CloudCompareで点群を整理し、OBJ形式でクラウド型の閲覧環境や共有環境へアップロードする場合は、保存形式だけでなく、出力するデータの種類、座標、単位、面構造、法線、色、容量、関連ファイルまで確認する必要があります。OBJは頂点を記述できますが、実務上は三角形メッシュの受け渡しに使われることが多く、頂点だけのOBJを点群として正しく表示できるかはアップロード先の実装に左右されます。
CloudCompareは点群と三角形メッシュの両方を扱えるソフトウェアです。ただし、画面上で点群が見えていることと、OBJへ同じ情報をそのまま保存できることは同義ではありません。特に点群のRGB色、スカラー値、計測時の属性、グローバル座標の扱いは、OBJへ変換する過程で失われたり、別の表現へ置き換わったりする可能性があります。
そのため、点群 OBJ アップロードを安定させるには、最初に「点の集合として共有するのか」「点群から作成した面モデルとして共有するのか」を決めます。点群のまま共有できる環境であれば、PLY、LAS、E57など、点群属性を保持しやすい形式の方が適する場合もあります。アップロード先がOBJを指定している場合は、CloudCompare上で出力対象を整理し、書き出したファイルを再読込して検証する流れが重要です。
この記事では、CloudCompareからOBJを書き出してアップロードする際に確認したい8つの推奨設定を、一般的な実務手順として解説します。CloudCompareの版、導入プラグイン、アップロード先の仕様によって表示名や対応範囲が異なることがあるため、最終判断では利用中の環境でも小さな試験データを使って確認してください。
点群OBJアップロード前にデータの種類を整理する
最初に確認するのは、CloudCompareのDB Treeで選択しているデータが点群なのか、三角形メッシュなのかという点です。CloudCompareでは、メッシュが頂点群と面の接続情報を組み合わせた構造として表示されます。メッシュの配下にあるverticesだけを選択した場合と、メッシュ本体を選択した場合では、保存対象の意味が異なります。
OBJは頂点座標を記述できるため、頂点だけを含むファイルを作ることは技術的に可能です。しかし、アップロード先がOBJを面モデルとして読み込む場合、面情報を持たないOBJは何も表示されない、点が極端に小さくて見えない、空のモデルとして扱われるといった結果になる可能性があります。点群をOBJへ保存できたことだけで、点群としての互換性が確保されたとは判断できません。
一方、点群から三角形メッシュを作成したOBJは、一般的な3D表示環境で形状として認識されやすくなります。ただし、メッシュ化は点群の各点をそのまま保存する処理ではありません。点の間に面を生成するため、開口部が塞がる、計測されていない領域に面が張られる、薄い部材の表裏がつながる、植生や反射ノイズが面になるといった変化が生じます。
地形や路面のように、一方向から見て高さが一つに決まりやすい対象では、2.5Dの三角形化が使いやすい場合があります。配管、設備、建物内部、樹木など、複数方向に面が存在する対象では、単純な2.5D処理が適さないことがあります。利用可能な場合は別の表面再構成方法も検討できますが、どの方法でも元の点群と同一の形状になるとは限りません。
したがって、点群 OBJ アップロードの目的を、全体形状の閲覧、寸法確認、断面確認、色の確認、体積計算、他モデルとの重ね合わせなどに分けて考えます。点群属性を残す必要が高い場合は、OBJへ変換する前にアップロード先が点群形式へ対応していないか確認します。OBJが必須である場合は、メッシュ化による形状変化を許容できる範囲を決めてから作業を進めます。
推奨設定1 出力する点群とメッシュを明確にする
CloudCompareから書き出す前には、DB Treeで出力対象を明確に選択します。複数回の計測点群、位置合わせ用の基準点、断面線、比較結果のスカラー値、元点群、生成後のメッシュが同じプロジェクトに残っていると、必要な要素と不要な要素を取り違えやすくなります。
安全な方法は、原本を保存したうえで、アップロード用の作業データを複製することです。CloudCompareのCloneを利用するか、元ファイルを別名で保存し、アップロード用データだけに切り分けます。座標移動、縮尺変更、点数削減、メッシュ生成、不要部分の削除は複製側で行い、計測時の原本へ直接上書きしない運用にします。
点群からメッシュを作成した場合は、元点群とメッシュ本体の両方が表示されていても、OBJとして出力する対象はメッシュ本体を基本とします。verticesはメッシュの頂点を点群として示す子要素であり、これだけを出力すると面の接続情報が含まれない可能性があります。保存操作の前に、選択中の行がメッシュ本体か、頂点群かを確認してください。
複数の工区や部材を一つのOBJへまとめる場合は、アップロード後の管理単位も考えます。CloudCompareでは複数メッシュをMergeできますが、結合したからといって頂点が幾何学的に一体化するとは限りません。複数のサブメッシュ構造が保持される場合もあるため、アップロード先がサブメッシュや材質単位をどのように扱うか確認が必要です。
工区別や階別に表示を切り替えたい場合は、OBJを分けた方が管理しやすいことがあります。一方で、細かく分割しすぎると、アップロード漏れ、原点の不一致、版の混在が起こりやすくなります。現場で普段使用している工区、階、構造物、作業日などの単位に合わせ、同じ座標基準と単位で出力します。
書き出し直前には、表示状態だけでなく選択状態を確認します。非表示にしただけの不要データが保存対象へ含まれるかどうかは、形式や選択方法によって扱いが異なる可能性があります。不要な要素を確実に除外したアップロード専用データを作り、必要なメッシュだけを選択して保存する方が安全です。
推奨設定2 Global Shift & Scaleと出力座標を確認する
測量座標や公共座標を持つ点群は、座標値が大きくなりやすいため、CloudCompareでは読み込み時にGlobal Shift & Scaleの設定を求められることがあります。これは大きな座標値を内部で扱う際の数値精度を保ちやすくするための仕組みです。画面上ではローカルに近い小さな座標で処理しながら、元のグローバル座標との関係をメタデータとして保持できます。
ここで注意したいのは、読み込み時にGlobal Shiftを設定しただけで、書き出すOBJが必ずローカル座標になるわけではないことです。CloudCompareは保存形式が対応できる場合、保持しているGlobal Shift & Scaleを使って元の座標へ戻して保存することがあります。アップロード先が大きな座標値を苦手とする場合は、実際にOBJへ書かれた数値を確認する必要があります。
ローカル座標のOBJを作る場合は、まず原本を複製し、出力用の座標基準を決めます。現場中央、既知の基準点、工区原点など、後から説明できる点をローカル原点にします。そのうえで、CloudCompareのEdit > Edit global shift and scaleなどを使い、出力時にどの座標系を保持するかを明示します。操作時には、ローカル座標を維持するのか、グローバル座標を維持するのかを混同しないようにします。
Global Shift & Scaleは、単なる表示上の移動ではありません。設定の変更方法によって、メモリ上の位置を変えずに書き出し座標だけを変える場合と、メモリ上の点を移動して元のグローバル位置を維持する場合があります。処理後はPropertiesに表示されるShiftとScaleを記録し、書き出したOBJを新しいCloudCompare画面へ再読込して座標範囲を確認してください。
原点移動量は、OBJファイル名だけに残さない方が安全です。案件名、座標系、ローカル原点の名称、X・Y・Zの移動量、Scale、作成日、担当者を別の管理記録へ残します。元座標へ戻す必要がある場合は、この記録が変換条件になります。
複数の点群やメッシュを同じ位置へ重ねる場合は、すべてに同じGlobal Shift & Scaleを適用します。異なるShiftを持つデータでもCloudCompare上では正しく重なって見えることがありますが、別々にOBJへ書き出した後、アップロード先で同じ配置になるとは限りません。書き出し後の座標値と既知点を複数確認し、位置、回転、縮尺が一致していることを検証します。
推奨設定3 長さの単位と縮尺を統一する
OBJの頂点座標には数値が記録されますが、その数値がメートル、ミリメートル、センチメートルのどれを表すかを確実に伝える共通の単位情報は期待できません。書き出し元とアップロード先で解釈が異なると、モデルが千倍または千分の一の大きさになることがあります。
CloudCompare上で単位表記を変更したつもりでも、実際の座標値へ倍率が適用されていなければ、OBJの大きさは変わりません。単位変換が必要な場合は、アップロード用の複製データに対してEdit > Multiply/Scaleを使用し、X、Y、Zへ同じ倍率を適用します。メートルからミリメートルへ変換する場合は1000倍、ミリメートルからメートルへ変換する場合は0.001倍が基本ですが、元データの実単位を確認してから操作します。
Multiply/Scaleは選択したデータ自体を変更する処理です。Global Shift & Scaleの情報を同時に再計算するかどうかによって、書き出し結果が変わる可能性があります。原本へ直接適用せず、変換後の座標範囲と既知寸法を確認してください。
三軸を同じ倍率にすることも重要です。地形を見やすくするために高さ方向だけ強調したデータをそのままOBJへ出力すると、法面勾配、構造物高さ、体積が実態と異なります。表示上の高さ強調と、座標値そのもののZ倍率変更を区別し、測量や出来形確認に使うOBJではX、Y、Zの縮尺を一致させます。
複数データを統合する場合は、Mergeの前に単位をそろえます。一つがメートル、もう一つがミリメートルの状態で位置合わせすると、見かけ上の調整に成功しても、後から別のデータと重ねたときに不整合が表面化します。各データで既知距離を測り、同じ単位へ変換してから結合します。
変換後はCloudCompareのPoint Pickingなどで基準点間距離、道路幅、壁高、柱間隔などを測ります。元データ、変換後データ、OBJ再読込後、アップロード後の四段階で同じ寸法になることを確認すると、倍率の重複適用や軸別倍率の誤りを見つけやすくなります。
推奨設定4 三角形メッシュの生成条件を整える
点群をOBJとして安定して表示させる目的でメッシュ化する場合は、対象物に合った生成方法を選びます。CloudCompareには2.5DのDelaunay三角形化や、導入環境によって利用できる表面再構成機能がありますが、どの方法もすべての点群へ同じように適用できるわけではありません。
2.5DのDelaunay三角形化は、選択した投影方向に対して一つの高さで表現しやすい地形、路面、法面などに向いています。配管や壁の両面、オーバーハング、建物内部のように同じ平面位置へ複数の奥行きが存在する対象では、意図しない面が生成される可能性があります。XY平面を使うか、最適平面を使うかも対象の向きに合わせて判断します。
Poisson系の表面再構成を利用する場合は、点群法線の品質と向きが結果へ大きく影響します。閉じた形状を生成しやすいため、開いた地形の外周や計測されていない背面が面で塞がれることがあります。生成後は外観だけでなく、断面、開口部、外周、下面を確認し、実在しない面を除去します。
メッシュには、存在しない頂点を参照する面、同じ頂点を重複して使う面、三点が一直線に並ぶゼロ面積の面、同じ位置に重複する面が含まれないことが望まれます。CloudCompareで正常に表示されていても、アップロード先のOBJパーサーが同じように許容するとは限りません。書き出したOBJを別の新規画面へ読み込み、面数と表示状態を確認します。
点群密度が低い外周では、離れた点同士を結ぶ細長い三角形ができやすくなります。Delaunay処理で最大辺長を指定できる場合は、周辺の点間隔と対象物の大きさに合わせて値を設定します。値を小さくしすぎると必要な面まで欠落し、大きくしすぎると実在しない橋渡し面が残るため、試験範囲で結果を比較します。
孤立した小さなメッシュ片も確認してください。空中ノイズや反射ノイズから生じた小片が本体から離れていると、アップロード後の全体表示範囲が広がり、本体が極端に小さく見えることがあります。アップロード用の複製データで不要部分をSegmentやCropにより除外し、対象物の範囲を整理します。
推奨設定5 面方向と法線を確認する
三角形メッシュには面の表裏があり、頂点の並び順によって面法線の向きが決まります。法線方向が不統一だと、アップロード後に一部の面だけ暗くなる、片側から見たときに消える、穴のように見えるといった問題が起こります。アップロード先が裏面を描画しない場合は、影響が特に目立ちます。
CloudCompareでは選択した点群やメッシュに対して法線を計算し、必要に応じて反転できます。地形であれば上向きを基準にしやすい一方、閉じた構造物では外側、配管や板状部材では利用者が見る側を基準に判断します。点群から法線を計算する場合は、近傍半径、局所面モデル、ノイズ量によって方向と滑らかさが変わるため、対象物の寸法に合った設定が必要です。
メッシュ生成前に点群法線を利用する処理では、法線の向きがそろっているかを確認します。局所的に反転した法線が残ると、表面再構成の結果が裏返ったり、外周が閉じたりする原因になります。CloudCompareの法線表示や陰影を使い、方向が急に切り替わる領域を確認します。
頂点法線は陰影を滑らかに見せるための情報であり、頂点位置そのものを変えるわけではありません。一方、Mesh > Smoothのような平滑化処理は頂点座標を移動させるため、寸法や角部の形状が変わる可能性があります。測量成果や出来形確認に使うOBJでは、見栄えだけを目的とした形状平滑化を安易に適用しない方が安全です。
壁、床、柱、梁などの角が重要な構造物では、過度に滑らかな法線によって直角部が丸く見えることがあります。地形のような連続面では滑らかな陰影が見やすい一方、構造物では面の境界を残す方が形状を判断しやすくなります。アップロード先がOBJ内の法線を使用するか、読み込み時に再計算するかは環境によって異なるため、試験用の小さなメッシュで比較します。
書き出し後はモデルを上下、左右、内外から回転して確認します。上面だけでなく、下面、垂直面、開口部の縁を見て、必要な方向から面が表示されるか確かめます。法線を修正した場合は、修正前後の形状と寸法が変わっていないことも確認してください。
推奨設定6 頂点色とテクスチャの扱いを決める
点群 OBJ アップロードで最も誤解が生じやすいのが色です。CloudCompareの点群がRGBで表示されていても、その頂点色が標準的なOBJとして確実に保存され、別の環境で再現されるとは限りません。OBJで一般的に使われる色表現は、MTLによる材質指定と画像テクスチャです。
一部のソフトウェアはOBJの頂点行へRGB値を追加する独自拡張を使いますが、すべての読み込み先が対応するわけではありません。CloudCompareで再読込できた場合でも、アップロード先では色情報が無視され、灰色や単色で表示される可能性があります。点群の頂点色を残したい場合は、アップロード先がそのOBJ拡張へ対応していることを明示的に確認します。
CloudCompareの点群RGBを、OBJ用のUVとテクスチャ画像へ自動的に変換できると前提にしないことも重要です。点群から作成したメッシュに色付き頂点があっても、それだけで画像テクスチャが生成されるわけではありません。色が必須であり、アップロード先が対応している場合は、PLYやFBXなど頂点色を扱える形式の方が適することがあります。
すでにUVとテクスチャを持つメッシュをCloudCompareで読み込み、OBJとして保存する場合は、OBJ本体だけでなくMTLと画像ファイルを一組で管理します。MTL内の画像参照が切れると、形状だけが表示されて色が失われます。OBJ、MTL、画像を同じ配布用フォルダへまとめ、別の場所へ移してから再読込します。
画像参照にはファイル名の一致が必要です。大文字と小文字を区別する環境もあるため、MTLに記載された名前と実際の画像名を完全にそろえます。端末固有の絶対パスが残っていると、別の環境では画像を見つけられないため、配布用フォルダ内で完結する構成にします。
テクスチャ画像が大きすぎると、OBJ本体が軽くてもアップロードと表示に時間がかかります。元画像は保存し、アップロード用の複製画像だけを用途に合った解像度へ調整します。ひび割れ、路面表示、材質差など色が判断に必要な用途では解像度を確保し、形状や寸法だけを確認する用途ではテクスチャを外して構成を単純化する選択もあります。
推奨設定7 点数と三角形数を適正化する
高密度点群をそのままメッシュ化すると、頂点数と三角形数が非常に多くなります。CloudCompareで表示できても、アップロード先の変換処理、ブラウザ、モバイル端末で同じ規模を扱えるとは限りません。上限値はサービスごとに異なるため、最大容量ではなく実際の閲覧操作が安定する範囲を基準にします。
点群段階ではEdit > Subsampleを使い、メッシュ化前に点数を整理できます。Spatial方式は点同士の最小距離を基準に間引くため、局所的な過密を抑えやすい方法です。Random方式は指定数または割合で抽出できますが、粗い領域の重要点まで減る可能性があります。Octree方式は空間セルを基準に整理できるため、対象物と目的に応じて選びます。
間引き距離は、アップロード後に識別したい最小形状より十分小さく設定します。広い地形の全体閲覧では細かな凹凸をすべて残す必要がない場合がありますが、縁石、段差、配管、開口部、ボルト周辺などを確認する場合は削減しすぎると形状が失われます。試験範囲を切り出し、複数の間隔で比較してから全体へ適用します。
点数を減らす前に、不要な背景、移動物、反射による飛び点、孤立点を除去します。必要点と不要点を同じ割合で間引くより、不要領域を先に削除した方が、品質を維持しながら容量を減らしやすくなります。Segment、Crop、連結成分の確認などを利用し、対象物の範囲を絞ります。
CloudCompareの標準機能や導入プラグインで利用できるメッシュ簡略化機能は、版や構成によって異なる可能性があります。利用できない機能を前提にせず、まず点群の段階で密度を適正化してからメッシュを作成する方法を基本にします。外部ツールでメッシュを簡略化する場合も、座標、法線、UV、材質が保持されているか再確認します。
現場全体を軽量化した閲覧用OBJと、重要箇所だけを高密度で残した詳細用OBJに分ける方法も有効です。一つの巨大ファイルへすべてを入れるより、日常閲覧を軽くしながら必要箇所の精度を確保できます。ただし、各ファイルの原点、単位、版番号を統一し、重ね合わせ時にずれないよう管理します。
推奨設定8 OBJと関連ファイルを整理する
OBJアップロードでは、ファイル内部の形状だけでなく、OBJ、MTL、画像の組み合わせとファイル名が重要です。CloudCompare上で正常に見えても、作業フォルダ内の別ファイルを参照しているだけで、配布用ファイルだけでは再現できない場合があります。
アップロード専用のフォルダを作り、必要なOBJ、MTL、テクスチャ画像だけを複製します。元点群、作業途中のBIN、比較結果、不要な画像、ログなどを同じ圧縮ファイルへ入れると、容量が増え、アップロード先が対象ファイルを判別しにくくなることがあります。
ファイル名は、案件名、工区、対象物、作成日、版番号などを一定の順序で組み合わせます。英数字、ハイフン、アンダースコアを中心にすると、環境差による参照切れを減らしやすくなります。日本語名や空白が使用できるサービスもありますが、MTLや画像参照を含む場合は、小さな試験ファイルで動作を確認します。
OBJとMTLの名前だけでなく、MTL内に記載された画像名も確認します。同名の画像を別フォルダに複数置くと、作業端末では意図しない画像を参照していても気づきにくくなります。配布用フォルダを別の場所へ移し、そこからOBJを読み込んで色が再現されるか確認します。
圧縮してアップロードする場合は、アップロード先が要求する階層に従います。指定がない場合は、OBJ、MTL、画像を同じ階層へ置く単純な構成が確認しやすい方法です。圧縮ファイルの直下にOBJを置く必要があるサービスもあれば、フォルダ単位で受け付けるサービスもあるため、仕様を確認します。
同じファイル名で上書きを繰り返すと、端末内のOBJとアップロード済みOBJが同じ版か判断しにくくなります。作成日または版番号を付け、修正理由を記録します。公開用最新版、確認済み版、原本の区分を決め、古い版を誤って再アップロードしない管理にします。
OBJ書き出し後に実施したいアップロード前検証
CloudCompareからOBJを書き出したら、元の画面を閉じるか新しい画面を開き、配布用フォルダにあるOBJだけを再読込します。元点群や作業中のテクスチャが残った画面では、保存されたOBJに欠落があっても見分けにくいためです。
再読込後は、DB Treeでメッシュが作成されているか、頂点だけの点群として読み込まれているかを確認します。アップロード先が面モデルを必要とする場合は、三角形数が存在し、面が表示されることを確かめます。頂点だけのOBJを意図している場合は、アップロード先が点表示へ対応していることを別途確認します。
次に、Bounding Boxの範囲やPropertiesを確認します。数十メートル規模の現場に対して座標範囲が極端に大きい場合は、グローバル座標の復元、単位違い、孤立点を疑います。反対に、全体が非常に小さい範囲へ縮んでいる場合は、Scaleの重複適用を確認します。
既知寸法を二つ以上測ります。一つは水平方向、もう一つは高さ方向にすると、Z軸だけ倍率が異なる問題を見つけやすくなります。座標付きで利用する場合は、離れた二点以上の基準点を確認し、移動量だけでなく回転や縮尺の誤りも検証します。
メッシュは上下、内外、左右から観察し、面欠落、裏返り、実在しない閉鎖面、細長い外周面、孤立片がないか確認します。テクスチャを使う場合は、配布用フォルダを別の場所へ移した状態でも画像が表示されるか確かめます。
大容量OBJでは、保存処理が途中で失敗してもファイル名だけが残る可能性を考えます。再読込が完了すること、モデル全体が表示されること、頂点数と三角形数が想定から大きく外れていないことを確認します。ファイル容量だけでなく、OBJ、MTL、画像を含む総容量も記録します。
最後に、アップロード先と同じ条件に近い試験環境で小さなデータを先に登録します。座標、単位、法線、色、圧縮階層の組み合わせを確認してから全体データを作成すると、巨大ファイルを何度も作り直す手戻りを減らせます。
アップロード後に確認する表示と座標の整合
アップロード完了の表示は、ファイル受け付けが終わったことを示すだけで、形状や座標の正しさを保証するものではありません。登録後には、全体表示、向き、縮尺、位置、色、操作速度を順に確認します。
最初に全体を表示し、モデル本体が適切な大きさで見えるか確認します。本体が一点にしか見えない場合は単位が小さすぎる可能性があり、面の一部しか見えない場合はモデルが大きすぎるか、視点が内部に入っている可能性があります。本体が極端に小さい場合は、遠方の孤立点や小片も疑います。
次に、上下方向と軸の解釈を確認します。CloudCompare側とアップロード先で高さ軸の扱いが異なると、地形が垂直に立つ、上下が反転する、東西と南北が入れ替わることがあります。文字、道路線形、建物配置、既知の方位を使い、鏡像化も含めて確認します。
計測機能がある場合は、CloudCompareで確認した既知寸法を同じ位置で測ります。座標付き配置では、一点だけでなく現場両端など離れた複数点を照合します。一点が一致しても、回転、縮尺、軸順の誤りが残っている可能性があります。
色は、表示の有無だけでなく、面への貼り付け位置、上下反転、繰り返し、明るさを確認します。灰色で表示された場合は、MTLや画像の不足、画像参照の不一致、頂点色方式の非対応が考えられます。色が必須の用途では、仕様上サポートされる方法で再出力します。
操作速度も実務上の品質です。初回表示に成功しても、回転、拡大、断面、計測、複数モデルの重ね合わせで動作が重くなる場合があります。日常的に行う操作を試し、必要に応じて閲覧用の軽量OBJと詳細OBJを分けます。
可能であれば、作成者とは別の担当者、別の端末、別のブラウザでも確認します。作成者の環境だけに残るキャッシュや設定へ依存していないことを確かめるためです。全体形状、寸法、位置、色、操作性を共通の確認項目として記録すると、公開後の手戻りを減らせます。
まとめ
点群OBJをCloudCompareからアップロードする際は、OBJを単なる点群保存形式として扱わず、点群とメッシュの違いを理解することが重要です。頂点だけのOBJはアップロード先で点群として表示されるとは限らないため、OBJが必須の場合は、目的に合った三角形メッシュを作成し、面情報を含むことを確認します。
推奨設定の中心は、出力対象、Global Shift & Scale、単位、メッシュ生成条件、法線、色、データ量、関連ファイルの8項目です。特にCloudCompareのGlobal Shiftは内部精度を保つための仕組みであり、設定しただけでローカル座標のOBJになるとは断定できません。書き出したOBJを再読込し、実際の座標範囲と既知寸法を確認してください。
点群のRGB色は、標準的なOBJの頂点色として確実に受け渡せるとは限りません。色が必要な場合はMTLとテクスチャ画像を一組で管理するか、アップロード先が対応していれば頂点色を保持しやすい別形式を検討します。OBJ、MTL、画像は配布用フォルダだけで再現できる状態に整えます。
また、CloudCompareで扱える点数や三角形数と、アップロード先で快適に閲覧できる規模は同じではありません。不要領域とノイズを除去し、Subsampleで点密度を適正化してからメッシュ化すると、形状を保ちながら容量を抑えやすくなります。
安全な運用では、計測時の原本を保存し、アップロード専用の複製データで変換を行います。書き出し後の再読込、アップロード後の寸法確認、別端末での確認までを一連の工程として管理することで、点群 OBJ アップロード後の表示不良や座標ずれを減らせます。現場で取得した点群を整理し、共有用データへつなげる運用を検討する場合は、計測からクラウド管理までを一体化できるLRTK Phoneの活用も選択肢になります。