LRTKレフィクシア株式会社

ドローン飛行制限下の市街地でのLiDAR地形測量:安全で高精細な地形データ取得を実現

はじめに

近年、ドローンを活用したLiDAR(ライダー)測量が地形データの効率的な取得手法として注目されています。レーザーによる3次元計測で高精細な地形情報を短時間で取得できるため、都市開発やインフラ管理、防災計画など幅広い分野で活用が進んでいます。しかし、都市の中心部や住宅密集地(市街地)では、ドローンの飛行に規制があるため、思うように上空からの測量ができないケースが少なくありません。では、ドローンを自由に飛ばせない市街地において、どのように安全に高精細な地形データを取得すれば良いのでしょうか。本記事では、ドローン飛行制限下の市街地でのLiDAR地形測量について、その重要性と課題、そして安全で高精細なデータ取得を実現するためのソリューションを詳しく紹介します。

市街地における地形測量の重要性

市街地で正確な地形測量を行うことは、都市計画や建設、防災対策において極めて重要です。ビルや道路が立ち並ぶ都市環境では、地表の微妙な高低差や傾斜が排水計画や地盤解析に影響を与えるため、詳細な地形データが欠かせません。また、再開発やインフラ整備の際には、最新の地形情報に基づいて設計・施工を行う必要があります。従来の紙地図や既存の測量データでは、都市部の複雑な地形変化や人工構造物による影響を十分に把握できない場合があります。そこで、高密度な点群データが得られるLiDAR測量によって、市街地の現況を立体的かつ高精度に記録することが求められています。正確な地形データは、都市の安全性向上や効率的な開発計画策定に直結する基盤情報となるのです。

ドローン飛行制限とその背景

都市部の上空でドローンを飛行させるには、法律上の厳しい制限があります。日本では航空法により、空港周辺や人口集中地区(DID)上空、および地表から150m以上の空域では、無許可でのドローン飛行が原則禁止されています。市街地はまさにこの人口集中地区に該当するため、特別な許可なくドローンを自由に飛ばすことはできません。ドローンを市街地で飛行させる場合、国土交通省の地方航空局への事前申請と許可取得が必要であり、飛行日時や高度、範囲、安全対策など細かな条件を守ることが求められます。

こうした規制の背景には、安全確保の重要性があります。万が一ドローンが墜落すれば、人や建物への被害につながりかねません。また、都市部では有人ヘリコプターや航空機との空域調整、プライバシーへの配慮なども課題となります。2022年末には、有人地帯で補助者なしの目視外飛行(レベル4飛行)も条件付きで解禁され、資格を持つ操縦者と認定機体であれば市街地飛行が可能となりました。しかし依然として高い安全基準と責任が求められ、一般的な測量用途で気軽に実施できるものではありません。つまり、市街地における地形測量では法規制を遵守しつつ、安全にデータを取得できる代替手段が不可欠なのです。

市街地での地形測量における課題

ドローンが自由に使えない市街地で正確な地形測量を行うには、いくつかの課題を克服する必要があります。主な課題は以下の通りです。

  • 法規制のハードル: 前述の通り、法律上の飛行禁止区域である市街地ではドローン測量が容易ではありません。許可取得には時間と手間がかかり、条件も厳格です。
  • 安全確保の難しさ: 人や車が行き交う都市環境での測量では、機材の落下や接触事故を防ぐ安全対策が不可欠です。ドローンに限らず、重たい測量機器を持ち込む場合でも、第三者への影響を最小限にする配慮が求められます。
  • 作業負担と効率: ドローンを使えない場合、従来の地上測量では人力で多数の測点を計測する必要があり、広範囲のデータ取得には膨大な時間と労力がかかります。交通量の多い道路では測量のための通行規制が必要になることもあり、作業効率の低下やコスト増大につながります。
  • データ精度・密度の確保: 人力測量や従来手法では、取得できる地点数や精度に限界があります。市街地では建物や樹木が視界を遮り、一方向からでは死角が生じやすいため、詳細な地形や構造物形状を漏れなく捉えるのが難しくなります。高密度な点群データを得るには、より高度な計測技術が必要です。

こうした課題を踏まえ、市街地の測量では新たなアプローチによる解決策が求められています。次に、その鍵となるLiDAR技術とドローンを用いない測量手法について見ていきましょう。

LiDAR技術による高精細な地形データ取得

LiDAR(Light Detection and Ranging)は、レーザーパルスを対象物に照射して反射光を計測することで、高密度な3次元データを取得する技術です。LiDARによって得られる点群データは、地形の微細な凹凸や構造物の形状を高精度に表現できます。従来のトータルステーションやレベルを用いた測量では、点と点を結んで地形を推定するため、どうしてもデータが粗くなりがちでした。それに対し、LiDAR測量では毎秒数十万点もの測距点を取得できるため、地表面をまるごと「スキャン」するように詳細な測量が可能です。

さらにLiDARはアクティブセンサーであるため、日中はもちろん夜間でも測量が行え、多少の暗所や影があっても問題ありません。樹木の葉が生い茂る場所でも、レーザは隙間を通り抜けて地面まで届くため、写真測量では地表が見えない場所でも地盤形状を捉えられるという利点もあります。都市部においても、LiDARで取得した点群を処理すれば、詳細なデジタル地形モデル(DTM)や等高線図、断面図などを作成することができます。要するに、LiDAR技術を活用すれば、短時間で安全に膨大な量の地形情報を収集し、都市の現況を精細に把握できるのです。

ドローンを使わない地形測量の方法

では、ドローンが使えない環境で地形データを取得するには、どのような方法があるのでしょうか。ここでは、市街地で活用可能な主な代替測量手法を紹介します。

  • 地上型3Dレーザースキャナー: 三脚据え付け型のレーザースキャナーを用いる方法です。建物の室内測量などにも使われる高精度機器で、セットアップした地点ごとに周囲360度の点群を取得できます。ただし、広いエリアを測るには複数地点での計測と点群どうしの合成が必要です。絶対座標(グローバル座標)を与えるには現場に既知点となるターゲット(標識)の設置や測量も必要なため、市街地全域をカバーするには手間がかかります。
  • モバイルマッピング: 自動車や台車など車両にLiDARを搭載して走行しながら測量する方法です。道路網に沿って高速にデータ収集でき、交通インフラの維持管理では広く使われています。しかし、車両が入れない細い路地や階段、公園内などでは計測できない部分が生じます。また、車高より上の高所や建物屋上部分の地形は捉えられないため、取得データの範囲に限界があります。
  • ハンディ型3Dスキャナー: 人が手で持って移動しながら計測できる小型のLiDAR機器です。歩行者が入れる場所であれば自由に動き回って測量できるため、障害物を避けつつ詳細な点群を取得できます。通常、内部に慣性計測装置(IMU)や画像処理による自己位置推定(SLAM)技術を持ち、GNSSが受信できない場所でも位置を推測しながらスキャン可能です。ただ、取得した点群にグローバル座標を与えるには基準点との照合が必要になるケースもあります。
  • 地上写真測量(フォトグラメトリ): カメラで地上から多数の写真を撮影し、ソフトウェアで3次元モデルを再構築する方法です。ドローンの空撮写真を使う手法の地上版といえます。地上からの撮影では建物や車の陰で死角が生じやすく、高い場所の情報も得にくいため、十分なカバー範囲を確保するには工夫が要ります。また、写真測量は光の条件やテクスチャに結果が左右され、絶対精度を出すには既知点での調整が必要です。

以上のように、一長一短ある様々な方法が存在します。近年ではこれらの手法を組み合わせ、例えば車載LiDARで広域を測りつつ、人が届かない場所だけを地上型スキャナーで補うといったハイブリッドな活用も行われています。次章では、特にハンディ型のLiDAR技術を活用した新しい解決策に焦点を当てます。

安全かつ効率的な新技術:LRTK LiDARの活用

上記の課題を解決する新たなソリューションとして注目されているのが、ハンディ型3Dレーザースキャナー「LRTK LiDAR」の活用です。LRTK LiDARはGNSS(衛星測位)と高性能LiDARを一体化した最新の測量機器で、市街地でも安全かつ効率的に地形点群を取得できます。その主な特長を見てみましょう。

  • GNSS-RTK内蔵でマーカー不要: LRTK LiDAR本体に高精度GNSSアンテナが組み込まれており、測量と同時にセンチメートル級の位置情報(絶対座標)を付与できます。従来必要だったターゲット設置や後処理での位置合わせが不要になり、現場の準備・片付け時間を大幅に削減します。
  • 最大200m先まで高精細に計測: 長距離対応のレーザースキャナーにより、遠方の地形や構造物も詳細に捉えられます。地上から手が届かない高架橋の上部や電線のような細い対象物まで、離れた場所から安全に点群化することが可能です。
  • 広範囲を短時間でカバー: スキャンしながら移動する手持ち式のため、数ヘクタール規模のエリアでも短時間で一通り測量できます。機動力が高く、必要に応じて敷地内を歩き回るだけでデータ収集が完結します。
  • 簡単操作とリアルタイム確認: 専門的なスキルがなくても扱える直感的な操作性で、現場担当者がその場で計測を実施できます。取得中の点群データを画面でリアルタイムに確認できるため、測り漏れがあればすぐ補完可能です。誰でも安定した品質の測量成果を得られます。
  • ドローン不要で安全: 地上からの計測なので航空法の飛行許可は不要で、周囲の安全を確保しやすいメリットがあります。狭い市街地でも上空に機体を飛ばすリスクがないため、第三者に配慮しながら高精細データを取得できます。複数の点群データも絶対座標にもとづきクラウド上で自動合成できるため、後処理で頭を悩ませる必要もありません。

このようにLRTK LiDARを活用すれば、ドローンを飛ばせない市街地においても安全に高精度な地形測量が実現します。歩行者目線の高さから周囲をスキャンすることで、都市空間のあらゆる角度のデータを取得でき、従来以上に詳細な現況把握が可能となります。最新技術の導入により、測量作業のDX(デジタルトランスフォーメーション)が進み、現場の生産性と安全性が飛躍的に向上するでしょう。今後、都市部の測量ニーズに応えるためにも、こうした先端技術の活用が主流となっていくことが期待されます。

FAQ

Q: 市街地でドローンを使わずに地形測量を行うにはどうしたら良いですか?
A: ドローンを飛ばせない環境では、地上からのレーザースキャナ計測など代替手法を活用します。特に有効なのが、ハンディ型のLiDARスキャナーを使う方法です。LRTK LiDARのようなGNSS内蔵型であれば、地上を歩きながら高精度の点群データを収集でき、ドローンを使わなくても市街地の詳細な地形測量が可能です。また、必要に応じて三脚固定式スキャナーや地上写真測量と組み合わせることで、ドローンなしでも十分な成果を得られます。このように工夫することで、法律の制約がある環境でも必要な地形データを安全に取得できます。

Q: LiDAR測量で取得できるデータの精度や成果品はどのようなものですか?
A: LiDAR機器や測位条件にもよりますが、RTK-GNSSを利用したLiDAR測量では数センチ程度の誤差で点群データを取得できます。これは地形図作成や設計用途にも耐えうる精度です。成果品としては、まずレーザで取得した点群そのものがあります。この点群データを処理・解析することで、等高線を描いた地形図やデジタル地形モデル(DTM)、断面図、さらには3Dモデルの作成も可能です。従来の測量では得られなかった高密度な地形情報を活かし、土量計算やシミュレーションなど高度な分析にも利用できます。また、点群処理には専用ソフトウェアやクラウドサービスを用いることで、効率的に図面化・データ共有が行えます。

Q: なぜ市街地ではドローンの飛行が制限されているのですか?
A: 最大の理由は安全確保のためです。人家や人通りの多い市街地でドローンを飛ばすと、万一墜落した場合に人身事故や物的被害につながる恐れがあります。そのため法律で人口集中地区の上空は許可なく飛行できないと定められています。また、プライバシー保護や騒音の問題から自治体ごとに細かなルールが設けられている場合もあります。許可を得て飛行させる場合でも、第三者上空を避ける、補助者を配置するなど厳重な安全対策が必要となります。

Q: LiDAR測量と従来の測量方法では何が違いますか?
A: LiDAR測量はレーザによって面として地形を計測できる点が大きな違いです。従来のトータルステーション等では1点ずつ測るため、広範囲を詳細に把握するには膨大な手間がかかりました。LiDARなら短時間で何百万点もの測定が可能なため、地表をすべて網羅する詳細なデータが得られます。また、写真測量(フォトグラメトリ)と比較しても、LiDARは夜間でも使用可能で、樹木の下の地面などカメラでは見えない部分も捉えられるという利点があります。一方で、従来測量は機器が比較的安価で手軽というメリットもありますが、近年はLiDAR機器の小型化・低価格化が進み、誰もが使える技術になりつつあります。

Q: 雨天や夜間でもLiDAR測量は可能でしょうか?
A: はい、LiDARは夜間でも問題なく動作します。暗闇でも自らレーザ光を照射するため、夜間やトンネル内の測量にも適しています。ただし、雨や霧など空気中に粒子が多い状況ではレーザが散乱・減衰して精度が落ちる可能性があります。小雨程度であれば実施できますが、強い雨天時の計測は避けた方が無難です。また、LiDARは日中の強い日差しの影響も受けにくいため、一日を通して安定した測定が行えますが、機材の防水・防塵対策も考慮する必要があります。天候が良好な日を選べば、時間帯を問わず安定した精度でLiDAR測量を行えます。

Q: LRTK LiDARを使用するのに特別な資格や訓練は必要ですか?
A: LRTK LiDAR自体の操作に特別な資格は必要ありません。直感的なアプリ操作で誰でも扱えるよう設計されており、現場担当者が短時間のトレーニングで利用可能です。また、地上からの測量なのでドローンのような飛行許可や操縦ライセンスも不要です。ただし、測量士等の国家資格が求められる業務(公共測量など)で正式な成果として利用する場合は、そうした資格保有者によるデータ検証や申請手続きが必要です。いずれにせよ、LRTK LiDARの導入によって、これまで専門業者に依頼していた高精度測量を自社内で手軽に実施できるようになる点は大きなメリットです。

Q: LiDARのレーザ光は人に当たっても大丈夫ですか?
A: 測量用LiDARに使われるレーザは、一般にクラス1という安全基準を満たした光源で、人の目や皮膚に当たっても無害とされています。波長にもよりますが、多くの場合赤外光で目に見えないレーザを使用しており、出力も安全基準内に制御されています。現場で誤って人や自動車に照射してしまっても、直射日光程度の反射光しか届かないため影響はありません。ただし、機器の取扱説明に従い、極端に近距離からセンサーを覗き込むような行為は避けるべきです。適切に使用する限り、LiDAR計測は人々にとって安全な非接触測量手法です。

Q: LiDARで収集した点群データは量が多くデータ容量も大きいですが、扱うのは難しくありませんか?
A: LiDAR測量で得られる点群データは数十万点から数億点に及ぶ大量な情報量ですが、現代はソフトやクラウドを活用することで効率的に扱えます。LRTKクラウドなどを利用すれば、大容量点群もWeb上で閲覧・処理が可能で、高性能PCや専門ソフトがなくても平均的なスペックのパソコンで処理が行えます。また、点群を一部除去したり区切りごとに分割するフィルタリング機能も進化しているため、必要な情報だけを抽出して土量計算に使うといった実務も楽になっています。このように、大量のLiDARデータも現代のツールを活用することで無理なく利用できる環境が整ってきています。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

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