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法面防護網のたるみを放置しない点検6チェック

法面防護網のたるみを点検する目的

道路沿いや造成地、施設周辺などの法面では、落石や表層部の不安定化による影響を抑える目的で防護網が設置されていることがあります。こうした防護網は、一度設置すれば同じ状態が永久に維持されるものではありません。降雨、風、積雪、凍結融解、植生の成長、地山の風化、落石などの影響を受けながら、法面とともに徐々に状態が変化する可能性があります。

点検時に特に注意したい変化の一つが、防護網の「たるみ」です。以前は地山に沿っていた部分が外側へ膨らんでいる、網が局所的に浮いているように見える、下部に網が集まっている、固定部の周囲だけ形状が異なっているといった変化は、点検で確認しておきたい重要な情報です。

ただし、防護網がたるんで見えるからといって、その原因を外観だけで即座に判断することは適切ではありません。網の背面に石や土砂が堆積している場合もあれば、地山の表層が移動したことで網と斜面との間に空間が生じている場合もあります。植生によって網が外側へ押し出されているケースや、固定部周辺の状態が変化しているケースも考えられます。

そのため、法面防護網の点検では、単純に「たるみあり」と記録して終えるのではなく、たるみの位置、広がり、形状、背面の状況、固定部、網材、地山、排水状態などを一連の情報として確認することが重要です。

さらに重要なのが、過去の状態との比較です。施工時から地山の凹凸に沿ってある程度の余裕がある場所であれば、見た目だけでは新しい変状なのか判断できない場合があります。一方で、前回点検時には目立たなかった部分に新しい膨らみが生じているのであれば、何らかの変化が発生した可能性があります。

豪雨、地震、強風などの後には、通常時とは異なる変化が現れる場合もあります。法面上部から石や土砂が移動したり、排水経路が変化したりすると、それまで目立たなかった位置に防護網の変形が生じることがあります。したがって、日常的な点検だけでなく、必要に応じて異常気象や災害後の状態を確認し、通常時の記録と比較できるようにしておくことが大切です。

法面防護網は、網だけを切り離して評価する設備ではありません。地山、落石、排水、植生、固定部などが相互に関係する斜面環境の一部として見ることで、変状の意味を把握しやすくなります。ここからは、防護網のたるみを見逃さないために確認したい6つのチェックポイントを具体的に解説します。

チェック1 防護網のたるみが発生している範囲を確認する

最初に確認したいのは、防護網のどの位置に、どの程度のたるみが発生しているかです。点検の第一段階では、いきなり変状部へ近づくのではなく、安全な場所から法面全体を確認し、周囲と異なる形状の場所がないかを把握します。

防護網のたるみは、法面全体に緩やかに現れることもあれば、一部分だけが袋状に膨らむように見えることもあります。局所的な膨らみがある場合には、その背面に石や土砂、植物などが存在する可能性があります。一方、比較的広い範囲で網の位置が変化している場合には、複数の固定箇所や地山側の状態なども含めて確認する必要があります。

点検記録では、「たるみあり」「異常あり」といった短い表現だけで終えないことが大切です。同じ法面のどの位置なのか、上下左右にどの程度広がっているのか、周囲の網と比べてどのような形状になっているのかを記録しておくと、次回点検時に比較しやすくなります。

たとえば法面の中央部なのか、法肩に近いのか、法尻付近なのかによっても、確認すべき周辺状況が変わります。縦排水路、横排水路、小段、擁壁、法面端部などの位置関係が分かる場合には、それらを基準として変状箇所を記録すると再確認しやすくなります。

写真撮影では、変状部分だけを大きく写した写真に加えて、法面全体の中で位置が把握できる写真を残すことが重要です。近接写真だけでは網の状態を詳しく確認できても、後から見返した際に「法面のどこだったのか」が分からなくなる可能性があります。全景と変状部を対応させて保存することで、点検記録としての利用価値が高まります。

また、防護網のたるみは見る方向によって印象が変わります。正面からは小さな変形に見えても、斜めから確認すると地山と網との間に空間ができていることが分かる場合があります。現場の安全を確保できる範囲で観察方向を変えることは、形状を把握するうえで有効です。

ここで注意したいのが、不安定な法面へ無理に接近しないことです。網が大きく膨らんでいる場所では、背面に落石や土砂が捕捉されている可能性があります。確認のために直下へ入り込んだり、防護網へ不用意に触れたりすると危険を伴います。通常の点検では、現場の安全管理条件を優先し、安全な位置から状態を把握することが基本です。

さらに、変状範囲を記録するときには、周辺の目印だけに頼らない方法も検討できます。植生や仮設物は将来なくなる可能性があるため、長期間にわたって追跡する場合は、位置情報や測点などと関連付けて管理すると有効です。

法面維持管理では、一回の点検で異常を見つけることだけでなく、次回も同じ場所を確実に確認できる状態をつくることが重要です。たるみを発見した時点で位置と範囲を明確にしておけば、その後の変化を比較するための基準になります。

チェック2 防護網背面の落石や土砂の堆積を確認する

防護網にたるみや膨らみが見つかったら、次に確認したいのが網の背面です。斜面から移動した石や土砂などが防護網に捕捉されると、その位置に荷重が加わり、外側から見た網の形状が変化することがあります。

特に注目したいのは、防護網の下部や地形的にくぼんでいる場所です。斜面上方から落ちた石や流下した土砂が集まりやすく、見た目以上に背面へ堆積している場合があります。網の外側から確認できる範囲で、石の有無、土砂の量、枯れ枝や落葉、植生などの状態を観察します。

石が確認された場合には、一つの落石だけを見るのではなく、その上方にも目を向けます。新しい石が網へ捕捉されているのであれば、その供給源となった可能性がある箇所が法面上部に存在することも考えられます。新しい抜け跡のような箇所や、周囲と色調が異なる露出面、浮石などがないか、安全に確認できる範囲で観察します。

ただし、「網の中に石があるから上方のこの場所から落ちた」といった因果関係を、外観だけで断定することは避けるべきです。点検では、確認できた事実を分けて記録することが重要です。「防護網背面に石を確認」「その上方に新しい露出面を確認」という形で残しておけば、その後の詳細確認にも利用できます。

土砂が網背面へ溜まっている場合には、周囲の地表面にも注目します。雨水によって細粒分が移動すると、地山表面に筋状の流下跡が現れる場合があります。また、上部や小段の排水がうまく機能していない場合、本来とは異なる場所に水が集中し、表層土砂の移動につながることも考えられます。

植物の影響も見逃せません。防護網に草やつる植物が絡んだり、背面で樹木が成長したりすると、網が地山から離れて見える場合があります。枯れ枝や落葉が網に引っ掛かり、その上に土砂が蓄積しているケースもあります。このため、背面確認では石と土砂だけではなく、植生との関係も合わせて見ることが大切です。

また、網のたるみ方にも着目します。単一の大きな石が押しているような局所的な膨らみなのか、一定の幅で土砂が溜まっているような形なのかによって、次に確認すべき範囲を判断しやすくなります。

背面に大量の捕捉物が確認された場合でも、点検担当者が独自の判断でその場から取り除くことは避けます。網によって保持されている石や土砂を動かすことで、別の石が動いたり、周囲の網や固定部の状態が変わったりする可能性があるためです。除去や補修が必要かどうかは、施設管理者や専門担当者が状況を確認したうえで判断する必要があります。

重要なのは、「網がたるんでいる」という表面的な状態だけで終わらず、その背面に何が存在するのかまで確認することです。網の変形と背面状況をセットで記録できれば、法面で起きている変化をより具体的に把握できます。

チェック3 アンカーや固定部周辺の変状を確認する

防護網のたるみを確認するときには、網を支持しているアンカーや固定部、その周辺の状態も重要な点検対象です。網そのものに目立った破断がなくても、固定部周辺の状態が変化することで、局所的に網の形状が変わる場合があります。

まず、たるみが発生している場所の周囲にある固定部を確認します。他の固定部と比べて位置が異なって見えないか、周辺部材に変形がないか、地山との取り合い部分に新しい隙間や亀裂が見られないかなどを観察します。

固定部だけを至近距離から見るのではなく、周囲との相対的な関係を見ることも大切です。隣接する固定部の周辺では網が地山に沿っているのに、一箇所だけ外側へ離れているのであれば、その位置は重点的に記録すべき場所となります。

また、固定部周辺の地山が洗掘されていないかも確認します。雨水が集中すると、部材周辺の細粒分が流されて地表面の形状が変化する場合があります。外観だけで固定性能を判断することはできませんが、以前と異なる地山の変化が確認された場合は、点検記録に残しておくことが重要です。

金属部材では、変形や著しい腐食を疑う外観変化がないかも確認します。ただし、表面の変色があるという理由だけで、直ちに性能が失われていると断定することはできません。点検で確認できるのは、あくまで外観上の変状です。必要に応じて専門的な詳細調査につなげるという考え方が必要です。

固定部周辺に草木が繁茂している場合には、視認性にも注意します。植物によって部材が隠れると、変形や地山との隙間を把握しにくくなります。過去写真と比較する場合も、植生量の違いによって状態が判断しづらくなることがあります。

また、法肩や法面端部に設けられた固定箇所は、その周囲の排水状態も含めて見る必要があります。上部から流れ込んだ水が特定箇所へ集中していないか、土砂が流出した跡がないかを確認することで、防護網だけを見ていた場合には気づきにくい変化を把握できます。

通常点検の際に、固定部を工具などで締め直したり、状態確認のために強く力を加えたりすることは避けます。点検と補修作業は目的が異なります。現場の状態や施設管理上の手順に従い、目視を中心とした点検で異常が疑われた場合には、詳細確認へ引き継ぐことが基本です。

記録する際も、「アンカー異常」とだけ記載するより、「固定部付近の地山に亀裂を確認」「隣接箇所と比較して網が外側へ変形」「部材に曲がりを疑う外観変化を確認」など、観察した内容を具体化した方が次の担当者に状況が伝わります。

法面防護網のたるみは、網材だけの問題とは限りません。防護網を支える固定部と周囲の地山を合わせて確認することで、変状をより立体的に捉えることができます。

チェック4 防護網そのものの損傷や腐食を確認する

4つ目のチェックポイントは、防護網そのものの状態です。たるんでいる場所では、網材が単に地山から離れているだけなのか、網目の変形、破断、摩耗、腐食などを伴っているのかを確認します。

落石が防護網へ作用した場合には、網が局所的に変形するだけでなく、網目が周囲と比べて広がったり、素線に損傷が生じたりする可能性があります。遠方から見ると一つの膨らみにしか見えなくても、拡大して確認すると網材の一部に異なる状態が見つかることがあります。

安全上接近が難しい場所については、無理に近づくのではなく、望遠機能を利用した撮影などによって状態を記録する方法があります。写真を残しておけば、現場では見つけにくかった細かな変化を後から確認できる場合もあります。

腐食についても、法面全体を均一に見るだけではなく、環境条件の異なる場所に着目することが重要です。水が流れやすい部分、湿潤状態になりやすい部分、土砂が長期間接触している部分、植物が密集している部分などでは、周囲と外観が異なる場合があります。

ただし、腐食の程度や部材の残存性能を通常の目視だけで正確に評価することには限界があります。著しい断面変化や破断など明確な変状が確認された場合はもちろん、判断が難しい場合も観察事実を記録し、必要に応じて詳細調査へつなげます。

網と他の部材が接触している場所にも注意が必要です。風や温度変化などによって長期間接触が続く部分では、周辺とは異なる摩耗状態になる可能性があります。また、落石や土砂によって網が押され、通常とは異なる位置で他の部材へ接触している場合もあります。

法面中央部だけではなく、網の端部も確認します。左右の端部、法肩側、法尻側などでは、中央部と異なる変形が現れることがあります。端部が外側へ浮いていないか、周囲の部材との接続部に変状がないかを確認すると、全体的な状態を把握しやすくなります。

植生が網へ絡んでいる場合には、網材が隠れて損傷を確認しにくくなるだけでなく、植物そのものが網の形状に影響している可能性もあります。植物があることを即座に異常と判断するのではなく、点検視認性や防護網の状態確認を妨げていないかという観点で確認します。

また、以前の点検記録との比較も重要です。前回は網目が整っていた位置に新たな変形が生じていれば、その周辺で何らかの変化が発生した可能性があります。反対に、以前から同程度の変形が記録され、その後明確な拡大が確認されていないのであれば、それも状態を評価するための情報になります。

網材の状態を確認するときは、一つの損傷だけを切り取って見るのではなく、たるみ、背面の捕捉物、固定部、周囲の地山との位置関係まで合わせて記録することが大切です。

チェック5 周囲の地山と排水状態の変化を確認する

防護網のたるみを点検するときに欠かせないのが、網の背後と周囲にある地山の確認です。防護網が変形しているように見えても、その背景には地山側の変化が関係している場合があります。

まず確認したいのは、たるみの上方や周囲に新しい亀裂、浮石、抜け落ちたような跡、崩落跡、表面の洗掘、土砂の流下跡などがないかです。防護網だけを注視していると、斜面側で起きている変化を見落としやすいため、少し広い範囲から法面を観察します。

以前は地山に沿っていた網が現在は地山から離れている場合、網そのものが外側へ変形した可能性だけでなく、背後の表層土砂が抜けて空間が生じた可能性も考えられます。反対に、地山側から網を押し出すような形になっている場合には、落石や土砂などが網の背面へ移動している可能性があります。

同じ「たるみ」であっても、網が外側へ押されているのか、地山との間に空洞状の部分ができているのかによって見方は変わります。法面を斜め方向から確認するなどして、網と地山の位置関係を把握することが重要です。

排水状態も合わせて確認します。法面上部や小段の排水路、縦方向の排水施設、法尻付近などで土砂や落葉が溜まっていると、水が本来想定されていた経路とは異なる場所へ流れる場合があります。その結果、地山表面が洗掘されたり、細かな土砂が移動したりする可能性があります。

特に降雨後には、通常時には見えにくい排水上の変化が確認できることがあります。普段は乾いている場所に湿潤跡がある、表面に水が流れた筋が残っている、土砂が下方へ移動している、排水施設の周辺に越流したような痕跡があるといった情報は、法面の状態を考えるうえで有効です。

もちろん、たるみの上部に流下跡があったからといって、それだけで排水が直接原因だと断定することはできません。しかし、「防護網のたるみ」「上方の洗掘」「下部の土砂堆積」といった複数の事象が近接して確認されたのであれば、それぞれを関連情報として記録しておく価値があります。

法面の変状は一つの要因だけで生じるとは限りません。地山の風化、降雨、表面水、植生、落石などが複合して状態を変化させる場合があります。そのため、点検では原因を早い段階で一つに決めつけるよりも、観察できた変化を漏れなく記録する姿勢が重要です。

法面上部からしか見えない変状や、法尻側から見なければ分かりにくい膨らみもあります。安全な点検経路が確保できる現場では、複数の方向から防護網と地山を確認することで死角を減らせます。

また、法面周辺の土地利用が変わった場合にも注意が必要です。上部の造成や排水条件の変更などによって水の流れ方が変わることも考えられます。通常点検では、防護網の設備状態だけでなく、周辺環境に以前と異なる点がないかという視点も持っておくとよいでしょう。

防護網のたるみを見つけたとき、その一点だけを撮影して終えるのではなく、上方、下方、左右へ視野を広げることが重要です。網と地山、排水を一体として確認することで、維持管理に必要な情報を残しやすくなります。

チェック6 過去記録と比較してたるみの進行を確認する

最後のチェックポイントは、過去の点検結果との比較です。法面防護網の状態を評価するうえでは、現在の写真だけを見るよりも、以前からどのように変化しているかを確認することが重要です。

同程度のたるみが以前から存在しているケースと、前回点検後に新しく発生したケースでは、管理上の捉え方が異なります。また、もともと小さかったたるみの範囲が徐々に広がっている場合は、時間的な変化を記録しておく必要があります。

しかし、過去写真が残っていても、撮影位置や方向が毎回異なると正確な比較は難しくなります。同じ防護網を撮影していても、斜め方向から撮った写真と正面から撮った写真では膨らみ方が違って見えます。撮影距離が大きく異なる場合も、変状範囲を比較しにくくなります。

継続点検では、可能な範囲で同じ位置、同じ向き、同程度の画角から撮影することが有効です。法面の端部や既設構造物など、長期間変わりにくい対象物を画面内へ入れると、前回写真との位置合わせがしやすくなります。

写真だけでなく、変状箇所の位置情報も残しておくと管理しやすくなります。広い法面では、写真を見ただけではどの位置を撮影したものか分からなくなることがあります。法面の延長方向に複数の似た場所が存在する現場では、特に位置管理が重要です。

変状の大きさを継続的に把握する場合には、安全な方法で代表的な寸法や位置を記録することも考えられます。ただし、急斜面や落石の可能性がある場所へ測定のために接近することは避け、現場条件に応じた安全な計測方法を選ぶ必要があります。

測位や3次元計測を利用し、法面の状態を空間的な記録として残す方法もあります。こうした方法を利用する場合のポイントは、単にデータ量を増やすことではありません。次回点検で同じ位置を特定しやすくし、過去と現在の状態を比較できる記録にすることが重要です。

前回記録と比較して、たるみの範囲が広がっている、網の背面に堆積物が増えている、周囲の地山に新しい亀裂が生じている、固定部周辺の状態が変化しているといった事実が確認された場合には、それぞれを明確に記録します。

反対に、以前から変状がある箇所について「前回と比較して目立った変化を確認できない」と記録することにも意味があります。異常が拡大したときだけ記録するのではなく、変化がなかったという履歴も残しておけば、長期的な状態把握に役立ちます。

点検記録は、一回分だけでは判断材料が限られます。しかし、同じ方法で記録を積み重ねれば、いつ頃から変状が現れたのか、どの程度の速さで変化したのかを考えるための材料になります。

法面防護網の維持管理では、「見つける点検」から「変化を追う点検」へつなげることが重要です。たるみを一度見つけた場所は、次回以降も同じ場所を確認できるように管理し、状態の推移を追跡できるようにしておきます。

法面防護網の点検記録で押さえたいポイント

防護網のたるみを確認しても、記録が曖昧では次回点検時に十分活用できません。点検結果を維持管理へつなげるには、誰が見返しても同じ場所と状態をある程度把握できる記録にしておくことが大切です。

まず意識したいのが、観察した事実と推定を分けて記載することです。たとえば、「法面中央部の防護網に外側への膨らみを確認」「網背面に複数の石を確認」「上方の地山に新しい露出面を確認」という内容は、それぞれ観察事実として整理できます。

これに対して、「上方から落ちた石によって防護網が変形した」と書けば、原因まで断定した表現になります。現場の目視だけでは原因を確定できない場合もあるため、必要であれば「関連している可能性がある」といった形で、事実と推定を明確に区別します。

写真については、全景、周辺状況、変状部というように距離の異なる写真を組み合わせると分かりやすくなります。全景では法面の中の位置が分かり、周辺写真では固定部や排水施設などとの関係を把握でき、近い写真では網目や捕捉物の状態を確認できます。

同じ法面に複数のたるみや変状がある場合には、識別しやすい番号などを付けて管理すると便利です。それぞれの位置、写真、確認内容を対応させておけば、次回点検時に同じ箇所を探す作業が容易になります。

点検日と天候も有用な情報です。雨天直後と乾燥時では、地山の色、湿潤箇所、排水跡の見え方などが変わります。特に降雨後に確認した変状については、通常時の写真と比較できるようにしておくと状況を理解しやすくなります。

豪雨や地震などを受けて臨時点検を行った場合は、定期点検とは区別して記録することも大切です。通常時の記録、異常事象後の記録、その後の再確認記録を時系列で並べられれば、変化の発生時期を整理するための材料になります。

位置情報を利用できる場合には、写真や点検項目と位置を関連付けることで管理性が高まります。長大な法面や似た景観が続く現場では、写真の内容だけで撮影地点を特定するのが難しい場合があります。位置を記録しておけば、次回点検で同じ箇所へ戻りやすくなります。

点検記録の目的は、その日の報告書を完成させることだけではありません。次回の担当者が過去の状態を理解し、同じ位置を見て、変化の有無を判断できる資料を残すことにあります。

担当者が変わっても同じ基準で確認できるよう、写真の撮り方、変状箇所の表現、位置の管理方法などを一定にしておくと、点検品質を安定させやすくなります。防護網のたるみのように徐々に変化する可能性のある現象では、こうした記録の継続性が特に重要です。

たるみを見つけた後の対応で注意したいこと

法面防護網にたるみが見つかった場合、重要なのは、点検担当者がその場で独自に補修しようとせず、安全を確保したうえで状況を記録し、必要な判断につなげることです。

防護網の背面に石や土砂が堆積している場合、それらを不用意に取り除くと別の石が動いたり、周囲の土砂が崩れたりする可能性があります。また、たるんだ網をその場で引っ張ったり、固定部を締め直したりすると、網や固定構造の状態を変えてしまうおそれがあります。

特に、大きな石が捕捉されている場所、網が大きく膨らんでいる場所、固定部に変形が見られる場所、周囲の地山に新しい亀裂や崩落跡が確認される場所では、直下への立ち入りにも十分な注意が必要です。

通常の点検では、まず安全な位置から状況を把握し、写真、位置、変状内容、周囲の状態を記録します。その情報を施設管理者などへ伝え、必要に応じて専門的な詳細調査や補修方法の検討へ進めます。

たるみの程度だけで対応を決めるのではなく、法面の高さ、周辺の利用状況、落石が発生した場合に影響を受ける対象、地山の変状なども含めて判断する必要があります。道路や施設の近傍など、第三者への影響が考えられる場所では、状況に応じた安全確保が特に重要です。

点検後の情報管理にも注意が必要です。「要確認」と記録しただけで、その後の判断が残っていなければ、次回点検時に対応状況が分からなくなることがあります。誰が確認したのか、追加調査を実施したのか、経過観察としたのか、補修したのかといった履歴を残すことが重要です。

補修を行った場合には、補修後の状態も改めて記録します。補修前の写真しか残っていなければ、次回点検時に現在の状態が補修直後から変化したものなのか判断しにくくなります。補修後の状態を新しい比較基準として保存しておくことで、その後の変化を追いやすくなります。

また、一つの変状を補修した後も、周辺の地山や排水状態に原因となり得る変化が残っていないか確認する視点が必要です。網を補修したことで外観上は元に戻っていても、上方から土砂が継続的に流入しているなど周辺条件が変わっていなければ、再び同じ場所に変状が現れる可能性があります。

法面維持管理では、異常を発見することがゴールではありません。発見した変状を記録し、必要な評価へつなげ、対応した場合はその内容を残し、その後の点検で再確認するという流れをつくることが重要です。

まとめ 法面防護網はたるみだけでなく周辺変状まで継続確認する

法面防護網のたるみは、網の見た目だけを確認して終わらせるのではなく、その背後や周囲でどのような変化が起きているのかまで確認することが重要です。

最初に、防護網のどこにたるみがあるのか、どの程度の範囲なのかを把握します。続いて、網背面に落石や土砂などが堆積していないかを確認し、固定部周辺、網材そのもの、地山、排水状態へと確認範囲を広げます。

局所的なたるみ一つを見ても、その原因として考えられる状況は複数あります。網背面への落石、表層土砂の移動、固定部周辺の変状、植生の影響などが関係する場合があるため、現場の外観だけで原因を断定せず、観察した事実を丁寧に記録することが大切です。

さらに、法面点検で欠かせないのが過去記録との比較です。現在の状態だけでは正常時との違いが分からない場合でも、前回の写真や位置情報が残っていれば、新しい変状なのか、以前から存在する状態なのかを確認しやすくなります。

防護網のたるみが前回より広がっているのか、背面の堆積物が増えているのか、固定部や地山に新たな変化が現れているのかを継続して確認できれば、単発の点検よりも多くの情報を得られます。

そのためには、毎回の点検で撮影方法や記録方法をできるだけ揃えることが重要です。法面全体が分かる写真と変状部の写真を組み合わせ、撮影地点や変状位置を記録し、次回も同じ場所を追跡できるようにします。

特に延長の長い法面や、似た景観が連続する現場では、写真だけを大量に保存しても後から位置を判断できなくなることがあります。位置情報を写真や点検データと関連付けて管理できれば、再点検時の確認作業を効率化しやすくなります。

また、法面の形状を3次元的に記録できれば、平面的な写真だけでは把握しにくいたるみや地山との位置関係を保存する方法の一つになります。重要なのは、計測すること自体ではなく、同じ場所の状態を時間をおいて比較できる記録にすることです。

現場写真の撮影位置や点検箇所を位置情報とともに残したい場合や、法面の状態を点群として記録し、後から現場状況を確認できるデータを蓄積したい場合には、LRTK Phoneを活用する方法があります。日々の法面点検をその場限りの記録にせず、次回点検で比較できる情報として管理したい実務担当者は、LRTK Phoneの活用を検討してみてください。

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