道路境界とセットバックは、土地の売買、建築計画、造成、測量、隣地協議などで確認しておきたい重要なテーマです。特に「道路 境界」で調べている実務担当者にとっては、道路と敷地の境目がどこにあるのかだけでなく、建物を建てるときにどの範囲を建築計画から外して考える必要があるのかを理解しておくことが大切です。道路境界が不明確なまま計画を進めると、敷地面積、建築可能範囲、外構計画、将来の売却説明に影響が出ることがあります。本記事では、初心者にもわかるように、道路境界とセットバックの関係を実務目線で整理します。
道路境界とは何を示す線なのか
道路境界とは、一般的には道路として管理される部分と、民有地などの敷地部分との境目を示す線を指します。道路と敷地は現地で見た目だけでは判断しにくいことが多く、舗装の端、側溝の端、塀の位置、電柱の位置、縁石の位置がそのまま境界を示しているとは限りません。そのため、道路境界を考えるときは、見た目の道路端だけでなく、資料、測量、現地の境界標、関係者の確認を組み合わせて判断する必要があります。
実務では、道路境界という言葉が、官民境界、道路区域の境界、筆界、所有権界などと混同されることがあります。官民境界は、国や自治体などの公的主体が管理する土地と民有地との境界を指す場面で使われます。一方、筆界は登記上の土地の区画を示す境界であり、所有権界は当事者間の所有権の範囲に関わる考え方です。これらは重なることもありますが、必ず同じ意味になるとは限りません。
道路境界を確認する目的は、単に線を引くことではありません。建築計画では敷地の接道状況、道路幅員、建物の配置、外構の位置、排水経路、門扉や塀の設置位置などに関わります。売買では、買主に対して敷地の範囲や道路との関係を説明する材料になります。造成や解体では、道路側に工事が及ぶ場合の施工範囲や占用物の扱いにも関係します。
初心者が特に注意したいのは、道路境界は現地の印象だけで判断してはいけないという点です。古い住宅地や狭い道路では、建物や塀が昔からある位置に合わせて道路らしく見えていても、正式な境界や建築上の道路扱いとは一致しないことがあります。逆に、敷地の一部が道路のように使われていても、登記や権利関係上は民有地である場合もあります。
道路境界を正しく把握することは、セットバックを理解する前提になります。なぜなら、どこを基準に道路幅員を測るのか、どこから後退する必要があるのかを判断するには、まず道路と敷地の境目を整理する必要があるからです。
セットバックとはどのような考え方なのか
セットバックとは、建築や土地利用の場面で、道路側から一定の距離を後退して建物や工作物の位置を考えることをいいます。特に不動産や建築実務でセットバックという場合、幅員が十分でない道路に接する土地で、将来的に道路幅を確保するために敷地の一部を道路状に空ける必要がある場面を指すことが多いです。
日本の建築実務では、建築基準法上の道路として扱われるには、原則として一定の幅員が必要です。一般的には幅員4メートル以上の道路に敷地が一定以上接することが基本になります。ただし、古くから建物が立ち並んでいる地域では、現況の道路幅が4メートル未満のまま建築が続いてきた場所もあります。そのような道路については、特定行政庁の指定など一定の条件のもとで、建築基準法上の道路として扱われる場合があります。
このような道路では、道路の中心線から一定距離の範囲を道路とみなし、敷地側を後退させる考え方が出てきます。一般に、建築基準法第42条第2項に関係する道路では、道路中心線から両側に2メートルずつ確保する考え方が基本になります。ただし、反対側が川、水路、崖地、線路敷などの場合には、通常の中心線からの後退とは異なる整理が必要になることもあります。
セットバックが必要になると、敷地のうち道路側の一部は、建築物を建てられる敷地面積として扱えなくなる場合があります。つまり、登記上の土地面積がそのまま建築計画に使える有効な面積になるとは限りません。建ぺい率や容積率の計算、建物配置、駐車場、門扉、塀、植栽、設備の位置にも影響します。
セットバックは、道路を広げるためにすぐに公的機関が工事をするという意味ではありません。多くの場合、建築確認や建て替えのタイミングで、敷地側が将来的な道路空間として後退する考え方になります。現地では、後退した部分が舗装されて道路のように使われることもありますが、管理方法や所有関係、寄附や移管の可否は自治体や道路の種類、手続きによって異なります。
初心者が混乱しやすい点は、セットバックが必要かどうかは、単に道路が狭いかどうかだけでは決まらないということです。道路の法的な種類、指定状況、道路中心線の考え方、反対側の状況、自治体の運用、過去の協議履歴などが関係します。そのため、現地で「狭いからセットバックが必要」と即断するのではなく、資料と行政確認を組み合わせて判断することが大切です。
道路境界とセットバックの関係
道路境界とセットバックは、どちらも道路と敷地の関係を扱うものですが、意味は同じではありません。道路境界は、現在の道路と敷地の境目を確認する考え方です。セットバックは、建築や将来の道路幅員確保のために、敷地側でどこまで後退して扱う必要があるかを確認する考え方です。
たとえば、現況道路の端に側溝があり、その外側に敷地の塀がある場合でも、その側溝の外側が正式な道路境界であるとは限りません。道路境界を測量や資料で確認した結果、塀が道路側に出ている可能性もあれば、反対に敷地内に下がって設置されている可能性もあります。さらに、道路幅員が建築上必要な幅に満たない場合は、現在の道路境界とは別に、セットバック後の線を考える必要が出ます。
このため、実務上は少なくとも二つの線を分けて考えることが重要です。一つは現在の道路境界線です。もう一つは、建築計画上の後退線、つまりセットバック後に道路として扱われる可能性のある線です。この二つを混同すると、敷地面積の説明、建物配置、外構設計、買主への告知にズレが生じます。
特に土地売買では、登記面積、実測面積、有効宅地面積、セットバック予定面積が混在しやすくなります。登記面積だけを見ると十分な広さがあるように見えても、実際には道路後退部分を除くと建築に使える面積が想定より小さくなることがあります。逆に、現地で道路のように見える部分がすでに過去に後退済みである場合、追加の後退が必要かどうかは資料確認をしなければ判断できません。
道路境界とセットバックの関係を理解するうえで大切なのは、現在の境界と建築上の後退位置を分けて図面や記録に残すことです。現地で口頭確認だけをしても、後から関係者が変わると認識がずれることがあります。測量図、道路台帳、建築指導部門への確認結果、現況写真などを整理し、どの線が何を意味するのかを明確にすることが実務上の安全策になります。
なぜ道路幅員が重要になるのか
セットバックを考えるうえで、道路幅員は重要な確認項目の一つです。道路幅員とは、道路の幅を指しますが、実務ではどこからどこまでを道路幅員として測るのかが問題になります。舗装されている幅、側溝を含む幅、道路境界間の幅、建築基準法上の道路幅員は、必ずしも同じ意味ではありません。
建築基準法上の接道に関わる判断では、敷地がどの道路にどれだけ接しているか、道路の幅員がどの程度あるかが重要になります。道路が狭い場合、建築計画の前提として、道路中心線から一定距離を確保するための後退が必要になることがあります。これが一般にセットバックとして説明される部分です。
道路幅員の確認では、現況の測定だけでは不十分な場合があります。現地でメジャーなどを使って測った幅があっても、その幅がどの境界間の距離なのか、側溝や縁石を含めるのか、反対側の境界がどこにあるのか、過去に後退済みの部分があるのかを整理しなければ、建築上の判断には使いにくいからです。
また、道路の反対側に宅地がある場合と、川、水路、崖、線路敷などがある場合では、道路中心線や後退の考え方が変わることがあります。一般的な説明では道路中心線から後退すると言われますが、現地条件によっては片側後退のような考え方が関係することもあります。そのため、道路幅員の確認では、道路の両側の状況を見ておく必要があります。
実務担当者にとって重要なのは、「道路幅員が何メートルか」という数字だけを拾わないことです。その数字の根拠が、現況測量なのか、道路台帳なのか、建築指導部門の確認なのか、過去の境界確定資料なのかを確認する必要があります。数字だけが独り歩きすると、後で建築確認や売買説明の段階で整合しないことがあります。
道路幅員は、道路境界とセットバックをつなぐ中心的な情報です。道路境界がどこにあるのかを確認し、その境界間の幅や建築上の道路幅員を整理し、必要に応じて後退線を検討する。この流れを踏むことで、計画の前提が安定します。
セットバックが必要になりやすい道路の特徴
セットバックが問題になりやすい道路には、いくつかの特徴があります。まず、現況幅員が狭い道路です。古くから住宅が建ち並ぶ地域、細い生活道路、袋小路に近い道路、昔からの集落内道路などでは、現況の道路幅が十分でないことがあります。このような道路に面する土地で建築や建て替えを検討する場合、セットバックの確認が重要になります。
次に、道路の形状が一定でない場所も注意が必要です。道路の途中で幅が広がったり狭くなったりしている場合、敷地の前面だけを見ても判断できないことがあります。ある地点では幅が足りていても、別の地点では不足していることがあります。また、隅切り、曲がり角、行き止まり、私道の接続部などでは、道路境界や後退線の考え方が複雑になりやすいです。
私道に接する土地も慎重な確認が必要です。私道は、見た目には道路として使われていても、所有者、通行権、掘削承諾、管理状況、建築基準法上の道路該当性など、複数の確認事項があります。セットバックが必要かどうかだけでなく、後退した部分を誰が管理するのか、道路として使うことに関係者の理解があるのかも問題になります。
古い塀や門柱が道路沿いにある土地も要注意です。昔に建てられた塀が現在の道路境界や後退線に合っているとは限りません。建て替え時に塀を撤去したら、以前より敷地を下げて再設置しなければならないことがあります。既存の塀があるからその位置まで使えると考えると、後で計画変更が必要になることがあります。
また、道路沿いに側溝、暗渠、水路、電柱、標識、街灯、排水ますなどがある場合も、現地の見た目だけで判断しにくくなります。これらの施設は道路管理上の目安になることもありますが、境界そのものを示すとは限りません。施設の位置と道路境界、後退線を分けて整理することが大切です。
セットバックが必要になりやすい道路では、早い段階で自治体の担当窓口や専門家に確認することが重要です。売買契約や設計作業が進んでから後退が判明すると、面積、配置、費用負担、説明内容に影響が広がります。初期調査の段階で道路の種類と幅員を確認しておくことが、トラブル防止につながります。
道路境界を確認する主な資料
道路境界を確認するには、複数の資料を組み合わせて確認することが基本です。単一の資料だけで結論を出すのではなく、それぞれの資料が示す内容と限界を理解しておく必要があります。
まず確認したいのは、公図や地積測量図などの登記関連資料です。これらは土地の位置関係や筆の形状を確認するための入口になります。ただし、公図は精度に限界がある場合があり、現地の境界位置をそのまま示すものとして扱うには注意が必要です。地積測量図も作成年代や内容によって精度や記載情報が異なります。
次に、道路台帳や道路区域に関する資料があります。道路管理者が管理している資料には、道路の幅員、区域、路線名、管理範囲などの情報が含まれる場合があります。ただし、道路台帳の記載と現地の状況が完全に一致していないこともあります。道路台帳上の幅員が、建築基準法上の道路幅員と同じ意味で使えるかどうかも確認が必要です。
建築指導部門で確認できる道路種別も重要です。道路が建築基準法上どのように扱われるかによって、セットバックの要否や考え方が変わるためです。建築基準法上の道路に該当するのか、どの種類の道路として扱われるのか、幅員はどのように判断されているのかを確認します。自治体によって確認方法や資料の名称が異なることがあるため、現地の管轄に合わせて確認する必要があります。
過去の境界確定図や道路査定図がある場合は、重要な資料になります。過去に道路境界について関係者が立ち会い、確認している場合、その成果が現在の判断に役立つことがあります。ただし、過去の図面があっても、現在の現地状況やその後の土地分筆、道路工事、建物建替えにより状況が変わっている可能性もあります。
現況測量図も重要です。現地の塀、側溝、境界標、道路形状、建物位置などを測量した図面があれば、資料上の境界と現地の利用状況を照合しやすくなります。ただし、現況測量図はあくまで現況を測ったものであり、境界確定そのものを意味しない場合があります。図面のタイトルや注記を確認し、どこまでの内容が確定しているのかを見極める必要があります。
道路境界とセットバックを正しく判断するには、登記資料、道路管理資料、建築指導資料、過去の確定資料、現況測量を総合的に見ることが大切です。資料同士に食い違いがある場合は、どの資料を優先できるのか、追加の確認や協議が必要かを慎重に判断します。
現地で見落としやすい確認点
道路境界とセットバックを確認する際、資料調査だけでなく現地確認も欠かせません。現地には、資料だけではわからない手がかりや注意点が多くあります。ただし、現地の見た目を過信すると誤解につながるため、資料と照合する姿勢が重要です。
まず確認したいのは境界標の有無です。金属標、コンクリート杭、鋲、刻みなどが道路沿いに残っている場合があります。ただし、境界標のように見えるものが必ず正式な境界標とは限りません。工事用の仮標、外構施工時の目印、古い不明標が混在していることもあります。位置を記録し、測量図や確定図と照合する必要があります。
次に、塀や門柱の位置です。古い塀は、敷地所有者が使ってきた範囲を示すように見えることがありますが、法的な境界や後退線と一致するとは限りません。建て替えや解体の際に、同じ位置に再設置できない場合もあります。特に道路が狭い場合は、塀の内側にセットバック後退線が入る可能性もあるため、外構計画の前に確認しておく必要があります。
側溝や縁石の位置も重要ですが、これも境界と同一視してはいけません。側溝の外側が道路境界であることもあれば、側溝が民地側に入っている場合や、道路区域内に別の構造物がある場合もあります。道路改修の履歴によって、現況構造物の位置が過去の境界とずれていることもあります。
道路幅員を現地で確認するときは、片側だけでなく反対側も見る必要があります。道路の中心線を考えるためには、両側の境界や構造物の位置が関係します。反対側に既にセットバック済みの土地がある場合、現況の舗装幅だけを見ると判断を誤ることがあります。反対側が水路や高低差のある土地の場合も、通常の道路中心線の考え方だけでは整理できないことがあります。
高低差も見落としやすいポイントです。道路と敷地に段差がある場合、擁壁や土留め、階段、スロープの位置が後退線に影響することがあります。セットバック部分に既存の擁壁があると、撤去や再築が必要になる可能性があります。建築計画では、建物だけでなく外構や安全対策も含めて検討する必要があります。
現地確認では、写真記録を残すことも大切です。道路全景、敷地前面、境界標らしきもの、側溝、塀、電柱、標識、道路幅員の状況を撮影しておくと、後で関係者間で説明しやすくなります。写真は撮影方向や位置がわかるように整理すると、資料としての価値が高まります。
セットバック部分の扱いで注意したいこと
セットバック部分は、敷地の一部でありながら、建築上は道路状に扱う必要がある場合があります。このため、所有、管理、利用、面積計算の考え方が混在しやすい部分です。初心者が誤解しやすいのは、セットバックしたからといって、常に自動的に自治体の土地になるわけではないという点です。
セットバック部分の所有権がどうなるかは、道路の種類、自治体の制度、寄附や移管の手続き、関係者の合意によって変わります。所有者がそのまま所有しながら道路状に使う場合もあれば、一定の手続きを経て道路管理者に移す場合もあります。したがって、売買や建築計画では、セットバック部分を誰が維持管理するのか、舗装や排水の扱いはどうするのかを確認する必要があります。
建築面積や敷地面積の計算でも注意が必要です。セットバック部分は、建築基準法上の敷地面積から除外して扱う場面があります。その結果、建ぺい率や容積率の計算に影響し、想定していた建物規模が入らないことがあります。設計の初期段階で後退面積を見込まずに計画すると、後で大幅な見直しが必要になることがあります。
外構にも影響があります。セットバック部分には、塀、門柱、植栽、駐車設備、物置、段差解消のための構造物などを自由に設置できない場合があります。道路状に空ける必要がある部分に固定物を置くと、建築確認や完了検査、道路管理上の問題になることがあります。特に駐車場計画では、車の出入りや道路後退部分の扱いを早めに整理する必要があります。
排水計画も見落とせません。道路側に側溝がある場合、セットバック後の敷地形状によって雨水排水の勾配やますの位置を変更する必要が出ることがあります。既存の排水経路が後退線上にある場合、移設が必要になる可能性もあります。建築物だけでなく、給排水設備、ガス、電気、通信の引き込み位置も確認しておくと安心です。
また、セットバック部分は将来の説明責任にも関係します。土地を売却するとき、買主は有効に使える面積や道路との関係を重視します。セットバックの有無や面積、後退線の位置、管理方法が曖昧なままだと、契約後の認識違いにつながります。実務担当者は、単に「セットバックあり」と記載するだけでなく、根拠資料と現地状況を整理して説明できる状態にしておくことが望ましいです。
売買や建築計画で起こりやすいトラブル
道路境界とセットバックに関するトラブルは、早い段階で確認していれば防げるものが少なくありません。典型的なのは、売買後に買主が建築計画を進めたところ、想定より大きなセットバックが必要だとわかるケースです。買主は登記面積や現地の見た目を前提に計画していたため、有効な敷地面積が小さくなると不満や説明不足の問題が生じます。
建築計画では、設計が進んだ後に後退線が変わることもあります。道路中心線の位置や道路幅員の判断が当初想定と異なると、建物配置、駐車計画、玄関位置、外構計画が見直しになります。特に敷地が小さい場合や間口が限られる場合、わずかな後退でも計画全体に影響します。
隣地や向かい側の土地所有者との認識違いもあります。道路中心線をどこに置くか、過去に誰がどこまで後退したか、境界標が正しいかについて見解が分かれることがあります。狭い道路では、片側だけが後退しているように見える場合や、向かい側の建物が古いまま残っている場合もあり、公平感の問題として受け止められることがあります。
私道では、通行や掘削、維持管理の問題が重なりやすくなります。セットバックして道路状に整備しても、私道所有者の承諾や管理ルールが不十分だと、将来の工事や引き込みで問題が出ることがあります。建築確認上の道路扱いと、権利上の通行や工事承諾は別の問題として整理する必要があります。
既存建物の建て替えでも注意が必要です。これまで建っていた建物があるから同じ規模で建て替えできるとは限りません。古い建物が建った当時と現在の確認条件が異なる場合や、道路後退が必要になる場合があります。建て替え計画では、既存建物の位置ではなく、現在の法的条件に基づいて確認することが大切です。
トラブルを防ぐには、道路境界、道路種別、幅員、セットバック要否、後退線、後退面積、外構制限、管理方法を一体で確認する必要があります。どれか一つだけを確認しても、実務上のリスクは残ります。関係者に説明する際は、専門用語だけで済ませず、どの線が現在の境界で、どの線が建築上の後退線なのかを具体的に示すことが重要です。
実務担当者が進めるべき確認手順
実務担当者が道路境界とセットバックを確認する際は、順序を決めて進めると抜け漏れを減らせます。最初に行うべきことは、対象地の前面道路がどのような道路なのかを把握することです。建築基準法上の道路に該当するのか、道路幅員はどのように扱われるのか、セットバックが必要な可能性があるのかを確認します。
次に、道路境界に関する資料を集めます。登記資料、地積測量図、過去の境界確定図、道路台帳、道路区域に関する資料、建築指導部門で確認できる道路種別資料などを整理します。資料が複数ある場合は、作成年月日、作成者、対象範囲、境界確定の有無、寸法や座標の記載を確認します。
その後、現地確認を行います。資料上の道路境界と現地の側溝、舗装、塀、境界標、電柱、標識、排水施設がどのように対応しているかを見ます。現地確認では、敷地側だけでなく道路の反対側や周辺の道路幅の変化も確認します。写真を残し、後から資料と照合できるようにしておきます。
次に、必要に応じて専門家による測量や境界確認を検討します。資料や現地状況だけでは判断できない場合、道路境界が未確定である場合、売買や建築計画で精度が求められる場合は、測量を行い、関係者との立会いや確認を進める必要があります。特に境界確定が必要な場面では、単なる現況測量ではなく、関係者確認を含む手続きが必要になることがあります。
建築計画がある場合は、設計者や建築確認に関わる担当者と早めに情報共有することが重要です。道路境界とセットバックの情報が設計に反映されていなければ、後で配置や面積計算が変わる可能性があります。後退線、敷地面積、建築可能範囲、外構計画を同じ前提で共有する必要があります。
売買の場合は、買主への説明資料を整えます。道路境界の確定状況、セットバックの要否、後退予定面積、道路種別、幅員、現地写真、確認先、未確定事項を整理し、曖昧な部分がある場合はその旨を明示します。確定していないことを確定しているように説明すると、後のトラブルにつながります。
最後に、確認結果を記録として残します。いつ、どの窓口で、どの資料に基づいて、どのような判断をしたのかを記録しておくと、関係者が変わった場合でも経緯を追いやすくなります。道路境界とセットバックは一度確認して終わりではなく、設計、契約、施工、引渡しまで継続して確認すべきテーマです。
道路境界とセットバックを記録する重要性
道路境界とセットバックは、現地で一度見ただけでは関係者全員が同じ理解を持つことが難しい情報です。特に、現在の道路境界線、建築上の道路中心線、セットバック後退線、敷地として有効に使える範囲が複数存在する場合、口頭説明だけでは誤解が生まれやすくなります。そのため、記録の残し方が非常に重要です。
まず、図面上で線の意味を明確に分けることが大切です。現在の道路境界を示す線なのか、後退線なのか、現況の塀や側溝の位置なのかを区別して記載します。線の種類や注記が曖昧だと、後から見た人が誤って解釈する可能性があります。図面には、寸法、方位、作成日、作成目的を明記しておくと確認しやすくなります。
写真記録も有効です。道路境界付近は、工事や外構変更によって現地状況が変わることがあります。セットバック前の状態、境界標の位置、塀や門柱の位置、道路幅員の状況、側溝や排水施設の位置を写真で残しておくと、後から経緯を説明しやすくなります。写真だけでは寸法や位置関係が不明確になりやすいため、図面やメモと組み合わせることが望ましいです。
行政確認の記録も重要です。道路種別やセットバックの考え方について窓口で確認した場合、確認日、担当部署、確認内容、提示した資料をメモしておくと、後の説明に役立ちます。ただし、口頭確認だけでは正式な判断として扱えない場合もあるため、重要な案件では必要に応じて書面や正式な手続きで確認することを検討します。
売買や建築の関係者間では、同じ資料を共有することも大切です。売主、買主、仲介担当者、設計者、施工者、測量担当者が別々の資料を見ていると、前提がずれることがあります。最新版の資料を明確にし、古い図面や未確定の図面と混同しないように管理する必要があります。
近年は、現地情報をデジタルで記録し、写真や図面と合わせて共有する場面も増えています。道路境界やセットバックの確認では、現地で得た情報をその場で記録し、後から関係者が確認できる形にしておくことが実務の効率化につながります。特に複数の土地や道路を扱う場合、記録の粒度をそろえておくと、比較や説明がしやすくなります。
まとめ
道路境界とセットバックは、どちらも道路と敷地の関係を理解するうえで欠かせない考え方です。道路境界は現在の道路と敷地の境目を確認するものであり、セットバックは建築や将来の道路幅員確保のために敷地側を後退して扱う考え方です。この二つを混同すると、敷地面積、建築可能範囲、外構計画、売買説明にズレが生じます。
特に「道路 境界」で調査している実務担当者は、現地の見た目だけで判断しないことが重要です。舗装の端、側溝、塀、門柱、電柱などは判断材料にはなりますが、それ自体が正式な境界や後退線を示すとは限りません。登記資料、道路管理資料、建築指導部門の確認資料、過去の境界確定資料、現況測量を組み合わせて整理する必要があります。
セットバックが関係する土地では、登記上の面積と建築に有効な面積が一致しないことがあります。後退部分の扱い、管理方法、外構制限、排水や設備の位置まで確認しておかなければ、設計や契約の段階で想定外の問題が起こることがあります。建築前、売買前、造成前の早い段階で確認することが、実務上のリスクを減らします。
また、確認結果を記録として残すことも重要です。どの線が道路境界で、どの線がセットバック後退線なのかを図面や写真で明確にし、行政確認や専門家の判断経緯も整理しておくと、関係者への説明がしやすくなります。口頭だけの確認では、担当者が変わったときや時間が経ったときに認識がずれる可能性があります。
道路境界とセットバックの確認は、専門的で複雑に見えますが、基本は「現在の境界を確認する」「道路幅員と道路種別を確認する」「必要な後退線を確認する」「有効に使える範囲を整理する」という流れです。この順番を守れば、初心者でも実務上のポイントを押さえやすくなります。
現地確認の精度を高めるには、資料調査、現地写真、測量結果、行政確認の記録を一体で整理することが大切です。道路境界とセットバックは、売買、設計、施工、将来の管理にまで関係するため、早い段階から根拠を残し、関係者が同じ前提で判断できる状態にしておくことが安全な進め方です。