太陽光施工で地震時の架台ずれが起こる理由
太陽光施工では、設備の自重だけでなく、風圧、積雪、地震など、設置場所に応じて想定される荷重を踏まえて支持物を計画する必要があります。地震時には建物、屋根、地盤、基礎、架台、太陽電池モジュールが揺れ、固定部や接合部へ通常時とは異なる向きの力が作用します。発電用太陽電池設備の支持物には、各種荷重に対して安定し、人体への危害や物件の損傷を生じさせないよう施設することが求められています。経済産業省+1
ここでいう架台ずれは、架台全体が目に見えて移動する状態だけではありません。基礎周辺の沈下、杭頭や脚部の傾き、ボルト接合部の滑り、レールのねじれ、固定金具の位置変化なども、設備の変位として確認する必要があります。ただし、外観だけで構造強度の合否を断定できる範囲は限られます。見た目に異常がなくても、設計荷重、構造計算、固定先の状態、施工記録などを確認しなければ、安全性を評価できない場合があります。JPEA+1
小さな変位が直ちに重大事故を意味するわけではありません。一方で、接合部の緩み、部材の塑性変形、基礎の移動、配線への過大な張力などが重なると、モジュールの傾き、電気的な接続不良、防水部への負担につながる可能性があります。そのため、太陽光施工の耐震確認では、設置面から基礎、架台、モジュール、配線まで、力が伝わる経路を連続して確認することが重要です。
屋根設置と地上設置では、重点項目が異なります。屋根設置では、設計で定めた構造的な支持部へ荷重を伝えられるか、防水や屋根材の健全性を損なわないかを確認します。地上設置では、地盤条件、基礎形式、杭や基礎の施工状態、排水、斜面や造成地の安定性を確認します。陸屋根の置き基礎方式では、基礎重量だけでなく、設置面との滑り、転倒、部材間の相対変位を含めた検討が必要です。
なお、本記事の六項目は現場確認の視点を整理するものであり、個別設備の構造安全性を保証する判定基準ではありません。設置条件に応じた法令、技術基準、設計図書、製造者の施工要領を優先し、判断が難しい場合は構造設計や電気設備に知見のある専門者へ確認することが前提です。
耐震確認1 設置面と支持構造の健全性を確認する
最初に確認するのは、太陽光設備を支える設置面と支持構造です。高い強度を持つ架台を選んでも、固定先が劣化していたり、設計で想定した支持部へ固定できていなかったりすれば、設備全体としての抵抗力は確保できません。架台単体ではなく、建物または地盤を含む支持系として確認します。
屋根上施工では、屋根材の種類、下地構成、固定先、建物の劣化状況、増改築や葺き替えの履歴を調べます。屋根材は仕上げや防水を担うことが多く、すべての屋根材が設備荷重を直接負担できるわけではありません。固定金具が表面上は整っていても、ねじやボルトが設計上の支持部へ所定どおり固定されていなければ、必要な性能を得られない可能性があります。
既存建物では、保管図面と現況が一致しないことがあります。下地位置や部材寸法が不明確な場合は、現況確認の方法を定め、固定位置を確定してから施工します。現場で見つけた支持部へ感覚的に固定するのではなく、設計条件との整合を確認することが重要です。
木造部へ固定する場合は、腐朽、割れ、漏水跡、欠損、既存穴などを確認します。金属部へ固定する場合は、腐食、板厚、変形、表面処理の状態を確認します。コンクリート部では、ひび割れ、欠損、脆弱な仕上げ層、端部との距離、埋設物の可能性などを確認します。固定先の健全性に疑問がある場合は、補修や固定方法の再検討を先に行います。
地上設置では、地盤の支持力だけでなく、沈下や変形の可能性を確認します。盛土、埋戻し、造成履歴が不明な土地、斜面周辺、排水不良箇所では、同じ敷地内でも地盤条件が異なる場合があります。基礎や杭が個別には安定して見えても、架台列ごとに沈下量が異なれば、レールや接合部へねじれが生じます。
傾斜地では、設備範囲だけでなく、上部斜面、下部斜面、擁壁、排水経路を含めて確認します。地震時の地盤変形や斜面移動は、架台の固定部だけを強くしても解決できません。地形や造成条件に応じた地盤評価と排水計画を、構造計画と分離せずに検討する必要があります。地上設置設備では、地質調査結果や杭の載荷試験結果などが支持物の設計情報として重要になります。JPEA+1
調査結果は、写真、図面、位置番号、確認方法とともに記録します。単に問題なしと記載するのではなく、どの位置のどの部材を確認したかが追跡できる形にします。施工中に固定位置を変更する必要が生じた場合も、記録があれば設計への影響を確認しやすくなります。
耐震確認2 基礎とアンカーの抵抗力を確認する
二つ目は、基礎、杭、アンカーなど、架台を固定する部分の確認です。地震時には水平方向の力だけでなく、架台形状や揺れ方に応じて引抜き、押込み、せん断、曲げ、ねじりなどが組み合わさる場合があります。アンカーの本数や基礎の大きさだけで安全性を判断せず、設計で想定した力に対して固定部が成立しているかを確認します。
アンカーでは、種類、径、長さ、有効な埋込み、固定先の材質、端部からの距離、アンカー同士の間隔、施工方向を設計図書や施工要領と照合します。現場で納まらないからといって、近い位置へ独断で移動したり、似た部品へ交換したりすると、設計時とは異なる抵抗機構になる可能性があります。変更が必要な場合は、施工前に設計者または指定された確認者へ照会します。
コンクリートへの施工では、母材と仕上げ層を区別します。表面にモルタル、防水層、断熱材などがある場合、見かけの穿孔深さと構造体への有効な埋込みが一致しないことがあります。接着系アンカーなど、孔内清掃や施工温度、硬化時間が性能に影響する工法では、指定された工程を省略しないことが重要です。金属系アンカーを含め、製品ごとの施工条件を優先します。
木部への固定では、有効なねじ込み長さ、ねじ径、下穴、固定方向、木材端部との関係を確認します。節や割れ、既存穴、腐朽部へ固定すると、設計どおりの保持力を期待できない場合があります。固定先を変更する場合は、支持間隔や荷重分担が変わらないかも確認します。
地上設置の杭や独立基礎では、位置、高さ、傾き、根入れ、杭頭の突出、基礎周辺の締固め状態などを確認します。基礎位置の誤差を架台の長穴だけで吸収すると、ボルトが長穴端部へ偏ったり、部材を無理に引き寄せたりすることがあります。その状態で本締めすると、架台に初期ひずみが残り、地震時に特定の接合部へ変形が集中する可能性があります。
置き基礎方式では、基礎重量だけでなく、滑動、転倒、設置面の材質、保護材の組合せ、基礎同士の連結、排水勾配を確認します。防水層上では、基礎と保護材、保護材と防水層のどこで滑り得るかを整理し、設計で想定した条件と現場の実際が一致しているかを確かめます。
基礎や架台の適否は、外観だけでは判断できない場合があります。支持物の図面、設計荷重、強度計算、地質調査、載荷試験などの資料を確認し、必要な根拠が不足しているときは追加調査を検討します。JPEA+1
施工後は、位置、本数、施工状態を記録します。完成後に隠れる部分は、埋戻し前、カバー取付け前、モジュール設置前など、状態を確認できる工程で撮影します。将来の点検担当者が固定方法を把握できるよう、図面と写真を対応させて保管します。
耐震確認3 架台の接合部と締結状態を確認する
三つ目は、架台を構成する支柱、脚部、横材、縦材、レール、斜材、継手などの接合部です。地震時の力は接合部を通じて基礎や建物へ伝わるため、一部の組立不良や締結不良が架台全体の変位へつながる可能性があります。
最初に、部品の種類、向き、組合せ、取付位置を施工図や組立要領と照合します。ボルト、ナット、座金、緩み止め部品などは、寸法が似ていても材質や形状、表面処理が異なることがあります。現場で不足した部品を任意の代用品へ置き換えず、指定部品または承認された代替品を使用します。
締付けは、弱すぎても強すぎても問題になります。締付け不足は接合面の滑りや緩みにつながり、過大な締付けはねじ山、ボルト、薄板部材、座面を損傷させる可能性があります。指定された締付け方法や管理値がある場合はそれに従い、適切な工具を使用します。工具の校正や管理が必要とされる工程では、その有効性も確認します。
作業者の感覚だけに頼らず、仮締め、本締め、確認済みの状態を識別できるようにします。施工範囲を区切り、締付けを行った人と確認した人、使用工具、確認日を追跡できる仕組みを整えると、締め忘れや二重管理の混乱を減らせます。
長穴を用いる接合部では、ボルト位置の偏りを確認します。長穴は施工誤差の調整に使われますが、全箇所が一方向の端部へ寄っている場合は、基礎位置、部材寸法、組立順序に問題がないかを調べます。部材を無理に押し引きして固定すると、完成時点で初期応力やねじれが残る場合があります。
斜材やブレースなどの補強材は、取付けの有無だけでなく、方向、接続位置、接合部の納まりを確認します。架台が自立して見えても、補強材の欠落や誤配置によって面内または面外の変形が大きくなる可能性があります。継手位置についても、施工図からの変更がある場合は、支持条件や荷重伝達への影響を確認します。
異種金属の接触、水の滞留、切断面の露出、表面処理の損傷は、長期的な腐食を促す要因になります。耐震性は完成直後の状態だけでなく、使用期間中に部材断面や接合部が維持されるかという視点でも確認します。保守点検の技術資料でも、架台のさび、腐食、垂れ、変形、破損、ボルトの締まり具合が確認項目として示されています。JPEA+1
架台組立後は、通り、高さ、傾き、直角、ねじれを確認します。モジュールを取り付ける力で架台形状を無理に整えるのではなく、架台側の誤差原因を修正してから次工程へ進みます。
耐震確認4 パネル固定部と端部の納まりを確認する
四つ目は、太陽電池モジュールの固定部と架台端部です。架台基礎が動かなくても、固定金具の掛かり不足、締付け不良、レール端部の納まり不良があれば、モジュールの位置が変化する可能性があります。
固定位置は、モジュールと架台の仕様で定められた範囲を守ります。モジュール枠のどこでも同じように固定できるとは限りません。障害物や屋根形状を理由にクランプ位置や支持間隔を変更する場合は、モジュール側と架台側の双方の条件を確認します。
中間用と端部用の固定金具は、形状や用途が異なる場合があります。金具が枠へ均等に掛かっているか、斜めに締め付けられていないか、座面が浮いていないかを確認します。締付け後の外観だけでなく、可能な範囲で側面や下側からも確認すると、掛かり不足を見つけやすくなります。
モジュール間隔は、施工図や指定寸法と照合します。隙間が狭すぎると、地震や温度変化で架台が変位した際に枠同士が接触する可能性があります。隙間が広すぎる場合も、固定金具の位置やレール上の配置が正しいかを確認します。目視だけで許容値を決めず、設計図書と施工要領を基準にします。
レール端部では、最後の固定金具から端部までの必要寸法、端部処理、継手位置を指定条件と照合します。端部カバーは仕上げや保護を目的とすることがあり、必ずしもモジュールの移動を止める構造部材ではありません。固定力を負担する部材と、外観や保護を担う部材を分けて確認します。
屋根の棟、谷、段差、増築部との境界、構造目地付近では、異なる部分を架台やレールで不用意に連結していないかを確認します。建物側で相対変位が想定される部分は、構造設計に従って分離や変位への対応を検討します。
モジュール枠の排水部や通気を固定金具や配線で妨げないことも大切です。水が滞留すると、汚れや腐食が進み、固定部周辺の長期耐久性へ影響する可能性があります。完成検査では、がたつき、枠の変形、金具の浮き、レールとの接触状態を確認し、異常があれば締め直しだけで済ませず原因を調べます。
耐震確認5 配線と配管の変位追従性を確認する
五つ目は、配線、接地線、電線管、があれば締め直しだけで済ませず原因を調べます。 保護管などが地震時の相対変位へ対応できるかという確認です。架台がわずかに動いただけでも、配線が張った状態で固定されていれば、コネクタ、端子、被覆、支持具へ力が集中する可能性があります。
配線は、過大な張力がなく、同時に余分なたるみも生じないよう支持します。直線的に強く引いた状態では、架台列や建物との境界で変位を吸収できません。一方、過度に垂らすと、風による振れ、屋根面との擦れ、水たまりへの接触、排水経路の妨げにつながります。保守点検資料でも、ケーブルの過剰JPEAます。citeturn186903view0
架台列をまたぐ部分、別々の基礎に支持された区画、建物への引込部、構造目地付近では、相対変位を想定します。配線長に必要な余裕を持たせ、鋭角な曲げ、ねじれ、局部的な引張りが生じない経路とします。必要に応じて可とう性のある部材を使用しますが、選定と施工は電気設備の設計条件に従います。
コネクタや端子の近くでは、配線の自重や揺れを接続部へ直接伝えないよう支持します。コネクタが架台角部やモジュール裏面へ押し付けられていないか、結合が確実か、固定具がケーブル被覆を傷つけていないかを確認します。
金属製の電線管や保護管では、支持間隔、継手、曲がり部、建物との取合いを確認します。剛性の高い配管を架台と建物の間へ余裕なく取り付けると、地震時の変位が継手や支持部へ集中する可能性があります。可とう部を設ける場合も、曲げ半径や接続方法を含めて指定条件を守ります。
接地線は、腐食、断線、外れ、端子の緩みを確認します。地震時に架台接合部が動いても、接地線やボンディング部へ過大な張力がかからない納まりが必要です。異種金属接触や水の滞留による腐食にも注意します。保守点検資料では、架台構造、フレーム、配線路、機器の基礎部分における接地接JPEA+1903view0turn996908view1
屋根上では、配線や電線管が排水口や谷部を塞いでいないかも確認します。地震後に支持具が外れた場合でも、配線が排水経路へ落ち込みにくい配置と支持を検討します。見た目を整えるために過度に引き締めるのではなく、安全性、保守性、排水、変位追従性のバランスを取ります。
耐震確認6 施工記録と地震後点検の方法を決める
六つ目は、施工記録と点検計画です。耐震施工は完成時の外観だけでは評価しきれません。基礎、アンカー、下地固定、締結部、配線支持など、完成後に見えにくくなる箇所は、施工途中の記録が地震後の比較に役立ちます。
記録には、架台配置、基礎位置、杭やアンカーの位置、固定先、接合部、配線経路、変更履歴を残します。写真は近接だけでなく、位置関係が分かる全景も撮影し、図面上の番号と対応させます。支持物の図面、構造設計書、地質調査結果、載荷試験結果、施工経過写真などは、保守JPEA+1903view1turn996908view0
締結管理では、作業範囲、施工日、確認者、使用工具、再確認の有無を追跡できるようにします。締付け完了の印だけでは、どの手順で確認したかが分からない場合があります。特に、仮締めと本締めが混在する工程では、状態を明確に区分します。
完成時には、架台列の通り、端部位置、代表点の高さ、モジュール間隔、基礎周辺の状態など、地震後に比較しやすい基準状態を残します。すべてを高精度に測定するという意味ではなく、変化を確認するための代表点をあらかじめ決めることが目的です。
地震後の点検方法も事前に整理します。点検を開始する条件、立入り可否を判断する人、所有者が行う安全な範囲の目視確認、専門者へ依頼する詳細点検の範囲、連絡先を明確にします。地震の後は日常点検を行い、異常が認められた場合は専門的JPEAます。citeturn186903view0
点検基準は、全国一律の震度だけで機械的に決めるのではなく、設備規模、設置場所、建物や地盤の被害、製造者の指示、保安計画を踏まえて設定します。高所や電気設備の内部など、所有者が安全に確認できない箇所へ無理に近づかないことが重要です。
施工記録は、施工会社だけでなく、設備所有者や保守担当者が必要時に参照できる形で保管します。図面、写真、検査結果、変更履歴、点検記録が分散していると、地震後の判断が遅れます。長期運用を前提に、検索しやすい名称と保存場所を決めます。
現地調査で確認しておきたい耐震上の注意点
耐震性を考慮した太陽光施工では、施工前の現地調査が重要です。設置可能面積だけでなく、設備がどこへ固定され、地震時の力がどの支持部へ伝わるかを確認します。
屋根上では、屋根形状、勾配、屋根材、下地、劣化、雨漏り跡、既存設備、点検動線を調べます。段差、増築部、構造目地、異なる屋根工法の境界では、外観上は連続していても内部構造が分かれている場合があります。レールや配線をまたがせる前に、構造上の取扱いを確認します。
空調設備、配管、排気口、避雷設備、排水口などとの位置関係も確認します。障害物を避けるために固定間隔や架台配置を変更すると、支持条件が設計と異なる場合があります。現場調整が許容される範囲と、設計確認が必要な変更を事前に区分します。
地上設置では、地形、造成履歴、地盤、排水、斜面、擁壁、周辺水路を確認します。架台設置範囲だけが平坦でも、周辺斜面や排水施設が変形すれば基礎へ影響する可能性があります。雨天後の水たまりや洗掘跡も、地盤状態を把握する手掛かりになります。
搬入経路や作業空間も品質へ影響します。締付け工具や測定器を安定して使えない狭い場所では、締結不足や取付け誤りが起こりやすくなります。高所作業の安全設備、資材仮置き、検査者の動線を施工計画へ反映します。
調査結果と設計条件が合わない場合は、施工当日の即席判断へ持ち越しません。固定位置、基礎形式、架台配置、配線経路の変更を、部材手配や工程に反映できる段階で検討します。現場での無理な調整を減らすことが、架台ずれのリスク低減につながります。
施工中に架台ずれを防ぐ品質管理
施工中は、設計どおりの部材を使用するだけでなく、組立順序と検査時期を明確にします。後工程で隠れる部分は、見える時点で確認しなければなりません。
基礎やアンカーの位置を確認した後、架台を仮組みし、通り、高さ、直角、傾きを調整します。大きな誤差を長穴や部材の弾性変形だけで吸収せず、基礎位置、部材方向、寸法の取り違えなど、原因を確認してから本締めへ進みます。
本締めは、施工要領で指定された順序に従います。一部だけを先に強く締めると、部材が引き寄せられ、別の接合部へずれやねじれが生じる場合があります。全体形状を確認しながら段階的に締め付けます。
完成前の架台へ資材を集中して載せないことも大切です。補強材やモジュールが未設置の仮設状態は、完成時と同じ荷重条件や剛性ではありません。資材仮置きによる変形や転倒を防ぐため、仮設時の安定性を施工計画に含めます。
作業終了時は、仮締め、未施工、検査待ち、養生中の箇所を明示します。翌日や別班へ引き継ぐ場合、どこまで完了しているかが不明確だと締め忘れにつながります。施工範囲ごとに完了条件を決め、記録を残します。
モジュール設置前には、架台接合部、斜材、継手、配線支持具を検査します。モジュール取付け後は確認しにくくなるため、不具合を先送りしません。再作業でモジュールを脱着する場合も、固定金具や配線を再度確認します。
完成検査では、代表箇所だけでなく、架台端部、継手、段差、障害物回避部、配線引込部など、条件が変わる場所を重点的に確認します。施工記録と現況を照合し、変更が設計確認済みであることも確かめます。
完成後の定期点検で確認するポイント
太陽光設備は、完成時の状態がそのまま維持されるとは限りません。温度変化、風雨、積雪、腐食、地盤変化などによって、支持部や接合部の状態が変化する可能性があります。地震に備えるには、通常時の点検で異常の兆候を把握することが重要です。
点検では、架台の傾き、レールの通り、基礎の沈下、杭や脚部の変位、アンカー周辺のひび割れ、ボルトやナットの脱落、腐食、変形を確認します。外観上の異常が疑われる場合は、設計図書や過去記録と比較し、必要に応じて専門者による詳細点検へ進みます。
モジュール間隔や架台端部の位置は、変位を見つける手掛かりになります。ただし、隙間の変化だけで原因を断定せず、固定金具、レール、継手、支柱、基礎の順に確認します。撮影条件をそろえた写真があると、経時変化を比較しやすくなります。
地上設置では、基礎周辺の陥没、洗掘、地表面の亀裂、排水跡、斜面の小段差を確認します。保守点検資料でも、架台の変形やボルトの状態に加JPEA+1903view0turn996908view1
屋根上では、固定部周辺の屋根材、防水、シール、雨漏り跡、排水路を確認します。固定力を高めても、漏水によって下地が劣化すれば長期的な保持性能へ影響する可能性があります。耐震点検と防水点検を分けすぎず、固定部周辺を一体として確認します。
配線では、張り、たるみ、支持具の外れ、被覆の擦れ、コネクタへの負担、接地線の損傷を確認します。架台の小さな変位が、配線経路の変化として先に現れる場合もあります。
点検頻度は、設備の種類、環境、過去の不具合、製造者の指示、保安計画に応じて定めます。地震、台風、洪水、悪天候などの後に日常点検を行い、異常があればJPEAます。citeturn186903view0
点検結果は、異常の有無だけでなく、確認範囲、方法、日付、確認者を記録します。異常なしの記録も、地震後に比較するための基準資料になります。
地震発生後に行う安全確認の流れ
地震発生後は、太陽光設備へ直ちに近づかず、建物、屋根、地盤、周辺設備の安全を先に確認します。モジュールや架台が目立って変形していなくても、屋根材の破損、落下物、地盤亀裂、配線損傷、感電の危険が残っている可能性があります。
最初は、安全な離れた位置から設備全体を確認します。モジュールの落下や浮き、架台の傾き、基礎の移動、配線の垂下、異常音、異臭、発煙などがないかを見ます。危険が疑われる場合は立入りを制限し、設備へ触れず、管理者や専門者へ連絡します。
屋根上設備では、建物と屋根面の安全が確認される前に上らないようにします。高所作業の墜落防止と電気的な安全確保を行い、資格や知識が必要な作業は専門者へ依頼します。高所で容易に点検できない設備は、安全な場所からの目視を基本とし、必要な場合に専門技術JPEAます。citeturn186903view0
詳細点検では、施工時の図面や写真と比較し、架台端部、基礎、杭、アンカー周辺、継手、斜材、固定金具、配線、接地線を確認します。一か所に異常が見つかった場合は、その周辺だけでなく、同じ架台列や同じ施工条件の箇所へ確認範囲を広げます。
ボルトが緩んで見えても、その場で単純に締め直さないことが重要です。架台全体の変形、母材の損傷、アンカーの抜け、部材の座屈などが原因で緩みが生じている場合があります。原因を確認せず締め直すと、変形を残したまま別の部分へ力を移す可能性があります。
モジュール位置がずれている場合は、固定金具だけでなく、レール、継手、支柱、基礎まで荷重伝達経路をたどります。電気的な異常が疑われる場合は、発電中の直流回路へ不用意に触れず、適切な手順で点検します。
点検結果は写真とともに記録し、運転継続、停止、補修、詳細調査の判断根拠を残します。余震や二次災害の可能性がある場合は、点検者の安全を優先し、必要に応じて再点検します。
太陽光施工の耐震性を高めるためのまとめ
太陽光施工で地震時の架台ずれを防ぐには、単に架台を強く固定するのではなく、設置面から基礎、架台、モジュール、配線までを一つの支持系として確認する必要があります。ただし、どの施工でも変位を完全にゼロへできるわけではありません。目的は、適用される設計条件を満たし、危険な移動、脱落、損傷のリスクを低減することです。
一つ目は、屋根下地、建物構造、地盤など、設備を支える部分の健全性を確認することです。二つ目は、基礎、杭、アンカーが設計で想定した引抜き、せん断、滑動、転倒などへ抵抗できる状態で施工されているかを確認することです。
三つ目は、架台の接合部、補強材、継手、ボルトの締結状態を管理し、無理な組立て、部品の誤使用、締付け不足や過大締付けを防ぐことです。四つ目は、モジュール固定金具、支持位置、間隔、レール端部の納まりを、指定された施工条件と照合することです。
五つ目は、配線、接地線、電線管へ適切な支持と余裕を設け、架台と建物、または架台列同士の相対変位に対応できるようにすることです。六つ目は、施工途中の状態を記録し、完成後、定期点検時、地震後に比較できる管理体制を整えることです。
耐震上の不具合は、一つの大きな施工ミスだけで生じるとは限りません。固定先のずれ、締結のばらつき、初期ひずみ、腐食、地盤変化、配線の張りなど、複数の小さな問題が重なることがあります。そのため、設計、現地調査、施工、完成検査、維持管理の各段階で確認を積み重ねます。
現場の条件は一件ごとに異なります。過去に問題がなかった工法でも、屋根構造、地盤、架台形状、設備規模、周辺環境が異なれば、同じ結果を保証できません。一般的な経験だけに頼らず、適用法令、技術基準、設計図書、製造者の施工要領、現況を照合して判断します。
施工後は、図面、写真、検査結果、変更履歴、点検記録を整理し、設備所有者と保守担当者が参照できる状態にします。支持物の設計情報と施工記録を残し、地震などの後に点検できる体JPEA+1908view0turn186903view0