LRTKレフィクシア株式会社

法面緑化の仮排水計画で施工中の雨水集中と基材流出を防ぐ6確認

法面緑化で仮排水計画が重要になる理由

法面緑化では、吹付けや播種、植生基材の施工方法だけでなく、施工中の雨水をどのように処理するかが仕上がりに影響します。施工直後の植生基材は、工法や基材の配合、接着材、補助ネットなどの仕様によって保持性が異なるものの、植生による表面保護効果がまだ十分に発揮されていません。その状態で法肩や周辺地盤から雨水が集中すると、表面に筋状の流れが生じ、基材の流出、薄層化、種子の移動、部分的な裸地化につながることがあります。

特に注意したいのは、法面緑化の施工範囲内に降った雨だけではありません。道路、造成地、作業ヤード、上部斜面、既設構造物などから集まった雨水が、一点に集中して法面へ流れ込む場合があります。見た目には小さな流入口でも、上流側の集水範囲が広ければ、降雨時には流量が増える可能性があります。

完成後には法肩排水溝、小段排水溝、縦排水溝、法尻排水施設などが機能する計画であっても、施工途中ではそれらが未完成であったり、下流側まで接続されていなかったりします。そのため、完成形の排水計画が適切であるだけでは十分ではありません。掘削、法面整形、排水施設施工、緑化基礎工、基材吹付け、養生といった各段階で、雨水がどこから入り、どこを通り、どこへ放流されるかを整理する必要があります。

仮排水は、単に仮設の水路を設置する作業ではありません。施工中の地形変化、作業動線、資材置場、施工機械の配置、未施工範囲、施工済み範囲を踏まえ、雨水を緑化面へ集中させないための施工管理です。仮排水が途中で途切れている、法肩付近で越流する、放流先が洗掘されやすいといった状態では、降雨後に補修が必要になることがあります。

また、雨水による影響は基材流出だけに限りません。流出した材料や土砂が側溝、排水管、集水ますを塞ぐと、別の場所で越流や滞水が起こる可能性があります。濁水が現場外へ流出すれば、道路や隣接地、下流の排水施設などへ影響を及ぼすおそれもあります。法面緑化の品質確保と現場全体の安全管理を両立するためには、施工開始前から仮排水計画を具体化し、施工の進行に合わせて更新することが重要です。

ただし、仮排水は恒久排水施設や法面安定対策の代わりになるものではありません。湧水の増加、亀裂、はらみ出し、局部崩落などが確認された場合は、表面水だけの問題と判断せず、作業を安全な状態に移行したうえで、設計者や現場責任者などの関係者と対応を検討する必要があります。

確認1 集水範囲と雨水の流入方向を把握する

仮排水計画の最初の確認は、雨水がどこから法面へ流入するかを把握することです。法面だけを見て排水経路を考えると、上部地形や隣接施設からの流入を見落としやすくなります。まずは法肩より上の地形を確認し、降った雨がどの方向へ流れるか、くぼ地や谷状地形に集まらないか、舗装面や締め固められた地盤から表面流出が生じないかを整理します。

集水範囲を確認する際は、平面図や横断図だけで判断せず、現地の微地形を見ることが大切です。図面上では平坦に見える場所でも、実際には轍、造成時の段差、資材置場周辺の沈下、仮設道路の横断勾配などによって水みちが形成されている場合があります。施工機械の通行後にできたわずかな凹部が、降雨時に雨水を集める経路になることもあります。

既設の排水施設についても、位置だけでなく現在の機能を確認します。既設側溝や集水ますが土砂で埋まっている場合、計画どおりに水が流れず、法面側へ越流する可能性があります。上流側の排水管が施工範囲付近で一時的に開放されている場合には、通常とは異なる場所に集中した流れが発生することがあります。周辺施設の排水が仮設状態になっている場合は、その影響も仮排水計画に含めます。

雨水の流入方向を把握したら、法面へ到達する前に受け止める位置を決めます。多くの現場では、法肩上部などで表面水を捕捉し、法面へ直接流下させずに安定した排水経路へ導く考え方が基本になります。ただし、仮排水路の途中に低い箇所や断面の狭い箇所があれば越流するため、排水路の連続性と高さ関係を確認しなければなりません。

複数方向から水が集まる現場では、一つの仮排水路に全量を集めることで、流量や流速が大きくなる場合があります。集水範囲を分割し、複数の管理可能な経路へ分散させる方が適切な場合もあります。どの方法を採用するかは、地形、集水面積、地表面の状態、想定する降雨条件、排水路の延長、放流先の受け入れ能力などを踏まえて判断します。

施工前の確認だけでなく、施工中に集水範囲が変化することにも注意が必要です。掘削土や資材を仮置きすると雨水の流れが変わり、これまで流入しなかった方向から水が来ることがあります。作業ヤードを締め固めると浸透しにくくなり、表面流出が増える場合もあります。現場の形状や利用方法が変わるたびに、雨水の流入方向を見直すことが仮排水の機能を維持する基本です。

確認2 法肩・小段・法尻の排水経路を連続させる

法面緑化の仮排水では、法肩、小段、法尻を別々に考えるのではなく、一つの連続した排水経路として確認する必要があります。法肩で受けた雨水を小段や縦方向の排水経路へ導いても、その先が未整備であれば、途中で水があふれて緑化面へ流れ出す可能性があります。

法肩では、上部からの雨水を法面へ流入させないことが重要です。仮排水路は、法肩部の安定を損なわず、表面水を捕捉できる位置に設けます。法肩に近い位置を不用意に深く掘ると、地盤条件によっては法肩の緩みや水路の変形を招くおそれがあります。一方で、法肩から離しすぎると、その間に降った雨水や通過した雨水が法面側へ流れる場合があります。現地の土質、地形、施工方法を踏まえて位置と構造を検討します。

小段がある法面では、小段面に降った雨や上段から流れてきた水を処理する必要があります。小段の勾配や不陸によって法面側へ水が集まると、小段先端から下段の緑化面へ集中して流れ込むことがあります。小段排水が未完成の場合には、仮の水路や導水材を設け、安定した縦排水経路へ接続します。

縦方向へ水を落とす箇所は、流速が大きくなりやすく、洗掘に注意が必要です。保護されていない土の上へ集中して水を流すと、水路底や周辺地盤が削られる可能性があります。仮設の縦排水路には、想定流量に応じた断面を確保し、継ぎ目や方向転換部から漏水しないように施工します。急な勾配では、段差や粗度、受け部などを利用した減勢方法も検討します。

法尻では、上部から導いた水を既設排水施設や計画した放流先へ接続します。法尻まで水路が到達していても、接続部に段差や隙間があると、水が周囲へ回り込み、法尻地盤を洗掘することがあります。法尻の洗掘は緑化面下部の欠損を広げるだけでなく、条件によっては周辺地盤の安定にも影響するため、接続部と放流部の固定、保護、減勢を確認します。

排水経路の連続性は、平面上のつながりだけでなく、高さ方向のつながりでも確認します。途中に逆勾配があると滞水し、降雨が続いた際に越流する可能性があります。土砂や落ち葉がたまりやすい低部も閉塞の原因になります。水が流れ始める場所から放流される場所まで経路を確認し、途切れ、低部、急変部、接続不良がないかを見ます。

法面緑化の施工後に仮排水を撤去する場合も、撤去した部分が新たな水みちにならないよう注意します。仮排水路を埋め戻した跡が沈下すると、そこに雨水が集まる場合があります。撤去後の整形、必要な締め固め、表面保護、恒久排水への切替確認までを計画に含めることで、施工完了後の雨水集中を抑えやすくなります。

確認3 仮排水路の断面・勾配・保護方法を確認する

仮排水路は、設置されているだけでは十分ではありません。想定される水量を流せる断面があり、水が著しく停滞せず、流速が過大になりにくい勾配で、使用期間中に形状を維持できることが求められます。仮設だから簡易な構造でよいと一律に判断すると、降雨時に変形や越流が起こり、緑化基材へ影響が及ぶことがあります。

排水路の断面を考える際は、集水面積、地表面の種類、地形、排水経路、放流先の能力、施工期間中に想定する降雨条件などを確認します。現場ごとに条件が異なるため、仮排水路の寸法を一律に決めることは適切ではありません。設計図書、施工計画、現場条件を照合し、必要に応じて流出量や通水能力を検討します。

土を掘っただけの仮排水路は、短期間であっても流水によって底面や側面が削られる可能性があります。特に砂質土、盛土地盤、風化した地盤などでは、水路が拡大しやすく、流出した土砂が下流側を閉塞させる場合があります。必要に応じて、水路底や側面をシート、仮設水路材、土のう、砕石などで保護し、水が地盤へ直接作用しにくい構造とします。

水路にシートを使用する場合は、敷くだけでなく、端部の固定と重ね方向を確認します。上流側から流れてきた水が継ぎ目へ入りにくい重ね方とし、風や流水でめくれないよう固定します。シートの下へ水が回ると、外見上は異常が分かりにくいまま地盤が洗掘され、沈下や破損につながることがあります。

勾配が緩すぎる場所では、水が滞留し、土砂が堆積しやすくなります。反対に勾配が急な場所では流速が上がり、曲がり部や放流部で水が飛び出す場合があります。そのため、水路全体の平均的な勾配だけでなく、局部的な急勾配、段差、方向転換部、断面変化部を確認します。水の向きを急に変える箇所では外側へ越流しやすいため、曲がり部の補強や断面の余裕も検討します。

仮排水路を施工機械や作業員が横断する場所では、踏みつぶしや埋没にも注意します。頻繁に横断する箇所では、仮設管を通す、横断部を補強するなど、水路を維持したまま通行できる方法を検討します。横断するたびに水路を埋め戻し、降雨前に掘り直す運用では、復旧忘れや断面不足が起こりやすくなります。

排水路周辺に掘削土や使用材料を置く場合も、崩落や流入によって水路を塞がないよう配置します。袋詰め材料や養生材が風雨で移動し、排水口を塞ぐこともあります。仮排水路の周囲を安易に資材置場とせず、やむを得ず近接して置く場合は固定方法と点検方法を決めておく必要があります。

施工後には、周辺の安全と放流先への影響を確認したうえで、少量の水を流して通水状況を確認する方法もあります。途中で滞水しないか、継ぎ目から漏れないか、法面側へ越流しないか、放流先まで到達するかを見ます。ただし、試験によって未保護地盤を洗掘したり、現場外へ濁水を流出させたりしないよう、水量と実施方法を調整します。

確認4 放流先と濁水・土砂の処理方法を決める

仮排水計画では、雨水を集めることだけでなく、最終的にどこへ放流するかを明確にする必要があります。排水路を法尻まで設けても、放流先の能力が不足していれば、下流側で越流や逆流が発生します。法面から雨水を遠ざけるだけでなく、別の場所へ影響を移さないことが重要です。

放流先として既設側溝や集水ますを利用する場合は、その施設が施工中に加わる排水を受け入れられるかを確認します。土砂が堆積して断面が小さくなっていないか、下流側が閉塞していないか、他の施工区域からの排水が集中していないかを見ます。既設施設であっても、仮排水を追加することで負担が増える場合があります。

地表面へ放流する場合は、地盤が安定しているか、流水によって洗掘されないかを確認します。法尻付近の軟らかい地盤や保護されていない盛土面へ直接放流すると、くぼみができ、そのくぼみへさらに水が集中することがあります。放流部には必要に応じて砕石、土のう、保護材などを配置し、水の勢いを弱めながら受け部へ導きます。

法面緑化の施工中に発生する排水には、土砂の細粒分、植生基材、種子などの施工材料が混ざる可能性があります。降雨後の排水が濁っている場合、そのまま既設排水施設や現場外へ流してよいとは限りません。設計図書、発注者の基準、現場の環境管理計画、放流先の条件などを確認し、必要に応じて沈砂、ろ過、一時貯留、濁水処理などを検討します。

沈砂設備を設ける場合は、水をためる容量だけでなく、堆積した土砂を回収できる構造と維持管理方法を考えます。土砂がたまったままでは有効容量が減少し、次の降雨で水があふれやすくなります。降雨後に堆積状況を確認し、必要な時期に除去できる作業場所と搬出方法を確保します。

濁水を一時的にためる場所では、周囲への漏水や決壊にも注意が必要です。単に地形上の低い場所を利用すると、想定以上の流入で水位が上がり、法面側や現場外へ越流する可能性があります。一時貯留を行う場合は、流入量、貯留容量、排出方法、余裕高さ、異常時の越流方向を確認します。

放流先が道路や隣接地に近い場合には、泥水の流出による汚損や路面の滑りやすさにも配慮します。夜間や休日の降雨で異常が発生する可能性も踏まえ、影響を受ける範囲と連絡方法を事前に整理しておくことが大切です。現場境界付近の排水は、施工区域内だけで判断せず、下流施設や周辺利用との関係を含めて計画します。

また、一つの放流先へ排水を集中させすぎないことも検討事項です。受け入れ能力が限られる場合には、集水範囲を分け、複数の適切な経路へ分散する方法があります。ただし、経路を増やすと点検箇所や閉塞リスクも増えるため、放流先の能力と維持管理のしやすさを合わせて判断します。

確認5 施工段階に合わせて仮排水を切り替える

法面緑化工事では、施工の進行とともに地形や排水施設の状態が変わります。そのため、最初に設置した仮排水を工事完了までそのまま使い続けるのではなく、各施工段階に合わせて切り替える必要があります。仮排水計画は固定された図面ではなく、施工手順と連動する管理計画として扱うことが重要です。

法面整形前は、掘削前の地形に沿って雨水が流れています。掘削が進むと法肩の位置が変わり、新しい集水面や流入口が生じます。法面整形が完了しても、恒久排水施設が未完成であれば、露出した法面へ雨水が流入しやすい状態が続きます。この段階では、上部からの表面水を捕捉し、未保護の法面へ集中させない経路を確保します。

小段排水や縦排水施設を施工する段階では、完成した部分と未完成の部分が混在します。完成した水路へ仮排水を接続する場合は、接続先が放流先まで開通しているかを確認します。一部だけ完成した水路へ水を流すと、終端部から水が集中して流れ出し、未施工部分や法面を洗掘することがあります。

緑化基材の吹付け前には、排水路が施工機械のホースや足場、作業動線と干渉しないかを確認します。作業のために仮排水路を一時撤去する場合は、撤去する時間帯、代替経路、復旧担当者、復旧の確認方法を決めておきます。作業終了後に誰かが直すという曖昧な運用では、必要な時点までに復旧されない可能性があります。

吹付け施工中は、未施工面と施工直後の面を区分して管理します。施工直後の面は集中流水の影響を受けやすいため、その上部にある仮排水の状態を重点的に確認します。上流側で水路が詰まると、直近の施工面へ越流することがあるため、施工範囲を広げる前に排水経路を見直します。

一日の施工終了時には、翌日の作業性だけでなく、夜間降雨への備えも確認します。施工機械の移動によって水路がつぶれていないか、資材が排水口を塞いでいないか、シートや養生材が風で移動しないかを見ます。天気予報だけに依存せず、原則として排水機能を確保した状態で作業を終えることが重要です。

恒久排水施設が使用可能になった後は、仮排水から本設排水へ段階的に切り替えます。切替時には、本設排水内の土砂、接続部、流下方向、終端部、放流先を確認します。仮排水を撤去してから本設排水の不具合に気付くと代替経路がなくなるため、現場条件によっては本設排水の機能を確認するまで仮排水を残す方法もあります。

施工段階ごとの切替内容は、施工計画や作業打合せに反映します。現場責任者だけが把握している状態では、別の作業班が仮排水を撤去したり、資材を置いたりする可能性があります。現在使用している排水経路、変更予定、立入や仮置きの制限範囲を共有し、現場全体で機能を維持する必要があります。

確認6 降雨前後の点検と復旧体制を整える

仮排水は、設置後の点検によって機能を維持します。施工時に適切な形状であっても、土砂の流入、作業車両の通行、材料の移動、風によるシートのめくれなどで状態が変わります。特に降雨前後の点検は、法面緑化の基材流出を抑えるうえで重要です。

降雨前には、法肩、小段、縦排水、法尻、放流先を一連の経路として確認します。水路内の土砂や落ち葉、資材片を除去し、継ぎ目の外れ、シートのめくれ、土のうの移動、排水口の閉塞がないかを見ます。上流側だけを確認して終わらせず、放流先まで通水できる状態かを点検します。

現場で定めた注意基準や警戒基準に達する降雨が予想される場合には、通常時よりも余裕を持った対策を検討します。越流しやすい低部を補強し、必要な補修資材を準備します。資材や施工機械は水みちを塞がない場所へ移動し、緊急時の確認経路も確保します。ただし、降雨中や増水時に無理な作業を行うことは危険であるため、作業中止や退避の基準を事前に定める必要があります。

降雨中の確認では、作業員の安全を最優先します。ぬかるんだ法肩、急な斜面、増水した排水路へ近づくと、転倒、滑落、地盤の崩れなどに巻き込まれる危険があります。安全な場所から確認できる範囲と方法を決め、危険な状況では接近しないことが原則です。

降雨後は、雨がやんだ直後の表面だけでなく、排水が落ち着いた後の状態も確認します。水路底の洗掘、側面の崩れ、シート下の空洞、放流部のくぼみ、沈砂部の堆積などは、水位が下がってから見つかる場合があります。外見上は大きな異常がなくても、基材の厚さが部分的に減少していることがあるため、筋状の流れ跡、表面の凹凸、色や湿り方の違いも確認します。

基材流出を発見した場合は、流出部分だけを直すのではなく、原因となった雨水の入口と経路を確認します。流出跡を補修しても、上部の越流や水路の閉塞、接続部の漏水が残っていれば、次の降雨で再発する可能性があります。原因の除去、仮排水の復旧、緑化面の補修を一連の作業として検討することが重要です。

点検の担当者と判断手順も事前に決めます。誰が降雨前点検を行うか、異常を誰へ報告するか、補修の要否を誰が判断するか、必要な資材と人員を誰が手配するかを明確にします。休日や夜間を含めた連絡体制を整理しておけば、異常発生時の初動を早めやすくなります。

点検結果は、写真と記録に残します。正常な状態を記録しておくと、降雨後の変化を比較しやすくなります。撮影位置と方向をそろえ、法肩、水路、接続部、放流先などの重要箇所を継続的に記録することで、小さな変形や土砂堆積にも気付きやすくなります。

仮排水計画で起こりやすい失敗と改善方法

仮排水計画で起こりやすい失敗の一つは、法面上部に水路を設けただけで機能を確認していないことです。水路の途中に逆勾配や低部があると、降雨時に水がたまり、低い箇所から法面へ越流します。改善するには、設置後に水路底の高さ関係を確認し、必要に応じて勾配や断面を調整します。

次に注意したいのが、排水路の断面不足です。小雨では問題が見られなくても、流入量が増えると水路からあふれることがあります。水路断面は、施工直後の形状だけでなく、土砂堆積、側面崩れ、横断部の変形などによって狭くなる可能性も考慮します。排水能力に不安がある場合は、集水範囲の分割、経路の見直し、断面の確保などを検討します。

仮排水路を急勾配のまま法尻まで通し、放流部を保護していない状態にも注意が必要です。流速が大きいと法尻地盤が削られ、排水路の出口が不安定になります。出口の変形や洗掘が上流側の水路へ広がる場合もあるため、放流部には減勢と地盤保護を行い、周辺へ水が回り込まないようにします。

施工機械の通行によって排水路がつぶれる失敗も起こりやすい問題です。作業中は支障がないように見えても、水路が浅くなった部分へ土砂がたまり、降雨時に閉塞することがあります。通行箇所を限定し、横断部を管や保護材で維持することで、排水路の損傷と復旧漏れを抑えやすくなります。

仮排水の末端が未施工区域に向いている状態も避けなければなりません。将来は本設排水へ接続する予定であっても、接続前に雨が降れば、末端から水が集中して流れ出します。仮排水は、各施工段階の現況において、管理可能な放流先まで連続していることを確認します。

基材吹付け後に仮排水を早く撤去しすぎることも、流出の原因になります。発芽が確認できても、植生の成立状況や基材の安定状況によっては、集中した流水の影響を受ける可能性があります。仮排水を撤去する時期は、恒久排水の完成状況、緑化面の状態、工法、季節、今後の降雨条件などを踏まえて判断します。

反対に、仮排水を必要以上に長期間放置することにも問題があります。土の水路が侵食され、周囲に段差や空洞が生じることがあります。シートや土のうが劣化し、破損した材料が排水施設を塞ぐ可能性もあります。必要な期間は点検と補修を行い、役割を終えた後は適切に撤去して地盤を復旧します。

計画が現場へ共有されていないことも大きな失敗要因です。図面上では仮排水路が設定されていても、作業員が位置や目的を把握していなければ、資材置場や通路として使われることがあります。仮排水の重要箇所を現地で分かるようにし、朝礼や作業打合せで経路と変更点を共有することが有効です。

仮排水の施工記録を法面緑化の品質管理に生かす

仮排水の記録は、単なる仮設工の記録ではなく、法面緑化の施工品質を確認する資料になります。施工前、施工中、降雨前、降雨後、撤去前後の状態を残しておくことで、基材流出や裸地化が生じた場合に原因を整理しやすくなります。

施工前には、法肩上部の集水範囲、既設排水施設、地形上の低部、雨水の流入方向を記録します。施工後には、仮排水路の全景、起点、曲がり部、接続部、横断部、放流先を撮影します。部分的な近景だけでは位置関係が分かりにくいため、周辺地形を含む全景と細部の両方を残すことが大切です。

記録には、撮影日時、撮影位置、撮影方向、施工段階、点検結果を関連付けます。同じ場所を継続して撮影する場合は、撮影位置を決めておくと変化を比較しやすくなります。現場で把握した降雨状況と点検記録を組み合わせれば、どの程度の降雨でどの場所に変化が生じたかを振り返る材料になります。

異常が見つかった場合は、補修後の写真だけでなく、異常発生時の状態と推定した原因も記録します。法肩水路の閉塞による越流、接続部の外れ、放流部の洗掘など、原因を整理しておくと、同じ現場の別区画や今後の工事で再発防止に生かせます。ただし、原因が確認できない場合は断定せず、確認できた事実と推定内容を分けて記録します。

仮排水の変更履歴も重要です。施工の進行によって水路を移設した場合は、旧経路と新経路、切替日、切替理由を記録します。変更前の図面だけが残っていると、降雨後の状況を正しく説明できないことがあります。現場の最新状態と記録内容を一致させる管理が必要です。

記録は、現場責任者だけで保管するのではなく、施工班、品質管理担当者、排水施設を施工する作業班などが確認できる状態にします。降雨前の点検結果や緊急補修箇所を共有できれば、次の作業で同じ場所を傷めたり、排水経路を塞いだりすることを防ぎやすくなります。

法面緑化では、完成後の植生状況だけを見ても、施工中にどのような雨水作用を受けたかを判断できない場合があります。仮排水の記録があれば、降雨前後の状態、異常発生時の対応、原因除去後の補修状況を説明しやすくなります。施工過程の見える化は、品質確認と完成後の維持管理の両方に役立ちます。

まとめ

法面緑化の施工中に雨水集中と基材流出を抑えるには、法面だけを見るのではなく、上流側の集水範囲から放流先までを一つの排水系統として捉える必要があります。最初に雨水の流入方向を把握し、法肩、小段、縦排水、法尻を連続させ、現場条件に応じた仮排水路を設けることが基本です。

仮排水路は、断面、勾配、継ぎ目、曲がり部、横断部、接続部、放流部まで確認しなければなりません。水を集めても放流先が不安定であれば、法尻の洗掘や濁水流出といった別の問題につながります。沈砂や減勢、既設排水施設の受け入れ能力、下流への影響も含めて計画することが大切です。

さらに、仮排水は施工段階に応じて切り替える必要があります。法面整形時、排水施設施工時、基材吹付け時、養生時では、雨水の流れと保護すべき範囲が異なります。将来の完成形だけを前提にせず、現在の施工状態で雨水がどこへ流れるかを確認します。

降雨前後の点検では、閉塞、変形、漏水、越流、洗掘、土砂堆積を確認します。異常を見つけた場合は、流出した基材だけを補修するのではなく、雨水が集中した原因を取り除きます。原因を残したまま表面だけを直すと、次の降雨で同じ箇所が再び損傷する可能性があります。

仮排水の位置、点検結果、変更履歴、降雨後の状態を記録しておけば、法面緑化の施工品質を説明しやすくなります。写真、図面、施工段階、点検結果を関連付け、関係者が最新情報を共有できる管理方法を整えることも、見落としや伝達漏れを減らすうえで有効です。

施工範囲が広い現場や複数の排水経路を管理する現場では、確認箇所を特定し、同じ位置を継続して比較できる記録環境が役立ちます。現場の排水条件は施工の進行や降雨によって変化するため、仮排水を設置して終わりにせず、点検、切替、補修、記録までを一つの施工管理として継続することが重要です。

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