぜ方法、可使時間、施工温度、養生条件を守ります。作業性を上げるために水を過剰に加えたり、硬化が始まった材料へ再加水したりすると、指定された施工条件から外れるおそれがあります。

パテ状またはシーリング状の材料では、必要な奥行きまで連続して施工されているかを確認します。表面を薄くなで付けるだけでは、内部の空洞を隠してしまいます。ケーブルの裏側、下面、交差部、束の中央など、材料が届きにくい位置を意識して施工します。

ケーブル間の細いすき間も確認します。ただし、一般的な防火区画貫通工法が必ず遮煙性能を持つとは限らないため、すき間をなくす目的は、採用工法の施工条件を再現し、火炎貫通につながる連続空間や施工欠損を残さないことと整理します。防煙性能が必要な箇所では、別途指定された材料や構成を確認します。

封止層の厚さは、完成後に測れないことが多いため、施工途中に確認します。基準位置へマーキングする、スケールで測る、仕切板や裏当て材の位置を撮影する、材料使用量を参考値として照合するなど、複数の方法を組み合わせます。

材料使用量は、施工厚さ不足を発見する手掛かりになりますが、数量だけで合否を判断することはできません。開口形状、貫通物の占積、下地の凹凸によって必要量が変わるため、実測値、途中写真、使用量、施工者の記録を総合して確認します。

ケーブルラックや支持金物が区画を貫通する場合は、側面、底部、横桟、支持材との取り合いまで確認します。複雑な形状の周囲は、施工前に材料を充填する順序と確認方法を決めておきます。先に表面を閉じてしまうと、内部へ材料を施工できなくなることがあります。

封止材の表面位置も施工要領に合わせます。壁面からの突出や引込みを現場の見た目だけで決めると、所定の厚さや点検性を損なう可能性があります。他設備との干渉、保護カバー、止水材との取り合いも含めて、仕上げ位置を確認します。

施工確認5 すき間・欠損・未施工箇所がないか完成状態を確認する

完成確認では、正面から見た外観だけで合否を判断しません。貫通部は立体的な構造であり、裏面、下面、奥側、ケーブル間、仕切板周囲などに施工不良が残る可能性があります。

まず、封止材が開口周囲へ連続して接しているかを確認します。壁や床との境界に、ひび割れ、はく離、浮き、穴、くぼみがないかを目視します。表面の小さな穴が内部の空洞につながっている疑いがある場合は、完成面を補修する前に施工記録や途中写真を確認します。

次に、貫通物の全周が処理されているかを確認します。ケーブルや管路の上側は見やすい一方、下側や背面は材料が入りにくく、未充填になりやすい場所です。複数のケーブルが重なる場合は、束の中央や交差部の施工状態も確認します。

両面施工が必要な工法では、反対側を含めて確認します。電線共同溝側と設備室側で担当者が異なると、双方が相手側で処理済みだと思い込み、片面が未施工になることがあります。一つの貫通部に一つの管理番号を付け、必要な施工面をまとめて管理します。

床貫通部では、上面だけでなく下面の状態も確認します。支持材の外れ、封止材の垂れ下がり、型枠撤去後の欠損がないかを確認します。高所や狭所で直接確認しにくい場合は、安全な作業方法を計画し、撮影機器などを使用します。

材料の硬化状態も確認します。必要な養生時間を経過する前にケーブルへ力を加えたり、仮受けを撤去したりすると、封止層が変形する場合があります。表面だけで判断せず、施工温度、湿度、施工厚さなどを踏まえ、材料の施工要領に示された養生条件を守ります。

硬化後に生じたひび割れや周囲のはく離も確認します。補修が必要な場合は、別材料を表面へ塗り重ねるだけで済ませず、原因と補修範囲を確認します。既存材と補修材の適合性、下地処理、必要な撤去範囲は、工法の資料に従います。

施工後に他工事が行われる場合は、最終工程でも確認します。アンカー削孔、配線追加、機器搬入、足場解体、塗装、清掃などによって封止面が損傷することがあります。封止担当者の自主検査時に適切でも、その後の作業で欠損が生じる可能性があります。

予備開口、予備管、使用していないスリーブも確認対象です。資材や養生材に隠れていることがあるため、区画図と現地を照合し、処理対象となるすべての開口を確認します。

完成した封止部へ後からケーブルを通した場合は、開口を壊した範囲だけでなく、貫通部全体の状態を再確認します。追加ケーブルによって既存材が押し出されたり、裏側に空洞が生じたりすることがあるためです。

防火封止部の上に止水材、仕上げ材、保護カバーを施工する場合は、覆われる前に必要な検査を行います。外側の材料で見えなくなった後は、内部の施工厚さや欠損を確認できません。施工順序と立会い時期を工程表に反映します。

不良が見つかった場合は、表面の塗り足しだけで処置を終えません。充填不足、下地処理不足、材料の取り違え、施工厚さ不足、支持不良、硬化不良など、原因によって補修方法が異なります。必要に応じて不良部分を撤去し、適用可能な範囲から再施工します。

施工確認6 写真・使用材料・施工位置を記録して維持管理につなげる

防火区画貫通部は、完成後に壁仕上げ、ケーブルラック、機器、扉、点検床などで見えにくくなることがあります。そのため、施工記録は完成検査のためだけでなく、将来の増設、更新、補修で既存構成を確認する資料として整備します。

施工位置は、図面上の番号と現地表示を一致させます。「特殊部の奥側」「設備室付近」といった曖昧な表現では、後から同じ場所を特定できないことがあります。構造物番号、区画番号、壁面方向、通り、標高、近接設備などを用いて位置を明確にします。

写真は、施工前、下地処理後、裏当て材や仕切板の設置後、充填途中、完成後の各段階で撮影します。特に、完成後に見えなくなる裏当て位置、施工厚さ、ケーブル間の充填状態は、途中写真がなければ追跡できません。

全景写真と詳細写真を分けて撮影します。全景では位置関係が分かるようにし、詳細では施工材料、充填状態、寸法が読み取れるようにします。黒板や電子小黒板を使用する場合は、位置番号、施工日、工法、認定番号または承認資料、使用材料、確認寸法などを記載します。

寸法写真では、測定箇所とスケールが判別できる角度で撮影します。斜めから撮ると読み取りにくいため、開口寸法、壁厚、裏当て位置、封止厚さなど、確認対象に応じた撮影方法を決めます。

使用材料は、品名、種類、ロット等の識別情報、使用期限、必要に応じて使用量を記録します。複数材料を組み合わせる工法では、構成材料を一式で管理します。容器やラベルの写真を残すと、似た外観の材料の取り違え確認に役立ちます。

施工者と確認者も記録します。誰が施工し、誰がどの段階で確認したかを明確にすると、確認漏れを追跡しやすくなります。自主検査、元請確認、監督員確認などがある場合は、確認範囲と時期を整理します。

完成した封止部には、設計図書や管理基準に応じて識別表示を設けます。防火区画貫通部であること、施工年月、貫通部番号、採用工法、認定番号または施工要領の識別情報などを表示すれば、将来の配線作業で無断に破壊されるリスクを減らせます。

表示方法は、湿気、粉じん、清掃、経年劣化などを考慮します。電線共同溝の内部は暗く、似た外観の貫通部が並ぶことがあるため、現地表示と図面、写真台帳を対応させます。

施工記録は、平面図や区画図と関連付けて保管します。写真だけを大量に保存しても、撮影位置や対象工法が分からなければ維持管理に利用できません。貫通部台帳を作成し、位置番号、区画の根拠、貫通物、工法、施工日、写真番号、変更履歴、点検履歴を管理します。

供用後は、封止部のひび割れ、脱落、変形、漏水、ケーブル追加の有無などを点検します。地震、火災、浸水、周辺工事など、封止部へ影響を与える事象があった場合は、施設の維持管理計画に基づいて臨時確認を検討します。

記録を残す目的は、書類をそろえることではありません。どの根拠に基づき、どの構成で、どの材料を使って施工したかを将来の担当者が追跡できる状態にすることです。施工情報が残っていれば、増設時に既存工法の適用条件を確認し、必要な復旧範囲を判断しやすくなります。

防火封止と止水処理を混同しないための注意点

電線共同溝は地下に設置されるため、貫通部に防火と止水の両方が求められる場合があります。しかし、防火区画貫通処理と止水処理は目的が異なり、一方の材料だけで両方の性能を満たせるとは限りません。

止水材は、水の浸入や移動を抑えるために使用されます。防火区画貫通部の構成は、火災時に要求される防火性能を確保するために使用されます。止水性の高い一般シーリング材をすき間へ充填しても、防火性能が確認されていなければ、防火区画貫通処理の代わりにはなりません。

反対に、防火区画貫通部に使用できる材料や工法であっても、地下水圧や継続的な漏水に対する止水性能が確認されているとは限りません。水圧が作用する場所では、貫通管外周の止水構造、管内部からの流入防止、構造目地やひび割れの処理などを別に検討します。

防煙についても同様です。防火区画貫通処理が、設計で必要な遮煙性能まで自動的に満たすとは限りません。煙の漏えい制限が必要な区画では、防煙上の要求、試験または仕様、材料の連続性を確認します。

防火と止水の両方が必要な場合は、各材料の施工位置、厚さ、接着面、施工順序、点検方法を整理します。止水材を先に施工したことで防火材の付着面が確保できなくなることや、防火材を確認する前に止水材で覆ってしまうことを避けます。

材料同士の適合性も確認します。未硬化の材料が接触すると、硬化不良、軟化、付着不良などが生じる場合があります。異なる種類や製造者の材料を組み合わせるときは、設計図書、施工要領、技術資料を確認し、現場判断だけで重ね施工しません。

漏水している貫通部へ表面から材料を塗り重ね続けても、流入経路が残れば再発する可能性があります。管路内部、外周シール、構造目地、ひび割れなどを調査し、原因に応じた止水処理を行ったうえで、防火区画貫通部を必要な構成へ復旧します。

ケーブル増設や更新時に防火性能を維持する方法

電線共同溝の貫通部は、供用開始後もケーブル増設や設備更新によって変更されます。完成時に適切に施工されていても、増設工事で一部を撤去し、復旧しなければ、当初の構成は維持できません。

増設工事では、作業前に既存の工法を確認します。施工記録、現地表示、認定番号または承認資料、使用材料、開口寸法、既設ケーブルの配置を確認し、追加後も同じ工法の適用範囲に入るかを判断します。

ケーブルが増えることで、最大本数、占積条件、開口寸法、ケーブル間隔などを超える場合があります。その場合は、既存材へ追加充填するだけでなく、開口全体の再施工、ケーブル配置の見直し、別工法への変更などを検討します。

既存封止材を部分撤去する場合は、工法で認められた補修方法を確認します。必要最小限の撤去が適切な場合もありますが、既存材が劣化している、施工履歴が分からない、接合部を確実に形成できない場合は、より広い範囲の撤去と再施工が必要になることがあります。

追加ケーブルを通した後は、新旧材料の接合部、ケーブルの裏側、開口周囲を確認します。既存材へ新しい材料を付け足す場合、清掃、切り戻し、プライマーなどの処理が必要かを施工要領で確認します。

増設によって既存材が押し出されたり、仕切板や裏当て材がずれたりすることがあります。作業した部分だけでなく、貫通部全体を確認し、必要な厚さと連続性が維持されているかを確認します。

防火区画貫通部を開放したまま作業を中断する場合は、施設管理者の防火管理、工事計画、作業許可のルールに従います。恒久復旧までの管理方法、暫定措置、復旧期限、責任者を明確にし、暫定措置を恒久処理として放置しません。

増設工事の完了後は、貫通部台帳を更新します。追加したケーブル、施工日、採用工法、使用材料、施工写真、確認者を記録し、現地表示と図面を一致させます。変更履歴が残っていれば、次回改修時に現在の構成を把握しやすくなります。

電線共同溝の防火区画貫通部で起こりやすい施工不良

起こりやすい不良の一つは、表面だけを封止し、内部に空洞が残ることです。手前だけを埋めると、指定された施工厚さや充填形状を確保できません。完成写真では判断しにくいため、施工途中で確認する仕組みが必要です。

次に、ケーブルの裏側や下側の充填不足があります。正面から材料を押し込むだけでは、死角へ届かないことがあります。施工順序を決め、必要に応じて反対側や下面からも確認します。

開口周囲の清掃不足も不良の原因になります。粉じん、泥、油分、脆弱部、既存材が残った状態では、材料によっては付着不良を生じます。材料を施工する直前に下地状態を確認します。

材料の取り違えにも注意が必要です。止水用、一般シーリング用、防火区画貫通用の材料は、外観や容器が似ていることがあります。材料置場を分け、位置番号ごとに使用材料を明示します。

指定された裏当て材や仕切板を省略する不良もあります。表面材だけで形が保たれていても、認定または承認された構成になっていない可能性があります。完成後に確認できないため、施工途中の立会いや写真記録が重要です。

認定仕様で求められる端部処理、充填形状、固定方法を省略する不良もあります。見た目が似ていても、仕切板とケーブルの取り合い、材料の充填範囲、支持方法が異なれば、認定仕様どおりの施工とはいえません。

予備管の内部、スリーブ外周、ラックの内側、支持金物の取り合いなど、一部だけ未処理になることもあります。一つの開口内に複数の貫通経路がある場合は、処理対象を分解して確認します。

施工後の他工事による損傷も見逃せません。配線追加、機器搬入、足場解体、清掃などで封止面が傷つくことがあります。封止作業直後だけでなく、関連工事完了後にも最終確認を行います。

施工環境が材料の適用条件から外れることもあります。低温、高温、湿潤、結露、流水などが硬化や付着へ影響する場合があります。施工日の環境を記録し、条件を満たさない場合は、工程変更、養生、止水などを検討します。

設計変更が封止担当者へ伝わっていないケースもあります。開口寸法、ケーブル本数、管材、壁厚が変更されたのに、当初の施工要領のまま作業すると、適用範囲から外れる可能性があります。設備変更情報を貫通部管理表へ反映し、施工前に再確認します。

完成時の外観だけで合否を決めることも問題です。防火区画貫通部は隠蔽部分の品質が重要であり、材料、区画部材、貫通物、寸法、支持、充填状態、施工記録を総合して確認します。

まとめ

電線共同溝の防火区画貫通部を確実に封止するには、開口を何らかの材料で埋めるだけでは不十分です。まず、対象となる隔壁や壁、床が何の規定に基づく区画なのかを確認し、法令、設計図書、発注者基準で求められる性能を明確にします。

施工前には、壁や床の種類と厚さ、開口寸法、貫通物の種類と配置、採用工法の適用条件を照合します。国土交通大臣認定や承認工法を使う場合は、認定番号や工法名だけで判断せず、別添仕様や施工要領に示された材料、施工厚さ、支持方法、端部処理を含む構成全体を確認します。

施工中には、完成後に見えなくなる裏当て材、仕切板、充填深さ、ケーブル間の状態を確認し、写真と寸法を記録します。施工後には、正面だけでなく、裏面、下面、ケーブルの背面、予備管、スリーブ外周まで確認します。

また、防火、遮煙、止水、防水を同じ性能として扱わないことが重要です。防火区画貫通処理が、遮煙性能や水圧に対する止水性能まで自動的に備えるとは限りません。複数の性能が必要な場合は、各構成の施工位置、順序、適合性、検査時期を整理します。

供用後のケーブル増設や更新も、防火性能を損なう要因になります。施工記録と現地表示を整備し、変更のたびに既存工法の適用条件を確認して、必要な範囲を復旧します。

要求性能の照合、開口と下地の確認、貫通物と材料の適合確認、施工厚さと支持方法の管理、完成検査、記録整備という6つの施工確認を一連の工程として行うことで、見えない部分まで追跡できる品質管理につなげられます。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

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