配電設備に設置されるサージカウンターは、避雷器の接地側回路などを通過した所定のサージ電流を検出し、動作回数を累積表示する監視機器です。雷や開閉操作に伴う過電圧が生じたとき、避雷器は過電圧を制限し、サージ電流を接地側へ流します。サージカウンターは、このとき流れた電流が機器ごとの検出条件を満たした場合に計数するため、避雷器が動作した可能性を追跡する手掛かりになります。製品によっては、動作回数に加えて漏れ電流や遠隔信号を扱う機能も備えます。シーメンスエナジー+1
ただし、表示回数だけで避雷器やサージカウンターの良否を即断することはできません。表示が増えない理由には、対象となるサージが発生していないことのほか、検出条件未満の電流であったこと、接続不良、意図しない迂回経路、表示機構や内部回路の不具合などが考えられます。反対に、短期間で回数が増えていても、雷、開閉操作、事故復旧時の過渡現象などによって避雷器が実際に動作した可能性があります。
重要なのは、現在値だけで判定せず、過去の点検記録、外観、配線と接地経路、機器ごとに定められた試験方法、避雷器本体や周辺設備の記録を組み合わせることです。避雷器の選定や適用条件は、系統電圧、接地方式、想定過電圧、設置環境などに左右されるため、設備図面、仕様書、取扱説明書、保安規程を優先して確認します。IECウェブストア
本記事では、配電設備の実務担当者がサージカウンターの異常を早期に見抜くための5つの確認方法を、安全上の注意点とともに解説します。
サージカウンターの役割と異常を見逃すリスク
避雷器は、雷や開閉操作などによる過電圧を制限し、変圧器、開閉装置、ケーブルなどの絶縁に加わる負担を抑えるために使用されます。サージカウンターは、避雷器の接地側回路など、設計上定められた電流経路に設置され、機器固有の条件を満たす電流が通過したときに表示値を進めます。単純な累積計数型のほか、漏れ電流、サージの大きさ、発生時刻、波形に関する情報を扱う監視装置もありますが、得られる情報は機種ごとに異なります。Hitachi Energy+1
累積回数の実務上の価値は、前回点検からの増加量を把握できることです。雷雨後、系統事故後、開閉操作が集中した期間の後などに表示値を確認すれば、その期間に避雷器が動作した可能性を調査する出発点になります。相ごとの増加傾向や近隣設備との違いも、原因を絞り込む材料になります。
一方、一般的な回数表示だけでは、通過電流の大きさ、波形、継続時間、正確な発生日時まで分からない場合があります。また、サージカウンターには動作し始める電流条件があり、避雷器を流れたすべての過渡電流が必ず一回として記録されるとは限りません。そのため、回数が多いことだけで避雷器の劣化を断定したり、回数が少ないことだけで健全と判断したりするのは適切ではありません。
サージカウンターに不具合があると、避雷器が動作しても履歴が残らず、設備が受けた電気的ストレスを正しく追跡できない可能性があります。反対に、表示の読み違い、点検対象の取り違え、試験による増加の記録漏れなどがあると、実際には存在しない異常を疑うことになります。サージカウンター本体、避雷器本体、接地回路、記録管理のどこに原因があるかを分けて考えることが重要です。
点検には、運転中に安全な位置から行う目視確認と、設備を停止して行う接触点検があります。端子への接触、配線の取り外し、導通測定、動作試験などを行う場合は、設備固有の手順に従って開路し、施錠や表示、検電、残留電荷の放電、必要な短絡接地などを実施します。高圧または特別高圧の停電作業では、誤通電や誘導による危険も考慮する必要があります。職場のあんぜんサイト+1
確認方法1 過去の記録と現在値の変化を照合する
最初に確認するのは、サージカウンターの現在値と過去の点検記録です。一度の読み取りだけでは、その値が継続的に積み上がったものか、以前から停止しているものか、交換後の初期値なのかを判断できません。前回点検時、雷雨前後、系統事故前後、工事前後など、複数時点の記録を比較します。
読み取り前には、設備名称、設置場所、相、避雷器の識別番号、サージカウンターの識別番号を照合します。同型設備が並ぶ場所では、隣の機器を撮影したり、別相の値を転記したりする誤りが起こりやすいためです。銘板や識別表示が汚損している場合は、安全な方法で清掃し、必要に応じて表示の更新を計画します。
通常の累積表示型で、交換、初期化、桁の循環などがないにもかかわらず現在値が前回値より小さい場合は、記録の転記ミス、対象機器の取り違え、交換履歴の未登録、表示機構の不具合などを疑います。値の減少そのものを直ちに内部故障と決めつけず、工事記録、試験記録、写真、設備台帳を照合します。
長期間表示値が変化していない場合も、それだけで異常とはいえません。対象となるサージが発生していない、または通過電流が検出条件に達していない可能性があります。ただし、同じ期間に同一設備の他相や近接設備で複数回の増加があり、対象機器だけが長く不変である場合は、接続状態、迂回経路、表示機構、内部回路を詳しく確認する理由になります。
短期間に表示値が大きく増えた場合も、カウンター故障と即断しません。雷雨が連続した期間、系統切替が多かった期間、事故や復旧操作があった期間では、複数の過渡現象が発生した可能性があります。一つの雷事象に伴って複数の電流パルスが流れることもあり、落雷の観測回数とサージカウンターの増加数が一対一で対応するとは限りません。
異常を見つけやすくするには、累積値だけでなく、前回からの増加数、点検間隔、雷雨や操作の有無を一緒に記録します。相ごとにカウンターがある場合は、同じ期間の増加数を並べて確認します。一相だけ増加傾向が変化した場合は、その相の避雷器、接続導体、絶縁物、周辺機器の状態を調べます。
過去写真との比較も有効です。数字の読み間違いを防げるほか、表示窓の曇り、筐体の傾き、端子部の変色、接地線の取り回しなど、数値以外の変化にも気づきやすくなります。記録に矛盾がある場合は、推測で補正せず、確認できた事実と未確認事項を分けて残します。
確認方法2 表示部と筐体の外観を確認する
二つ目の確認方法は、表示部と筐体の外観点検です。内部の計数機構が正常でも、表示窓の曇り、汚損、変色、傷によって数字を正しく読めなければ、点検記録の信頼性が低下します。運転中は充電部への接近を避け、設備で定められた安全距離を保った位置から確認します。
表示窓の内側に曇りや水滴が見られる場合は、筐体内部へ湿気が侵入している可能性があります。温度差による一時的な結露も考えられますが、同じ状態が繰り返される、水滴跡や腐食を伴う、表示が不鮮明になるといった場合は、シール部、端子部、ケーブル引込部などの劣化を疑います。内部への湿気は、表示機構の固着、端子の腐食、絶縁性能の低下につながるおそれがあります。
筐体では、割れ、欠け、へこみ、変形、腐食、塗膜の浮き、著しい退色を確認します。屋外設備は、雨水、紫外線、塩分、粉じん、寒暖差などの影響を受けるため、外観上は小さな腐食でも、取付金具や端子部へ進行していないかを確認します。
機械式表示で数字が途中に止まっているように見える、複数の数字が重なって見える、桁がそろっていない場合は、表示機構の位置ずれや固着の可能性があります。ただし、確認角度、窓の傷、反射による見え方の違いもあるため、正面から読み取り、照明条件を変え、過去写真と比較します。運転中の機器をたたいたり、強い振動を与えたりして表示を動かそうとしてはいけません。
取付状態では、本体の傾き、取付金具の緩み、ボルトの脱落、振動跡、周囲構造物との接触を確認します。取付方向が指定されている機器では、向きや傾きが機械式機構の動作や防水性に影響する可能性があります。復旧時は、設備図面と取扱説明書に示された方向へ戻します。
端子周辺の黒ずみ、変色、溶融跡、腐食生成物、放電痕は、接触不良、腐食、過熱、異常放電を疑う材料になります。ただし、外観だけで原因を断定せず、停電点検の対象として記録します。運転中に触れたり、その場で増し締めしたりする行為は避けます。
遠隔表示や補助接点を備える構成では、本体表示と遠隔側の値や信号が一致するかも確認します。本体は増えているのに遠隔側が変化しない場合は、補助接点、信号線、端子箱、入力回路、通信経路などに原因がある可能性があります。反対に、遠隔側だけが変化した場合も、信号処理や記録側の誤りを含めて切り分けます。
写真は、同じ方向、距離、画角で撮影すると経年比較がしやすくなります。筐体全体、表示部、上側端子、下側端子、取付部、接地線の順に撮影位置を統一し、設備番号が分かる写真も残します。
確認方法3 配線と接地経路の状態を確認する
三つ目の確認方法は、サージカウンターを含む配線と接地経路の確認です。サージカウンターは、設計上想定された電流経路に正しく組み込まれていなければ、内部機構が正常でも計数できません。最初に、単線結線図、接地系統図、機器接続図、施工記録と現物を照合します。
避雷器の接地端子からサージカウンターを経由し、所定の接地系統へ接続されているかを確認します。更新工事や改修工事で接地線が追加され、意図せずカウンターを迂回する経路ができていないかも確認します。ただし、構成は設備ごとに異なるため、一般的な接続例だけで誤配線と判断せず、設計図書と機器仕様を優先します。
構成によっては、避雷器の取付部を絶縁し、接地側電流を監視機器へ導く設計が採用されます。その場合、絶縁部の汚損、湿潤、金属片の付着、植物や仮設材の接触などによって、意図しない並列経路が生じる可能性があります。絶縁台や支持部のひび割れ、表面汚損、導電性異物の付着を確認します。
ただし、サージカウンターを通過させることだけを目的に、既存の接地線を安易に取り外したり、接地経路を変更したりしてはいけません。接地は設備の安全と保護性能に直接関係します。図面と現物が一致しない場合は、設計意図、接地方式、避雷器の構造、保安上必要な接続を確認し、電気保安を担当する関係者と対応を決めます。
端子部では、ボルトやナットの緩み、導体のほつれ、圧着部の抜け、腐食、断線、過熱による変色を確認します。締付確認や導通測定は、設備を安全な状態にしたうえで、指定された締付方法と測定手順に従います。外観上の緩みが疑われても、運転中に工具を近づけて確認してはいけません。
接地導体の取り回しでは、不必要に長い経路、急な折れ曲がり、緩んだループ、他導体との不自然な共締めや束ね方がないかを確認します。サージ電流は急峻に変化するため、接地経路の形状や接続状態は保護性能に影響し得ます。サージカウンターだけでなく、避雷器から接地点までの経路全体を確認します。
停電状態で導通を測定する場合は、測定対象の範囲と並列経路を明確にします。別の接地経路が残ったままでは、どの経路の導通を測っているのか分からない場合があります。一方、測定のために外した接地線を復旧し忘れると重大な危険につながります。取り外し箇所を識別し、復旧確認を作業手順とチェック記録に組み込みます。
サージカウンターや漏れ電流監視回路を含む回路へ絶縁抵抗測定や耐電圧試験を行う場合は、試験電圧による損傷を避けるため、切離しの要否と接続方法を事前に確認します。機器ごとに許容される試験方法が異なるため、一般的な測定方法を無条件に適用せず、取扱説明書や試験要領を優先します。
配線や接地経路に異常が見つかった場合は、サージカウンター本体を交換する前に、その異常が表示停止や誤計数の原因になっていないかを切り分けます。迂回経路や接続不良を残したまま本体だけを交換しても、正常な監視状態を回復できない可能性があります。
確認方法4 所定の動作試験で計数機能を確認する
四つ目の確認方法は、機器ごとに認められた動作試験によって計数機能を確認することです。過去記録、外観、配線に明確な異常がなくても、内部の検出回路や表示機構が正常に動作するとは限りません。特に、長期間表示値が変化せず、周辺記録との不整合が続く場合は、試験の要否を検討します。
すべてのサージカウンターに共通する現地試験方法があるわけではありません。専用試験器、試験端子、接続方向、印加条件、合否基準は機種によって異なります。取扱説明書に現地試験方法が示されていない場合や、設備からの切離し方法が不明な場合は、任意の電圧や電流を加えず、製造元または専門技術者へ確認します。監視機器の機能範囲自体も製品により異なります。シーメンスエナジー+1
試験前には、対象設備の停止範囲と電源経路を確認し、開路、施錠、作業中表示、検電、残留電荷の放電、必要な短絡接地を行います。避雷器や試験回路には停止後も電荷が残る可能性があるため、接続と取り外しの両方で安全確認が必要です。試験器自体にも蓄積電荷が残る構造があるため、使用手順に従います。職場のあんぜんサイト+1
試験開始前に、サージカウンターの表示値を記録し、写真を残します。試験器の識別情報、設定、接続方向、試験回数、試験者、立会者も記録します。試験後は表示値を再確認し、機器の試験要領で定められた増加数や指示結果になっているかを判定します。
一回の試験入力に対して一回計数することが仕様で定められた機器で、表示が全く増えない場合は、試験器の出力、接続方向、接触状態、試験リードを確認します。それらに問題がなく、同じ結果が再現する場合は、検出部や計数機構の不具合を疑います。反対に、仕様上の入力回数を超えて増える場合は、接続の不安定、試験器の出力状態、表示機構の不具合を調べます。
機械式表示では、内部の動作音が聞こえても数字が完全に切り替わらない場合があります。音だけで合格とせず、表示値の変化を確認します。数字が途中で止まる、桁送りが不自然、同じ条件で結果が再現しない場合は、内部機構の固着や摩耗の可能性を記録します。
漏れ電流表示を備える機器では、サージ計数と漏れ電流指示を別の機能として確認します。計数が正常でも指示回路に異常がある場合があり、指示が正常でも計数部が正常とは限りません。また、表示される漏れ電流が総漏れ電流か抵抗分漏れ電流かによって評価方法が異なるため、表示項目を確認します。
試験後は、仮配線を撤去し、取り外した接地線や信号線を確実に復旧します。端子の締付状態、接続方向、導体の取り回し、工具や短絡線の置き忘れを確認します。試験によって表示値が増えた場合は、次回点検で実サージによる増加と誤認しないよう、試験増加分を記録します。
確認方法5 避雷器と周辺設備の記録を照合する
五つ目の確認方法は、サージカウンターを単独で評価せず、避雷器本体、周辺設備、気象情報、運転記録を照合することです。表示値が増えた理由や、増えるはずと考えた期間に変化しなかった理由を検討するには、対象期間に設備で何が起きたのかを確認する必要があります。
まず、避雷器本体の外観を確認します。外被のひび割れ、欠け、変形、著しい汚損、放電痕、端子部の変色、接地導体の損傷、取付部の緩みなどがないかを点検します。異常音、異臭、局部的な変色が確認された場合は、サージカウンターの表示だけで運転継続を判断せず、設備の保安規程と重要度に応じて詳細点検や停止判断を検討します。
漏れ電流を表示する監視機器がある場合は、現在値だけでなく過去の推移を確認します。漏れ電流は、印加電圧、周囲温度、湿度、表面汚損、測定方式などの影響を受けます。異なる条件で得た値を単純比較せず、できるだけ同じ運転条件、同じ測定方法で記録し、急激な変化や相間の偏りを確認します。
三相に同一仕様の避雷器とサージカウンターが設置されている場合は、各相の表示値、漏れ電流、外観状態を比較します。各相の回数が必ず一致するとは限りませんが、一相だけ増加傾向が大きく変わった、一相だけ長期間変化しないといった場合は、配線、カウンター、避雷器、周辺絶縁物を詳しく確認します。
設備の警報記録、保護装置の動作記録、開閉操作記録、停電履歴も照合します。サージカウンターの増加時期と系統事故や復旧操作の時期が重なれば、開閉に伴う過電圧や事故時の過渡現象が関係した可能性があります。ただし、累積表示だけの機器では正確な発生時刻が分からないため、点検間隔が長いほど原因の特定は難しくなります。
雷雨後は、現場での雷鳴、停電、警報の報告、近隣設備の記録も参考にします。近接する複数設備で同じ期間に増加していれば、広い範囲で雷の影響を受けた可能性があります。一台だけ増えている場合は、架空線やケーブルの構成、設備位置、接地状態、周辺構造物など、局所的な条件を確認します。
赤外線による温度確認を行う場合は、設備の安全手順を守り、避雷器本体や端子部に不自然な温度差がないかを確認します。測定距離、表面状態、日射、風、負荷状態によって見かけの温度が変わるため、単一の温度だけで異常を断定せず、同じ条件で隣接相や過去記録と比較します。
サージカウンターが増えている一方で、避雷器の外観、漏れ電流、温度、運転記録に異常が見られない場合は、正常な保護動作の履歴である可能性があります。反対に、カウンターが増えていなくても、避雷器の外観や漏れ電流に異常が見られる場合は、表示値を根拠に避雷器を正常と判断してはいけません。
最終判定では、サージカウンター本体の異常、避雷器本体の異常、接続回路の異常、周辺設備で発生した事象、記録上の不整合を分けて整理します。確認できた事実と推定を区別して記録すると、次の点検、修理、交換計画につなげやすくなります。
サージカウンターの異常判定を誤らないための注意点
サージカウンターの点検で起こりやすい誤りは、累積回数をそのまま避雷器の寿命として扱うことです。避雷器が受ける電気的ストレスは、動作回数だけでは決まりません。通過電流の大きさ、波形、継続時間、繰り返し条件などによって影響が異なるため、回数だけで交換時期を決めず、避雷器の仕様、設置年数、点検結果、漏れ電流、事故履歴を総合して判断します。
反対に、表示値が増えていないことを根拠に、避雷器が一度も動作していないと断定するのも適切ではありません。カウンターの検出条件に達しない電流は記録されない可能性があり、接地経路の一部が迂回している場合や、内部機構が故障している場合も表示は増えません。
隣接相との回数差も、差があるだけで異常とは限りません。雷や過渡現象が各相へ同じ状態で加わるとは限らず、配線配置や系統条件によって動作状況が異なる場合があります。過去からの傾向が変化しているか、他の点検結果と矛盾していないかを確認します。
表示窓が汚れている場合は、内部故障と決めつける前に、安全な方法で外面の汚れを除去し、照明や確認角度を変えて読み取ります。ただし、筐体を分解したり、封止部を開放したりすると、防水性や絶縁性を損なう可能性があります。内部確認が必要な場合は、機器の保守要領に従います。
漏れ電流表示がある場合も、指示値の高さだけで避雷器の劣化を断定しません。表示項目、測定方式、運転電圧、温度、湿度、表面汚損の影響を確認し、同条件に近い過去データと比較します。総漏れ電流と抵抗分漏れ電流を混同しないことも重要です。
試験が不合格だった場合は、サージカウンター本体の故障だけでなく、試験器の設定、接続方向、端子接触、試験リード、試験手順を確認します。一回の結果だけで結論を出さず、安全を確保したうえで所定の方法により再確認します。それでも異常が再現する場合は、交換または詳細調査の対象とします。
サージカウンターの異常を発見しても、避雷器の接地経路を開放したまま運転を再開してはいけません。監視機能よりも、避雷器と接地系統の安全な接続を確保することが優先されます。修理や交換を直ちに実施できない場合は、設備管理者と電気保安を担当する関係者が、運転条件、監視頻度、停止計画を協議します。
異常を発見したときの対応手順
異常を発見したときは、設備の安全へ直結する異常か、記録機能を中心とした異常かを切り分けます。避雷器の破損、接地線の断線、端子部の著しい過熱、放電痕、異臭、異音などが確認された場合は、表示不良だけの場合より緊急性が高いと考えられます。現場の保安規程と設備重要度に従い、必要に応じて停止や負荷移行を検討します。
表示窓の軽い汚れや過去記録の不足だけであれば、直ちに設備停止が必要とは限りません。ただし、表示値が読めない状態を放置すると、その期間の動作履歴を追跡できません。清掃、再確認、交換の時期を決め、期限と担当者を記録します。
接続部の緩み、腐食、配線損傷が疑われる場合は、運転中に触れず、停電作業として計画します。作業範囲には、サージカウンターだけでなく、避雷器、接地導体、取付部、周辺端子を含めます。必要な交換部材、測定器、試験器、復旧確認方法を事前に準備します。
動作試験で不合格となった場合は、試験条件と接続を再確認したうえで、交換の要否を判断します。交換品は外観や端子形状だけで選ばず、適用する避雷器、検出条件、設置環境、取付方向、絶縁性能、端子構造、漏れ電流表示や遠隔出力の有無を確認します。
交換前の累積値は必ず記録し、新しいサージカウンターの初期値と識別情報を残します。管理上、旧カウンターの値を引き継いだ累積値を用いる場合は、現物表示と台帳上の累積値が異なることを明確にします。交換日、交換理由、旧表示値、新表示値、試験結果、作業者、復旧確認者を設備台帳へ登録します。
異常原因が接地経路の迂回、配線方法、施工不良だった場合は、同時期に同じ設計や施工方法で設置された設備も確認します。一台で見つかった問題が複数設備に共通している可能性があるためです。個別修理だけで終わらせず、類似設備へ水平展開します。
対応後は、原因、処置、未解決事項、再確認時期を記録します。部品交換によって表示が正常になっても、接地回路や避雷器本体の確認が不十分であれば、原因を解消したとは限りません。処置後の動作試験と復旧確認を行い、次回点検で追跡できる状態にします。
点検記録を標準化して異常の早期発見につなげる
サージカウンターの異常を早期に見抜くには、点検者の経験だけに頼らず、記録項目と確認方法を標準化することが重要です。点検のたびに記録内容が変わると、前回値との比較が難しくなり、小さな変化を見逃しやすくなります。
記録には、設備名称、設置場所、相、避雷器の識別番号、サージカウンターの識別番号、点検日時、点検者、現在値、前回値、増加数、前回点検からの日数を含めます。さらに、天候、周囲温度、湿度、雷雨や停電の履歴、外観状態、配線状態、漏れ電流、動作試験結果、写真番号、判定、対応期限を残すと、原因調査に役立ちます。
写真は、表示値の拡大だけでなく、設備全体の中で対象機器の位置が分かるものも残します。全景、設備番号、表示部、上側端子、下側端子、接地線、取付部の順に記録すると、写真と台帳を照合しやすくなります。
表示値の読み取りでは、先頭のゼロの扱い、桁の途中表示の記録方法、判読不能時の記号、試験による増加分の記録方法を決めます。点検者ごとに扱いが異なると、同じ値でも別の値として登録される可能性があります。
異常判定は、正常、経過観察、計画補修、早期対応、緊急対応など、設備管理に適した区分を定めます。単に異常ありと記録するのではなく、表示不鮮明、筐体腐食、接地線損傷、遠隔表示不一致、動作試験不合格など、異常の種類を明確にします。
経過観察とした場合は、次に確認する時期または条件を決めます。雷雨後に再確認する、次回月例点検で確認する、次回停電点検で動作試験を行うなど、具体的な期限を設定します。期限のない経過観察は、実質的な放置になりやすいためです。
点検データを時系列で管理すると、累積値の急増、長期間の不変、相間差の拡大、漏れ電流の変化を把握しやすくなります。前回値より小さい値が入力された場合や、通常傾向から大きく外れた増加があった場合に再確認する仕組みも有効です。
屋外に分散する配電設備では、設備位置と点検記録の対応付けも重要です。設備名称が似ている場合や、広い構内に同型設備が複数ある場合は、位置情報、現場写真、周辺状況を一体で記録すると、別設備への誤登録を減らせます。
LRTK Phoneは、サージカウンターの電気的な良否を直接判定する試験器ではありません。一方、屋外設備の位置情報、現場写真、三次元点群などを関連付けて記録できるため、設備台帳と現場情報の照合、点検対象の取り違え防止、関係者間の情報共有を補助する用途が考えられます。高精度な絶対座標や位置情報付き点群を扱える機能は公式情報でも案内されていますが、実際の精度は衛星受信環境、補正情報、測位状態、計測方法などに左右されるため、現場条件に応じた精度確認が前提です。レフィクシア株式会社+1
まとめ
配電設備のサージカウンター異常を見抜くには、表示値だけでなく、五つの視点から総合的に判断することが重要です。
一つ目は、過去記録と現在値を照合し、急増、長期間の不変、説明できない値の減少などがないかを確認することです。二つ目は、表示窓の曇り、筐体の破損、腐食、取付部の緩み、端子周辺の変色など、外観上の異常を確認することです。
三つ目は、避雷器からサージカウンターを含む接地経路を確認し、断線、接続不良、意図しない迂回経路がないかを調べることです。四つ目は、設備を安全な状態にし、機器ごとに定められた試験器と手順を使用して、計数機能や表示機能を確認することです。
五つ目は、避雷器本体の外観、漏れ電流、相間比較、警報記録、開閉履歴、雷雨の記録などを照合し、カウンターの不具合と実際の保護動作を切り分けることです。
サージカウンターの累積回数は重要な情報ですが、それだけで避雷器の劣化や寿命を断定することはできません。現在値、増加傾向、外観、配線と接地経路、動作試験、周辺設備の情報を組み合わせ、確認できた事実と推定を分けて記録します。
端子の確認、配線の取り外し、測定、動作試験は、設備固有の手順に従って停電状態を確認し、必要な放電や短絡接地などの安全措置を行ったうえで実施します。異常を発見した場合は、監視機能だけの問題なのか、避雷器や接地経路の安全性に関係する問題なのかを切り分け、緊急度に応じた対応を決めます。
点検記録を標準化し、設備位置、表示値、写真、試験結果を継続的に蓄積すれば、小さな変化を捉えやすくなります。LRTK Phoneなどを用いて設備位置や現場状況を台帳と関連付ける場合も、電気的な良否判定は専用の点検と試験で行い、位置情報や三次元記録は保守管理を補助する情報として活用することが重要です。