LRTKレフィクシア株式会社

杭打ちで玉掛け不良を防ぐ杭材吊上げ4つの確認

杭打ちでは杭材の吊上げ前確認が重要

杭打ち工事では、杭を地盤へ施工する工程だけでなく、搬入された杭材を仮置き場所から取り出し、杭打ち機や施工位置まで移動させる工程にも大きな危険があります。特に杭材は長尺で重量があるものが多く、吊上げ中に傾く、回転する、滑る、玉掛け用具が外れるといった異常が起きると、周囲の作業員や設備へ重大な影響を及ぼす可能性があります。

そのため、杭打ちにおける安全管理では、「クレーンで持ち上がるか」という確認だけでは十分ではありません。どの杭材を、どの位置で、どのような玉掛け用具を使用し、どこへ移動するのかまで含めて確認する必要があります。吊り荷の重量や形状に合わない方法を選べば、吊り始めは安定しているように見えても、旋回や巻上げの途中で荷姿が変化することがあります。

厚生労働省の「玉掛け作業の安全に係るガイドライン」では、つり荷の種類、質量、形状、数量、運搬経路、玉掛け用具の種類・個数、玉掛け方法などを作業前に確認・周知し、不安全な状況を認めた場合には作業を中断してつり荷を着地させるなどの措置を講じる考え方が示されています。厚生労働省+2厚生労働省+2

杭打ち現場では、施工の進み方に合わせて杭材を次々と吊り上げるため、同じ作業が繰り返されます。この「いつもの作業」という感覚が、確認不足につながることがあります。杭径や杭長が変わったにもかかわらず前の杭と同じ位置へ玉掛けする、別の長さのワイヤロープをそのまま使用する、仮置き状態が変わったのに以前と同じ吊上げ手順を取るといった行動は避けなければなりません。

また、杭材を吊り上げる目的は、単純に地面から浮かせることではありません。所定の場所まで安全に移動し、次の施工工程へ安定した状態で受け渡すところまでが一つの作業です。吊り始めだけでなく、地切り、巻上げ、旋回、移動、降下、建込みといった流れを想定し、それぞれの段階で荷がどのような姿勢になるのかを考える必要があります。

玉掛け不良を防ぐために、杭打ち現場で特に確認したいポイントは大きく4つに整理できます。1つ目は杭材の重量・長さ・重心と吊り方、2つ目は玉掛け用具の種類・能力・損傷状態、3つ目は実際の掛け位置やフック、吊り角度と荷姿、4つ目は合図・立入管理・試し吊りです。

これらを個別に確認するだけでなく、一連の吊上げ作業としてつなげて管理することが重要です。

確認1 杭材の重量・長さ・重心と吊り方を確認する

最初に確認したいのは、吊り上げる杭材そのものです。玉掛け用具を見る前に、「何を吊るのか」を正確に把握する必要があります。

杭材は同じ種類に見えても、杭径、肉厚、杭長、継手などの条件によって重量が異なります。現場に複数種類の杭が搬入されている場合、外観だけで判断すると対象を取り違える可能性があります。施工図、杭材の識別表示、搬入記録などを確認し、これから吊り上げる杭が施工対象と一致しているかを確認することが基本です。

重量を把握する理由は、クレーンや玉掛け用具の能力を判断するためだけではありません。杭材の動き方を予測するうえでも重要だからです。長く重い杭材は、一度振れ始めると人の力だけで容易に止められるものではありません。作業員が直接杭材を押さえて振れを止めようとすると、荷と構造物の間に挟まれる、荷の急な回転に巻き込まれるといった危険につながります。

厚生労働省の労働災害事例では、玉掛け用ワイヤロープの損傷や不安定な玉掛け方法が、吊り荷の落下や作業員の被災につながった事例が示されています。長尺材では、荷を直接手で押さえることを前提にするのではなく、安定した玉掛け方法と作業員の退避位置を含めて荷の動きを管理することが重要です。あんぜんサイト

次に確認するのが重心です。杭材が単純な一定断面の直材であれば中央付近が一つの目安になりますが、実際の現場では付属部材、継手、先端部の形状などによって重量配分が均一とは限りません。また、仮置き状態によって玉掛け可能な位置が限定される場合もあります。

重心と玉掛け位置の関係が適切でなければ、地切りした瞬間に片側が急に下がることがあります。吊り荷が水平に置かれているからといって、そのまま水平に浮くとは限りません。吊上げ前に荷の形状や重心位置を考え、地切り時にどの方向へ傾く可能性があるのかまで想定しておく必要があります。

さらに、杭打ちでは杭を水平状態から吊り上げ、施工方法によっては建込みのために姿勢を変えていく場合があります。この場合は、最初の水平吊りだけを見るのではなく、姿勢変更中に各玉掛け用具へどのような荷重がかかるかを考えなければなりません。

吊り点が適切でないと、荷の姿勢が変化する途中でワイヤロープ等がずれたり、片側に荷重が集中したりする可能性があります。そのため、杭材ごとの施工手順、製造者等が示す取扱条件、現場で定めた作業計画に沿い、荷の形状と重量に合った吊り方を選定することが大切です。厚生労働省のガイドラインでも、つり荷の質量・形状を確認したうえで玉掛け用具と玉掛け方法を選び、重心を見極めて作業する考え方が示されています。厚生労働省+1

特に注意したいのは、「前の杭と同じだから」という判断です。同一現場でも杭長が変われば重心や吊り点の考え方が変わる可能性があります。杭番号や施工位置が切り替わるタイミングでは、対象杭の仕様を改めて確認する仕組みにすると取り違えを防ぎやすくなります。

吊上げ前には、対象となる杭材、仕様書や搬入資料など根拠を確認した重量、長さ、重心の考え方、吊り点、吊上げ後の移動経路までを一つの流れとして確認します。この最初の確認が曖昧なままでは、その後に使用する玉掛け用具が適切かどうかも正しく判断できません。

確認2 玉掛け用具の種類・能力・損傷状態を確認する

杭材の条件を確認したら、次に玉掛け用具を確認します。

杭材を吊り上げるための用具には、現場や施工方法に応じてさまざまなものが使用されます。重要なのは、名称や見た目ではなく、吊り荷の重量、形状、掛け方、吊り本数、使用条件に対して適切な能力を持つものを選ぶことです。

玉掛け用ワイヤロープなどは、同じ太さに見えても仕様や状態が同じとは限りません。現場に複数の長さや能力のものが置かれている場合は、使用対象を明確にしておかなければ、別用途のものを誤って使用する可能性があります。

選定時には、吊り荷の重量だけを見るのではなく、どのような角度で何本使用するのかも含めて判断します。複数本で吊れば単純に能力が本数分になると考えるのは危険です。吊り角度によって各部に作用する力は変化するため、現場で定められた計算方法や使用基準を踏まえて選定する必要があります。

また、十分な能力がある用具を選んでも、損傷していれば安全な玉掛けにはなりません。

作業前には、ワイヤロープ等の摩耗、素線切れ、つぶれ、変形、腐食など、使用に影響する異常がないかを確認します。端末部や接続部も含め、吊上げに使用する一連の用具を確認することが重要です。厚生労働省のガイドラインは玉掛け用具の作業前点検と、損傷等が認められた場合の適正品への交換を示しており、労働災害事例でも損傷したワイヤロープを使用しないことや地切りで荷の振れ・傾きを確認することが再発防止策として挙げられています。厚生労働省+1

点検で大切なのは、「まだ使えそう」という感覚で判断しないことです。法令、メーカーの取扱条件、現場で定めた使用基準や廃棄基準に照らして判断し、基準から外れた用具を使用場所へ戻さない管理が必要です。

不良品を見つけた際に、その場で脇へ置くだけでは不十分です。別の作業員が使用可能品と勘違いする可能性があるためです。使用禁止であることが分かるように区分し、現場のルールに基づいて処理することが重要になります。

玉掛け用具の保管状態も確認対象です。泥や水分が付着した状態で放置されている、車両や杭材の下敷きになっている、鋭利な部分と接触した状態で保管されているといった状況は避ける必要があります。作業終了時に適切に整理することが、次回使用時の安全にもつながります。

杭打ち現場では施工スペースが限られ、杭材、施工機械、資材、車両、玉掛け用具が近接しやすくなります。そのため、保管場所を明確にし、使用可能品と点検対象品、不良品を混在させないことが実務上重要です。

さらに、玉掛け作業を行う人の資格確認も欠かせません。日本では、つり上げ荷重が1トン以上のクレーン、移動式クレーンまたはデリックなどの玉掛け業務には、原則として玉掛け技能講習修了者など法令で定める資格が必要です。つり上げ荷重が1トン未満のクレーン等の玉掛け業務には特別教育が必要です。基準となる「つり上げ荷重」は、その瞬間に吊っている杭材の実重量ではなく、使用するクレーン等の能力に関する区分であるため、使用機械と作業内容に応じて必要資格を確認します。厚生労働省+1

資格者がいるだけで安全になるわけではありません。実際に使用する杭材と玉掛け用具を見ながら、当日の条件に合わせて確認することが必要です。

確認3 掛け位置・フック・吊り角度と荷姿を確認する

玉掛け用具を選んだら、実際に杭材へ掛けた状態を確認します。

この段階では、用具単体では問題がなくても、掛け方によって新たな危険が生じる可能性があります。特に確認したいのが、掛け位置、掛かり方、フック周辺、吊り角度、杭材との接触状態です。

杭材の吊り点は、重心との位置関係を考えながら設定します。吊り点同士の間隔が適切でないと、地切りした際に杭材が大きく傾くことがあります。掛け位置がずれやすい形状であれば、吊上げ途中の荷姿変化も考える必要があります。

ワイヤロープ等が杭材の角部や突起部に直接強く当たる場合は、その接触状態にも注意します。巻上げに伴って用具が滑ったり、局部的に大きな力が加わったりしないかを確認します。必要に応じて、使用する用具の仕様や作業標準に適合した当て物などを用いることも検討します。

玉掛けが完了したら、フックへ正しく掛かっているかも確認します。フックの外れ止め装置は、有効に機能する状態で使用する必要があります。厚生労働省の通達でも、クレーン等安全規則の関係条文はフックの外れ止め装置を使用しなければならないことを規定したものと説明されています。厚生労働省

また、一つのフックへ複数の用具を掛ける場合には、それぞれが無理な状態で重なっていないか、外れやすい位置に掛かっていないかを確認します。巻上げ前には落ち着いて全体を見る時間を設けることが重要です。

吊り角度も重要な確認項目です。

二本以上の玉掛け用具で杭材を吊る場合、吊り角度が変われば用具へ作用する力も変わります。見た目として「二本で支えているから大丈夫」と判断するのではなく、重量、掛け方、角度をまとめて評価しなければなりません。作業計画で想定した角度や使用する用具の許容条件から外れている場合は、そのまま巻き上げず、吊り点や用具の長さを見直すことが必要です。

杭材を仮置きしている地面の状態も掛け方へ影響します。杭材同士が密着しているとワイヤロープ等を無理に通そうとすることがあり、手指を挟む危険が生じます。また、玉掛け用具を杭材の下へ通すために手や足を不安定な隙間へ入れることも避けなければなりません。

必要な作業スペースを確保し、安全な方法で玉掛けできる仮置き状態をあらかじめつくっておくことが大切です。杭材搬入時の置き方を工夫することで、吊上げ時の危険を減らせる場合もあります。

さらに重要なのが、実際に吊り上げたときの荷姿を想像することです。

杭材の周辺には、別の杭材、杭打ち機、作業足場、架空物、仮設設備、資材などが存在する場合があります。地上では十分な隙間があるように見えても、巻き上げると杭材の端部が大きく移動し、周辺物へ接近することがあります。

特に長尺杭では、中心部分だけでなく杭頭側と先端側の軌跡を意識する必要があります。旋回すると端部が広い範囲を通過するため、吊上げ位置から施工位置までの経路全体を確認します。

「掛け終わったから吊る」のではなく、「掛け終わった状態が正しいことを確認してから吊る」という順番を徹底することが、玉掛け不良の防止につながります。

確認4 合図・立入管理・試し吊りを確認する

4つ目は、実際にクレーンを動かす直前から地切りまでの確認です。

杭材の重量、玉掛け用具、掛け方が適切でも、運転者、玉掛け作業者、合図者、周囲の作業員の連携が取れていなければ安全な吊上げにはなりません。

まず明確にしたいのが、誰が合図を出すのかです。

複数の作業員がそれぞれ異なる合図を出すと、運転者がどの指示に従えばよいか判断できなくなります。吊上げ開始前に合図者を明確にし、現場で定めた合図方法を関係者で共有します。運転者から合図者が見えにくくなる位置がある場合は、その状況も含めて事前に方法を決めておきます。

玉掛け作業では、周囲の作業員が吊り荷の動きを理解していることも重要です。杭打ち現場では、施工班以外にも資材搬入、測量、溶接、掘削など複数の作業が近接して進むことがあります。別作業の作業員が吊上げ開始に気付かず、吊り荷の移動範囲へ入ってくることを防ぐ必要があります。

特に吊り荷の下や、杭材が傾いた場合に影響を受ける範囲へ人を入れない管理が重要です。クレーン等安全規則では、一定の玉掛け方法等による作業について荷等の下への立入り禁止が定められており、厚生労働省の玉掛けガイドラインでは、合図者やクレーン等運転者がつり荷の下に労働者が立ち入っていないことを確認し、立入りがあれば作業を中断する考え方が示されています。厚生労働省+1

そして、本格的に巻き上げる前に重要になるのが地切りです。

杭材を一気に高く吊り上げるのではなく、まずわずかに浮かせた段階で状態を確認します。この段階で、杭材の傾き、重心、玉掛け位置、用具の張り方、フックへの掛かり、周囲との接触などを確認します。

想定より片側が下がっている、ワイヤロープ等が移動している、掛け位置がずれている、異音がするなど、異常があれば作業を進めず、安全に着地させて原因を確認します。厚生労働省の玉掛けガイドラインでも、地切り時につり荷の状況を確認し、必要な場合は再度着地させて玉掛けをやり直すことが示されています。厚生労働省

地切りは単なる巻上げ開始ではなく、玉掛け状態を実荷重で確認する重要な工程と考えるとよいでしょう。

もう一つ見落としやすいのが介添え方法です。長尺杭は風や旋回によって動きやすいため、必要に応じて現場の作業計画に基づいた方法で姿勢を管理します。ただし、吊り荷を人が直接抱える、押さえ込む、進行方向へ立って誘導するといった方法は避けなければなりません。

吊り荷が予想外に動いたときに人が避けられる位置を確保し、「荷を制御するために人が危険範囲へ入る」という状態をつくらないことが基本です。

また、吊上げ途中で別の作業員から声を掛けられたり、施工位置側で準備が整っていなかったりした場合にも、無理に作業を続けないことが重要です。吊り荷を長時間保持したまま次の作業を待つのではなく、施工全体の段取りを整えてから吊上げを開始する方が安全管理を行いやすくなります。

杭材の種類によって変わる玉掛けの注意点

杭打ちと一口にいっても、使用する杭材は現場によって異なります。したがって、すべての杭材を同じ玉掛け方法で扱うのではなく、それぞれの材質、形状、長さ、表面状態などに応じて方法を検討する必要があります。

鋼製の杭材では、長尺であることに加え、表面が滑りやすい状態になっていないかを確認します。雨天時や泥が付着している場合などは、乾燥時とは条件が異なる可能性があります。突起部、接合部、加工部分などがある場合も、玉掛け用具との接触状態を確認します。

コンクリート系の杭材では、自重が大きくなる場合があるため、重量確認を確実に行う必要があります。また、吊上げ時に杭材を損傷させないことも品質管理上重要です。製造者や施工計画で指定されている吊り位置や取り扱い条件がある場合は、それに従います。

どの杭材でも共通するのは、「外見が似ているから同じ方法でよい」と考えないことです。

杭径が同じでも杭長が違えば重量や重心条件が変わります。杭長が同じでも仕様が異なれば重量が変わる場合があります。現場に到着した杭材を分類し、杭番号や施工位置と対応させておくと、玉掛け時の取り違え防止にもつながります。

さらに、杭を継ぎながら施工する現場では、上杭、下杭など施工順序に応じた材料管理が必要です。次に施工する杭材がどれなのかを事前に整理しておけば、クレーンで一度吊り上げた後に「違う杭だった」と判明するような手戻りも減らせます。

玉掛けの安全性と施工管理は別々のテーマに見えますが、実際には密接に関係しています。資材管理が整理されていれば、吊上げ対象の仕様を確認しやすくなり、安全な玉掛け方法も選びやすくなるからです。

杭打ち前の吊上げ作業を標準化する方法

玉掛け不良を防ぐためには、熟練した作業員の経験だけに頼らず、誰が担当しても必要な確認が抜けにくい仕組みをつくることが重要です。

まず、杭材吊上げの流れを現場内で統一します。

対象杭の確認、重量と長さの確認、玉掛け用具の選定、用具の点検、掛け位置の確認、フック周辺の確認、周囲の立入確認、合図者の確認、地切り、荷姿確認、本吊上げという順番を決めておけば、「どこまで確認したのか分からない」という状態を減らせます。

特に効果的なのは、地切り前に確認の区切りを設けることです。

玉掛け作業者が用具を掛けた直後にそのまま巻上げを始めるのではなく、一度全体を見直します。吊り荷の両端、掛け位置、フック周辺、周囲の作業員を確認し、安全が確認できてから合図を出す流れを定着させます。

朝礼や作業前打合せでは、その日に使用する杭材や施工順序に変化がないかを共有します。長さや重量が異なる杭へ切り替わる場合は、玉掛け方法や使用用具も変更する必要がないか確認します。

作業途中の変更情報も重要です。

杭材の仮置き場所が変わった、クレーンの配置が変わった、別の重機が作業範囲へ入った、搬入車両の位置が変わったなど、現場条件が変化すれば吊上げ経路にも影響します。朝に決めた計画が一日中そのまま使えるとは限りません。

厚生労働省の玉掛けガイドラインでは、作業標準を定めて関係労働者へ周知すること、作業標準がない作業では事前に作業計画を作成すること、さらに運搬経路や使用するクレーン等の定格荷重・作業半径、移動式クレーンの据付条件などを作業前に確認することが示されています。厚生労働省+2厚生労働省+2

そのため、条件が変わった場合には「予定どおり進めること」を優先するのではなく、変更後の条件で安全に作業できるかを確認し直すことが必要です。

もう一つ重要なのが、役割分担の明確化です。

玉掛けをする人、合図をする人、クレーンを操作する人、それぞれの役割を明確にします。誰でも合図できる状態にすると、複数の指示が同時に出る可能性があります。作業開始前に役割を共有し、異常時に誰が作業を止めるのかについても共通認識を持つことが大切です。

玉掛け技能講習など必要な資格についても、作業直前ではなく、人員配置を決める段階で確認するとスムーズです。資格者が不在だったために予定変更が生じる状況を防ぐには、工程計画と安全管理を一体で考える必要があります。

玉掛け不良を早期に見つける現場記録の残し方

杭打ち工事では、施工記録だけでなく、吊上げ前後の状況を記録しておくことも現場管理の改善につながります。

記録の目的は、すべての吊上げ作業を撮影することそのものではありません。どのような条件で作業したのかを後から振り返り、危険につながりそうな傾向を把握できる状態にすることが重要です。

例えば、杭材の仮置き状況、使用する玉掛け用具の状態、吊り点、吊上げ前の周囲状況などを必要に応じて記録しておけば、安全パトロールや施工管理の振り返りに活用できます。

ヒヤリとした事象が発生した場合には、結果だけでなく、その直前に何が変わっていたのかを確認します。

いつもより杭材の間隔が狭かった、異なる長さの用具を使用していた、吊り位置が通常と違った、別工種との作業が重なっていた、合図者から運転者が見えにくかったなど、複数の条件が重なっている場合があります。

こうした情報を残しておけば、「作業員が注意する」という対策だけで終わらせず、仮置き方法や作業区画、施工順序、確認手順などを改善しやすくなります。

写真を記録する場合には、撮影時刻だけでなく、どの施工位置や杭に関係する写真なのかが分かるよう整理すると活用しやすくなります。杭番号、施工位置、撮影地点などとの対応を明確にしておくことで、後日の確認作業を効率化できます。

ただし、写真があるから安全が確認できるわけではありません。

写真はあくまで記録手段の一つです。玉掛け用具内部の状態や能力、資格、吊り荷に作用する力など、画像だけでは判断できない事項も多くあります。現場での実物確認、必要な計算、作業計画、資格者による判断を基本とし、写真は補助的な記録として活用することが重要です。

杭打ちの安全管理は吊上げ前から始まっている

杭打ちの施工管理では、杭芯、鉛直性、施工深度、支持層、継手、施工記録など、杭が地盤へ入ってからの管理項目に意識が向きやすくなります。

しかし、その杭を施工位置へ安全に運ぶことができなければ、そもそも杭打ち工程を始められません。

杭材の吊上げ作業は短時間で終わることもありますが、その短い時間の中に、重量物、長尺物、クレーン、玉掛け用具、人の連携という複数の危険要素があります。

だからこそ、吊上げ直前だけに注意するのではなく、杭材の搬入段階から安全な流れをつくることが重要です。

搬入時に杭材をどこへ置くか、玉掛け用具を通せる間隔があるか、吊上げ時のクレーン位置はどこか、杭材をどの方向へ移動するか、作業員が安全に退避できる場所があるかまで考えて仮置きすると、その後の玉掛け作業を行いやすくなります。

反対に、仮置き段階で杭材を詰め込みすぎると、後から玉掛け用具を入れるために無理な作業が必要になる場合があります。施工位置だけでなく、吊上げ作業まで考えたヤード計画が安全性と作業効率の両方に影響します。

杭打ち機、クレーン、搬入車両が限られたスペースに集中する現場では、位置関係の確認も重要です。施工が進めば機械や杭材の配置は変化するため、最初につくった配置計画だけでは対応できないことがあります。

現場の実際の状態を確認しながら、その日の吊上げ経路や立入範囲を調整することが必要です。

また、安全対策と生産性は必ずしも相反するものではありません。

吊り上げる杭を事前に特定し、使用する玉掛け用具を準備し、施工位置までの経路を確保しておけば、吊上げ直前に用具を探したり、周囲の資材を移動したりする時間を減らせます。

確認手順を標準化すると、一見すると確認項目が増えるように感じます。しかし、吊上げ後のやり直しや杭材の取り違え、急な作業中断を減らせれば、結果的に工程を安定させやすくなります。

安全管理は、作業を遅らせるためのものではなく、安全に同じ品質の作業を繰り返すための施工管理の一部と考えることが重要です。

まとめ 杭材吊上げは4つの確認を一連の流れで管理する

杭打ちで玉掛け不良を防ぐためには、吊上げ直前にワイヤロープ等を目視するだけでは十分ではありません。

最初に確認したいのは、吊り上げる杭材の重量、長さ、重心と、それに合った吊り方です。次に、玉掛け用具が荷の条件に適しているか、損傷や異常がないかを確認します。そのうえで、実際の掛け位置、フックへの掛かり方、吊り角度、杭材との接触状態を確認し、最後に合図、周囲の立入管理、地切り時の荷姿まで確認します。

この4つは独立したチェックではありません。

杭材の重量が分からなければ玉掛け用具を選定できず、用具が適切でも掛け方が悪ければ安全には吊れません。掛け方が適切でも、吊り荷の下や移動範囲へ人が入っていれば事故につながる可能性があります。

そのため、「杭材の確認から地切りまで」を一つの作業として管理することが重要です。

また、杭打ち現場では同じような吊上げを一日に何度も繰り返すことがあります。慣れによって確認を省略するのではなく、杭材が変わったとき、玉掛け用具を交換したとき、クレーン位置が変わったとき、施工ヤードの状況が変わったときほど、基本へ戻って確認することが大切です。

現場管理では、吊上げ時の安全確認に加えて、杭材の仮置き位置や施工位置、杭番号、周囲状況などを後から確認できる形で記録しておくと、施工管理全体を整理しやすくなります。

杭芯や杭材配置など位置情報を伴う現場記録を効率化したい場合には、必要に応じてLRTK Phoneを活用する方法もあります。位置情報を生かした現場記録を施工管理へ取り入れ、玉掛けそのものは資格者による現場確認と定められた安全手順を基本としながら、杭打ち工程全体をより分かりやすく管理していくことが大切です。

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