配電設備の接地抵抗が高いときに最初に確認すべきこと
配電設備の接地抵抗を測定した際、過去の測定値や設備ごとの管理値より高い結果が出ることがあります。このとき、接地極が腐食した、接地線が断線したとすぐに判断するのは早計です。実際の接地性能が低下している場合だけでなく、測定方法、補助接地極の配置、測定リードの接触、周辺設備からの誘導、土壌の乾燥などによって、見かけ上高い値が表示されることがあるためです。
接地抵抗の原因を特定するには、表示された数値だけを見るのではなく、どの設備を、どの接続状態で、どの方法によって測定したのかを整理する必要があります。同じ接地極でも、他の接地極や建物鉄骨と連結された状態で測定した場合と、切り離して単独測定した場合では、得られる値の意味が異なります。
測定時期も重要です。接地抵抗は土壌の水分量や温度の影響を受けます。降雨後の湿った地盤で測定した値と、雨が少ない時期の乾燥した地盤で測定した値を単純に比較すると、設備の劣化ではない変化を異常と判断する可能性があります。
配電設備の接地は、感電防止、異常電圧の抑制、保護装置を適切に働かせるための電流経路確保、雷やサージへの対策、電子機器の基準電位安定など、複数の目的に関係します。ただし、必要となる接地方式や抵抗値は、設備の電圧、用途、接地工事の区分、保護方式、設計仕様によって異なります。一般的な目安だけで合否を決めず、対象施設に適用される法令、技術基準、保安規程、設計図書、メーカーの保守要領などを確認することが欠かせません。
また、接地線を切り離す作業には重大な危険があります。運転中の保護接地を外すと、漏電や絶縁劣化が発生した際に機器外箱が危険な電位となるおそれがあります。原因調査のために切り離しが必要な場合は、停電範囲、他電源からの回り込み、誘導電圧、雷サージの可能性まで確認し、設備管理者の承認を得た安全な作業計画に基づいて実施します。
確認手順1:測定対象と判定基準を明確にする
最初の確認手順は、何の接地抵抗を測っているのかを明確にすることです。配電設備には、変圧器の中性点に関係する接地、配電盤や機器外箱の保護接地、避雷設備に関係する接地、電子機器の機能接地など、目的の異なる接地系統が存在する場合があります。
接地端子盤で複数の接地線がまとめられている施設では、端子の表示と実際の接続先が一致していないこともあります。設備の増設や改修を繰り返した現場では、図面に記載されていない接地線が追加されていたり、本来は分離されていた接地系統が連結されていたりすることもあります。
まずは単線結線図、接地系統図、施工図、竣工時の試験成績書、過去の点検記録を確認します。接地極の種類、本数、埋設位置、接地線の経路、試験用端子の位置、他の接地系統との連結点を整理し、今回の測定範囲を図面上で明確にします。
次に、測定結果を何と比較するのかを決めます。法令や技術基準に基づく値、設計仕様で定めた値、保安規程上の管理値、竣工時の初期値、過去数年間の実測値は、それぞれ意味が異なります。現在の測定値が法令上の条件を満たしていても、竣工時から継続的に上昇している場合は、腐食や接続不良が進んでいる可能性があります。
反対に、前回値より高くなっていても、前回と今回で測定方法や接続状態が異なれば、単純な劣化とは判断できません。前回は他の接地極と連結した状態、今回は単独に近い状態で測定していた場合、正常な接地極でも今回の値が高くなることがあります。
測定記録には、対象設備名、接地極の識別番号、測定位置、接続状態、測定方法、判定基準、前回値、測定日時、天候、直近の降雨状況、設備の運転状態を記載します。この条件整理を先に行うことで、調査中に数値だけを追いかけ、原因を誤って判断する事態を防げます。
測定対象を明確にした後は、現在の状態でどこまで切り分けられるかを検討します。運転中で接地線を切り離せない場合は、接地システム全体として評価するのか、停電日に接地極単体の測定を行うのかを決めます。原因特定を急ぐあまり、保護機能を一時的に失わせる作業を行ってはいけません。
確認手順2:測定器と測定方法が適切か確認する
二つ目の確認手順は、使用する測定器と測定方法が対象設備に適しているかを確認することです。接地抵抗の測定には、補助接地極を使用して試験電流と電位差から求める方法、既知の接地経路を利用する簡易的な方法、複数の接地経路で構成されるループを利用する方法などがあります。
どの方法でも同じ接地抵抗を測定できるわけではありません。測定方法にはそれぞれ適用条件があり、その条件を満たしていなければ、表示値が安定していても目的とする接地抵抗を示していない可能性があります。
補助接地極を使用する方法は、測定対象の接地極から土壌へ試験電流を流し、そのときの電位差を測定して抵抗を求める方法です。接地極単体の状態を確認しやすい一方で、補助接地極を適切な位置へ設置できる空間が必要です。敷地が狭い、全面が舗装されている、地下埋設物が多いといった現場では、測定条件を確保しにくいことがあります。
複数の接地経路で形成されるループを利用する方法は、対象の接地極とは別に電流が戻る経路が存在することを前提とします。独立した単独接地極には適用できません。また、測定結果には接地極単体だけでなく、ループを構成する他の接地経路の影響が含まれるため、値の意味を理解したうえで使用する必要があります。
既知の接地を利用する簡易的な測定も、相手側の接地抵抗や配線抵抗を含むことがあります。日常点検で大きな変化を見つける用途には役立ちますが、接地極単体の正確な値を求める調査では、測定結果の解釈に注意が必要です。
測定前には、測定器の外観、端子、電池残量、測定リード、接続クリップを確認します。リードの被覆に傷がないか、内部で断線していないか、プラグが端子へ確実に挿入されているかを確認します。接地抵抗が高く表示された場合は、別のリードへ交換したり、別の測定器で照合したりすることで、測定系の異常を切り分けられます。
測定器の校正や点検の有効期間も確認します。校正期限を過ぎているから必ず誤差が大きいとは限りませんが、測定結果の信頼性を説明できなくなります。重要な配電設備の判定に使用する場合は、定められた管理手順に従って点検された測定器を使用します。
配電設備の周辺には、漏れ電流、迷走電流、誘導電圧、高調波などが存在することがあります。これらの影響を受けると、測定値が安定しない、測定のたびに大きく変わる、測定器が警告を表示するといった現象が発生します。
値が不安定な場合は、負荷の運転状態、周辺設備の稼働状況、測定リードの経路を記録します。時間帯を変える、負荷停止後に測定する、リードを電力ケーブルから離す、別の測定方法で比較するなどの対応により、外来ノイズの影響を判断しやすくなります。
確認手順3:補助接地極と測定リードの設置状態を確認する
三つ目の確認手順は、補助接地極の配置と測定リードの状態を確認することです。接地極そのものが正常でも、補助接地極が近すぎる、打ち込みが浅い、乾燥した表層にしか接触していない、測定端子の接触が不十分といった理由で、高い値や不安定な値が表示されることがあります。
補助接地極を使用する測定では、測定対象の接地極、電位測定用の補助接地極、試験電流用の補助接地極の位置関係が重要です。補助接地極が測定対象の接地極に近すぎると、それぞれの電位分布が重なり、正しい接地抵抗を求めにくくなります。
十分な距離を確保したつもりでも、大型の接地網、環状に施工された接地極、建物基礎を利用した接地などでは、影響範囲が広くなることがあります。一般的な棒状接地極と同じ感覚で補助接地極を配置すると、距離が不足する可能性があります。
配置の妥当性を確認するには、電位測定用の補助接地極を基準位置の前後へ移動させて再測定します。位置を少し変えても測定値が大きく変化しない範囲が得られれば、測定条件が比較的安定していると判断しやすくなります。移動するたびに値が大きく変わる場合は、補助接地極の距離不足、地下埋設物、地盤の不均一、他の接地極の影響などを疑います。
接地極から一方向だけに配置した結果が不安定な場合は、設置可能な範囲で方向を変えて測定します。地中の金属配管、鉄筋コンクリート構造物、地下ケーブル、他の接地極が測定方向に存在すると、試験電流の流れ方が変化することがあるためです。
補助接地極の土壌への接触も確認します。砂利や砕石の上から浅く差しただけでは、十分な接触が得られない場合があります。乾燥した地盤では補助接地極の抵抗が高くなり、測定器が正常に試験電流を流せないことがあります。
補助接地極周辺の接触を改善するために一時的に湿らせる場合は、測定対象となる接地極の周辺を湿らせる行為と明確に区別します。補助接地極の接触改善は測定を成立させるための対応ですが、測定対象の周辺だけを湿らせると、通常時とは異なる低い値になる可能性があります。実施した条件は記録へ残します。
測定リードは巻いたまま使用せず、できる限り伸ばして配置します。大電流が流れる電力ケーブルや母線に沿って長距離を並行させると、誘導の影響を受けやすくなります。交差させる必要がある場合は、並行区間を短くし、可能な範囲で離隔を取ります。
接続クリップが塗膜、泥、さび、酸化皮膜の上から挟まれていないかも確認します。外観上は接続されていても、金属導体へ十分に接触していなければ、接触抵抗が測定値へ加わります。測定端子を清掃し、安定した部分へ確実に接続します。
リードが扉に挟まれている、車両に踏まれている、人の移動によって引っ張られているといった状態も、値の変動や断線の原因になります。測定場所の立入管理を行い、リードを保護したうえで測定します。
確認手順4:接地線と接続部の導通状態を確認する
四つ目の確認手順は、測定点から接地極までの接地線と接続部を確認することです。地中の接地極が良好でも、接地線の断線、端子の緩み、圧着部の劣化、腐食によって、配電設備から見た接地抵抗が高くなることがあります。
最初に、接地端子盤、試験用端子、盤内接地端子、接地線の露出部分を目視します。端子の緩み、素線切れ、変色、緑青、赤さび、白色の腐食生成物、過熱痕、浸水跡がないかを確認します。接地線が引っ張られていないか、扉や鋼材との接触によって被覆が傷んでいないか、改修工事で切断または移設されていないかも調べます。
接地端子がボルトで締結されていても、接触面に塗膜、さび、汚れが残っていると十分な導通が得られない場合があります。金属製の盤や鉄骨を接地経路として利用している部分では、絶縁性の塗装、シール材、ワッシャーなどが導通を妨げていないか確認します。
異種金属が接続されている部分では、湿気や塩分の影響によって局部的に腐食が進むことがあります。屋外設備、地下ピット、沿岸部、薬品を扱う施設では、端子表面だけでなく、接続材料の組み合わせと防食処理の状態も確認する必要があります。
導通確認は、対象設備を安全な状態にしたうえで、接地線を区間ごとに測定します。一般的な導通確認だけでは、接続部のわずかな抵抗増加を判断しにくいことがあります。原因調査では、低い抵抗を測定できる方法を用い、測定リード自身の抵抗や接触抵抗を考慮します。
同じ区間を複数回測定して値が安定するかを確認することも重要です。測定クリップをわずかに動かしただけで値が大きく変わる場合は、測定点の表面状態や接続部に問題がある可能性があります。
特に注意したいのが、接地線が地中へ入る地際部分です。地表付近は水分と酸素の影響を受けやすく、土壌と大気の境界、コンクリートと土壌の境界、保護管の端部などで腐食が進むことがあります。外から見える部分が正常でも、地際の内部で導体断面が減少している場合があります。
保護管へ接地線を通している場合は、管内への浸水、排水不良、端部の擦れも確認します。管の中で腐食や断線が発生していると、外観から異常を判断できません。必要に応じて部分的な掘削や接地線の更新を検討します。
端子の増し締めだけで改善を図る場合も注意が必要です。腐食した接続部を強く締めても、安定した導通が回復するとは限りません。過度な締付けによってボルトや端子を損傷することもあります。接続材料に適した締付条件を確認し、腐食が進んでいる部品は交換します。
接続部を修理した後は、接地線の区間抵抗と接地システム全体の抵抗を再測定します。一時的に値が下がっても、浸水や腐食環境が残っていれば再発する可能性があります。端子交換に加えて、防水、防食、排水、機械的保護まで含めて対策します。
確認手順5:接地極の施工状態と経年劣化を確認する
五つ目の確認手順は、接地極の施工状態と経年劣化を確認することです。接地抵抗は、接地極の材質、形状、長さ、埋設深さ、本数、配置間隔、土壌との接触状態によって変わります。
竣工時から接地抵抗が高い場合は、接地極の容量不足、施工深さの不足、岩盤への到達、埋戻し不良、地盤条件の見込み違いなどが考えられます。施工直後は良好だったものの、年数の経過とともに上昇した場合は、接地極や連結線の腐食、接続部の劣化、周辺環境の変化を疑います。
ある時点から急に高くなった場合は、掘削工事による接地線の切断、重機による損傷、接地端子の取り外し忘れなど、局所的な異常を優先的に確認します。測定値の変化が急なのか緩やかなのかによって、想定する原因を切り分けられます。
施工図や竣工写真が残っている場合は、接地極の位置、本数、深さ、連結方法を確認します。図面上で複数の接地極が記載されていても、実際には施工条件の都合で位置が変更されている可能性があります。現地表示や試験端子の位置だけで判断せず、可能な範囲で施工記録と照合します。
複数の接地極を増設すれば、必ず本数に比例して抵抗が低下するわけではありません。接地極同士の間隔が狭いと、それぞれの電位分布が重なり、追加した接地極の効果が小さくなるためです。過去に接地極を増設した現場では、狭い範囲へ集中して施工されていないかを確認します。
接地極の腐食は、土壌の水分、酸性度、塩分、温度、異種金属との接続、迷走電流などの影響を受けます。地表から見える引出し部分が正常でも、地中部分で減肉していることがあります。接地抵抗の経年変化、施工年数、周辺環境、接地線の状態を組み合わせて判断します。
接地極の位置が不明な場合は、推測だけで掘削してはいけません。地下には電力ケーブル、通信線、ガス管、水道管、排水管などが埋設されている可能性があります。埋設物情報を確認し、必要な探査と作業許可を行ったうえで調査します。
周辺の造成や建築工事も接地性能へ影響します。舗装の追加、盛土、地盤改良、排水設備の新設、建物の増築によって、接地極周辺の水分や土質が変化することがあります。以前は湿潤だった地盤が乾燥しやすくなれば、接地極に損傷がなくても抵抗が上昇する可能性があります。
接地極の更新や増設を検討する場合は、抵抗値だけでなく施工性と保守性も考慮します。将来点検できない位置へ埋設すると、再び異常が発生した際に原因特定が難しくなります。試験端子、区分点、位置表示を設け、接地極単体を確認しやすい構成とすることが重要です。
確認手順6:土壌条件と季節変動の影響を確認する
六つ目の確認手順は、接地極周辺の土壌条件と季節変動を確認することです。接地抵抗は接地極の金属部分だけで決まるものではなく、接地極から周囲の土壌へ電流が広がる際の抵抗に大きく左右されます。
土壌が乾燥すると、一般に接地抵抗は高くなりやすくなります。反対に、降雨によって土壌の水分が増えると、測定値が低下することがあります。寒冷地では、地表付近の凍結によって抵抗が上昇する場合もあります。
測定日の天候だけでなく、直近数日から数週間の降雨状況を確認します。当日が晴天でも、その前にまとまった雨が降っていれば地中は湿っている可能性があります。反対に、晴天が長く続いた後は、普段より高い値が出ることがあります。
前回の測定値と比較する場合は、測定月が同じであるだけで条件が同じとは限りません。同じ季節でも、降雨量、気温、地下水位、排水状態が異なります。過去記録に天候しか残っていない場合は、比較の精度に限界があることを認識する必要があります。
土質も接地抵抗へ影響します。粘性土、砂質土、砕石層、岩盤、盛土、地盤改良部などでは、電気的な性質が異なります。造成地では、わずかな位置の違いで埋戻し材や締固め状態が変わることもあります。
接地極の上部が湿っていても、深い部分が乾燥している場合があります。反対に、表層が乾燥していても、接地極が地下水位に近い深部へ到達していれば、比較的安定した性能を維持できる場合があります。地表の見た目だけで土壌条件を判断せず、地盤資料や施工記録と照合します。
季節変動を切り分けるには、同じ接地極を異なる時期に同じ方法で測定します。また、同じ時期に同様の構造を持つ複数の接地極を測定し、変化の傾向を比較する方法もあります。
複数の接地極が同時に高くなっている場合は、乾燥や地下水位低下など、施設全体に共通する土壌条件が影響している可能性があります。特定の接地極だけが高くなっている場合は、その接地極の腐食、断線、局所的な地盤変化を優先的に疑います。
ただし、構造、深さ、設置場所が異なる接地極同士を単純に比較することはできません。比較する際は、接地極の種類、施工年、接続状態、測定方法を確認します。
測定値を下げる目的で接地極周辺へ一時的に散水しても、恒久的な改善にはなりません。水分が失われれば再び抵抗が上がる可能性があります。塩類などを無計画に投入する方法も、接地極の腐食促進や周辺環境への影響が懸念されるため、安易に採用すべきではありません。
季節変動が大きく、乾燥期に必要な性能を確保できない場合は、接地極の深さ、配置、本数、方式を見直します。必要に応じて土壌抵抗率を調査し、より安定した地層を利用できる施工方法を検討します。
確認手順7:並列接地経路を整理して区間ごとに再測定する
七つ目の確認手順は、並列接地経路を整理し、区間ごとに再測定することです。配電設備の接地系統は、接地極だけでなく、建物鉄骨、金属配管、ケーブルの金属遮へい、他の接地極、等電位化用の接続線などを通じて複数の経路を形成している場合があります。
これらが接続された状態で測定すると、複数の接地経路が並列となり、接地極単体より低い値が表示されることがあります。前回は並列経路を含む状態で測定し、今回は改修によって一部の経路が外れた状態で測定していれば、接地極自体に劣化がなくても値は高くなります。
反対に、接地線や連結線が断線し、以前利用できていた並列経路が失われたことで、接地システム全体の抵抗が上昇する場合もあります。接地抵抗が高くなったときは、接地極単体だけでなく、接地システムの構成が以前と変わっていないかを確認します。
まず、接地系統図に現在の接続状態を書き込みます。接地端子盤、連結バー、盤間接地線、鉄骨への接続、他系統との接続点を現地で確認し、測定値に含まれる経路を整理します。
次に、試験可能な区間ごとに接地線の導通と抵抗を測定します。複数の接地極がある場合は、設備を安全に停止し、所定の手順によって切り分けたうえで、それぞれの接地極を測定します。単独時の値と連結時の値を比較すると、どの経路が全体の接地性能へ寄与しているかを判断しやすくなります。
ただし、運転中の保護接地を切り離すことはできません。設備が停止している場合でも、別系統からの回り込み、非常用電源、自家発電設備、誘導電圧、雷サージなどの危険を確認する必要があります。
切り離し作業は、作業許可、停電、施錠管理、検電、放電、必要な接地、復旧確認を含む現場の安全手順に従います。調査担当者の判断だけで連結バーや接地線を外してはいけません。
区間ごとの再測定では、測定方法、補助接地極の位置、測定リードの配置、天候条件をできる限りそろえます。条件が変わると、区間を切り離した影響なのか、測定条件の影響なのか判断できなくなるためです。
ある接地線を外したときだけ値が大きく変わる場合は、その経路が全体の抵抗へ強く影響していると考えられます。接地極単体の抵抗が高く、接地線の区間抵抗も高い場合は、原因が複数存在する可能性があります。一つの接続部を修理して値が改善しても、他の劣化箇所が残っていないか確認します。
並列接地経路を整理することは、接地抵抗の原因特定だけでなく、接地設計の妥当性を確認する機会にもなります。等電位化のために確実な連結が必要な設備がある一方で、機能接地の構成によっては不要な循環電流やノイズを避ける検討が必要な場合もあります。保護接地と機能接地を現場判断で分離または連結せず、設計条件に基づいて対応します。
接地抵抗が急に高くなった場合の原因の絞り方
前回までは安定していた接地抵抗が、今回の測定で急に高くなった場合は、短期間で発生しやすい異常から確認します。接地極全体が短期間で均一に劣化するよりも、測定条件の違い、接地線の断線、端子の取り外し、工事による損傷などが原因となっている可能性が高いためです。
最初に、前回と今回の測定方法、測定位置、補助接地極の配置、接続状態を比較します。担当者が変わった場合や、点検要領が更新された場合は、測定方法が変化していることがあります。
次に、接地端子盤の連結バー、試験端子、盤内接地線を確認します。点検や改修のために外した接続が復旧されていない、端子が仮締めのまま残っている、接地線が別の端子へ誤接続されているといった事例も考えられます。
施設内や周辺で掘削、舗装、配管、基礎工事が行われていないかも確認します。接地線や連結線は地中に埋設されているため、工事担当者が存在を把握していなければ、重機や掘削によって損傷することがあります。
落雷、浸水、火災、設備故障などの履歴も確認します。大きな雷電流が流れた後は、接続部の損傷や接地線の断線が発生している可能性があります。地下ピットが浸水した後には、端子部の腐食や泥の付着によって接触状態が悪化することがあります。
測定器やリードの異常も早い段階で確認します。同じ測定器を使って複数の接地極を測定し、全てが一様に高い場合は、測定器、リード、補助接地極、土壌条件など共通の要因を疑います。特定の接地極だけが高い場合は、その系統の接地線や接地極を重点的に調べます。
接地抵抗が徐々に上昇した場合の原因の絞り方
数年間にわたって接地抵抗が徐々に上昇している場合は、腐食、接続部の劣化、土壌環境の変化など、時間とともに進行する原因を考えます。
過去の測定結果を時系列で並べ、上昇が一定の割合で続いているのか、特定の年から上昇幅が大きくなったのかを確認します。周辺工事、設備改修、排水変更、舗装工事などの時期と一致していれば、環境変化が影響している可能性があります。
屋外端子、地際部分、地下ピットの接続部では、目に見えない腐食が徐々に進行します。初期段階では接地抵抗への影響が小さくても、導体断面が減少したり、接触面の酸化が進んだりすると、測定値の上昇として表れることがあります。
接地極周辺の地盤が乾燥しやすくなっていないかも確認します。施設の排水改善、地下水位の低下、植栽の撤去、舗装範囲の拡大などにより、施工時とは異なる水分状態になる場合があります。
季節ごとの変動幅が年々大きくなっている場合は、接地極の劣化と土壌条件の両方が影響している可能性があります。乾燥期だけ管理値へ近づく場合でも、将来的な超過を予測し、早めに改修計画を検討します。
経年傾向を評価する際は、過去の最小値だけでなく、測定時期と条件を確認します。毎年異なる季節に測定している記録では、単純な折れ線だけで劣化を判断できません。今後は測定時期と方法をできる限り統一し、比較可能な記録へ整えます。
原因別に検討する接地抵抗の改善方法
測定方法に問題があった場合は、適切な方法と配置で再測定し、正しい基準値を記録します。誤った測定値を過去記録へ残したままにすると、次回以降の判断を誤る原因になります。訂正前の値を削除するのではなく、測定条件に問題があったことと、再測定結果を併記します。
補助接地極を十分な距離へ設置できない場合は、敷地内で測定可能な方向を検討します。恒常的に測定が難しい施設では、次回の停電工事に合わせて試験端子や測定用スペースを整備する方法があります。
接地線や接続部が原因の場合は、腐食した端子、圧着端子、ボルト、接地線を交換します。接触面を適切に処理し、材質に合った方法で締結します。屋外や地下では、防水、防食、排水、保護管端部の処理も同時に見直します。
地際の接地線が腐食している場合は、見える範囲だけを補修しても地中側に劣化が残る可能性があります。健全な範囲まで確認し、必要な長さを交換します。再接続部が将来点検できる位置となるように計画することも重要です。
接地極の腐食や容量不足が原因の場合は、既設接地極の更新または増設を検討します。増設位置は既設接地極との間隔、土壌抵抗率、地中埋設物、施工スペース、保守性を考慮して決定します。
深い位置に比較的抵抗率の低い地層がある場合は、より深部を利用する方法が適することがあります。広い敷地を利用できる場合は、接地極を分散して配置する方法も考えられます。ただし、具体的な方式は設備条件や地盤条件によって異なるため、接地設計に関する知識を持つ技術者が検討します。
土壌の乾燥による季節変動が原因の場合は、乾燥期でも必要な性能を維持できる構成へ変更します。一時的な散水ではなく、接地極の深さ、本数、配置、施工材料などを見直します。
接地抵抗を低減するための材料を使用する場合は、長期安定性、接地極への腐食性、周辺環境への影響、施工条件を確認します。短期的な測定値だけで材料を選定せず、設計者や専門施工者と協議します。
並列経路の断線が原因の場合は、切断箇所の修理と同時に、損傷した理由を調べます。工事中の誤切断、振動、引張り、腐食、熱伸縮など、原因に応じて機械的保護や表示方法を改善します。
改善工事後は、接地極単体と接地システム全体を可能な範囲で測定します。工事直後の値が良好でも、降雨後など条件の良い時期であれば、乾燥期に再び上昇する可能性があります。季節を変えた再測定を計画し、改善効果が継続するか確認します。
接地抵抗測定で避けたい判断ミス
接地抵抗測定で避けたいのは、一回だけ表示された値で接地極の良否を決めることです。補助接地極の配置や接触状態、土壌条件、外来ノイズによって値が変わるため、異常値が出た場合は再現性を確認します。
同じ位置で複数回測定するだけでなく、電位測定用の補助接地極を移動させた場合や、測定方向を変えた場合の値も比較します。条件を変えるたびに大きく変動する場合は、接地極の異常より先に測定条件を見直します。
雨天後の低い値だけを正式な測定値として採用することも適切ではありません。接地設備は、土壌が十分に湿っているときだけでなく、乾燥した時期にも必要な性能を維持することが求められます。
接地抵抗と接地線の導通を同じものとして扱うことにも注意が必要です。接地線が導通していても、接地極と土壌の間の抵抗が高い場合があります。反対に、接地極単体の抵抗が低くても、盤から接地極までの接続部が高抵抗であれば、設備として十分な接地経路を確保できません。
測定値が低ければ必ず安全と判断することもできません。他の接地系統や金属配管を通じた並列経路によって低い値が表示されていても、本来確認したい接地線が断線している可能性があります。接地抵抗値と接地系統の健全性を分けて評価します。
全ての配電設備へ同じ基準値を当てはめることも避けます。必要な接地抵抗は、接地工事の区分、電路の条件、保護装置、設計仕様などによって異なります。施設に適用される法令、保安規程、設計図書を確認して判定します。
測定のために運転中の接地線を外す行為は、特に危険です。接地線の切り離しによって機器外箱の電位が上昇し、感電事故につながるおそれがあります。切り離しが必要な測定は、適切な停電と安全措置を計画したうえで実施します。
測定終了後の復旧確認も欠かせません。試験端子、連結バー、接地線を元の状態へ戻し、締結、導通、表示を確認します。復旧忘れを防ぐため、取り外した箇所を記録し、複数人で確認する手順を設けます。
配電設備の接地抵抗を継続管理する記録方法
接地抵抗の記録は、測定値だけを保存しても原因分析に十分活用できません。次回も同じ条件で比較できるように、測定条件と現場状況を合わせて記録します。
記録する内容には、設備名、接地系統名、接地極番号、測定位置、測定方法、測定器の管理番号、測定リード、接続状態、補助接地極の配置、測定日時、天候、直近の降雨、地表状態、設備の運転状態などがあります。
補助接地極の位置は、対象接地極からの方向と距離が分かるように記録します。建物、道路、フェンス、マンホールなど、変わりにくい構造物との位置関係を残すと、次回も近い条件で設置しやすくなります。
接地端子盤の状態も写真で記録します。連結バーの位置、測定時に外した端子、測定後の復旧状態が確認できる写真を残すことで、前回との接続条件の違いを判断できます。
接地抵抗は単年度の合否だけでなく、経年変化として管理します。測定方法と条件が同じデータを時系列で並べると、緩やかな上昇や季節変動を把握しやすくなります。
急な変化があった場合は、周辺工事、浸水、落雷、設備改修、地盤改良、排水変更などの履歴と照合します。測定値と工事履歴を別々に保管すると、数年後の原因調査で関連を見落とすことがあります。
異常への対応記録には、推定原因、追加測定の内容、修理箇所、交換材料、対策後の測定値、次回の確認時期を残します。単に「改善済み」と記載するのではなく、どの条件でどの程度変化したのかを明確にします。
接地極の位置情報を管理すると、将来の掘削工事による損傷防止にも役立ちます。施工図だけでなく、現地の基準点からの位置、地表からの深さ、接地線の経路、接続部の位置を記録します。
写真だけでは正確な位置を再現できないことがあるため、座標情報や現場計測記録とひも付ける方法も有効です。改修時に位置情報を更新し、古い図面と現地状態の不一致を減らすことで、次回点検の効率と安全性を高められます。
点検周期は、設備の重要度、設置環境、施工年数、過去の変化、腐食や浸水の可能性を考慮して設定します。ただし、法令や保安規程で定められた点検を省略してよいという意味ではありません。必要な点検を行ったうえで、変化が大きい系統には追加確認を設定します。
まとめ
配電設備の接地抵抗が高い原因を特定するには、最初から接地極の劣化と決めつけず、測定対象、測定方法、補助接地極、測定リード、接地線、接続部、接地極、土壌条件、並列接地経路を順番に確認することが重要です。
測定値が急に高くなった場合は、測定条件の違い、端子の外れ、接地線の断線、周辺工事による損傷を優先して調べます。徐々に上昇している場合は、接続部や接地極の腐食、地盤の乾燥、地下水位や排水環境の変化を確認します。
原因を切り分ける際は、一回の測定値ではなく、同じ条件での再現性と、条件を変えたときの値の変化を確認します。接地抵抗が低く表示されても、並列経路によって見かけ上低くなっている可能性があるため、接地系統の導通状態と合わせて評価する必要があります。
また、接地線の切り離しや地中設備の掘削には、感電、保護機能の喪失、埋設物損傷などの危険があります。設備管理者の承認を得た作業計画に基づき、必要な知識と資格を持つ担当者が安全措置を講じて実施してください。
接地抵抗の継続管理では、測定値だけでなく、補助接地極の配置、接続状態、天候、降雨、写真、接地極の位置を一体的に記録することが大切です。現場写真と位置情報を組み合わせて管理する仕組みを整えることで、過去との比較、異常箇所の再確認、改修工事の計画を進めやすくなります。こうした配電設備の現場記録を効率化する手段として、LRTK Phoneの活用も検討できます。