LRTKレフィクシア株式会社

法面緑化の獣害対策で踏み荒らしと食害を抑える6つの管理法

法面緑化で獣害対策が必要になる理由

法面緑化では、降雨による表面侵食、乾燥、排水不良、発芽不良などとともに、野生動物による踏み荒らしや食害にも注意が必要です。特に山間部、森林に隣接する道路法面、造成地の外周、農地や河川に近い場所では、施工した法面が動物の移動経路となることがあります。

獣害という言葉からは、植物の葉や芽を食べられる被害を思い浮かべることが多いですが、法面緑化では食害だけが問題になるわけではありません。動物が法面を繰り返し歩くことで植生が踏み倒されたり、地表面が削られたり、吹付けた基材が動いたりすることがあります。動物によっては地表を掘り返すため、施工後の表面が局所的に乱れる場合もあります。

施工直後の法面は、見た目が均一に仕上がっていても、植物の根が十分に発達しているとは限りません。この時期に繰り返し踏み付けを受けると、植生の成立が遅れるだけでなく、足跡や掘り返しによる凹凸が雨水の流路になる可能性があります。小さな踏み荒らしが、その後の降雨で洗掘へ発展することも考えられるため、初期段階の管理が重要です。

また、獣害は法面全体へ均一に発生するとは限りません。法肩だけ、法尻だけ、小段だけというように、特定の場所へ集中することがあります。これは、周辺の地形や植生、隠れ場所、水場などとの位置関係によって、動物が移動しやすい経路があるためです。

法肩の背後が林地であれば、背後地から法肩へ入り、そのまま法面を下る動線が形成されることがあります。小段が連続する長大法面では、小段が横方向の移動路として使われる場合があります。法尻付近に藪や水路があれば、そこから侵入する可能性もあります。

そのため法面緑化の獣害対策は、単に植物が食べられているかを確認するだけでは不十分です。動物がどこから侵入し、どこを歩き、どの部分で植生や基材を傷めているのかを把握する必要があります。

さらに、獣害対策は一度実施すれば終わるものではありません。防護施設を設置しても、その後に破損や隙間が生じれば侵入される可能性があります。植物の生育によって周辺環境が変わり、以前とは異なる経路が使われることもあります。

重要なのは、施工前の現地確認、施工直後の保護、植生成立までの点検、被害発生時の補修、その後の再発確認までを一つの管理として考えることです。獣害を施工後の偶発的な問題として扱うのではなく、法面緑化の維持管理項目の一つとして位置付けることで、踏み荒らしや食害による裸地化を抑えやすくなります。

管理法1 足跡や食痕から被害の種類と侵入経路を把握する

法面緑化の獣害対策で最初に行いたいのは、現場に残された痕跡を確認することです。裸地や植生不良を見つけても、原因がすべて獣害とは限りません。施工ムラ、乾燥、雨水による流亡、土壌条件などによって似た状態になることがあるため、現場に残る足跡や食痕などを手掛かりに原因を整理します。

まず確認したいのが足跡です。法面の表面、小段、法肩、法尻などに連続する足跡があれば、動物がそこを移動経路として利用している可能性があります。一つだけの足跡では偶発的な侵入かもしれませんが、同じ方向へ連続している場合や、古い足跡と新しい足跡が重なっている場合には、繰り返し通行していることが考えられます。

足跡を見るときには、その場所だけで終わらせず、前後へ追って確認します。法肩の背後へ続いているのか、法尻の藪へつながっているのか、小段を横方向へ移動しているのかを見ることで、侵入経路を把握しやすくなります。

次に植物の状態を確認します。葉や茎の一部が失われている場合には食害を疑いますが、植物全体が倒れている場合には踏み付けの可能性があります。地際から抜けたように見える場所では、掘り返しや地表の乱れも確認します。

特定の高さだけ植生が欠けている場合も重要な手掛かりです。ただし、食害の状態だけから獣種を断定するのは避けたほうが安全です。同じ地域でも季節や餌環境によって行動が変わる可能性があるため、足跡、食痕、糞、掘り返し、移動方向など複数の情報を組み合わせて判断します。

施工前から獣害が想定される現場では、法面だけでなく周囲を歩いて確認しておくことが有効です。林縁部に細い踏み跡がある、藪の一部だけが開いている、水場へ向かう経路があるといった状況は、施工後の侵入を予測する材料になります。

既設法面が近くにある場合は、そちらも確認します。既設法面の法肩、小段、法尻に同じような踏み跡があれば、新しい法面でも同様の経路が形成される可能性があります。既設法面の植生が帯状に薄くなっている場合には、単なる生育差ではなく継続的な踏み荒らしも疑って確認するとよいでしょう。

また、動物の侵入場所と被害場所が同じとは限りません。法肩から侵入した後、小段を移動し、別の場所で採食していることもあります。そのため「食害が発生した位置だけを囲う」という対策では、別の場所へ被害が移る可能性があります。

獣害対策を検討するときは、被害点ではなく動線として見ることが重要です。どこから入り、どこを通り、どこへ抜けているのかを把握できれば、防護施設の重点箇所や点検箇所を決めやすくなります。

特に長大法面では、法面全体を同じ密度で毎回確認するのは負担になります。過去に足跡が確認された法肩、小段の端部、林地との接続部などを重点点検箇所として整理することで、限られた時間でも変化を把握しやすくなります。

管理法2 施工直後から植生定着までを重点的に保護する

法面緑化で獣害の影響を抑えるためには、施工直後から植生が定着するまでの期間を重点的に管理する必要があります。

緑化施工が完了した直後は、表面がきれいに仕上がっていても、植物による被覆や根系の発達はこれからです。吹付基材や表土が動物の踏み付けによって乱れると、その部分だけ厚さや密度が変化し、発芽や生育に差が生じることがあります。

特に急勾配の法面では、踏み付けによる小さなくぼみや崩れでも注意が必要です。くぼみに雨水が入り、下方へ流れる経路が形成されると、獣害をきっかけとして洗掘が進行することがあります。

発芽後も安心はできません。幼い植物は十分に根を張っていないため、踏まれると倒伏したり、地際から傷んだりする場合があります。また、柔らかい新芽が食害を受ければ、植被の形成が遅れる可能性があります。

法面の緑化状況を遠くから確認しただけでは、こうした初期被害を見逃すことがあります。法面全体が緑色に見えても、一部を近くで見ると細い踏み跡が形成されていることがあるためです。

施工後の点検では、植被率のような全体的な状態だけでなく、裸地の形にも注目します。丸く点在する裸地、縦方向に細長く伸びる裸地、小段に沿って横方向へ続く裸地では、想定される原因が異なります。

例えば、法肩から法尻へ細く連続する踏み跡がある場合、動物の移動路になっている可能性があります。一方、凹部に沿って裸地が伸びている場合は、水の流れも確認する必要があります。

重点管理の期間は、一律の日数だけで決めないほうが実態に合います。植物の発芽や生育速度は、施工時期、気温、日照、水分条件、法面の向きなどによって変化するためです。

同じ現場でも、日当たりの良い場所と日陰になる場所で生育速度が異なる場合があります。乾きやすい法肩と水分が残りやすい法尻でも条件が違います。そのため「施工から一定期間が過ぎたから管理終了」とするのではなく、実際の植生状態を確認しながら重点管理期間を判断します。

施工直後に侵入防止対策を行っている場合も、設備が機能しているか確認します。工事中の出入りのために一時的に開放した場所が閉じられているか、地面との間に隙間がないか、施工車両の接触で変形していないかといった点を見ます。

また、発芽後に被害が確認された場合は、食害と発芽不良を混同しないことが大切です。発芽していないのか、いったん発芽した後で食べられたのかでは、その後の対応が変わります。

施工後写真と現在の状況を比較すれば、当初から植生が薄かった場所なのか、途中から減少した場所なのかを判断しやすくなります。

法面緑化の初期段階では、少しの踏み荒らしでもその後の生育差につながることがあります。だからこそ、植生が十分に定着するまでを獣害対策上の重要期間として扱い、被害を早期に把握することが必要です。

管理法3 侵入防止施設と周辺環境を一体で管理する

獣害が継続している法面では、侵入防止柵やネットなどの物理的な対策を検討することがあります。しかし、設備は設置するだけでは十分ではありません。法面の地形や周囲の環境に合わせて維持管理しなければ、わずかな隙間や破損箇所から侵入される可能性があります。

まず確認したいのが地表との隙間です。法面周辺は凹凸が多く、平坦地のように一定の高さで地面が続くとは限りません。設置直後には問題がなくても、降雨によって表土が流れたり、地面が沈下したりすると、下端に隙間が生じることがあります。

水路や排水施設との取り合いも弱点になりやすい場所です。排水機能を妨げないことを優先しながら、動物が通過できる開口が形成されていないかを確認する必要があります。

防護施設の端部も重要です。正面部分をしっかり防護していても、端から回り込める状態なら侵入を十分に抑えられません。法肩側、法尻側、既設構造物との接続部などを含め、端部がどこへつながっているかを確認します。

施工現場では、人や車両の出入口もあります。管理用の開口部が閉じられていなかったり、作業のたびに開閉して隙間が拡大したりすると、そこが侵入経路になる場合があります。防護対策と施工動線を両立できる運用を事前に決めておくことが重要です。

周囲の草木も管理対象です。防護施設の近くまで草木が密生すると、破損や隙間を点検しにくくなります。また、林縁から法面まで連続した藪が形成されると、動物の移動状況そのものを確認しにくくなります。

倒木や落枝による損傷にも注意します。山間部では、強風や降雪などをきっかけとして枝が防護施設へ落下することがあります。支柱が傾いたり、ネットが押し下げられたりすれば、その部分が新しい侵入口になる可能性があります。

豪雨後や強風後など、周辺状況が大きく変化した後には、法面本体と合わせて防護施設も確認すると効率的です。

ただし、侵入防止施設だけに依存する考え方は避けたほうがよいでしょう。法面の周辺に動物を引き寄せる要因がある場合、設備の周囲を繰り返し歩き、弱点を通って侵入する可能性があります。

法面周辺に餌となり得るものが放置されていないか、隠れ場所になりやすい場所がないか、施工に伴って新しい移動経路が形成されていないかも確認します。

被害が続く場合には、設備を単純に追加する前に、既存設備のどこが突破されているのかを調べることが大切です。同じ場所の下端に新しい足跡が集中していれば隙間を確認し、端部の外側に足跡があれば回り込みを疑います。

このように、法面緑化の侵入防止対策では、設備本体、地面との取り合い、周辺植生、排水施設、管理用開口部を一体として点検します。設備を設置したという事実ではなく、現在も侵入防止機能が維持されているかを確認し続けることが重要です。

管理法4 食害リスクを考慮して植生計画と施工条件を確認する

食害が多い地域の法面緑化では、植生計画を検討するときから獣害リスクを意識することが大切です。ただし、獣害対策だけを理由に植物を選定するのではなく、法面の安定、周辺環境、施工目的、気候、土壌などを含めて総合的に判断する必要があります。

野生動物による植物の利用状況は、地域や季節によって変化する可能性があります。そのため「この種類なら食べられない」と一律に決めつけるのではなく、施工地周辺の実際の植生や被害状況を確認することが現実的です。

周囲に既設法面があれば、有力な参考材料になります。どのような植物が成立しているかだけでなく、どの場所で食害が目立つかも確認します。

例えば、法面全体には植生があるものの、新芽のある部分だけ繰り返し傷んでいる場合や、一部の植物だけ極端に少なくなっている場合には、食害との関係を調べる価値があります。

一方、植物が少ないからといって食害とは限りません。日照不足、水分不足、基材厚さの差、土壌条件、施工ムラなどでも植生状態は変わります。獣害の痕跡と施工条件を合わせて確認しなければ、原因を取り違える可能性があります。

食害による影響を判断するときには、法面緑化で求めている最終的な植生目標も意識します。短期的な表面被覆を主目的とする場合と、長期的に周辺植生へなじませることを目指す場合では、見るべき状態が異なります。

木本類などの成立を期待する計画では、幼い段階で繰り返し食害を受けると、その後の植生構成へ影響する可能性があります。このような現場では、法面全体の防護だけでなく、重要な植物を重点的に保護する方法も現場条件に応じて検討します。

施工時期との関係も確認します。植物が生育しやすい時期だけでなく、野生動物の行動や周辺の餌環境によっても食害の発生状況が変わる可能性があります。施工時期を自由に変更できるとは限りませんが、被害が発生しやすい時期が過去の点検から分かっていれば、巡回頻度を高めるなど管理面で対応できます。

法面上に植生の薄い部分ができたときには、その場所だけを補播して終わりにしないことも大切です。食害が継続している状態で新しい植物を追加すれば、再び同じ被害を受ける可能性があります。

まず被害が続いているかを確認し、必要に応じて侵入防止対策を見直したうえで補修を行います。補修後も同じ位置を追跡し、回復しているかを確認します。

法面緑化では植物そのものだけでなく、植物が生育する基盤も重要です。獣害で表面が掘り返され、基材が薄くなっていれば、単に種子を追加するだけでは十分な回復が得られない場合があります。

基材の残存状況、地表の凹凸、周囲の安定性などを確認し、必要な範囲を適切に補修します。

獣害リスクの高い現場では、植生計画、施工、侵入防止、施工後点検を別々に考えるのではなく、「植生をどう成立させ、その成立途中をどう守るか」という一連の計画として扱うことが重要です。

管理法5 踏み荒らしと裸地化を早期に発見して補修する

獣害による法面の異常は、小さい段階では目立たないことがあります。しかし、小規模な踏み荒らしを放置すると、動物の反復通行や雨水によって被害範囲が拡大する可能性があります。

そのため、法面緑化では異常を大きくなってから直すのではなく、小さいうちに原因と範囲を確認する管理が重要です。

特に注意したいのが細長い裸地です。法肩から法尻へ向かって線状に植生が薄くなっている場合、動物が同じ経路を繰り返し通っている可能性があります。

小段でも同様で、横方向へ一定幅の踏み跡が続いていれば、移動路として利用されていることを疑います。

踏み跡には地表のくぼみが形成されることがあります。このくぼみへ雨水が集まると、水みちへ変化し、その後の降雨で洗掘が進む場合があります。

獣害として始まった小さな表面損傷が、雨水による侵食を受けて拡大すると、原因の判別が難しくなります。補修時には踏み跡だけを見るのではなく、その周囲に水の流れた跡がないかも確認します。

法肩付近の踏み荒らしは特に注意が必要です。法肩は背後地から流入する水の影響も受けやすく、地表の乱れと表面水が重なると損傷が拡大する可能性があります。

法尻では、法面上部から流れてきた土砂や基材が堆積していることがあります。そこへ足跡が重なっていれば、法面上部からの流亡と動物の移動を分けて確認します。

裸地を見つけたら、すぐに表面だけを覆うのではなく、まず原因を調べます。同じ場所へ継続して侵入しているのであれば、補修を先に行っても再び踏まれる可能性があります。

防護施設に異常がある場合には侵入口を是正し、その後で法面の補修を行うほうが再発を抑えやすくなります。

補修範囲を決めるときには、損傷部の外側も確認します。表面上は健全に見えても、周囲の基材が浮いたり緩んだりしていることがあります。一方で、必要以上に広い範囲を削ったり触ったりすると、健全な植生まで傷める可能性があります。

そのため、損傷の深さ、周囲との連続性、基材の状態、排水状況を見ながら補修範囲を判断します。

食害の場合にも同じ考え方が必要です。植物が少ない部分を見つけても、すぐに全面的な補修が必要とは限りません。周辺の植物が十分に生育しており、自然に被覆が進む可能性がある場合には、経過観察が適していることもあります。

反対に、同じ場所で新しい食害が続き、裸地が広がっているのであれば、侵入防止と植生回復を組み合わせて対応する必要があります。

小規模な異常を早く発見するためには、点検時に前回との違いを見ることが大切です。「今、裸地があるか」だけではなく、「前回より広がったか」「新しい足跡が増えたか」「補修部分が再び傷んだか」を確認します。

この比較ができれば、現場全体で最も優先して対応すべき場所を決めやすくなります。

獣害対策では、被害面積だけで補修の優先順位を決めないことも重要です。面積は小さくても、法肩から縦方向へ水みちにつながりそうな場所や、同じ侵入経路で繰り返し損傷している場所は、早めの対応が必要になる場合があります。

法面緑化の維持管理では、小さな裸地を単なる見た目の問題として扱わず、植生衰退や表面侵食の初期兆候として確認する姿勢が重要です。

管理法6 写真と位置情報で被害箇所と再発状況を記録する

法面緑化の獣害対策を継続するうえで欠かせないのが記録です。野生動物の侵入は、点検時に必ず確認できるとは限りません。現場に残された足跡、食痕、掘り返しなどを記録し、時間をおいて比較することで初めて分かることがあります。

基本となるのは写真です。ただし、被害部分だけを大きく撮影すると、後から場所が分からなくなることがあります。

法面全体が分かる写真、被害箇所と周辺の位置関係が分かる写真、足跡や食痕などの詳細が分かる写真というように、複数の距離から残しておくと比較しやすくなります。

同じ場所を継続して確認する場合は、できるだけ同じ方向から撮影します。前回写真と今回写真を比較しやすくなり、裸地の拡大、植生の回復、防護施設の変形などを把握できます。

法面が長い場合には、写真だけでは位置を特定しにくくなります。小段番号、測点、法面区画、近接する構造物など、現場で共通して使用している位置基準と組み合わせて整理すると管理しやすくなります。

位置情報を利用できる場合には、被害箇所の位置も記録します。ただし、樹木の近く、谷部、構造物の周辺などでは測位条件が変化することも考えられるため、位置情報だけへ依存するのではなく、周囲の状況が分かる写真や位置名称と組み合わせます。

記録する内容は、被害そのものだけではありません。侵入経路と考えられる足跡、防護施設の破損、地面との隙間、倒木、周囲の草木、補修位置なども関連付けて残します。

例えば、法肩の同じ位置で何度も新しい足跡が見つかり、その直下で裸地が拡大している場合には、法肩側から継続的に侵入している可能性を考えやすくなります。

反対に、防護施設の補修後に新しい足跡が見られなくなり、法面の植生が回復していれば、対策の効果を判断する材料になります。

点検記録には日付も重要です。施工直後、発芽期、降雨後、補修後など、いつの状態なのかを明確にしておけば、被害が発生した時期を絞り込みやすくなります。

例えば、施工直後には異常がなく、まとまった降雨後の確認で初めて裸地が見つかった場合には、雨水による影響も含めて検討します。一方、降雨前から連続した足跡が記録されていれば、踏み荒らしが先行していた可能性を考えられます。

補修履歴も同様に残します。いつ、どこを、どのような状態だったために補修したかを整理しておけば、再発したときに前回対応との関係を確認できます。

同じ場所を繰り返し補修しているのであれば、表面補修だけでは原因が解決していない可能性があります。侵入経路や排水条件などを改めて確認する必要があります。

記録は担当者間の引き継ぎにも役立ちます。「以前この辺りで獣害があった」という口頭説明だけでは、正確な位置や規模が伝わらない場合があります。

写真と位置を関連付け、被害内容や対応履歴を残しておけば、担当者が変わっても同じ場所を継続して確認できます。

法面緑化の獣害対策では、一回の点検結果よりも変化を追跡できることが重要です。写真、位置、日付、補修履歴を組み合わせることで、被害の拡大と回復を判断しやすくなり、対策の優先順位も決めやすくなります。

獣害と雨水による侵食を見分けながら管理する

法面緑化の現場では、獣害と雨水による侵食が同時に発生することがあります。そのため、裸地や基材流出を見つけたときに、どちらか一方だけが原因だと決めつけないことが重要です。

獣害では、足跡や踏み跡など局所的な地表の乱れが残りやすいという特徴があります。動物の移動経路に沿って連続する場合には、帯状の損傷になることがあります。

一方、雨水による侵食では、地形の低い方向へ連続した洗掘跡が形成されることがあります。ただし、動物の踏み跡が水みちの起点になると、両者の特徴が重なるため判断が難しくなります。

そこで点検時には、損傷部分だけでなく上流側と下流側を確認します。損傷箇所より上に水が集まりやすい地形があるか、法肩から表面水が流れ込んでいないか、排水施設からあふれた痕跡がないかを確認します。

同時に、損傷の周囲に足跡や食痕がないかも確認します。

例えば、足跡のくぼみから下方へ細い侵食溝が伸びている場合には、踏み荒らしによって形成された凹部が降雨時の流路になった可能性があります。この場合、侵食溝を埋めるだけでは再発防止にならず、動物の侵入も抑える必要があります。

逆に、もともと雨水による溝が形成され、その溝を動物が歩いている場合も考えられます。このケースでは、動物を防いでも水みちが残れば洗掘が続く可能性があります。

獣害と排水不良をセットで点検する考え方は、法肩付近で特に重要です。法肩は背後地からの表面水が入りやすいだけでなく、林地側から動物が侵入しやすい位置でもあります。

施工直後に法肩の基材が踏み荒らされ、そこへ背後地の水が集中すれば、損傷が大きくなりやすいため早期確認が必要です。

法尻でも複合的な異常が起こることがあります。上部から流出した基材が堆積した場所に足跡が残っていれば、堆積物と獣害痕を分けて確認します。

雨天直後だけでなく、その後に表面が乾いた状態でも確認すると、水による流出跡と新しい足跡を区別しやすくなる場合があります。

点検記録を継続して残すことも原因判定に役立ちます。降雨前の写真で既に踏み跡が確認されていれば、その後の洗掘との関係を検討できます。

反対に、降雨前には異常がなく、降雨後に水みちが形成され、その後から足跡が増えたのであれば、雨水による地形変化が動物の移動に影響した可能性も考えられます。

このように、法面緑化の獣害管理では「踏まれたから補修する」という単純な対応ではなく、表面水、地形、施工状態との関係まで確認することが重要です。複数の原因を整理することで、補修後の再発を抑えやすくなります。

法面緑化の獣害対策を継続するための現場運用

獣害対策は、特殊な点検を一度実施するよりも、通常の法面点検へ組み込んで継続するほうが管理しやすくなります。

点検のたびに法面全体を細部まで確認するのは現実的でない場合があります。そのため、過去の記録から被害が発生しやすい場所を絞り込み、重点的に確認する方法が有効です。

例えば、法肩の林地接続部、小段の端、法尻の藪に近い場所、防護施設の端部、過去に裸地化した場所などを重点確認地点として整理します。

毎回同じ地点を確認すれば、足跡の増減や植生の回復を比較できます。そこに新しい被害地点が加わった場合には、点検対象を追加して管理範囲を更新します。

施工班から維持管理担当者への引き継ぎも重要です。施工中に既に足跡が確認されていた場合、その情報を維持管理側が知らなければ、後から発生した植生不良の原因を判断しにくくなります。

施工中の獣害痕、防護施設を設置した場所、管理上注意したい法肩や小段などを、完成時に引き継いでおくことが重要です。

維持管理担当者は、施工時の情報と施工後の変化をつなげて確認します。最初から植生が薄かった場所なのか、施工後に踏み荒らされた場所なのかを区別できれば、補修方法を選びやすくなります。

また、補修担当者にも侵入経路の情報を共有します。裸地部分だけを指示して補修すると、被害原因を知らないまま作業が完了し、短期間で再発する可能性があります。

どこから侵入していたのか、防護施設をどのように直したのか、どの範囲を継続点検するのかまで共有することで、補修と再発防止を一体化できます。

法面が広範囲にわたる場合は、被害地点を地図的に整理すると管理しやすくなります。法面番号と写真だけでは、複数の担当者が同じ地点を確認する際に位置合わせが難しいことがあります。

位置情報を利用し、過去の写真や点検内容と対応させれば、再点検する場所を探す時間の削減にもつながります。

ただし、記録量を増やしすぎると現場で運用されなくなることがあります。すべての場所を詳細に記録するのではなく、異常箇所、重点管理地点、補修地点など、次回判断に必要な情報を中心に残すことが大切です。

獣害対策では、被害がないことも重要な情報です。過去に何度も侵入していた地点で新しい足跡が確認されなくなれば、防護対策が機能している可能性があります。

一方で、従来とは別の場所に新しい足跡が出た場合には、侵入経路が変化した可能性があります。対策によって被害地点が移動していないかを見るためにも、周辺の変化を確認します。

長期的には、植生そのものの変化も追跡します。施工直後には踏み荒らしが目立っていても、植生が十分に成立してから被害の影響が小さくなる場合があります。逆に、植生が成立した後も同じ踏み跡だけ裸地として残る場合には、その経路を継続管理する必要があります。

このように、法面緑化の獣害対策は、施工後に突然始める維持管理ではありません。施工前のリスク確認から、施工中の記録、施工直後の重点管理、植生成立後の継続点検までをつなげることで、現場の負担を抑えながら効果的な管理を行いやすくなります。

まとめ

法面緑化の獣害対策では、食害だけを見るのではなく、踏み荒らし、掘り返し、移動経路、侵入防止施設の状態まで含めて管理することが重要です。

第一の管理法は、足跡や食痕から被害の種類と侵入経路を把握することです。法肩、小段、法尻などに残された痕跡を追い、どこから入り、どこを移動しているのかを確認します。被害箇所だけでなく動線を把握することで、重点対策箇所を決めやすくなります。

第二の管理法は、施工直後から植生定着までを重点的に保護することです。施工直後は植物の根が十分に発達しておらず、踏み荒らしによる小さな地表の乱れでも、その後の生育や表面侵食へ影響する可能性があります。一定の日数だけで管理期間を区切らず、実際の植生状態を確認することが大切です。

第三の管理法は、侵入防止施設と周辺環境を一体で管理することです。防護施設は設置しただけでは十分ではありません。地面との隙間、端部、排水施設との取り合い、倒木による破損、草木による視認性低下などを継続して確認し、侵入を防げる状態を維持します。

第四の管理法は、食害リスクを考慮しながら植生計画と施工条件を確認することです。特定の植物なら必ず食害を防げると考えるのではなく、周辺の被害状況、法面条件、緑化目的を踏まえて検討します。発芽不良や施工ムラを食害と取り違えないことも重要です。

第五の管理法は、踏み荒らしや裸地化を早期に発見し、小規模な段階で原因を確認して補修することです。踏み跡による凹部が雨水の流路になれば、獣害から洗掘へ問題が広がる可能性があります。補修前には侵入原因が残っていないかを確認し、再発防止と表面補修を組み合わせます。

第六の管理法は、写真と位置情報で被害箇所や再発状況を継続的に記録することです。同じ地点の写真を時系列で比較すれば、裸地が拡大しているのか、植生が回復しているのか、防護対策が機能しているのかを判断しやすくなります。

法面緑化の現場では、獣害だけで植生不良が発生するとは限りません。雨水、乾燥、施工状態、排水、土壌条件などが複合していることがあります。足跡を見つけたから獣害、侵食溝を見つけたから雨水というように一つの原因へ決めつけず、周囲の状態と過去の記録を比較しながら判断することが重要です。

特に、施工直後の踏み荒らしは後から原因を確認しにくくなります。植物が成長した後では、当初どこに足跡があり、どこから裸地化が始まったのか分からなくなることがあります。施工完了時から現場写真を残し、異常が発生した位置を継続して管理すると、原因究明と補修判断の精度を高めやすくなります。

長大法面や複数の法面を管理する現場では、写真だけで位置を共有することが難しくなるため、位置情報を組み合わせた管理も有効です。獣害箇所、防護施設の破損位置、補修地点などを現地で記録し、次回点検で同じ場所へ戻れるようにしておけば、担当者が変わった場合にも管理を継続しやすくなります。

LRTK Phoneを活用すれば、法面上で確認した位置情報と現場写真などを関連付けながら記録する運用にもつなげられます。踏み荒らしや食害が発生した地点、侵入防止施設を補修した地点、再点検が必要な場所を位置とともに整理することで、施工班と維持管理担当者の情報共有にも活用できます。

法面緑化の獣害対策で大切なのは、一度の対策で完全に終わらせようとすることではありません。侵入経路を把握し、植生が弱い時期を守り、防護施設を維持し、小さな異常を早く見つけ、位置と履歴を残して次の点検へつなげることです。こうした継続的な管理を積み重ねることで、踏み荒らしと食害による裸地化を抑え、法面緑化の目的である植生の安定した成立と法面表面の保護につなげやすくなります。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

LRTK Phoneの使い方・実例を見る
資料請求導入相談
現場をスマホで3DスキャンLRTK Phone実例を見る