測量機器のリース契約で追加費用が発生しやすい理由
測量機器を導入するとき、購入だけでなく、リースやレンタルなどの契約によって必要な機器を確保する方法があります。工事期間が決まっている現場や、一時的に測量機器を増やしたい会社、特定の測量方法を一定期間だけ利用したい場合には、外部から機器を導入する方法が選択肢になります。
ただし、ここで注意したいのは、リースと短期貸出・レンタルは同じ契約ではないという点です。日本で一般的なファイナンス・リースでは、利用者が選んだ物件をリース会社が取得して比較的長期間利用する仕組みが一般的で、契約期間中の中途解約は原則としてできません。一方、レンタルでは事業者が保有する機器を比較的短期間借りる形が一般的です。公益社団法人リース事業協会も、ファイナンス・リースとレンタルでは契約期間、中途解約、修繕などの扱いが異なると説明しています。 ([リース事業協会][1])
そのため、測量機器を借りる際には、事業者の案内で使われている名称だけで判断せず、実際の契約内容を確認する必要があります。
測量機器の契約では、機器を利用するための条件だけを確認していると、利用開始後や契約終了時に想定外の負担が生じる可能性があります。契約期間、中途解約、故障時の扱い、付属品、保守、再リースや返却方法など、確認すべき項目は少なくありません。
特に測量機器は、事務所の中だけで使用する一般的な機器とは環境が異なります。土木、建築、造成、道路、河川、設備工事などの現場では屋外へ持ち出して使用することが多く、雨、泥、粉じん、振動、温度変化などの影響を受ける可能性があります。三脚の転倒や運搬中の衝撃、車両や重機との接触といった現場特有のリスクも考える必要があります。
また、測量機器は本体だけあれば作業が完結するとは限りません。機器の種類や測量方法によって、三脚、ポール、プリズム、バッテリー、充電器、収納ケースなどが必要です。GNSSを利用する場合には、測位環境や補正情報の取得方法、通信環境なども実際の作業に関係します。
取得した測量データを現場だけで確認するのか、事務所へ持ち帰って処理するのか、複数人で共有するのかによっても、必要な機能は変わります。測れることだけを確認して契約した結果、必要なデータ形式で利用できない、想定していた付属品が含まれていないといった問題が起きれば、追加の手配が必要になる可能性があります。
そのため、測量機器のリース契約では、目の前の契約条件だけでなく、機器を受け取ってから現場で使い、契約終了後に返還するのか、再リースなどで継続利用するのかまで確認することが重要です。
なお、リースを含む契約条件は契約先、機器、期間、サービス内容などによって異なります。この記事で扱う内容は一般的な確認ポイントであり、実際に契約するときは見積書、契約書、約款、利用条件、付属品一覧などを確認してください。
ここからは、測量機器のリース契約で想定外の負担を避けるために確認したい4つの注意点を詳しく解説します。
測量機器を借りる前に契約形態の違いを確認する
測量機器を一定期間利用する方法を調べていると、リースだけでなく、レンタルや短期貸出など複数の契約形態を目にすることがあります。実務担当者にとって大切なのは名称だけではなく、実際にどのような条件で機器を利用する契約なのかを確認することです。
特にファイナンス・リースでは、ユーザーが選定した機器をリース会社が取得し、契約期間中の中途解約を原則として認めない形が一般的です。中途解約について当事者間で合意した場合でも、残リース料またはそれに相当する金額の支払いを定める契約例があります。 ([リース事業協会][1])
一方、レンタルでは、レンタル会社が保有する在庫品などから機器を選び、日単位や月単位など比較的短い期間で利用できる場合があります。ただし、レンタルについても契約期間、解約方法、延長条件は事業者ごとに異なります。
したがって、施工期間が数か月だから数か月のリースを自由に組める、あるいは不要になれば返却するだけで契約を終了できる、と考えるのは適切ではありません。利用期間を柔軟に設定したい場合には、ファイナンス・リースだけでなくレンタルなども含め、実際の契約条件を比較する必要があります。
施工期間が数か月の現場でも、測量機器を使う期間が工期と完全に一致するとは限りません。着工前の基準点確認から、施工中の位置出し、出来形確認、完成時の測量まで、工事の複数段階で測量機器を使うことがあります。
反対に、工期そのものは長くても、特定の測量機器を使用するのは一部の工程だけということもあります。工期と必要期間を同じものとして考えると、現場の実情と契約内容が合わなくなる可能性があります。
まず工程表を見ながら、どの時期に、どの測量機器を、何の作業で使用する予定なのかを整理します。そのうえで、必要期間に適した契約形態を選択することが重要です。
機器の受け取り直後に本番測量へ投入するとは限りません。実際の作業前には、機器の状態確認、操作方法の確認、必要な設定、座標系や高さ基準の確認などを行う場合があります。社内で初めて扱う種類の測量機器であれば、操作に慣れる時間も考慮します。
現場終了後も同様です。主要な施工が終了した後に出来形確認や追加測量が発生する可能性があります。主要工事の終了日だけを基準に契約期間を考えると、最後の確認作業で機器が必要になることがあります。
追加負担を避けるには、機器の契約を単に借り始める日と返す日だけで考えず、準備、現場使用、最終確認、データ整理、契約終了手続きまでの一連の工程として捉えることが大切です。
注意点1 契約期間と中途解約・延長条件を確認する
測量機器のリース契約でまず確認したいのが、契約期間と中途解約に関する条件です。
ファイナンス・リースでは、中途解約が原則できないことが重要な特徴です。公益社団法人リース事業協会が示す一般的な契約例でも、契約で定める場合を除き解除できず、当事者間で合意して途中終了する場合には、残リース料またはそれに相当する違約金を支払う形が示されています。 ([リース事業協会][1])
そのため、予定より早く機器が不要になった場合に返却すれば直ちに支払いも終了すると考えるのは避ける必要があります。実際の負担は契約書に従って確認します。
最初に確認するのは、リース期間がいつ始まるのかです。一般的なファイナンス・リースの契約例では、物件を検査し、物件借受証に記載された借受日を起算日としてリースを開始する形が示されていますが、実際には契約先の契約書や手続きが優先されます。 ([リース事業協会][2])
現場担当者が初めて測量に使った日と、契約上の開始日が一致するとは限りません。機器の受領から現場投入までに準備期間を設ける場合は、その期間も含めて契約条件を確認します。
建設工事では、契約時に予定していた工程がそのまま進むとは限りません。着工延期、設計変更、資材調達の遅れ、天候、他工種との調整などによって、測量機器を必要とする期間が変わる場合があります。
当初は長期間使用する予定だった機器が施工方法の変更によって早期に不要になる場合もあります。しかし、ファイナンス・リースでは単に不要になったことを理由として自由に中途解約できるとは限りません。
反対に、契約期間が満了しても機器を継続利用したい場合があります。ファイナンス・リースでは、契約満了後に同じ物件について再リースを選択できる契約例があります。これは単純な期間延長と同じ扱いとは限らないため、満了前に再リースの可否、手続き、条件を確認します。 ([リース事業協会][1])
レンタルなど別の契約形態では、期間延長の手続きや自動更新が設定されている場合もあります。どの契約でも同じ仕組みと考えず、契約終了前に必要な対応を確認することが重要です。
現場では担当者の異動や交代も起こります。契約した本人しか終了日を把握していなければ、引き継ぎ後に契約状況が分からなくなる可能性があります。
そのため、契約期間は契約担当者だけで管理せず、現場の工程管理にも反映します。測量機器の使用終了予定と契約満了日を分けて管理しておけば、返還や再リースの判断を行う時期も把握しやすくなります。
注意点2 故障・破損・紛失時の負担範囲を確認する
測量機器のリースでは、故障、破損、紛失などが起きた場合の条件も重要です。
測量機器は精密機器ですが、実際には工事現場へ持ち出して使用します。舗装されていない場所、斜面、道路脇などで使用することもあり、三脚の転倒、運搬中の衝撃、雨や泥などによる影響を受ける可能性があります。
ここでもファイナンス・リースとレンタルを同じように考えないことが重要です。公益社団法人リース事業協会が示す一般的なファイナンス・リース契約の例では、物件の保守、点検、整備や損傷時の修繕についてユーザーが負担する内容が示されています。また、リース物件に保険が付される契約例もありますが、保険でどこまで補償されるかは契約内容や事故の内容によって確認が必要です。 ([リース事業協会][2])
したがって、機器には保険があるから破損時の負担はない、あるいはリース会社が必ず無償修理してくれる、と判断するのは避ける必要があります。
契約前には、通常使用中の不具合、落下や衝突による破損、水濡れ、水没、盗難、紛失などがどのように扱われるかを確認します。事故発生時の連絡期限や必要書類などが指定されている場合もあるため、手続きまで確認しておくと安心です。
特に気を付けたいのが付属品です。
測量機器では、本体だけでなく、バッテリー、充電器、ケーブル、ポール、プリズム、収納ケースなども契約対象に含まれることがあります。
現場で複数の機器を使っていると、似た付属品が混ざりやすくなります。別の測量班がバッテリーだけ持ち出したり、充電器を現場事務所に置いたまま本体を別現場へ移動したりすると、一式としての管理が難しくなります。
契約開始時に付属品一覧を確認し、本体と一緒に管理することが重要です。現場間で移動するときにも、本体だけではなく契約対象品がそろっているか確認します。
盗難にも注意が必要です。
測量機器は持ち運べるものも多いため、作業終了後の保管方法を決めておく必要があります。車両、現場事務所、倉庫など、保管場所に応じて管理方法を検討します。
故障時の代替機についても確認します。リース契約だから代替機が必ず提供されるとは限りません。故障時に代替機の提供サービスがあるのか、修理期間中の扱いはどうなるのか、別途保守契約が必要なのかを事前に確認することが重要です。
測量機器が使用できなくなることによる影響は、修理に関する費用だけではありません。構造物を施工する直前の位置確認や出来形確認などでは、必要な測量ができないことで工程へ影響する可能性があります。
また、受領時の機器状態も確認します。
機器を受け取ったら、外装、ケース、付属品などを確認します。受領時から傷や不足がある場合には、利用開始前に契約先へ確認し、必要に応じて記録しておくことで返還時の認識違いを防ぎやすくなります。
必要に応じて基本的な動作確認も行います。外観上問題がなくても、測定に不自然な挙動があれば、そのまま本番作業へ投入せず、契約先や保守窓口へ確認することが大切です。
注意点3 付属品・通信・データ利用・保守の範囲を確認する
測量機器を契約するときは、本体だけで作業できると思い込まないことが重要です。
測量方法によっては、機器本体以外にも三脚、ポール、プリズム、バッテリー、充電器、収納ケースなどが必要になります。契約対象に何が含まれるのかを具体的に確認します。
見積書などに一式と記載されていても、その内容が自社の想定と一致するとは限りません。数量や仕様まで確認しておく方が安全です。
例えば、長時間の作業に予備バッテリーが必要でも、契約に含まれる数量だけでは運用が難しい場合があります。現場に充電できる環境があるのかも含めて検討します。
現在の測量業務では、測定した結果をデジタルデータとして扱う場面も多くあります。そのため、本体の機能だけではなく、データをどのように保存し、確認し、共有し、出力できるのかを事前に確認することが重要です。
測量結果を図面作成へ利用するのか、施工管理資料へ利用するのか、関係者間で共有するのかによって必要な形式や仕組みは変わります。現場で数値を確認できても、後工程で必要な形式に出力できなければ追加作業が必要になる可能性があります。
GNSSを利用する測量機器では、測位環境にも注意します。
GNSS測位は周囲の環境の影響を受けるため、上空が開けた場所と、建物、樹木、橋梁などに囲まれた場所で同じ条件になるとは限りません。また、測位方式によっては補正情報を利用し、通信環境や補正サービスの契約などが必要になる場合があります。
そのため、GNSS対応という表示だけで現場に適していると判断せず、使用予定場所、必要な測位方法、補正情報の取得手段などを確認します。
ソフトウェアやクラウド機能を利用する場合も、機器本体のリース契約とは別の利用条件が設定されている可能性があります。アカウント数、データ保存期間、利用できる機能、契約終了後のデータ閲覧や出力方法などを確認します。
機器の保守についても重要です。ファイナンス・リースでは、リース会社が常に保守を提供するとは限りません。一般的な契約例ではユーザー側で保守や修繕を行う仕組みが示されているため、メーカーや販売会社との保守契約が必要かどうかも確認します。 ([リース事業協会][1])
測量機器では、本体を確保するというより、現場で必要な測量業務を完結できる構成を確保すると考えると、不足を見つけやすくなります。
本体だけでなく、付属品、電源、通信、補正情報、データ保存、データ出力、保守、サポートまで確認し、自社側で準備するものと契約に含まれるものを分けて考えることが重要です。
注意点4 返却条件と原状回復の考え方を確認する
測量機器のリース契約では、契約満了時の扱いも確認する必要があります。
一般的なファイナンス・リースでは、期間満了後に再リースを選ぶか、契約を終了して物件を返還する形があります。公益社団法人リース事業協会が示す契約例では、契約終了時にはユーザーの責任と負担で必要な原状回復を行い、指定場所へ物件を返還する内容が示されています。ただし、実際の返還条件や原状回復範囲は個別の契約書が優先されます。 ([リース事業協会][1])
契約開始時には、これから機器をどう使うかに意識が向きやすいため、数年後の返還条件まで十分に確認していないことがあります。しかし、返還時の状態について認識が異なれば、修繕や部品不足などを巡って追加負担が生じる可能性があります。
測量機器は屋外で使うため、使用に伴って汚れや擦れが生じることがあります。どの程度までが通常使用に伴う変化として扱われ、どの状態から修繕や原状回復が必要になるのかは、契約条件を確認する必要があります。
返還前に慌てないためには、受領時の状態を把握しておくことが重要です。
機器を受け取った段階で本体や付属品の状態を確認しておけば、契約終了時の状態と比較しやすくなります。
付属品についても一式で確認します。現場で長期間使用していると、バッテリーや充電器が別の機器と混ざる場合があります。ポールやプリズムなどを他班が使用したまま返還時期を迎えることも考えられます。
そのため、返還直前ではなく、契約開始時から契約対象品を一式として管理することが重要です。
返還方法も確認します。
指定された場所へ持ち込むのか、配送するのかによって準備は変わります。ファイナンス・リースでは返還に要する費用をユーザーが負担する契約例があるため、輸送方法や負担区分を契約書で確認します。 ([リース事業協会][2])
精密機器を輸送する場合は、機器に適した収納や梱包を行います。受領時の専用ケースや付属梱包材などを返還時にも使用する必要があるか確認しておくと安心です。
返還期限についても、発送日を基準とするのか、指定場所への到着を基準とするのかなどを確認します。契約満了の直前まで機器を使用する場合には、輸送に必要な期間も考慮する必要があります。
さらに、測量機器を返還する前にはデータの確認も必要です。
機器や連携するサービスに測量データが残っている場合は、必要なデータを社内へ保存しているか確認します。座標、観測結果、点群、写真など、完成資料の作成や後日の確認に必要になるデータがあれば、契約終了前に整理します。
クラウドサービスなどを利用している場合は、機器を返還した後もデータを閲覧できるのか、サービス契約の終了とともに利用できなくなるのかを確認することも重要です。
施工が終了したからといって、測量データが直ちに不要になるとは限りません。完成資料の作成、出来形確認、後日の照合などで必要になる場合があります。
そのため、機器の返還は単なる物流作業ではなく、測量業務の終了処理として管理することが大切です。
測量機器の用途から必要な契約内容を整理する
追加の手配を減らすには、契約条件を確認するだけでなく、現場に適した測量機器を選ぶことが重要です。
必要な機能が不足している機器を契約すると、現場開始後に別の機器やサービスを追加する必要が生じる可能性があります。反対に、実際には利用しない機能まで含んだ構成が自社に適しているとも限りません。
まず整理したいのは、何を測るのかです。
基準点の確認、杭や構造物の位置出し、地形の測量、出来形確認、点群取得など、目的によって適した測量方法は変わります。
次に、必要とする精度や成果を確認します。
測量機器を選ぶ際には、単に仕様上の精度が高ければよいとは限りません。施工管理上必要な精度や成果物、現場条件に適した方法を確認することが重要です。
高さを重視する作業と平面位置を確認する作業では、適切な測量方法が異なる場合があります。設計値との照合方法まで考えて機器を選ぶ必要があります。
測量する場所の条件も整理します。
上空が開けた造成地と、建物の近く、橋梁下、樹木に囲まれた場所では、同じ測量方法が常に適しているとは限りません。場所に応じて測量方法を使い分けることも検討します。
作業人数も確認します。
測量機器の種類によって必要な人数や操作方法は異なります。少人数で測量したい場合には、現場担当者が扱いやすい構成であることも重要です。
一方で、操作できる担当者が一人しかいなければ、その担当者が不在になったときに作業できない可能性があります。機器の性能だけでなく、誰が操作するのか、どの程度の教育が必要なのかまで考えて選定します。
取得したデータを誰が使うのかも重要です。
測量担当者だけで確認するのか、設計担当、施工管理担当、協力会社など複数人で利用するのかによって、必要な共有方法は変わります。
このように、測量機器の契約ではどの機種を借りるかから始めるのではなく、現場で何を実現したいかから逆算することが大切です。
現場へ測量機器を持ち込む前に確認すること
契約した測量機器が届いたら、すぐ本番測量を開始するのではなく、事前確認を行うことが重要です。
まず、届いた機器と契約内容を照合します。
機器本体だけでなく、三脚、ポール、プリズム、バッテリー、充電器、収納ケースなど、契約対象となっているものがそろっているか確認します。
次に、基本的な動作を確認します。
電源が正常に入るか、必要な操作ができるか、データ保存が可能かなどを確認します。初めて使用する種類の機器なら、操作担当者が基本操作を確認してから現場へ投入する方が安全です。
測量に入る前には設定も確認します。
座標系や高さ基準など、測定結果に関係する設定が想定どおりになっているかを確認します。別現場で使用した機器を移動して使う場合は、以前の現場設定が残っていないかにも注意します。
測量結果は数値として表示されるため、設定条件が誤っていても一見正常に見えることがあります。必要に応じて既知点などを利用して照合し、現場で採用する基準や手順に従って確認してから本作業へ進みます。
保管場所も使用前に決めます。
作業後にどこへ保管するかが決まっていないと、付属品の紛失や機器の置き忘れにつながる可能性があります。本体と付属品を一緒に管理できる場所を決めておくと管理しやすくなります。
車両で運搬するときも注意します。
精密機器を荷台や荷室へ無造作に置くと、走行時の振動や急停止によって収納ケースが動く可能性があります。専用ケースなどを使用し、契約先やメーカーが示す取り扱い方法も確認して運搬します。
契約条件を確認することと、現場で適切に管理することは別々ではありません。追加負担を減らすためには、実際の運用方法まで整えておくことが大切です。
複数現場で測量機器を共用するときの注意点
一台の測量機器を複数現場で共用する場合は、契約期間だけでなく稼働計画も確認する必要があります。
例えば、現場Aでは基準点確認、現場Bでは位置出し、現場Cでは出来形確認に同じ機器を使用する場合、それぞれの作業日が重ならなければ一台を共用できる可能性があります。
しかし、測量作業は予定どおりの日に実施できるとは限りません。施工進捗や天候などによって予定日が変われば、複数現場の測量日が重なる可能性があります。
このとき、機器が一台しかなければ、どちらかの現場で作業を待つことになる場合があります。そのため、単純な利用日数だけではなく、測量できない場合に工程へどの程度影響するかも確認します。
また、複数現場間で機器を移動させると、本体と付属品を別々の場所へ残してしまう可能性があります。本体と付属品を一式として管理することが大切です。
現場ごとの設定にも注意します。
異なる座標系や高さ基準を使っている現場間で同じ測量機器を共用する場合、移動のたびに設定を確認します。
前の現場の設定が残った状態で次の現場を測量すると、数値自体は取得できても、意図した座標条件と異なる可能性があります。
機器を別現場へ移す際には、単なる物品移動として扱うのではなく、新しい現場への再導入として設定や基準を確認します。
契約満了時期についても同様です。
複数現場で使用していると、次の現場でまた使うかもしれないという理由で、返還や再リースの判断が先送りされることがあります。
本当に次の利用予定が決まっているのか、いつ利用するのかを定期的に確認し、契約条件と照らし合わせて判断することが大切です。
測量機器のリースと購入を比較するときの考え方
測量機器を導入するときは、リースだけを前提にするのではなく、購入やレンタルなども含めた導入方法を比較することが重要です。
どの方法が適しているかは、単純な利用期間だけでは決まりません。
一時的な工事でしか使用しない特殊な機器と、日常的に複数の現場で使用する測量機器では、適した導入方法が異なる可能性があります。
自社で測量業務を継続的に行うのであれば、中長期的な利用頻度を確認します。毎月複数の現場で同じ種類の測量機器を使用するのであれば、購入や長期契約を比較する余地があります。一方、限られた期間だけ必要になる機器であれば、レンタルなど別の方法が適する場合もあります。
購入した場合には、保管、点検、修理などを自社で管理する必要があります。ファイナンス・リースでも、一般的には保守・修繕についてユーザー側が対応する契約があるため、リースを選べば機器管理がすべて不要になるわけではありません。 ([リース事業協会][2])
また、測量機器の役割は距離や座標の測定だけではありません。取得した位置情報を写真や点群などと関連付けたり、データを共有したり、現場で結果を確認したりする運用もあります。
そのため、導入方法を判断するときには、現在の測量作業だけでなく、今後どの程度まで測量業務を内製化するのかも考えることが重要です。
例えば、測量作業の一部を現場担当者が行う運用を検討する場合には、測定性能だけではなく、携帯性、操作性、データ共有のしやすさなども判断材料になります。
大切なのは、契約形態だけから測量機器を選ぶのではなく、自社の測量業務から必要な機器と導入方法を決めることです。
契約担当者と現場担当者で情報を共有する
測量機器の契約で追加負担を避けるには、契約内容を現場担当者まで共有することが重要です。
会社によっては、契約を行う担当者と実際に測量機器を使用する担当者が異なります。
契約担当者は契約期間や条件を把握していても、現場で機器がどのように扱われているかまでは分からないことがあります。
一方、現場担当者は機器の使い方を理解していても、契約満了日、中途解約の制限、故障した場合の連絡方法、返還条件などを知らないことがあります。
この情報差が、想定外の負担や契約終了手続きの遅れにつながる可能性があります。
少なくとも、契約開始日、満了日、使用現場、管理担当者、契約対象となる付属品、故障時の連絡方法、再リースや返還の判断時期は共有しておくと管理しやすくなります。
契約開始時には、機器を受け取ったことだけで完了とせず、付属品と状態を確認します。
使用期間中には、機器がどこにあるのかを管理します。現場を移動するときには、本体と付属品が一緒に移動しているかを確認します。
契約満了が近づいたら、現場でまだ必要な測量作業が残っていないか確認し、再リースするのか返還するのかを契約条件に従って判断します。
返還する場合には必要なデータを保存し、付属品と機器状態を確認したうえで、指定された方法で返還します。
契約先へ確認した内容も社内で記録しておくことが重要です。担当者が交代したとき、口頭で確認した内容だけでは引き継げない可能性があります。
測量機器は施工管理に直接関係する機器です。必要な日に機器が使えない、設定が分からない、故障したが連絡方法が分からないといった状態は、費用だけでなく工程にも影響する可能性があります。
そのため、測量機器の契約管理は購買や経理だけの仕事と考えず、現場運用まで含めて管理することが大切です。
まとめ 測量機器は利用開始から返却まで確認して契約する
測量機器のリース契約で想定外の追加負担を避けるためには、契約条件の一部だけでなく、機器を受け取ってから契約終了までの全体を確認することが重要です。
まず前提として、ファイナンス・リースとレンタルなどの短期貸出を区別します。日本で一般的なファイナンス・リースは、中途解約が原則できず、ユーザー側が保守や修繕を担い、満了後は再リースまたは返還を行う契約例が一般的です。一方、レンタルには別の契約条件があります。 ([リース事業協会][1])
第一の注意点は、契約期間と中途解約・継続利用の条件です。
工事期間と測量機器の必要期間は同じとは限りません。着工前の準備、施工中の測量、出来形確認、完成前の追加測量まで考え、いつ機器が必要になるのかを整理します。
特にファイナンス・リースでは、予定より早く不要になっても自由に中途解約できるとは限りません。また、満了後も使用したい場合には再リースなどの条件を確認します。
第二の注意点は、故障、破損、紛失時の負担範囲です。
測量機器は屋外で使用するため、落下、衝撃、雨、泥、盗難などさまざまなリスクがあります。修理費用や保険、事故時の手続き、付属品の紛失などがどのように扱われるのかを契約書で確認します。
第三の注意点は、本体以外の付属品、通信、データ利用、保守の範囲です。
測量機器本体だけでは作業が完結しない場合があります。三脚やポール、バッテリーなどの付属品に加え、GNSSを利用する場合の補正情報や通信環境、データ保存・共有・出力、保守やサポートまで確認することが重要です。
第四の注意点は契約終了時の条件です。
満了後に再リースできるのか、返還する場合はどこへどの方法で返すのか、原状回復の範囲はどうなっているのか、返還前に保存すべきデータがないかを確認します。
追加負担を避けるためには、この4点を契約担当者だけが理解するのではなく、実際に測量機器を使用する現場担当者まで共有することが大切です。
契約条件が適切でも、機器の所在が分からない、付属品を紛失する、契約満了日を把握していないといった運用上の問題があれば、結果として余計な負担につながる可能性があります。
受領、状態確認、現場使用、保管、現場間移動、データ保存、再リースまたは返還という一連の流れを社内で管理しておけば、契約と現場運用のずれを減らしやすくなります。
また、測量機器を選ぶときには、契約条件だけではなく、現場で何を測り、誰が使い、取得したデータをどのように利用するのかまで考える必要があります。
必要な性能を満たしていることはもちろん重要ですが、現場へ持ち運びやすいか、担当者が扱いやすいか、測定結果をその場で確認しやすいか、取得した情報を後工程へつなげやすいかといった視点も、実務では重要です。
特に測量を日常的な施工管理へ取り入れたい場合は、従来型の測量機器をどの条件で契約するかという視点だけでなく、測位から記録、データ共有までを一連の作業として扱える仕組みも比較するとよいでしょう。
現場担当者が必要な場所へ持ち運び、位置情報を取得し、その結果をデジタルデータとして活用する運用を検討している場合には、LRTK Phoneのような選択肢もあります。
測量機器の導入では、リースという名称だけで条件を判断せず、契約の種類と実際の条項を確認することが重要です。利用開始から契約満了、再リースまたは返還までを具体的に想定し、自社の測量業務に必要な機能と契約条件を照合することが、想定外の負担を避けながら測量機器を有効活用するための基本になります。