LRTKレフィクシア株式会社

曇りや雨を考慮した太陽光発電量計算の考え方5つ

太陽光発電量を計算するとき、晴天時の発電量だけを見てしまうと、実際の運用結果とのズレが大きくなりやすくなります。特に曇りや雨の日が多い地域、梅雨や台風時期の影響を受けやすい地域、山間部や沿岸部のように天候変化が大きい場所では、日射量の低下をどのように見込むかが計算精度に関わります。

太陽光発電は太陽の光を受けて発電する仕組みですが、発電量は単純に天気だけで決まるわけではありません。曇りでも散乱光によって一定の発電はありますし、雨の日でも空が明るい時間帯には発電する場合があります。一方で、厚い雲、長雨、パネル表面の汚れ、気温、設置角度、周囲の影、機器の変換損失などが重なると、想定より発電量が低く見えることがあります。そのため、実務で発電量を計算する場合は、晴天時の理想値だけに頼らず、曇天・雨天・季節差・設備条件を現実的に織り込むことが大切です。

曇りや雨の日でも発電量がゼロにならない前提を理解する

太陽光発電量の計算で最初に押さえたいのは、曇りや雨の日でも発電量が完全にゼロになるとは限らないという点です。太陽光パネルは、晴天時の強い直達光だけでなく、雲や大気中で拡散した光も受けて発電します。そのため、空全体が明るい曇りの日であれば、晴天時より発電量は下がるものの、一定の発電は期待できます。雨の日も同様で、厚い雨雲に覆われて暗い時間帯は発電量が大きく低下しますが、日中の明るさが残っていればわずかでも発電することがあります。

実務で問題になりやすいのは、「曇りだから発電しない」「雨だから発電量は必ずゼロに近い」といった極端な前提で計算してしまうことです。逆に、晴天時の発電量を基準にして、曇りや雨の影響を十分に差し引かない計算も注意が必要です。どちらも現実の発電量から離れやすく、導入前のシミュレーション、月次報告、発電量低下の原因調査で判断を誤る原因になります。

太陽光発電量を簡易的に考えるときは、発電設備の容量、日射量、システム全体の効率を組み合わせて概算します。ここで重要なのは、天気の違いが主に日射量に反映されるという考え方です。晴れている日は日射量が大きく、曇りの日は小さく、雨の日はさらに小さくなる傾向があります。ただし、同じ曇りでも薄曇りと厚い曇りでは条件が大きく異なります。同じ雨でも、短時間の雨なのか、一日中暗い雨なのかによって発電量は変わります。

たとえば、午前中は曇りで午後に晴れ間が出た日と、一日中厚い雲に覆われた日では、どちらも天気区分としては曇りを含みますが、発電量は大きく違います。雨の日でも、朝夕だけ雨が降り、日中に明るい時間があれば、発電量は完全には落ちません。反対に、晴れの日であっても、黄砂、積雪、影、パネルの汚れ、機器停止があれば、期待した発電量に届かないことがあります。

このように、天候を単純な晴れ・曇り・雨だけで処理するのではなく、実際にパネルへ届く日射の強さと時間を意識することが大切です。特に「太陽光発電量 計算」で検索する実務担当者にとっては、計算式そのものを覚えるだけでは不十分です。計算に入れる日射量がどの条件を表しているのか、晴天基準なのか、平年値なのか、実測値なのか、推定値なのかを確認する必要があります。

曇りや雨を考慮する場合、まず晴天時の最大発電量を絶対的な基準としないことがポイントです。晴天時の発電量は、設備が良好に稼働し、日射条件も良いときの目安です。年間や月間の発電量を計算する場合には、晴れの日だけでなく、曇りの日、雨の日、日射が弱い朝夕、季節による太陽高度の違いも含めて平均化された条件を使う方が現実に近づきます。

また、曇りや雨の日の発電量を考えるときは、パネル容量だけを見て判断しないことも重要です。同じ容量の設備でも、設置角度、方位、周辺環境、パネル面の状態、機器構成によって発電量は変わります。曇天時はそもそもの日射が弱いため、わずかな影や汚れ、接続不良、変換効率の差が目立ちやすくなることがあります。晴天時には気づきにくい小さなロスが、曇りや雨の日の低発電として表面化する場合もあります。

したがって、曇りや雨を考慮した発電量計算では、「悪天候の日は発電量が下がる」という一般論で終わらせず、日射がどの程度低下するのか、その低下がどの時間帯に起きるのか、設備側の損失と重なっていないかを分けて見る姿勢が必要です。ここを整理しておくと、計算結果を現場の実績と照合するときにも、天候の影響なのか、設備側の問題なのかを切り分けやすくなります。

日射量データを天候別に見て計算の土台を整える

曇りや雨を考慮した太陽光発電量計算では、日射量データの扱いが中心になります。発電量は設備容量だけで決まるものではなく、パネル面に届く日射エネルギーの大きさに左右されます。そのため、計算の土台として使う日射量が現実に合っていなければ、どれだけ丁寧な式を使っても結果はずれてしまいます。

日射量には、水平面日射量、傾斜面日射量、全天日射量など、目的によって異なる見方があります。太陽光パネルは屋根や架台の角度に合わせて設置されるため、実際の発電量を考える場合は、できるだけパネル面に近い条件の日射量を意識することが大切です。水平面のデータだけを見ていると、設置角度や方位による差を十分に反映できないことがあります。

曇りや雨の日を考慮する際には、日射量の平均値だけでなく、日ごとのばらつきも重要です。月平均の日射量は、晴れの日と悪天候の日をならした値です。年間発電量の概算には便利ですが、特定月の発電量低下や、雨が続いた期間の実績確認には粗すぎる場合があります。梅雨時期や台風時期、冬季の日照不足が問題になる地域では、月平均だけではなく、日別、時間別の変化を見た方が、実態に近い判断ができます。

たとえば、月間の日射量が平年より低かった場合、その月の発電量が想定より下がるのは自然なことです。しかし、日射量が平年並みなのに発電量だけが大きく低い場合は、設備側の停止、影、汚れ、配線、計測機器、変換装置など別の要因を疑う必要があります。この切り分けを行うためにも、天候を感覚で判断するのではなく、日射量データを基準にすることが欠かせません。

天候別に考える場合、晴天時、薄曇り、厚い曇り、雨天を一律に扱わないことも大切です。薄曇りの日は直射日光が弱くなっても、空全体からの散乱光で一定の発電が見込めることがあります。一方、厚い雲に覆われた日や、雨雲が長く残る日は、日中でも日射が大きく落ち込みます。短時間の雨であれば一日の発電量への影響は限定的な場合がありますが、終日雨であれば大きな低下につながります。

実務上は、天気予報の表現だけで計算するよりも、日射量や発電実績の時系列データを見る方が安全です。天気予報で「曇り」とされていても、実際には晴れ間が出て発電量が伸びることがあります。反対に、「晴れ時々曇り」でも、発電ピークの時間帯に雲がかかれば、一日の発電量は想定より低くなることがあります。太陽光発電では、午前から午後の発電しやすい時間帯にどれだけ日射が得られたかが重要です。

計算に使うデータ期間も注意が必要です。短期間のデータだけで判断すると、偶然の天候に引っ張られやすくなります。数日間だけ雨が続いた後に発電量を確認すると、設備に問題があるように見えるかもしれません。しかし、同じ月の後半に晴天が続けば、月間では想定に近づくこともあります。逆に、年間では問題がなさそうに見えても、特定の月だけ極端に発電量が低い場合は、その時期特有の影や積雪、汚れ、機器停止が隠れている可能性があります。

日射量データを使うときは、対象地点との距離にも注意します。近隣の観測地点や一般的な地域データを使う場合、現場の微地形、霧、山影、海風、積雪、周辺建物の影までは完全に反映できません。特に山間部では、同じ市町村内でも日照条件が変わることがあります。沿岸部では雲の流れや湿気の影響を受けることがあります。都市部では建物の影や反射の影響が加わります。したがって、公開されている日射量データは有用な基準ですが、現場条件と照らし合わせて補正する意識が必要です。

発電量の概算では、日射量に設備容量と損失係数を掛け合わせる考え方がよく使われます。このとき、曇りや雨の影響を別途大きく見込む場合は、すでに日射量データの中に天候影響が含まれているかどうかを確認する必要があります。平年の日射量や実測の日射量を使っている場合、天候による平均的な変動はある程度反映されています。そこへさらに過大な悪天候補正を重ねると、発電量を低く見積もりすぎることがあります。

一方で、晴天時の理想的な日射条件をもとに計算している場合は、曇りや雨の影響を別途見込まなければ、発電量を高く見積もりすぎます。つまり、補正の必要性は、どのデータを使っているかによって変わります。計算式に入れる前に、日射量データの種類、期間、地点、平均値か実測値かを確認することが、曇りや雨を考慮した計算の第一歩です。

月別・季節別の変動を加味して年間発電量を考える

太陽光発電量を計算する際、曇りや雨の影響は日単位だけでなく、月別・季節別にも現れます。年間発電量を見積もる場合、単純に一日の平均発電量を三百六十五倍するだけでは、季節ごとの日射条件や天候の偏りを十分に反映できません。実務では、月ごとの日射量、日照時間、太陽高度、気温、雨や曇りの多さを考慮して、年間の発電量を積み上げる考え方が有効です。

太陽光発電は、日射量が多い時期に発電量が伸びやすく、日射量が少ない時期に低下しやすくなります。ただし、夏が常に最も発電するとは限りません。夏は日照時間が長い一方で、気温が高くなると太陽光パネルの出力が下がりやすくなります。また、地域によっては梅雨や台風、夕立、湿気を含んだ雲の影響で、思ったほど発電量が伸びないこともあります。春や秋は気温が比較的穏やかで、日射条件も安定しやすいため、発電量が良好になる場合があります。

雨や曇りを考えるときに特に注意したいのが、梅雨時期や長雨の影響です。連続して曇天や雨天が続くと、日ごとの発電量は大きく落ちます。短期的には「発電量が低い」と感じやすい時期ですが、年間で見ると、他の晴天期間である程度補われる場合もあります。そのため、月次で判断する場合と年次で判断する場合を分けることが大切です。月次の低下は天候要因で説明できることが多い一方、年次で長く低い状態が続く場合は、設備や運用条件を見直す必要が出てきます。

冬季も計算上の注意点が多い季節です。冬は日照時間が短く、太陽高度が低くなるため、同じ設備容量でも発電量が下がりやすくなります。積雪地域では、パネル表面に雪が残ると日射を受けられず、発電量が大きく低下します。曇りや雪の日が続く地域では、冬季の発電量を晴天基準で見積もると過大になります。さらに、周囲の建物や地形による影が冬に長く伸びる場合、晴れていても発電量が伸びにくいことがあります。

一方で、冬は気温が低いため、パネル自体の温度上昇による出力低下は夏より小さくなる傾向があります。つまり、冬の発電量低下は気温よりも日射量、日照時間、太陽高度、影、積雪の影響が大きくなりやすいと考えられます。このように、季節ごとの要因は一つではありません。曇りや雨だけでなく、気温や影の出方も含めて見ると、計算結果の解釈がしやすくなります。

月別に発電量を考える場合は、年間発電量を単純に十二等分しないことが重要です。太陽光発電では、月によって発電量の差が出ます。日射量の多い月と少ない月があり、同じ設備でも発電しやすい時期としにくい時期があります。年間の想定値が同じでも、月別の配分を誤ると、ある月では過大に見え、別の月では過小に見えることがあります。特に曇りや雨の影響を評価する場合は、その月の平年値や実際の天候と比べることが必要です。

実務担当者が月次レポートを作る場合、発電量が低かった理由を一言で「天候不良」とまとめるだけでは不十分なことがあります。天候不良がどの程度の日射低下につながったのか、雨天日がどれくらいあったのか、発電ピーク時間帯に雲が多かったのか、前年同月や平年と比べてどうだったのかを確認すると、説明の精度が上がります。逆に、曇りや雨が多かったにもかかわらず、発電量が想定に近い場合は、設備が安定して稼働していると判断できる材料になります。

年間発電量を計算する際は、月別の発電量を積み上げる方法が現実的です。各月の日射量に設備容量と損失係数を掛け合わせ、月ごとの想定発電量を出します。そのうえで、季節ごとの特徴を確認します。梅雨や台風の影響を受ける月は日射量が低めになる可能性を見込み、冬季は日照時間や影、積雪を確認します。春や秋は比較的安定しやすい時期として見ますが、地域によっては長雨や黄砂、落葉、農作業による粉じんなどの影響も考えられます。

ここで大切なのは、年間の合計値だけを見て満足しないことです。年間発電量の計算は導入検討や事業計画に必要ですが、実際の運用では月別の差異が問題になります。たとえば、年間では想定に近くても、特定の月に大きな低下があれば、その月の天候や設備状態を確認する必要があります。反対に、ある月だけ想定を下回っても、長雨や台風など明確な理由があれば、すぐに設備不良と決めつける必要はありません。

曇りや雨を考慮した計算では、季節ごとの「通常起こり得る変動」と、異常な低下を分けて考えることが大切です。通常起こり得る変動とは、その地域や季節で見られる日射量低下です。異常な低下とは、同じような天候条件の年や月と比べても発電量が低い状態です。この区別ができると、発電量の評価が安定します。天候のせいにしすぎることも、設備のせいにしすぎることも避けられます。

損失係数を使って実発電量に近づける

太陽光発電量の計算では、日射量と設備容量だけでなく、システム全体の損失を見込む必要があります。理論上は、十分な日射があり、設備が理想的に動けば高い発電量が得られます。しかし現場では、温度上昇、変換損失、配線損失、パネル表面の汚れ、影、経年劣化、機器の制御、計測誤差など、さまざまな要因によって実際の発電量は下がります。この差を考慮するために、損失係数やシステム効率の考え方を使います。

曇りや雨の日は日射量が少ないため、損失の見え方も晴天時とは異なります。晴天時には発電量が大きいため多少の損失が目立ちにくい場合がありますが、曇天時はもともとの発電量が小さいため、影や汚れ、機器の待機状態などが相対的に大きく見えることがあります。雨の日はパネル表面の汚れが一部洗い流されることもありますが、鳥ふんや油分を含む汚れ、落ち葉、泥、積もったほこりが完全に落ちるとは限りません。雨が降ったからパネルが必ずきれいになると考えるのは安全ではありません。

損失係数を使うときは、すべての条件を一つの数字に押し込めすぎないことが大切です。簡易計算では、システム全体の損失をまとめて扱うことがありますが、実務上の原因分析では、どの損失が大きいのかを分けて考える必要があります。たとえば、曇りや雨による日射量低下は天候側の要因です。一方、変換装置の停止、配線の不具合、パネルの汚れ、影、計測機器のずれは設備側または運用側の要因です。これらを混同すると、発電量低下の説明が曖昧になります。

温度による損失も見逃せません。太陽光パネルは、一般にパネル温度が高くなると出力が下がりやすくなります。晴天の夏場は日射量が大きい一方で、パネル温度が上がるため、日射量の伸びほど発電量が伸びないことがあります。曇りや雨の日は気温やパネル温度が下がる場合がありますが、日射量そのものが少ないため、発電量は抑えられます。つまり、曇りや雨の日に発電量が低い主因は、多くの場合、温度ではなく日射量の不足です。ただし、季節比較を行う場合は、日射と温度の両方を見た方が安全です。

影による損失は、曇りや雨の日にも関係します。強い直射日光がない曇天時は影が目立ちにくいように感じますが、発電量の評価では周辺環境の影響を無視できません。晴天時に特定の時間帯だけ影が出る場合、その時間帯の発電量が大きく落ちることがあります。冬場は太陽高度が低いため、建物、樹木、設備架台、手すり、電柱などの影が長く伸びます。雨や曇りが多い季節と影の出やすい季節が重なると、発電量低下の原因が一つに見えにくくなります。

パネル表面の状態も計算と実績の差に影響します。雨が降ると表面の軽いほこりが流れることはありますが、固着した汚れ、鳥ふん、落ち葉、花粉、泥は残る場合があります。曇りや雨の発電量を計算するとき、日射量の低下だけを見ていると、汚れによる追加損失を見落とすことがあります。特に雨上がりに一部だけ汚れが残っている場合、晴天に戻った後の発電量にも影響が続く可能性があります。

変換装置や配線の損失も考慮が必要です。太陽光パネルで発電された直流電力は、利用や連系に適した形に変換される過程で損失が生じます。配線距離、接続状態、機器の効率、運転制御によっても差が出ます。曇天時は入力が小さいため、機器の動作条件によっては効率の見え方が変わることがあります。計算では平均的な損失として扱うことが多いですが、実績と大きく差が出る場合は、機器の稼働ログや停止履歴も確認した方がよいです。

経年劣化も発電量計算に入れるべき要素です。太陽光発電設備は長期運用を前提とするため、年数が経つにつれて出力が少しずつ低下する可能性があります。導入初年度の発電量を基準にして何年も同じ発電量を見込むと、長期の計算では過大になることがあります。ただし、劣化率は設備や設置環境、保守状況によって異なるため、断定的に扱わず、仕様や点検記録、実績推移を確認しながら見込むことが大切です。

曇りや雨を考慮した発電量計算では、日射量の補正と損失係数の補正を二重にかけすぎないよう注意します。たとえば、実測の日射量を使っている場合、天候による日射低下はすでに反映されています。そのうえで、さらに「雨天補正」として大きく発電量を差し引くと、必要以上に低い結果になることがあります。一方、晴天時の理想条件をもとにした計算であれば、天候による日射低下を別途考慮する必要があります。

安全な計算の進め方は、まず日射量で天候の影響を反映し、次に設備側の損失を適切に見込むことです。天候と設備損失を分けて考えることで、計算結果の説明がしやすくなります。実績が想定より低かったときも、日射量が低かったのか、損失係数の見込みが甘かったのか、設備に異常があるのかを順番に確認できます。

実績データと比較して計算条件を見直す

曇りや雨を考慮した太陽光発電量計算は、一度作って終わりではありません。計算値はあくまで見込みであり、実際の発電量と比較しながら条件を見直すことで精度が高まります。特に運用中の設備では、発電実績、日射量、気温、天候、機器の稼働状況を照合することが重要です。計算式だけで完結させず、現場データと結びつけることで、実務に使える発電量評価になります。

実績比較でまず見るべきなのは、同じ期間の日射量と発電量の関係です。日射量が低い日に発電量が低いのは自然です。曇りや雨が続いた期間に発電量が落ち込んでいる場合、まず天候要因として説明できるかを確認します。一方で、日射量が十分にあるのに発電量が低い場合は、設備側の問題を疑います。発電量だけを単独で見るのではなく、日射量との比率や時間帯ごとの変化を見ると、原因を切り分けやすくなります。

時間帯別のデータも有効です。太陽光発電は、一般に日中に発電量が大きくなり、朝夕は小さくなります。晴天時であれば、発電量の曲線は比較的なめらかに上がり、昼前後に高くなり、夕方に下がります。曇りの日は雲の動きによって発電量が上下しやすく、雨の日は全体的に低くなる傾向があります。もし晴天の日でも特定の時間帯だけ発電量が急に落ちる場合は、影、機器制御、停止、計測異常などを確認する必要があります。

月別比較では、前年同月や平年値との比較が役立ちます。ただし、前年同月と単純に比べるだけでは不十分です。前年が晴天に恵まれていた月で、今年が雨の多い月であれば、発電量が下がるのは自然です。逆に、今年の天候が前年並みなのに発電量だけが低い場合は、設備側の変化を疑う根拠になります。発電量の評価では、比較対象の天候条件をそろえることが大切です。

実績データを見るときは、計測機器やデータロガーの時刻ずれにも注意が必要です。日射量データと発電量データの時刻がずれていると、同じ時間帯を比較しているつもりでも実際には違う条件を見ていることがあります。特に雲の動きが速い日や、雨が短時間で変化する日は、時刻ずれの影響が大きくなります。発電量の低下を分析する前に、データの時刻、集計単位、欠測、通信停止、記録方法を確認しておくと、誤判断を防ぎやすくなります。

また、発電実績には機器の停止や制御の影響が含まれます。点検、停電、出力制御、保護動作、通信不良、計測欠損があると、天候とは関係なく発電量が低く記録される場合があります。曇りや雨が重なった日に設備停止が起きると、発電量低下の原因が天候に見えてしまうことがあります。実績と計算値を比較するときは、停止履歴や警報履歴も合わせて確認することが安全です。

計算条件の見直しでは、最初に使った日射量、損失係数、設備容量、設置角度、方位、影の条件が現実に合っているかを確認します。導入前のシミュレーションでは、周囲の建物や樹木の成長、季節ごとの影、汚れの蓄積、積雪、保守頻度などを十分に反映できていない場合があります。運用後の実績が蓄積されたら、それらをもとに想定条件を修正していくと、次回以降の予測や報告が現実的になります。

ただし、実績に合わせるために計算条件を安易に変えすぎるのも避けたいところです。ある月だけ雨が多かったからといって、年間の損失係数を大きく下げてしまうと、通常の天候に戻ったときに計算が合わなくなります。短期的な天候変動は日射量側で説明し、長期的に続く差は設備条件や損失係数で見直すという分け方が有効です。

発電量が想定より低い場合、原因を順番に確認する考え方が役立ちます。まず、その期間の日射量が低かったかを見ます。次に、同じ日射量に対する発電量の比率が過去と比べて下がっていないかを見ます。そのうえで、機器停止、影、汚れ、積雪、計測異常、経年劣化などを確認します。この流れにすると、曇りや雨の影響を必要以上に大きく見積もったり、逆に設備異常を見逃したりするリスクを減らせます。

実績比較を続けることで、設備ごとの特性も見えてきます。同じ地域にある設備でも、設置角度や周囲環境が違えば、曇りや雨の日の発電量の出方は変わります。薄曇りの日に比較的安定して発電する設備もあれば、影や汚れの影響で低く出やすい設備もあります。自社または管理対象設備の実績を蓄積し、天候別、季節別、時間帯別に傾向を把握しておくと、計算条件の精度が上がります。

曇りや雨を考慮した発電量計算は、導入前の見積もりだけでなく、運用後の改善にも役立ちます。発電量が低いときに、天候の影響として妥当なのか、点検が必要なのかを判断できるからです。実績データを使って計算条件を見直す習慣があれば、報告の説得力も高まり、関係者への説明もしやすくなります。

まとめ

曇りや雨を考慮した太陽光発電量計算では、晴天時の発電量だけを基準にしないことが重要です。太陽光発電は、曇りや雨の日でも散乱光や弱い日射によって一定の発電をする場合がありますが、晴天時と比べると発電量は大きく下がりやすくなります。そのため、天気を感覚で判断するのではなく、日射量データを中心に計算条件を組み立てる必要があります。

発電量を現実に近づけるには、日射量、設備容量、損失係数を組み合わせて考えます。このとき、日射量データにすでに天候の影響が含まれているのか、晴天時の理想条件を使っているのかを確認することが大切です。実測値や平年値を使う場合と、理想条件から補正する場合では、必要な調整が変わります。補正を重ねすぎると低く見積もりすぎ、補正が不足すると高く見積もりすぎるため、前提の整理が欠かせません。

また、曇りや雨の影響は日単位だけでなく、月別・季節別にも現れます。梅雨、台風、冬季の日照不足、積雪、長雨などは、発電量を大きく左右します。年間発電量を考える場合は、月ごとの日射量を積み上げ、季節ごとの特徴を反映させる方が現実的です。年間の合計だけを見るのではなく、月別の変動を理解することで、実績との差を説明しやすくなります。

さらに、発電量の低下をすべて天候のせいにしないことも大切です。変換損失、配線損失、パネル表面の汚れ、影、機器停止、計測異常、経年劣化など、設備側の要因も発電量に影響します。曇りや雨が多い時期は発電量が低くなりやすいため、設備側の問題が見えにくくなることがあります。日射量と発電量の関係を比較し、天候要因と設備要因を分けて確認することが、実務上の安全な進め方です。

運用中の設備では、計算値と実績値を継続的に比較し、条件を見直すことが欠かせません。発電量、日射量、気温、天候、停止履歴、警報履歴、点検記録を合わせて見ることで、曇りや雨による自然な低下なのか、設備点検が必要な低下なのかを判断しやすくなります。短期的な悪天候は日射量側で説明し、長期的に続く差は損失係数や設備条件の見直しにつなげると、計算の精度が安定します。

太陽光発電量の計算は、単なる数式処理ではなく、天候、季節、設備、現場条件を合わせて読み解く作業です。曇りや雨を正しく考慮できれば、導入前のシミュレーション、月次の発電量確認、低発電時の原因切り分け、保守判断の質が高まります。現場ごとの日射条件や発電実績を整理し、日射量と発電量の関係を継続的に確認することで、計算結果をより実務に近い判断材料として活用しやすくなります。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

LRTK Phoneの使い方・実例を見る
資料請求導入相談
現場をスマホで3DスキャンLRTK Phone実例を見る