LRTKレフィクシア株式会社

架線設備の風による振動を抑える現場確認6ステップ

架線設備で風による振動が起こる理由

架線設備は屋外に連続して設置されるため、日常的に風の影響を受けています。風が弱いときには目立った動きが見られなくても、風速が高まったときや風向が急激に変わったときには、電線、吊架部材、支持金具、腕金、がいし、支柱などに振動や揺動が生じることがあります。

風による動きは、単純に風が強い場所だけで発生するわけではありません。電線の太さや形状、張力、支持点間隔、設備の高さ、周辺地形、建物の配置などが複合的に関係します。同じ構造の架線設備であっても、橋梁上、河川沿い、海岸部、谷部、トンネル坑口、建物の間などでは、風の流れ方が異なるため、振動の現れ方にも差が生じます。

風が電線を横切ると、電線の背後に周期的な空気の流れが生じ、細かい振動が続くことがあります。また、風向や風速が不規則に変化する場所では、架線が大きく横へ動いたり、上下に揺れたりする場合があります。電線に氷雪、汚れ、植物片などが付着して断面形状が偏ると、通常とは異なる動きが生じる可能性もあります。

架線の動きは、一定の範囲であれば直ちに異常を意味するものではありません。架線設備は温度変化や外力を考慮して設計されており、条件に応じて一定の変位が生じることがあります。現場で重要なのは、揺れているという印象だけで判断するのではなく、どの部材が、どの方向へ、どの程度、どのくらいの時間動いているかを具体的に確認することです。

風による振動の原因を明らかにするには、電線だけでなく、その両端にある支持点、張力調整機構、接続金具、支柱、基礎、周辺構造物まで確認する必要があります。揺れている場所だけを補修しても、支持条件や周辺の風環境が変わらなければ、同じ現象が繰り返される可能性があるためです。

風振動を放置した場合に考えられる影響

風による振動が繰り返されると、架線設備の特定部分へ継続的に負荷が加わることがあります。一回ごとの動きが小さくても、同じ箇所に繰り返し力が作用すれば、部材の摩耗、締結部の緩み、金属疲労などにつながる可能性があります。

特に注意したいのが、電線と金具の境界、吊架部材の取付部、引留部、接続部などです。これらの場所は、電線の動きによる力が集中しやすく、外観では分かりにくい小さな擦れや変形が発生する場合があります。表面が磨かれたように光っている、塗膜が局部的に剥がれている、金属粉やさび汁が見られるといった状態は、部材同士が動いている可能性を示す手掛かりになります。

締結部に振動が伝わると、ボルトやナットの緩み、座金周辺の変形、穴の拡大などが生じることがあります。締結部に遊びが生じると、当初よりも部材の動きが大きくなり、さらに摩耗が進む循環に入る可能性があります。緩みを締め直すだけでは原因が残る場合もあるため、なぜその箇所に振動が集中したのかを確認することが重要です。

架線が大きく横へ動く場合は、隣接する電線、支持構造物、樹木、建築物などとの離隔が一時的に小さくなることがあります。静止した状態では十分な間隔があるように見えても、強風時の最大変位を考慮すると余裕が不足している場合があります。接触が発生すれば、部材の損傷だけでなく、電気的な事故や設備停止につながるおそれもあります。

支柱や腕金へ振動が伝わると、支柱の傾斜、部材の変形、基礎周辺の損傷などが進行する可能性があります。基礎の沈下や地盤の洗掘によって支柱の姿勢が変化すると、架線の張力や位置も変わり、それまで問題がなかった風で振動が大きくなることがあります。

風振動による変化は、点検時に必ず再現されるとは限りません。風が弱い日に巡視しても、設備が静止しているため問題を見つけられない場合があります。そのため、振動の有無だけでなく、接触痕、摩耗痕、締結部のずれ、過去写真との差など、振動が収まった後にも残る兆候を確認することが必要です。

現場確認を始める前の安全準備

架線設備の確認では、感電、墜落、列車や車両との接触、工具の落下、飛来物との衝突などの危険があります。特に風が強い状況では、作業床が不安定になり、長尺物や工具が風にあおられる可能性があります。振動状態を確認するために強風下で無理に設備へ近づくのではなく、安全な位置からの観察を基本とします。

近接点検や接触を伴う確認は、設備管理者が定める手順に従って実施します。必要に応じて停電、検電、接地、作業区間の確保、監視員の配置などを行い、必要な資格や教育を受けた作業者が担当します。通電中の設備に不用意に接近したり、測定器や撮影機器を近づけたりしてはいけません。

現場へ入る前には、対象区間、設備番号、点検範囲、避難経路、連絡方法を確認します。強風時には飛来物や倒木の危険もあるため、架線設備だけでなく周囲の状況を把握しておく必要があります。高所作業車や仮設足場を使う場合は、使用可能な風の条件や作業中止基準を確認します。

観察位置を決める際は、架線の延長方向と横方向の両方を見通せる場所を選びます。一方向からだけでは、横揺れと上下動を区別しにくい場合があります。ただし、撮影や観察のために危険区域へ立ち入ってはいけません。安全な範囲で複数の方向から確認できるよう、事前に観察地点を計画します。

現場記録に使用する機器についても、落下防止や防水、防じんなどの準備が必要です。強風時に手持ちで撮影すると映像が大きく揺れ、架線の動きと撮影者の動きを区別できなくなることがあります。安全な固定方法を採用できる場合は、撮影位置を固定し、背景となる支柱や構造物が一緒に写るようにすると比較しやすくなります。

当日の風が弱く、振動を直接確認できない場合でも、点検を無意味と考える必要はありません。強風後に残る摩耗痕や接触痕を確認し、現場関係者から発生時の風向や揺れ方を聞き取り、過去の写真や点検記録と比較することで、原因を絞り込めます。

ステップ1 風向と周辺環境を確認する

最初のステップは、架線設備へどのように風が当たっているかを把握することです。風速だけを確認するのではなく、風向、風の変動、周辺構造物、地形との関係を整理します。

現場に到着したら、まず設備周辺を広く見渡します。樹木の枝葉、草、旗、粉じんなどの動きは、地表付近の風向を把握する参考になります。ただし、架線が設置されている高さでは、地表と異なる方向から風が吹いている可能性があります。地上の状況だけで判断せず、高い位置の樹木や周辺構造物の影響も含めて確認します。

風向は、架線の延長方向との関係で記録します。架線に対してほぼ直角に吹いているのか、平行に近い方向なのか、斜め方向なのかによって、電線が受ける影響は変わります。単に「北風」「横風」と記録するだけでなく、「支柱番号の小さい側から大きい側へ吹く風」「河川側から道路側へ吹く風」など、現場を知らない担当者でも状況を再現できる表現にします。

橋梁上や高架部は、周囲に風を遮るものが少なく、横風の影響を受けやすい場所です。河川横断部や海岸部では、広い水面を通った風が直接設備に当たることがあります。谷部では地形に沿って風が集中し、短い区間だけ風速が高まる場合があります。

トンネル坑口、切土区間の出口、建物の角部、防音壁の端部などでは、風の流れが急激に変化することがあります。構造物の背後では、一定方向の風ではなく、向きや強さが短時間で変わる乱れた流れが生じる可能性があります。こうした場所では、平均的な風速が高くなくても、架線に不規則な振動が発生することがあります。

近接工事にも注意が必要です。仮囲い、足場、クレーン、資材置場などが新たに設置されると、以前とは風の流れが変わる場合があります。造成や樹木の伐採によって、これまで遮られていた風が架線へ直接当たるようになることもあります。振動が発生し始めた時期と周辺環境の変化を照合すると、原因を推定しやすくなります。

現場で風速を測定する場合は、測定時刻、測定高さ、測定位置、周囲の遮へい状況を記録します。地上で測った値を架線高さの風速として断定せず、現場条件を比較するための参考情報として扱います。瞬間的に強い風が吹く場所では、平均値だけでなく、変動の大きさも記録しておくと役立ちます。

ステップ2 架線の揺れ方と発生範囲を確認する

次のステップでは、架線設備がどのように動いているかを観察します。重要なのは、揺れの有無だけでなく、方向、速さ、範囲、継続時間、風との関係を確認することです。

まず、複数の支持点を見通せる位置から全体を観察します。一つの径間だけが大きく動いているのか、複数の径間が連続して動いているのかを確認します。特定の径間だけ振動が大きい場合は、その区間に固有の張力、支持点、部材配置、風環境が関係している可能性があります。

次に、動きの方向を確認します。横方向に大きく動いている場合は、隣接する電線や構造物との離隔に注意します。上下方向の動きが目立つ場合は、吊架部材や支持点付近の動きも同時に観察します。架線がねじれるように動いている場合は、部材の取付方向、付着物、電線断面の偏りなどを確認する必要があります。

揺れの速さも重要です。遠くから見ても分かる大きくゆっくりした揺れだけでなく、支持点付近に生じる細かく速い振動にも注意します。細かな振動は振幅が小さくても、長期間繰り返されることで局部的な摩耗や疲労につながる可能性があります。

観察時間が短いと、突風が入った瞬間だけ発生する動きを見逃すことがあります。風が弱い時間と強い時間を含めて一定時間観察し、風の変化に対して架線がどのように反応するかを確認します。風が強くなってから揺れ始めるまでに時間差があるか、風が弱まった後も振動が続くかといった点も記録します。

複数の電線や部材がある場合は、同じタイミングで動いているか、それぞれ異なる周期で動いているかを確認します。隣接する電線が互いに近づく動きをしている場合は、最大変位時の離隔確認が必要です。

撮影が認められている現場では、写真だけでなく動画を残すと揺れ方を確認しやすくなります。動画には、揺れている電線だけでなく、動かない支柱や建物などの背景を含めます。背景がなければ、撮影機器の揺れと設備の振動を区別しにくくなるためです。

振動中に金属音、打音、きしみ音などが聞こえる場合は、音の発生方向と周期を確認します。風の音や周辺設備の音と混同しないよう、風が強くなった時刻と異音の発生時刻を合わせて記録します。異音が接触や締結部の動きによるものと疑われる場合は、近接点検の対象として明確に残します。

ステップ3 支持金具と接続部の状態を確認する

架線の振動が確認された場所では、その動きを受け止める支持金具や接続部を詳しく確認します。電線だけに目立った異常がなくても、支持部材や締結部に変化が生じている場合があります。

外観確認では、ボルト、ナット、座金、ピン、抜け止め、回り止めなどの状態を見ます。管理印が設けられている場合は、印のずれを確認します。ただし、管理印が一致しているだけで正常と判断してはいけません。部材そのものが変形している場合や、取付穴が広がっている場合は、印がずれていなくても接続部に遊びが生じている可能性があります。

部材表面に、局部的な光沢、塗膜の剥離、擦れ跡、金属粉、さび汁がないかを確認します。風振動によって部材同士が繰り返し接触すると、接触面が磨かれたように見えることがあります。汚れや腐食に隠れている場合もあるため、許可された方法で状態を確認します。

ピンやボルトが通る穴では、穴の形状が一方向へ広がっていないかを確認します。穴の摩耗によって遊びが増えると、振動時の衝撃が大きくなり、さらに摩耗が進みやすくなります。前回点検時の写真や同じ構造の正常箇所と比較すると、小さな変化に気づきやすくなります。

溶接部、曲げ部、部材の端部では、細かな亀裂、塗膜の割れ、不自然な変色などに注意します。亀裂が疑われる場合は、現場で表面を削ったり、強く打撃したりせず、設備管理者が定める方法で詳細調査へつなげます。安易な補修を先に行うと、原因を判断するための痕跡を失う可能性があります。

がいしや絶縁部材では、ひび、欠け、汚損、取付部の緩み、金具との接触痕を確認します。風振動によって通常とは異なる方向の力が加わっている場合は、絶縁部材の取付角度や周辺金具との位置関係にも変化が現れることがあります。

吊架部材や補助線については、たるみ、ねじれ、局部的な曲がり、素線の乱れなどを確認します。特定の部材だけが周囲と異なる姿勢になっている場合は、取付状態や荷重分担が変化している可能性があります。

確認結果は「緩みあり」「異常なし」といった短い表現だけで終わらせず、どの部位に、どの方向のずれや摩耗があったかを記録します。設備番号、撮影方向、接続部の名称を明確にすることで、補修担当者が同じ場所を確実に確認できます。

ステップ4 張力と支持点の状態を確認する

架線設備の振動は、張力や支持条件の影響を大きく受けます。支持金具の緩みを直しても振動が再発する場合は、張力、支持点間隔、支柱の姿勢などを含めて原因を確認する必要があります。

まず、架線のたるみと位置を隣接区間と比較します。特定の径間だけたるみが大きい、支持点付近で急激に曲がっている、左右位置が不自然にずれているといった状態がないかを見ます。ただし、電線のたるみや張力は温度の影響を受けます。異なる日時の記録を比較する際は、気温、日射、時刻などの条件も合わせて確認します。

張力を測定する場合は、対象設備に適した方法を用い、設備管理者の手順に従います。測定位置、測定方向、気温、使用機器、校正状態を記録し、設計値や管理値、過去の測定結果と比較します。揺れが大きいという理由だけで張力不足と断定してはいけません。張力が高い場合でも、条件によっては細かな振動が生じることがあります。

張力調整機構がある設備では、可動部が正常に動ける状態かを確認します。案内部の固着、障害物との接触、部材の傾き、腐食などによって動きが妨げられると、温度変化を適切に吸収できない可能性があります。外観上は正しい位置に見えても、可動部が途中で止まっている場合があるため、所定の点検方法で確認します。

支柱や腕金では、傾斜、ねじれ、変形を確認します。支柱の姿勢が変化すると、架線位置や張力の分担が変わり、一部の支持点へ負荷が集中することがあります。過去の測量記録や施工記録がある場合は、現在の位置と比較します。

基礎周辺も重要な確認対象です。地盤の沈下、洗掘、ひび割れ、空洞化、盛土の崩れなどがないかを見ます。河川沿い、斜面、盛土端部では、降雨や流水によって地盤条件が変わることがあります。基礎のわずかな変位でも、支柱上部では架線位置の変化として大きく現れる可能性があります。

支持点間隔や部材配置が最新図面と一致しているかも確認します。改修工事や近接工事の際に支持部材が移設されていると、風の受け方や振動の伝わり方が変わる場合があります。現場と図面が一致しない場合は、現地判断だけで修正せず、変更履歴を確認して関係者と共有します。

ステップ5 周辺設備との離隔と接触痕を確認する

風で架線が動くと、静止時には十分に見える離隔が小さくなる場合があります。そのため、架線と周辺設備との関係は、止まっている状態だけでなく、振動時の最大変位を想定して確認する必要があります。

確認対象には、隣接する電線、支持金具、支柱、腕金、建築物、防音壁、標識、樹木、仮設物などが含まれます。架線が横へ動いた場合、上下へ動いた場合、ねじれた場合のそれぞれについて、接触する可能性がないかを考えます。

直接接触を確認できない場合でも、部材表面に残る痕跡から判断できることがあります。局部的な擦れ、塗膜の剥離、変色、焦げたような跡、金属粉、欠けなどが同じ高さや方向に見られる場合は、風振動時に接触している可能性があります。接触が疑われる双方の部材を確認し、痕跡の位置が対応しているかを記録します。

樹木については、点検時の静止位置だけでなく、強風時に枝がどの方向へしなるかを考慮します。枝が架線から離れていても、成長や風による変位で接近する可能性があります。倒木のおそれがある樹木や、折れた枝が飛来する可能性も含めて確認します。

仮設足場、工事用の防護設備、資材などが架線周辺にある場合は、強風で移動したり変形したりしないかを確認します。工事期間中だけ設置される設備であっても、架線の風環境や離隔に影響する場合があります。工事の進行に合わせて配置が変わるため、定期的な見直しが必要です。

架線同士の離隔では、複数の電線が同じ方向へ動くとは限らない点に注意します。異なる周期で揺れると、一時的に互いへ近づくことがあります。動画で確認できる場合は、最大接近時の状況を記録し、設備管理者の基準に基づいて追加調査の要否を判断します。

接触や放電が疑われる痕跡、部材の脱落につながる変形、運行や通行へ影響する状態を確認した場合は、通常の点検記録だけで処理せず、所定の緊急連絡手順に従います。現場担当者が単独で安全性を断定せず、必要な運用措置や詳細点検へ確実につなげることが重要です。

ステップ6 記録を比較して対策の優先順位を決める

最後のステップは、現場で確認した情報を整理し、対応の優先順位を決めることです。風振動は気象条件によって変わるため、一回の点検だけで原因や進行度を判断することは困難です。過去の記録と比較できる形式で情報を残す必要があります。

記録には、点検日時、場所、設備番号、支柱番号、径間、風向、風の強さ、気温、振動方向、振動範囲、対象部材、異音、摩耗痕、接触痕などを含めます。写真や動画には撮影地点と撮影方向を関連付けます。

長い架線区間では、似た設備が連続しているため、画像だけでは撮影場所を特定できないことがあります。設備番号が写る写真、周辺を含む写真、対象部材の接写を組み合わせ、同じ場所へ再び到達できる情報を残します。

記録では、確認した事実と推定原因を分けて書きます。「電線が線路直角方向へ繰り返し動いていた」「支持金具に長さ数センチ程度の擦れ跡が見られた」という内容は確認事実です。「建物背後の乱れた風が原因と考えられる」という内容は推定です。両者を分けることで、後から別の担当者が評価の根拠を確認できます。

優先順位を決める際は、振動の大きさだけでなく、設備への影響と異常発生時の重大性を考慮します。接触や放電が疑われる状態、部材の亀裂、脱落のおそれ、絶縁性能への影響などがある場合は、早期の対応が必要です。

明確な損傷がなくても、同じ場所で振動が繰り返されている場合は、重点監視箇所として管理します。次回の定期点検まで何もしないのではなく、強風後に再確認する、近接点検の時期を早める、同じ位置から動画を撮影するなど、状態に応じた監視方法を決めます。

補修後は、対策前と同じ条件で確認し、振動が減ったかを評価します。一つの部材を補強した結果、別の支持点へ負担が移る可能性もあります。対象箇所だけでなく、前後の径間や隣接部材も確認し、対策による新たな変化がないかを見ます。

風振動を抑える対策を選ぶときの注意点

架線設備の風振動対策は、原因に合わせて選ぶ必要があります。揺れが確認されたからといって、すぐに部材を追加したり、張力を変更したりするのは適切ではありません。原因を十分に確認せず対策すると、別の場所へ負担が移ったり、保守性や電気的な離隔へ影響したりする可能性があります。

締結部の緩みが主な問題である場合は、締結状態の是正や部材交換が候補になります。ただし、振動が集中する原因が残っていれば、再び緩む可能性があります。取付方向、部材の組み合わせ、支持条件、周辺の風環境も合わせて確認します。

摩耗が進んでいる場合は、部材の残存状態を評価し、必要に応じて交換します。摩耗部だけを補修するのではなく、接触している相手側の部材や、接触を発生させた動きの原因を確認することが重要です。

張力や支持点に問題がある場合は、設計条件と管理基準に基づいて調整方法を検討します。現場の感覚だけで張力を変更すると、架線高さ、たるみ、支持金具への荷重などへ影響する可能性があります。温度条件を含む測定結果を整理し、必要な承認手順を経て対応します。

風による振動を抑えるための部材や装置を追加する場合は、対象設備に適合するかを確認します。追加する重量、取付位置、電気的な離隔、部材の可動範囲、点検作業への影響などを事前に評価します。現場担当者の判断だけで未承認の部材を取り付けてはいけません。

周辺構造物や仮設物が風の乱れを生じさせている場合は、架線設備側の補強だけでは十分でないことがあります。工事関係者や設備管理者と情報を共有し、仮設物の配置、施工時期、監視方法などを検討します。

対策後は、施工した事実だけで完了とせず、一定期間の経過観察を行います。通常時の点検だけでなく、同程度の強風が発生した後に再確認し、振動状態、締結部、摩耗痕などを比較します。効果を記録することで、他の類似区間における対策検討にも活用できます。

定期点検と強風後点検を連携させる方法

風振動を効率的に管理するには、通常の定期点検と、強風後に行う臨時確認を連携させる必要があります。定期点検だけでは、強風時の動きを直接確認できない場合があります。一方、強風後点検だけでは、過去からの変化や劣化の進行を判断しにくくなります。

定期点検では、設備全体の姿勢、締結部、摩耗、腐食、張力調整機構、基礎周辺などを確認し、比較の基準となる記録を残します。正常時の状態を把握しておけば、強風後にどこが変化したかを判断しやすくなります。

強風後点検では、過去に振動や緩みが確認された場所、橋梁上、河川沿い、トンネル坑口、谷部、建物近接部などを優先します。すべての設備を同じ順序で確認するのではなく、風の影響を受けやすい区間をあらかじめ抽出しておくことが効率化につながります。

強風が収まった後でも、接触痕、飛来物、樹木の接近、締結部のずれなどが残っている可能性があります。設備が静止していることを理由に問題なしと判断せず、振動の痕跡を探します。

気象条件と点検結果を関連付けることも重要です。どの方向からどの程度の風が吹いた後に変化が発生したかを記録すれば、次回以降の点検範囲や優先順位を決めやすくなります。ただし、地上で観測された風と架線高さの風は一致しない場合があるため、数値だけでなく現場状況も合わせて残します。

担当者間の判断差を減らすためには、記録方法を統一します。撮影地点、撮影方向、対象部材、記載項目を共通化し、過去写真と並べて比較できる状態にします。担当者が変わっても同じ基準で確認できれば、長期間にわたる変化を追いやすくなります。

位置情報を活用して架線設備を管理する方法

架線設備は長い区間に同じような部材が連続しているため、点検写真だけでは対象位置を特定しにくいことがあります。支柱番号や設備番号を記録していても、番号表示が見えにくい場所や、設備配置が複雑な区間では、再点検時に迷うことがあります。

現場記録に位置情報を付加すると、振動が確認された場所、摩耗が見つかった支持点、補修を行った接続部などを地図上で管理しやすくなります。点検写真、動画、測定結果、設備番号を同じ位置へ関連付ければ、過去と現在の状態を比較する作業も進めやすくなります。

位置情報を記録する際は、単に現在地を保存するだけでなく、どの設備を、どの方向から確認した記録なのかを明確にします。撮影者の位置と対象設備の位置が異なる場合があるため、記録方法を統一しておく必要があります。

現場で確認した異常候補を位置情報とともに共有できれば、設計担当者、保守担当者、施工担当者が同じ場所を確認しやすくなります。口頭で「橋梁の中央付近」「三本目の支柱の先」と伝えるよりも、位置と写真を関連付けたほうが認識のずれを減らせます。

補修前後の記録を同じ位置へ蓄積すると、対策の効果も追跡できます。振動が減ったか、摩耗が再発していないか、別の部材へ変化が移っていないかを時系列で確認できます。

LRTK Phoneを活用すると、高精度な位置情報を用いて現場の確認地点を記録し、写真や三次元データと関連付けて管理する方法を検討できます。架線設備へ不用意に接近するのではなく、安全な作業位置と設備管理者の手順を守ったうえで、点検位置の再現や関係者間の情報共有に役立てることが重要です。

まとめ

架線設備の風による振動を抑えるには、揺れている電線だけを見るのではなく、風環境、振動方向、支持金具、接続部、張力、支柱、基礎、周辺設備を一体として確認する必要があります。

現場では、最初に風向と周辺環境を把握し、次に架線の揺れ方と発生範囲を確認します。その後、支持金具や接続部の緩みと摩耗、張力と支持点の状態、周辺設備との離隔や接触痕を確認し、最後に過去の記録と比較して対応の優先順位を決めます。

風振動は点検当日に再現されないことがあるため、強風後に残る痕跡を確認することが重要です。局部的な光沢、塗膜の剥離、金属粉、締結部のずれ、異音の記録などを組み合わせると、振動が発生した場所を絞り込みやすくなります。

異常が疑われる場合は、現場だけで原因を断定せず、設備管理者の基準に従って詳細点検や設計確認へつなげます。特に、接触、放電、亀裂、部材の脱落などが懸念される状態では、所定の緊急連絡と安全措置が必要です。

また、強風下での近接点検や高所作業は危険を伴います。振動を直接確認することよりも作業者の安全を優先し、安全な位置からの観察、強風後の痕跡確認、停電条件を確保した詳細点検を適切に使い分けます。

架線設備を長期的に管理するには、同じ位置を継続して確認できる記録方法が欠かせません。位置情報、設備番号、写真、動画、風向、点検結果を関連付けることで、振動の発生傾向や補修後の変化を把握しやすくなります。

架線設備の風振動対策を、担当者の記憶や経験だけに依存しない管理へ移行するためには、現場の位置と状態を正確に残す仕組みが役立ちます。点検地点の再現、補修箇所の共有、過去記録との比較を効率化する手段として、LRTK Phoneの活用を検討することができます。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

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