地中埋設管の立上り部で根元破損が起こりやすい理由
地中埋設管は、道路や敷地の地下を水平に通る区間だけで完結するとは限りません。建物内の設備、屋外機器、弁類、受水設備、各種配管設備などへ接続するため、地下から地上方向へ立ち上げる部分が設けられることがあります。この立上り部は、地中埋設管の中でも力のかかり方が変化しやすく、根元付近の破損に注意したい場所です。
水平に埋設されている管は、管底や管側面の周囲に配置された埋戻し材や地盤によって支持されます。一方、地表から露出した管は地盤による支持を受けなくなり、支持金具、架台、構造物、接続先設備などによって保持されます。つまり、立上り部の根元は「地盤で支えられる配管」と「地上の支持構造で支えられる配管」の境界になります。
この境界付近で問題になりやすいのが、両者の動きの違いです。埋戻し後の地盤が沈下しても、地上側の配管や設備基礎が同じ量だけ沈下するとは限りません。地中側だけが沈下すると、立上り部に曲げが生じます。反対に、地上設備側の変位や振動が配管へ伝われば、その力が地下の拘束された部分との境界に集中する場合があります。
立上り高さが大きい場合は、横方向から受ける力にも注意が必要です。地上に出ている管の上部へ人や資材が接触すると、根元を支点として曲げるような力が作用します。立上り高さが大きくなるほど、同じ程度の横方向の力でも根元への影響が大きくなる可能性があります。
また、地中埋設管の立上り部は、水平管から鉛直管へ向きを変えるため、曲がり部が近接することが多い場所です。さらに継手、弁、支持部などが集中すると、一つの狭い範囲に複数の拘束条件が生まれます。施工時に位置を合わせるため管を無理に押したり引いたりした状態で固定すれば、供用開始前から根元付近に負担が残る可能性があります。
温度条件の違いも考慮したい点です。地下は外気の影響を比較的受けにくい一方、地上へ露出した管は気温や日射などの影響を受けます。配管材料や立上り長さ、支持条件によっては、地上側で生じた伸縮を拘束することで別の位置へ力が伝わる場合があります。
そのため、地中埋設管の立上り部で根元破損を防ぐには、根元だけを局所的に硬くすればよいとは限りません。地下側の支持を安定させること、地上側で適切に支持すること、地中側と地上側の変位差を無理なく処理すること、そして外部からの衝撃を受けにくくすることを組み合わせて考える必要があります。
補強1 根元周辺の支持と埋戻しを安定させる
地中埋設管の立上り部を補強するうえで最初に確認したいのが、根元周辺の支持状態です。地上から見える部分だけに補強材を追加しても、地下の管底や曲がり部が不安定であれば、沈下や傾きによって再び根元へ負担が集中する可能性があります。
特に注意したいのが、水平管から立上り管へ向きを変える曲がり部の下側です。曲がり部の形状によっては、管の下に埋戻し材を十分に入れにくく、空隙が残ることがあります。その状態で上から埋戻しを進めると、施工直後は管が保持されているように見えても、その後の締まりや荷重によって管が沈下する場合があります。
また、立上り管の裏側や構造物との狭い隙間も、締固め作業が難しい場所です。締固め不足となった部分が時間の経過とともに沈下すれば、周囲との高低差が発生し、配管に不均一な力が作用する可能性があります。
根元周辺を施工するときには、設計図書や施工条件に従い、管底から周囲へ連続的に支持される状態をつくることが重要です。ただし、一部だけを極端に硬くすることにも注意が必要です。根元の一部分だけがほとんど動かず、その先の水平管が沈下すれば、硬い部分と動く部分の境界に曲げが集中する可能性があります。
埋戻し材の種類や一層ごとの施工方法は、管種、管径、道路条件、施設用途などによって異なります。そのため、すべての現場について一律の施工厚や締固め方法を当てはめるのではなく、適用される設計図書、仕様、施工要領などを確認する必要があります。
立上り管の近くでは、大きな締固め機械を無理に使用すると、機械そのものが管に接触する危険があります。一方で、接触を恐れて締固めが不足すれば、後から沈下する原因になります。使用する施工機械と作業空間を考え、管を傷めずに必要な締固めができる施工手順を計画することが大切です。
立上り部が建物基礎や設備基礎の近くにある場合には、構造物側と埋戻し部側で沈下特性が異なることにも注意します。強固な基礎に接続された設備はほとんど動かなくても、その周囲の埋戻し部だけが沈下することがあります。すると、地上設備につながった配管と地下の水平管の間に相対的な変位が発生します。
雨水や地下水の影響を受ける場所では、管周辺の土砂が流出しないことも重要です。表面から流入した水によって細かい土粒子が流れたり、地下水の流れによって局所的な空洞が形成されたりすれば、完成後に支持条件が変化する可能性があります。立上り部の周囲に水が集まりやすい地形であれば、地表面の排水状態まで含めて確認しておくと安心です。
埋戻しが進むと根元の地下部分は確認できなくなります。そのため、埋戻し前の段階で管底支持、曲がり部の位置、継手の状態、周辺の充填状況などを確認し、必要に応じて写真や測定結果を記録しておくことが重要です。
根元破損対策の第一歩は、見える部分を強くすることではなく、見えなくなる地下部分を安定した状態で仕上げることです。立上り部を点ではなく、水平管から地上部まで連続した配管として捉えることで、無理の少ない支持状態をつくりやすくなります。
補強2 地上側の支持を設けて曲げ荷重を減らす
2つ目の補強は、地上へ立ち上がった配管を適切な位置で支持し、根元だけに負担を集中させないことです。
地表から立ち上がった管が支持されていない場合、立上り管全体が長いレバーのような状態になります。上部に横方向の力が加われば、地際の根元に曲げが集中しやすくなります。人が触れる程度の力でも、立上り高さや管径、配管材料によっては無視できない負担になる可能性があります。
特に、弁や計器などの重量物が取り付けられる立上りでは、配管本体以外の重量も考慮する必要があります。地上部に取り付けた部材を立上り管だけで支える状態になると、根元へ継続的な荷重が加わります。支持架台などによって重量を適切に受けることで、配管への負担を軽減できる場合があります。
支持部を設ける際に大切なのは、単純に管を強く固定することではありません。固定する方向と動きを許容する方向を整理する必要があります。地上側も地下側も完全に拘束してしまうと、温度変化や地盤沈下などによって発生した変位を吸収できず、かえって特定部分へ負担が集中する場合があります。
例えば、地上の設備に接続された位置が固定点になっている場合、その下側の配管がどのように動くことを想定しているのかを確認します。逆に、立上り管の途中を支持する場合には、その支持点が軸方向や横方向の移動をどこまで許容する構造なのかを確認しておく必要があります。
支持位置が高すぎる場合も注意が必要です。根元から最初の支持点までの距離が長ければ、その間の管に曲げが生じやすくなります。一方、根元のすぐ近くを過度に固定すると、地下側との相対変位が根元周辺へ直接集中する可能性があります。
したがって、支持位置は現場で作業しやすい場所へ適当に設けるのではなく、設計上の考え方に沿って決めることが重要です。配管材料、口径、重量、立上り高さ、接続設備、予想される変位などを確認したうえで施工します。
また、支持金具と管の接触部にも注意します。管表面に防食被覆などがある場合、支持金具による擦れや過度な締付けで表面を傷めないようにする必要があります。金具の形状や締付け状態が不適切であれば、根元とは別の位置に局部的な負担をつくることになります。
操作用の弁がある場合には、保守時の操作力も考えておきます。作業者が配管に体重をかけたり、立上り管を支えにして操作したりする配置では、供用後に想定外の荷重が加わることがあります。作業スペースを確保し、配管そのものへ力をかけなくても点検や操作ができる状態にすることが重要です。
地上側支持の目的は、立上り管を完全に動かなくすることではありません。自重や不要な横振れを抑えながら、必要な変位を無理なく処理することです。支持と拘束を同じ意味で考えず、根元への曲げを減らすためにどの荷重をどこで受けるのかを整理しておくことが大切です。
補強3 変位を吸収できる納まりを検討する
3つ目の補強は、地中側と地上側で異なる動きが生じたとき、その変位が一か所へ集中しない納まりにすることです。
地中埋設管を施工すると、完成後はすべての部分が静止しているように見えます。しかし実際には、埋戻し部の沈下、温度変化、設備振動、周辺荷重などによって配管や周辺構造物がわずかに動くことがあります。
立上り部では、このわずかな動きの差が問題になります。水平管が地盤とともに沈下しても、地上側の設備が基礎へ固定されていれば同じようには沈みません。その差を配管が吸収できなければ、曲がり部、継手、根元などに負担が集中します。
必要に応じて、一定の変位に追従できる継手や配管形状を検討することが対策になります。ただし、可とう性を持つ部材を設ければ、どのような変位にも対応できるわけではありません。部材によって追従できる方向や範囲が異なるため、想定される動きに適した構成を選ぶ必要があります。
確認したいのは、軸方向の伸縮なのか、角度変化なのか、横方向のずれなのかという点です。例えば、上下方向の沈下差が問題になる場所で、別方向の移動だけを想定した納まりにしても、十分な効果を得られない可能性があります。
配管自体の曲がりや延長を利用して変位を吸収する考え方もあります。ある程度の長さを持たせることで、配管がわずかに変形しながら変位を受けられる場合があります。ただし、必要な長さや許容できる変形は管の材料、口径、接続方法などで異なるため、現場の感覚だけで判断しないことが重要です。
また、変位を吸収する部分の前後にどのような支持を設けるかも重要です。自由に動かす部分と固定する部分の位置関係が不適切であれば、想定した場所ではなく別の継手や曲がり部へ変位が集中することがあります。
建物への引込みや大型設備の近くでは、地盤と構造物の境界位置を意識します。基礎周辺の埋戻し部が沈下し、構造物が比較的安定している場合、ちょうどその境界付近に立上り部があると負担が集中しやすくなります。
設備から振動を受ける配管でも同様です。振動する設備と地中埋設管を直接つなぎ、途中の支持や変位吸収を考慮しなければ、繰り返し荷重が根元付近へ伝わる可能性があります。振動源の種類や運転条件に応じて、支持方法や接続方法を検討します。
地震時の変位について考慮が必要な施設では、平常時の沈下や温度変化だけでなく、施設に求められる耐震性能も確認する必要があります。必要となる対策は管種や施設用途、設計条件によって異なるため、適用される設計基準や仕様に基づいて判断します。
この補強で重要なのは、「硬くすることだけが補強ではない」という考え方です。根元へ力が集まらないよう、必要な変位を安全に逃がせる構造をつくることも立派な補強です。
補強4 外力を受けにくい保護構造を整える
4つ目の補強は、立上り管そのものに大きな外力が加わらないようにすることです。
地下に埋設されている水平管は、人や車両が直接触れることは通常ありません。しかし地上へ露出した立上り部は、施工車両、維持管理車両、建設機械、運搬資材、作業者などと接触する可能性があります。
例えば、駐車場や構内道路の近くに立上り部が配置されている場合、車両が誤って接近することを想定する必要があります。通常は車両が入らない場所でも、点検や改修工事の際に作業車が進入する可能性があります。
資材置場に近い場合には、資材の仮置きや運搬中の接触も考えられます。完成時には問題のない配置でも、供用後に施設の使われ方が変わり、立上り管の周辺が通路や置場として利用されることもあります。
そこで、必要に応じて防護部材や保護空間を設け、配管へ直接衝撃が加わらないようにします。ただし、防護構造を立上り管そのものへ固定すると、防護部材が受けた力を配管へ伝えてしまうことがあります。保護の目的と荷重の伝わり方を整理して設置することが重要です。
防護部材の基礎を新しく設ける場合には、地下の地中埋設管との位置関係にも注意します。地上の立上り部を守るために設置した基礎が、地下の水平管の直上へ荷重を集中させるような状態は避けなければなりません。
歩行者が多い場所では、立上り管が通行の妨げにならないことも重要です。人が頻繁に接触するような配置であれば、根元への負担だけでなく安全面の問題も生じます。
さらに見落としやすいのが、工事中の仮設期間です。完成時には防護柵などで守られる予定でも、埋戻し後から外構完成までの間は立上り部が無防備になることがあります。その期間に重機や資材が接触すると、完成前から管が傾いたり、根元に変形が残ったりする可能性があります。
工事中は立上り管の周辺を明確にし、重機の旋回範囲や資材搬入経路と重ならないように管理します。仮設の養生を設ける場合も、養生材自体が風や接触によって配管へ力を伝えないよう注意します。
立上り部の根元破損を防ぐには、配管の強度を高めるだけでなく、外力を発生させない環境づくりが重要です。配置、動線、防護、仮設養生まで含めて考えることで、施工後の接触による破損リスクを減らしやすくなります。
立上り形状と曲がり部の納まりを施工前に確認する
4つの補強を有効にするためには、立上り部を施工する前に配管形状と周囲の納まりを確認しておくことが重要です。
図面上では、水平管から直角に立ち上がる単純な形状として示されていても、実際の現場には基礎、他の埋設物、舗装、構造物、支持架台などがあります。施工スペースが不足していると、予定した曲がり位置を確保できず、現場で無理に位置を合わせようとすることがあります。
このとき、地上側の接続先と立上り管の位置がずれているからといって、管を横方向へ押した状態で接続すると、施工直後から内部に負担が残る可能性があります。
配管が接続できたことだけを確認するのではなく、接続前後で管に無理な変形がないかを見ることが大切です。継手の位置、差込み状態、曲がり部の姿勢、支持点との位置関係などを確認し、自然な状態で組み立てられていることを確認します。
立上り管の鉛直性も確認項目の一つです。ただし、完成時に鉛直へ見えるよう無理やり修正すればよいわけではありません。傾いている場合には、地下の管が動いているのか、接続先設備がずれているのか、仮固定の位置が悪いのかなど、原因を確認することが重要です。
地中埋設管は埋戻し後に修正しにくくなります。そのため、設備側の接続位置や仕上がり高さが分かっている場合は、埋戻し前に可能な範囲で整合を確認しておきます。
後工程で地上設備との位置が合わないことが分かると、既に固定された立上り管を無理に引き寄せる施工につながることがあります。根元破損を防ぐには、後から合わせるのではなく、地下部分が見えている段階で位置関係を確認することが重要です。
根元を過度に固定するときの注意点
地中埋設管の立上り部で根元破損を防ぐというと、根元周囲を硬い材料で固めれば強くなると考えやすいものです。しかし、局所的な固定を強くすることで、別の部分へ負担が移る可能性があります。
例えば、根元付近だけをほとんど変位しない状態にして、その先の水平管が一般的な埋戻し部にある場合を考えます。周辺地盤がわずかに沈下すると、固定された部分と沈下する部分との境界で配管が曲げられる可能性があります。
つまり、固定部そのものが破損しなくても、固定部のすぐ外側へ弱点を移してしまう場合があります。
コンクリートなどを用いた固定や補強が設計上必要になるケースもありますが、その場合には何の荷重に抵抗するための構造なのかを明確にすることが重要です。管の移動を防ぐためなのか、特定方向の力を支持するためなのか、設備基礎との関係で固定するのかによって考え方は変わります。
また、配管材料によっては、管表面の保護、防食、伸縮などについて考慮すべき事項が異なります。現場判断で材料を直接巻き立てるのではなく、設計図書や施工要領との整合を確認する必要があります。
将来の維持管理も考慮したい点です。立上り部は設備更新や配管切替の際に改修対象となることがあります。必要以上に一体化すると、将来の補修や撤去が難しくなる場合があります。
根元補強は「硬ければ硬いほどよい」と考えず、配管全体として力がどこへ流れるのかを考えることが大切です。
埋戻し時に立上り管を動かさない施工管理
地中埋設管の立上り部は、配管を組み終わった時点で正しい位置にあっても、埋戻し作業中に移動することがあります。
特に立上り管は地上へ長く伸びているため、地下の水平管に比べて横方向へ動きやすい場合があります。埋戻し材を一方向から大量に投入すると、その圧力で管が押される可能性があります。
管の片側だけを先に埋め戻すと、左右で異なる力が加わることもあります。作業条件に応じて周囲を均等に埋め戻し、立上り管の位置や姿勢を確認しながら施工することが重要です。
締固め作業でも同様です。管の近くで機械を使用するときには、直接接触させないことに加え、管が施工前の位置から動いていないか確認します。
地上側だけを見ているとわずかな移動に見えても、地下の曲がり部や継手では想定以上の変位が生じている場合があります。途中で位置が変わった場合は、単に立上り管を元へ押し戻すのではなく、地下側の状態も確認できる段階で原因を確認することが大切です。
仮固定を利用して位置を保持する場合には、固定方法と撤去時期を管理します。埋戻し途中で早く撤去すれば管が動く可能性がある一方、本来撤去すべき仮設材を残せば完成後の変位を妨げる可能性があります。
施工前に、いつ仮固定を行い、どの段階で解除するのかを決めておくと管理しやすくなります。
高さの確認も重要です。水平管が埋戻し中に沈下すると、立上り高さも変化します。後から地上設備を設置する場合には、必要な接続高さを確保できなくなることがあります。
埋戻し完了後に高さ不足が判明すると、立上り管を引き上げたり接続側を無理に合わせたりする原因になります。埋戻し工程の途中でも基準高との関係を確認しておくことが有効です。
配管材料や用途によって補強方法を使い分ける
地中埋設管にはさまざまな材料や用途があり、すべての立上り部を同じ方法で補強できるわけではありません。
金属系の管と樹脂系の管では、剛性、伸縮性、継手構造、表面保護などが異なります。口径や肉厚によっても曲げに対する挙動は変わります。
そのため、「以前の現場でこの補強をしたから今回も同じでよい」という判断は避け、今回使用する配管と施工条件に適した方法かどうかを確認する必要があります。
例えば、比較的柔軟な管では変位へ追従しやすい反面、地上部を長く立ち上げると横方向へ動きやすくなる場合があります。一方、剛性の高い管では形状を保ちやすくても、変位が局所的な曲げとして集中する可能性があります。
接続される設備の用途によっても条件は変わります。流体圧力を受ける配管、排水を目的とした配管、電線類を収容する管路などでは、立上り部に求められる性能が同じとは限りません。
圧力を受ける配管では、内圧によって曲がり部などへ力が発生する場合があるため、設計上の支持条件を確認します。排水系統では、勾配や接続高さを維持することが重要になる場合があります。
電線類を収容する管路では、管そのものが損傷していなくても、立上り部の変形によって内部の通線性へ影響する可能性があります。
そのため、根元破損対策を検討するときは、単に管が折れなければよいという考え方ではなく、その配管が本来果たす機能まで含めて確認します。
施工現場では、配管用途、材料、口径、接続方法、埋設深さ、立上り高さ、支持条件などを施工前に整理しておくと、どの部分を重点的に確認すべきか判断しやすくなります。
施工後の点検で根元破損の兆候を確認する
立上り部の補強は、施工が終われば管理も終了というわけではありません。埋戻し後の沈下や外力によって、時間の経過とともに状態が変わる可能性があります。
施工後に確認しやすい項目の一つが、立上り管の傾きです。完成時より傾いている場合には、根元周辺の地盤が沈下したり、地下の水平管が移動したりしている可能性があります。
小さな変化は目視だけでは判断しにくいため、施工時の状態を写真などで記録しておくと比較しやすくなります。
根元周囲の地表面も確認します。土や舗装が局所的に沈んでいる、管の周囲に隙間ができている、雨水が集まりやすくなっているといった変化は、地下の埋戻し状態が変化している可能性を考えるきっかけになります。
支持金具については、緩み、変形、腐食、位置ずれなどを確認します。支持点が移動していれば、当初想定とは異なる荷重が立上り管へ作用している可能性があります。
継手や地際部では、漏れ、にじみ、ひび割れ、変形など、外観から確認できる異常がないかを見ます。配管用途によって異常の現れ方が異なるため、対象設備に応じた点検方法を採用する必要があります。
立上り管と周辺構造物との離隔も確認ポイントです。施工時には離れていた管が壁や基礎へ接触していれば、何らかの変位が発生したことが分かります。
防護構造を設置している場所では、防護部材の変形や衝突痕も見逃せません。防護部材が大きな外力を受けていれば、その影響が配管へ伝わっていないか確認する必要があります。
地中埋設管は地下部分を簡単に目視できないため、立上り部は地下側の状態を推測する手掛かりにもなります。定期的に同じ位置から観察できるようにしておけば、小さな変化を把握しやすくなります。
地中埋設管の立上り部を位置情報とともに記録する
地中埋設管の維持管理では、施工品質だけでなく位置情報を残しておくことも重要です。
立上り部は地表から確認できるため、その場所自体を見失うことは比較的少ないものの、地下で水平管がどちらへ延びているのか、どの位置で曲がっているのかは、完成後には分かりにくくなります。
将来、周辺で掘削や設備更新を行う際、地中埋設管の経路を正確に把握できなければ、誤って配管へ接触する危険があります。
そのため、埋戻し前には立上り位置だけでなく、水平管との接続点、曲がり部、継手位置などを必要に応じて記録しておくことが有効です。
写真を撮影するときには、管だけを近くから撮影する写真だけでなく、周囲の構造物や基準となる場所との位置関係が分かる写真も残しておくと、将来確認しやすくなります。
ただし、写真のみでは距離や正確な位置を復元しにくい場合があります。施工図や出来形記録、位置測定結果などと関連付けて管理することで、情報の利用価値を高められます。
位置座標を記録する場合には、使用した座標の基準も管理します。座標値だけが残っていても、どの座標系や高さ基準による値なのか分からなければ、将来現場で再現しにくくなるためです。
立上り位置では、地上に出ている点だけではなく、管路が地下へどちらの方向に延びているかも記録しておくと便利です。地上から見える一本の立上り管だけでは、地下の配管方向を判断できない場合があります。
施工時に地中埋設管の位置を高精度に記録したい場合は、現場で位置情報を取得できる測位機器を活用する方法もあります。埋戻し前の状態で主要な曲がり部や継手、立上り根元などを測定しておけば、完成後の維持管理資料として利用できます。
LRTK Phoneを活用する場合も、単に立上り位置を一点だけ記録するのではなく、水平管から立上りへ移行する位置、管路方向、周辺構造物との関係など、後から必要になる情報を意識して記録することが大切です。
衛星測位を利用した位置情報は、周囲の建物や構造物、上空の見通しなどによって測位状態が変わる場合があります。そのため、取得した座標だけを無条件に正しいものとして扱うのではなく、測位状態を確認し、必要に応じて現場基準や寸法記録と照合します。
写真、位置情報、施工図、出来形記録を組み合わせて残しておけば、将来の掘削前確認や改修計画を立てる際に、地下配管の位置を把握しやすくなります。
立上り部は地中埋設管と地上設備の接点であると同時に、地下配管の位置を将来たどるための重要な手掛かりです。施工時に根元の補強状態と位置情報をセットで残しておくことが、長期的な維持管理につながります。
まとめ
地中埋設管の立上り部は、地下で地盤に支持される配管と、地上で支持金具や設備などに支えられる配管の境界です。この支持条件の違いに加え、地盤沈下、温度変化、設備振動、施工中の偏荷重、完成後の接触などが重なることで、根元付近に負担が集中する可能性があります。
根元破損を防ぐための1つ目の補強は、地下側の支持と埋戻しを安定させることです。管底や曲がり部の下側に空隙を残さず、立上り部の周囲を施工条件に応じて適切に埋め戻すことで、不均一な沈下を抑えます。
2つ目は、地上側の配管を適切に支持することです。立上り管の長さや重量、取り付けられる部材、保守時の操作などを考え、根元だけへ曲げが集中しないようにします。ただし、固定しすぎて変位の逃げ場をなくさないことも重要です。
3つ目は、地下と地上の相対変位を無理なく吸収できる納まりにすることです。沈下、温度変化、振動など、どの方向への動きが想定されるのかを整理し、必要に応じて継手、配管形状、支持方法などを組み合わせます。
4つ目は、立上り管へ外力を直接加えないよう保護することです。車両、建設機械、資材、人の動線などを考え、配置や防護構造、工事中の仮設養生によって接触を防ぎます。
さらに重要なのが、施工前後の管理です。施工前には地上設備との位置関係や曲がり部の納まりを確認し、埋戻し時には立上り管が移動していないかを確認します。完成後には傾き、周辺地盤の沈下、支持部の変形、漏れなどを点検し、根元破損の兆候を早期に把握できるようにします。
根元を硬く固定するだけでは、別の位置に曲げが集中することがあります。地中埋設管の立上り部では、どこを支持し、どこで変位を逃がし、どこを外力から守るのかを配管全体で考えることが大切です。
また、埋戻し前の地下部分は、完成後には直接確認できません。立上り根元、曲がり部、継手、水平管の方向などを写真や位置情報として記録しておけば、将来の点検、補修、掘削時に役立ちます。
地中埋設管の施工記録を位置情報と結び付け、立上り部から地下の管路まで現場で確認しやすい状態をつくりたい場合には、LRTK Phoneを活用した位置記録も検討できます。