LRTKレフィクシア株式会社

太陽光 施工でストリング構成ミスを防ぐ6つの確認項目

太陽光施工でストリング構成の確認が重要な理由

太陽光発電設備の施工では、モジュールを屋根や架台へ固定する作業に加え、各モジュールをどのような組み合わせで電気的に接続するかを正確に決める必要があります。複数の太陽電池モジュールを直列に接続した回路のまとまりをストリングと呼び、設備の構成によっては複数のストリングを並列にして、接続箱やパワーコンディショナなどの直流入力回路へ接続します。

直列接続ではモジュールの電圧が加算され、並列接続ではストリングの電流が加算されます。そのため、直列枚数の誤りは低温時の過電圧や高温時の動作電圧不足につながる可能性があり、並列数や接続先の誤りは入力電流、短絡電流、ケーブルの許容電流、保護機器の条件を外れる原因になります。

ストリング構成のミスは、施工直後に必ず停止や警報として現れるとは限りません。冬季の低温時だけ電圧が高くなる場合や、高温時に入力回路の追従範囲を外れやすくなる場合があります。一部のストリングで直列枚数が異なっていても、設備全体としては発電していることがあるため、運転の有無だけでは構成の正否を判断できません。

また、電気仕様が適合していても、方位、傾斜、影の条件が異なるモジュールやストリングを同じ追従回路へ接続すると、発電特性の違いによって十分な性能を得にくくなることがあります。正負極性の誤り、別ストリング端末の取り違え、不適合なコネクタの組み合わせ、表示の欠落も、発熱、絶縁不良、点検時の誤操作などにつながるおそれがあります。

こうしたミスを防ぐには、設計計算、機器仕様の照合、施工図への反映、現場での識別、接続前の測定、完成後の記録を一つの管理工程として扱うことが重要です。本記事は一般的な確認の考え方を示すものであり、具体的な直列枚数、並列数、測定方法、試験電圧、保護方式は、適用される法令や規格、モジュールおよび接続機器の仕様書、設計図書、施工要領に従って決定します。

確認項目1 モジュールの電気仕様を統一する

最初に確認するのは、同じストリングや同じ太陽電池アレイで使用するモジュールの電気仕様です。外形寸法や公称出力が似ていても、開放電圧、最大出力動作電圧、短絡電流、最大出力動作電流、温度係数、最大システム電圧、逆電流に対する許容条件などが異なる場合があります。

定格出力だけで互換性を判断するのは適切ではありません。同程度の出力であっても、電圧と電流の組み合わせは製品によって異なります。直列回路では各モジュールを流れる電流が共通になるため、電流特性が大きく異なるモジュールを混在させると、条件の低い側の影響を受けやすくなります。並列接続するストリングについても、電圧特性や直列枚数が大きく異なると、逆電流や追従制御への影響を検討しなければなりません。

異なる型式のモジュールを使用することが常に禁止されるわけではありませんが、互換性を個別に確認せず、出力が近いという理由だけで混在させることは避けます。設計図書、メーカーの適合条件、関係する規格を照合し、電気的、機械的、環境的な適合性が確認できる場合に限って採用します。

搬入時には、梱包表示や銘板を確認し、型式、定格値、極性、最大システム電圧などを納入資料と照合します。複数仕様を同じ現場で使用する場合は、保管場所と設置区画を分け、誤搬入や誤設置を防ぎます。モジュールを架台へ設置すると銘板を確認しにくくなるため、設置前に型式や製造番号を記録し、配置番号と対応させておくと追跡しやすくなります。

破損などでモジュールを交換する場合も、公称出力が近い製品を現場判断で組み込むのは避けます。開放電圧、動作電圧、短絡電流、動作電流、温度係数、逆電流耐量、最大システム電圧、外形寸法、固定範囲、コネクタの適合性などを確認し、設計・施工責任者がメーカー資料や適用基準に基づいて判断します。

公称値には許容差があり、実際の測定値は温度、日射、測定条件でも変化します。このため、機器の入力上限に計算値を過度に近づけず、適用基準や機器仕様で求められる設計余裕を確保することが大切です。

確認項目2 最低温度時の開放電圧を計算する

一般的な結晶系シリコンの太陽電池モジュールでは、セル温度が低下すると電圧が上昇します。したがって、ストリングの最大電圧を確認するときは、標準試験状態の開放電圧を直列枚数分だけ加算するのではなく、設置場所で想定する最低推定動作温度へ補正した開放電圧を用います。

計算では、モジュール一枚当たりの開放電圧、メーカーが示す開放電圧の温度係数、最低推定動作温度、直列枚数を使用します。温度係数の表記方法は製品によって異なることがあるため、符号、単位、基準温度を確認し、仕様書に示された方法で補正します。

設計に用いる温度は、単純な年平均気温や月平均気温ではありません。発電可能な時間帯に生じ得る低温を想定し、地域、標高、寒冷条件、放射冷却などを考慮します。具体的な気象データの選び方は、設計基準や適用するガイドラインに従います。

算出した最大開放電圧は、パワーコンディショナの最大直流入力電圧だけでなく、モジュール、接続箱、直流開閉器、遮断器、ヒューズ、ケーブル、コネクタ、直流調整装置など、直流回路を構成する各機器・部材の定格電圧と照合します。一部の部材だけ定格が不足していても、設備全体として適切な構成とはいえません。

現場で配置を調整するために一枚追加する場合、低温時の開放電圧も一枚分上昇します。設計余裕が小さい構成では、わずかな直列枚数の変更でも最大入力電圧や部材定格を超える可能性があります。反対に一枚減らす場合は、低温時の余裕が増えても、高温時の動作電圧が不足する可能性があるため、両方の条件を再計算します。

複数のストリングがある設備では、代表回路だけでなく、すべてのストリングの直列枚数を一覧化します。最大枚数の回路だけでなく、枚数が少ない回路についても、接続先の入力範囲や並列される他回路との適合性を確認します。

開放電圧は、パワーコンディショナが停止している状態や直流回路を切り離した状態でもストリング端に現れます。運転中の表示電圧だけを見て、低温時の最大電圧に問題がないと判断することはできません。

確認項目3 高温時の動作電圧と入力範囲を確認する

低温時の最大開放電圧と同時に確認するのが、高温時の最大出力動作電圧です。一般的な結晶系シリコンのモジュールでは、セル温度が上昇すると電圧が低下します。夏季の強い日射下では、セル温度が外気温より高くなることがあるため、標準試験状態の最大出力動作電圧だけで判断すると、実際の運転電圧を高く見積もる可能性があります。

確認には、モジュールの最大出力動作電圧、その温度係数、設計上想定する高温時のセル温度、直列枚数を使用します。セル温度の想定では、外気温だけでなく、モジュール裏面の通風、屋根面との離隔、設置方式、周囲の熱環境、日射条件などを考慮します。

パワーコンディショナには、起動条件、運転可能な入力電圧範囲、最大電力点追従を行う範囲などが示されることがあります。これらの用語や範囲は機種によって異なるため、単に最大入力電圧以下であることだけでなく、高温時の動作電圧が採用機器の必要な入力範囲へ収まるかを仕様書で確認します。

直列枚数が少な過ぎると、高温時に動作電圧が低下し、機器の追従範囲や運転条件を外れる可能性があります。朝夕や低日射時の挙動は、電圧だけでなく、日射量、温度、起動電力、制御方式にも左右されるため、曇天であれば必ず電圧不足になると一律に判断せず、採用機器の起動条件と発電特性を確認します。

一方、動作電圧を確保するために直列枚数を増やし過ぎると、低温時の開放電圧が上限を超えるおそれがあります。直列枚数は、低温時の最大開放電圧と高温時の動作電圧の両方を満たす範囲から決定します。

同じ追従回路へ複数のストリングを接続する場合は、直列枚数と電圧特性をそろえることが基本です。ただし、ストリングごとの追従制御や直流調整装置など、電圧差を許容する構成もあるため、機器の回路方式と使用範囲を確認します。屋根形状などにより同じ枚数にできない場合は、別の追従回路へ分ける、配置を見直す、適合する機器構成を採用するなど、設計上の対応を行います。

確認項目4 入力電流と並列ストリング数を照合する

ストリング構成では、直列枚数だけでなく、並列数と接続先も確認します。複数のストリングを同じ回路へ並列接続すると、各ストリングの電流が加算されます。並列数を誤ると、パワーコンディショナの入力回路、接続箱、ケーブル、開閉器、遮断器、ヒューズなどへ、設計を超える電流が流れる可能性があります。

保護設計や機器選定では、通常運転時の最大出力動作電流だけでなく、モジュールの短絡電流と並列数を基にシステム電流を確認します。両面受光型モジュールでは、裏面入射による電流増加を含めた評価が必要になることがあるため、メーカー資料や設計基準に従って補正します。

パワーコンディショナに複数の入力端子があっても、各端子が独立した追従回路とは限りません。複数端子が内部で同じ回路へ接続されている場合や、回路ごとに接続可能な並列数、最大入力電流、最大短絡電流が異なる場合があります。端子の外観や空き数だけで接続可否を判断せず、内部回路図と仕様書を確認します。

並列ストリング間に電圧差があると、条件によっては逆電流が流れる可能性があります。ストリングの不具合、並列数、逆流防止素子や過電流保護の有無、モジュールの逆電流耐量、配線の許容電流を踏まえ、必要な保護方式を決定します。保護機器は、直流への適合、定格電圧、定格電流、遮断能力、極性条件などを確認します。

ケーブルの許容電流は導体断面積だけで決まりません。周囲温度、配線方法、管路内への収納、多条敷設、日射、金属製配線経路の温度などによって低減が必要になる場合があります。モジュール近傍は周囲より高温になり得るため、使用環境を見込んで選定します。

現場では、ストリング番号、追従回路番号、入力端子番号を構成図へ記載し、現物表示と照合して接続します。空いている端子へ順番に接続するだけでは、特定回路へ並列数が集中したり、異なる条件のストリングを同じ回路へ混在させたりするおそれがあります。

確認項目5 方位・傾斜・影の条件をそろえる

同じストリング内のモジュールや同じ追従回路へ接続するストリングは、電気仕様だけでなく、受光条件もできる限りそろえます。同じ型式でも、方位、傾斜、影、汚れ、積雪などの条件が異なれば、電流電圧特性に差が生じます。

直列回路ではストリング内を流れる電流が共通になるため、一部のモジュールだけ日射が弱いと、ストリング全体の出力へ影響する可能性があります。近接しているという理由だけで接続するのではなく、受光条件を基準にグループ分けします。

複数の屋根面へ設置する場合は、東向き、西向き、南向きなどの違いを確認します。異なる方位では発電量が大きくなる時間帯が異なるため、同じ追従回路へまとめることが適切かを機器仕様と設計条件から判断します。傾斜角が異なる場合も、季節や時間帯による日射条件が変わるため、同様の検討が必要です。

影は現地調査時点だけでなく、時間帯と季節による変化を考慮します。棟、立上り壁、煙突、アンテナ、樹木、隣接建物、電柱などの影は、太陽高度が低い時期や朝夕に長く伸びることがあります。内部のバイパス回路などによって影の影響が緩和される場合でも、損失や局部的な負担が完全になくなるとは限りません。

施工図には、モジュール配置番号、ストリング番号、方位や傾斜が変わる境界、接続先の追従回路を明示します。物理的に隣接していても別ストリングとなる場所や、配線が交差する場所は、接続順序と配線経路を図示して取り違えを防ぎます。

現場でモジュール位置を変更する場合は、影の条件だけでなく、方位、傾斜、配線長、直列枚数、接続先を再確認します。単なる配置調整として扱わず、電気設計の変更として承認と記録を行います。

確認項目6 配線・極性・コネクタ・表示を確認する

設計上の構成が正しくても、現場の配線や接続を誤れば図面どおりにはなりません。施工段階では、配線経路、正負極性、コネクタの適合性、圧着品質、ストリング番号の表示を一体として確認します。

多数の正極線と負極線が集まる場所では、敷設後に識別しようとすると別ストリングの端末を組み合わせる可能性があります。ストリング番号は、配線を引き出した時点で正極側と負極側の両方へ表示し、接続箱やパワーコンディショナまで同じ表記を継続します。

極性は、ケーブル色やコネクタの外観だけで判断しません。延長ケーブルや中継配線を使用した場合、端末形状から想定した極性と実際の導体極性が一致しない可能性があります。接続前に、回路電圧と測定区分に適合する測定器を用い、所定の手順でストリングごとの極性を確認します。

太陽電池モジュールは日射を受けると発電するため、直流回路には感電やアークの危険があります。法令上必要な資格を有し、直流回路の危険性、機器仕様、現場手順を理解した作業者が、適切な保護具と測定器を使用して作業します。負荷電流が流れている状態でコネクタを抜き差しせず、遮断や停止の手順は機器の施工・取扱説明書に従います。

コネクタは、差し込めるように見えても異なる製品同士を組み合わせてよいとは限りません。接触部の寸法、材料、ばね特性、シール構造、定格、工具が異なると、接触抵抗の増加、防水性能の低下、異常発熱、アークにつながるおそれがあります。原則として、適用基準とメーカー資料で適合が確認された同一メーカーの同一製品ファミリーを使用し、異種嵌合を避けます。

圧着作業では、ケーブルのむき長さ、素線の乱れ、端子の挿入位置、圧着位置、専用工具の状態を確認します。外観だけで良否を判断せず、施工要領に従って組み立て、必要な確認方法で保持状態やロック状態を確認します。

ケーブルやコネクタへ無理な引張り、ねじれ、急な曲げを与えないことも重要です。モジュール裏でケーブルが垂れ下がり、屋根面、鋭利な架台、排水経路などへ接触すると、風による振動や水分によって被覆や接続部が損傷する可能性があります。ケーブルは使用環境に適した支持材で固定し、コネクタを水がたまりやすい位置へ放置しないようにします。

表示は、モジュール側端末、中継部、接続箱、開閉器、パワーコンディショナの入力端子まで統一します。屋外表示には、紫外線、温度変化、風雨に耐えられる材料と取付方法を用い、将来の点検でも判読できる状態を維持します。

施工前にストリング構成図を確定する方法

ストリング構成ミスを防ぐには、現場で使用できる構成図を着工前に確定します。合計モジュール枚数や設備容量だけでは、接続順序、直列枚数、入力先、極性端末の位置が分からず、施工図として不十分です。

構成図には、モジュール配置番号、ストリング番号、各ストリングの直列枚数、方位、傾斜、接続先の追従回路と入力端子、正極・負極端末の位置、配線経路を反映します。複数の建物や屋根面に分かれる場合は、区画名を統一し、配置図と単線結線図の対応を明確にします。

各ストリングについて、最低温度時の最大開放電圧、高温時の動作電圧、短絡電流、最大出力動作電流、並列数、接続先の上限値を照合します。計算条件と使用した仕様書の版を記録し、変更時に再計算できる状態にします。

図面完成後は、現地寸法、架台位置、障害物、配線経路と整合しているかを確認します。設計図と現況が異なる場合は、モジュール設置を進める前に配置とストリング分けを見直します。

図面の版管理も欠かせません。変更後も旧版が作業場所へ残ると、作業班ごとに異なる構成で施工される可能性があります。更新日、版番号、変更箇所を明記し、旧版の回収または無効表示を行います。

口頭指示や一時的な書き込みだけで接続を変更せず、承認された構成図へ反映してから作業を進めます。施工前打合せでは、異なる方位の境界、直列枚数が変わる区画、配線の交差部、誤接続しやすい入力端子を関係者で確認します。

現場施工で接続ミスを防ぐ管理手順

現場では、全モジュールを設置してから一括で配線するよりも、ストリング単位で接続、表示、確認を進めるほうが、未接続線や別ストリング端末の混在を抑えやすくなります。

作業開始前に、配置番号とストリング番号を現地で確認します。必要に応じて架台や一時表示材へ識別番号を設け、図面と現物を照合できる状態にします。一つのストリングを途中まで接続した状態で別回路へ移ると、再開時に接続位置を誤る可能性があるため、可能な範囲で一回路を完結させてから次へ進みます。

天候や工程の都合で中断する場合は、未接続端を防水・防塵上適切に保護し、接続済み範囲と未完了箇所を記録します。翌日や別の作業班が引き継いでも、作業状態を判断できるようにします。

直列接続後は、実際の接続経路を追い、飛ばされたモジュール、重複接続、別区画への誤接続がないかを確認します。モジュール裏面やカバーで見えなくなる部分は閉塞前に確認し、必要に応じて写真を残します。

ストリング端末には、他回路と束ねる前に正極側と負極側へ同じ番号を表示します。入力機器へ接続する前には、所定の安全手順で開放電圧と極性を測定します。同一仕様、同一直列枚数で、日射と温度の条件が近いストリングであれば、測定値はおおむね近くなることが期待されます。

大きな差がある場合は、直列枚数、未接続、測定位置、影、温度、測定時刻などを確認します。異なる時刻や条件の測定値を単純比較せず、設計値と測定条件を踏まえて判断します。

最終接続では、ストリング番号、入力端子番号、極性を照合し、構成図へ完了記録を残します。可能であれば、作業者とは別の確認者が照合し、思い込みによるミスを抑えます。

施工完了後に行う測定と記録

施工完了後は、図面どおりに作業したという申告だけでなく、測定と外観確認によって構成を検証します。測定項目、試験電圧、回路の切り離し方法は、設備の区分、適用基準、接続機器、メーカー手順に合わせて決定します。

基本となる確認は、ストリングごとの開放電圧と極性です。設計値と実測値を比較し、同一条件のストリング間で不自然な差がないかを確認します。一つのストリングだけ電圧が低い場合は、直列枚数不足、未接続、測定位置の相違、モジュールや接続部の不具合などを調べます。高い場合は、設計より直列枚数が多い可能性を含めて確認します。

絶縁状態の確認も重要です。ケーブル被覆の損傷、コネクタ内部への水分侵入、架台や屋根材との接触などにより、絶縁性能が低下する場合があります。試験時は接続中の電子機器や保護装置への影響を確認し、不適切な試験電圧を加えないよう、規定された手順に従います。基準を満たさない回路は、原因を確認して是正するまで安易に通電しません。

運転開始後は、入力回路ごとの電圧、電流、発電状態、警報履歴などを確認します。同じ条件の回路間で大きな差がある場合は、構成、接続先、影、端子、測定条件を再確認します。必要に応じて、電流電圧特性の測定など、設備に適した追加確認を検討します。

完成検査では、コネクタのロック、未使用端子の処理、ケーブル支持、表示、接続箱や入力端子の対応も確認します。記録写真は設備全景だけでなく、ストリング端末の表示、入力端子番号、接続箱内部、閉塞後に見えにくくなる配線経路を対象にします。

測定記録には、ストリング番号、直列枚数、接続先、測定値、測定日時、天候、測定条件、測定者を関連付けます。異常を修正した場合は、原因、是正内容、再測定結果も残します。

ストリング構成で起こりやすいトラブル

起こりやすいミスの一つは、直列枚数の数え間違いです。不規則な配置では、外観上の一列と電気的な一ストリングが一致しないことがあります。近いモジュールを順番に接続した結果、一方が一枚多く、他方が一枚少なくなることもあります。

この状態でも発電する場合があるため、運転開始だけでは発見できません。枚数が多い側は低温時の開放電圧が高くなり、少ない側は高温時の動作電圧が低くなります。構成図との照合と開放電圧の比較が有効です。

別ストリングの正極線と負極線を組み合わせる誤りにも注意します。表示が不足したまま多数の端末を集めると、異なる回路の端末を一組として扱う可能性があります。

入力端子の割り当て間違いも発生します。外観が同じ端子でも、内部で属する追従回路や許容される並列数が異なることがあります。空き端子だから使用できると判断せず、構成図と機器仕様を照合します。

異なる方位や直列枚数のストリングを、配線距離だけを理由に同じ追従回路へ接続すると、発電特性の不一致や逆電流の検討不足につながります。運転していることと、設計どおり適切に運転していることは同じではありません。

コネクタの圧着不良、挿入不足、異種嵌合、引張り、浸水は、発電量低下だけでなく異常発熱やアークの原因になり得ます。完成時の外観だけでなく、使用部材、工具、施工工程を管理することが必要です。

現場変更を完成図へ反映しないことも、将来の誤操作につながります。点検担当者が誤った図面を基に回路を切り離すと、対象外のストリングを操作するおそれがあります。

設計変更が発生した場合の対応

現地寸法、屋根の状態、架台の納まり、障害物、搬入部材などにより、当初設計から変更が必要になる場合があります。変更自体を完全に避けることはできませんが、現場判断だけでストリング構成を変えないことが重要です。

モジュールを追加または削減する場合は、低温時の最大開放電圧と高温時の動作電圧を再計算します。直列枚数の変更は、入力範囲、並列回路間の電圧差、配線長にも影響します。

配置を別の屋根面へ移す場合は、方位、傾斜、影、温度条件、接続先を確認します。入力端子を変更する場合は、移動先の追従回路、最大入力電流、最大短絡電流、並列数、既に接続されているストリングの条件を確認します。

配線経路を変更する場合は、ケーブル長、電圧降下、許容電流、周囲温度、支持方法、防水、機械的保護、点検性を再確認します。最短経路だけを優先すると、損傷しやすい場所や点検しにくい場所を通る可能性があります。

変更内容は、設計・施工管理の責任者が機器仕様と適用基準に照らして確認し、承認図へ反映します。変更後は、対象ストリングの開放電圧、極性、接続先、表示を再確認し、必要に応じて関連回路も再測定します。

保守点検へ正確な構成情報を引き継ぐ方法

ストリング構成の管理は施工完了で終わりません。運転開始後には、発電量の低下、絶縁異常、接続部の不具合、モジュール交換などへの対応が必要になります。その際、ストリング単位の情報が正確に残されていることが重要です。

引継ぎ資料には、完成時のモジュール配置図、ストリング構成図、入力回路との対応、各ストリングの直列枚数、配線経路、測定結果、施工写真、変更履歴を含めます。設計から変更がなかった場合でも、現物と照合した完成図であることを明確にします。

ストリング番号は、図面、現場表示、測定記録、保守記録で同じ表記を使用します。図面では区画名、現場では通し番号、測定記録では端子番号だけを使うと、相互の対応が分かりにくくなります。

モジュール交換時には、交換位置、仕様、作業日、適合性の確認内容、測定結果を記録します。点検で発電量低下が見つかった場合も、運転データだけで原因を断定せず、影、汚れ、モジュール、接続部、配線、入力回路など複数の可能性を調べます。

表示ラベルの劣化や脱落も定期的に確認します。読めなくなった表示を交換するときは推測で番号を付けず、完成図、配線経路、測定結果を用いて対象回路を特定します。

正確な完成図と測定記録は、保守作業の効率だけでなく、安全な回路切り分けの基礎になります。紙の図面だけに依存せず、現場用端末や電子台帳を利用する場合も、版番号、更新者、更新日を管理し、関係者が同じ最終情報を参照できる状態にします。

まとめ

太陽光施工におけるストリング構成は、モジュールを直列や並列へ接続するだけの作業ではありません。モジュールの電気仕様、低温時の最大開放電圧、高温時の動作電圧、入力電流と短絡電流、並列数、方位や影、配線、極性、コネクタ、表示を総合的に確認する必要があります。

第一の確認は、同じストリングやアレイで使用するモジュールの仕様と互換性です。公称出力だけで判断せず、電圧、電流、温度係数、逆電流耐量、最大システム電圧などを照合します。

第二の確認は、最低推定動作温度へ補正した最大開放電圧です。パワーコンディショナだけでなく、直流回路を構成するすべての機器と部材の定格内に収まるかを確認します。

第三の確認は、高温時の動作電圧です。セル温度が上昇した状態でも、採用機器の起動条件や追従範囲へ適合する直列枚数を選びます。

第四の確認は、入力電流、短絡電流、並列数です。入力端子の数だけで判断せず、内部回路、回路ごとの上限、ケーブルの敷設条件、保護方式を照合します。

第五の確認は、方位、傾斜、影などの受光条件です。条件が異なる回路を安易に同じ追従回路へまとめず、機器の回路方式を踏まえて適切に分けます。

第六の確認は、配線、極性、コネクタ、表示です。適合が確認された部材と工具を使い、異種嵌合を避け、接続前の測定と番号照合を行います。

施工前には、配置番号から入力端子まで対応した構成図を確定します。現場ではストリング単位で接続、表示、測定、記録を進め、変更が生じた場合は電圧、電流、受光条件、接続先を再確認して完成図へ反映します。

施工完了後は、開放電圧、極性、絶縁状態、運転状態、表示、配線支持を確認し、ストリング番号とひも付けて記録します。設計者、施工管理者、配線作業者、検査担当者、保守担当者が同じ最終情報を共有することが、構成ミスの予防と長期的な安全性の確保につながります。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

LRTK Phoneの使い方・実例を見る
資料請求導入相談
現場をスマホで3DスキャンLRTK Phone実例を見る