LRTKレフィクシア株式会社

電線共同溝の換気不足による酸欠事故を防ぐ6つの安全対策

電線共同溝で酸欠事故が起こる仕組み

電線共同溝は、電力線や通信線などを道路の地下に収容し、電柱や架空線を減らすための施設です。道路景観の向上、道路空間の有効利用、災害時の電線類被害の抑制などが期待される一方、特殊部、接続部、分岐部、マンホール、管路収容部などの内部は、自然換気が不十分になりやすい地下空間です。

労働安全衛生法施行令別表第六では、ケーブル、ガス管その他地下に敷設される物を収容するための暗きょ、マンホールまたはピットの内部を酸素欠乏危険場所として掲げています。電線や通信ケーブルを収容する電線共同溝の特殊部などは、構造や用途を確認したうえで、この区分に該当するものとして管理するのが基本です。作業開始前の測定で酸素濃度が正常であっても、場所の区分自体が解除されるわけではありません。

電線共同溝の内部には、ケーブル、支持金具、接続設備、排水設備などが配置されます。構造によっては内部が細長く、途中に曲がり、高低差、隔壁、狭窄部があります。マンホールの蓋を一か所開けただけでは空気が十分に入れ替わらず、開口部付近が安全でも、奥側、床面付近、くぼみ、隔壁の反対側に酸素の少ない空気や有害ガスが残る可能性があります。

通常の空気には約21%の酸素が含まれています。酸素欠乏症等防止規則では、空気中の酸素濃度が18%未満の状態を酸素欠乏と定義しています。酸素濃度が低下すると、頭痛、めまい、吐き気、判断力低下、意識障害などが生じるおそれがあり、低濃度の空気を吸入した場合には短時間で自力退避が困難になることもあります。ただし症状の現れ方は濃度、ばく露時間、作業負荷、健康状態などで異なるため、症状だけから安全性を判断してはいけません。

酸素濃度が低下する原因は一つではありません。雨水や地下水が滞留し、水中や堆積物に含まれる有機物が微生物によって分解される過程で酸素が消費される場合があります。金属部材の酸化や腐食、湿潤した資材や堆積物の変質などが酸素消費に関係することもあります。長期間閉鎖され、外気との交換が少ない場所では、こうした影響が蓄積しやすくなります。

周辺の土中、下水設備、排水設備、地下構造物、近接する工事場所から、酸素濃度の低い空気、硫化水素、一酸化炭素、二酸化炭素、可燃性ガスなどが流入する可能性もあります。電線共同溝だけを見て原因を決めつけず、接続管路、排水経路、近隣設備、地上の車両や発電機まで含めて確認する必要があります。

作業によって空気環境が変化する点にも注意が必要です。滞留水を排水したとき、堆積物を動かしたとき、閉鎖区画を開放したときには、それまで閉じ込められていた気体が放出されることがあります。溶接、切断、塗装、接着、洗浄などを行う場合は、酸素消費、溶剤蒸気、燃焼生成物など別の危険も加わります。

したがって、電線共同溝の酸欠事故を防ぐには、蓋を開けて待つだけでは不十分です。危険場所の特定、作業主任者の選任、特別教育、作業前測定、機械換気、人員確認、常時監視、退避、救出用具の準備を組み合わせ、作業開始から終了まで一貫して管理する必要があります。

酸素欠乏を見た目や臭いで判断できない理由

酸素欠乏の大きな危険性は、目で見ても分からず、酸素そのものには臭いがないことです。電線共同溝の蓋を開けた際に異臭がしなくても、内部の酸素濃度が安全とは限りません。反対に、臭いがあるから酸素欠乏であるとも限らないため、臭気は補助的な異常情報にすぎません。

入口から内部をのぞき、異常が見えないことを確認しても、安全確認にはなりません。酸素濃度は目視できず、開口部付近、床面、上部、最奥部、区画の裏側で異なる場合があります。入口付近で呼吸できても、数メートル進んだ場所で濃度が低下している可能性があります。

ろうそくやライターなどの火を使って酸素の有無を判断する方法は危険です。可燃性ガスが存在する場合は着火源となり、火災や爆発につながるおそれがあります。炎が消えないことも、人が安全に作業できる酸素濃度を保証しません。

動物を入れて反応を見る方法も、安全確認の代わりにはなりません。酸素濃度と対象ガス濃度は、適切に点検された測定器を用いて数値で確認します。測定対象は現場の危険性に応じて決め、酸素だけを測ればすべての危険を把握できると考えないことが重要です。

経験豊富な作業者であっても、自分の感覚で酸素濃度を判断することはできません。酸素濃度が徐々に低下した場合、本人が危険を認識する前に注意力や判断力が低下する可能性があります。返答が遅い、動作が不自然、ふらつく、手順を間違えるといった異変が見られたときは、測定器の警報がなくても退避を優先します。

また、作業開始前に安全な濃度を確認しても、その状態が終了まで続くとは限りません。換気装置の停止、ダクトの外れ、堆積物の移動、排水、近接作業、交通量や風向の変化などにより、空気環境は変化します。立入前測定と作業中の監視を分けて考えず、連続した管理として運用する必要があります。

安全対策1 作業前に危険性を調査して作業計画を定める

一つ目の安全対策は、電線共同溝へ立ち入る前に危険性を調査し、具体的な作業計画を定めることです。酸欠対策は現場に到着してから送風機を置くだけの対応ではなく、施工計画、点検計画、維持管理計画の段階から準備します。

最初に、対象場所が労働安全衛生法施行令別表第六の酸素欠乏危険場所に該当するかを確認します。電線や通信ケーブルを収容する暗きょ、マンホール、ピットの内部は、一般に同表第三号の対象となり、そこで行う作業は第一種酸素欠乏危険作業として管理するのが基本です。下水、汚水、腐敗物などとの関係により硫化水素中毒のおそれも法令上想定される場所では、第二種酸素欠乏危険作業に該当する可能性があるため、施設の用途、接続先、滞留物を確認します。

次に、出入口の位置と数、内部の長さ、高低差、区画、隔壁、ケーブルラック、排水設備、接続管路、退避経路を図面や過去記録で確認します。図面と現況が一致しない場合もあるため、地上から確認できる範囲を現地で照合します。一つの開口部しかない構造では、送気と排気の経路をつくりにくく、二つ以上の開口部があっても隔壁や設備によって空気が短絡する場合があります。

閉鎖期間、浸水履歴、排水設備の不具合、異臭、堆積物、腐食、周辺工事の履歴も確認します。前回の作業で異常がなかったことは、今回の安全を保証しません。降雨、地下水位、温度、周辺施設の運転状態が変われば、同じ場所でも条件は変化します。

作業内容も具体的に整理します。目視点検、ケーブル敷設、撤去、清掃、排水、塗装、接着、溶接、切断などでは、想定すべきガスや換気方法が異なります。内燃機関を有する機械は、自然換気が不十分な場所では一酸化炭素などの危険を生じさせるため、安易に持ち込まない計画とします。

作業計画には、作業主任者、測定担当、測定地点と時期、換気方法、監視担当、内部作業者、入退場管理、連絡方法、退避経路、中止条件、救出方法、緊急通報先を記載します。第一種酸素欠乏危険作業では、酸素欠乏危険作業主任者技能講習または酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習を修了した者から作業主任者を選任します。第二種では、酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習を修了した者から選任します。

酸素欠乏危険作業に従事する労働者には、作業区分に応じた特別教育が必要です。教育済みであることを確認し、現場固有の構造、換気方法、警報時の行動、救急そ生、空気呼吸器等の扱いを作業前に再確認します。

作業開始前の打ち合わせでは、通常手順だけでなく、異常時の行動を共有します。酸素濃度が18%未満になった場合、第二種で硫化水素濃度が10ppmを超えた場合、想定外のガスが検出された場合、換気装置が停止した場合、警報が鳴った場合、作業者から応答がない場合は、原因調査より先に作業を中止して退避します。

短時間の点検、写真撮影、工具回収でも手順を省略しません。予定外の作業が必要になったときは、いったん全員が退避し、危険性、測定対象、換気方法、必要な保護具を見直してから再開します。

安全対策2 入溝前に酸素濃度と有害ガスを測定する

二つ目の安全対策は、人が電線共同溝へ入る前に酸素濃度を測定し、第二種酸素欠乏危険作業に該当する場所では硫化水素濃度も測定することです。さらに、滞留水、燃焼機器、溶剤、周辺設備などの条件から危険が予想される場合は、一酸化炭素、可燃性ガス、二酸化炭素、対象溶剤蒸気などを追加します。

測定のために先に人が入ってはいけません。採取管、延長プローブ、遠隔表示などを用い、可能な限り外部の安全な位置から測定します。蓋を開ける作業自体にも転落、飛来落下、交通、噴出ガスなどの危険があるため、開口部周囲の規制と立入禁止表示も同時に行います。

酸素濃度は18%以上であることを確認します。ただし、入口付近の一か所だけでは内部全体の状態を代表できません。マンホール直下、通行経路、実作業地点、最奥部、低いくぼみ、滞留水付近、隔壁の反対側、閉鎖区画など、空気が滞留しやすい地点を選びます。

高さ方向の偏りにも注意します。作業者の呼吸域を基本としつつ、床面付近と上部も現場条件に応じて確認します。気体の密度だけで機械的に測定位置を決めず、発生源、温度差、気流、区画形状を考慮します。

酸素欠乏症等防止規則では、その日の作業開始前に測定することが求められます。作業主任者には、全員が作業場所を離れた後に再び作業を開始するとき、作業者の身体、換気装置等に異常があったときにも測定を行わせます。休憩後、停電後、ダクト移動後、排水後、閉鎖区画開放後なども、再測定が必要となる場面として作業計画に入れておくと安全です。

測定器は使用前に点検します。電池残量、警報、センサーの有効期限、校正または機能確認、採取管の破損、ポンプ動作、フィルターや水トラップを確認します。表示が点灯するだけでは、正確に測れる状態とは限りません。

長い採取管を使うと、内部の空気がセンサーへ到達するまで時間がかかります。製造者の取扱説明に従い、管の長さと吸引速度に応じた十分な時間を確保してから数値を読みます。管が折れ、つぶれ、水を吸い込んだ場合は、測定結果を信用せず、原因を除いて再測定します。

測定値が基準を外れている場合や、測定値が不安定な場合は立ち入りません。換気後に同じ測定地点で再測定し、作業範囲全体で必要な濃度が確保されていることを確認します。測定できない区画を安全と推定して作業範囲に含めてはいけません。

法定の測定記録には、測定日時、測定方法、測定箇所、測定条件、測定結果、測定者氏名、防止措置の概要を記載し、三年間保存します。位置が分かる図面や写真を補助資料として関連付けると、再現性と引継ぎの精度を高められます。

安全対策3 作業位置まで届く機械換気を実施する

三つ目の安全対策は、送風機や排風機を用い、作業位置まで清浄な空気を届けることです。電線共同溝では、蓋を開けただけの自然換気に依存しないことが基本です。

酸素欠乏危険作業では、作業場所の酸素濃度を18%以上に保つよう換気します。第二種酸素欠乏危険作業では、酸素濃度18%以上に加え、硫化水素濃度10ppm以下に保つよう換気します。所定時間送風したという事実だけで安全と判断せず、換気後の濃度測定によって効果を確認します。

送気方式では、地上の清浄な空気を取り込み、ダクトを通じて内部へ送ります。ダクトの先端は入口付近ではなく、作業位置付近または換気が届きにくい区画まで延ばします。作業場所が移動する場合は、ダクトも追従させます。

排気方式では、内部の汚染空気を吸い出します。排気口は、作業者、歩行者、車両、建物の吸気口から離し、排出した空気が再び送風機へ吸い込まれないようにします。有害ガスや可燃性ガスが想定される場合は、排気先の安全性、防爆性能、静電気対策も個別に検討します。

送気口と排気口が近すぎると、送り込んだ空気が内部を通らずに戻る短絡が起こります。二つの開口部があっても、配置が悪ければ奥側の空気は入れ替わりません。煙など危険な物質を安易に使って気流を確認するのではなく、安全な方法と濃度測定で換気効果を検証します。

送風機の表示風量と、作業位置に届く実風量は同じではありません。ダクトが長いほど圧力損失が増え、曲がり、つぶれ、接続部の漏れ、フィルター詰まりで風量が低下します。ケーブルラック、隔壁、資材によって気流が偏る場合もあります。

吸気口は、発電機、工事車両、一般車両の排気、塗装や薬剤作業、排気口の風下を避け、清浄な外気を取り込める位置に設けます。風向が変わる現場では、作業中も吸気環境を確認します。

換気に純酸素を使用してはいけません。純酸素で濃度を上げると、可燃物の燃焼が激しくなる危険があり、酸素欠乏症等防止規則でも換気への純酸素使用は禁止されています。使用するのは清浄な外気です。

作業の性質上換気が著しく困難な場合など、規則の例外に該当して換気だけで管理できないときは、同時に就業する労働者数以上の空気呼吸器等を備え、使用させる必要があります。換気が不十分なまま、防じんマスクや防毒マスクで代用することはできません。

安全対策4 作業中も換気と濃度監視を継続する

四つ目の安全対策は、作業開始後も換気を継続し、空気環境の変化を早期に把握することです。立入前の測定値は、その時点の状態を示すものであり、終了まで安全が続く保証ではありません。

電線共同溝の内部では、排水、清掃、堆積物の移動、区画開放、補修材の使用などによって空気環境が変化します。作業者が奥へ移動すれば、換気が届く範囲も変わります。作業内容や位置が変わったときは、ダクト配置と測定地点を見直します。

作業中に送風機を止めてはいけません。騒音、ダクトの邪魔、電源不足を理由に一時停止する運用は避けます。換気装置を停止しなければ実施できない作業が生じた場合は、全員を退避させ、停止中の濃度変化を考慮した手順を作り直します。

携帯型測定器を作業者の呼吸域に装着し、酸素と必要な対象ガスを継続測定する方法は、変化の早期把握に有効です。ただし、携帯測定器の装着だけで換気、法定測定、監視人を省略できるわけではありません。吸気口が衣服や保護具でふさがれず、警報音、光、振動を認識できる位置に装着します。

警報が作動した場合は、機器の誤作動と決めつけず、直ちに全員が退避します。地上で人数と体調を確認し、換気装置、ダクト、測定器、滞留水、周辺作業、吸気口を点検します。安全が再確認されるまでは再入場しません。

作業者の頭痛、吐き気、息苦しさ、ふらつき、返答の遅れ、異常行動が見られた場合も退避させます。測定対象外の物質、熱中症、体調不良など別の原因も考えられるため、測定器の表示だけで継続可否を判断しません。

全員が作業場所を離れた後に再び入る場合、作業者の身体や換気装置等に異常があった場合は、作業主任者による再測定が必要です。停電、ブレーカー作動、ダクト外れ、送風機交換、警報発生は、明確な作業中止と再測定の条件としておきます。

換気と測定は代替関係ではありません。換気で安全な環境をつくり、測定で維持を確認し、監視によって異常を早期に把握するという多重管理が必要です。

安全対策5 監視人と確実な連絡体制を配置する

五つ目の安全対策は、常時作業状況を監視し、異常時に作業主任者や関係者へ直ちに通報できる者を置くなど、異常を早期に把握する措置を講じることです。現場では一般に監視人を配置し、内部作業者と確実に連絡できる体制を整えます。

監視人は入口に立つだけではありません。内部の作業者数、作業位置、換気装置の運転、ダクト、測定器の警報、地上の交通、周辺作業を確認し、異常時には退避を指示して通報します。監視人が安全管理以外の作業に集中し、内部の状況を見失わない配置が必要です。

入場時と退場時には人員を点検します。誰が、いつ、どの区画へ入り、いつ退場したかを把握します。交代、休憩、工具搬入、撮影のための出入りも記録し、内部に残っている人数を常に一致させます。

連絡を声だけに頼ることは危険です。送風機、交通、工具の騒音、距離、曲がりによって呼び掛けが届かない可能性があります。通話装置、無線、インターホン、有線連絡、定時応答、非常合図などを組み合わせ、通常連絡と緊急合図を区別します。

通信機器は、地上ではなく実際の作業位置で通信状態を確認します。地下で電波が届かない場合は、中継者、有線設備、作業範囲の縮小など別の方法を準備します。通信できない状態で単独作業を進めてはいけません。

監視人が交代するときは、内部人数、作業位置、測定値、換気状態、警報履歴、注意事項を正式に引き継ぎます。口頭だけでなく、入退場表や作業記録を併用します。

開口部周囲には、関係者以外の立入りを禁止する表示や区画を設けます。道路上では、車両や歩行者がダクト、送風機、電源コードへ接触する危険があります。地上設備の破損が内部の換気停止に直結するため、監視対象に含めます。

内部作業者から応答がない場合、監視人や同僚が無防備に救助へ入ってはいけません。換気を継続し、作業主任者と関係者へ通報し、緊急通報を行い、訓練を受けた救助者と空気呼吸器等を確保します。二次災害を防ぐことが最優先です。

安全対策6 救出計画と呼吸用保護具を準備する

六つ目の安全対策は、事故が起きてから考えるのではなく、救出計画、避難用具、呼吸用保護具を作業前に準備することです。酸素欠乏症等防止規則では、空気呼吸器等、はしご、繊維ロープなど、非常時に避難または救出するため必要な用具を備えることが求められています。

酸欠事故では、倒れた作業者を助けようとした同僚が無防備に入り、連続して被災する二次災害が起こり得ます。救助者の安全を確保できない救出は開始しません。

救出計画には、異常の判断基準、作業中止と退避の合図、内部作業者の人数、緊急通報先、現場所在地、交差点名、進入経路、救急隊の誘導、開口部、内部構造、要救助者の引上げ方法を記載します。道路規制や救急車両の停車位置も確認します。

酸素欠乏等の場所で救出作業に労働者を従事させる場合は、救助者に空気呼吸器等を使用させなければなりません。空気呼吸器等とは、空気呼吸器、酸素呼吸器、送気マスクを指します。一般的な防じんマスクは粉じんを減らすためのもので、酸素を供給しません。防毒マスクも、酸素不足環境で使用できるものではありません。

呼吸用保護具は、現場に置くだけでは不十分です。面体、ホース、接続部、空気供給、残量、警報を点検し、使用者が正しく装着できることを確認します。換気が著しく困難な通常作業で空気呼吸器等を使用する場合は、その日の作業開始前の点検も必要です。

垂直昇降部では、意識を失った人を人力だけで引き上げることが難しい場合があります。全身を保持できる器具、救出用ロープ、巻上げ装置、三脚などの支持設備を、開口部寸法や内部設備に合わせて選定します。酸素欠乏症等により転落するおそれがある場合は、要求性能墜落制止用器具等と、その安全な取付設備も必要です。

足掛金物、ケーブルラック、仮設材を安易に救出支点にしてはいけません。荷重、設置状態、腐食、引上げ方向を確認し、救出時の荷重に耐えられる支点を準備します。

現場の人員と設備だけで安全に救助できない場合は、無理に内部へ入らず、消防などの専門機関へ要請します。通報時には、酸素欠乏危険場所であること、測定値、内部人数、作業位置、使用物質、開口部寸法を伝えます。

作業前訓練では、警報、退避、人数確認、通報、救急隊誘導までを確認します。連絡途絶、停電、換気停止、一つしかない開口部など、現場で起こり得る条件を想定します。

電線共同溝の換気設備を設置する際の注意点

電線共同溝の換気では、送風機の能力だけでなく、ダクト配置、電源、地上環境、排気先まで含めて管理します。

ダクトは、内部でつぶれたり、鋭い部材に接触して破れたりしないように設置します。作業者や工具が接触する箇所では固定し、退避経路を妨げないようにします。曲がりを減らし、接続部の外れや漏れを点検します。

作業位置が移動する場合は、ダクト先端も追従させます。長い区間の点検やケーブル敷設では、開始位置に固定したままにせず、作業者との距離と換気後の測定値を確認します。

送風機は安定した場所に設置し、車両接触や振動で動かないようにします。吸気口にシート、衣服、資材が吸い付くと風量が低下します。吸気側と吐出側に必要な空間を確保し、排気の再吸入を防ぎます。

電源管理も重要です。換気装置と電動工具を同じ系統に接続すると、過負荷や誤操作で送風機が停止する可能性があります。換気用電源を識別し、無断操作を防ぎ、必要に応じて独立電源や予備機を準備します。

停電や機器故障時は、内部に残って原因調査をせず退避します。予備機があっても、切替中に空気環境が変化している可能性があるため、再開前に再測定します。

雨天時は、送風機と電源設備の防水だけでなく、地表水の流入を防ぎます。浸水、排水、急な水位変化があった場合は作業を中止し、空気環境と避難経路を再確認します。

換気装置を停止するのは、内部に人がいないことを人員点検で確認した後です。工具回収や追加撮影で再入場するときも、測定、換気、人員確認、監視を省略しません。

酸欠対策で起こりやすい現場の見落とし

代表的な見落としは、マンホールの蓋を開けたことで換気が完了したと考えることです。開口部付近だけ空気が入れ替わり、奥側、床面、区画裏に古い空気が残る場合があります。

次に、入口で一度測定し、その値を内部全体へ当てはめることです。構造、区画、作業位置、高さに応じて測定地点を決めます。

測定で18%以上だったから酸素欠乏危険場所ではないと判断することも誤りです。電線やケーブルを収容する暗きょ、マンホール、ピットは、法令上の場所区分により酸素欠乏危険場所となるため、測定値が正常でも作業主任者、教育、換気、人員確認、監視などの管理を省略できません。

前日や前回の値を流用することも避けます。測定はその日の作業開始前に行い、再入場時や異常時にも必要な測定を行います。

短時間なら安全という判断も危険です。点検、写真撮影、工具回収も立入作業です。短時間であっても低酸素空気を吸入すれば重大な災害につながる可能性があります。

送風機の音だけで換気できていると判断してはいけません。ダクトが外れ、つぶれ、吸気口がふさがれていれば、作業位置へ空気は届きません。換気後の測定で効果を確認します。

測定器の警報を誤作動と決めつけることも事故につながります。まず退避し、安全な場所で機器と環境を確認します。警報設定を勝手に変更したり、警報を止めて作業を続けたりしてはいけません。

監視人が交通誘導、資材運搬、書類作成を兼ね、作業状況を常時把握できない状態も見直します。法令は監視人を置くなど異常を早期に把握する措置を求めており、名目だけの配置では不十分です。

救出用具を車両内や離れた倉庫に保管しているだけでは、緊急時に使用できません。必要な用具は現場近くに配置し、点検済みで直ちに使える状態にします。

安全対策を形骸化させない教育と記録管理

酸欠対策を継続するには、設備や手順だけでなく、教育と記録管理が重要です。同じ場所での反復作業ほど、前回安全だったという思い込みにより確認が省略されやすくなります。

教育では、酸素濃度18%という数値だけでなく、場所区分によって法令上の管理が必要になること、測定値が正常でも手順を省略できないこと、なぜ換気を継続するのか、なぜ無防備な救助が危険なのかを説明します。

新規入場者、応援作業者、撮影担当者にも、現場固有の危険性を共有します。経験年数が長くても、その電線共同溝の構造、浸水履歴、換気経路、連絡方法を知らなければ適切に行動できません。

作業前には、測定地点、換気装置、退避経路、通信、救出用具、立入禁止範囲を現地で確認します。図面や写真は理解を助けますが、現況との差異を確認して使用します。

法定測定記録には、測定日時、方法、箇所、条件、結果、測定者、防止措置の概要を記載し、三年間保存します。異常がなかった日の記録も残し、閉鎖期間、降雨、季節、排水状況との関係を振り返ります。

換気設備についても、機器、ダクト長、配置、運転開始と停止、点検、異常、再測定を記録します。送風機交換、ダクト移動、停電があった場合は、その後の再確認を明確にします。

入退場記録、作業主任者の指示、監視担当、教育実施、救出用具点検も一つの作業記録として関連付けると、手順の抜けを確認しやすくなります。

作業終了後には、計画どおり換気できたか、測定地点は適切だったか、通信に死角がなかったか、退避経路が妨げられなかったかを振り返ります。課題は次回の手順書と設備配置へ反映します。

位置情報付き写真は、特殊部の位置、開口部、換気装置、ダクト、立入禁止範囲、測定地点を関係者で共有する補助資料として役立ちます。ただし、写真管理システムやLRTK Phoneは、酸素濃度計、ガス検知器、換気装置、通信装置、法定記録の代わりにはなりません。撮影担当者も立入管理の対象とし、安全手順を守った範囲で記録します。

まとめ

電線共同溝の特殊部など、電線や通信ケーブルを収容する暗きょ、マンホール、ピットの内部は、法令上の酸素欠乏危険場所に該当するものとして確認し、測定値が正常でも必要な管理を省略しないことが重要です。

基本となるのは、危険場所と作業区分の確認、作業主任者の選任、特別教育、その日の作業開始前の測定、作業位置まで届く換気、人員点検、監視と連絡、異常時の退避、救出用具の準備です。

酸素濃度は18%以上に保つよう換気し、第二種酸素欠乏危険作業では硫化水素濃度も10ppm以下に保ちます。作業内容や周辺環境に応じて、一酸化炭素、可燃性ガス、溶剤蒸気なども測定対象に加えます。

警報、換気停止、体調異変、通信途絶が起きた場合は、原因調査より退避を優先します。救助時は無防備に入らず、空気呼吸器等と救出体制を確保します。

測定記録は必要事項を記載して三年間保存し、換気、入退場、監視、教育、救出用具の記録と合わせて次回の計画改善に活用します。電線共同溝の酸欠対策は、設備を置くだけではなく、法令に沿った役割分担と、作業中に変化する空気環境を継続して管理することで実効性を高められます。

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