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電線共同溝の通信障害を防ぐ電力線との離隔確認5ポイント

電線共同溝は、電力線や通信線など複数の設備を道路下へ収容し、無電柱化や道路空間の有効活用を進めるための重要なインフラです。一方で、限られた地下空間へ異なる用途のケーブルを集約するため、計画段階から施工、入線、維持管理まで、電力線と通信線の位置関係を丁寧に管理しなければなりません。

とくに注意したいのが、電力線との離隔です。離隔が不足すると、設備条件によっては電磁誘導による通信品質への影響を検討する必要が生じるほか、電力ケーブルの故障時に通信設備へ熱的または電気的な影響が及ぶ可能性、作業時に異種ケーブルを誤って損傷する可能性、将来の増設や更新が難しくなる可能性があります。ただし、通信障害は単純に距離だけで決まるものではありません。電圧、電流、ケーブル構造、近接並行区間の長さ、接地方法、隔壁や保護管の有無、特殊部内の配置、施工精度などを組み合わせて判断する必要があります。

本記事では、電線共同溝の設計・施工・検査に関わる実務担当者に向けて、通信障害を防ぐために確認したい電力線との離隔を5つのポイントに整理します。数値だけを確認して終わるのではなく、適用基準を案件ごとに確認し、図面と現地を一致させ、完成後も説明できる記録へつなげるための考え方を解説します。

電線共同溝で電力線との離隔確認が重要な理由

電線共同溝では、管路部、接続部、分岐部、地上機器部、横断部など、役割の異なる施設が連続します。管路部ではそれぞれのケーブルが独立した管路に収容されていても、特殊部では接続、分岐、余長処理、引込み方向の変更などが必要になり、ケーブル同士の位置関係が複雑になります。そのため、標準断面で十分な離隔が確保されていても、実際の最小離隔は特殊部や曲線部、交差部に現れることがあります。

通信線が電力線に近いだけで、直ちに通信障害が発生するわけではありません。影響の程度は、通信ケーブルが金属導体を用いるものか、光信号を主とするものか、電力線の電圧や電流がどの程度か、負荷変動が大きいか、近接並行する距離が長いかといった条件で変わります。また、光信号そのものは電磁誘導の影響を受けにくい一方、ケーブルに含まれる金属部材、給電回路、監視回路、接続機器、接地系統まで含めると、電力設備との関係を別途確認すべき場合があります。

離隔確認の目的は、通常運転時の通信品質だけを守ることではありません。電力ケーブルの短絡や地絡など異常時の影響を抑えること、保守作業時の誤接触や誤切断を防ぐこと、ケーブル更新時の作業空間を確保すること、将来の入溝や増設で既設設備を圧迫しないことも含まれます。したがって、設計図面上の距離を一度測るだけでは不十分です。施設全体を通して、離隔、防護、識別、作業性、維持管理性を一体で確認することが重要です。

電気工作物側の技術基準では、電線路などから弱電流電線路へ誘導作用による通信上の障害を及ぼさないよう施設するという基本的な考え方が示されています。ただし、具体的な設計条件は設備種別や電圧、布設形態などによって異なるため、一般原則だけで離隔寸法を決定せず、当該案件に適用される法令、技術基準の解釈、道路管理者の設計要領、電線管理者の仕様を照合する必要があります。([経済産業省][1])

離隔確認の前に整理したい通信障害の発生経路

離隔を適切に確認するには、なぜ電力線が通信設備へ影響し得るのかを整理しておく必要があります。発生経路を理解していないと、図面上の距離だけに注目し、接地や金属部、近接並行長、異常時の影響を見落としやすくなります。

第一に考えられるのが、電磁誘導です。交流電流が流れる電力線の周囲には時間的に変化する磁界が生じ、近接して並行する金属通信線などに電圧が誘起されることがあります。電力線と通信線の距離が小さく、近接並行区間が長く、電流が大きい、または大きく変動する条件ほど、影響を詳しく検討する必要性が高まります。交差するだけの短い区間と、長距離にわたって近接並行する区間では、同じ最小距離でも評価の意味が異なります。

第二に、静電的な結合や共通インピーダンスを介した影響があります。通信設備と電力設備の金属部や接地系統が意図しない形で関係すると、電位差や漏れ電流、異常時電流の一部が通信側へ影響する可能性があります。ここでは離隔だけでなく、接地方式、金属シース、金属管路、支持金物、隔壁、接続方法を確認しなければなりません。

第三に、短絡や地絡などの異常時に生じる熱的、電気的、機械的な影響があります。故障様相や構造によっては、局所的な発熱、アーク、圧力変化などが発生し、近接する通信ケーブルや接続部へ影響する可能性があります。このため、所定の離隔を確保できない箇所では、適用基準に基づく隔壁、防護被覆、保護管などの措置を検討します。

第四に、施工や保守による物理的な損傷があります。電力線と通信線が近接し、識別しにくい状態では、入線工具、牽引ワイヤ、支持金物、ケーブル余長などが他設備へ接触しやすくなります。通信障害の原因が電気的なノイズではなく、被覆損傷、曲げ過多、圧迫、接続部への荷重である場合もあります。離隔は電気的影響を抑える寸法であると同時に、安全な作業空間を確保するための条件でもあります。

このように、通信障害の発生経路は一つではありません。設計段階では通常時と異常時、施工段階では位置精度と防護、維持管理段階では識別と作業性というように、工程ごとに確認の視点を切り替えることが大切です。

ポイント1 適用基準と必要離隔をケーブル条件ごとに整理する

最初のポイントは、案件に適用される法令、設計要領、道路管理者の基準、電線管理者の仕様を確認し、必要離隔をケーブル条件ごとに整理することです。電線共同溝では、通信線と電力線という大分類だけでは判断できません。電力側の電圧区分、通信側の構造、管路収容か特殊部内の配置か、既設設備か新設設備かによって、確認すべき条件が変わります。

対象設備が有線電気通信設備令の適用を受ける場合、同令第14条は、地中電線と地中強電流電線との離隔距離が30センチメートル以下となるとき、相手側の電圧が7000ボルトを超える場合は60センチメートル以下となるときに、総務省令で定める方法によることを求めています。これらの数値は、あらゆる設備に一律適用する単純な最小離隔ではなく、規定された距離以内へ接近させる場合に追加条件の確認が必要となる境界として読む必要があります。施行規則第16条は、原則として堅ろうかつ耐火性の隔壁を求める一方、所定の条件を満たし、地中強電流電線の設置者の承諾を得た場合の例外も定めています。したがって、数値だけで可否を判定せず、ケーブルの構造、接触の有無、相手側電圧、承諾の要否などを条文と案件条件に照らして確認します。([e-Gov 法令検索][2])

実務では、まず電力ケーブルを案件で用いる電圧区分に整理し、通信ケーブルも金属導体を含むもの、光ファイバを主体とするもの、給電を伴うもの、道路管理用や監視用のものなどに分けます。次に、管路部、特殊部、引込部、横断部のどこで接近するかを整理します。同じケーブル同士でも、独立した管路に収容されている区間と、接続や分岐のために特殊部内で配置される区間では、防護や作業空間の考え方が異なります。

地方整備局の設計マニュアル例では、特殊部内の通信ケーブルと低圧ケーブル、通信ケーブルと高圧ケーブルについて300ミリメートルを示し、管理者の了承を得た場合の100ミリメートルも併記しています。また、低圧ケーブルと高圧ケーブルは150ミリメートルとし、所定の離隔を確保できない場合に難燃性の被覆または堅ろうな耐火性隔壁を用いる考え方を示しています。ただし、これは特定地域の設計マニュアルにおける運用例であり、全国一律の数値として他案件へ転用してはいけません。最新版の適用文書と、道路管理者および各電線管理者の協議条件を必ず確認します。

確認表を作るときは、区間名、設備種別、電圧区分、通信ケーブル種別、基準となる離隔、例外条件、防護方法、協議先、確認図面、承認状況を一つの流れで管理すると効果的です。数値欄だけを作ると、例外条件や防護措置の前提が抜け落ちます。「何ミリメートル離すか」だけでなく、「その距離はどの基準のどの条件に基づくか」「縮小する場合に誰の承諾や確認が必要か」「縮小時に何を追加するか」まで記録することが重要です。

また、設計図には測定基準を明記します。ケーブル外面間なのか、管路外面間なのか、棚や隔壁を含む配置として評価するのかが曖昧だと、設計者と施工者で異なる距離を測ってしまいます。断面図に基準点と寸法線を入れ、現場で同じ方法により確認できる状態にしておくことが、離隔不足の予防につながります。

ポイント2 平面・縦断・横断で最小離隔が続く区間を確認する

二つ目のポイントは、標準横断図だけで判断せず、平面、縦断、横断の三方向から離隔を確認することです。電線共同溝の計画図では、管路の中心線や代表断面が整って見えても、実際の三次元位置では曲線、勾配変化、既設物回避、特殊部への取り付け角度によって、局所的に距離が小さくなることがあります。

平面図では、電力管路と通信管路が長距離にわたり近接並行する区間を確認します。とくに道路線形が曲がる箇所、歩道幅が変化する箇所、橋梁や横断構造物へ接続する箇所、既設埋設物を避ける箇所は注意が必要です。中心線同士の間隔が一定でも、管路径や曲率が異なると、外面間の最小距離は変化します。曲線内側では想定より接近しやすいため、中心線寸法だけでなく、適用基準で求められる測定対象間の距離を確認します。

縦断図では、土被りの確保や既設物の上越し、下越しによって、電力管路と通信管路の上下関係が変わる区間を確認します。縦断勾配が変わる折点付近では、各管路の曲げ半径や継手位置の影響により、設計上の線形と施工可能な線形に差が生じることがあります。上下離隔を確保するために急な曲げを設定すると、ケーブル入線性や許容曲げ半径に別の問題を生じさせるため、離隔と施工性を同時に検討する必要があります。

横断図では、電力系と通信系の配置順序、管路段数、管径、管路間隔、構造物内面との距離を確認します。道路幅員が狭い区間や、他の地下埋設物が集中する区間では、標準断面をそのまま適用できないことがあります。この場合、管路配列の入れ替え、上下方向の段差配置、隔壁の追加、特殊部形式の変更などを比較し、通信設備への影響と維持管理性を両立させます。

さらに重要なのが、最小離隔がどの程度の長さにわたって続くかです。短い交差部で一時的に接近する場合と、長い区間にわたり近接並行する場合では、誘導影響を検討するときの条件が異なります。図面には最小値だけでなく、接近区間の起点、終点、延長を示すと、通信側と電力側の協議が進めやすくなります。

交差が避けられない場合は、可能な範囲で近接並行する長さを短くし、交差角度を大きくする配置を検討します。ただし、直角に近い交差を優先するあまり、ケーブルの曲げ半径、特殊部への取り付け、施工スペースを損なってはいけません。離隔、交差角度、近接並行長、曲げ、作業空間を同じ図面上で比較し、全体として無理のない線形を選ぶことが大切です。

ポイント3 特殊部・分岐部・交差部の局所的な接近を確認する

三つ目のポイントは、特殊部、分岐部、接続部、地上機器部、横断部など、ケーブル経路や収容条件が変化する箇所を重点的に確認することです。電線共同溝の離隔不足は、標準的な管路部よりも、接続や分岐のためにケーブル経路が変化する場所で起こりやすいためです。

特殊部では、ケーブル棚の段数や位置だけでなく、接続体、分岐体、余長、支持金物、引き込み方向まで含めた占有範囲を確認します。図面上でケーブル中心線が離れていても、接続体の外径や余長ループが電力側へ張り出せば、実際の離隔は小さくなります。将来の接続作業でケーブルを一時的に引き出す空間も必要です。完成時に収まっているだけでは、維持管理時の安全性や作業性を確保したとはいえません。

分岐部では、通信線や低圧電力線が民地側へ向きを変えるため、互いの経路が交差しやすくなります。平面図では離れて見えても、上下方向で重なる場合があります。分岐管の取り付け高さ、角度、曲げ半径、管口位置を詳細に確認し、ケーブルが実際に取り得る経路でも他設備へ過度に接近しないようにします。

本線横断部や支道横断部では、道路両側の管路を接続するため、電力系と通信系の配置が入れ替わったり、同一構造物内でブロックを分けたりすることがあります。地方整備局の設計マニュアル例では、電力線と通信線を一体の本線横断部へ収容する形式でも、各系統の横断ブロックを分け、作業スペースを確保する考え方が示されています。特殊部の内空を小さくすることだけを優先すると、離隔と作業性の両方が不足するおそれがあるため注意が必要です。

また、ケーブル棚の上下関係にも配慮します。漏水や結露が想定される環境では、支持金物の腐食や汚損が長期的なリスクになります。重量のある電力ケーブルを上段へ配置するか下段へ配置するかは、施工方法、支持構造、異常時影響、維持管理方針によって判断が変わります。単純に「通信は上、電力は下」と固定せず、適用基準と各管理者の仕様に従い、採用理由を図面や協議記録へ残します。

特殊部の確認では、完成形を三次元で捉えることが欠かせません。平面図、断面図、展開図が別々に作成されていると、管口位置と棚位置の不整合を見落としやすくなります。管口から棚までのケーブル経路を連続的に追い、最小曲げ半径を守りながら所定の離隔を確保できるかを確認します。施工前に原寸図や三次元モデルで干渉を確認しておくと、現場での無理な取り回しを減らせます。

ポイント4 接地・金属部・防護措置を離隔と一体で確認する

四つ目のポイントは、接地、金属製被覆、金属管路、支持金物、隔壁、防護管を、離隔寸法と一体で確認することです。通信障害を防ぐうえで、距離だけを広げても、金属部が意図しない形で接続されていれば十分とはいえません。逆に、限られた空間で距離を確保しにくい場合でも、適用基準に合う隔壁や防護を組み合わせることで、所定の安全条件を満たせる場合があります。

有線電気通信設備令第15条は、地中電線の金属製の被覆または管路を、地中強電流電線の金属製の被覆または管路と電気的に接続しないことを原則としています。例外は条文に定める限定的な場合であるため、施工時に共通の支持物や接続金物、接地線などを介して意図しない電気的接続が生じないよう、構造詳細と接地系統を確認する必要があります。([e-Gov 法令検索][3])

現場では、通信側と電力側で別々に設計された金属部や接地系統が、共通の金物、架台、アンカー、排水設備などを介して関係することがあります。図面上は分離されていても、施工後に導通が生じる可能性があるため、接地系統図と構造詳細図を照合します。必要に応じて絶縁部材の使用、支持金物の分離、貫通部の処理、導通確認を行い、意図した構成になっているか確認します。ただし、具体的な接地方法や試験方法は設備管理者の仕様と設計条件に従います。

離隔を確保できない箇所では、防護措置の適用条件を整理します。堅ろうかつ耐火性の隔壁、難燃性の防護被覆、適切な保護管などが候補になりますが、材料名だけを指定して終わりにしてはいけません。隔壁の連続性、固定方法、端部処理、貫通部、施工後の隙間、耐久性、点検性を確認する必要があります。隔壁が途中で切れていたり、ケーブル分岐部だけ開口していたりすれば、想定した防護条件を満たさない可能性があります。

また、防護措置を追加すると、別の問題が生じることがあります。隔壁によって特殊部内の作業空間が狭くなる、放熱条件が変わる、排水経路が塞がる、ケーブルの引き替えが難しくなるといった影響です。そのため、防護は単なる追加部材ではなく、構造全体の一部として設計します。

通信障害の観点では、金属通信線のシールド処理、接続部の処理、接地位置の一貫性も重要です。ただし、接地方法は設備種別や管理者仕様によって異なるため、一般論だけで決定してはいけません。通信管理者と電力管理者の双方に接地系統を提示し、通常時と異常時に想定される電位差や電流経路を確認します。離隔、防護、接地を別々の担当者が個別に判断するのではなく、同じ協議図で確認することが望まれます。

ポイント5 施工誤差と将来増設を含めて完成形を記録する

五つ目のポイントは、設計値だけでなく施工誤差を見込み、完成時の実測結果を記録することです。電線共同溝は施工後に埋め戻される部分が多く、管路位置や離隔を後から直接確認しにくくなります。完成図が設計図の写しになっているだけでは、実際の施工位置を示す資料として不十分です。

施工誤差は、掘削幅、基礎の出来形、管路固定、スペーサー位置、コンクリート打設時の浮き上がり、埋戻し時の変位、特殊部据付位置などから生じます。設計上の離隔が基準値と同じで余裕がない場合、わずかな変位で不足する可能性があります。設計段階では、適用基準や発注者の出来形管理条件を踏まえ、施工公差を吸収できる余裕を検討します。

管路敷設時には、代表断面だけでなく、曲線部、縦断変化部、特殊部接続部、既設物近接部で離隔を測定します。測定時点も重要です。管路を仮固定した段階、コンクリートや埋戻しで位置が確定する段階、ケーブル入線後では、確認できる内容が異なります。後工程で見えなくなる前に、必要な写真、寸法、測点、標高、撮影方向を記録します。

特殊部では、ケーブル入線後に実際の最接近箇所を確認します。管口と棚の位置が適切でも、余長処理や接続体の配置によって離隔が変わるためです。通信線と電力線の最接近箇所を特定し、測定位置が分かる写真とともに記録します。防護管や隔壁を設けた場合は、施工前後の状態、固定部、端部、貫通部も残します。

将来増設への配慮も欠かせません。空き管路や空き棚があると、完成時には十分な離隔があっても、後から追加されたケーブルによって不足する可能性があります。将来収容する設備の種別と想定位置を図面へ示し、増設後も必要離隔と作業空間を確保できるか確認します。空きスペースを単なる余白として扱わず、使用目的を管理することが重要です。

出来形記録には、測点名、撮影方向、基準点、測定対象、設計値、実測値、判定、是正内容をひも付けます。写真だけでは寸法の根拠が分からず、数値だけではどこを測ったか分かりません。測位情報付きの写真や三次元記録を活用すると、図面と現地の対応を整理しやすくなります。

電線共同溝の離隔確認を設計から検査までつなぐ進め方

離隔確認を確実に行うには、設計、施工計画、施工、検査、維持管理を分断しないことが重要です。各工程で担当者が変わる場合でも、同じ確認項目と同じ図面を引き継げる仕組みを作ります。

設計初期では、参画事業者からケーブル種別、条数、外径、電圧区分、接続体寸法、最小曲げ半径、余長条件、接地条件、将来計画を収集します。この情報が不足したまま標準断面を決めると、詳細設計で特殊部が大型化したり、離隔が確保できなくなったりします。未確定条件は未確定のまま明示し、誰がいつまでに確定するかを管理します。

基本設計では、路線全体を管路部、特殊部、交差部、引込部、既設接続部に分け、離隔条件の厳しい箇所を抽出します。標準断面を作成した後は、例外断面を早い段階で検討します。問題が起こりやすい狭小部や既設物集中部を解決できれば、全体計画の成立性を早期に判断できます。

詳細設計では、管口、棚、接続体、余長、隔壁、防護管、接地線、排水、作業空間を同じ図面で確認します。平面図と断面図の寸法が一致しているか、各図面で電力側と通信側の配置が入れ替わっていないか、測定基準が統一されているかも確認します。図面間の不整合は、現場での自己判断を招き、離隔不足の原因になります。

施工計画段階では、離隔を確保するための固定方法と確認時期を決めます。スペーサー間隔、管路固定具、打設時の浮き上がり防止、特殊部据付の基準線、検測のタイミングを施工要領へ盛り込みます。完成後に測るだけでは埋設部の是正が難しいため、隠蔽前検査を工程に組み込みます。

施工中は、設計変更や現地調整を口頭で終わらせないことが大切です。既設物が想定位置と異なり、管路を移動する場合は、電力線と通信線の離隔、他埋設物との離隔、土被り、曲げ半径、特殊部接続を再確認します。ある条件を改善するための移動が、別の条件を悪化させることがあるためです。

完成検査では、図面上の代表値ではなく、最小離隔箇所を確認します。設計者が想定した最小箇所と、施工者が実測した最小箇所が一致しているかを確認し、不一致の場合は原因を調べます。完成図には実測値と防護措置を反映し、将来の管理者が判断できる資料として引き渡します。

離隔不足が見つかったときの是正方針

離隔不足が見つかった場合は、数値だけを見て直ちに一律の処置を決めるのではなく、適用基準、設備条件、接近区間の長さ、異常時影響、施工状況を整理します。是正の基本は、位置を変更して必要離隔を確保することですが、現場条件によっては移設が難しい場合があります。

まず検討するのは、管路やケーブル経路の変更です。平面方向へ移動できない場合は、上下方向の配置変更、特殊部内の棚位置変更、管口位置変更、交差位置の移動などを比較します。ただし、土被り、他埋設物、曲げ半径、排水、作業空間を同時に満足させなければなりません。

次に、隔壁や保護管などの防護措置を検討します。適用できる材料や構造は、法令、設計要領、管理者仕様に従い、現場独自の判断で代用品を採用しないことが重要です。防護を追加する場合は、離隔を縮小できる条件、承諾や承認の手続き、施工詳細、検査方法を明確にします。

特殊部内のケーブル配置が原因であれば、余長処理や支持方法の変更で改善できる場合があります。ケーブルを強く押さえつけて距離を作る方法は、曲げや局部圧力による損傷を招くため避けます。支持点を追加し、自然な曲線を保ちながら所定位置へ保持できるかを確認します。

是正後は、変更前後の図面、写真、実測値、協議記録を残します。離隔不足を解消したという結果だけでなく、どの基準に基づき、誰が確認または承認し、どの方法で検査したかが分かる資料にします。将来の増設や更新時に同じ問題を繰り返さないため、原因を標準図や施工要領へ反映することも大切です。

電線共同溝の離隔確認で起こりやすい見落とし

電線共同溝の離隔確認では、標準断面の数値は合っているのに、現場で不足が生じることがあります。その多くは、確認対象の範囲や測定基準が揃っていないことから起こります。

よくある見落としの一つは、管路中心間距離とケーブル外面間距離の混同です。管径が異なる場合、中心間距離が同じでも外面間距離は変わります。設計図が中心線表示、検査記録が外面測定というように基準が違えば、正しい比較ができません。

次に、空管を含めた将来配置の見落としがあります。現時点の入線本数だけで判定すると、将来増設時に電力線と通信線が接近する可能性があります。予備管や予備棚の用途を整理し、想定する将来状態での最小離隔を確認します。

また、特殊部の接続体や余長を図面へ反映していないケースもあります。ケーブル一本の外径だけで配置すると、接続体や曲げ部分が他設備へ張り出します。機器外形と作業時の可動範囲を含めた占有空間で評価する必要があります。

防護措置を設けたことで確認が完了したと思い込み、端部や開口部を見落とすこともあります。隔壁は必要な範囲で連続して設けられているか、管口周辺、分岐部、貫通部、蓋との取り合いに弱点がないかを確認します。施工写真も正面だけでなく、端部と固定部が分かる方向から残します。

さらに、設計変更の反映漏れにも注意が必要です。施工現場で管路位置をわずかに移動した場合でも、余裕の小さい箇所では離隔不足につながります。変更が軽微に見えても、電力、通信、道路構造、他埋設物への影響を再確認し、完成図へ反映します。

最後に、通信障害を離隔不足だけで説明しようとする見落としがあります。障害が発生した場合は、離隔、近接並行長、接地、シールド、接続部、給電回路、機器電源、施工損傷、水分、腐食などを総合的に確認します。離隔は重要な確認項目ですが、唯一の原因ではありません。原因調査では、通常時の通信品質だけでなく、負荷変動時や障害発生前後の状況も整理します。

まとめ

電線共同溝で通信障害を防ぐには、電力線と通信線の距離を一つの数値だけで管理するのではなく、適用基準、設備条件、三次元的な配置、特殊部の詳細、接地と金属部、防護措置、施工誤差、将来増設を一体で確認する必要があります。

第一の確認は、法令や設計要領を案件ごとに整理し、電圧区分やケーブル構造に応じた必要離隔と例外条件を明確にすることです。第二の確認は、平面、縦断、横断を通して最小離隔と近接並行区間を把握することです。第三の確認は、接続体や余長が集中する特殊部、分岐部、交差部を重点的に見ることです。第四の確認は、接地、金属部、隔壁、防護管を離隔と一体で検討することです。第五の確認は、施工誤差と将来増設を含めて完成形を実測し、隠蔽前の状態を記録することです。

電線共同溝は、埋め戻し後に内部の位置関係を確認しにくい施設です。だからこそ、施工前の基準整理、施工中の隠蔽前確認、完成時の実測記録が重要になります。図面、写真、測点、実測値を結び付けて残せば、完成検査だけでなく、将来の増設、更新、障害調査にも活用できます。

現場で電力管路と通信管路の位置関係を効率よく確認し、測位情報付きの写真や三次元記録として整理したい場合は、電線共同溝の出来形管理にLRTK Phoneを活用する方法も検討できます。

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