LRTKレフィクシア株式会社

太陽光 施工で雷サージ被害を減らす接地設計6つの要点

太陽光 施工で雷サージ対策が重要になる理由

太陽光発電設備は、屋根、屋上、カーポート、造成地など、屋外の広い範囲に設置されます。太陽電池モジュール、架台、直流ケーブル、交流ケーブル、通信線、監視機器、接続箱、パワーコンディショナなどが離れた位置に配置されることも多く、雷による過電圧の影響を受ける可能性を設計段階から考える必要があります。

雷被害は、設備へ直接雷が落ちた場合だけに起こるものではありません。周辺への落雷によって生じる電磁界の変化が長い配線へ電圧を誘導したり、地面の電位上昇が複数の接地設備の間に電位差を生じさせたりすることがあります。その結果、直流回路、交流回路、通信回路、接地経路のいずれからも、一時的に大きな電圧や電流が機器へ加わる可能性があります。

影響を受けるのはパワーコンディショナだけではありません。接続箱、監視装置、通信機器、気象センサー、制御基板なども雷サージによって損傷することがあります。外観に明確な焼損がなくても、内部部品が劣化し、後日になって通信異常や停止として表れる場合もあります。

太陽光 施工では、防水、固定、絶縁、配線、出力確認へ注意が向きやすい一方、接地極や埋設接地線は完成後に見えなくなります。設置後に接地経路の誤りや接続不良が判明すると、掘削や盤改修が必要になり、修正範囲が大きくなることがあります。

雷害対策は、接地抵抗を下げることだけでは成立しません。外部雷保護、等電位ボンディング、SPD、配線ループの縮小、電位の分離、機器配置、保守点検を組み合わせ、建物側の雷保護設備とも協調させる考え方が必要です。現行の設計・施工ガイドラインでも、外部LPSと内部LPSを組み合わせ、設備全体で雷電流の流入抑制、電位差の軽減、サージ処理を行う考え方が示されています。([JPEA][1])

なお、本記事は一般的な確認観点を整理したものです。実際の接地方式、保護導体の仕様、SPDの選定、外部LPSとの離隔や接続方法は、設備規模、電圧、建物構造、受電方式、地域条件、機器仕様によって異なります。最終設計と施工は、適用される法令、技術基準、現行規格、設計図書、機器メーカーの施工要領を確認できる有資格者が行う必要があります。

雷サージ被害は接地だけでは防ぎ切れない

接地は、感電防止、漏電や地絡時の保護、機器外箱の電位安定などに重要です。しかし、接地極を設け、測定した接地抵抗が設計値を満たしただけで、雷サージによる被害をすべて防げるわけではありません。

雷サージは短時間に急激に変化する電流と電圧です。このような現象では、低周波で測定する接地抵抗だけでなく、接地導体の長さ、曲がり、ループ、接続部、周囲の金属体との位置関係を含む経路全体のインピーダンスが影響します。接地線が長く迂回していたり、余長が輪状にまとめられていたりすると、SPDが動作しても保護対象機器の端子間に想定以上の電圧が残る可能性があります。

また、太陽光発電設備には目的の異なる接地やボンディングが存在します。感電防止を目的とする保護接地、機器や架台の等電位ボンディング、SPDがサージ電流を流すための接地経路、建物の外部雷保護設備に属する接地などです。これらは名称が似ていても役割が同じとは限りません。

重要なのは、接地とボンディングを設備全体として協調させることであり、すべての接地極や金属体を無条件に一つへ接続することではありません。反対に、理由なく分離すればよいわけでもありません。建物用の外部LPSと太陽電池アレイ側の等電位ボンディングを分離する構成や、SPDの接地経路を機器の等電位ボンディングとは別に計画する推奨例もあるため、接続と分離は雷保護設計に基づいて決める必要があります。([NEDO][2])

電源線や通信線から侵入する過電圧を制限するにはSPDが有効ですが、SPDも設置するだけでは十分ではありません。対象回路に適合する定格、設置位置、接続導体の長さ、接地先、前段と後段の保護協調、交換性を確認する必要があります。内蔵SPDがある場合も、その保護範囲や交換方法を確認し、追加SPDの要否を個別に判断します。

太陽光 施工における雷サージ対策は、低い接地抵抗だけを目標にする工事ではありません。雷電流を設備へ入りにくくし、侵入したサージを適切な位置で制限し、機器間の危険な電位差を減らし、意図しない経路へ電流が流れないようにする設計です。

要点1 雷サージの侵入経路と保護範囲を整理する

最初に、雷サージがどこから侵入し、どの機器を通り、どこへ流れる可能性があるかを図面上で整理します。盤の接地端子だけを見ても、設備全体の雷害リスクは判断できません。

直流側では、太陽電池モジュールから接続箱、集電箱、パワーコンディショナまでの配線経路を確認します。正極線と負極線が離れた経路を通ると、両者が囲む面積が大きくなり、近傍落雷による誘導電圧が大きくなる可能性があります。正極線と負極線は、絶縁、放熱、短絡防止、施工仕様を満たしたうえで、往路と復路のループ面積を小さくできる経路へ配置します。

同じストリングの正極線と負極線を別方向へ大きく回す施工や、架台の外周を一周するような配線は避けます。施工しやすさだけで経路を決めず、直流ケーブルが形成するループ、金属配管やシールドの使用条件、他回路との離隔を確認します。直流配線の誘導ループ面積を小さくする考え方は、現行の設計資料でも重要な雷害対策として示されています。([JPEA][1])

交流側では、パワーコンディショナから分電盤、受変電設備、系統接続点までを確認します。系統側から侵入するサージだけでなく、太陽光発電設備側で生じたサージが建物内の回路へ移行する可能性も考えます。既設分電盤にSPDがある場合も、そのSPDの保護対象、設置位置、接地経路、パワーコンディショナまでの配線長を確認します。

通信側では、遠隔監視、気象計、監視カメラ、ネットワーク機器、センサーなどの配線を確認します。電源線にSPDがあっても、導電性の通信線が屋外から無保護で引き込まれていれば、通信端子から過電圧が侵入する可能性があります。光通信へ置き換えられる区間では、電位分離の手段として検討できます。

金属体も経路の一部として確認します。架台、太陽電池モジュールのフレーム、金属製接続箱、金属配管、ケーブルラック、建物鉄骨、外周フェンス、門扉、監視柱などです。ただし、近接する金属体をすべて接続対象と判断してはいけません。接触電圧、放電距離、外部LPSとの関係、保護接地の要否を設計図で整理します。

建物に避雷設備がある場合は、受雷部、水平導体、引下げ導線、建物鉄骨、接地設備の位置を確認します。太陽電池アレイや架台との間で必要な離隔を確保する構成なのか、雷保護設計に基づいてボンディングする構成なのかを明確にします。固定値だけで安全と判断せず、適用規格に基づく離隔距離、建物形状、雷電流経路を確認します。

保護境界として重要なのは、屋外配線が屋内へ入る位置、別棟間を配線が渡る位置、長い配線が盤へ入る位置、異なる接地領域を横断する位置です。これらの境界で、SPD、絶縁、光通信、耐雷変圧器などの要否を検討します。

現地調査では、図面と現況の一致も確認します。増設や改修を重ねた建物では、既設の接地線や通信線が図面と異なる経路を通っていることがあります。雷サージの侵入経路は、直流、交流、通信、金属体、接地を一枚の系統図へ重ねると把握しやすくなります。

要点2 接地と等電位ボンディングを一体で計画する

接地と等電位ボンディングを一体で計画するとは、すべてを同じ接地極へ接続するという意味ではありません。保護接地、機能接地、SPD接地、外部LPS、架台のボンディングを同じ図面上で整理し、どこを接続し、どこを分離し、どこに離隔を設けるかを矛盾なく決めることを意味します。

最初に、接地・ボンディング系統図を作成します。パワーコンディショナ、接続箱、分電盤、受変電設備、架台、建物鉄骨、外部LPS、接地極、SPDの接地先、通信設備の接地関係を明示します。既設接地端子は、表示や外観だけで用途を判断せず、図面、測定、管理者への確認によって接続先を把握します。

複数の接地極が離れた位置にあり、その間を電源線や通信線が接続していると、落雷時の地電位上昇によって機器端子間に大きな電位差が生じる可能性があります。このため、ボンディング、SPD、絶縁、光通信などを使い、機器内部より安全な経路へ電流を導く設計が必要です。

一方で、建物用の外部LPSから太陽電池アレイや架台へ雷電流が流入しないよう、外部LPSとアレイ側の等電位ボンディングを分離する構成が採用される場合があります。建物設置型の推奨例では、SPDの接地をパワーコンディショナなどの等電位ボンディングとは別に取る考え方も示されています。したがって、「電位差を減らすために全接地を連接する」という一律の説明は避け、設置形態と雷保護方針に合わせて決定します。([NEDO][2])

架台、太陽電池モジュールのフレーム、接続箱、パワーコンディショナの外箱、金属配管、ケーブルラックは、設計図書で保護接地またはボンディング対象とされた範囲について、電気的連続性を確保します。二重絶縁やクラスII構成など、露出金属部を接地極へ接続しない設計もあるため、見た目が金属であることだけを理由に接地を追加しないようにします。

ボルトで固定された部材は、機械的には一体でも、塗装、酸化皮膜、樹脂部品、絶縁ワッシャー、表面処理によって十分な導通が得られない場合があります。固定金具が接地機能を兼ねる場合は、対象となる部材、表面処理、締付条件、使用可能な組合せを施工要領で確認します。

ボンディング導体は、設計で想定する故障電流やサージ電流、機械的強度、耐食性に適合するものを使用します。断面積は現場判断で小さくせず、適用規程と設計図に従います。異種金属の接続では、電食を避けるために適合する接続金具と防食処理を用い、水分が滞留しにくい納まりにします。

長い架台を複数区画へ分ける場合は、区画ごとのボンディング範囲、接続点、点検点を明確にします。伸縮継手、可動部、絶縁部材、材質変更部では導通が途切れることがあるため、必要に応じて専用のボンディング導体を設けます。

要点3 接地線を短く直線的に施工する

雷サージ対策では、接地線やSPD接続導体をできるだけ短く、不要な迂回を避けて施工します。接地極の抵抗が良好でも、機器から接地先までの導体が長く複雑であれば、サージ電流が流れたときに導体部分で大きな電圧が生じる可能性があります。

特にSPDでは、回路側の接続導体と接地側の接続導体を合わせた経路全体を短くする必要があります。SPD本体の保護性能だけを見ても、接続導体が長ければ機器端子へ加わる残留電圧を十分に抑えられないことがあります。盤内の空きスペースだけで設置位置を決めず、保護対象端子と指定された接地端子の近くへ配置できるかを確認します。

余った接地線を輪状に巻いて収納する施工は避けます。必要な長さに整え、同じ場所を往復する経路や大きなループを作らないようにします。曲げが必要な場合は、端子や導体を傷めない範囲で緩やかに処理し、急な折返しや多数の曲がりを避けます。

短さだけを優先して、接地線を踏まれやすい位置や鋭い金属端へ接触する位置へ通してはいけません。架台上では風による振動、工具との接触、鳥害、紫外線、積雪を考慮し、適切な支持材で固定します。野立て設備では草刈り機、車両、掘削による損傷を想定し、必要な機械的保護と識別を行います。

地中へ埋設する場合は、他の埋設物との離隔、将来の掘削予定、点検端子の位置を確認します。埋設深さや保護方法は、適用規程、設計図書、現場条件に従います。埋戻し前には経路、接続部、固定物からの距離を記録します。

金属製の保護管やケーブルラックは、使用しただけで自動的に接地対象になるとは限りません。接地またはボンディングの要否を適用規程と設計図で確認し、必要な場合は継手、盤接続部、途中の材質変更部を含めて電気的連続性を確保します。

雷電流が流れる可能性のある導体と通信線やセンサー線を長距離にわたって密着させると、電磁的な影響が及ぶ可能性があります。必要な離隔を取り、交差する場合は並行距離を短くします。シールド線を使う場合は、シールドの接続方法を機器仕様と雷保護設計に合わせます。

端末処理では、導体サイズと材質に適合する端子、圧着工具、ダイスを使用します。一つの端子へ複数の導体を無理に共締めしたり、指定外の端子へ導体を巻き付けたりしないようにします。締付けは指定トルクや施工方法に従い、施工後に抜け、緩み、導通を確認します。

要点4 直流側・交流側・通信側にSPDを配置する

SPDは、雷サージや開閉サージによる過電圧を制限し、保護対象機器へ加わる電圧を抑えるための機器です。ただし、太陽光発電設備のすべての回路へ同じSPDを追加すればよいわけではありません。直流側、交流側、通信側ごとに、雷リスク、配線長、外部LPSの有無、機器内蔵SPD、機器の耐インパルス電圧、保護境界を確認し、必要性と仕様を判断します。

直流側では、太陽電池アレイの最大システム電圧、回路構成、極性、接地方式、設置場所に適合するSPDを選びます。交流用SPDを直流回路へ流用してはいけません。太陽光発電用の直流SPDは、劣化時の安全な切離しを含め、直流回路で使用できる仕様であることを確認します。

最大連続使用電圧は、通常運転時にSPDへ加わり得る最大電圧を上回る必要があります。太陽電池モジュールの開放電圧は低温時に上昇するため、設置地域の想定最低温度、直列枚数、温度係数から最大システム電圧を求めます。標準試験条件の開放電圧だけで選定すると、寒冷時にSPDへ過大な電圧が加わる可能性があります。直流機器の定格確認では、開放電圧と温度、日射条件を考慮した最大システム電圧が必要です。([JPEA][3])

直流配線が長い場合や、別の保護領域へ入る場合は、配線の一端だけで十分かを検討します。複数箇所へSPDを配置する場合は、上流側と下流側のエネルギー協調、配線長、保護対象機器の耐電圧を確認します。同じ仕様のSPDを無計画に追加すると、一部へ負担が集中することがあります。

交流側では、系統構成、接地方式、定格電圧、想定される一時的過電圧、分電盤や受変電設備の既設SPDを確認します。パワーコンディショナ側のSPDと建物入口側のSPDが協調しているか、両者の間の配線が長すぎないかを検討します。

通信側では、信号電圧、通信方式、周波数、線数、シールド、接地方式に適合するSPDを選びます。電源用SPDを通信線へ使用することはできません。通信品質へ影響を与えない挿入損失や容量も確認します。電位差が大きくなる別棟間や屋外センサー区間では、SPDだけでなく光通信による絶縁も検討します。

SPDの接地線は、設計で指定された接地先へ、短く不要な曲がりの少ない経路で接続します。任意の近い金属部へ接続したり、保護接地とSPD接地の区別を図面なしで変更したりしないようにします。建物設置型では、SPD接地と機器の等電位ボンディングを別系統にする推奨例もあるため、盤内の接続先を施工者判断で統合しないことが重要です。([NEDO][2])

SPDは繰り返しサージを受けることで劣化する場合があります。状態表示、遠隔接点、交換部の有無を確認し、安全に点検・交換できる位置へ設置します。盤の奥や配線の裏へ隠れて状態表示が見えない配置は避けます。現行の設計資料でも、SPDは保守可能な場所へ設置することが望ましいとされています。([JPEA][1])

要点5 架台や金属部の電気的連続性を確保する

架台や金属部の電気的連続性は、設計図書で保護接地または等電位ボンディングの対象とされた範囲について確保します。すべての金属部を無条件に接地するのではなく、機器の保護クラス、メーカー仕様、外部LPSとの関係を確認します。

太陽電池モジュールのフレーム、架台、固定金具、接続箱、パワーコンディショナ外箱、金属配管、ケーブルラックなどは、設計上同一電位とする必要がある場合、継手を含めて連続した導通を確保します。クラスII設備など、アレイ金属部を接地極へ接続しない構成もあるため、現場で独自に接地を追加しないようにします。([JPEA][3])

架台は多くのボルトで組み立てられますが、機械的な締結だけで十分な導通が得られるとは限りません。塗装、めっき、酸化皮膜、汚れ、樹脂部品、絶縁ワッシャーが接触抵抗を増やすことがあります。接地機能を持つ固定金具を使う場合は、適用可能な材質、表面処理、取付方向、締付条件を施工要領で確認します。

必要に応じて部材間へボンディング導体を設けます。伸縮継手、可動部、異材接続部、分割架台、樹脂製継手では導通が途切れる可能性があります。架台の最初の区画だけで導通を測り、末端までつながっていると推定しないようにします。

フレームや架台へ接地端子を追加するために穴を開ける場合は、指定位置と施工方法を確認します。任意の位置への穴あけは、構造強度、疲労、防食、製品保証へ影響する可能性があります。塗膜を除去して接続する仕様では、導通を確保した後の防食処理も必要です。

異種金属の接続では、銅、アルミニウム、鋼材などの組合せに注意します。雨水、結露、塩分が加わる屋外環境では電食が進みやすいため、適合する端子や中間材を用い、水がたまらない向きに施工します。接続直後の導通だけでなく、長期的に接触抵抗が増えにくい納まりを選びます。

外周フェンスや門扉は長い金属体ですが、架台と近いことだけを理由に接続しません。接触電圧、歩幅電圧、外部LPS、接地極、一般利用者が触れる可能性を評価し、必要な接地や離隔を設計で決めます。

施工完了時には、接地点の近くだけでなく、架台の末端、別区画、伸縮部の両側でも導通を確認します。測定結果は接地点番号や架台区画番号と対応させ、後日の点検で同じ位置を再測定できるようにします。

要点6 接地性能を測定して記録と点検につなげる

接地設備は、施工しただけでは性能を確認できません。接地抵抗、保護導体の導通、架台区画間の連続性、SPDの接続状態を、それぞれ目的に合った方法で確認します。

接地抵抗の合否基準は、設備の接地方式、使用電圧、適用される技術基準、設計条件によって異なります。「雷対策なら何オーム以下」と一律の数値を当てはめるのではなく、設計図書に示された基準を確認します。また、低い接地抵抗が得られても、SPD接続導体が長い、架台の導通がない、外部LPSとの関係が不適切といった問題があれば、雷害対策として十分とはいえません。

接地極の性能は、土質、含水状態、温度、埋設深さ、腐食、周辺の接地設備に影響されます。降雨直後と乾燥期では測定値が変わることがあるため、測定日、天候、地表面の状態、測定方法、測定器、補助極の配置を記録します。

接地棒を複数使用する場合は、本数だけでなく配置と間隔を検討します。近接しすぎると、それぞれの電流拡散範囲が重なり、追加した本数に見合う効果が得られない場合があります。環状接地、網状接地、構造体利用などを採用する場合も、接続部と点検点を含めて記録します。

既設接地と新設接地を接続した状態で測定すると、新設部分単体の状態を判別しにくい場合があります。何を確認する測定なのかを明確にし、必要な切離しは設計者または保安担当者の手順に従って行います。運転中の保護接地を安易に外して測定してはいけません。

架台や保護導体の導通測定では、測定点、測定電流、補償方法を統一し、接地点から遠い区画まで確認します。完成時の値を基準として残しておけば、後日の腐食や緩みを判定しやすくなります。

SPDは、状態表示、交換表示、遠隔接点、接続端子、接地先を確認します。絶縁抵抗試験では、SPDが測定へ影響したり試験電圧で損傷したりする場合があるため、試験手順と機器仕様に基づき、必要な場合だけ安全に切り離します。太陽電池アレイは日射がある限り電圧が生じるため、試験は有資格者が手順を確認して実施します。([JPEA][3])

接地極や埋設接地線は、埋戻し前に位置、深さ、経路、接続部、点検端子を記録します。固定物からの距離、施工写真、完成図、識別番号を対応させると、改修や故障調査で位置を特定しやすくなります。座標を記録する場合は、座標系、高さの基準、測位条件も残します。

屋根設置と野立て設置で異なる注意点

屋根設置では、既設建物の接地設備、鉄骨、金属屋根、避雷設備、分電盤、通信設備との関係が重要です。既設接地端子があっても、その用途、接続先、容量、劣化状態を確認せずに流用しないようにします。

建物に外部LPSがある場合、太陽電池アレイや架台を引下げ導線や水平導体へ近づけすぎると、雷電流の流入や放電が生じる可能性があります。離隔を確保する設計なのか、雷保護設計に基づいて接続する設計なのかを明確にし、施工途中で方針を混在させないことが重要です。建物設置型の推奨例では、建物用外部LPSと太陽光発電設備の架台を接続しない構成が示されているため、無条件のボンディングは避けます。([NEDO][2])

屋根から地上まで接地導体を下ろす場合は、長さ、曲がり、外壁貫通、防水、機械的保護を同時に検討します。雷サージ対策だけを優先して防水層へ任意の穴を開けたり、雨水が導体を伝って浸入する納まりにしたりしないようにします。

金属屋根では、屋根材、架台、モジュールフレームの電気的関係を確認します。金属屋根が接地されていても、絶縁シートや表面処理によって架台と導通していない場合があります。反対に、意図せず導通して外部LPS側の雷電流が架台へ流れる構成になっていないかも確認します。

野立て設置では、パネル群、接続箱、集電箱、パワーコンディショナ、受変電設備が広い敷地へ分散します。長い直流配線や通信線は誘導雷の影響を受けやすいため、ループ面積を小さくし、保護境界ごとにSPDや絶縁の要否を検討します。

敷地内の地盤条件は均一とは限りません。造成地、盛土、切土、湿潤部、岩盤部では接地性能が異なる場合があります。接地極の位置は施工のしやすさだけで決めず、地盤、排水、腐食、他の埋設物、将来の掘削を確認します。

別棟間を電源線や通信線で接続する場合は、建物ごとの接地電位差を考えます。導電性の通信線が長距離にわたる場合、通信SPDや光通信への変更を検討します。

沿岸部では塩害、積雪地域では凍結や除雪、高温地域では材料の熱劣化を考慮します。屋外の接地端子、ボンディング部、SPD収納盤は、環境条件に適合する材料、保護等級、防食方法を選びます。

太陽光 施工前に確認する接地設計の実務手順

実務では、現地調査、基本設計、詳細設計、施工計画、検査、記録を一つの流れとして管理します。接地工事だけを別工程として後から追加すると、SPDの接続導体が長くなったり、外部LPSとの離隔を確保できなくなったりします。

現地調査では、既設分電盤、受変電設備、接地端子、建物鉄骨、金属屋根、避雷設備、通信回線、埋設物を確認します。既設図面がある場合も、現況と一致しているかを調べます。

次に、太陽電池モジュール、架台、接続箱、パワーコンディショナ、分電盤、監視装置の配置図へ、直流、交流、通信、接地、外部LPSの経路を重ねます。雷サージの侵入口、保護境界、電位を分離する位置、等電位化する範囲を明確にします。

接地・ボンディング系統図では、保護接地、機能接地、SPD接地、外部LPSを区別します。接続する接地極、分離する設備、点検端子、接地母線を図面へ明示し、施工者が現場判断で変更しなくて済む状態にします。

SPDは、回路ごとの最大電圧、最大電流、接地方式、外部LPS、機器の耐電圧、配線長、内蔵SPDを確認して選定します。直流側では低温時の最大システム電圧、交流側では系統構成、通信側では信号仕様を確認します。交換表示と保守スペースも設計に含めます。

新たな接地極を設ける場合は、給排水管、ガス管、通信管路、基礎、外構、将来の掘削予定との干渉を確認します。接地線が隠れる前の検査時期、写真撮影、測定時期を工程表へ組み込みます。

施工前には、接地線、端子、接続金具、ボンディング部材、保護管、SPDの仕様を照合します。代替品を使う場合は、材質、定格、接続方法、耐食性が設計条件を満たすかを確認し、承認なしで変更しないようにします。

太陽電池の直流回路は、日射があれば発電を続けます。交流側を停止しても直流側が無電圧になるとは限りません。接地線、SPD、接続箱の作業では、回路状態、遮断範囲、検電方法、立入管理、保護具を含む作業手順を事前に定めます。

施工中に見逃しやすい接地工事の不具合

見逃しやすい不具合の一つは、用途の異なる接地を現場判断で共通化することです。近くに接地端子があるという理由だけで、外部LPS、保護接地、SPD接地、架台ボンディングを同じ端子へ接続すると、設計で意図した電位分離が失われることがあります。

反対に、複数の接地極を理由なく分離し、その間を通信線や電源線だけで接続する施工も危険です。落雷時の地電位差が機器端子へ加わる可能性があるため、分離する場合はSPD、絶縁、光通信などを含む設計が必要です。

SPDから指定された接地端子までの導体が長い状態も代表的な不具合です。盤の空きスペースへ後付けし、接続線を盤内の反対側まで引き回すと、SPD本体の性能を十分に活かせない場合があります。

接地線の余長を輪状に巻く、同じ経路を往復させる、急な曲げを繰り返す施工も避けます。短く直線的な経路へ修正し、機械的保護と両立させます。

架台の一箇所だけへ接地線を接続し、全体がボルトで導通していると推定する施工にも注意します。塗膜、酸化皮膜、絶縁部材、伸縮継手によって途中で導通が途切れることがあります。

塗装面の上から端子を取り付けると十分な接触が得られない場合があります。一方、塗膜を除去した部分を無処理のまま残すと腐食が進みます。指定された接続部と防食処理を守ります。

直流側と交流側だけにSPDを設け、導電性の通信線を未保護のまま別棟へ引き込む施工も見逃されやすい不具合です。通信機器の仕様に適合するSPDまたは光通信を検討します。

直流最大電圧を標準条件だけで計算し、低温時の電圧上昇を含めずSPDを選ぶと、通常運転中にSPDが劣化する可能性があります。設置地域の最低温度とモジュールの温度係数を確認します。

SPDの状態表示が見えない位置へ設置する、交換スペースを確保しない、盤図へ位置を記載しない施工も、保守上の問題になります。保護機能が失われても気付けない状態を避けます。

接地極や埋設接地線の位置を完成図へ反映しないことも重大な不具合です。後の舗装、外構、植栽、掘削工事で切断されても、位置情報がなければ調査が難しくなります。

施工完了時に行う検査と記録

施工完了時には、接地抵抗だけでなく、設計図どおりの接地・ボンディング構成になっているかを確認します。外部LPS、架台ボンディング、保護接地、SPD接地が、指定どおりに接続または分離されているかを系統図と照合します。

接地線の経路では、不要な迂回、余長の巻き、急な曲げ、損傷しやすい露出、支持不足を確認します。端子では、適合する部材、圧着状態、締付け、抜け、腐食、防水、防食を点検します。

架台や金属部は、接地点から離れた末端、別区画、伸縮部の両側で導通を測定します。設計上接地しない構成では、誤って他の金属体へ接続されていないことも確認します。

接地抵抗測定では、測定方法、測定器、補助極の位置、天候、地表面の状態、測定日を記録します。数値だけでなく、どの接地極をどの状態で測定したかを残します。

SPDは、直流、交流、通信の各回路について、型式、定格、設置位置、極性、接地先、接続線の長さ、状態表示を確認します。複数SPDがある場合は、上流側と下流側の保護対象と協調条件を完成図へ記載します。

絶縁抵抗試験や耐圧に関する確認では、SPDや電子機器を損傷させない手順を使用します。SPDを一時的に切り離した場合は、試験後の復旧、締付け、状態表示を再確認します。太陽電池アレイ側は日中に電圧が残るため、試験範囲と安全措置を明確にします。([JPEA][3])

接地極を埋め戻す前には、全景、接続部、埋設深さ、固定物からの距離が分かる写真を撮影します。接地極、点検端子、架台区画、SPDには識別番号を付け、図面、写真、測定記録を対応させます。

不具合を修正した場合は、修正内容と再測定結果を残します。修正前の記録を消去するのではなく、原因と対策を保存することで、次の現場や定期点検で同じ不具合を防ぎやすくなります。

運用開始後の点検と雷発生後の対応

接地設備、ボンディング導体、SPDは、運用開始後も環境や雷サージによって状態が変化します。点検周期は、設備規模、保安規程、機器仕様、設置環境に合わせて決めます。

接地線では、断線、被覆損傷、固定部の緩み、摩耗、腐食を確認します。架台の角や可動部に接触している導体は、風や温度変化による振動で徐々に傷むことがあります。

端子では、緩み、変色、発熱痕、腐食、水分侵入を確認します。異種金属接続部や塩害地域では、外観だけでなく導通測定も行い、完成時の値と比較します。

接地抵抗は、必要に応じて同じ測定条件で再測定します。値が変化した場合は、土壌の乾燥や凍結による変動、接地極の腐食、接続部の断線を切り分けます。

SPDは状態表示と遠隔警報を確認し、保護機能を失っている場合は安全な手順で交換します。近隣で落雷が確認された後、雷警報や設備異常が発生した後、周辺機器に雷被害があった後は、通常の点検時期を待たずに確認することが望まれます。

パワーコンディショナや監視装置が停止した場合は、故障機器だけを交換して終了せず、直流、交流、通信、接地、SPDの経路を確認します。機器が正常に動作していてもSPDだけが劣化している場合があるため、運転状態と雷保護状態は分けて評価します。

設備の増設、パワーコンディショナ交換、監視装置追加、屋根改修、舗装、植栽、外構工事の後は、接地・ボンディング系統図を更新します。仮撤去した接地線の復旧漏れや、掘削による埋設線の損傷がないかを確認します。

点検結果には、点検日、点検者、対象設備、測定位置、測定方法、測定値、SPD状態、異常箇所、対応内容を記録します。写真と位置情報を対応させると、同じ箇所を継続して確認しやすくなります。

まとめ

太陽光 施工で雷サージ被害を減らすには、接地抵抗を低くするだけでは不十分です。直流、交流、通信、金属体、外部LPSを含む設備全体で、雷サージの侵入経路、電位差、サージ電流の流れを整理する必要があります。

第一の要点は、侵入経路と保護範囲を明確にすることです。直流回路だけでなく、交流回路、通信線、建物の雷保護設備、架台や金属体を確認します。

第二の要点は、接地と等電位ボンディングを協調して計画することです。ただし、協調とは無条件の共通接地ではありません。保護接地、SPD接地、外部LPS、架台ボンディングの接続と分離を設計図へ明示します。

第三の要点は、接地線とSPD接続導体を短く、不要なループや急な曲がりを避けて施工することです。機械的保護、耐候性、保守性とも両立させます。

第四の要点は、直流側、交流側、通信側ごとにSPDの必要性と仕様を判断することです。最大電圧、接地方式、配線長、保護協調、内蔵SPD、交換性を確認します。

第五の要点は、設計上ボンディング対象となる架台や金属部の電気的連続性を確保することです。ボルト締結だけで導通していると判断せず、末端や区画ごとに測定します。

第六の要点は、接地抵抗、導通、SPD状態を測定し、施工条件と位置情報を記録することです。埋設接地極や接地線は完成後に見えなくなるため、写真、完成図、識別番号、測定記録を対応させます。

雷サージの影響を完全になくすことは困難ですが、建物側の雷保護設備と協調し、適切な接地、電位分離、等電位ボンディング、SPD、配線設計を組み合わせることで、機器故障や長期停止のリスクを減らせます。

接地極、埋設接地線、点検端子、SPD、架台区画の位置を現場で記録する場合は、衛星受信条件と作業環境を確認したうえでLRTK Phoneを活用し、位置、写真、識別番号を関連付けて保存する方法があります。ただし、位置記録は電気的な測定や接地設計の適否を保証するものではないため、完成図、測定記録、施工写真と併用することが重要です。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

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