LRTKレフィクシア株式会社

配電設備のケーブル水トリー劣化を診断する6つの測定指標

配電設備で水トリー劣化を見逃せない理由

配電設備を安定して運用するには、地中や管路に布設されたCVケーブルの絶縁状態を継続的に把握する必要があります。ケーブルの絶縁体内部は外観点検では確認できないため、端末や接続部に目立った異常がなくても、内部劣化が進行している場合があります。絶縁性能が低下した状態で雷サージや開閉サージなどの過電圧が加わると、絶縁破壊へ至る可能性が高まります。

架橋ポリエチレンを絶縁体に用いるCVケーブルでは、水分と交流電界が長期間作用する環境で、水トリーと呼ばれる劣化形態が生じることがあります。水トリーは、絶縁体内部に微小な空隙や変質部が樹枝状に広がり、その領域に水分が関与する現象です。発生直後から金属導体のような明確な導電路になるわけではなく、進展の程度や形態によって電気的な現れ方が異なります。

水トリーには、絶縁体を内外半導電層間でほぼ橋絡するものと、絶縁体内部にとどまるものがあります。ケーブルの電圧階級や構造によって重視すべき形態が異なるため、診断方法も一律ではありません。絶縁抵抗や直流漏れ電流が有効な場合がある一方、未橋絡の劣化では変化が小さく、残留電荷や誘電損失など別の物理量を測定しなければ捉えにくい場合があります。

また、水トリー劣化に似た異常値は、端末表面の湿潤や汚損、接続部への浸水、金属シースや遮へい層の接地不良、測定リードの表面漏れ、近接活線からの誘導、測定器のオフセットなどでも発生します。測定値が悪化したからといって、直ちに絶縁体内部の水トリーが原因と断定することはできません。

診断で重要なのは、ケーブルの製造年代、構造、使用電圧、回線長、接続部数、布設環境、浸水履歴、負荷履歴、過去の測定結果をまとめて評価することです。経過年数が長いだけで更新対象と決めるのも、単回の測定値が良好だっただけで健全と判断するのも適切ではありません。複数の測定指標を同じ条件で蓄積し、変化の方向と再現性を確認することが、配電設備のリスクを合理的に管理する基本になります。

水トリー診断は単一の数値で決めない

水トリー診断では、一つの測定値だけを用いた合否判定を避ける必要があります。絶縁抵抗が低下する原因には、絶縁体内部の劣化だけでなく、端末表面の湿気、汚損、試験回路の漏れ、温度差などがあります。誘電正接が大きくなる場合も、水トリーのほか、端末や接続部の損失、試験区間の構成、測定周波数、試験電圧波形などの影響を受けます。

実務では、値の大きさ、時間的な変化、相間差や区間差の三つを基本に確認します。同じ測定方式と同じ条件で得た値を、過去値や同種回線と比較します。今回値が単独では判定しにくくても、数回にわたり悪化傾向が続いていれば注意度は上がります。同一回線の一相だけが異なる場合や、区間分割後に特定区間だけ異常が強くなる場合は、局所的な劣化や付属品の異常を疑う手掛かりになります。

さらに、課電時間に対する電流の変化、試験電圧を上げたときの応答、課電停止後の電荷緩和、周波数を変えたときの損失特性など、測定値の動きを見ることが重要です。単一条件で近い数値を示すケーブルでも、電圧依存性や時間依存性が異なることがあります。

判定基準は、使用する診断装置、測定方式、ケーブルの電圧階級や構造、回線長などによって異なります。異なる方式の値を共通のしきい値で比較したり、装置の判定表示だけで更新を決めたりするのは避けます。試験電圧、周波数、課電時間、温度、結線、区間長、測定順序を記録し、同一条件での再現性を確認できるようにします。

以下では、配電設備のCVケーブルで検討される代表的な六つの測定指標を整理します。適用できる方法は対象設備によって異なります。高電圧試験や活線測定は、設備仕様、保安規程、承認された手順を確認し、必要な知識と技能を持つ担当者が実施することが前提です。

測定指標1:絶縁抵抗と時間変化

絶縁抵抗は、導体と遮へい層または大地側との間に直流電圧を印加し、流れる電流から抵抗値を求める基本的な測定です。定期点検で履歴を残しやすく、著しい絶縁低下、端末の表面漏れ、接続部の湿潤などを把握する入口として利用できます。

直流電圧を印加した直後の電流には、ケーブルの静電容量を充電する電流、絶縁体の分極に関係する吸収電流、表面や内部を流れる漏れ電流が重なります。時間の経過とともに充電電流は減少するため、読取時点が異なる測定値をそのまま比較することはできません。毎回、同じ印加電圧、同じ読取時間、同じ放電手順を採用し、温度と停電後の経過時間も記録します。

水トリーが進展し、絶縁体を横断する導電性の高い劣化へ近づくと、絶縁抵抗が低下する場合があります。しかし、未橋絡の水トリーや局所的な劣化では、ケーブル全体の抵抗値に明確な変化が現れないことがあります。長い回線では局所劣化の影響が全体値に埋もれることもあるため、絶縁抵抗が高いことだけを根拠に水トリーを否定してはいけません。

確認すべきなのは、相ごとの値、前回からの変化率、所定時間までの推移、再測定時の再現性です。測定中の値が安定しない場合は、絶縁体内部の異常だけでなく、端末の結露、試験リードの配置、接地の不備、周辺からの誘導などを確認します。清掃や乾燥、結線確認を行った後も異常が再現するかを確かめることが必要です。

絶縁抵抗は、水トリーの長さや密度を直接示す定量指標ではありません。急激な低下や相間差が確認された場合は、端末、接続部、シース、接地回路の影響を切り分けたうえで、直流漏れ電流、残留電荷、誘電正接などの追加診断へ進みます。

測定指標2:直流漏れ電流と電流の安定性

直流漏れ電流測定では、ケーブルに所定の直流電圧を印加し、課電中に流れる微小電流とその時間変化を確認します。絶縁抵抗が一定時点の換算値として扱われるのに対し、直流漏れ電流では、印加直後から測定終了までの電流推移を観察できる点が特徴です。

健全なケーブルでも、課電直後には充電電流と吸収電流が流れ、その後に減少します。一定時間後も電流が下がりにくい、途中から増加する、変動が大きい、反復測定で同様の挙動が現れる場合は、絶縁体内部または付属品を含む試験回路に導電性の異常がある可能性を検討します。ただし、これらの挙動は水トリーだけに固有ではありません。

微小電流は外乱の影響を受けやすいため、端末の清掃と乾燥、ガード回路の適切な使用、不要な接続の切離し、接地方法の統一が欠かせません。測定対象を接続する前の背景電流や測定器のゼロ点を確認し、測定器、試験リード、端子台から生じる漏れを把握します。近接活線、雨天、高湿度、接地電位差がある現場では、測定値の信頼度を慎重に評価します。

既設CVケーブルへの直流高電圧試験は、対象ケーブルの状態、電圧階級、試験目的によって適否を判断する必要があります。過大な試験電圧や長時間の課電は、劣化した絶縁に負担を与える可能性があります。現場判断で試験条件を引き上げず、設備仕様、保安規程、社内基準、診断装置の手順に従います。試験後は、ケーブルの静電容量と残留電荷を考慮し、所定の放電と接地を確実に実施します。

直流漏れ電流が大きい場合は、水トリー劣化に加え、端末の表面漏れ、接続部への浸水、シース損傷、試験回路の汚損を確認します。電流が小さく安定していても、未橋絡水トリーが存在しないとは限りません。直流漏れ電流は、導電性が高まった劣化を捉える指標の一つとして位置づけ、別原理の診断結果と組み合わせます。

測定指標3:直流成分電流

交流運転中のCVケーブルには主として容量性電流が流れますが、ケーブルやその界面に非対称な電気特性があると、微小な直流成分が観測されることがあります。この直流成分を接地線などから測定し、活線状態で劣化傾向を監視する方法が検討されてきました。停電を伴わずに測定できる点は、停止調整が難しい配電設備にとって利点です。

ただし、直流成分電流は水トリーだけに由来する信号ではありません。半導電層や金属との界面、水分、接地回路の迷走電流、負荷設備からの直流偏り、変流器の残留磁化、測定器のオフセットなどでも値が変化し得ます。そのため、直流成分が検出されたという事実だけで、水トリー劣化を確定することはできません。

評価では、同じ測定点と結線での反復性、三相間の差、負荷変化との関係、長期的な傾向を確認します。遮へい層の接地方式や接地箇所が変わると測定経路も変わるため、接地回路の改修前後の値を単純比較してはいけません。複数回路で接地線を共用している場合は、対象ケーブル以外から流入する電流の切り分けが必要です。

活線診断で異常傾向が見られても、その測定だけで劣化位置や残存寿命を決めることは困難です。値が継続的に増加する、特定相だけが大きい、負荷や周辺設備の状態を変えても偏りが残る場合は、停電時に区間分割を行い、残留電荷、誘電正接、直流漏れ電流などで確認します。

記録には、負荷電流、系統電圧、測定点、接地方式、周辺設備の稼働状況、気温、降雨の有無を含めます。直流成分電流は、単独の合否指標ではなく、停電診断の対象を選定するスクリーニングと長期トレンド監視に適した指標として扱うことが安全です。

測定指標4:残留電荷量と緩和特性

残留電荷法は、水トリー劣化部の近傍に電荷が捕捉され、一定時間残留する性質を利用する診断方法です。一般には、所定の直流電圧を一定時間印加した後に直流電源を除去し、短絡処理を行います。その後、交流電圧などを印加して残留電荷の緩和を促し、その際に現れる微小な直流成分電流または積分した電荷量を測定します。

絶縁抵抗や直流漏れ電流では明確な異常が現れにくい未橋絡水トリーに対しても、残留電荷法は感度を持つ場合があります。ただし、測定値は水トリーの量だけで決まるものではありません。直流課電の電圧、時間、極性、短絡時間、交流課電条件、温度、ケーブル長、測定装置の方式によって結果が変わります。

評価では、放出電荷量の大きさに加え、交流電圧を段階的に変えたときの応答、時間に対する緩和の仕方、相間差、反復測定の再現性を確認します。異なる装置や異なる課電条件で得た値を、一つの共通しきい値で比較することは避けます。過去値と比較する場合は、測定順序と放電時間を含めて条件をそろえます。

複数の接続区間をまとめて測定すると、異常信号がどの区間から発生しているか分かりにくくなります。接続部で安全に切り分けられる設備では、区間ごとに測定することで原因を絞り込みやすくなります。ただし、区間長が変われば測定値の大きさも変わり得るため、長さの扱いは採用する診断方式の基準に従います。

高圧ケーブルは大きな静電容量を持つため、試験電源を切った後も電荷が残る場合があります。残留電荷測定後は、規定の放電器具と接地手順を用い、無電圧を確認してから作業します。放電後も再び電圧が現れる現象を考慮し、所定時間の接地保持を行います。測定精度だけでなく、試験後の安全処置まで含めて標準化することが重要です。

測定指標5:誘電正接と電圧依存性

誘電正接は、交流電圧を加えたときの容量性成分に対する損失成分の割合を示す指標です。絶縁体内の水分や劣化、分極などによって損失が増えると、誘電正接が大きくなる場合があります。CVケーブル全体の平均的な誘電特性を把握し、過去値や相間差を比較する方法として利用されます。

水トリー診断では、一つの電圧点の値だけでなく、試験電圧を段階的に変えたときの変化を確認します。電圧上昇に伴う誘電正接の増加幅、同一電圧での再現性、上昇時と下降時の差、課電時間に対する安定性が判断材料になります。電圧依存性が以前より強くなった場合は、絶縁体または付属品に非線形な損失要因が増えている可能性を検討します。

誘電正接は試験区間全体の損失を反映するため、局所的な劣化が長い健全部に平均化されることがあります。反対に、端末の表面状態、接続部、試験用付属品、温度、ケーブル長などの影響で値が大きく見えることもあります。端末を清掃、乾燥した後に再測定し、必要に応じて区間分割して原因を切り分けます。

測定周波数と電圧波形も結果に影響します。商用周波数付近、超低周波、その他の周波数帯では、得られる値と判定基準が異なります。異なる試験方式の値を横並びにせず、方式ごとに履歴を管理します。試験方式を変更する場合は、可能な範囲で新旧方式を同時期に測定し、トレンドがどのように変わるかを確認します。

誘電正接は水トリーを直接観察するものではありませんが、絶縁損失とその電圧依存性を把握できる点が強みです。絶縁抵抗が高くても誘電正接やその増加幅が悪化する場合は、別原理の残留電荷測定などと照合し、追加診断や監視頻度の短縮を検討します。

測定指標6:周波数応答と高調波成分

六つ目は、交流損失電流や誘電特性の周波数応答と、損失電流に含まれる高調波成分です。水トリー劣化によって絶縁体の分極や非線形な導電特性が変化すると、周波数を変えたときの静電容量、誘電損失、位相差の変化や、基本波以外の電流成分に差が現れる場合があります。

周波数応答を確認する場合は、周波数ごとの誘電正接、静電容量、損失電流、位相などを記録します。評価では一つの測定点だけでなく、応答曲線の形、低周波側と高周波側の傾向、相間差、過去からの変化を見ます。ただし、測定範囲と解析方法は装置によって異なるため、異なる方式の曲線を同じ基準で判定することはできません。

誘電特性の周波数応答は温度の影響を受けます。異なる季節や異なる負荷状態で測定した値を比較すると、劣化ではなく温度差を見ている可能性があります。周囲温度だけでなく、直前の負荷電流、停電後の経過時間、可能であればケーブル温度を記録します。長い回線や分岐を含む回路では静電容量が大きく、試験電源の容量や測定可能範囲に制約が生じることにも注意が必要です。

高調波成分を利用する方法では、損失電流に含まれる第三次成分などに着目する場合があります。水トリー劣化部の電圧電流特性が非線形であれば、高調波成分が変化する可能性があります。しかし、電源電圧のひずみ、整流負荷、電力変換装置、変成器、接地回路も高調波を生じさせます。高調波の大きさだけを水トリーの指標として扱うと誤判定につながります。

評価では、電源電圧の高調波、負荷電流、位相関係、測定帯域、センサー特性を確認します。三相の比較や負荷変化時の挙動を観察し、停電時の誘電正接や残留電荷の結果と対応づけます。周波数応答と高調波成分は、適切な測定回路と基準データがある場合に、他の診断を補完する指標として利用します。

部分放電測定もケーブル診断では重要ですが、水トリーが常に明確な部分放電を発生するとは限りません。水トリーから電気トリーや放電性欠陥へ移行した段階では有力な情報になりますが、部分放電が検出されないことだけで水トリーを否定することはできません。

6つの測定指標を組み合わせる判定手順

六つの指標を実務で使う際は、設備重要度と異常兆候に応じて段階的に診断します。最初に、ケーブル台帳、布設年、電圧階級、構造、回線長、接続部数、過去故障、浸水履歴、負荷履歴、過去の試験条件を整理します。その後、端末、接続部、シース、接地線、マンホール内の浸水などを確認し、電気測定の前に外部要因を把握します。

第一段階では、停電点検で絶縁抵抗を測定し、適用条件が整っている場合に直流漏れ電流を確認します。急激な悪化、相間差、時間的な不安定が見られた場合は、端末や試験回路を清掃、再結線して再現性を確認します。外部要因で説明できない場合は、残留電荷や誘電正接など、異なる原理の診断へ進みます。

第二段階では、残留電荷量と緩和特性、誘電正接と電圧依存性を照合します。複数の指標が同じ相や同じ区間で悪化している場合は、一つだけが異常な場合より注意度を高くできます。誘電正接だけが高い場合は、端末や接続部を含む試験回路の損失を再確認します。残留電荷だけが大きい場合は、課電条件、短絡時間、温度、区間長、測定順序を確認します。

第三段階では、直流成分電流や高調波成分などの活線または準活線のデータを、停電診断の結果と対応づけて長期管理します。活線指標は外乱の影響が大きいため、単独のしきい値より、同一回線の継続的な変化と、精密診断結果との相関を重視します。

最終判断では、六つの値を単純に平均しません。測定条件が良好で再現性の高い指標は重く扱い、ノイズが大きい値や条件の異なる過去値は参考情報として扱います。設備重要度、代替回線の有無、浸水リスク、同種ケーブルの故障履歴、事故時の影響も加えて、継続使用、監視頻度短縮、追加診断、計画更新、早期停止などの行動を決めます。

判定区分には、次回測定時期、追加する診断方法、停電調整の期限、更新設計の開始条件を結びつけます。「要注意」だけでは現場の行動が決まらないため、誰が、いつまでに、何を確認するかを明確にします。診断は測定値を得る作業ではなく、配電設備の事故リスクを下げる意思決定の工程です。

誤判定を防ぐ測定条件と現場準備

診断精度は、測定装置の性能だけでなく、現場準備の品質に左右されます。最初に対象区間を明確にし、単線結線図、ケーブル系統図、接続部位置、接地方式を現物と照合します。図面上では一回線でも、途中で分岐している、予備ケーブルが接続されたままになっている、避雷器や計器用回路が試験回路に残っている場合は、測定値の意味が変わります。

端末部は清掃し、湿気や結露を除去します。雨天や高湿度では表面漏れが増えやすいため、測定条件を整えるか、環境条件を詳しく記録します。試験リードは床や金属部へ不用意に接触させず、必要な離隔を確保します。接地線は指定箇所へ確実に接続し、試験中に他作業者が変更しないよう管理します。

試験前は、停電、開路、検電、放電、接地、作業範囲の表示を所定手順で実施します。遠方からの逆送、計器用回路を介した回り込み、並行回線からの誘導を確認します。試験対象が長い場合は蓄積エネルギーが大きくなるため、試験後の放電時間と接地保持時間を十分に確保します。

温度は、絶縁抵抗、漏れ電流、誘電特性に影響します。過去値と比較するときは、周囲温度だけでなく、直前の負荷電流と停電後の経過時間を確認します。高負荷運転直後と長時間停止後では、絶縁体温度が大きく異なる可能性があります。補正方法が定められている場合は同じ方法を用い、補正前の生データも保存します。

測定順序も統一します。直流課電後には電荷や分極の影響が残り、後続の測定値へ影響する場合があります。絶縁抵抗、直流漏れ電流、残留電荷、誘電正接などを同日に行う場合は、順序、短絡時間、放電時間を手順書で定めます。前回と異なる順序で測った場合は、その条件差を必ず記録します。

測定器は、校正状態、自己診断、ゼロ点、測定範囲、付属品の絶縁状態を確認します。微小電流や位相を測る試験では、端子やケーブルの汚れが結果に直結します。可能であれば試験前後に基準器や模擬負荷を用いて確認し、設備異常と測定系異常を切り分けます。

診断結果を更新計画へつなげる記録方法

水トリー診断では、一回の精密測定より、条件をそろえて蓄積した履歴が有用な場合があります。記録には、回線名、相、区間、布設年、ケーブル種類、導体サイズ、長さ、接続部数、端末形式、接地方式、浸水履歴を含めます。一部だけを更新した回線では、新旧ケーブルの境界と更新日を明確にします。

測定データは代表値だけでなく、時間波形、電圧別の値、周波数別の値、相間差が分かる状態で保存します。測定器から出力した原データと、報告書用に加工した値を区別します。判定基準や解析方法が将来見直されたときも、原データがあれば再評価できます。手入力したデータには転記誤りが生じる可能性があるため、確認者と確定日を残します。

現場写真には、端末、接地線、測定器配置、試験リードの接続先、設備番号、周囲環境を含めます。写真だけでは位置を特定できないため、図面上の設備番号や位置情報とひも付けます。マンホールや接続箱が多い回線では、似た設備を取り違えないよう、現場表示と台帳番号を撮影前に照合します。

診断結果には、次の行動を記録します。次回測定時期、追加診断、重点確認する相や区間、停電計画への反映、更新設計の開始条件を明確にします。更新を決めた場合も、撤去までの監視頻度、事故時の切替手順、予備資材の準備を整理します。継続使用とした場合は、その判断根拠と再評価条件を残します。

複数回線を管理する場合は、診断値の悪化傾向だけでなく、設備重要度、代替性、浸水リスク、故障影響を組み合わせて優先順位を付けます。経過年数だけで一律に更新すると、状態の良い設備を早く交換する一方、比較的新しくても環境条件の厳しい設備を見落とす可能性があります。

診断履歴と現場位置を一体で管理すれば、接続部ごとの変化や浸水箇所との関係を追跡しやすくなります。高精度な位置情報、設備写真、点検メモを同じ記録単位にまとめることで、次回点検時の設備特定や更新工事前後の比較に役立ちます。情報が紙図面と個別写真に分散している場合は、設備番号と位置情報の統一から始めます。

まとめ

配電設備のケーブル水トリー劣化を診断する六つの測定指標は、絶縁抵抗、直流漏れ電流、直流成分電流、残留電荷量、誘電正接、周波数応答と高調波成分です。絶縁抵抗と直流漏れ電流は、著しい絶縁低下や導電性が高まった異常を把握する入口になります。直流成分電流は活線で傾向を監視できる可能性がありますが、水トリー固有の信号ではないため、外乱の切り分けが必要です。

残留電荷法は、絶縁体内部に捕捉された電荷の緩和を利用し、未橋絡水トリーの診断に用いられる場合があります。誘電正接はケーブル全体の損失と電圧依存性を評価し、周波数応答や損失電流の高調波成分は、分極や非線形性に関する補足情報を与えます。いずれの指標も、単独で水トリーの有無、位置、残存寿命を確定する万能な方法ではありません。

安全な判定には、測定値の大きさ、過去からの変化、相間差、区間差、電圧依存性、時間依存性、再現性を確認し、端末、接続部、シース、接地、温度、浸水履歴などの設備情報と重ねることが必要です。異常値が得られた場合は、測定環境と試験回路の影響を切り分け、別原理の診断で確認します。

水トリー診断は、故障直前のケーブルを探すだけの作業ではありません。継続使用できる回線、監視を強化する回線、追加診断を行う回線、計画更新へ移す回線を合理的に分けるための状態評価です。測定条件と原データを標準化し、次回行動まで記録することで、配電設備の保全計画に診断結果を生かせます。

測定地点、マンホール、接続部、端末、浸水箇所の位置と現場記録を一体で管理する際は、LRTK Phoneを活用して位置情報、設備写真、点検メモをひも付ける方法も選択肢になります。重要なのは、使用する記録手段にかかわらず、設備番号、位置、測定条件、診断結果を後から追跡できる状態に整えることです。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

LRTK Phoneの使い方・実例を見る
資料請求導入相談
現場をスマホで3DスキャンLRTK Phone実例を見る