LRTKレフィクシア株式会社

掘削土の含水比変化を体積換算へ反映する5つの考え方

配電設備の新設や更新では、機器基礎、地中配管、ケーブル溝、接地線、ハンドホールなどの施工に伴って掘削土が発生します。この掘削土を場内で埋戻しに利用するのか、仮置きするのか、改良して再利用するのか、場外へ搬出するのかによって、必要な管理方法は変わります。 土量管理を難しくする要因の一つが、降雨、乾燥、排水、混合、締固めなどによる含水比の変化です。掘削直後には扱いやすかった土が、仮置き中の雨でぬかるみ、同じ土とは思えないほど重くなることがあります。反対に、乾燥によって質量が減り、見かけの体積や締固めやすさが変化することもあります。 ただし、含水比が増えた割合を、そのまま体積の増加率として扱うことはできません。水分が増えれば湿潤質量は増えますが、土の体積は粒子配列、空隙、土質、締固め状態などにも左右されるからです。湿潤質量、乾燥土質量、地山体積、ほぐし土体積、締固め後体積を区別しなければ、搬出台数、仮置き容量、埋戻し材の不足量などに大きな差が生じます。 この記事では、配電設備工事で発生する掘削土を想定し、含水比の変化を体積換算へ反映するための5つの考え方を解説します。計算式だけで処理するのではなく、現場でどの状態を測り、どの時点の数値を基準にするかまで整理することが重要です。

配電設備工事で含水比を管理する必要性

配電設備工事では、限られた敷地の中で掘削、機器据付、配管、埋戻し、舗装復旧などを順番に進めることがあります。通電中の既設設備に近接する現場では、掘削土の仮置き場所や重機の作業範囲も制限されます。そのため、掘削土の発生量や仮置き量を早い段階で把握し、工程に合わせて管理しなければなりません。 設計図面から求めた掘削体積は、通常、掘削前の地山状態を基準とします。しかし、実際に掘り出した土は粒子のかみ合わせが緩み、空隙が増えるため、地山状態より大きな体積を占めることがあります。さらに降雨で含水比が上昇すると、湿潤質量が増えるだけでなく、粘性土では練り返しによる軟化や団粒化が起こり、積込みや締固めの状態も変わります。 たとえば、搬出量を車両の計量結果だけで管理していると、雨天後には水の質量まで土の質量として計上されます。同じ乾燥土質量を搬出していても、含水比が高い日は計量値が大きくなるため、一定の湿潤密度を使って体積へ換算すると、実際とは異なる土量になる可能性があります。 一方、仮置き土を外形計測だけで管理する場合も注意が必要です。表面の凹凸、法面勾配、沈下、排水、重機走行による圧縮などによって、同じ乾燥土質量でも体積は変わります。つまり、質量から求める土量と外形から求める土量は、同じ状態を表しているとは限りません。 配電設備工事の土量管理では、設計数量、掘削実績、仮置き容量、搬出実績、埋戻し数量を一つの数字だけで結び付けないことが重要です。どの状態の体積なのか、含水比はいつ測定したのか、密度はどの土に対応しているのかを明確にすることで、工程途中の増減を説明しやすくなります。

含水比と土の体積の基本関係

土の含水比は、一般に水の質量を乾燥土質量で除した値として表します。水の質量をMw、乾燥土質量をMsとすると、含水比wは次の関係になります。 w=Mw÷Ms×100 計算で使用するときは、百分率を小数へ直します。含水比20%であれば、w=0.20として扱います。湿潤質量Mtは乾燥土質量と水の質量の合計なので、次のように表せます。 Mt=Ms×(1+w) この関係から、湿潤質量と含水比が分かれば、乾燥土質量を求められます。 Ms=Mt÷(1+w) 乾燥土質量は、降雨や乾燥によって水分だけが増減し、土粒子の流出や他材料の混入がなければ、理論上は大きく変化しません。そのため、含水状態の異なる掘削土を比較するときは、湿潤質量のままではなく、乾燥土質量へそろえることが基本になります。 ただし、乾燥土質量が分かっただけでは体積は決まりません。体積を求めるには、その状態に対応する乾燥密度が必要です。乾燥密度をρd、対象状態の体積をVとすると、関係は次のようになります。 V=Ms÷ρd 湿潤密度ρtが測定されている場合は、乾燥密度を次の関係から求められます。 ρd=ρt÷(1+w) ここで重要なのは、密度には状態が含まれていることです。掘削前の地山、掘削後のほぐし土、仮置き中に沈下した土、所定の方法で締め固めた土では、それぞれ乾燥密度が異なります。同じ乾燥土質量でも、乾燥密度が低い状態ほど体積は大きくなり、乾燥密度が高い状態ほど体積は小さくなります。 含水比は質量換算の重要な要素ですが、それだけで土の体積を一意に決める数値ではありません。含水比と体積を結び付けるためには、対象となる土の状態と密度を組み合わせる必要があります。

考え方1 地山・ほぐし・締固めの状態を分ける

含水比変化を体積換算へ反映する最初の考え方は、土の状態を明確に分けることです。配電設備工事で扱う土量には、地山土量、ほぐし土量、締固め土量などがあります。これらを同じ体積として扱うと、仮置き場所や搬出台数、埋戻し材の必要量を正しく見積もれません。 地山土量は、掘削前に地盤中で締まっている状態の体積です。設計図面の掘削断面から計算する数量は、基本的にこの地山状態を表します。掘削後は土粒子の配列が崩れ、土塊の間に空隙が生じるため、一般に体積が増えます。この状態がほぐし土です。 ほぐし土を埋戻しに利用すると、敷均しや締固めによって空隙が減少します。締固め後の体積は、ほぐし状態より小さくなりますが、必ずしも掘削前の地山体積と一致するわけではありません。土質、施工方法、締固め機械、層厚、含水状態、現場の拘束条件などによって、達成される密度が変わるためです。 含水比が上昇したとき、土粒子そのものの質量が増えるわけではありません。増えるのは主として空隙中や土粒子表面に存在する水の質量です。砂質土では水が排出されやすい一方、細粒分の多い土では水が保持されやすく、軟化や粘着性の増加が起こることがあります。この違いによって、掘削、積込み、仮置き、締固めの各状態で密度が変化します。 したがって、「含水比が10%増えたので、体積も10%増やす」という換算は適切ではありません。含水比の変化はまず湿潤質量へ反映し、体積については対象状態の乾燥密度または土量変化率を用いて計算します。 配電設備の機器基礎を掘削した後、その土をケーブル溝の埋戻しに使用する場合を考えると分かりやすくなります。掘削体積は地山土量、場内仮置き中の占有体積はほぐし土量、埋戻し完了後は締固め土量です。同じ土を追跡していても、工程ごとに管理すべき体積が異なります。 管理記録には、「掘削土50立方メートル」とだけ記載するのではなく、「地山換算50立方メートル」「仮置き状態の実測体積」「締固め後の出来形体積」のように状態を併記します。これにより、担当者が交代した場合でも数値の意味を確認しやすくなり、搬出量や埋戻し量との差を説明できます。

考え方2 湿潤質量を乾燥土質量へ換算する

二つ目の考え方は、含水比が異なる土を比較するときに、湿潤質量を乾燥土質量へ換算することです。これは、車両の計量値や仮置き土の質量から体積を推定する場合に特に重要です。 掘削土の計量値には、土粒子だけでなく水の質量も含まれます。晴天時の含水比が15%、降雨後の含水比が30%であれば、同じ乾燥土質量でも降雨後の湿潤質量は大きくなります。湿潤質量だけを比較すると、土粒子が増えたように見えてしまいます。 たとえば、湿潤質量が115トンで含水比が15%の場合、乾燥土質量は115÷1.15=100トンです。同じ乾燥土が雨水を含み、含水比30%になった場合の湿潤質量は100×1.30=130トンです。湿潤質量は15トン増えていますが、乾燥土質量は100トンのままです。 この例で、130トンを晴天時の湿潤密度で体積換算すると、水分増加分まで土量の増加として扱うことになります。そこで、まず湿潤質量を測定時点の含水比で乾燥土質量へ戻し、次に目的とする状態の乾燥密度で除して体積を求めます。 基準状態の体積Vrefを求める場合は、次の関係を使えます。 Vref=Mt÷(1+w)÷ρdref ここでρdrefは、換算先となる状態の乾燥密度です。地山体積へ換算するなら地山状態の乾燥密度、締固め後の体積へ換算するなら締固め後の乾燥密度を用います。異なる状態の密度を混ぜないことが大切です。 含水比の測定値には、試料の代表性も必要です。仮置き土の表面は乾燥していても、内部には雨水が残っていることがあります。反対に、表面だけが降雨で湿っている場合もあります。一か所の試料だけで全量を代表させると、乾燥土質量の換算に偏りが生じます。 仮置き土が複数の工区や掘削深さから集められている場合は、砂質土、粘性土、砕石、既設埋戻し材などが混在している可能性もあります。異なる土質を一つの含水比と密度で処理するのではなく、発生場所や土質区分ごとに管理する方が安全です。 含水比測定と車両計量の時刻が離れている場合にも注意が必要です。採取後に降雨があったり、長時間の仮置きで排水が進んだりすると、測定した含水比が積込み時の状態を表さなくなります。計量値へ含水比を適用するときは、試料採取、積込み、計量の時間関係を記録し、同じ状態に対応する数値を組み合わせます。

考え方3 含水比と土量変化率を別々に扱う

三つ目の考え方は、含水比による質量補正と、掘削や締固めによる体積補正を分けることです。含水比と土量変化率は、どちらも換算計算に使われますが、表している現象は異なります。 含水比は、乾燥土質量に対してどれだけの水が含まれているかを表します。主に湿潤質量と乾燥土質量を結び付ける数値です。一方、土量変化率は、地山、ほぐし、締固めなどの状態間で体積がどのように変化するかを表します。 一般的な土量計画では、地山土量に対するほぐし土量の比率や、地山土量に対する締固め土量の比率を使用します。ただし、記号の定義や基準状態は工事の仕様によって異なる場合があります。使用する前に、設計図書、施工計画、数量算出条件などで分子と分母を確認する必要があります。 地山土量をVn、ほぐし土量をVl、締固め土量をVcとすると、考え方は次の関係で整理できます。 ほぐし状態への換算率=Vl÷Vn 締固め状態への換算率=Vc÷Vn 地山体積から仮置き容量を見積もる場合は、地山土量へほぐし状態への換算率を乗じます。地山土量から埋戻し後の体積を見積もる場合は、締固め状態への換算率を使います。ただし、含水比が施工性に影響し、実際の密度が想定から外れる場合には、あらかじめ設定した換算率だけでは十分でないことがあります。 特に粘性土では、含水比が高すぎると締固め機械を走行させても土が変形しやすく、所定の締まり方が得られない場合があります。反対に乾燥しすぎると、土塊が崩れにくく、均一な締固めが難しくなることがあります。含水比は体積へ直接一定割合で加算するのではなく、施工可能性や達成乾燥密度を判断する条件として扱います。 締固め試験から得られる含水比と乾燥密度の関係は、対象土を適切に締め固めるための重要な資料です。ただし、最適な含水状態や得られる乾燥密度は土質や試験条件によって変わります。別の現場や異なる土層の数値を、そのまま流用することは避けます。 配電設備の埋戻しでは、埋設管やケーブル保護材の周囲、構造物際、狭い作業空間など、締固め機械を十分に使用しにくい場所があります。同じ含水比でも、広い場所と狭い場所では締固め後の密度が異なる可能性があります。土量変化率を決めるときは、土質だけでなく施工場所と施工方法も考慮します。 管理上は、最初に含水比を使って乾燥土質量を把握し、次に対象状態の乾燥密度または確認済みの土量変化率を使って体積へ換算します。この二段階を守ることで、水分変化と粒子配列の変化を混同しにくくなります。

考え方4 計測時点と管理単位を統一する

四つ目の考え方は、計測時点と管理単位を統一することです。精度の高い含水比や密度を測定しても、異なる時点や異なる土の数値を組み合わせれば、体積換算の信頼性は低下します。 掘削土は、掘削直後、仮置き中、積込み時、搬出時、埋戻し時で状態が変わります。掘削直後には地下水や地中の水分を多く含み、仮置き中には排水や蒸発が進むことがあります。降雨を受ければ再び含水比が上昇し、仮置き場所の排水条件によっては下層だけが高含水状態になる場合もあります。 そこで、土量記録には測定日だけでなく、測定した工程を明記します。「掘削直後の含水比」「積込み時の含水比」「埋戻し前の含水比」のように区別すると、同じ土を追跡しやすくなります。降雨の前後や排水処理の前後で測定した場合は、その条件も記録します。 管理単位については、立方メートル、トン、乾燥土質量、湿潤質量を混在させないことが重要です。日報上では体積、搬出伝票では湿潤質量、試験結果では含水比と乾燥密度が使われることがあります。これらを照合するためには、基準となる単位をあらかじめ決めなければなりません。 実務では、乾燥土質量を共通の中間指標とする方法が有効です。車両計量から得た湿潤質量は、対応する含水比を使って乾燥土質量へ換算します。測量から得た体積は、その状態の乾燥密度を乗じて乾燥土質量へ換算できます。双方を乾燥土質量で比較すれば、含水状態の違いを取り除きやすくなります。 ただし、土砂の流出、異物の除去、砕石の混入、土質改良材の添加などがあれば、乾燥土質量自体も変化します。配電設備工事では、既設舗装の路盤材、コンクリート片、埋設物周辺の砂、発生した泥水処理物などが掘削土へ混ざる可能性があります。こうした材料を分別しないまま一括管理すると、計算上の収支が合わなくなります。 工区ごとの管理番号を設定し、掘削場所、土質、掘削日、仮置き場所、含水比、密度、搬出先または再利用先を関連付けておくと、後から数値を検証しやすくなります。複数の仮置き山を途中で統合した場合は、統合前の数量と含水状態を残し、新しい管理単位として引き継ぎます。 また、測定値の有効桁を過度に細かくしない配慮も必要です。仮置き土の外形や密度には一定のばらつきがあるため、計算結果だけを細かく表示しても実際の精度が上がるわけではありません。測定方法に応じた丸め方を決め、途中計算と最終数量で丸める段階を統一します。

考え方5 計算値を現地の体積計測で補正する

五つ目の考え方は、含水比、質量、密度から求めた計算値を、現地の体積計測で確認して補正することです。土は均質な工業材料ではないため、試料試験だけで仮置き土全体の状態を完全に表すことは困難です。 設計断面から求めた掘削体積は、計画上の地山土量です。実際の掘削では、掘削底面の不陸、法面形状、余掘り、既設構造物、埋設物の回避などによって出来形が変わります。配電設備の改修工事では、図面と現況の差や既設設備との取り合いによって、掘削範囲が施工中に調整されることもあります。 そのため、掘削前後の地形や掘削面を計測し、差分から実際の掘削体積を求める方法が有効です。仮置き土についても、基準面と土山表面を計測すれば、その時点の外形体積を把握できます。これらの体積は、質量換算から得た数値を検証するための独立した情報になります。 たとえば、含水比と車両計量から求めた乾燥土質量が一定なのに、仮置き土の実測体積が減っている場合は、排水だけでなく、自重沈下や重機走行による圧縮が起きている可能性があります。反対に、体積が増えている場合は、新たな土の追加、異物の混入、土山形状の計測範囲の違いなどを確認します。 体積計測では、毎回同じ基準面、座標系、計測範囲を使用する必要があります。仮置き範囲の境界を日ごとに変えたり、底面の設定を変えたりすると、含水比変化とは関係のない差が生じます。土山の裾、構造物際、シートで覆われた部分など、形状を取得しにくい箇所の扱いも統一します。 計算値と実測値に差がある場合、どちらか一方を直ちに誤りと判断するのではなく、両者が表す状態を確認します。質量換算は乾燥土質量と設定密度に基づく基準状態の体積であり、外形計測は計測時点の見かけの体積です。状態が異なれば、数値が一致しないこと自体は不自然ではありません。 一定期間の実績が蓄積したら、掘削場所や土質区分ごとに、地山体積、乾燥土質量、ほぐし土体積、締固め後体積の関係を整理します。現場で得た実績値を使って換算条件を見直せば、後続工区の仮置き容量や搬出計画を現実に近づけられます。

含水比を反映した体積換算の計算例

ここでは、配電設備の機器基礎工事で発生した掘削土を想定します。車両計量による湿潤質量が156トン、積込み時に採取した代表試料の含水比が30%だったとします。 含水比30%は小数で0.30なので、乾燥土質量は次のように求めます。 乾燥土質量=156÷(1+0.30)=120トン この120トンが、水分を除いた土粒子側の質量です。次に、掘削前の地山状態における乾燥密度が、現地試験などから1立方メートル当たり1.60トンと確認されているとします。地山換算体積は次のとおりです。 地山換算体積=120÷1.60=75立方メートル 同じ乾燥土質量について、ほぐし状態の乾燥密度が1立方メートル当たり1.25トンであれば、仮置き状態の推定体積は次のようになります。 ほぐし状態の推定体積=120÷1.25=96立方メートル さらに、埋戻し後に想定する乾燥密度が1立方メートル当たり1.50トンであれば、締固め後の推定体積は次のようになります。 締固め後の推定体積=120÷1.50=80立方メートル この例では、湿潤質量156トンという一つの計量結果から、地山換算75立方メートル、ほぐし状態96立方メートル、締固め後80立方メートルという異なる値が得られます。違いを生んでいるのは含水比だけではなく、それぞれの状態に対応する乾燥密度です。 次に、同じ乾燥土が排水や乾燥によって含水比20%になったとします。このときの湿潤質量は120×1.20=144トンです。含水比30%のときと比べて湿潤質量は12トン減少しますが、乾燥土質量は120トンのままです。 土粒子の流出や新たな材料の混入がなく、状態ごとの乾燥密度も変わらないと仮定すれば、基準状態へ換算した体積も変わりません。一方、乾燥中に土山が沈下した場合、現地で測る外形体積は小さくなることがあります。この差は、水の質量減少だけでなく空隙構造の変化を含んでいます。 実際の現場では、乾燥密度を固定値として扱えるかを確認する必要があります。仮置き土が重機で踏まれた場合や、降雨後に土塊が崩れた場合は、ほぐし状態の乾燥密度が変わる可能性があります。計算例の数値をそのまま他の工事へ流用せず、対象土の試験値と現地計測結果を用いることが重要です。

配電設備工事での実務的な管理手順

実務では、最初に土量管理の基準状態を決めます。設計数量との比較を目的とするなら地山体積、仮置き場所の確保を目的とするならほぐし土体積、搬出管理を目的とするなら湿潤質量と乾燥土質量、埋戻し管理を目的とするなら締固め後体積と密度が中心になります。 次に、掘削範囲を工区や発生場所ごとに区分します。機器基礎、ケーブル溝、地中配管、接地設備などでは、掘削深さや既設埋戻し材が異なる場合があります。すべてを一つの土質として扱わず、含水状態や再利用条件が異なる土は分けて記録します。 掘削前には、設計図面から地山土量を計算するとともに、可能であれば現況地盤を計測します。掘削後にも掘削面を計測し、実際の差分体積を把握します。余掘りや地盤の崩れが発生した場合は、設計数量との差を記録します。 掘削土を仮置きするときは、管理番号、発生場所、仮置き開始日を関連付けます。雨水が集まりやすい低所や排水不良箇所を避け、必要に応じて流入水や表面水を管理します。覆いを設置した場合も、端部からの流入や下部からの水分移動があるため、表面だけで含水状態を判断しないようにします。 含水比を測定するときは、土山の複数位置や深さから代表試料を採取します。土質が明らかに異なる部分は別試料とし、平均値だけでなくばらつきも確認します。採取位置、時刻、天候、直前の降雨、土山の状態を記録すると、後日の検証に役立ちます。 搬出時は、車両ごとの湿潤質量を記録し、対応する含水比から乾燥土質量を算出します。長期間にわたって搬出する場合は、一度測定した含水比を全期間へ適用せず、降雨、乾燥、土山の切替などのタイミングで再測定します。 埋戻しへ再利用する場合は、施工時の含水状態と締固め結果を確認します。高含水状態のまま無理に施工すると、機械走行によるこね返しや局所的な沈下につながる場合があります。乾燥、混合、排水、材料調整などの要否は、土質、施工条件、要求される品質を踏まえて判断します。 最後に、設計地山土量、掘削後の実測体積、搬出した乾燥土質量、残置した仮置き体積、埋戻し後の体積を照合します。差が大きい場合は、含水比の適用時点、密度の設定、計測範囲、混入物、土砂流出、未計上の搬入出などを順番に確認します。

体積換算で起こりやすい誤差と対策

最も起こりやすい誤差は、湿潤質量を一定の密度で直接割り、体積を求めることです。含水比が変化している場合、この方法では水の質量増減がそのまま土量差として現れます。湿潤質量は、測定時点の含水比で乾燥土質量へ換算してから、目的状態の乾燥密度を適用します。 次に多いのが、掘削前の地山密度と、仮置き状態の密度を混同することです。地山乾燥密度を使って求めた体積は地山換算値であり、仮置き場所で実際に占有する体積ではありません。仮置き容量を検討する場合には、ほぐし状態の実績や現地計測を使用します。 試料採取位置の偏りも大きな誤差要因です。土山表面だけの試料は、内部の含水状態を代表しないことがあります。降雨後は上部、中央部、下部で水分状態が異なる可能性があるため、土山の規模や土質に応じて複数位置を確認します。 異なる土質の混合にも注意が必要です。砂質土と粘性土では、同じ含水比でも排水性、締固め特性、見かけの状態が異なります。砕石やコンクリート片が含まれれば、試料試験で得た含水比と全体の密度の対応も崩れます。可能な範囲で分別し、混合した場合は混合後の状態を改めて確認します。 仮置き土の体積計測では、基準面の設定誤差が数量へ直接影響します。掘削前の地面を底面とするのか、整地後の面を底面とするのかを統一しなければなりません。土山の裾が広がった場合や、隣接する土山と接続した場合も、境界の決め方を記録します。 含水比の変化を理由に、計算上の土量差をすべて説明しようとすることも避けます。土量差には、掘削範囲の変更、余掘り、沈下、土砂の付着、飛散、流出、異物除去、他材料の混入、計測範囲の違いなどが関係します。含水比は重要な要素ですが、唯一の原因ではありません。 配電設備工事では、安全確保のため、計測作業そのものにも注意が必要です。通電中の設備、開口部、掘削法面、重機の旋回範囲、車両動線などを確認し、計測のために危険区域へ不用意に立ち入らないようにします。数量管理の精度よりも現場の安全が優先されます。

LRTK Phoneを活用した土量記録

含水比を体積換算へ反映するには、試験値だけでなく、掘削範囲や仮置き土の形状を同じ基準で記録することが重要です。位置情報を伴う現場計測を行えば、掘削前後の地盤、仮置き場所、土山の外形、試料採取位置などを関連付けやすくなります。 LRTK Phoneを利用して現場の位置や形状を記録する場合は、まず使用する座標系、高さの基準、基準点、計測範囲を統一します。異なる日に取得したデータを比較するには、毎回同じ基準で計測されていることが前提です。座標や高さの基準が変わると、実際には変化していない場所にも差が生じる可能性があります。 掘削前の地盤と掘削後の形状を記録しておけば、設計断面だけでは把握しにくい余掘りや不陸を確認できます。仮置き土を定期的に計測すれば、追加、搬出、沈下、形状変更に伴う体積の推移も追跡しやすくなります。 また、含水比試料の採取位置を位置情報とともに残すことで、どの部分の試料がどの土量へ対応しているかを確認できます。試料番号、採取日時、天候、土質区分、含水比、湿潤質量、適用した乾燥密度を一つの管理記録へ結び付ければ、換算根拠を説明しやすくなります。 ただし、形状計測から得られる体積は、計測時点の外形体積です。含水比と乾燥密度から求めた地山換算体積や締固め換算体積とは意味が異なります。LRTK Phoneによる現地記録と質量換算を組み合わせ、それぞれがどの状態を表す数値なのかを明確にすることが重要です。

まとめ

掘削土の含水比変化を体積換算へ反映するには、含水比の増減をそのまま体積の増減として扱わないことが基本です。含水比は湿潤質量を乾燥土質量へ換算するために使用し、体積は地山、ほぐし、締固めなど、目的とする状態に対応した乾燥密度や土量変化率から求めます。 実務では、土の状態を分けること、湿潤質量を乾燥土質量へ換算すること、含水比と土量変化率を別々に扱うこと、計測時点と管理単位を統一すること、計算値を現地の体積計測で補正することが重要です。 配電設備工事では、施工範囲や仮置き場所が限られることが多く、土量の見込み違いが工程や車両計画、埋戻し材料の手配に影響します。掘削場所、土質、含水比、密度、質量、体積を関連付けて記録すれば、降雨や乾燥があった場合でも土量変化の理由を整理しやすくなります。 掘削前後の形状や仮置き土の推移を現場で記録し、含水比試験や搬出記録と結び付けたい場合は、LRTK Phoneを活用した位置情報付きの計測・記録方法も検討できます。計算と現地計測の両方を用いることで、掘削土の状態変化をより具体的に把握し、根拠の残る体積管理につなげられます。

現場を3Dで残して、あとから測る。
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