太陽光発電設備の施工を予定している住宅や事業所では、「工事中に停電するのか」「冷蔵庫やパソコンは使えるのか」「仕事や営業を続けられるのか」といった疑問が生じます。屋根に太陽光パネルを載せるだけであれば電気を止める必要はないように思えますが、実際の太陽光施工には、パネルや架台の取り付けだけでなく、配線、分電盤への接続、パワーコンディショナの設置、試運転などの電気工事も含まれます。
結論からいうと、太陽光施工の期間中ずっと停電するわけではありません。屋根上で架台や太陽光パネルを取り付ける工程では、建物内の電気を使用できることが一般的です。一方、分電盤内部の配線作業や既存回路との接続を行う際には、感電や短絡などの事故を防ぐため、一時的に電気を止める場合があります。
停電の有無や長さは、住宅用か事業用か、新築か既築か、分電盤の交換が必要か、蓄電設備を同時に施工するかなどによって変わります。そのため、インターネット上で見つけた一般的な停電時間だけを参考にして、当日の予定を決めるのは適切ではありません。施工会社から現場ごとの工事内容と停電範囲を確認し、余裕を持って準備することが重要です。
本記事では、「太陽光 施工」で情報を探している施主、施設管理者、工事担当者に向けて、停電が必要になる理由、生活や業務への影響、施工前に行うべき4つの準備を詳しく解説します。
太陽光施工中は必ず停電するのか
太陽光施工を行うからといって、工事期間中のすべての時間に停電するわけではありません。太陽光発電設備の施工は、大きく分けると機器を建物や敷地へ設置する作業と、発電設備を建物の電気系統へ接続する作業で構成されます。
屋根に支持金具や架台を取り付け、太陽光パネルを固定する作業は、建物内の電源を停止せずに進められる場合があります。太陽光パネルから延びる配線を屋外でまとめたり、パワーコンディショナを壁面へ固定したりする作業も、接続前であれば停電を伴わないことがあります。
一方、太陽光発電設備で作られた電気を建物内で使用できる状態にするには、パワーコンディショナの交流側を分電盤や専用の接続設備へつなぐ必要があります。既存の分電盤内部や主幹ブレーカー付近で作業するときには、作業員の安全を確保するため、建物全体または一部の回路を停止します。
停電するかどうかは、単に太陽光パネルの枚数や発電容量だけで決まるものではありません。既存の電気設備の構成、分電盤内の空き、配線経路、使用している電気機器、蓄電設備の有無などを確認したうえで判断されます。
既築住宅では、居住者が普段使用している電気設備へ新しい発電設備を追加するため、接続工程で停電が発生しやすくなります。新築住宅では、入居前の電気工事に太陽光設備の施工を組み込めることがあり、居住後の生活に影響する停電が発生しない場合もあります。
事業所や店舗では、建物全体を停止せず、区画や系統を分けて施工できるケースがあります。ただし、主幹側の設備を変更する場合は、広い範囲を停止しなければならない可能性があります。建物の規模が大きいほど停電を限定できるとは限らず、受電設備や回路構成に応じた計画が必要です。
太陽光施工中の停電を正しく把握するには、「停電するか、しないか」という二択だけでは不十分です。どの日に、何時から、どの範囲を、何回停止する可能性があるのかまで確認する必要があります。
太陽光施工で停電が必要になる主な工程
太陽光施工で停電が発生しやすいのは、既存の電気設備と新設する発電設備を接続する工程です。施工当日の混乱を防ぐためには、どの作業で電源停止が必要になる可能性があるかを理解しておくことが大切です。
代表的なのは、分電盤へ太陽光発電用の回路を接続する作業です。分電盤内に専用のブレーカーを増設し、パワーコンディショナからの配線を接続します。接続位置によっては主幹ブレーカーを停止する必要があり、その間は建物全体が停電します。
分電盤内にブレーカーを追加するスペースがない場合や、既存設備の容量が施工計画に適合しない場合は、分電盤の交換や増設が検討されます。分電盤を交換するときは、既存の複数の回路を取り外して新しい分電盤へ接続し直すため、専用回路の追加だけで済む工事よりも停電時間が長くなる可能性があります。
電力量計や引込線に関係する作業でも停電が発生することがあります。太陽光発電設備を電力系統と連系させる際には、計器や配線の確認、交換、設定変更などが行われる場合があります。太陽光パネルの設置日と計器関係の作業日が異なるケースもあるため、一度の工事だけで停電が終わるとは限りません。
パワーコンディショナの設置では、本体を壁へ固定する工程だけなら、建物の電源を停止しない場合があります。しかし、分電盤との接続、回路の絶縁確認、機器の設定、試運転を行う段階では、ブレーカーを操作して通電状態を切り替えます。
試運転では、設置した機器が正しく起動するか、異常表示がないか、配線の極性や電圧に問題がないかなどを確認します。確認の途中で電源を一度停止し、再度投入することもあります。そのため、停電は一回だけではなく、短時間の停止を複数回行う可能性があります。
蓄電設備を同時に設置する場合は、太陽光発電設備だけを設置する工事よりも配線作業が増える傾向があります。停電時に使用する回路を分けるため、既存の照明、冷蔵庫、通信設備などの配線を特定の分電盤へ移設する場合があるからです。
電気自動車などへ給電するための設備や、建物全体の電力を管理する機器を同時に施工する場合も、回路の追加や設定が増えます。工事範囲が広がれば、停電を伴う作業が増えたり、予定時間が延びたりする可能性があります。
また、現地調査では分からなかった配線状態が工事当日に判明することもあります。図面と現状が一致していない、増改築時に回路が変更されている、分電盤内の表示と実際の接続先が異なるといった場合は、回路を確認するための時間が必要です。
太陽光施工の工程表を見るときは、「パネル設置」「電気工事」「試運転」などの名称だけで判断せず、それぞれの工程で停電が予定されているかを施工会社へ確認しましょう。
太陽光施工中の停電時間を左右する条件
太陽光施工に伴う停電時間には、現場ごとに大きな差があります。比較的単純な接続であれば短時間で復旧できる場合がありますが、分電盤の交換や複数回路の組み替えがある場合は、数時間にわたって電気を使用できない可能性もあります。
停電時間を左右する第一の条件は、既存分電盤の状態です。分電盤に専用ブレーカーを追加できる空きがあり、配線経路も確保されていれば、作業範囲を抑えられる場合があります。反対に、分電盤が古い、内部に空きがない、表示が不明確、回路が複雑といった状態では、確認や交換に時間がかかります。
第二の条件は、蓄電設備や停電時用回路の有無です。太陽光発電設備だけを追加する場合と、蓄電設備や切替機器を同時に設置する場合では、必要な配線作業が異なります。停電時に建物全体へ給電する構成か、一部の回路だけへ給電する構成かによっても施工内容が変わります。
第三の条件は、建物の用途と規模です。一般住宅では主幹ブレーカーを切ると建物全体が停止することが多い一方、事業所では回路や区画を分けて作業できることがあります。ただし、受電側の主要設備へ接続する工事では、建物全体または広い範囲の停止が必要になる場合があります。
第四の条件は、試運転や検査の結果です。配線作業が予定どおり終わっても、測定結果や機器の表示に問題があれば、再確認や修正が必要になります。接続端子の締め付け、配線の取り回し、絶縁状態などを再点検するため、停電時間が延長される可能性があります。
第五の条件は、当日の作業進行です。屋根上の作業と電気工事を同じ日に行う場合、屋外作業が終わってから停電を伴う接続作業へ移ることがあります。天候、資材の搬入、屋根の状態、配線経路の確保などによって、停電開始時刻が前後します。
施工会社から「午後に一時間程度停電する予定」と説明された場合でも、午後の何時に始まるのか、予定より早く開始する可能性があるのか、延長時にはどのように連絡されるのかを確認しておくと安心です。
停電の予定時間だけでなく、施工全体の終了予定時刻も確認しましょう。電気が復旧した直後でも、試験のために再度停止することがあります。施工会社から使用再開の案内を受けるまでは、重要な電気機器を起動しないほうが安全です。
停電が家庭生活に与える主な影響
太陽光施工中の停電が短時間であっても、家庭内では多くの設備が使用できなくなります。停電する設備を事前に把握しておかなければ、食事、仕事、育児、介護、ペットの管理などに影響する可能性があります。
冷蔵庫や冷凍庫は、停電すると冷却が止まります。扉を閉めたままであれば、直ちに庫内が外気と同じ温度になるわけではありませんが、室温や停電時間によって食品への影響は変わります。停電中に何度も扉を開けると冷気が逃げるため、必要な飲み物や食品は停電前に取り出しておくことが大切です。
電気式の調理機器も使用できなくなります。停電時間が昼食や夕食の準備と重なる場合は、停電前に調理を済ませる、加熱不要の食事を用意する、外出先で食事を取るなどの準備が必要です。
空調設備が停止すると、夏季や冬季は室温が大きく変化する可能性があります。特に断熱性能や日当たりの状況によっては、短時間でも暑さや寒さを感じやすくなります。乳幼児、高齢者、体調に不安のある方、温度変化に弱いペットがいる家庭では、停電中に過ごせる別の場所を検討しておくと安心です。
照明が使えなくなる点にも注意が必要です。太陽光施工は日中に行われることが多いものの、窓のない廊下、洗面所、トイレ、収納、屋根裏などは暗くなります。施工会社が室内を移動する場合もあるため、通路を片付け、充電式の照明を用意しておくと安全です。
無線LAN機器や固定回線用の通信装置は、電源が止まると利用できません。スマートフォンや携帯端末に電池が残っていても、普段使用している建物内の通信環境は停止する可能性があります。在宅勤務やオンライン会議を予定している場合は、停電時間外へ予定を変更することが基本です。
給湯設備も電気を使用して制御されている場合があります。貯湯式の設備では、タンク内に残っているお湯を使用できるケースがありますが、停電中の操作や給湯条件は設備によって異なります。施工当日の入浴や炊事に影響しないかを確認しておきましょう。
住宅によっては、給水ポンプ、井戸ポンプ、排水ポンプ、換気設備、電気錠、門扉、シャッター、インターホン、防犯設備なども停電の影響を受けます。家の照明とコンセントだけを確認するのではなく、水回りや出入口を含めて考える必要があります。
医療機器や生命維持に関係する設備を使用している場合は、通常の停電準備だけでは対応できません。機器の提供元や医療関係者へ相談し、必要な代替電源や避難先を確保する必要があります。施工会社へも早い段階で伝え、停電時間や施工日の調整を依頼しましょう。
停電から復旧した後に、時計、タイマー、録画設定、空調設定、給湯設定などが初期化されることもあります。現在の設定内容を事前に記録しておけば、復旧後の確認がスムーズです。
事前準備1 停電日時と停止範囲を確認する
太陽光施工前に行う最初の準備は、停電予定を具体的に確認することです。「施工中に一時的な停電があります」という説明だけでは、生活や業務の予定を安全に調整できません。
まず、太陽光施工が何日間行われ、そのうち何日目に停電する可能性があるのかを確認します。屋根上のパネル設置日、分電盤への接続日、計器関係の作業日、試運転日が別々に設定されることもあります。施工初日に停電しなかったからといって、その後も停電しないとは限りません。
次に、停電の開始時刻と終了予定時刻を確認します。作業の進行によって前後する可能性があるため、停電開始前に連絡を受けられるかも聞いておきましょう。開始直前の合図があれば、パソコンのデータ保存や電気機器の停止を確実に行えます。
停止範囲も重要です。建物全体が停電するのか、特定の部屋や回路だけが停止するのかによって、必要な準備は異なります。主幹ブレーカーを停止する場合は、一般的に建物内の多くの設備が使用できなくなります。
二世帯住宅、店舗併用住宅、賃貸住宅、複数棟のある事業所では、どの区画が停電対象になるかを明確にする必要があります。共用部の照明、給水設備、防犯設備、エレベーターなどが同じ電源系統から供給されている場合、工事区画以外にも影響が及ぶ可能性があります。
停電予定は、家族や従業員などの関係者へ共有します。家庭では、在宅勤務、オンライン授業、調理、入浴、介護などの時間を調整します。事業所では、営業、製造、データ処理、荷物の入出庫などの予定を見直します。
停電が予定より長引いた場合の連絡方法も決めておきましょう。施工会社の現場責任者、営業担当者、施主側の立ち会い担当者がそれぞれ誰なのかを確認し、連絡先を共有します。
復電後についても、「電気がついた時点で使用してよいのか」「施工会社の確認後に使用を再開するのか」を決めておくことが大切です。試運転中は、一度復電した後に再び停止することがあります。使用再開の合図を受けてから重要設備を起動すると、混乱を防ぎやすくなります。
事前準備2 電気機器とデータを保護する
停電前には、使用中の電気機器を通常の手順で終了し、保存が必要なデータを確実に保護します。突然電源が切れると、作業中のデータが失われるだけでなく、機器の動作や保存装置に問題が生じる可能性があります。
パソコンでは、文書、設計図、写真、動画、会計情報などを保存し、必要に応じて別の保存先にも複製します。停電予定時刻の直前まで作業を続けるのではなく、余裕を持って終了することが重要です。
事業所で共有サーバーやネットワーク接続型の保存装置を使用している場合は、管理担当者が決められた手順で停止します。複数の利用者が同時にアクセスしている設備では、一人だけが作業を終了しても安全に停止できません。停止時刻を社内で周知し、利用者全員の接続終了を確認する必要があります。
録画機器、映像機器、音響機器、ゲーム機なども、待機状態のままにせず、通常の操作で停止しておくと安心です。停電復旧時の影響が気になる精密機器は、電源プラグを抜き、電力が安定してから接続し直します。
加熱や回転を伴う機器にも注意が必要です。調理機器、暖房機器、アイロン、電動工具などは、停電前にスイッチを切り、安全な状態へ戻します。復電したときに自動的に動作を再開する可能性がある機器は、特に確実な停止が必要です。
時計やタイマーを内蔵した機器では、停電によって設定が失われることがあります。空調、給湯、換気、照明、散水、録画などの設定画面を事前に撮影しておけば、復電後に元の状態へ戻しやすくなります。
予備電源を使用する場合は、接続できる機器と稼働可能時間を確認します。家庭用の予備電源で、大きな電力を消費する空調や調理機器を長時間動かせるとは限りません。通信機器や重要なデータ保存機器など、優先度の高い設備に用途を絞る必要があります。
停電中は、施工会社から指示を受けない限り、分電盤やブレーカーを操作してはいけません。作業員が無電圧を確認して配線作業をしている途中に、居住者や施設担当者がブレーカーを入れると重大な事故につながるおそれがあります。
復電後も、すべての機器を同時に起動するのではなく、施工会社から使用再開の案内を受けてから順番に確認します。冷蔵庫、通信設備、空調、給湯など必要性の高い設備から起動し、異常音、異臭、エラー表示がないかを確認しましょう。
事前準備3 食品と室内環境への影響に備える
冷蔵庫や冷凍庫、空調設備への対応は、太陽光施工中の停電準備で特に重要です。停電予定が短時間でも、施工内容や確認作業によって延びる可能性を考慮する必要があります。
停電前には、施工中に必要になる飲み物や食品を冷蔵庫から取り出しておきます。保冷容器などへ移しておけば、停電中に冷蔵庫の扉を開閉せずに済みます。扉を閉じた状態を保つことで、庫内の温度上昇を抑えやすくなります。
冷凍食品や温度管理が必要な食品を大量に保管している場合は、施工日前までに在庫を減らす方法もあります。長時間の停電が想定される場合は、別の保管場所へ移すことも検討します。
電気式の調理機器を使用している家庭では、停電時間中に加熱調理ができません。停電前に食事を用意する、加熱を必要としない食品を準備する、外出先で食事を取るなど、当日の予定に合わせた対応が必要です。
夏季は空調が止まると室温が上昇します。停電前に室温を無理のない範囲で調整し、カーテンや日よけを利用して日射を抑えます。ただし、暑さを我慢して室内にとどまることは避け、必要に応じて冷房を使用できる施設や家族の家などへ移動しましょう。
冬季は暖房設備が停止し、室温が低下する可能性があります。防寒着、毛布、温かい飲み物などを準備します。電気を使わない暖房器具を使用する場合でも、火災や一酸化炭素中毒などの危険があるため、換気や使用条件を守る必要があります。
乳幼児、高齢者、体調に不安がある方がいる場合は、一般的な家庭より余裕のある計画が求められます。施工会社へ事情を伝え、停電時間をできるだけ限定できるか、開始時刻を調整できるかを相談しましょう。
ペットを飼育している場合は、室温だけでなく、飼育用のろ過装置、保温設備、照明、換気装置への影響も確認します。観賞魚や温度管理が必要な生体では、短時間の電源停止でも飼育環境に影響する可能性があります。
給湯設備についても、停電時にどの機能が使えるかを確認しておきます。貯湯されているお湯を使用できる場合でも、操作パネルやポンプが停止すると利用条件が変わることがあります。施工当日に慌てないよう、あらかじめ設備の使用方法を確認しましょう。
事前準備4 通信手段と当日の行動を決める
太陽光施工による停電では、家庭や事業所の通信環境も停止する可能性があります。無線LAN機器、固定回線用の通信装置、固定電話の親機などは電源を必要とするためです。
スマートフォンや携帯端末は、停電前に十分充電しておきます。施工会社との連絡、家族への連絡、緊急情報の確認に使用できるよう、電池を消費する用途は控えます。携帯型の予備電源を準備しておくことも有効です。
在宅勤務を予定している場合は、オンライン会議や大容量データの送受信を停電時間外へ移します。携帯回線による通信を利用できる場合でも、地域や建物の条件によって通信速度が安定しない可能性があります。
工事当日に必要な資料や連絡先は、通信できない状態でも確認できるよう端末へ保存するか、紙に控えておきます。施工会社の担当者、現場責任者、家族、勤務先などの連絡先を準備しておくと安心です。
停電中に外出する場合は、施工会社への対応を誰が行うか決めます。分電盤の場所、機器の使用状況、各部屋の回路について質問されることもあるため、立ち会い者は基本的な施工予定を把握しておく必要があります。
家族全員が外出する場合は、施工会社が立ち入る場所、鍵の受け渡し、貴重品の保管、作業終了後の施錠方法などを確認します。分電盤、パワーコンディショナ設置予定場所、配線経路の周辺は片付け、作業員が安全に移動できるようにします。
子どもが在宅する場合は、資材、工具、脚立、仮設配線へ近づかないように注意します。停電中は普段より室内が暗くなる場所もあるため、施工範囲と生活範囲を分けておくことが大切です。
ペットは、作業員の出入りや工事音によって驚き、逃げ出す可能性があります。施工区域から離れた部屋へ移すか、停電時間中は別の場所で預かってもらうなど、安全に過ごせる方法を決めておきましょう。
事業所や店舗の太陽光施工で注意すること
事業所や店舗で太陽光施工を行う場合は、家庭よりも詳細な停電計画が必要です。数十分の電源停止であっても、営業、製造、決済、通信、冷蔵保管などへ影響する可能性があります。
最初に、停電する分電盤と、その分電盤から電源が供給されている設備を確認します。回路図がある場合でも、増改築や設備更新によって現状と一致していないことがあるため、現地確認が重要です。
店舗では、照明、空調、冷蔵設備、決済端末、通信機器、自動ドア、防犯設備などが停止する可能性があります。営業中に施工する場合は、来店者の安全や決済方法を考慮しなければなりません。影響が大きい場合は、休業日や営業時間外に停電工程を設定する方法があります。
工場では、生産設備を突然停止すると、加工中の製品、材料、金型などに影響することがあります。設備ごとの停止手順に従い、停電前に安全な状態へ移行する必要があります。復電後も、原点復帰、予熱、試運転、品質確認などが必要になることがあります。
サーバーやネットワーク設備を運用する事業所では、予備電源の稼働可能時間を確認します。施工が予定より長引いた場合でも安全に停止できるよう、停止判断を行う時刻と担当者を決めておくことが重要です。
冷蔵品、冷凍品、医薬品、温度管理が必要な材料などを保管している場合は、停電中の温度管理方法を決めます。必要に応じて別の保管設備へ移し、施工前後の温度を記録します。
テナントが入る建物では、建物管理者だけでなく、各テナントへ停電日時と影響範囲を通知します。共用部の照明、エレベーター、給水設備、入退室設備などへの影響も伝える必要があります。
太陽光施工会社の作業が終わった時点で、すぐに営業や製造を再開できるとは限りません。自社側の設備担当者が機器を順番に起動し、異常がないことを確認する時間まで工程に含めましょう。
蓄電設備を同時に設置する場合の注意点
太陽光発電設備と蓄電設備を同時に設置する場合、「工事中でも蓄電設備から電気を使える」と考える方がいます。しかし、施工途中の設備は配線や設定が完了していないため、電源として使用できないことがあります。
蓄電設備を設置する工事では、太陽光発電設備、分電盤、蓄電設備、切替機器などを接続します。停電時に使用する回路を分ける構成では、既存の照明やコンセントの配線を移設する作業が必要です。
特定の回路だけを停電時に使用できる構成では、どの設備を対象にするかを施工前に決めます。冷蔵庫、照明、通信設備などを選ぶことが考えられますが、使用できる設備や同時使用の条件は、設計内容によって異なります。
建物全体へ給電する構成であっても、すべての電気機器を通常時と同じように使用できるとは限りません。蓄電量や出力に制限があるため、空調、調理、給湯など消費電力の大きい設備を同時に使用できない場合があります。
施工当日は、蓄電設備への接続や設定を行うため、通常の太陽光施工より停電時間が長くなる可能性があります。工事中に使用できる電源が必要な場合は、蓄電設備とは別に準備が必要かを施工会社へ相談しましょう。
試運転が完了した後は、停電時の切り替え方法、使用可能な回路、復旧操作、残量の確認方法などについて説明を受けます。緊急時に初めて操作するのではなく、施工完了時に家族や施設担当者が手順を確認しておくことが重要です。
停電後に確認したい設備と復旧手順
太陽光施工による停電が終わった後は、電気がついたことだけで作業完了と判断せず、建物内の設備を確認します。施工会社が太陽光発電設備の試運転を終えていても、既存設備の設定や動作確認は施主側で必要になる場合があります。
まず、施工会社から復電と使用再開の案内を受けます。試験中に一時的に通電しているだけの可能性もあるため、案内前に重要機器を起動しないようにします。
次に、照明や代表的なコンセントを確認します。建物の一部だけ電気が使えない場合は、どの部屋や設備に問題があるかを整理して施工会社へ伝えます。
冷蔵庫や冷凍庫は、運転音や表示を確認します。空調、給湯、換気、通信設備についても、通常どおり起動するかを確認します。
時計やタイマーの設定が消えている場合は、事前に記録した内容を基に再設定します。録画機器、照明、空調、給湯など、自動運転に関係する設備を忘れずに確認しましょう。
無線LAN機器や通信装置は、復電後に起動するまで時間がかかることがあります。すぐに通信できない場合でも、繰り返し電源を抜き差しせず、起動状態を確認します。
異常音、焦げたような臭い、煙、機器の過熱、エラー表示などがある場合は、その設備を使用せず施工会社へ連絡します。ブレーカーが切れているように見えても、施工会社の確認を受ける前に何度も投入することは避けましょう。
事業所では、決められた順番で設備を起動します。複数の機器を同時に起動すると、一時的に大きな電力が必要になることがあります。設備管理者が運転状態を確認しながら、段階的に業務を再開することが重要です。
太陽光施工会社へ事前に伝えるべき情報
停電による影響を抑えるためには、施工会社から説明を受けるだけでなく、施主側から建物の使用状況を伝えることも重要です。
在宅勤務や営業の予定がある場合は、停電を避けたい時間帯を伝えます。必ず希望どおりに調整できるとは限りませんが、施工順序や開始時刻を検討してもらえる可能性があります。
冷蔵設備、医療機器、サーバー、給水ポンプ、防犯設備など、停止すると影響が大きい機器がある場合は、機器の種類と必要な稼働条件を伝えます。施工会社が建物内のすべての設備を把握しているとは限りません。
二世帯住宅や店舗併用住宅では、電源系統と利用者の状況を説明します。別の世帯や店舗が使用している設備まで停止する場合は、関係者全員の日程調整が必要です。
ペット、乳幼児、高齢者、体調に不安がある方が在宅する場合も伝えておきましょう。停電時間の連絡を正確に受ける必要があるほか、施工音や作業員の出入りへの配慮も必要です。
分電盤付近に家具や荷物がある場合は、施工前に移動します。屋根裏、収納、機器設置場所などへの立ち入りが必要な場合もあるため、作業範囲を確認して片付けておきます。
過去にブレーカーが頻繁に落ちた、特定のコンセントに不具合がある、増改築で配線を変更したといった情報も施工会社へ伝えます。既存設備の状態を共有することで、当日の確認作業を進めやすくなります。
太陽光施工中の停電に関するよくある疑問
太陽光施工に伴う停電については、工事前に似た疑問が多く寄せられます。代表的な内容を理解しておくと、施工会社との打ち合わせを進めやすくなります。
「屋根にパネルを載せる日も停電するのか」という疑問については、屋根上の設置作業だけであれば、建物内の電気を止めない場合があります。ただし、同じ日に分電盤への接続や試運転まで行う工程であれば、一時的に停電する可能性があります。
「施工中に冷蔵庫を使い続けられるか」については、建物全体を停電する時間帯には使用できません。停電が一部回路だけで、冷蔵庫の回路が対象外であれば使用できる可能性があります。停止範囲を施工会社へ確認する必要があります。
「停電中に太陽光パネルが発電していれば電気を使えるか」という疑問もありますが、施工途中では設備が接続、設定、試運転まで完了していないため、通常は新設した設備を電源として使用できません。施工が完了した後も、停電時に電気を使用できるかどうかは設備構成によって異なります。
「工事中に外出してもよいか」については、施工会社が屋内へ入る必要がなく、立ち会い条件を満たしていれば外出できる場合があります。しかし、停電前後の確認や分電盤周辺への立ち入りが必要になることもあるため、事前に相談が必要です。
「停電が予定より長引くことはあるか」については、既存配線の状態、試運転結果、作業の進行などによって延びる可能性があります。冷蔵食品や業務設備などへの影響を考え、予定時間の前後に余裕を持たせることが大切です。
「停電後に設備が動かない場合はどうするか」については、まず施工会社へ状況を伝えます。安全確認が終わる前にブレーカーを繰り返し操作したり、機器を分解したりしてはいけません。対象設備と発生状況を記録し、施工会社の指示を受けましょう。
太陽光施工の停電対策は事前共有が重要
太陽光施工では、工事期間中ずっと電気が使えなくなるわけではありません。屋根への架台や太陽光パネルの設置では停電しないことがありますが、分電盤への接続、既存回路の変更、計器周辺の工事、試運転などでは、一時的な停電が必要になる可能性があります。
停電の時間や範囲は、建物の電気設備、施工内容、分電盤の状態、蓄電設備の有無などによって変わります。「太陽光施工なら停電は一時間程度」と一律に考えず、現場ごとの計画を施工会社へ確認することが重要です。
施工前の準備では、停電日時と対象範囲を確認し、電気機器やデータを保護します。冷蔵食品、空調、給湯、通信への影響を想定し、家族や従業員の当日の行動を決めておきます。
事業所や店舗では、設備停止だけでなく、復電後の点検と業務再開までを一連の工程として計画する必要があります。重要な設備がある場合は、施工会社へ早めに伝え、施工時間や停止範囲の調整を相談しましょう。
太陽光施工を安全かつ円滑に進めるには、工事前の設備状況、作業位置、配線経路、施工後の状態を記録し、関係者間で共有することも大切です。現場写真に位置情報を付けて管理できれば、施工箇所の確認、進捗共有、完了後の点検にも活用できます。太陽光施工の現場記録を効率化したい場合は、位置情報付き写真や測位記録に対応するLRTK Phoneの活用を検討してみてください。