LRTKレフィクシア株式会社

災害時に配電設備を守る浸水・地震対策8チェック

災害時の配電設備対策を平常時から整える理由

配電設備は、建物や工場、倉庫、事業所、公共施設などへ電力を安全に供給するための重要な設備です。受変電設備、変圧器、配電盤、分電盤、遮断器、保護継電器、ケーブルなどが正常に機能することで、照明、空調、生産設備、通信設備、防災設備、排水設備といった多様な負荷を運転できます。

しかし、豪雨、洪水、高潮、内水氾濫、地震などが発生すると、配電設備は平常時には想定しにくい環境へ置かれます。水が盤内へ入り込めば、絶縁性能の低下による漏電、地絡、短絡、感電、火災が発生するおそれがあります。地震では、配電盤や変圧器の移動、アンカーの緩み、ケーブルの引張り、母線接続部の変形などが起こる可能性があります。

配電設備の外観に目立った損傷がなくても、内部には異常が残っていることがあります。端子のわずかな緩みや絶縁物のひび割れ、水分や泥の付着は、送電再開後の異常発熱や絶縁破壊につながる場合があります。そのため、災害後に電気が必要だからという理由だけで、確認を省略して遮断器を再投入することは危険です。

災害時の安全性を高めるには、被災後の対応だけでなく、平常時の準備が欠かせません。浸水する可能性がある場所を把握し、設備の設置高さ、扉や貫通部の防水状態、耐震固定、非常用電源、停止手順、復旧判断などをあらかじめ確認しておく必要があります。

災害発生時には、停電、通信障害、道路の寸断、人員不足などが重なることもあります。通常の点検体制を確保できない状況でも、担当者が安全な判断を下せるように、確認項目と役割分担を明確にしておくことが重要です。

また、浸水対策と地震対策は、別々のものとして考えるだけでは不十分です。地震で建物の外壁や配管が損傷した後に大雨が降る場合や、停電で排水ポンプが停止した結果として電気室が浸水する場合もあります。配電設備単体ではなく、建物、排水、非常用電源、通信、保守体制を含めて備えることが、実効性の高い災害対策につながります。

チェック1 浸水想定と配電設備の設置位置を確認する

最初に確認すべきなのは、配電設備が設置されている場所の浸水リスクです。過去に浸水したことがない場所でも、短時間豪雨の増加、周辺開発、排水経路の変化、地盤沈下などによって、将来も安全であるとは限りません。

確認時には、地域で公表されている洪水、内水、高潮などの想定に加え、敷地内の高低差や排水状況を現地で確認します。道路や隣接地から水が流れ込む方向、建物出入口の高さ、地下室や半地下部分の有無、側溝や排水口の位置などを把握します。

受変電設備や配電盤が地上階に設置されていても、周辺地盤より床面が低ければ浸水する可能性があります。地下電気室の場合は、出入口からの直接流入だけでなく、配管、ケーブルピット、排水口、エレベーターシャフトなどを通じた流入にも注意が必要です。

設備の高さを確認するときは、盤の上端ではなく、最も低い弱点を見ます。盤下部の換気口、ケーブル引込口、制御回路、端子台、操作電源装置などが低い位置にある場合、浅い浸水でも設備全体が使用不能になることがあります。

新設や大規模改修では、重要な配電設備を想定浸水深より高い位置へ配置する方法が基本的な対策になります。ただし、単純なかさ上げだけでは十分ではありません。設備を高くした結果、保守作業が不安定になったり、ケーブルに無理な曲げが生じたり、地震時の重心が高くなったりすることがあります。

既存設備を移設できない場合は、基礎のかさ上げ、止水扉、防水区画、排水設備などを組み合わせて対策します。水圧や漂流物の影響も考え、止水部材を設置する部分の強度や固定方法も確認しなければなりません。

浸水想定は、設備ごとに記録しておくと管理しやすくなります。どの水位でどの設備が影響を受けるのか、どの段階で予防停止するのかを明確にしておけば、大雨や洪水が予想される際に、早めの判断を行いやすくなります。

チェック2 扉や開口部からの浸水経路をふさぐ

配電設備への浸水は、盤扉の隙間だけから発生するわけではありません。ケーブル引込部、配管貫通部、換気口、床下ピット、壁のひび割れ、排水口など、さまざまな経路から水が入り込む可能性があります。

盤扉では、パッキンの硬化、ひび割れ、欠損、変形を確認します。扉を閉じたときにパッキンが均等に密着していなければ、風雨や水圧によって水が入り込むことがあります。扉自体にゆがみがある場合は、パッキンだけを交換しても十分な止水効果を得られない可能性があります。

ケーブル引込部では、ケーブルと開口部の間に隙間がないかを確認します。複数本のケーブルが密集している部分は、形状が複雑になりやすく、止水材が十分に充填されていないことがあります。ケーブルを撤去した後の穴が閉塞されずに残っていないかも重要な確認点です。

地中配管からケーブルを引き込んでいる場合は、配管内を通じて水が移動することがあります。屋外側から入った水が配管の勾配に沿って建物内へ流れ、盤内やケーブルピットへ達する可能性があります。設備周辺に水たまりがなくても、配管内部から浸水することがあるため注意が必要です。

配管端部の止水処理は、ケーブルの追加や交換を行った際に崩れる場合があります。工事完了時には、配線作業だけでなく、止水処理が復旧されているかを確認します。防火区画を貫通する部分では、防水だけでなく、必要な防火性能を損なわない施工が求められます。

電気室の給排気口や換気設備も浸水経路になります。換気機能は設備の温度上昇や結露を抑えるために必要ですが、開口部が低い位置にあると、外部から水が流れ込む可能性があります。換気性能を確保しながら、雨水の吹込みや浸水を防止できる構造になっているかを確認します。

排水設備を設けている場合は、排水ポンプの状態だけでなく、電源、逆流防止、異常通知、排水先も確認します。停電時に排水ポンプが停止する構成では、非常用電源から供給する必要性を検討します。排水先が冠水すると排水できなくなることもあるため、逆流の可能性も考慮します。

止水材やパッキンは、温度変化、紫外線、振動、薬品などによって劣化します。施工時に問題がなくても、時間の経過とともに密着性や弾性が低下します。定期点検では、外観だけでなく、補修履歴や使用年数を確認し、劣化が進む前に交換できる管理が必要です。

チェック3 受変電設備や分電盤の耐震固定を確認する

地震対策では、受変電設備、変圧器、配電盤、分電盤、制御盤、蓄電設備などが転倒、移動、変形しないように固定されているかを確認します。重量の大きな設備が移動すると、周囲のケーブルや配管を引っ張り、複数の設備へ損傷が広がるおそれがあります。

耐震固定は、アンカーボルトが取り付けられているという事実だけでは判断できません。アンカーの本数、径、配置、埋込み状態、締付状態、基礎の強度、設備の重量や重心を総合的に確認する必要があります。

設備の更新時に既存基礎をそのまま利用している場合は、現在の設備に適した固定方法かを見直します。以前よりも重量や高さが増していれば、元のアンカー配置では十分な耐力を確保できない可能性があります。

床置き盤では、盤底部と基礎の接触状態を確認します。アンカー周辺に腐食、ひび割れ、変形があると、地震時に想定した固定力を発揮できない場合があります。屋外の設備では、水分や塩分による腐食が進行しやすいため、盤本体だけでなく、アンカーや基礎部分も注意して点検します。

壁掛け型の分電盤や制御盤は、壁の材質と固定部の状態を確認します。盤が軽量でも、扉の開閉、ケーブルの重量、日常的な振動によって固定部が緩むことがあります。地震では上下方向を含む力が加わるため、平常時に落下していないという理由だけで安全とは判断できません。

複数の盤を連結した列盤では、各盤のアンカーに加えて、盤同士の連結部や内部母線の状態も確認します。各盤が異なる方向へ動くと、接続部分や母線に大きな力がかかります。列盤全体の固定方法と、盤間の変位をどのように抑えるかを確認することが重要です。

変圧器や蓄電設備など、重量物の周囲には十分な空間を確保します。設備がわずかに移動しただけでも、近接する盤や配管に接触する配置では、被害が拡大する可能性があります。点検通路や緊急操作スペースを塞がない配置になっているかも確認します。

配電設備の周辺にある棚、照明、配管、ダクトなどの固定も重要です。盤本体が耐震固定されていても、上部から部材や保管物が落下すれば、扉や操作部が破損することがあります。電気室全体を対象として、落下、転倒、移動の可能性を確認します。

耐震補強を行う場合は、設備の構造や設置条件を確認したうえで実施します。現場判断だけで補強材を追加すると、扉の開閉や換気を妨げたり、盤本体の一部に力が集中したりすることがあります。設計条件に基づき、適切な方法で補強する必要があります。

チェック4 ケーブルや母線に地震時の変位対策を施す

配電盤や変圧器を強固に固定していても、それらを接続するケーブル、母線、配管、接地線が地震時の変位に追従できなければ、断線や接続部の損傷が発生します。設備本体の耐震性と接続経路の柔軟性を一体として確認することが重要です。

ケーブルは、通常運転時に過度なたるみがないように施工しますが、地震時のわずかな移動も許容できないほど張った状態も避ける必要があります。盤や機器の接続部付近に適切な余長があるか、急な曲げやねじれが生じていないかを確認します。

太い電力ケーブルや、多数のケーブルをまとめた束は剛性が高く、地震時に盤へ大きな力を伝えることがあります。ケーブル自体に余長があっても、支持金物で完全に拘束されていれば変位を吸収できない場合があります。固定箇所と可動を許容する箇所の関係を確認します。

ケーブルラックやケーブル支持材については、支持間隔、固定部、接続部、吊り材の状態を点検します。支持材の腐食や緩みが進んでいると、地震時にラックごと落下する可能性があります。ケーブル重量が増設によって当初より増えていないかも確認が必要です。

建物の構造区画をまたぐケーブル経路では、それぞれの構造体が異なる動きをする可能性があります。建物の継ぎ目や増築部分を通過する箇所では、地震時の変位を吸収できる経路や接続方法になっているかを確認します。

母線接続部では、地震の振動や盤の変形によって締結部に力が加わることがあります。接続部の緩みは接触抵抗の増加を招き、通電後の異常発熱につながります。定期点検では、変色、焦げ、絶縁物の変形、異臭など、接続不良の兆候を確認します。

ただし、端子や母線の確認を行うために、通電中の設備へ不用意に接近してはいけません。必要な停電、検電、接地、立入管理などを行い、設備の構造や指定された作業方法に従って点検します。

変圧器や発電設備など、通常運転中にも振動する機器との接続部では、日常的な振動と地震時の変位の両方を考慮します。可とう性を持たせた接続部分に亀裂、硬化、変形がないかを確認します。

接地線も地震時の安全性に大きく関係します。設備が移動した際に接地線が切断されると、外箱などに異常電圧が発生した場合の感電防止機能が低下します。接地線の余長、端子の締結状態、保護方法、周囲との干渉を確認します。

チェック5 保護装置と緊急停止方法を確認する

浸水や地震で配電設備の絶縁性能が低下すると、漏電、地絡、短絡が発生する可能性があります。異常発生時に必要な範囲を速やかに遮断できるよう、遮断器、地絡保護、漏電保護、保護継電器などが適切に機能するかを確認します。

保護装置は、設置されているだけでは十分ではありません。保護する範囲、整定値、動作時間、上位設備と下位設備の協調が現在の系統に合っている必要があります。負荷増設や設備更新が繰り返された現場では、当初の設定が現在の配電系統に適合していないことがあります。

整定値を変更する際は、通常負荷電流、始動電流、短絡電流、ケーブル許容電流、接地方式などを確認します。感度を高くすれば必ず安全になるわけではありません。不要動作が増えると、排水設備や防災設備まで停止し、災害時の安全確保に影響する可能性があります。

一方で、保護装置が動作しにくい設定では、異常箇所を長時間切り離せず、火災や設備損傷が拡大するおそれがあります。保護協調は一つの機器だけで決めず、配電系統全体で検討する必要があります。

定期点検では、遮断器や保護継電器の外観、表示、操作機構、補助電源、動作履歴などを確認します。試験が必要な装置は、停電範囲や負荷への影響を調整したうえで、所定の方法により動作を確認します。

災害時には、設備を緊急停止する方法が分かりやすくなっていることも重要です。主遮断器の位置、操作方法、停止する範囲を手順書へ記載し、盤の表示と一致させます。担当者しか操作方法を知らない状態では、担当者が不在の際に適切な対応ができません。

大雨の接近時に予防停止する場合は、どの水位や警戒段階で停止判断を行うかを決めます。ただし、全設備を一括停止すると、排水ポンプ、非常照明、通信設備などの重要負荷も失われる可能性があります。重要負荷を維持しながら、危険な範囲を切り離せる系統構成が望まれます。

浸水区域では、水面や濡れた床を通じて感電の危険が広がる可能性があります。設備へ近づく前に電源状態を確認し、安全を確認できない場合は立ち入りません。人命の安全を優先し、無理な遮断操作や点検を避ける判断基準を共有しておくことが必要です。

チェック6 非常用電源と重要負荷の供給計画を確認する

災害によって通常電源が停止した場合、非常用電源は事業継続や安全確保に重要な役割を果たします。しかし、非常用電源設備を設置しているだけでは、災害時に確実に使用できるとは限りません。

まず、非常用電源から供給する負荷を明確にします。排水ポンプ、非常照明、通信設備、監視設備、防災設備、避難に必要な設備など、災害時に維持すべき負荷を整理します。生産設備を非常用系統へ接続する場合は、安全確保に必要なものと操業継続のためのものを区別して管理します。

非常用系統へ接続される負荷は、設備増設によって増えることがあります。日常運用では問題がなくても、停電時にすべての負荷が同時に起動すると、非常用電源の容量を超える可能性があります。起動電流や運転順序を含めて、供給能力を確認します。

非常用電源設備自体の浸水リスクにも注意が必要です。発電設備、蓄電設備、切替盤、制御盤、燃料設備、冷却設備などのうち、一つでも被災すれば運転できなくなることがあります。電源本体だけでなく、運転に必要な周辺設備を一体として確認します。

地震対策では、非常用電源設備の固定状態や配管接続部を確認します。燃料配管や排気経路が損傷すると、漏えいや火災などの二次災害につながるおそれがあります。設備周辺に落下物がなく、点検や操作のための通路が確保されていることも重要です。

電源の切替には、自動で行う方式と手動で行う方式があります。自動切替であっても、異常時には手動操作が必要になる場合があります。どの遮断器をどの順番で操作するのか、切替前に何を確認するのかを手順書へ記載します。

非常用電源から停止中の外部回路や作業中の系統へ、意図しない電力が供給されないことも確認します。切替装置や機械的、電気的な連動が正常に機能しなければ、作業者が停電していると判断した回路へ電圧が現れる危険があります。

定期試運転では、起動するかどうかだけでなく、切替、負荷供給、停止、通常電源への復帰まで一連の動作を確認します。可能な範囲で実際の負荷条件を想定し、運転中の電圧、電流、異音、異臭などを確認します。

長時間停電を想定する場合は、燃料や蓄電容量だけでなく、補給方法、保守担当者の移動、消耗品、連絡手段なども考慮します。道路が通行できない状況では、平常時と同じ方法で補給や保守を行えない可能性があります。

チェック7 設備情報と点検記録を災害時にも参照できるようにする

災害時に配電設備を安全に停止し、点検し、復旧するには、正確な設備情報が必要です。単線結線図、配置図、機器台帳、点検記録、保護装置の設定、操作手順、緊急連絡先などを、必要な担当者が確認できる状態にします。

資料を電気室内だけに保管していると、浸水や建物の損傷によって入室できない場合に参照できません。紙資料と電子データを適切に組み合わせ、複数の場所から確認できるようにします。

ただし、重要な配電設備の詳細を無制限に共有すると、管理上の問題が生じます。閲覧できる担当者や保管場所を決め、必要な人が必要なときに参照できるよう管理します。

図面や台帳は、現地の設備と一致していなければ意味がありません。設備を増設した後に単線結線図が更新されていないと、災害時に誤った回路を停止したり、送電してはいけない範囲へ送電したりする可能性があります。

盤名称、回路名称、遮断器番号、負荷名称が現地表示と図面で一致しているかを定期的に確認します。工事完了時には、設備の動作確認だけでなく、図面、台帳、表示、操作手順の更新までを完了させます。

点検記録には、正常または異常という結果だけでなく、点検日、点検者、設備位置、確認条件、異常の程度、対応内容などを残します。写真を使用する場合は、どの設備のどの部分を撮影したものか分かるようにします。

被災後の点検では、災害前の状態と比較できる記録が役立ちます。以前から存在した盤の傾きや基礎のひび割れなのか、今回の地震で発生したものなのかを判断しやすくなります。過去の浸水箇所や水位を記録しておけば、次回の予防停止や止水対策にも活用できます。

通信障害を想定し、必要な資料をオンライン環境だけに依存させないことも重要です。一方で、複数の古い資料が残っていると誤判断の原因になります。最新版の識別方法を決め、不要になった資料の扱いも整理します。

現場の状況を位置情報とともに記録できれば、配電設備の設置位置、浸水箇所、接近経路、周辺の危険箇所を関係者間で共有しやすくなります。記録を残す際は、設備番号、撮影方向、確認内容を統一し、後から見ても状況を判断できる形式にすることが大切です。

チェック8 被災後の点検と再送電の判断基準を決める

災害発生直後は、設備の保護よりも人命の安全確保を優先します。建物の倒壊、火災、津波、感電などの危険がある場合は、無理に配電設備を操作せず、安全な場所へ避難します。

初動対応では、誰が停止を判断するのか、誰が現場を確認するのか、誰が関係者へ連絡するのかを定めます。担当者が不在の場合も想定し、代行者や連絡順位を決めます。夜間や休日、少人数勤務時にも実行できる体制が必要です。

地震後に電気室へ入る際は、建物や天井の安全を確認します。盤の転倒、傾き、扉の変形、基礎のひび割れ、漏油、異臭、煙、異音、ケーブルの脱落などを確認します。

外観上の異常がなくても、盤内部の絶縁物や固定部に損傷が生じている可能性があります。大きな揺れを受けた設備や、重要度の高い設備は、必要に応じて停止状態で内部点検を行います。

浸水した設備は、水が引いて表面が乾いたように見えても、直ちに再送電してはいけません。内部に水分、泥、塩分、薬品、異物などが残っている可能性があります。乾燥後に導電性の汚れが残り、絶縁不良や腐食が進行することもあります。

浸水の高さ、水質、浸水時間、設備構造を確認し、清掃、乾燥、絶縁確認、部品交換などの必要性を判断します。浸水した部品の再使用可否は、外観だけで決めず、設備の取扱条件や専門技術者の判断に基づいて決定します。

絶縁抵抗などを確認する場合は、接続されている電子機器や制御回路への影響を考慮します。測定方法や印加条件を誤ると、点検によって正常な機器を損傷させる可能性があります。

再送電は、すべての回路を一度に復旧させず、状態を確認しながら段階的に進めます。重要な回路から順番に投入し、電圧、電流、異音、異臭、発熱などを監視します。異常が見つかった場合は直ちに停止し、原因を確認します。

復旧判断の責任者も明確にします。点検担当者が単独で再送電を決めるのではなく、設備管理者、保安担当者、保守担当者などが確認結果を共有し、承認手順に従って判断します。

送電を再開した後も、一定期間は重点的に監視します。災害直後には表面化しなかった緩みや絶縁劣化が、通電や温度上昇によって現れることがあります。通常運転へ戻ったことだけで点検を終了せず、運転状態の変化を記録します。

浸水と地震が重なる複合災害への備え

実際の災害では、浸水と地震が別々に起こるとは限りません。地震によって堤防、排水設備、配管、建物外壁などが損傷した後に、水が流れ込む場合があります。地震による停電で排水ポンプが停止し、雨水や地下水が電気室へ流入することも考えられます。

複合災害への対策では、個々の配電設備だけでなく、建物、排水、非常用電源、通信、人員の関係を確認します。例えば、排水ポンプが非常用系統へ接続されていても、切替盤が浸水する場所に設置されていれば、停電時に運転できない可能性があります。

非常用電源設備が健全でも、燃料設備や冷却設備が地震で損傷すれば長時間運転できません。監視装置が動作していても、通信回線が停止すれば遠隔地で異常を把握できない場合があります。一つの設備が正常であることだけで、災害対応全体が機能するとは限りません。

電気室内の通路や操作空間も確認します。地震で倒れた棚や保管物が、遮断器の操作や止水板の設置を妨げる可能性があります。配電盤の前面や出入口には不要な物を置かず、緊急時に作業できる空間を維持します。

停電後の点検には、照明、通信、安全装備、検電器具などが必要です。これらを電気室内だけに保管していると、浸水や立入禁止の際に使用できません。必要な資機材は、災害時にも取り出せる場所へ分散して保管します。

複合災害を想定した訓練では、避難だけでなく、予防停止、非常用電源への切替、被災状況の記録、関係者への連絡、再送電判断まで確認します。訓練中に迷った部分や実行できなかった手順を記録し、実際に運用できる内容へ改善します。

配電設備の災害対策を継続的に改善する方法

災害対策は、一度整備すれば完了するものではありません。配電設備の更新、負荷の増設、建物の改修、周辺環境の変化、人員の交代などによって、必要な対策は変化します。

定期点検や設備更新の際には、通常の電気的な点検だけでなく、浸水と地震への備えも確認します。設備台帳と現地を照合し、図面に記載されていない盤や回路が追加されていないか、非常用系統へ想定外の負荷が接続されていないかを確認します。

敷地内で水がたまりやすい場所、雨漏りした箇所、止水作業に時間がかかった箇所、地震後に緩みが見つかった箇所などは、記録して改善計画へ反映します。小さな異常でも、次の災害時には大きな被害につながる可能性があります。

設備の重要度も見直します。以前は停止しても影響が小さかった設備が、事業内容の変化によって重要負荷になっている場合があります。生産設備だけでなく、排水、通信、監視、入退室管理など、災害対応を支える設備も対象に含めます。

対策の優先順位は、災害の発生可能性、停止した場合の影響、人命への危険、復旧に必要な期間などを考慮して決めます。すべてを同時に改修できない場合は、危険性と重要度の高い設備から段階的に改善します。

設備の移設が難しい場合でも、止水、かさ上げ、監視、早期停止、予備品の確保などを組み合わせることで、被害を軽減できる可能性があります。一つの対策だけに依存せず、設備側と運用側の複数の対策を重ねることが重要です。

点検や改修の結果は、設備位置、日時、担当者、写真、対応内容とともに記録します。平常時から同じ方法で記録しておけば、災害前後の比較や劣化傾向の把握がしやすくなります。

災害対応後には、実際に機能した対策と機能しなかった対策を振り返ります。連絡がつかなかった、図面を確認できなかった、止水部材を設置できなかった、必要な工具が不足したなどの問題を整理し、手順書や設備計画を更新します。

配電設備の災害対策は、設備を設置するだけの取り組みではありません。点検、記録、訓練、改善を継続し、担当者が変わっても同じ水準で対応できる仕組みをつくることが重要です。

まとめ

災害時に配電設備を守るには、浸水対策と地震対策を設備単体の問題として考えず、設置環境、建物、ケーブル、保護装置、非常用電源、点検記録、初動体制まで含めて確認する必要があります。

浸水想定と設置位置を確認し、扉、ケーブル引込部、配管貫通部、換気口などの水の侵入経路を点検することで、配電設備が水に触れる可能性を低減できます。止水部材は経年劣化するため、施工後も継続して状態を確認しなければなりません。

地震対策では、受変電設備や分電盤の固定状態だけでなく、ケーブル、母線、接地線、支持金物、周辺設備も確認します。設備本体を固定していても、接続部や周辺部材が損傷すれば、送電を継続できない場合があります。

保護装置と緊急停止方法を整備し、非常用電源から供給する重要負荷を明確にしておくことも大切です。災害時に操作する担当者が迷わないよう、盤の表示、図面、手順書を現地設備と一致させます。

被災後は、外観に異常がないことだけで安全と判断してはいけません。浸水、絶縁低下、汚染、変形、緩みなどを確認し、専門的な判断に基づいて段階的に再送電します。早期復旧を急ぐ場合でも、人命と設備の安全確認を省略しないことが重要です。

さらに、日常点検で設備の状態を記録し、災害前後で比較できるようにしておけば、異常の発見と復旧判断を行いやすくなります。配電設備の位置、浸水経路、周辺状況、点検結果を位置情報とともに管理したい場合は、LRTK Phoneを活用した現場記録へつなげることで、平常時の備えと災害後の情報共有をより効率化できます。

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