建設・土木現場で3D点群データの活用が広がるなか、点群編集ソフトの導入を検討する企業が増えています。地形測量、出来形管理、構造物の現況把握、施工計画の検討など、点群データを利用する場面は多岐にわたります。しかし、点群データを取得しただけでは、現場で必要な情報を十分に活用できるとは限りません。不要な点の除去、複数データの統合、座標の確認、断面の作成など、目的に応じた編集作業が必要です。
そこで悩みやすいのが、無料版と有料版のどちらを選ぶべきかという問題です。無料版でも基本的な表示や編集が可能なソフトはありますが、扱えるデータ量や処理機能、出力形式、業務支援機能などには違いがあります。一方、有料版であれば必ず作業効率が高くなるというわけでもありません。導入する機能と現場で求められる作業内容が一致していなければ、十分に活用できない可能性があります。
特に実務では、ソフトの機能一覧だけを比較するのではなく、実際に扱う点群データの規模や、最終的に作成する成果物まで考慮することが重要です。
この記事では、点群編集ソフトの無料版と有料版について、導入前に確認したい6つの違いを詳しく解説します。あわせて、無料版が適している業務、有料版を検討したい業務、導入前に実施すべき比較テストについても紹介します。
点群編集ソフトを比較する前に整理したい業務目的
点群編集ソフトを選ぶ際は、最初に何のために点群データを利用するのかを明確にする必要があります。同じ点群編集という作業でも、現況確認と測量成果の作成では必要な機能が大きく異なるためです。
例えば、取得した点群を画面上で回転させながら地形や構造物を確認するだけであれば、基本的な表示機能を備えた無料版でも対応できる場合があります。点群の一部を切り出し、不要な点を削除する程度の作業も、無料版の機能範囲に含まれていることがあります。
しかし、点群から正確な断面を作成したり、地盤面を抽出して土量を算出したりする場合は、より専門的な機能が必要になります。また、複数の計測データを統合し、公共座標に合わせて管理する業務では、座標変換や位置合わせの品質確認も重要です。
ここで注意したいのは、無料版と有料版の機能差はソフトによって異なるという点です。無料版でも幅広い編集機能を備えた製品がある一方、有料版でも特定の業務に必要な機能が別の構成になっていることがあります。そのため、無料か有料かという分類だけで性能を判断することはできません。
導入前には、点群を取得する方法、編集する内容、作成する成果物、成果物を利用する担当者を整理しておきましょう。
道路工事であれば、既設路面の点群から横断形状を確認する作業が考えられます。造成工事では、施工前後の地形を比較して土量を確認することがあります。設備工事では、配管や機器の位置関係を確認し、施工図面と照合する用途もあります。
こうした業務では、必要な編集機能だけでなく、どの程度の精度が求められるか、どの形式で成果物を渡すか、誰が確認するかまで考える必要があります。
また、点群編集は取得から納品までの工程の一部です。点群を編集する担当者だけが使いやすいソフトを選んでも、後工程でデータを開けなければ業務全体の効率は向上しません。
現場での計測、事務所での編集、設計担当者による確認、施工管理担当者への共有という流れを想定し、それぞれの段階で必要な条件を明らかにすることが、適切なソフト選定につながります。
違い1:編集機能の範囲と作成できる成果物
無料版と有料版を比較する際、最初に確認したいのが編集機能の範囲です。点群編集ソフトには、表示を中心とするものから、測量成果や設計用データの作成まで対応するものまで、さまざまな種類があります。
基本的な編集機能としては、点群の表示、不要な点の削除、範囲指定による切り出し、点群密度の調整、複数データの読み込みなどが挙げられます。これらの機能を無料版で利用できるソフトもあります。
例えば、現場で取得した点群に通行車両や作業員などの不要な点が含まれている場合、対象範囲を指定して削除できれば、構造物や地形を確認しやすくなります。また、広範囲の点群から必要な区間だけを抽出することで、データを扱いやすくすることも可能です。
ただし、点群を画面上で削除できることと、編集結果を必要な形式で保存できることは別の問題です。ソフトによっては表示や操作に対応していても、編集後のデータ出力に制限がある場合があります。
一方、専門的な有料版では、地表面の抽出、点群分類、断面作成、面積計測、体積計算、形状のモデル化など、実務で必要となる機能をまとめて利用できる構成があります。
例えば、造成現場で取得した点群から地表面を抽出し、施工前後の形状を比較して土量を算出する場合、不要な点の除去だけでは作業が完結しません。地表面以外の点を適切に分離し、比較する範囲や基準面を設定する必要があります。
こうした作業を頻繁に実施する現場では、専門機能を備えたソフトの方が効率的な場合があります。
ただし、有料版に搭載されている機能であっても、自動的に正しい結果が得られるわけではありません。地表面の抽出結果に構造物や植生が混在していれば、面積や土量の計算結果に影響する可能性があります。処理結果の確認と修正は、ソフトの種類にかかわらず必要です。
点群編集ソフトを比較するときは、機能の数ではなく、最終成果物を作成するために必要な工程をどこまで実行できるかを確認しましょう。
例えば、断面を作成したい場合は、単に断面表示ができるだけでなく、断面位置を正確に指定できるか、必要な寸法を確認できるか、断面データを書き出せるかまで調べる必要があります。
点群の閲覧や簡単な切り出しが中心であれば無料版が有力な選択肢になります。一方、点群から測量成果や施工管理資料を継続的に作成する場合は、専門的な編集機能を備えた有料版も比較対象にするとよいでしょう。
違い2:処理できる点群データの規模と動作性能
点群編集ソフトを実務で利用する際、特に重要になるのが大量データへの対応能力です。
点群データは、多数の三次元座標によって構成されます。計測範囲が広くなったり、点の密度が高くなったりすると、データ量も増加します。地上からの三次元計測、移動しながらの計測、上空からの計測など、取得方法によってもデータの構成は異なります。
無料版でも大きな点群を読み込める場合がありますが、読み込み速度、表示の滑らかさ、編集時の応答性などは、ソフトの処理方式やパソコンの性能に左右されます。
特に複数の計測データを同時に表示する場合や、高密度の点群を編集する場合は、使用するメモリや画像処理性能が重要になります。
有料版のなかには、大規模データを効率的に表示する仕組みや、必要な範囲だけを読み込む機能、点群を分割して処理する機能を備えたものがあります。ただし、こうした機能がすべての有料版に搭載されているわけではありません。また、無料版でも大規模点群の処理に適したものがあります。
比較する際は、最大点数などの仕様だけでなく、実際の作業でどの程度快適に操作できるかを確認することが大切です。
例えば、道路延長方向に取得した長区間の点群を編集する場合、データを開くだけで長時間かかると、その後の確認や修正も進みにくくなります。画面を移動するたびに表示が止まる状態では、細かな点の確認にも時間が必要です。
同様に、広い造成現場の点群を複数回取得して比較する場合、各時点のデータを同時に扱えるかが重要になります。施工前後の点群を交互に開くだけでは、変化している箇所を効率よく確認できないことがあります。
こうした課題に対しては、表示する点数を間引く機能、範囲ごとにデータを分割する機能、必要な領域だけを抽出する機能などが役立ちます。
ただし、点数を削減すると細かな形状が失われる場合があります。閲覧用の軽量データと、計測・成果物作成に利用する元データを区別して管理することが重要です。
また、ソフトの処理性能を評価する際は、同じパソコン、同じ点群データ、同じ操作内容で比較する必要があります。異なる条件で得られた処理時間を比較しても、ソフト自体の性能差を正しく判断できません。
導入前には、通常業務で扱うデータだけでなく、想定される大規模なデータも使って動作を確認しましょう。
点群データの規模が今後拡大する可能性がある場合は、現在の処理能力だけでなく、将来的な運用も考慮した選定が必要です。
違い3:対応ファイル形式とデータ連携の自由度
点群編集ソフトを比較するうえで、見落としやすいのがファイル形式への対応状況です。
点群データには、三次元座標だけを記録する形式のほか、色情報、反射強度、分類情報、計測位置などの属性を保持できる形式があります。どの形式に対応しているかによって、読み込めるデータや後工程で利用できる情報が変わります。
無料版と有料版では、読み込み可能な形式、書き出し可能な形式、保持できる属性情報などに違いがある場合があります。
ここで重要なのは、ファイルを開けることと、必要な情報を維持して編集できることは同じではないという点です。
例えば、点群を読み込んだ際に三次元座標は正しく表示されても、色情報や分類情報が引き継がれない場合があります。また、書き出し時に一部の属性が失われたり、座標系に関する情報が十分に保存されなかったりすることも考えられます。
こうした問題は、点群を単に閲覧する用途では大きな支障にならない場合があります。しかし、測量成果として利用する場合や、別の担当者に引き渡す場合には注意が必要です。
特に建設・土木業務では、点群編集ソフトだけで作業が完結するとは限りません。設計用の図面作成ソフト、三次元モデル作成ソフト、測量計算ソフト、施工管理システムなどと連携することがあります。
そのため、点群編集後のデータを次の工程で利用できるかどうかが重要です。
例えば、点群から抽出した断面を設計担当者に渡す場合、相手が利用できる形式で出力できなければ、別のソフトで再変換する必要が生じます。変換作業が増えるほど、属性の欠落や座標設定の誤りが発生する可能性も高くなります。
また、点群を他のデータと重ね合わせる場合には、座標の単位や基準を一致させる必要があります。ファイル形式が対応していても、座標の扱いが異なれば正しい位置に表示されません。
比較時には、入力と出力を分けて確認することが大切です。入力できる形式が多くても、必要な形式で書き出せなければ、目的の業務に適しているとはいえません。
さらに、同じ拡張子であっても、形式の仕様やバージョン、含まれる属性によって対応状況が異なる場合があります。
実際の点群データを読み込み、編集後に書き出し、そのファイルを後工程のソフトで再度開くという確認が有効です。
無料版で必要な形式の入出力が問題なく行えるのであれば、有料版へ切り替える必要性は低いかもしれません。一方、複数のシステムとの連携や、属性を保持した成果物の受け渡しが重要な業務では、入出力機能の充実度が選定の決め手になります。
違い4:座標管理と精度確認に関する機能
建設・土木分野で点群データを利用する場合、座標管理と精度確認は特に重要な比較項目です。
点群は三次元座標の集合ですが、すべての点群が同じ座標基準で作成されているわけではありません。計測機器を基準としたローカル座標で記録される場合もあれば、測量成果に基づく公共座標で管理される場合もあります。
現場の形状を確認するだけであれば、ローカル座標の点群でも利用できることがあります。しかし、設計図面との照合や施工位置の確認に利用する場合は、座標基準を一致させる必要があります。
点群編集ソフトには、平行移動や回転による位置合わせ、座標変換、既知点を利用した位置合わせなどの機能があります。これらの機能への対応状況は、無料版と有料版だけでなく、ソフトの用途によっても異なります。
例えば、異なる日時に取得した点群を統合する場合、単に見た目が重なるだけでは十分ではありません。基準点や安定した構造物などを使い、位置合わせの妥当性を確認する必要があります。
有料版のなかには、位置合わせの結果を数値で確認したり、点群間の差分を分析したりする機能を備えたものがあります。ただし、無料版でも同様の分析が可能な場合があるため、必要な機能を個別に調べることが重要です。
精度確認で注意したいのは、位置合わせ処理の残差が小さいからといって、点群全体の絶対的な位置精度が保証されるわけではないという点です。
例えば、同じ位置にある複数の点群を非常によく重ね合わせられたとしても、基準となる座標が誤っていれば、全体が正しい位置からずれた状態になる可能性があります。
また、地上で取得した点群と上空から取得した点群を統合する場合、計測方法や点密度、遮蔽物の影響などによって形状の見え方が異なることがあります。特徴点を利用した自動位置合わせだけに依存せず、既知点や検証点を用いた確認が必要です。
高さについても注意が必要です。標高、楕円体高、ローカルな高さなど、異なる基準の値を混在させると、点群全体に高さ方向のずれが生じることがあります。
ソフトが高さの変換機能を備えている場合でも、対象となる測地系や高さ基準、変換に用いる条件が適切でなければ正しい結果にはなりません。
点群編集ソフトの比較では、座標変換ができるかどうかに加えて、変換前後の座標を確認できるか、使用した設定を記録できるか、検証点とのずれを評価できるかを確認しましょう。
測量成果として利用する場合には、求められる精度や検査方法を発注者の仕様書などで確認することも欠かせません。
有料版だから精度が高い、無料版だから精度が低いという判断は適切ではありません。最終的な精度には、計測条件、基準点の品質、位置合わせの方法、編集手順、検証方法などが関係します。
重要なのは、必要な精度を確認するための作業を、選定したソフトで適切に実施できるかどうかです。
違い5:自動処理と作業効率化の機能
点群編集を継続的に行う企業では、自動処理機能の有無が業務効率に大きく影響することがあります。
点群編集には、毎回似たような操作が必要になる作業があります。例えば、不要点の除去、点群密度の調整、特定範囲の抽出、データ形式の変換、地表面の分類などです。
こうした作業を手動で繰り返す場合、データの数が増えるほど担当者の負担が大きくなります。また、作業者によって処理範囲や設定が異なると、成果物の品質にばらつきが生じる可能性があります。
一部の点群編集ソフトには、複数ファイルをまとめて処理する機能や、設定した条件に従って自動処理する機能があります。有料版では、こうした機能が業務向けに充実している場合があります。
ただし、無料版にも自動処理や拡張機能を利用できるものがあるため、無料版であることだけを理由に自動化が難しいと判断する必要はありません。
例えば、複数の現場で取得した点群を同じ条件で軽量化する業務では、処理設定を保存して再利用できると便利です。毎回、点群密度や抽出範囲を手動で設定する作業を減らせる可能性があります。
また、施工前後の点群を定期的に比較する業務では、比較範囲や出力条件を統一することで、時系列の変化を確認しやすくなります。
自動処理機能を比較するときは、単に自動化できる作業の数を確認するだけでは不十分です。処理条件を細かく設定できるか、処理結果を確認できるか、途中でエラーが発生した場合に原因を把握できるかも重要になります。
点群の自動分類を例にすると、地面、植生、構造物などの区分が自動的に推定される場合があります。しかし、現場条件によっては誤分類が発生するため、結果の確認と修正が必要です。
特に法面や擁壁、段差の多い構造物などでは、分類条件によって必要な点まで除去される可能性があります。自動処理を利用する場合でも、重要な箇所は人が確認する運用が求められます。
また、複数の担当者が同じ処理を行う場合、設定内容を共有できるかどうかも重要です。作業者ごとに異なる設定を使用すると、同じ点群から異なる結果が得られることがあります。
そのため、編集条件の保存、処理履歴の記録、出力結果の管理なども比較対象にするとよいでしょう。
自動処理機能は、処理時間の短縮だけでなく、作業手順の標準化にも役立ちます。
ただし、自動化によって削減できる作業量は、点群の品質や処理内容によって変わります。ソフトの説明にある自動処理機能だけで判断せず、自社のデータでどの程度の作業を省略できるかを確認することが重要です。
違い6:サポート体制と継続的な運用のしやすさ
点群編集ソフトを長期的に利用する場合、機能や処理性能だけでなく、サポート体制や運用条件も確認する必要があります。
無料版では、利用者向けの説明資料や公開情報を中心に問題を解決する運用になることがあります。一方、有料版では、問い合わせ窓口や技術支援、操作説明などが提供される場合があります。
ただし、無料版でも利用者向けの情報が充実しているものがあり、有料版でもサポート内容に制限がある場合があります。サポートの充実度は利用形態だけでは判断できません。
例えば、点群を読み込めない、座標が想定した位置に表示されない、データ出力に失敗するなどの問題が発生した場合、原因を調査する必要があります。
点群編集に詳しい担当者が社内にいれば、こうした問題を自力で解決できることもあります。しかし、初めて点群編集を導入する企業では、問題が発生するたびに調査時間が必要になる可能性があります。
そのため、導入時には社内の技術力とサポートの必要性を合わせて考えることが重要です。
また、ソフトの更新頻度や対応環境も確認しておきましょう。パソコンの環境が変わった場合や、計測機器から出力されるデータ形式が変更された場合に、継続して利用できるかどうかが問題になることがあります。
長期運用では、特定の担当者しか操作方法を理解していない状態も避けたいところです。作業手順が個人に依存していると、担当者の異動や退職によって業務が停滞する可能性があります。
操作手順を社内で共有しやすいか、複数人で同じ設定を利用できるか、編集済みデータを引き継ぎやすいかなども重要な比較項目です。
さらに、利用条件の確認も欠かせません。無料版であっても、商用利用や組織内での利用、再配布などに条件が設定されている場合があります。また、試用版と継続利用できる無料版では、利用可能な期間や機能が異なることがあります。
業務利用を始める前に、利用規約やライセンス条件を確認しておく必要があります。
有料版を導入する場合も、利用できる端末数や利用者数、ライセンスの管理方法などを把握しておきましょう。現場担当者と事務所担当者が同時に作業する場合は、実際の利用人数に合った運用ができるかが重要です。
点群編集ソフトは、一度導入すれば終わりではありません。計測方法の変化や業務範囲の拡大に応じて、必要な機能も変わります。
現在の業務だけでなく、今後の担当者増加やデータ量の拡大を見据えて、継続的に利用しやすい環境を選ぶことが大切です。
無料版が向いている業務と有料版が向いている業務
ここまで紹介した6つの違いを踏まえると、無料版と有料版のどちらが適しているかは、業務の複雑さや利用頻度によって判断できます。
無料版が向いている代表的な用途は、点群データの閲覧や基本的な確認作業です。
例えば、現場で取得した点群を事務所で開き、構造物の配置や周辺地形を確認する場合、基本的な表示機能で目的を達成できることがあります。
点群を回転させながら確認する、特定の場所を拡大する、必要な部分を切り出すといった作業が中心であれば、無料版でも十分に活用できる可能性があります。
また、点群編集を初めて導入する企業では、無料版を利用して操作方法を習得することも有効です。
実際のデータを扱いながら、点群の構造や編集の基本操作を理解することで、自社に必要な機能を整理しやすくなります。
一方、有料版を検討したいのは、点群データを継続的に加工し、業務成果物として利用する場合です。
例えば、道路工事で複数の断面を作成する業務、造成工事で施工前後の土量を比較する業務、構造物の変状を確認するために異なる時点の点群を重ね合わせる業務などが考えられます。
こうした業務では、単純な点群表示だけでなく、計測、分類、断面作成、比較、データ出力などの機能が必要になります。
ただし、これらの作業が無料版で実施できるのであれば、必ずしも有料版を導入する必要はありません。
重要なのは、必要な作業を正確かつ効率的に完了できるかどうかです。
例えば、月に数回だけ点群を確認する企業と、毎日のように大量の点群を処理する企業では、求められる環境が異なります。
利用頻度が低い場合は、基本機能を備えた無料版を中心に検討する方法があります。一方、日常的に点群編集を行う場合は、処理時間の短縮や作業手順の標準化が重要になるため、専門的な機能の必要性が高まります。
また、社内で点群を確認するだけなのか、外部に成果物を提出するのかによっても判断が変わります。
社内での現況確認が中心であれば、必要な情報を画面上で確認できれば十分な場合があります。しかし、発注者や設計担当者に成果物を引き渡す場合は、指定された形式や品質条件を満たす必要があります。
無料版と有料版の選定では、自社の作業工程を具体的に想定し、必要な機能と利用頻度を照らし合わせることが大切です。
点群編集ソフトの導入前に実施したい比較テスト
点群編集ソフトの導入で失敗を防ぐには、実際の業務データを使用した比較テストが有効です。
ソフトの紹介資料や機能一覧だけでは、操作性や処理速度、成果物の品質まで十分に判断できません。
特に点群編集では、データの規模や計測条件によって処理結果が変わるため、自社で扱うデータを使った確認が重要になります。
まず、比較に使用する点群データを準備します。通常業務で扱う標準的なデータに加え、点数が多いデータや、不要な点が多く含まれるデータなどを用意すると、運用上の課題を把握しやすくなります。
例えば、道路工事を主な業務とする企業であれば、路面だけでなく、縁石、側溝、周辺構造物などを含む点群を利用するとよいでしょう。
造成工事では、地表面に加えて重機や仮設物などが含まれたデータを用意すると、不要点の除去や地表面抽出の機能を確認できます。
次に、実際の業務で行う編集作業を決めます。
点群の読み込み、不要点の削除、範囲指定、位置合わせ、断面作成、データ出力など、日常的に使用する操作を同じ条件で実施します。
このとき、単に作業が完了するかどうかだけでなく、操作に必要な手順や確認作業の量も記録しておきましょう。
操作回数が多い作業でも、設定を保存して再利用できれば、継続的な運用では効率化につながる可能性があります。
一方、初回の操作が簡単でも、毎回同じ設定を手動で入力する必要がある場合は、繰り返し作業の負担が大きくなることがあります。
処理速度を比較する場合は、同じパソコン環境で評価することが基本です。使用するメモリや画像処理性能が異なると、ソフトの性能差なのか、パソコンの性能差なのかを判断しにくくなります。
また、処理速度だけを比較するのではなく、出力結果の品質も確認する必要があります。
例えば、点群密度を調整する作業では、処理時間が短くても必要な形状が失われていれば、業務に適した処理とはいえません。
断面作成では、断面の位置を正しく指定できるか、必要な形状が表現されているか、出力データを後工程で利用できるかを確認します。
位置合わせを行う場合は、独立した検証点などを使って結果の妥当性を確認することが重要です。
さらに、編集後のデータを他の担当者に渡し、問題なく利用できるかまで試すと、導入後のトラブルを減らせます。
評価結果は、操作性、処理性能、成果物の品質、データ連携、継続運用のしやすさという観点で整理すると比較しやすくなります。
最終的には、機能の多さではなく、自社の業務を安定して完了できるソフトを選ぶことが重要です。
点群編集ソフトの選定で失敗しやすいポイント
点群編集ソフトの導入では、無料版と有料版の比較方法を誤ることで、運用開始後に問題が発生する場合があります。
よくある失敗の一つが、無料版で点群を表示できたことだけを確認し、そのまま実務利用を始めてしまうことです。
点群の表示と成果物の作成では、必要な機能が異なります。表示には問題がなくても、必要なファイル形式で出力できない、複数データをまとめて扱えない、編集条件を保存できないといった問題が後から判明することがあります。
導入前には、点群を開くところから最終成果物を作成するところまで、一連の作業を確認する必要があります。
反対に、有料版であれば必要な業務にすべて対応できると考えることも避けたいところです。
専門的な機能を多数備えたソフトであっても、特定の計測方法で作成したデータに対応していない場合や、必要な成果物を直接出力できない場合があります。
また、点群編集ソフトの機能が豊富でも、担当者が操作を理解できなければ十分に活用できません。
点群編集には、座標系、計測誤差、点密度、位置合わせ、分類条件など、基本的な知識が必要です。ソフトの操作方法だけでなく、処理結果の妥当性を判断する知識も求められます。
特に注意したいのが、自動処理結果を確認せずに使用してしまうことです。
不要点除去や地表面分類などの自動処理は便利ですが、現場条件によっては必要な点が削除されたり、誤った分類が行われたりする可能性があります。
自動処理の結果をそのまま成果物に使用するのではなく、重要な箇所を確認し、必要に応じて修正することが大切です。
もう一つの失敗要因は、座標情報の管理不足です。
点群を読み込む際に座標系を確認せず、異なる基準のデータを重ね合わせると、位置や高さにずれが生じることがあります。
特に複数の現場や異なる計測機器のデータを扱う場合は、座標系、単位、高さ基準などの条件を明確にしておく必要があります。
さらに、元データと編集済みデータを区別せずに保存すると、後から処理内容を確認できなくなる可能性があります。
点群編集では、どのデータを元にして、どのような条件で処理したかを記録しておくことが重要です。
元データを保管し、編集済みデータには処理内容や作成日が分かる管理方法を採用すると、再確認や修正が必要になった場合にも対応しやすくなります。
また、点群データだけを保存し、現場写真や施工記録との関連付けを行っていないケースもあります。
点群から形状を確認できても、現場で何が行われていたのか、どの時点の状態なのかが分からなければ、施工管理や維持管理で十分に活用できないことがあります。
点群編集ソフトの導入では、編集作業そのものだけでなく、計測時の情報や施工記録をどのように保存し、共有するかまで考えることが重要です。
まとめ:必要な編集機能と現場運用を基準に選ぶ
点群編集ソフトの無料版と有料版を比較するときは、編集機能、処理性能、ファイル形式、座標管理、自動処理、サポート体制という6つの違いを確認することが重要です。
無料版でも、点群の閲覧や基本的な編集、データの切り出しなど、実務に役立つ作業を行える場合があります。一方、専門的な成果物の作成や大量データの処理、複数人での継続的な運用では、有料版に備わる機能が役立つことがあります。
ただし、有料版であることが精度や作業効率を保証するわけではありません。必要な機能が備わっているか、実際の点群データを安定して処理できるか、求められる成果物を作成できるかを確認する必要があります。
特に建設・土木現場では、点群編集だけで業務が完結することは少なく、計測、編集、確認、共有、記録という一連の流れが重要です。
点群の形状が正しく編集できても、現場での計測条件や施工状況が分からなければ、後からデータを確認する際に判断が難しくなることがあります。
そのため、点群編集ソフトの選定と同時に、現場写真や位置情報、施工記録を一元的に管理する仕組みを整えることも大切です。
LRTK Phoneは、現場写真や位置情報、施工記録を管理し、現場で取得した情報の整理・共有を支援する自社プロダクトです。点群編集ソフトで形状データを扱う運用と組み合わせて、計測した場所の情報や現場の状況を記録しておくことで、後からの確認や関係者間の情報共有を進めやすくなります。
点群データの編集だけでなく、現場情報の取得から施工記録の管理までを効率化したい場合は、LRTK Phoneの活用も検討してみてください。