測量機器を導入するとき、多くの実務担当者が悩むのが「レンタルにするか、購入するか」という問題です。トータルステーションやGNSS測量機器、レーザー計測機器などは、現場の生産性や測量精度を左右する重要な設備です。一方で、必要な機種や台数は工事内容、現場条件、使用頻度によって大きく変わります。そのため、単純に「長く使うなら購入」「短期間ならレンタル」と決めるだけでは、自社に合った選択にならない場合があります。
特に建設現場では、工程の変更、現場数の増減、施工方法の変更などによって、必要な測量機器が変わることがあります。繁忙期だけ複数台必要になる会社もあれば、ほぼ毎日のように同じ機器を使う会社もあります。さらに、GNSSやデジタル施工に対応する機器では、本体だけでなく通信環境、データ形式、操作方法、社内の教育体制まで考える必要があります。
重要なのは、レンタルと購入を単なる調達方法の違いとして考えるのではなく、「どの程度使うのか」「どのような現場で使うのか」「誰が管理するのか」「将来どのような測量体制にしたいのか」という視点から総合的に判断することです。
この記事では、測量機器のレンタルと購入で迷ったときに確認したい4つの判断基準を、現場での運用を想定しながら解説します。これから測量機器を導入する担当者はもちろん、現在の保有台数やレンタル運用を見直したい担当者にも役立つ考え方を整理します。
測量機器のレンタルと購入は使用頻度だけで決めない
測量機器をレンタルするか購入するかを考える際、最初に思い浮かびやすいのが使用頻度です。使用日数が少なければレンタル、頻繁に使用するのであれば購入という考え方は、大まかな判断材料としては分かりやすいでしょう。
しかし、実際の現場では使用頻度だけでは判断できません。たとえば年間の使用日数がそれほど多くなくても、緊急時にすぐ使用する必要がある機器であれば、自社で保有する意味があります。逆に、使用頻度が比較的高くても、案件ごとに必要な仕様が大きく変わる場合は、固定した機種を購入するよりレンタルを利用したほうが柔軟に対応できることがあります。
測量機器にはさまざまな種類があります。距離や角度を測る機器、GNSS衛星から位置情報を取得する機器、高さを確認する機器、点群データを取得する機器など、目的によって必要な機能は異なります。同じカテゴリーの測量機器であっても、要求する精度、測定距離、データ出力方法、現場での操作性によって適した仕様が変わります。
そのため、最初に確認したいのは「測量機器を何日使うか」だけではありません。「どの作業を置き換えるのか」「どの現場で使用するのか」「使用する担当者は誰か」「次の案件でも同じ用途があるか」まで整理することが重要です。
また、測量機器は本体を用意すればすぐに運用できるとは限りません。三脚やポールなどの周辺機材、電源、通信環境、現場で利用する座標データ、測量後に使用するデータ処理環境なども必要になります。レンタルと購入を比較するときは、本体だけを見るのではなく、現場作業を成立させるために必要な環境全体を考える必要があります。
さらに、現場によっては測量機器を一日中使うのではなく、施工開始前や出来形確認時など限られた時間だけ使用することもあります。この場合、年間の稼働日数だけを見ても実態を正確に把握できません。測量機器が必要になるタイミングと、そのときに確実に使用できる状態にしておく必要性まで含めて判断することが大切です。
レンタルと購入を比較する際には、使用頻度、現場条件、運用体制、将来計画という複数の視点を組み合わせることで、判断しやすくなります。
判断基準1 使用頻度と利用期間から考える
最初の判断基準は、測量機器をどのくらいの頻度で、どのくらいの期間使用するのかという点です。
特定の工事だけで必要になる測量機器や、短期間の試験施工で使用する機器であれば、レンタルを検討しやすくなります。必要な期間だけ機器を確保し、工事終了後に返却できるため、使用予定がなくなった機器を保管し続ける必要がありません。
一方、複数の現場で継続的に使用する測量機器であれば、購入を検討する余地が大きくなります。現場へ持ち出す機会が多い機器は、必要になるたびに手配するより、自社で管理して必要なタイミングですぐ使用できる体制を整えたほうが作業計画を立てやすくなることがあります。
ただし、「年間で何日以上使えば購入」と一律に線を引くのは適切ではありません。使用する機器の種類や運用方法によって条件が異なるからです。
確認したいのは、単純な使用日数ではなく、利用の規則性です。
たとえば毎月一定回数使う場合は、使用予定を把握しやすいため購入後の稼働計画を立てやすくなります。一方、使用時期が不定期で、案件を受注したときだけ突然必要になる場合は、レンタルの柔軟性が生きることがあります。
また、一つの現場で長期間使用するケースと、短期間の現場を複数回転するケースでも事情が変わります。
長期工事では、一度現場に配置した測量機器を継続して使用することがあります。この場合、担当者が同じ機器を繰り返し使うため、操作にも慣れやすくなります。一方、現場数が多い会社では、同じ時期に複数台の測量機器が必要になる場合があります。自社保有が一台だけでは足りず、繁忙期だけ追加でレンタルするという運用も考えられます。
測量機器の必要台数を考えるときは、「年間で何台必要か」ではなく、「同じ日に最大何台必要になる可能性があるか」を確認することも重要です。
たとえば通常は一台で足りていても、複数現場が重なると二台、三台必要になることがあります。その最大需要に合わせてすべて購入すると、繁忙期以外に機器が使われない期間が生じる可能性があります。このような場合は、日常的に使用する基本台数だけ購入し、一時的に必要になる追加分をレンタルする方法も有効です。
さらに、使用頻度を見る際には、測量担当者だけでなく施工担当者が利用するケースも考える必要があります。測量専任者だけが使用していた機器を施工管理担当者も使うようになると、利用回数が大きく増えることがあります。
近年は、測量作業を専門担当者だけに集中させるのではなく、施工中の位置確認や出来形確認を現場担当者自身が行う運用も考えられます。このような体制を目指すのであれば、現在の使用頻度だけではなく、今後想定される利用頻度まで見込んで判断する必要があります。
つまり、第一の判断基準では「今どの程度使っているか」だけでなく、「今後どの程度使う可能性があるか」まで確認することがポイントです。
判断基準2 現場条件と必要な機能から考える
二つ目の判断基準は、現場ごとに必要となる機能や仕様です。
測量機器は用途によって求められる性能が異なります。基準点測量、位置出し、出来形確認、土量計測、構造物の確認など、作業目的が変われば適した機器も変わります。
たとえば、ある現場では高い位置精度を求めるGNSS測量が中心でも、別の現場では衛星からの信号を受信しにくく、別方式の測量機器が必要になることがあります。周囲に建物や樹木が多い現場、山間部、トンネル周辺、構造物の近くなどでは、同じ機器ですべての作業に対応できるとは限りません。
このように案件ごとの条件差が大きい会社では、一種類の測量機器を購入してすべての現場に対応しようとすると、実際の作業と機器の特性が合わなくなることがあります。その場合、現場条件に応じて必要な機器を選べるレンタルの柔軟性が役立ちます。
一方、自社が受注する工事の種類が比較的安定しており、使用する測量方法もほぼ共通しているのであれば、自社の業務に合った測量機器を購入し、標準機として運用する方法が考えられます。
標準機を決めるメリットは、単に機器を保有できることだけではありません。社内で操作方法を統一しやすくなり、データ作成手順や現場への持ち出し方法、測量結果の確認方法などを共通化しやすくなります。
特にデジタルデータを利用する測量機器では、機器単体の性能だけでなく、データの受け渡しまで確認することが重要です。
設計データをどの形式で取り込むのか、測量結果をどのように保存するのか、現場と事務所の間でどのように共有するのか、座標系をどのように管理するのかなど、実際の業務フローとの相性を見る必要があります。
レンタルを利用する場合でも、この確認は必要です。借りた機器が必要なデータ形式に対応していなかったり、現場担当者が想定していた操作方法と大きく異なったりすると、機器を確保できても作業を効率化できない可能性があります。
そのため、初めて利用する種類の測量機器であれば、いきなり購入するのではなく、まずレンタルなどで実際の現場に投入して適性を確認するという考え方もあります。
カタログ上の仕様だけでは、現場での使いやすさを判断しにくい部分があります。測量機器の重量、持ち運びやすさ、設置時間、画面の見やすさ、データ入力の手間、測量結果の確認方法などは、実際に使用して初めて分かることがあります。
特に新しい測量方法を導入する場合は、機器の精度だけで判断しないことが重要です。現場で作業時間をどの程度短縮できるのか、これまで二人で行っていた作業を一人で進められる場面があるのか、測量結果を施工管理にどのようにつなげられるのかなど、業務全体への影響を確認します。
その結果、利用価値が高いと判断できれば購入を検討し、特定案件だけで利用価値があるのであればレンタルを継続するといった判断ができます。
第二の基準では、機器の性能表を比較するだけではなく、「自社の現場で実際に何をしたいのか」を起点に考えることが大切です。
判断基準3 保管・点検・教育を含めた運用負担から考える
三つ目の判断基準は、測量機器を自社で管理する場合に必要となる運用体制です。
購入した測量機器は、自社の資産として管理することになります。そのため、使用していない期間も含めて保管場所や管理担当者を決める必要があります。
測量機器は精密機器であり、保管環境や取り扱いに注意が必要です。現場から戻った機器を車両に積んだままにしたり、湿気や温度変化が大きい場所に長期間置いたりする運用は避けたほうがよいでしょう。使用後には汚れや水分などの状態を確認し、適切に保管することが求められます。
また、定期的な状態確認も必要です。
現場で使用する測量機器に異常があれば、測量結果や施工管理に影響する可能性があります。機器本体だけでなく、三脚、ポール、バッテリー、充電器、接続部品など、周辺機材を含めた管理が必要です。
複数台を保有する会社では、どの機器をどの現場に持ち出しているのか分からなくなることもあります。
そのため、管理番号を付ける、貸出記録を残す、持ち出し先を共有する、返却時に状態を確認するといったルールを作ることが重要になります。
購入した測量機器を十分に活用できるかどうかは、担当者の操作スキルにも左右されます。
特定の社員だけが操作できる状態では、その担当者が別現場にいると機器を使えないことがあります。高機能な測量機器を購入しても、操作できる人が限られていれば、会社全体の生産性向上につながらない可能性があります。
購入を検討する際には、導入後の教育まで含めて考えましょう。
誰が最初に操作方法を覚えるのか、新しい担当者へどのように教えるのか、設定内容をどのように標準化するのか、現場でトラブルが起きたときに誰が対応するのかといった運用方法を決めておくと、機器を継続的に活用しやすくなります。
一方、使用機会の少ない特殊な測量機器を購入すると、次に使うまでに担当者が操作方法を忘れてしまうこともあります。その場合、使用のたびに再確認が必要になり、保有していることが必ずしも作業効率につながらない場合があります。
こうした機器については、必要な案件が発生したときだけレンタルし、使用前に操作方法や必要な設定を確認するほうが管理しやすいこともあります。
また、バッテリーを使用する測量機器では、長期間使用しない場合でも状態管理が必要になります。現場で使おうとした日に充電不足や劣化が判明すると、工程に影響する可能性があります。
保有台数が増えるほど、本体以外の管理対象も増えます。
このため購入判断では、「所有できるか」ではなく「継続的に適切な状態で管理できるか」という視点が欠かせません。
レンタルでは、保有資産として長期間管理する負担を減らせる一方、使用前には必要な機器や付属品がそろっているか、現場条件に適した構成になっているかを確認する必要があります。受け取った機器をそのまま現場へ持ち込むのではなく、事前に起動や設定、必要データなどを確認しておくことが大切です。
購入でもレンタルでも、測量機器は調達した時点で終わりではありません。実際に現場で確実に使用できる状態を作るところまでが運用です。
判断基準4 将来の現場数と測量体制から考える
四つ目の判断基準は、現在ではなく将来の測量体制です。
測量機器を購入すると、その後も継続して使用することを前提とした運用になりやすいため、今後の案件や人員配置まで考えて判断することが重要です。
たとえば現在は測量担当者が一人で複数現場を回っている会社でも、将来的に施工管理担当者が自分の現場で位置確認を行う体制へ変わる可能性があります。その場合、必要な測量機器の台数は増えることになります。
逆に、特定分野の工事が減る予定であれば、その工事専用に近い測量機器を新たに購入しても、十分に活用できない可能性があります。
確認したいのは、今後受注を増やしたい工事分野と、そこで必要になる測量作業です。
道路、造成、外構、構造物、設備、維持管理など、業務内容によって測量機器の使い方は異なります。これから自社で強化したい工事に共通して使用できる機器であれば、購入して社内の標準設備にする意味が大きくなります。
また、測量の内製化を進めたいかどうかも重要です。
これまで外部に依頼していた位置確認や簡易な測量作業の一部を自社で行うのであれば、機器を導入するだけでなく、現場担当者が扱える仕組みを整える必要があります。
この場合、購入する機器を選ぶときは、最高性能だけを追うのではなく、実際に使用する担当者が扱いやすいかどうかも確認します。
測量機器の高機能化は便利な一方、機能が多いほど設定や操作が複雑になる場合があります。限られた専門担当者が高度な測量を行うのであれば機能の多さが重要になりますが、多くの現場担当者が日常的に位置確認をするのであれば、操作の分かりやすさや持ち運びやすさが重要になることがあります。
さらに、会社全体で測量データをどのように利用するかという視点も必要です。
測量した座標や点群などのデータを現場だけで使って終わるのか、施工管理や出来形確認、写真記録、設計データとの比較などにも利用するのかによって、必要な環境は変わります。
今後デジタル施工を進める予定があるなら、単なる測定機器としてではなく、現場データを取得する入口として測量機器を見ることも重要です。
レンタルは、将来の業務内容がまだ固まっていない段階で複数の方法を試す手段として利用できます。実際の工事で使いながら、自社に必要な機能や運用方法を確認できます。
一方、運用方法が固まり、複数の現場で同じ測量方法を繰り返すようになれば、購入して社内標準に移行する選択肢が出てきます。
つまり第四の基準では、現在の稼働率だけを見るのではなく、「数年後にどのような測量体制を作りたいのか」を考えることが重要です。
レンタルが向いているケースを整理する
ここまでの判断基準を踏まえると、レンタルが向いているのは、必要な期間や機種が限定されているケースです。
代表的なのは、特定案件だけで使用する測量機器が必要になった場合です。
普段の業務では使わない機器を、一つの工事のためだけに保有すると、工事終了後に利用機会がなくなる可能性があります。そのようなケースでは、必要な期間だけ確保できるレンタルが選択肢になります。
また、初めて導入する測量方法を試したい場合にも利用しやすいでしょう。
新しい測量機器について説明を読んだだけでは、自社の作業にどの程度適しているか判断しにくいものです。実際の現場で使えば、設置にかかる時間、操作の分かりやすさ、測量結果の確認方法、既存の作業との違いなどを具体的に確認できます。
導入前の検証として使うことで、購入後に「想定していた使い方と違った」という事態を減らしやすくなります。
繁忙期だけ台数が必要になる会社にもレンタルは適しています。
通常時は自社保有機で対応し、複数現場が重なる期間だけ追加することで、保有台数を必要以上に増やさずに対応できます。
特殊条件の現場が発生した場合も同様です。
通常使用している機器では対応しにくい環境や、特別な計測方法が必要になったとき、案件に合わせた測量機器を一時的に用意できれば、設備構成を固定せずに済みます。
ただし、レンタルなら何でも手軽というわけではありません。
必要な時期に希望する仕様の機器を確保できるかどうか、搬入後に設定や操作確認を行う時間があるかどうか、付属品が作業内容に適しているかどうかなどを事前に確認する必要があります。
特に工事直前に手配すると、操作確認やデータ準備の時間が不足することがあります。
初めて使用する機器の場合は、現場へ持ち込む前に一度動作を確認し、測量データの入力から結果確認まで一連の流れを試しておくことが重要です。
レンタルを有効に使うポイントは、単なる一時的な調達方法として見るのではなく、需要変動への対応や新しい測量方法の検証手段として活用することです。
購入が向いているケースを整理する
購入が向いているのは、日常業務の中で繰り返し使用し、自社の標準設備として定着させたい測量機器です。
現場へ頻繁に持ち出す機器であれば、自社で保有することで必要なときにすぐ使用できる体制を作れます。
測量機器が現場の工程に組み込まれている場合、この即応性は大きな意味を持ちます。
たとえば施工前の位置確認、施工途中の確認、完成時の確認など、工程の各段階で測量する場合、そのたびに機器の手配状況を確認するより、現場や社内で使用できる機器を確保しておいたほうが計画を立てやすくなります。
また、繰り返し同じ機器を使用できるため、担当者が操作に慣れやすいという利点もあります。
操作手順を社内で統一し、設定方法やデータ管理方法を標準化すれば、担当者が変わっても同じ流れで作業しやすくなります。
測量機器を施工の一部として日常的に使いたい会社では、この標準化が重要です。
購入後に活用範囲を広げられる可能性もあります。
当初は測量担当者だけが使っていた機器でも、手順を整理して施工管理担当者が利用できるようになれば、機器の稼働率を高められる場合があります。
ただし、購入する場合は「今よく使っているから」という理由だけで決めないことが大切です。
その機器を使用する工事が今後も継続するか、複数の担当者が使えるか、保管や管理を適切に行えるかを確認する必要があります。
購入した機器を一人の担当者だけが管理していると、その担当者が不在のときに誰も使えないという状況になりかねません。
そのため購入時には、操作手順だけでなく管理手順も標準化しておくことが望まれます。
保管場所、持ち出し方法、返却時の確認、充電、データの取り扱いなどを決めておけば、測量機器を会社の共有設備として運用しやすくなります。
購入の価値は、単に長期間所有することではありません。測量機器を自社の作業工程に組み込み、継続的に活用できるかどうかが重要です。
レンタルと購入を組み合わせる方法も有効
測量機器の導入方法は、レンタルか購入かの二択にする必要はありません。
実務では、両方を組み合わせる方法が有効です。
たとえば日常的に使用する測量機器を基本台数だけ購入し、現場が重なったときに不足する分をレンタルします。この方法であれば、日常業務では自社の機器を自由に使いながら、一時的な需要増にも対応できます。
また、一般的な測量作業に使う機器を購入し、特殊な計測に必要な機器だけレンタルする方法もあります。
測量機器の種類を増やしすぎると、保管や点検、教育の負担も増えます。そのため、使用頻度の高いものだけを標準機として保有し、使用頻度の低い機器は必要時に調達するという考え方は合理的です。
新しい測量技術を導入する際にも、組み合わせは有効です。
まずレンタルなどで実際の現場に投入し、作業時間や操作性、測量結果の利用方法を確認します。そのうえで利用機会が増えてきたら購入するという段階的な導入方法です。
この流れであれば、仕様だけを見て購入するより、自社の業務との相性を確認してから判断できます。
さらに、会社の成長に合わせて保有台数を増やすこともできます。
最初から複数台をそろえるのではなく、まず一台を標準機として導入し、運用方法を確立します。その後、現場数や利用者が増えた段階で追加導入すれば、社内教育や機器管理の仕組みも段階的に整備できます。
レンタルと購入を組み合わせるときに重要なのは、どちらを基本運用にするのかを明確にすることです。
たとえば「通常現場は自社保有機、同時稼働が増えた場合だけレンタル」「特殊な計測のみレンタル」といったルールを決めておけば、案件ごとに一から判断する必要がありません。
社内で測量機器の利用状況を記録しておくことも有効です。
どの現場でどの機器を使用したか、使用期間はどの程度だったか、台数不足が何回発生したかを把握すると、次回の購入判断に利用できます。
感覚だけで「最近よく借りているから購入しよう」と決めるのではなく、実際の利用実績を確認することで、自社に適した保有台数を考えやすくなります。
レンタルと購入を対立する選択肢としてではなく、それぞれの特徴を組み合わせて測量体制を作るという視点を持つことが大切です。
測量機器を選ぶ前に現場の作業工程を整理する
レンタルか購入かを決める前に行いたいのが、測量機器を使用する作業工程の整理です。
「測量機器が必要」というところから考え始めると、機器の仕様比較ばかりに目が向きやすくなります。しかし、本来の目的は機器を導入することではなく、現場の測量や位置確認を確実かつ効率的に行うことです。
まず、現状の作業でどこに時間がかかっているのかを確認します。
測量担当者が現場に来るまで施工を進められないのか、位置確認のたびに二人作業が必要なのか、測量後に事務所へ戻ってデータを整理する時間が長いのかなど、課題によって必要な機器は変わります。
次に、その作業を誰が行うのかを整理します。
専門の測量担当者が使うのか、施工管理担当者が使うのか、複数の社員が共有するのかによって、求められる操作性や管理方法は異なります。
利用者が多い場合には、専門知識がある人だけが操作できる機器より、必要な作業を現場で分かりやすく行える仕組みのほうが適している場合もあります。
また、測量結果をどこまで利用するのかも重要です。
その場で位置を確認できればよいのか、測量した座標を記録したいのか、現況を点群として残したいのか、施工後の確認資料として利用したいのかによって必要な機能が変わります。
ここまで整理すると、本当に必要な測量機器が見えやすくなります。
たとえば日常的な位置確認が中心で、現場担当者が頻繁に利用するのであれば、小型で持ち運びやすく、現場で素早く測位できる機器が候補になるでしょう。
一方、限られた担当者が特定の工程だけで高度な計測を行う場合は、必要時だけ専門的な機器を用意する運用が適していることもあります。
さらに、測量機器の導入によって変わる周辺作業も確認します。
現場へ持ち出す準備、機器の設置、座標データの準備、測量、結果確認、データ共有、片付けまで、一連の工程として考えることが重要です。
測量時間そのものが短くても、機器の運搬や設置、データ準備に時間がかかるのであれば、期待したほど省力化できない可能性があります。
逆に、持ち運びや設置が簡単になり、必要なときに現場担当者がすぐ測位できれば、測量作業だけでなく工程待ちの削減にもつながる可能性があります。
こうした観点から考えると、測量機器を選ぶときに重要なのは、単純な測定性能だけではないことが分かります。
自社の作業工程のどこに組み込み、誰が、いつ、どのように使うのかを決めたうえでレンタルと購入を比較することで、導入後のミスマッチを減らしやすくなります。
まとめ 測量機器は利用期間だけでなく運用全体で判断する
測量機器のレンタルと購入を判断するときは、短期利用ならレンタル、長期利用なら購入という単純な分け方だけでは十分ではありません。
第一に確認したいのは使用頻度と利用期間です。日常的に繰り返し使用するのか、特定案件だけで使用するのか、複数現場が同時に動いたときに何台必要になるのかを整理します。
第二に、現場条件と必要な機能を確認します。案件ごとに求められる測量方法が大きく変わるのであればレンタルの柔軟性が役立ちます。一方、受注する工事や測量方法がある程度共通しているのであれば、標準機を購入して運用を統一する考え方があります。
第三に、保管、点検、周辺機材、社内教育などの運用負担を確認します。購入した測量機器は、使っていない期間も適切に管理する必要があります。保有台数が増えれば、貸出管理やバッテリー管理、操作教育などの負担も増えるため、継続して運用できる体制を作れるかが重要です。
第四に、将来の現場数や測量体制を考えます。現在の利用状況だけでなく、測量をどこまで内製化するのか、現場担当者自身が測量する機会を増やすのか、今後どの工事分野を強化するのかまで考えることで、中長期的な判断がしやすくなります。
そして、必ずしもレンタルと購入のどちらか一方に統一する必要はありません。日常的に使用する基本台数を購入し、繁忙期の追加分や特殊な用途だけをレンタルする方法もあります。新しい測量方法については、まず実際の現場で試し、効果を確認してから標準設備として導入する方法も考えられます。
測量機器選びで最も大切なのは、「機器を持つこと」ではなく、「現場の測量をどう変えたいのか」を明確にすることです。
従来は測量担当者が大型の機器を現場へ運び、設置してから測量を開始する方法が一般的でしたが、測量作業のデジタル化が進むことで、より小型の機器を日常的な位置確認や現場記録に活用する選択肢も増えています。
特に、施工管理担当者が必要なときに自分で位置を確認したい、測量のための待ち時間を減らしたい、現場で取得した座標情報をそのまま記録や施工管理につなげたい場合には、従来の測量機器だけでなく、携帯性や操作性を重視した測位機器も含めて比較するとよいでしょう。
測量機器の導入を検討しているのであれば、まず現在の測量作業を整理し、どの工程を効率化したいのかを明確にすることから始めてみてください。そのうえでレンタル、購入、あるいは両者を組み合わせる方法を検討すれば、自社の現場に合った導入方法を選びやすくなります。
現場へ持ち運びやすい測位環境や、日常的な位置確認をより身近な作業にしたい場合は、小型GNSS測量機器という選択肢もあります。測量を専門担当者だけの作業にせず、必要な現場で必要なときに位置情報を活用する体制を検討する際には、LRTK Phoneを含めた新しい測量方法についても確認してみてください。