測量機器のレンタルでムダが生まれる理由
測量機器を一時的に利用したいとき、レンタルは有力な選択肢になります。工事の繁忙期だけ台数を増やしたい場合、通常とは異なる測量方法を試したい場合、故障や点検による機材不足を補いたい場合など、必要な期間だけ機器を確保できることは大きな利点です。
一方で、測量機器は種類が多く、似たような外観でも対応できる作業や必要な準備が異なります。測りたい対象と機器の性能が合っていなければ、現場に持ち込んでも予定した作業を実施できないことがあります。機器本体は使用できても、三脚やプリズム、ポール、電源、通信端末、記録媒体などが不足していれば、追加手配によって工程が遅れる可能性があります。
レンタル期間の決め方も重要です。現場で使用する日だけを基準にすると、受け取り後の動作確認や操作練習、測量データの整理、返却前の確認に必要な時間を確保できないことがあります。反対に、安全を見込んで長期間借りたものの、実際には保管されている日が多くなれば、機器を十分に活用できません。
測量機器のレンタルで発生するムダは、単純に利用日数だけで判断できるものではありません。現場で作業が止まる時間、担当者が操作方法を調べる時間、不足品を取りに戻る時間、データを変換し直す時間、再測量にかかる時間まで含めて考える必要があります。
そこで重要になるのが、複数の候補を同じ条件で比較することです。レンタル先や機器を感覚的に選ぶのではなく、作業内容と性能、利用期間と実働日数、付属品とデータ環境、サポートと返却条件という4つの比較軸を設けることで、手配後の行き違いを減らしやすくなります。
測量機器の選定では、高機能な機器を選べば安心とは限りません。必要以上の機能は、設定項目や確認作業を増やす原因にもなります。反対に、使い慣れていることだけを理由に性能が不足する機器を選ぶと、現場条件に対応できず、再手配が必要になることがあります。
ムダを減らすためには、どの機器が優れているかではなく、今回の作業に対して何が必要かを明確にすることが出発点です。
比較軸1 作業内容と必要性能が一致しているか
最初の比較軸は、実施する作業と測量機器の性能が一致しているかどうかです。機器の種類を先に決めるのではなく、測量の目的、対象物、必要な成果、現場環境を整理してから候補を絞り込みます。
たとえば、位置を求める作業でも、既知点から角度と距離を観測する作業、衛星測位を利用して座標を取得する作業、高低差を測る作業、地形や構造物の形状を多数の点で取得する作業では、必要な測量機器が異なります。単点の位置を確認したいのか、連続的な軌跡を記録したいのか、施工箇所を誘導したいのか、出来形を三次元で残したいのかによっても選択肢は変わります。
まず確認したいのは、最終的に必要な成果です。座標値だけが必要なのか、測点名を付けた記録が必要なのか、写真と位置を関連付けたいのか、断面や面積、体積の計算に利用したいのかを明確にします。現場で観測できても、必要な形式で成果を取り出せなければ、後工程で手作業が増えてしまいます。
要求される精度も、選定に大きく影響します。ただし、機器の仕様に記載される数値だけを見て決めるのは避けるべきです。実際の測量結果は、設置状態、観測距離、周囲の障害物、気象条件、通信環境、基準点の状態、作業者の手順などによって変わります。必要な精度を整理したうえで、その精度を現場条件の中で確保できる方法かどうかを確認する必要があります。
観測距離についても同様です。対象物までの距離だけでなく、測量機器を安全に設置できる場所から対象物を視認できるかを考えます。資材や重機、仮設物、植生、交通、作業員の移動によって視通が遮られる現場では、予定していた位置から観測できないことがあります。機器の仕様上の測距範囲に余裕があっても、必要な対象を確認できなければ予定した作業は進みません。
衛星測位を利用する測量機器では、上空の開け具合や周囲の構造物を確認します。建物の近く、樹木の下、橋梁の下、法面際、狭い道路などでは、受信環境が安定しないことがあります。通信を利用する方式では、現場の通信状況も確認が必要です。通信が不安定な場所で使用する場合は、利用可能な補正方法や代替手順を事前に検討します。
測量機器の防じん性や防水性も、屋外作業では確認したい項目です。ただし、一定の保護性能がある機器でも、雨天時に無条件で使用できるわけではありません。端子部分や接続機器、外部電源、記録端末などを含めた運用条件を確認し、取扱説明や貸出条件に従うことが重要です。
作業時間が長い現場では、電池の持続時間と交換方法も比較します。公称の稼働時間だけでなく、気温、画面表示、通信の使用状況、連続観測の有無などによって使用可能時間が変わることを考慮します。予備電池が付属するか、現場で充電できるか、充電器の電源条件が合うかまで確認しておくと安心です。
必要以上に高性能な測量機器を借りると、設定や操作が複雑になり、担当者が習熟するまでに時間がかかる場合があります。比較するときは、使える機能の多さではなく、必要な作業を適切な手順で完了できるかを基準にすることが大切です。
比較軸2 利用期間と実働日数が見合っているか
2つ目の比較軸は、レンタル期間と実際に測量機器を使用する日数の関係です。利用予定日だけを数えて期間を決めると、準備や予備日が不足しやすくなります。一方で、余裕を持たせすぎると、機器を使わずに保管する期間が長くなります。
レンタル期間を考えるときは、測量当日だけでなく、受け取り、内容確認、動作確認、設定、操作練習、現場使用、データ確認、再観測の判断、清掃、梱包、返却という一連の流れを想定します。初めて使う機器では、受け取った直後に現場へ持ち込むのではなく、事務所や安全な場所で操作を確認する時間が必要です。
特に注意したいのは、既存の測量機器と異なる操作体系を持つ場合です。測点名の入力方法、器械点の設定、既知点の登録、記録開始と終了、データ保存、座標系の選択などを確認せずに現場へ入ると、観測はできても記録内容が不完全になることがあります。
工程表に測量作業が1日だけ記載されていても、現場では天候や他工種の進捗に左右されます。対象箇所に資材が置かれている、重機が稼働している、コンクリートの打設が遅れている、立入制限が解除されていないといった理由で、予定日に測量できないことがあります。
そのため、レンタル期間には現場条件に応じた予備を設けます。ただし、単に長く借りるのではなく、測量可能な条件が整う日を工程担当者と確認し、機器を必要とする期間を具体化することが重要です。測量担当者だけで期間を決めると、他工種との調整が不足し、機器を持っていても現場に入れない日が生じます。
複数の現場で同じ測量機器を使う場合は、移動日や機器の再設定に必要な時間も考慮します。現場ごとに座標系、基準点、測点名の付け方、保存先が異なる場合、データの混在を防ぐための切り替え作業が必要です。午前と午後で別現場に移動できるように見えても、清掃、積み込み、移動、再設置、確認を含めると十分な観測時間を確保できないことがあります。
長期間の工事では、連続して借りる方法と、必要な時期ごとに借りる方法を比較します。起工測量、施工中の位置確認、出来形測量が離れた時期に行われる場合、全期間を通して機器を確保する必要があるかを検討します。ただし、時期ごとに借り直す場合は、同じ仕様や構成の機器を確保できるとは限りません。操作や設定の統一を重視する現場では、期間だけでなく再調達時の条件も確認しておく必要があります。
レンタル期間中の保管方法も見落とせません。測量機器の多くは光学部品や電子部品を含むため、貸出側の指示に従い、高温、多湿、急激な温度変化、強い振動、粉じんの多い場所などを避けて保管します。現場事務所に適切な保管場所がなければ、使用しない日にも管理負担が生じます。
実働日数が少ない場合は、測量機器を現場に長く置くより、使用日程をまとめるほうが効率的なことがあります。測量対象を工区ごとに整理し、同じ設定で観測できる作業を集約すれば、設置と撤去の回数を減らせます。
期間の比較では、最短で返却できる日を考えるだけでなく、作業をやり直さずに完了できる期間を考えることが大切です。余裕が不足して再手配になることも、余裕が大きすぎて保管期間が増えることも、どちらも避けたいムダです。
比較軸3 付属品とデータ環境までそろっているか
3つ目の比較軸は、測量機器本体だけでなく、付属品とデータ環境が一式でそろっているかどうかです。レンタル候補を比較するときに本体の仕様だけを見ると、現場で必要なものが不足しやすくなります。
測量機器によっては、三脚、整準台、プリズム、ポール、スタッフ、ターゲット、固定具、外部電源、予備電池、充電器、接続ケーブル、収納ケースなどを組み合わせて使用します。どこまでが標準の貸出構成に含まれ、何を追加で準備する必要があるかを確認します。
同じ種類の付属品でも、接続部の形状や取付方法が一致するとは限りません。自社で保有している三脚やポールを使う予定でも、固定方法、高さ、ねじの形状、重量バランスなどが合わなければ安全に設置できません。手元に似た付属品があるという理由だけで流用せず、貸出側や機器の仕様資料で適合を確認する必要があります。
観測対象に合わせたターゲットや反射体が必要になる場合もあります。遠距離の観測、狭い場所での測点確認、構造物の角部の観測など、作業条件によって適切な付属品は異なります。現場で安易に代用品を使うと、測点の位置が不明確になったり、設置が不安定になったりする可能性があります。
電源関係は、現場停止を防ぐうえで重要です。電池の本数だけでなく、充電に必要な時間、充電器の数、車内や現場事務所で充電できるかを確認します。機器本体とは別に表示端末や通信機器を使う場合は、それぞれの電源も必要です。本体の電池に余裕があっても、操作端末の電池が切れれば作業を継続できないことがあります。
記録媒体や通信方法も比較対象になります。観測データを本体に保存するのか、外部端末に保存するのか、通信を通じて送信するのかによって準備が変わります。現場で通信できない場合でも保存できるか、通信が回復した後に送信できるか、想定する観測量に対して保存容量が足りるかを確認します。
データ形式は特に重要です。測量機器から出力できるデータが、社内で使用している作図、計算、施工管理の環境に取り込めるかを事前に確認します。座標値を表形式で取り出せても、測点名やコード、時刻、品質に関する情報などの必要項目が含まれていなければ、手作業による整理が必要になります。
座標系や単位の設定にも注意が必要です。同じ数値でも、使用する座標系、高さの基準、距離の単位、角度の表示方法が異なれば、そのまま利用できません。レンタルする測量機器が必要な設定に対応しているかだけでなく、担当者が設定内容を理解し、成果の条件と一致させられるかを確認します。
データの受け渡し方法については、接続ケーブル、記録媒体、無線接続、オンライン同期など、利用できる方法を把握します。社内の端末に接続できるか、利用権限や通信制限に問題がないかも確認が必要です。セキュリティ上の理由で外部記録媒体を使用できない現場では、通常の受け渡し方法が使えない場合があります。
観測後にデータを確認する手段も重要です。現場で測点の抜けや異常値を確認できれば、その場で再観測できます。事務所へ戻ってから初めて不足に気付く運用では、再度現場へ入る必要が生じます。機器本体や操作端末で観測結果を確認できるか、必要に応じて簡易的な図や一覧を表示できるかを比較します。
付属品の確認では、数量にも注意します。複数班で使用する場合や、移動しながら連続して観測する場合には、1組だけでは足りないことがあります。測量機器本体の台数だけを増やしても、共用する付属品が不足すれば待ち時間が生じます。
レンタルの手配書には、機器名だけでなく、使用する構成を具体的に記録しておくと行き違いを減らせます。現場担当者、手配担当者、貸出側で認識をそろえ、本体、付属品、電源、記録、通信、出力までを一つの作業環境として比較することが重要です。
比較軸4 サポートと返却条件が明確か
4つ目の比較軸は、利用中のサポートと返却条件です。測量機器が正常に届いたとしても、設定や操作で不明点が生じたり、現場条件によって観測が安定しなかったりすることがあります。そのときに、どのような支援を受けられるかを事前に確認します。
まず、問い合わせ方法と対応時間を確認します。現場が早朝から始まる場合や休日に作業する場合、通常の受付時間と合わないことがあります。常に即時対応を求めるのではなく、自社の作業時間とサポート可能な時間帯が合っているかを把握しておくことが大切です。
問い合わせの対象範囲も確認します。機器の基本操作、初期設定、付属品の接続、データ出力、動作異常など、どこまで支援を受けられるかによって準備が変わります。測量方法そのものの判断や成果の適否は、利用者側で確認すべき場合があります。サポートがあることだけで安心せず、支援される内容と自社で判断する内容を区別します。
操作説明の方法も比較したい項目です。受け取り時の説明、文書による手順、動画による案内、遠隔での操作確認など、提供される方法はさまざまです。現場で操作する担当者が説明を受けられるか、手配担当者だけが説明を聞いて終わらないかを確認します。
初めて使用する測量機器では、操作説明の時間を工程に含めます。説明資料があっても、現場固有の設定やデータ形式まで理解するには、実際に操作して確認する必要があります。貸出前または受け取り後に試験観測ができると、現場での混乱を減らせます。
故障や動作異常が疑われる場合の手順も重要です。利用者が貸出側の承諾なく分解や調整を行うと、状態を悪化させたり、貸出条件に抵触したりする可能性があります。異常が起きたときの連絡先、確認項目、代替機の扱い、データの取り出し方法などを事前に把握します。
測量機器には、点検や校正に関する記録を確認したい場面があります。求められる確認内容は工事や業務によって異なるため、必要な書類や記録がある場合は手配前に伝えます。受け取り後に書類の不足が判明すると、現場への持ち込みや成果の整理に影響することがあります。
返却条件は、返却日だけでなく、発送や持ち込みの期限、梱包方法、付属品の確認、清掃の範囲、電池や記録媒体の扱いまで確認します。作業最終日と返却日が同じ場合、現場から戻ってデータを取り出し、機器を確認し、梱包する時間が不足する可能性があります。
データ消去の方法も決めておく必要があります。測量機器や操作端末に現場の座標、写真、測点名、作業記録などが残る場合があります。返却前に必要なデータを保存し、内容を確認したうえで、貸出条件や社内の情報管理ルールに沿って機器内のデータを処理します。急いで初期化すると、必要な成果まで失うおそれがあります。
返却時の不足品は、後から現場や車両を探す原因になります。受け取り時に構成品を記録し、収納場所を決めておくと、返却前の確認が容易になります。小型のケーブル、アダプター、固定ねじ、電池カバーなどは紛失しやすいため、使用後すぐに収納する運用が有効です。
現場で汚れた機器をそのまま収納すると、ケース内に水分や土砂が入り、状態確認にも時間がかかります。ただし、清掃方法を誤ると機器へ影響を与える可能性があるため、貸出側の指示や取扱方法に従います。返却直前にまとめて対応するのではなく、使用日の終了時に外観と付属品を確認しておくと、最終日の負担を抑えられます。
サポートと返却条件の比較は、問題が起きたときだけの話ではありません。問い合わせや返却の手順が明確であれば、現場担当者が判断に迷う時間を減らせます。測量機器の性能だけでなく、利用開始から返却完了までの対応を含めて比較することが大切です。
現場条件に合う測量機器を選ぶ考え方
4つの比較軸を使う際は、現場条件を具体的に書き出しておくと選定しやすくなります。現場名や工種だけでは、必要な測量機器を判断できません。同じ道路工事でも、起工測量、中心線の確認、高さ管理、構造物の位置出し、出来形確認では作業内容が異なります。
まず、どこに測量機器を設置し、どこを観測するかを想定します。図面上では観測できそうでも、実際には交通規制、仮囲い、重機の旋回範囲、掘削箇所、資材置場などによって設置場所が限られます。安全な位置から必要な測点を確認できるかを考えます。
機器の運搬方法も確認します。車両を近くに止められない現場、階段や斜面を移動する現場、足場上で作業する現場では、重量や収納形態が作業性に影響します。高機能でも、運搬や設置に時間がかかる機器は、短時間で多数の場所を回る作業に向かないことがあります。
気温や天候も重要です。夏季の高温、冬季の低温、雨、結露、粉じん、潮風など、現場ごとの環境を考慮します。屋外から室内へ移動した直後など、急な温度変化によって結露が生じる可能性もあるため、取扱説明や貸出側の指示に従って使用開始の時期や保管場所を判断します。
周囲の作業による振動も無視できません。重機の走行、転圧、杭打ち、車両通行などが続く場所では、安定した設置が難しくなる場合があります。振動源から距離を取れるか、作業時間を調整できるか、別の測量方法を用意するかを検討します。
作業員の人数も機器選びに関係します。1人で運用するのか、機器側と測点側に担当者を配置するのかによって、適した構成が変わります。人員を減らせる機能があっても、交通誘導、安全監視、測点の確認などに別の担当者が必要な場合があります。機器単体の省力化だけでなく、現場全体の配置で判断します。
測量結果を誰が利用するかも確認します。測量担当者だけで完結するのか、施工担当者、発注者、協力会社、設計担当者と共有するのかによって、必要なデータ形式や説明方法が異なります。数値だけでなく、測点の位置や観測時の状況が分かる記録を求められることもあります。
現場条件を整理すると、必要性能と不要な機能が見えてきます。すべての条件に対応する機器を探すより、今回の作業で優先する条件を決めることで、過不足の少ないレンタル選びができます。
レンタル前に確認したい操作性と引き継ぎ
測量機器の操作性は、仕様表の機能だけでは判断できません。画面の構成、設定項目、測点名の入力、確認表示、データ保存の流れなどが、担当者の経験に合っているかを確認します。
普段と異なる機器を利用する場合、似た名称の機能でも操作手順が違うことがあります。観測開始前に必要な設定を飛ばしたり、保存したつもりで記録されていなかったりすると、再測量につながります。受け取り後は、既知の点などを使った試験観測を行い、入力から出力までを一通り確認することが有効です。
試験観測では、単に数値が表示されるかを見るだけでなく、測点名が正しく記録されるか、保存先が分かるか、電源を切った後もデータが残るか、必要な形式で取り出せるかを確認します。間違った設定を早い段階で見つけることで、現場全体のデータを修正する事態を防ぎやすくなります。
複数の担当者が交代で使用する場合は、設定状態を引き継ぐ方法を決めます。口頭だけの引き継ぎでは、座標系、器械高、目標高、測点番号、保存先などの重要事項が抜ける可能性があります。作業開始時と終了時に確認する項目を共通化し、担当者が変わっても同じ手順で扱えるようにします。
現場ごとにデータを分けるルールも必要です。似た測点名を使用する現場では、保存先やファイル名が曖昧だとデータが混在します。現場名、日付、工区、作業内容などを組み合わせ、後から見ても判別できる名称を使用します。
操作担当者だけでなく、手配担当者も構成を把握しておくことが大切です。付属品や返却物を操作担当者だけが把握していると、担当者の不在時に確認できません。受け取り時の構成、設定内容、問い合わせ先、返却方法を共有し、特定の人に情報が集中しないようにします。
作業手順を簡潔に記録しておけば、現場で迷ったときに確認できます。ただし、一般的な操作説明をそのまま持ち込むだけでは不十分です。今回の現場で使用する機能、入力する値、保存場所、終了時の処理に絞ってまとめると、実務で使いやすくなります。
操作性の比較では、慣れている機器を優先する考え方にも利点があります。一方で、慣れている機器が現場条件や成果要件に合わない場合は、別の方法を選ぶ必要があります。操作のしやすさと作業への適合性を分けて評価し、必要であれば事前練習の時間を確保します。
受け取りから返却までの運用でムダを防ぐ
適切な測量機器を選んでも、受け取り後の運用が曖昧ではムダを減らせません。機器が届いた段階から返却が完了するまで、確認の流れを決めておくことが重要です。
受け取り時には、外観、構成品、電源、起動状態を確認します。収納ケース内の配置を写真や記録に残しておくと、返却時に元の状態へ戻しやすくなります。ただし、機器や書類に管理番号などが表示されている場合は、社内の情報管理ルールに従って記録を扱います。付属品の数や名称だけでなく、どの場所に収納されていたかを把握しておくことが紛失防止につながります。
次に、屋外へ持ち出す前に動作確認を行います。電源が入ることだけでなく、必要な設定画面を開けるか、観測値が記録されるか、データを取り出せるかを確認します。予備電池と充電器も実際に接続し、充電状態を確認します。
現場へ運搬するときは、車両内で機器が動かないように固定します。三脚やポールなどの長尺物も、急ブレーキや振動で移動しないようにします。機器本体をケースに入れていても、ケースが荷室内で衝突すれば影響を受ける可能性があります。
作業開始前には、機器の設置状態と設定内容を確認します。前日の設定が残っている場合や、別現場のデータが開かれている場合があるため、現場名、座標系、測点番号、保存先などを見直します。担当者が交代した日は、特に注意が必要です。
観測中は、一定の区切りで結果を確認します。すべての測量が終わってからデータを見るのではなく、代表的な測点で位置や高さが想定と大きく違っていないかを確認します。業務の条件に応じて既知点や重複点を利用し、異常を早い段階で把握できれば、大量の再観測を避けやすくなります。
作業終了時には、データ保存と機器確認を分けて行います。保存操作が完了したことを確認し、許可されている方法で必要なデータを別の場所にも保管します。その後、機器の外観、電池、付属品を確認し、収納します。データの保存前に設定を変更したり、初期化したりしないよう注意します。
複数日にわたって使用する場合は、毎日の終了時に簡単な点検を行います。異常や不足を最終日にまとめて確認するのではなく、早めに把握することで対応時間を確保できます。濡れや汚れがある場合は、貸出条件と取扱方法に従って処理します。
返却前には、成果データが必要な形式で保存されているかを確認します。ファイルが存在するだけでなく、実際に開けるか、必要な測点が含まれているかを確認することが重要です。返却後に不足が判明しても、機器内のデータを確認できるとは限りません。
最後に、構成品を受け取り時の記録と照合します。収納ケース、測量機器本体、電池、充電器、ケーブル、取付部品、説明資料などを一つずつ確認します。担当者の記憶だけに頼らず、記録に基づいて返却準備を進めます。
測量機器のレンタルで起こりやすい失敗
測量機器のレンタルで起こりやすい失敗の一つは、機器の種類だけを指定して手配することです。同じ種類に分類される機器でも、性能、操作方法、付属品、データ形式が異なります。作業内容と必要な成果を伝えずに手配すると、現場に適さない構成になる可能性があります。
次に注意したいのが、使用日とレンタル開始日を同じ日にすることです。受け取り、動作確認、設定、操作練習の時間が十分でなければ、不具合や不足品を現場で初めて発見する可能性があります。初めて使用する機器ほど、事前確認の時間を設ける必要があります。
付属品の不足も典型的な失敗です。測量機器本体が届いても、三脚、ポール、ターゲット、予備電池、接続ケーブルなどが不足していれば作業を始められません。自社品を流用する場合も、接続や寸法の適合を事前に確認します。
データ形式を確認しないまま借りることも避けたい失敗です。現場で観測できても、社内の処理環境へ取り込めなければ、入力し直しや変換作業が必要になります。測点名や属性情報が欠けると、どの数値がどの場所を示すのか確認する作業も増えます。
必要以上に高機能な測量機器を選ぶことも、ムダにつながる場合があります。設定項目が増え、担当者が操作を理解するまで時間がかかるためです。高機能であることと、現場で効率的に使えることは同じではありません。
反対に、使い慣れているという理由だけで性能不足の機器を選ぶと、観測距離、視通、衛星受信環境、必要精度などの条件を満たせないことがあります。選定時には、操作経験と現場適合性の両方を確認します。
レンタル期間を工程表だけで決めることも問題です。工程表上の測量日は、現場条件によって変更されることがあります。資材の移動や他工種との調整が必要な場合は、実際に測量可能な日時を確認してから手配します。
問い合わせ先を把握していないことも、作業停止を長引かせる原因になります。現場で不明点が出てから担当部署や連絡方法を調べるのではなく、受け取り時に確認しておきます。同時に、どのような内容がサポート対象かも把握します。
返却を優先するあまり、データ確認を省略する失敗もあります。返却期限が迫っていると、ファイルの保存だけで安心しがちです。しかし、必要な測点が入っていない、設定が違う、ファイルが開けないといった問題は、内容を確認しなければ発見できません。
これらの失敗に共通するのは、測量機器を単体で見ていることです。実際の作業では、人員、付属品、電源、通信、データ、工程、サポート、返却までがつながっています。一連の流れを想定して比較することで、手配後のムダを減らせます。
まとめ
測量機器のレンタル選びでムダを減らすには、単に機器の種類や利用日数だけを比較するのではなく、現場で作業を完了するまでの流れを確認することが重要です。
1つ目の比較軸は、作業内容と必要性能の一致です。測量の目的、対象、必要精度、観測距離、現場環境、成果形式を整理し、必要な作業を適切に実施できる機器を選びます。
2つ目の比較軸は、利用期間と実働日数です。現場で使用する日だけでなく、受け取り、動作確認、設定、予備日、データ確認、返却準備までを含めて期間を考えます。
3つ目の比較軸は、付属品とデータ環境です。測量機器本体だけでなく、三脚、ポール、電池、充電器、通信手段、記録方法、出力形式まで一式で確認します。
4つ目の比較軸は、サポートと返却条件です。操作説明、問い合わせ方法、異常時の対応、必要書類、データの処理、梱包、返却期限などを事前に把握します。
この4つの比較軸を使えば、機器が使用できない時間、付属品を追加手配する時間、操作を調べる時間、データを修正する時間、再測量する時間を減らしやすくなります。高機能な測量機器を選ぶことより、今回の現場と作業手順に合った構成を選ぶことが大切です。
一時的な利用だけでなく、測量機器を頻繁に持ち運び、必要な場所で速やかに計測したい場合は、レンタルに加えて自社保有や既存機器の共用も比較対象になります。利用頻度、保管体制、担当者の教育、データ環境、維持管理の負担まで同じ条件で整理し、現場に合った調達方法を選びましょう。