LRTKレフィクシア株式会社

電線共同溝の酸欠事故を防ぐ入坑前ガス測定6つの手順

電線共同溝で入坑前ガス測定が必要な理由

電線共同溝の特殊部、マンホール、地下ピットなどへ人が立ち入る作業では、内部の空気を確認しないまま入坑してはいけません。労働安全衛生法施行令別表第6では、ケーブル、ガス管その他地下に敷設される物を収容するための暗きょ、マンホールまたはピットの内部が酸素欠乏危険場所として挙げられています。したがって、入坑対象がこの定義に該当する電線共同溝では、酸素欠乏症等防止規則に基づく測定、換気、作業主任者の選任、監視、教育、入退場時の人員点検などを作業計画へ組み込む必要があります。

酸素濃度の低下は目で見ても分からず、臭いだけで判断することもできません。ふたを開けたときに異臭がないこと、入口から内部が見えること、前回の測定値が正常だったことは、当日の安全を保証しません。酸素の少ない空気を吸い込むと、判断力や身体機能が低下し、短時間で意識障害などの重い症状へ進むおそれがあります。はしごや足掛金物で昇降している途中に異常が生じれば、酸欠だけでなく墜落や転落を伴う事故にもつながります。

電線共同溝の内部では、長期間の閉鎖、雨水や湧水の滞留、堆積物、金属部材の酸化、微生物の活動、周辺地盤や接続管路からの空気流入などによって、地上とは異なる空気環境が形成される可能性があります。降雨、浸水、排水、周辺工事、ふたの開閉状況、気温差などによって状態は変化するため、同じ特殊部でも測定のたびに結果が同じとは限りません。

法令上、空気中の酸素濃度が18%未満の状態は酸素欠乏です。第二種酸素欠乏危険作業に該当する場所では、酸素に加えて硫化水素を測定し、作業場所の酸素濃度を18%以上、硫化水素濃度を10ppm以下に保つ必要があります。第二種に該当するかどうかは、し尿、腐泥、汚水など腐敗または分解しやすい物質を入れたことのある設備かなど、法令上の場所区分と現場条件を確認して判断します。

法令上の必須測定項目だけでなく、作業や周辺環境によって別の危険が想定される場合は、リスクアセスメントに基づいて測定対象を追加します。車両や発電機などの排気が流入する可能性があれば一酸化炭素、可燃性ガスが発生または流入する可能性があれば可燃性ガスを検討します。酸素濃度が正常でも、ほかの有害ガスが安全とは限りません。

入坑前測定の目的は、測定票を埋めることではなく、安全に立ち入れる空気環境をつくり、その状態を作業終了まで維持することです。その日の作業開始前の測定だけでなく、全員が作業場所を離れた後に再び作業を始める前、作業者の身体や換気装置などに異常があったときの再測定、作業中の換気と監視、異常時の退避まで一続きの管理として扱います。

「数分の点検だから」「入口のすぐ下だけだから」といった理由で省略してはいけません。入坑時間の長短ではなく、酸素欠乏危険場所へ人が立ち入るという条件に基づいて対策を実施します。ここからは、電線共同溝の酸欠事故を防ぐための入坑前ガス測定を6つの手順に分けて解説します。

手順1 作業条件と測定対象ガスを確認する

最初に行うのは、測定器の電源投入ではなく、入坑場所の法令上の区分と当日の作業条件の確認です。電線共同溝の図面、特殊部番号、構造、接続管路、点検履歴、浸水履歴、排水履歴、補修履歴を確認し、対象が酸素欠乏危険場所に該当することを前提に作業手順を整えます。

第一種酸素欠乏危険作業では、酸素欠乏危険作業主任者技能講習または酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習を修了した者から作業主任者を選任します。第二種酸素欠乏危険作業では、酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習を修了した者から選任します。作業主任者には、作業方法の決定と指揮、所定時期の濃度測定、測定器具や換気装置、空気呼吸器等の点検、空気呼吸器等の使用状況の監視を行わせます。

酸素欠乏危険作業に従事する労働者には、酸素欠乏等の発生原因、症状、空気呼吸器等の使用方法、事故時の退避や救急そ生などについて、法令に基づく特別教育が必要です。元請、協力会社、施設管理者で役割が分かれている場合は、誰が作業主任者となり、誰が測定し、誰が記録を確認し、誰が入坑を許可するかを作業開始前に明確にします。

次に、当日と直前の気象条件を確認します。降雨中や大雨の後は、雨水や地下水の流入、滞留水位の変化、上流側施設からの流入などによって、内部の状態が変わることがあります。地上で雨が止んでいても時間差で流入する場合があるため、前日からの降雨量や排水設備の稼働状況も確認します。

周囲の工事や設備も調べます。近接箇所で発電機、内燃機関、溶接、切断、塗装、薬品使用などが行われていれば、排気ガスや蒸気が開口部または接続管路から流入する可能性があります。近接作業によって酸素欠乏等のおそれがある場合は、関係する作業場との連絡体制を確保します。

基本の測定対象は酸素です。第二種酸素欠乏危険作業に該当する場合は硫化水素も対象です。それ以外でも、滞留物の性状や過去の測定結果から硫化水素の発生が否定できない場合は、安全衛生管理計画に基づいて測定対象へ加えます。排気ガスの流入が想定される場合は一酸化炭素、可燃性ガスの危険がある場合は可燃性ガスを追加します。

当日の作業内容による変化も想定します。排水、底部清掃、堆積物の除去、管路の開放、汚泥の移動などを行うと、作業開始前には低かったガス濃度が上昇する可能性があります。入坑前に正常値を確認しただけで終わらせず、作業中にどこで測定または警報監視を行い、どの条件で全員を退避させるかを決めます。

測定計画には、測定対象ガス、測定位置、測定高さ、測定点数、測定順序、吸引時間、換気方法、再測定時期、判定基準、異常時対応を記載します。現場で担当者が即興で決めるのではなく、作業手順書や入坑許可票へ反映して、関係者が同じ条件で判断できるようにします。

手順2 ガス測定器と安全設備を始業前点検する

測定対象を決めたら、使用するガス測定器を始業前に点検します。測定器を現場へ持参していても、センサーの劣化、電池残量の不足、吸引ポンプの不調、採気ホースの損傷があれば、正しい結果を得られません。

本体の割れ、変形、腐食、著しい汚れを確認し、表示画面、操作ボタン、接続部、保護カバーが正常かを点検します。電池は、入坑前測定だけでなく、換気後の再測定や作業中の監視まで使用できる残量を確保します。予備電池や予備機を準備する場合も、保管してあるだけでなく使用可能な状態かを確認します。

吸引式測定器では、ポンプ、フィルター、採気ホースを点検します。ホースの折れ、つぶれ、亀裂、穴、接続部の緩み、内部の水分や汚れは、応答遅れや誤測定の原因になります。ホースを長くするほど測定位置の空気がセンサーへ届くまで時間がかかるため、取扱説明書に示された吸引流量、応答時間、ホース長ごとの待ち時間を確認します。

測定器は清浄な空気中で起動し、表示と警報の作動を確認します。ゼロ調整、スパン調整、確認用ガスによる作動確認、定期校正は、製造者の取扱説明書と社内の機器管理手順に従います。校正期限を過ぎた機器、作動確認で異常が出た機器、センサー寿命が不明な機器は使用しません。

警報音、警報灯、表示、振動機能も確認します。道路上では交通音や送風機の音で警報が聞こえにくいことがあるため、測定者と監視担当者の双方が異常を認識できる方法を決めます。警報設定値は、法令、発注者仕様、作業計画、社内基準に従い、現場判断で危険側へ変更してはいけません。

換気設備も同時に点検します。送風機または排風機が正常に起動するか、異音や異常振動がないか、ダクトに破れ、つぶれ、外れがないかを確認します。送気用吸気口は、車両、発電機、工事用機械の排気を吸い込まない場所へ置きます。排気口から出た汚染空気が送気側へ戻らないよう、吸気口と排気口を離します。

特殊部にはケーブル棚、隔壁、段差、支持金具があり、入口付近だけで空気が循環することがあります。ダクトが奥部や底部まで届くか、作業者の動線で押しつぶされないかを確認します。換気に純酸素を使用してはいけません。酸素濃度を回復させるときは、清浄な外気による換気を行います。

開口部からの墜落防止設備、要求性能墜落制止用器具等、空気呼吸器等、はしご、ロープなどの避難・救出用具、照明、通信手段も点検します。未測定の内部へ立ち入る可能性がある測定方法は採用せず、やむを得ず内部測定が必要な場合に備えて、空気呼吸器等と救出体制を事前に整えます。

手順3 開口部周辺を規制して測定者の安全を確保する

ガス測定を始める前に、開口部周辺を規制します。道路や歩道にある特殊部では、酸素欠乏だけでなく、車両との接触、歩行者の転落、ふたや器具の落下、作業者の腰痛なども防がなければなりません。

交通規制と歩行者誘導は、道路使用条件、発注者の指示、施工計画に従います。規制範囲は、ふたを安全に開閉し、採気ホースや換気ダクトを操作できる広さとします。作業者の退避経路、救急隊の進入経路、救出設備の設置場所をふさがない配置にします。

ふたを開放するときは、内部から出てくる空気を顔の近くで吸い込まない姿勢を取ります。開放直後にのぞき込んだり、上半身を乗り入れたりしてはいけません。構造上可能で、安全に採気できる場合は、ふたを全開する前に隙間から予備測定する方法も検討します。

重量のあるふたは、適合する開閉器具を使用し、無理な姿勢で持ち上げません。開放後は、不意に閉じたり内部へ落下したりしない位置へ移動または固定します。立て掛けたふたが風圧や接触で倒れないよう、安定性を確認します。

濃度測定は外部から行うことを原則とします。採気ホース、延長棒、遠隔表示機能などを利用し、安全確認前の内部へ身体を乗り入れません。測定者の安全を確認する担当者を配置し、測定者の姿勢、応答、測定器の警報、周辺交通、開口部の状態を監視します。

測定者がふらつく、反応が遅れる、頭痛や吐き気を訴える、測定器が警報を発するなどの異常があれば、原因確認のために開口部へ近づかず、直ちに測定を中断して安全な場所へ退避します。監視担当者が交通誘導や資材運搬を兼務して監視が途切れないよう、現場条件に応じて役割を分けます。

採気ホースには深さを把握できる目印を付け、ケーブル、支持金具、足掛金物へ引っ掛からないように操作します。測定器やホースを落下させない保持方法を決め、落下物を回収するために未測定の内部へ入らないことを徹底します。

外部から測定できず、内部へ立ち入って測定しなければならない場合は、通常の入坑前測定とは別の高リスク作業として計画します。酸素欠乏のおそれが解消されていない場所で使用できるのは、ろ過式防毒マスクではなく、空気呼吸器、酸素呼吸器または送気マスクである空気呼吸器等です。必要に応じて要求性能墜落制止用器具等を使用し、監視、通信、救出設備を整えたうえで、作業主任者の指揮により実施します。

手順4 入坑せず上部・中部・下部を順に測定する

開口部周辺の安全を確保したら、内部の濃度を測定します。入口付近の一か所だけを測り、その数値で内部全体の安全を判断してはいけません。温度差、換気状態、ガスの発生源、内部構造によって濃度分布が偏り、開口部付近が正常でも底部や奥部に危険な空気が残ることがあります。

測定点は、酸素欠乏空気や有害ガスが侵入または滞留しやすい位置、作業者が通過する位置、実際に作業する位置を含めて設定します。基本として上部、中部、下部を測定し、特殊部が広い場合、隔壁や段差がある場合、複数の管路が接続する場合は水平方向にも測定点を増やします。

最初に開口部直下の上部を測定します。採気ホースを所定位置へ移した後は、ホース内部の空気が置き換わり、表示値が安定するまで、機器の仕様に応じた時間を確保します。ホースを下ろした直後の値を記録してはいけません。

上部で警報が作動した場合、または値が判定基準を外れた場合は、開口部から離れ、測定方法と換気方法を見直します。安全な位置から測定を継続できる計画であっても、測定者のばく露や姿勢に危険がある場合は中断します。

上部に問題がなくても入坑は許可せず、中部、下部へ測定点を移します。はしごを下りる経路、底部へ着地する位置、作業者の呼吸域、奥側の管路付近、排水口付近などを確認します。滞留水がある場合は水面付近も対象としますが、採気ホースの先端を水中へ入れないよう深さを管理します。

堆積物や汚泥がある場合は、採気ホースや換気ダクトで不用意にかき混ぜないようにします。作業中に清掃、排水、攪拌を行う場合は、その作業によってガスが放出される可能性を考え、作業中の警報付き測定器による監視や追加測定を計画します。

測定点ごとに、対象ガス、測定時刻、位置、高さ、測定結果を記録します。「内部異常なし」とだけ記載せず、どこで何を測ったかを再現できる情報を残します。見取図や断面図に測定点番号を付けると、換気後の再測定で同じ位置を確認しやすくなります。

測定位置を変えた直後は、ホース内に前の位置の空気が残っています。点ごとに必要な吸引時間を確保し、数値が安定してから読み取ります。危険側へ変化し続ける場合は安定を待ち続けず、直ちに測定を中断して退避します。

複数の特殊部が管路でつながっていても、一つの測定結果を別の特殊部へ流用してはいけません。内部容積、滞留水、ふたの開放、接続状態、換気条件が異なるため、実際に入坑する場所ごとに測定します。

測定値にばらつきがある場合は、安全側の値だけでなく、最も危険側の値を基に判断します。作業者が移動または滞在する範囲のすべてで条件を満たすまで入坑を許可しません。臭いの有無も測定器の代わりになりません。酸素欠乏や一酸化炭素は臭いで判断できず、硫化水素も高濃度では嗅覚に頼れないため、点検・校正された測定器の数値を優先します。

手順5 換気後に再測定して入坑可否を判断する

測定結果が基準を外れた場合、または内部全体の安全を確認できない場合は、作業計画に従って換気します。換気装置を動かしただけで安全になったと判断せず、換気後に同じ測定点を再測定し、数値で確認します。

送気式では、清浄な外気を内部へ送り込みます。吸気口は、車両、発電機、工事用機械の排気を吸い込まない位置へ置きます。風向や車両の停車位置は作業中に変わるため、開始時だけでなく継続して確認します。

排気式では、内部の空気を外へ吸い出します。排気口の周辺を立入禁止とし、排出空気が作業者、歩行者、送風機の吸気口へ向かわないようにします。送気と排気を併用するときは、空気が入口付近だけを短絡しないよう、ダクトの位置を離します。

ダクト先端は、危険な空気が滞留しやすい奥部または底部まで届かせます。ケーブル棚や隔壁で気流が遮られることを想定し、実際の構造に合わせて配置します。送風機の表示風量だけで換気完了を判断せず、内部容積、ダクトの長さ、曲がり、つぶれ、漏れを考慮し、最終判断は再測定結果で行います。

換気中は、ダクトの外れ、つぶれ、移動、送風機の停止、電源の抜け、異音を監視します。換気には純酸素を使わず、清浄な外気を使用します。酸素欠乏危険作業中は、換気によって酸素濃度を18%以上に保ちます。第二種酸素欠乏危険作業では、これに加えて硫化水素濃度を10ppm以下に保ちます。

再測定では、初回と同じ上部、中部、下部、奥部、作業者の呼吸域を確認します。初回に最も悪い値が出た点は必ず再測定します。入口付近だけ改善していても、内部全体が安全とは判断できません。

値が基準付近で変動する場合や、時間とともに危険側へ変化する場合は、一時的に条件を満たしただけで入坑を許可しません。換気方法を見直し、作業中も条件を維持できることを確認します。換気が必要な作業では、作業中に換気装置を停止せず、誤操作を防ぐ表示や電源管理を行います。

換気ができない場合、または作業の性質上換気が著しく困難な場合は、法令に基づき、同時に作業する労働者数以上の空気呼吸器等を備え、使用させます。ろ過式防毒マスクは酸素を供給しないため、酸素欠乏環境の代替措置にはなりません。

入坑可否は、作業主任者または作業計画で定めた責任者が、測定位置、測定結果、換気状態、機器の状態を確認して判断します。入坑者全員へ、測定したガス、測定時刻、結果、換気方法、警報時の退避手順を伝えます。「異常なし」という一言だけで済ませず、安全条件を共有してから作業を始めます。

手順6 測定結果を記録して作業中の監視へ引き継ぐ

入坑前測定は、数値を読み取った時点で終わりではありません。測定結果を記録し、作業中の換気、監視、入退場管理、再測定へ引き継ぎます。

酸素欠乏症等防止規則に基づく測定を行った場合は、測定日時、測定方法、測定箇所、測定条件、測定結果、測定者氏名、測定結果に基づいて講じた防止措置の概要を、その都度記録し、3年間保存します。上部、中部、下部など複数点を測った場合は、それぞれの実測値を分けて残します。

測定位置は文章だけでなく、見取図や断面図に番号を付けます。開口部直下、底部中央、奥側管路付近、排水口付近など、次回も同じ位置を再現できる表現にします。測定器の管理番号を記録し、校正履歴、センサー交換履歴、始業前点検結果と照合できるようにします。

測定条件として、ふたの開放状態、換気の有無、換気開始時刻、送気または排気の別、ダクト先端位置、滞留水、天候、周辺作業を残します。同じ場所で数値が変わったとき、測定条件の違いを検討できるためです。

酸素欠乏危険作業では、常時作業の状況を監視し、異常時に作業主任者や関係者へ直ちに通報する者を置くなど、異常を早期に把握する措置が必要です。監視人の配置と警報付き測定器によるガス監視は目的が異なるため、測定器だけに任せて作業者の応答、換気装置、入退場を見ない運用にしてはいけません。

作業条件に応じて、警報付きの携帯型または設置型測定器を使用し、作業者の呼吸域やガスが滞留しやすい代表点を監視します。測定器は衣服の内側や資材の陰など、周囲の空気を取り込みにくい位置へ置きません。しゃがみ作業、底部作業、奥部への移動によって呼吸域が変わることも考慮します。

警報が作動した場合は、その場で原因を調べず、定めた手順で直ちに全員を退避させます。作業を中止し、全員の退坑を確認し、換気、再測定、機器点検を行います。異常の原因が除去され、安全が確認されるまで再入坑させません。

入場時と退場時には人員を点検します。氏名、時刻、担当作業を記録し、休憩や交代で出入りが繰り返される場合も口頭確認だけに頼りません。全員が作業場所を離れた後に再び作業を始める前、作業者の身体や換気装置などに異常があったときは、作業主任者が所定の濃度を再測定します。

内部で作業者が倒れても、装備のない人が救助のために入ってはいけません。救出作業では、救助者に空気呼吸器等を使用させる必要があります。救助は事前に定めた手順に従い、緊急通報、換気継続、救出設備の使用、救急隊の誘導を行います。

測定値が管理基準を外れた場合の対応

酸素濃度が18%未満になった場合、第二種酸素欠乏危険作業で硫化水素濃度が10ppmを超えた場合、追加測定対象のガスが現場基準を外れた場合、または値が安定しない場合は、入坑を禁止します。「基準との差が小さい」「短時間ならよい」という判断は認められません。

まず、作業を中止して開口部周辺への立入りを制限し、関係者へ異常を周知します。測定者は清浄な場所へ移動し、頭痛、吐き気、息苦しさ、めまい、意識の違和感などがないかを確認します。体調異常があれば、直ちに緊急連絡を行い、医師の診察または必要な処置につなげます。

測定器の異常が疑われても、内部が安全だと先に決めつけてはいけません。清浄な場所で作動状態を確認し、必要に応じて別の点検済み測定器で、外部から再測定します。

換気が可能なら、計画に従って清浄な外気で換気します。排出空気が作業者や第三者へ向かわないよう排気方向を管理し、送風機の吸気口が排気ガスを吸い込んでいないことを確認します。一定時間の換気後、上部、中部、下部、奥部、最悪値を示した点を再測定します。

換気を続けても数値が改善しない場合は、作業を延期または中止します。周辺施設からの流入、滞留水、堆積物、接続管路、換気経路、機器能力を調査し、原因が解消されるまで通常の入坑作業を再開しません。

酸素不足の場所では、硫化水素用や一酸化炭素用の吸収缶を備えた防毒マスクでも安全を確保できません。換気が困難な場合や救出時には、空気呼吸器等を使用します。機器の選定、装着、残量管理、通信、退避、救出について教育と訓練を受けた者が対応します。

救出が必要な場合は、まず消防などへ緊急通報し、無装備での入坑を禁止します。事故後にロープや呼吸用保護具を探すのではなく、作業開始前に避難・救出用具、設置場所、使用者、連絡先、救急車の誘導経路まで確認しておきます。

入坑前ガス測定を形骸化させない管理方法

同じ特殊部で正常値が続くと、測定点を減らす、表示が安定する前に記録する、前回値を流用するなどの形骸化が起こりやすくなります。測定の目的が、目や臭いでは分からない危険を当日の条件で確認することだと繰り返し教育します。

作業手順書には、「入坑前に測定する」という一文だけでなく、場所区分、対象ガス、測定点、測定高さ、点数、吸引時間、使用機器、判定基準、換気方法、再測定時期、異常時対応を具体的に記載します。写真や断面図で採気ホースと換気ダクトの位置を示すと、担当者が変わっても同じ方法を再現しやすくなります。

入坑許可の仕組みを設け、測定者が実測値を記録し、作業主任者または責任者が測定位置と換気条件を確認してから入坑を許可します。未記入欄がある、校正期限が切れている、測定位置が不足している、換気条件が計画と違う場合は、入坑を認めません。

測定器の管理台帳では、機器番号、対象ガス、校正履歴、センサー交換履歴、故障履歴、始業前点検結果を管理します。予備機も定期的に作動確認し、電池劣化やセンサー寿命によって使えない状態になっていないかを確かめます。

協力会社が測定を担当しても、元請側の安全管理上の確認が不要になるわけではありません。測定方法、結果、入坑者への伝達、換気の継続、監視体制、入退場管理を確認します。複数業者が同じ場所へ入る場合は、測定時刻、換気の継続、作業内容の変化を確認し、条件が変われば再測定します。

ヒヤリハットも改善に使います。採気ホースが水へ触れた、換気ダクトが外れた、警報が一時的に作動した、吸気口へ排気ガスが流れたなどの事象を記録し、原因と対策をほかの現場へ展開します。

現場巡視では、測定票があるかだけでなく、実際の測定方法を確認します。測定者がのぞき込んでいないか、上部だけで終えていないか、位置変更後に十分な吸引時間を確保しているか、測定値を実測のまま記録しているか、換気装置が停止していないかを確認します。

ガス測定は測定器を操作する人だけの仕事ではありません。ふたを開ける人、交通を誘導する人、換気設備を設置する人、入坑する人、監視する人、作業主任者、入坑を許可する責任者が、それぞれの役割を果たして初めて安全が成立します。

電線共同溝の点検記録を効率よく残す方法

電線共同溝の安全管理では、ガス濃度だけでなく、測定場所、測定点、特殊部の状態、換気設備の配置、滞留水、開口部周辺の規制状況を後から確認できる形で残すことが重要です。

同じ特殊部で測定値が変化したとき、測定位置が違ったのか、滞留水が増えたのか、換気ダクトの位置が変わったのかを検討できるよう、測定票と現場写真を共通の管理番号で関連付けます。開口部の全景、換気設備、採気ホースの位置、滞留水の状態は、安全な地上位置から撮影します。

写真撮影のために未測定の内部へのぞき込んだり、身体を乗り入れたりしてはいけません。内部撮影が必要な場合は、測定、換気、入坑許可を完了し、作業中の安全条件を満たした後に行います。

写真のファイル名だけに頼らず、特殊部番号、路線名、測定日、測定票番号と関連付けます。測定票、入坑許可票、写真、点検結果を一つの案件として確認できれば、次回の事前調査と安全計画に利用できます。

LRTK Phoneを活用すると、特殊部や測定箇所を位置情報付き写真として記録し、現場ごとの点検情報を整理する用途に利用できます。位置と写真を関連付けることで、名称が似た特殊部の取り違え防止や過去の点検場所の確認を補助できます。

ただし、LRTK Phoneはガス濃度を測定する機器ではありません。酸素、硫化水素、一酸化炭素、可燃性ガスは、対象ガスに適合し、点検と校正が行われた専用測定器で確認します。LRTK Phoneは、専用測定器で得た結果と現場状況を位置情報とともに記録し、共有するための補助的な手段として使用します。

まとめ

電線共同溝のうち、ケーブルなど地下埋設物を収容する暗きょ、マンホール、ピットの内部は、法令上の酸素欠乏危険場所に該当します。入坑前ガス測定は、短時間作業でも省略せず、測定、換気、作業主任者、教育、監視、入退場管理、救出計画を一体で運用します。

手順1では、第一種または第二種の区分、当日の環境、周辺作業を確認し、酸素、硫化水素、必要に応じて一酸化炭素や可燃性ガスを測定対象にします。

手順2では、測定器のセンサー、電池、警報、採気ホース、校正状態を点検し、換気設備、空気呼吸器等、墜落防止設備、避難・救出用具も確認します。

手順3では、開口部周辺を規制し、外部から測定します。未測定の内部へのぞき込みや身体の乗り入れを禁止し、内部測定が避けられない場合は空気呼吸器等を使用できる体制を整えます。

手順4では、上部、中部、下部、奥部、作業者の呼吸域を測定し、位置を変えるたびに必要な吸引時間を確保します。一か所の正常値や臭いの有無で内部全体を判断しません。

手順5では、換気後に同じ位置を再測定し、第一種では酸素濃度18%以上、第二種では酸素濃度18%以上かつ硫化水素濃度10ppm以下を維持できることを確認します。換気が必要な作業中は、装置を停止しません。

手順6では、測定日時、方法、箇所、条件、結果、測定者、防止措置を記録して3年間保存し、常時の作業監視、警報付き測定器、入退場管理、再測定へ引き継ぎます。

入坑前ガス測定は、作業開始の形式的な確認ではなく、全員が安全に退坑するまで続く管理の出発点です。専用測定器による確実な測定と、LRTK Phoneによる位置情報付き記録を役割分担して使い、測定結果と現場条件を追跡できる管理体制を整えることが、電線共同溝の安全性と点検品質の向上につながります。

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