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TS出来形の測定前キャリブレーション確認4項目

TS出来形のやり方を調べている実務担当者にとって、測定そのものの手順と同じくらい重要なのが、測定前の確認です。出来形測定では、現場で取得した座標、距離、高さの値が、出来形管理資料や検査対応の根拠になります。そのため、測定開始前の確認が曖昧なまま進むと、後から「器械の据付は正しかったのか」「基準点の確認は十分だったのか」「測定値のずれは施工の問題なのか測定の問題なのか」といった切り分けが難しくなります。

本記事では、TS出来形を行う前に押さえておきたいキャリブレーション確認を、実務で使いやすい4項目に整理します。ここでいうキャリブレーション確認は、専門機関で行う定期校正や検定そのものを現場で代替するという意味ではありません。日々の現場で測定前に行う、機器状態、据付、基準点、後視、プリズムやターゲット、観測条件、記録方法の確認を含めた広い意味の確認作業として扱います。

測定前の数分を丁寧に使うことで、再測量、手戻り、検査時の説明不足を防ぎやすくなります。特に出来形管理用TSを使う場合は、適用する要領、発注者の仕様、社内ルール、使用機器の設定をそろえたうえで、現場ごとに同じ順序で確認することが大切です。

TS出来形でキャリブレーション確認が重要な理由

TS出来形は、トータルステーションを用いて設計値に対する実測値を取得し、出来形の良否や施工状態を確認する作業です。測定対象は道路土工、構造物、法面、排水構造物、造成面など現場によって異なりますが、共通しているのは、測定値が施工管理と検査対応の根拠になるという点です。つまり、測定値が正しい前提で次の判断が進むため、測定前の確認が弱いと、後工程全体に不安が残ります。

現場では、出来形不足や規格値超過が見つかったときに、まず施工精度が疑われがちです。しかし実際には、器械の据付、視準条件、プリズム定数、基準点の取り違え、後視確認の不足、入力データの設定違いなど、測定側の小さなずれが原因になることもあります。施工側の問題と測定側の問題を切り分けるためにも、測定前に何を確認したかを明確にしておく必要があります。

特にTS出来形では、点群測量のように広範囲を一度に取得するのではなく、必要な測点を選び、器械から対象点を狙って測る場面が多くなります。そのため、1点ごとの測定値の信頼性が非常に重要です。測点数が多くても、基準の取り方が誤っていれば全体が同じ方向にずれてしまいます。反対に、基準が正しく、機器とターゲット条件がそろっていれば、測定結果に対する説明がしやすくなります。

キャリブレーション確認という言葉を聞くと、難しい校正作業を想像するかもしれません。しかし現場で重要なのは、厳密な校正と日常確認を混同しないことです。定期校正や検定は、社内規程、機器管理ルール、発注者の要求、メーカー推奨などに応じて別途管理します。そのうえで、現場では毎回同じ観点で機器状態と設定を確認し、異常があれば測定開始前に止めます。

たとえば、器械が安定して据えられているか、電子レベルや気泡管に違和感がないか、基準点の座標と現場位置が一致しているか、後視や確認点の差が現場で定めた範囲に収まっているか、プリズム定数とプリズム高が使用するターゲットに合っているかを、測定前の決まった手順として確認します。

測定後に数値の異常に気づいた場合、どこまで戻って確認すべきかの判断は簡単ではありません。朝一番の据付から誤っていたのか、途中で三脚が動いたのか、ある測点だけ視準が甘かったのか、データ入力の段階で間違えたのかを追う必要があります。測定前の確認記録が残っていないと、原因究明に時間がかかり、場合によっては広い範囲を再測することになります。

そのため、TS出来形のやり方を覚える際には、測定ボタンを押す手順だけでなく、測定開始前に信頼性を作る手順まで含めて理解することが大切です。測定前のキャリブレーション確認は、単なる準備作業ではありません。出来形管理の品質を支える最初の工程であり、現場の説明責任を守るための安全装置です。

確認1 機器本体と据付状態を測定前に整える

最初に確認すべきなのは、TS本体の状態と据付状態です。どれだけ正しい基準点を使い、どれだけ丁寧に測点を選んでも、器械本体が不安定な状態であれば測定値の信頼性は落ちます。TS出来形では、測定作業の途中で多くの点を連続して観測することがあるため、最初の据付が甘いと、その後の測定値全体に影響する可能性があります。

まず、使用する機器が現場のルールに合っているかを確認します。出来形管理用TSとして使用する場合は、対象工種、機器の等級、ソフトウェア、施工管理データ、計測距離などについて、適用する要領や発注者との取り決めに合っているかを事前に確認します。通常の測量用TSを使った自主確認なのか、提出資料に使う出来形管理用TSなのかが曖昧なまま進むと、後で資料の扱いに迷いやすくなります。

次に、三脚の設置場所を確認します。三脚は、できるだけ沈下や振動の少ない場所に据える必要があります。舗装面や締め固められた地盤であれば比較的安定しやすいですが、盛土直後の柔らかい地盤、砕石が動きやすい場所、重機の走行振動を受けやすい場所では注意が必要です。三脚の脚先がしっかり地面に入っているか、作業中に人や資材が接触しない位置か、風で揺れやすい状態になっていないかを確認します。

器械の整準状態も測定前に必ず見ます。電子レベルや気泡管を確認しながら水平状態を整え、器械を回転させても大きくずれないかを確認します。設置直後は問題がなくても、三脚の脚が少し沈んだり、固定ねじの締めが甘かったりすると、数分後にずれが生じることがあります。そのため、測定開始前だけでなく、一定時間経過後や器械周辺で作業があった後にも、整準状態を再確認する習慣が有効です。

器械本体の外観確認も欠かせません。レンズに汚れ、水滴、粉じんが付着していると、視準しづらくなり、測定精度や作業効率に影響します。雨上がりや土工現場では、細かな泥はねや砂ぼこりが付くことがあります。レンズ、表示部、操作部、バッテリー装着部、固定部に異常がないかを測定前に確認します。前日まで別の現場で使用していた機器を持ち込む場合は、運搬中の振動や保管状態の影響も考慮します。

バッテリー残量も実務上は重要です。出来形測定中に電源が落ちると、測定の流れが止まるだけでなく、どの点まで確実に測定できているのかを確認する手間が増えます。予備バッテリーの有無、充電状態、交換のタイミングを測定前に確認しておくことで、途中中断を避けやすくなります。長時間の測定や寒冷時の作業では、想定より早く残量が減ることもあるため、余裕を持った準備が必要です。

また、器械の点検記録、校正証明、検定の有効状態も確認対象です。現場で行う日常確認は、専門機関で行う校正や検定を代替するものではありません。使用する機器が社内ルールや発注者との取り決めに沿って管理されているか、点検期限を過ぎていないかを測定前に確認します。ここを曖昧にすると、測定値そのものよりも、使用機器の妥当性を説明する場面で困ることがあります。

据付後には、測定開始前の確認点を一度試し測りすることも有効です。近くの既知点や確認点を測り、過去の値や現場で想定される値と大きく違わないかを確認します。これは、器械が正しく据えられているかを早い段階で見つけるための実務的な手順です。初回の確認で違和感があれば、本測定に入る前に据付、整準、器械高、入力条件を見直せます。

機器本体と据付状態の確認は、単独で完結するものではありません。後の基準点確認、プリズム条件確認、測定記録の整合性にもつながります。ここを丁寧に行うことで、測定後に数値のばらつきが出た場合でも、「器械の据付は測定前に確認済み」と言える状態を作れます。TS出来形の現場では、このような小さな確実性の積み重ねが、最終的な出来形管理の信頼性を支えます。

確認2 基準点と後視確認で座標のずれを防ぐ

TS出来形で最も大きな影響を与える確認の一つが、基準点と後視確認です。TSは器械を据えた位置と方向をもとに測点を観測するため、基準点の座標や方向付けが誤っていると、測定結果全体がずれます。測点ごとの視準が丁寧でも、座標の土台が間違っていれば、正しい出来形判断にはつながりません。

まず確認すべきなのは、使用する基準点が現場の座標系と一致しているかです。設計データ、施工管理データ、現場の基準点台帳、測量成果、測定機器に入力された座標が同じ前提で扱われているかを確認します。座標系、高さの基準、単位、点名の付け方が混在していると、現場では一見正しく見えても、後から整合しないデータになることがあります。特に複数の担当者や協力会社が関わる現場では、同じ点名に見えても更新前後の座標が混ざることがあるため注意が必要です。

出来形管理用TSを使う場合は、基本設計データの確認も測定前の重要事項です。工事基準点、平面線形、縦断線形、出来形横断面形状などが、設計図書や線形計算書と照合されているかを確認します。設計変更が入っている現場では、最新の基本設計データが機器に搭載されているか、古いデータを誤って使っていないかを必ず確認します。測定値が正しくても、比較する設計データが古ければ出来形判断を誤ります。

基準点の現地確認では、点名、位置、標識の状態を見ます。点名を図面や台帳だけで判断せず、現地の杭、鋲、標識、マーキングなどが一致しているかを確認します。工事が進むと、基準点周辺の地形や構造物が変わり、点を見つけにくくなることがあります。また、重機の接触、掘削、埋戻し、舗装、資材仮置きなどによって基準点が動いたり、見えなくなったりすることもあります。測定前には、使用する基準点が物理的に健全かどうかを確認することが大切です。

次に、器械点と後視点の設定を確認します。器械点座標、器械高、後視点座標、後視方向、プリズム高などの入力に誤りがあると、測定結果に直接影響します。数値入力では、桁違い、符号の取り違え、点名の選択間違い、器械高とプリズム高の入力欄の取り違えが起きやすい部分です。測定前には、入力した値を読み合わせる、別担当者が確認する、現場用のチェックシートに記録するなど、単純ミスを防ぐ仕組みを作ると安心です。

後視確認では、後視点を視準して方向を合わせるだけで終わらせず、確認点への観測や既知点の逆測を行い、差が大きくないかを見ます。たとえば、器械点から後視点を設定した後、別の既知点を測って座標差や高さ差を確認します。これにより、点の取り違え、方向付けの誤り、入力ミス、器械高やプリズム高の誤りを早期に発見できます。差が想定より大きい場合は、本測定に入る前に原因を確認し、必要に応じて再据付や再設定を行います。

ここで重要なのは、確認差を見たときに「少しだから大丈夫」と感覚だけで判断しないことです。出来形管理では、工種や測定項目によって求められる精度や規格値が異なります。現場で許容できる確認差は、社内基準、施工計画、発注者との協議内容、測定対象の性質に応じて事前に決めておく必要があります。基準がないまま測定者ごとに判断すると、同じ現場内でも測定品質がばらつきます。

また、基準点確認は朝一番だけで終わらせないほうがよい場面もあります。器械を移動したとき、長時間測定を続けたとき、三脚付近で重機や車両が通過したとき、強風や降雨の影響を受けたとき、測定値に急な違和感が出たときは、再度後視確認や確認点観測を行います。特に出来形測定では、測点数が多いほど途中の器械移動や再設定が発生しやすくなります。移動のたびに同じ確認手順を踏むことで、測定ブロックごとの整合性を保ちやすくなります。

基準点と後視確認の記録も重要です。いつ、どの器械点から、どの後視点を使い、どの確認点を測り、どの程度の差だったのかを残しておくと、検査前レビューや社内確認で説明しやすくなります。測定結果だけでなく、測定前の確認過程が見えることで、出来形データの信頼性が高まります。逆に、測定値だけが残っていて確認履歴がない場合、後から異常値が見つかったときの追跡が難しくなります。

TS出来形のやり方としては、基準点確認を単なる準備ではなく、測定品質を決める中心工程として扱うことが大切です。座標のずれは、測定後の表計算や帳票整理では根本的に直せません。測定前に基準を正しく合わせ、後視確認で方向を確かめ、確認点で妥当性を見てから本測定に入る。この流れを現場の標準手順にすることで、測定値への不安を大きく減らせます。

確認3 プリズム定数とターゲット条件を統一する

TS出来形で見落とされやすいのが、プリズムやターゲットに関する確認です。測定者は器械本体や基準点には注意を払っていても、使用するプリズムの種類、プリズム定数、ポール高、ターゲットの固定状態、視準位置の統一までは十分に確認できていないことがあります。しかし、これらの条件がそろっていないと、測定値に小さなずれが積み重なり、出来形判断に影響する可能性があります。

プリズム定数は、使用するプリズムやターゲットの仕様に合わせて設定する必要があります。測定機器側の設定と実際に使用するプリズムの条件が違っていると、距離測定に誤差が生じます。現場で複数種類のプリズムを使う場合や、別の測量作業から機器設定を引き継いだ場合は、前回の設定が残っていることがあります。TS出来形の測定前には、使用するターゲットを決め、その条件に合わせて設定値を確認することが必要です。

ポール高やプリズム高の入力も、実務上のミスが起こりやすい部分です。高さの入力欄に前回の値が残っている、現場でポールを伸縮したのに機器側の設定を変えていない、担当者が交代した際に高さの共有ができていない、といった状況は珍しくありません。高さの差は、出来形の高さ管理に直結します。測定対象が天端、法肩、法尻、構造物の上端、床付け面などの場合、プリズム高の入力違いは施工の良否判断を誤らせる原因になります。

対策としては、測定開始前に実際のポール高を確認し、機器側の入力値と照合することです。可能であれば、ポールに使用高さを明示し、測定中に高さを変更する場合は、変更点から先の測定記録が分かるようにします。高さを変えた直後は、確認点を測って大きな差が出ていないかを確認すると安心です。測定者と記録者が分かれている場合は、「高さを変更した」という情報が記録側にも確実に伝わるようにします。

ターゲットの持ち方や設置方法も測定品質に影響します。ポールが傾いていると、プリズム位置が測点の真上からずれます。特に高さのあるポールを使う場合、わずかな傾きでも水平位置に影響が出ます。測定前には、ポールの気泡管の状態、石突きの摩耗、固定ねじの緩み、プリズムの取り付け状態を確認します。測定中も、ターゲットを持つ人が気泡を確認しながら鉛直を保つことが大切です。

測点のどこを狙うかも統一しておく必要があります。たとえば、側溝や縁石、法面、構造物の角部などでは、測点位置の解釈が担当者によってずれることがあります。設計上の測点がどの位置を指すのか、現地でどこにプリズムを当てるのかを事前に確認します。出来形測定では、測る位置そのものがずれると、どれだけ機器設定が正しくても、設計値との比較が意味を持ちにくくなります。

ノンプリズム測定を使う場合は、扱いを特に明確にします。ターゲットを置けない場所や危険箇所の補助確認として便利な場面はありますが、反射面の状態、入射角、距離、対象物の材質によって測定値の安定性が変わることがあります。また、適用するTS出来形の要領や発注者の取り決めによっては、提出値として使う測定方法が限定される場合があります。そのため、ノンプリズム測定を正式な出来形値として扱えるかは、事前に適用要領や監督職員との協議内容を確認し、記録上もターゲット測定と混在させないことが大切です。

ターゲット条件の統一で大切なのは、測定者だけが分かっている状態にしないことです。プリズム定数、プリズム高、ターゲットの種類、測点の当て方、ノンプリズムの使用有無は、測定結果の前提条件です。これらを現場メモ、測定記録、チェックシートに残すことで、社内レビューや検査前確認の際に、測定値の意味を説明できます。

TS出来形では、数ミリから数センチの差が判断材料になる場面があります。そのような作業で、プリズム条件の確認を軽く扱うのは危険です。機器本体と基準点が正しくても、ターゲット条件がそろっていなければ、測定値は安定しません。測定前には、使用するプリズムを固定し、設定値を確認し、高さを合わせ、測点への当て方を共有する。この一連の確認を行うことで、出来形測定の再現性が高まります。

確認4 測定環境と記録方法を現場ルール化する

4つ目の確認項目は、測定環境と記録方法です。TS出来形では、機器や基準点の確認に意識が向きがちですが、実際の現場では天候、視通、振動、作業動線、測点管理、記録方法が測定品質に大きく関わります。これらは単体では小さな要素に見えても、条件が重なると測定値のばらつきや記録ミスにつながります。

まず確認したいのは視通条件です。TSは器械からターゲットを視準して測定するため、測線上に重機、作業員、資材、仮設物、草木、粉じんなどが入ると測定が不安定になります。測定前には、測定範囲を確認し、視通を妨げるものがないかを見ます。作業中に重機が横切る可能性がある場合は、測定時間帯を調整したり、合図者を置いたりして、安全と測定品質を両立させます。

計測距離も現場条件として確認します。出来形管理用TSを使う工事では、機器の等級や適用要領によって、器械から出来形計測点までの距離や設置条件に制限が設けられる場合があります。距離が遠くなるほど視準の安定性や高さ計測の誤差管理が難しくなるため、測定前に測定範囲を見て、無理な位置から広範囲を測ろうとしていないかを確認します。必要であれば、器械点を分ける、確認点を増やす、作業範囲を区切るといった対応を行います。

天候の影響も無視できません。強風時は三脚やポールが揺れやすくなり、視準が安定しません。雨天時はレンズやプリズムに水滴が付きやすく、視準性が落ちます。炎天下では陽炎の影響で遠距離の視準が難しくなることもあります。現場工程の都合上、常に理想的な天候を選べるわけではありません。しかし、測定前に条件を確認し、無理な距離や不安定な視準を避ける、確認点を増やす、測定時間を調整するなどの判断はできます。

振動への配慮も重要です。近くで転圧作業や掘削作業、車両通行があると、器械やターゲットがわずかに揺れることがあります。測定値が安定しないと感じたときは、すぐに測点を増やすのではなく、振動源を確認し、測定タイミングをずらすことが有効です。TS出来形では、測った点の数だけではなく、その点が安定した条件で測られたかが重要です。

測点のマーキングと管理も、測定前に確認しておくべき事項です。出来形測定では、設計上の測点と現地の測点を対応させる必要があります。測点名、測点番号、測定位置、測定対象の名称が曖昧だと、測定後の整理で混乱します。特に、似たような断面や同じ構造物が続く現場では、1点の取り違えが帳票全体の確認に影響することがあります。測定前に、測点リストと現地位置を照合し、必要に応じて現地マーキングを行います。

記録方法についても、現場ルールを決めておくことが重要です。測定データは機器内に保存されますが、それだけでは測定時の状況が十分に分からないことがあります。器械点、後視点、確認点、測定開始時刻、測定者、使用機器、プリズム高、天候、特記事項などを記録しておくと、後から確認しやすくなります。測定中に高さを変えた場合、器械を移動した場合、確認差が大きく再設定した場合も、記録に残す必要があります。

記録の目的は、単に書類を増やすことではありません。測定結果に疑問が出たとき、どの条件で測ったのかを追えるようにすることです。たとえば、ある範囲だけ高さの差が大きい場合、測定時刻や器械点、プリズム高の変更履歴が分かれば、原因を絞り込みやすくなります。記録がなければ、施工の問題なのか、測定条件の問題なのか、データ整理の問題なのかを判断しづらくなります。

現場ルール化では、誰が測っても同じ確認ができる形にすることが大切です。ベテラン担当者の経験に依存しすぎると、担当者不在時や応援者が入ったときに品質がばらつきます。測定前チェックシート、測定開始前の読み合わせ、確認点の必須化、器械移動時の再確認、測定後の即時レビューなど、作業の流れに組み込める形にしておくと運用しやすくなります。

測定環境と記録方法の確認は、TS出来形の精度だけでなく、現場全体の信頼性にも関わります。どのような条件で測定し、どのように記録し、異常時にどう対応したかが明確であれば、社内の確認もスムーズになります。検査前に慌てて説明資料を作るのではなく、測定時点から説明できる記録を残すことが、実務では大きな差になります。

キャリブレーション確認を出来形管理の品質向上につなげる

測定前キャリブレーション確認は、単にミスを防ぐための作業ではありません。現場の出来形管理を安定させ、測定データを活用しやすくするための土台です。TS出来形では、測定、記録、整理、確認、提出という流れが続きます。その最初の段階で確認が不十分だと、後工程で何度も手戻りが発生します。反対に、測定前の確認が整っていれば、後の作業はかなり楽になります。

まず効果が出やすいのは、再測量の削減です。測定後に異常値が見つかると、担当者は現場に戻って同じ点を測り直す必要があります。工程が進んで測点が埋まっていたり、構造物が施工済みになっていたりすると、再測そのものが難しくなることもあります。測定前に機器、基準点、ターゲット、環境を確認していれば、初回測定の信頼性が上がり、再測の可能性を下げられます。

次に、施工判断が早くなります。出来形測定の目的は、数値を集めることだけではありません。設計値との差を見て、必要に応じて手直しや追加確認を行うことです。測定値に対して「この値は本当に正しいのか」という不安が残ると、施工判断が遅れます。測定前確認ができていれば、異常値が出たときに測定条件を確認したうえで、施工側の確認に進みやすくなります。

社内レビューにも効果があります。測定データを事務所で確認する担当者は、現場での測定状況を直接見ていないことが多いです。そのため、測定条件の記録が不足していると、数値だけを見て判断することになります。器械点、後視点、確認点、プリズム高、測定日時、特記事項が整理されていれば、レビュー担当者は測定値の背景を理解しやすくなります。これにより、帳票作成や検査前チェックの精度も上がります。

検査対応でも、測定前確認は大きな意味を持ちます。検査では、出来形値だけでなく、その測定がどのような手順で行われたかを問われることがあります。機器は適切に管理されていたか、基準点は確認されていたか、測定値に不自然な点はないか、再確認の記録はあるかといった点に対して、落ち着いて説明できる状態を作っておくことが重要です。測定前の確認記録は、その説明を支える材料になります。

また、キャリブレーション確認を現場ルールとして定着させると、若手担当者の教育にも役立ちます。TS出来形のやり方を学ぶ際、最初は機器操作や測点の取り方に意識が向きます。しかし、実務では操作方法だけでなく、なぜその確認が必要なのかを理解することが大切です。機器本体、基準点、プリズム条件、測定環境の4項目で考えると、若手でも確認の全体像をつかみやすくなります。

現場によっては、時間に追われて測定前確認が簡略化されることがあります。急ぎの測定、短時間の立会、重機作業との調整、天候悪化前の作業など、現場にはさまざまな事情があります。しかし、急いでいるときほど、測定前の確認を省略すると後で大きな手戻りになることがあります。短縮すべきなのは確認そのものではなく、確認を効率よく行うための準備です。チェック項目を固定し、記録様式を統一し、測点リストを事前に整えることで、確認時間を抑えながら品質を守れます。

TS出来形の品質向上には、測定機器の性能だけでなく、運用の標準化が欠かせません。どの現場でも、どの担当者でも、測定前に同じ観点で確認し、異常があれば止める。この仕組みがあることで、出来形管理は属人的な作業から、再現性のある管理手順へ変わります。キャリブレーション確認は、そのための出発点です。

まとめ

TS出来形の測定前キャリブレーション確認では、機器本体と据付状態、基準点と後視確認、プリズム定数とターゲット条件、測定環境と記録方法の4項目を押さえることが重要です。これらは別々の確認に見えますが、実際には一つながりです。器械が安定していても基準点が誤っていれば測定値はずれます。基準点が正しくてもプリズム高が違えば高さ管理に影響します。設定が合っていても視通や振動が悪ければ測定値は安定しません。さらに、記録が残っていなければ、後から測定の妥当性を説明しづらくなります。

TS出来形のやり方を実務で安定させるには、測定作業そのものだけでなく、測定前の確認を標準手順として扱うことが大切です。測定前に確認点を決め、毎回同じ順序で確認し、異常があれば本測定に入る前に修正します。測定後に問題を探すより、測定前に不安要素をつぶしておくほうが、結果的に早く、確実です。

また、確認記録を残すことは、現場担当者を守ることにもつながります。出来形値に疑問が出たとき、測定前に何を確認したかが分かれば、原因の切り分けがしやすくなります。社内レビューや検査対応でも、測定条件を説明できるため、データへの信頼性が高まります。逆に、確認したつもりでも記録がなければ、後から証明することは難しくなります。

これからTS出来形を効率化したい場合は、まず測定前チェックの型を作ることから始めるとよいです。機器、基準点、ターゲット、環境と記録の4つに分けて確認すれば、抜け漏れを減らせます。そのうえで、測定データの整理、写真管理、位置情報付きの記録、クラウドでの共有まで一体化できる環境を整えると、現場から事務所、検査前確認までの流れがさらにスムーズになります。

TS出来形は、正確に測ることだけでなく、正しく説明できる状態でデータを残すことが求められます。測定前キャリブレーション確認を習慣化し、現場の測定品質を安定させたい場合は、TS測定そのものの代替としてではなく、位置情報付き写真、点群、現場記録、クラウド共有を補完する手段としてLRTK Phoneの活用を検討することも有効です。

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