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メガソーラーの端子台ゆるみを防ぐ6つの増し締め確認

メガソーラーでは、接続箱、直流集電箱、電力変換装置、交流配電盤、監視盤、補助電源盤など、多数の機器に電気接続部があります。ねじ式端子の接続状態が悪化すると、接続部の抵抗が増え、局部的な発熱、端子や電線被覆の変色、絶縁部品の損傷、アーク、回路停止などにつながるおそれがあります。太陽光発電設備に関する業界の保守点検技術資料でも、接続部の過度な抵抗は電気損失と高温化を招き、発火に至る可能性があるとされています。JPEA

ただし、端子台の不具合対策は、盤内のねじを一律に強く締め直すことではありません。端子の構造、ねじ径、導体、圧着端子、座金、接続数などに応じて適切な締め付け条件は異なります。指定値を確認せずに力を加えると、ねじ山の損傷、端子台の変形、導体のつぶれ、圧着端子のずれなどを生じさせ、かえって接続信頼性を低下させる可能性があります。

さらに、ばね式や差し込み式など、通常の意味で増し締めを行わない接続方式もあります。既設ねじの状態確認についても、施工時の締め付けと同じ方法で評価できるとは限りません。重要なのは、対象、仕様、安全状態、外観、作業方法、作業後の確認を一つの流れとして管理することです。本記事では、メガソーラーの端子台ゆるみを防ぐために押さえておきたい6つの増し締め確認を解説します。

メガソーラーで端子台ゆるみを軽視できない理由

メガソーラーには、太陽電池アレイから電力変換装置までの直流回路と、電力変換装置から受変電設備や連系点までの交流回路があります。これに加えて、監視装置、通信装置、気象観測機器、換気設備、照明、補助電源などにも電気接続部があります。設備規模が大きくなるほど接続箇所が増えるため、一つ一つの異常を見つけ、設備番号や回路番号と結び付けて管理する仕組みが重要になります。

ねじ式端子では、ねじやボルトによる締結力によって導体と端子金具の接触状態が維持されます。施工時の締め付け不足だけでなく、温度変化、機器の振動、導体や端子部品のなじみ、腐食、ケーブル荷重、盤内への水分侵入などが重なると、接続状態が変化する可能性があります。

接触状態が悪化すると、監視画面にすぐ大きな異常が表れないまま、端子周辺だけが発熱する場合があります。進行すると、ねじや圧着端子の変色、樹脂部品の変形、電線被覆の硬化、焦げ跡、異臭、警報、回路停止などが生じるおそれがあります。高電流が流れる主回路端子では、わずかな接続不良でも影響が大きくなる可能性があるため、外観だけでなく負荷条件や温度の比較も有効です。

一方、発熱原因をすべてねじのゆるみと判断するのは適切ではありません。圧着不良、導体サイズの不適合、端子面の汚れ、腐食、異物の介在、複数端子の不適切な重ね方、電流の偏り、部品劣化などでも発熱は起こり得ます。増し締めだけで処置を終えると、本来は交換や再施工が必要な不具合を残してしまうおそれがあります。

したがって、端子台点検は、トルクマーク、変色、腐食、焦げ跡、水分、ほこり、導体の挿入状態、ケーブルの張力などを確認し、必要な箇所だけを適切な方法で処置する作業として計画します。増し締めは、外観確認、温度確認、原因調査、記録と組み合わせて初めて再発防止につながります。

増し締め前に理解しておきたい基本原則

増し締めと、ねじが動かなくなるまで強く締めることは同じではありません。目的は、接続部を機器の仕様に適合した状態へ維持または復旧することであり、作業者の感覚だけで締め付けることではありません。

締め付け条件は、端子台の構造、ねじ径、ねじや端子金具の材質、導体の種類、圧着端子の形状、接続枚数などによって異なります。同じ盤内でも、主回路端子、制御端子、接地端子、補助電源端子で指定値が異なる場合があります。別の設備や似た外観の端子に使った値を流用せず、対象機器の取扱説明書、施工要領、保守要領、仕様書を確認します。

端子台には、ねじ式のほか、ばねの力で導体を保持する方式や、専用の差し込み機構を使う方式があります。ねじ式でない接続部に通常の増し締めを行うことはできません。その場合は、導体の挿入長さ、保持状態、解除部の損傷、変色、導体の抜け、被覆の噛み込みなど、接続方式に合った確認を行います。

また、ねじ式であっても、既設端子の確認方法は製造者の保守手順に従う必要があります。静止していたねじが動き始める力は、摩擦、腐食、表面状態などの影響を受けるため、その値を施工時の締め付けトルクと単純に比較することはできません。指定トルクまで再度回す方法が適切か、トルクマークと外観を確認するのか、分解して再接続するのかは、対象機器の手順で判断します。

端子台本体の溶融、樹脂の割れ、ねじ山の損傷、圧着端子の著しい変色、導体素線の断裂、腐食生成物の堆積などがある場合は、単純な増し締めで復旧させるべきではありません。必要に応じて端子台、ねじ、圧着端子、導体を交換し、接続部を再施工します。

太陽光発電設備の保守点検資料でも、接続部のトルクマークや変色などを確認し、締め付ける場合はトルクを管理できる工具を用いて製造者仕様に従う考え方が示されています。JPEA

確認1 対象端子台と接続方式を特定する

最初の確認は、点検対象となる端子台と接続部を明確にすることです。盤を開けて目についたねじを順番に回す方法では、確認漏れ、重複作業、対象外機器への接触、復旧間違いが起こりやすくなります。

対象箇所を整理するときは、単線結線図、盤配置図、端子番号図、施工記録、改造履歴、過去の点検報告を使用します。太陽電池側から連系点側へ回路を追う方法や、設備区画、盤、回路、端子群の順に分ける方法を採用すると、広い発電所でも範囲を整理しやすくなります。

直流側では、接続箱や直流集電箱の入力・出力端子、開閉器や遮断器の接続部、ヒューズホルダ周辺、接地端子などが対象になります。交流側では、電力変換装置の出力端子、交流集電盤、配電盤、遮断器、変圧設備への接続部などがあります。監視盤や通信盤では、電源端子、信号端子、接地接続部も確認対象です。

ただし、外観が似ていても接続方式が同じとは限りません。圧着端子をねじで固定する方式、導体を直接締め付ける方式、ばね式、差し込み式などを区別し、それぞれの点検方法と作業可否を定めます。

対象一覧には、盤名称、機器名称、回路名称、端子番号、接続方式、導体サイズ、圧着端子の種類、指定条件、作業可否、参照資料を記載します。現場で仕様を探しながら作業すると、誤認や中断が増えるため、可能な限り事前に整理します。

施工後の変更にも注意が必要です。ケーブル更新、機器交換、回路増設などによって、完成図面と現物が一致していない場合があります。図面と現物が異なるときは、作業者の推測で続行せず、不一致箇所を記録し、設備管理者または電気主任技術者などの責任者へ報告します。正しい回路と端子仕様を確認してから対象へ加えます。

端子番号が読めない、表示が剥がれている、配線が交差して回路を追えない状態も作業ミスの要因です。増し締めの前に識別表示を整備し、点検対象と記録が一対一で対応する状態を作ります。

確認2 指定トルクと使用工具の適合を確認する

対象端子台を特定したら、指定トルクと確認方法を調べます。根拠にするのは、対象機器の取扱説明書、端子台の仕様書、盤の施工要領、保守要領などです。資料が複数ある場合は、型式、製造時期、端子サイズ、改造履歴が現物と一致しているかを確認します。

似た形状の端子台でも指定トルクが同じとは限りません。ねじ径だけから値を推測したり、隣接する端子と同じ値だと判断したりすることは避けます。盤内に締め付け値の表示がある場合も、現在の端子構成に対応した表示かを確かめます。

締め付け作業には、指定値を管理できるトルクドライバーやトルクレンチを使用します。対象値が工具の使用範囲に入り、先端形状と寸法がねじ頭に適合していることを確認します。摩耗した先端や合わない先端を使うと、ねじ頭を傷め、工具が外れて周囲を損傷するおそれがあります。

工具は、使用前に外観、設定部、先端部、作動状態を確認します。落下や強い衝撃を受けた工具、社内の精度確認や校正管理から外れた工具は、そのまま使いません。工具管理番号と点検履歴を作業記録にひも付けると、後日の検証がしやすくなります。

既設ねじについては、動き始めたときの力を測って施工時の締め付け状態を断定しないことが重要です。製造者が再トルクの方法を定めている場合はその手順に従い、定めがない場合は責任者が確認方法を決めます。無条件に一度緩めて締め直す方法も、接触面や部品へ影響を与える可能性があるため、根拠なく実施しません。

トルクマークがある場合は、ねじやナットと固定側の相対位置がずれていないかを見ます。ただし、マークが一致しているだけで電気的な接触状態が正常とは断定できません。マークの劣化、端子部品全体の移動、内部の圧着不良などは見分けられないため、外観、負荷、温度、過去記録と組み合わせます。

確認3 停電・隔離・無電圧確認を徹底する

端子台の増し締めは、電気設備内部に工具を入れて接続部へ力を加える作業です。原則として対象回路を停電、解列し、残留電荷へ対処したうえで、作業範囲の無電圧を確認して実施します。作業内容と設備区分に応じて法令上必要な資格を有し、設備の危険性と手順を理解した担当者が行います。

メガソーラーでは、運転停止ボタンを操作しただけで、すべての端子が安全になるとは限りません。太陽電池モジュールは光を受けると発電するため、直流開閉器を開放した後も太陽電池側に電圧が存在する場合があります。電力変換装置などには、停止後も一定時間電荷が残る回路が含まれることがあります。

作業計画では、対象回路、電源供給方向、遮断箇所、断路箇所、残留電荷の放電方法、検電箇所、復旧順序を明確にします。直流側と交流側の双方から電源が加わる可能性がある機器では、一方だけを遮断して作業可能と判断しません。

作業前には、関係者への連絡、運転停止、遮断、施錠または誤操作防止表示、残留電荷への対処、無電圧確認を、発電所の安全手順に従って実施します。測定器は対象電圧と直流・交流の区分に適合するものを用い、使用前後に正常動作を確認します。非接地の直流回路では一般的な検電器だけで確実に判定できない場合があるため、設備手順で定めた測定器と測定点を使用します。

遮断器や開閉器の表示だけで回路状態を判断するのは危険です。表示機構の不具合、誤配線、回路変更、別電源からの回り込みなどを考慮し、現物の回路構成と測定結果で確認します。

遠隔監視、自動復帰、遠隔操作がある設備では、現地作業中に第三者が再投入しないように運用担当者と連携します。誰が停止を指示し、誰が施錠や表示を管理し、誰が復旧を許可するのかを事前に定めます。

絶縁工具や保護具を使用していても、日常的な増し締めを活線作業として実施してよい根拠にはなりません。設備構造上、作業範囲を安全に無電圧化できない場合は、現場判断で作業を続けず、責任者が作業方法、停電範囲、専門要員、保護措置を再検討します。

太陽光発電設備の保守点検資料では、ロックアウト・タグアウト、残留電荷の放電、無電圧確認を行うことに加え、太陽電池は切り離しても日射下で活線状態となり得る点が示されています。JPEA

確認4 端子周辺の変色・腐食・導体状態を確認する

端子ねじに工具を当てる前に、端子周辺の状態を目視確認します。先に締め付けると、端子や導体の位置が変わり、不具合の痕跡を見失う可能性があります。異常がある場合は、作業前の状態を写真と記録に残します。

確認するのはねじのゆるみだけではありません。端子金具の変色、圧着端子の変形、電線被覆の変色や硬化、樹脂部品の膨れや溶融、焦げ跡、すす、異臭、腐食、ほこり、水分、ねじ頭の損傷などを確認します。

黒ずみや褐色の変色は過熱やアークの痕跡である可能性がありますが、汚れや材料の経年変化の場合もあります。色だけで原因を断定せず、周囲の同種端子、負荷電流、過去の温度記録、警報履歴と比較します。

圧着端子が斜めに取り付けられている、接触面からはみ出している、隣接する充電部へ近づいている場合は注意が必要です。一つのねじに複数の圧着端子が重ねられている箇所では、その接続が機器仕様に適合するか、座金の種類、向き、組み付け順序が正しいかを確認します。

導体を直接接続する端子では、導体の露出長さ、挿入深さ、素線のばらけ、被覆の噛み込みを見ます。被覆を締め付け部で挟むと導体に十分な力が加わらない可能性があります。反対に導体の露出が長すぎると、必要以上に充電部が露出するおそれがあります。

ケーブルから端子へ継続的な外力が加わっていないかも確認します。曲げがきつい、支持位置が遠い、盤の扉やカバーに押されている、太いケーブルの重量が端子へかかっている状態では、締め直しても再発する可能性があります。ケーブル支持、配線経路、曲げ半径、固定位置を改善します。

腐食がある場合は、水分、塩分、薬品、結露などの侵入原因を調べます。盤底部の水跡、ケーブル引込部、扉パッキン、換気口、排水部も確認します。端子だけを交換しても、筐体の密閉不良や結露原因が残れば同じ不具合が再発します。

停止前に安全な方法で実施できる場合は、運転中の赤外線サーモグラフィによる温度分布確認も有効です。同一盤内の類似端子、同じ相、並列回路などと比較し、局部的に高温となる箇所を探します。ただし、温度は電流、外気温、日射、風、表面状態、撮影角度などの影響を受けるため、熱画像だけで良否を断定しません。業界の保守点検資料でも、接続部の変色やトルクマークを確認し、抵抗性の接続不良が疑われる箇所の調査に赤外線サーモグラフィを使う考え方が示されています。JPEA

確認5 正しい手順で締め付けて過締めを防ぐ

外観と安全状態を確認した後、機器の保守手順で必要とされた端子に対して作業します。すべてのねじを無条件に回すのではなく、対象、方法、設定値、判定基準を決めます。

作業前に工具の設定値を再確認します。複数のトルク値を使い分ける場合は、端子群ごとに作業を区切り、設定変更のたびに端子番号と設定値を照合します。複数人作業では、一人が工具設定と締め付けを行い、もう一人が対象端子と記録を確認する方法が有効です。

工具はねじ軸に対して可能な限り真っすぐ当てます。斜めに力を加えると、ねじ頭や工具先端を傷め、設定した締め付け力を正しく伝えにくくなります。狭い盤内で適切に当てられない場合は、無理な姿勢で続けず、使用可能な工具や作業環境を見直します。

締め付け中に端子台本体が回る、圧着端子がずれる、導体が引っ張られる、樹脂部品がたわむなどの動きが見られた場合は、直ちに停止します。端子を押さえながら強引に締め続けると、内部部品や導体を損傷する可能性があります。

工具が設定値到達を示した後に、念のため何度も締める行為は避けます。繰り返し力を加えると、結果として端子へ過大な負荷を与える場合があります。作動回数や確認方法は、工具の取扱方法と機器の保守手順に従います。

ねじが大きく回転した場合は、単に締まったとして処理しません。回転量や作業前後の状態を記録し、施工時の締め付け不足、端子部品の変形、導体のなじみ、振動、ケーブル荷重などを調べます。同じ盤、同じ施工区画、同じ時期に施工された端子へ確認範囲を広げる判断も必要です。

反対に、作業開始直後から異常に大きな抵抗がある場合も注意します。ねじ部の腐食、ねじ山の損傷、異物の噛み込み、部品の変形などにより、設定値へ達しても正常な締結力が得られていない可能性があります。

端子を分解して再接続する場合は、単なる増し締めではなく補修作業として扱います。導体の切断、再圧着、端子部品の交換を伴うときは、適合する材料、圧着工具、ダイス、施工条件を確認します。ねじ、座金、圧着端子などを再使用できるかも、機器や部品の指示に従います。

樹脂部分の割れ、変形、溶融、ねじの空回りがある場合は締め付けを続けず、交換または修理を検討します。端子台単体を交換できるのか、機器全体の修理が必要かを確認し、必要に応じて対象回路の運転を制限します。

接地端子も重要な確認対象です。接地接続部の異常は通常運転時の発電量に表れにくい一方、故障時の保護に影響する可能性があります。腐食、トルクマークのずれ、導体の損傷、塗装や汚れによる接触阻害がないかを確認し、指定方法で処置します。

増し締め後にトルクマークを付ける場合は、設備の保守要領で認められた材料と方法を使います。ねじと固定側の相対的な動きが確認でき、端子番号や注意表示を隠さない位置に付けます。施工日と作業者を記録し、次回点検で変化を追えるようにします。

確認6 締め付け後の表示・温度・記録を確認する

増し締めは、工具が作動した時点では完了していません。接続状態、表示、カバー、工具や部品の残置、復旧、通電後の状態、記録まで確認して一連の作業とします。

最初に、圧着端子や導体が正しい位置に収まっているかを確認します。締め付け中に圧着端子が回転して隣接部へ近づいていないか、被覆が挟まれていないか、導体へ無理な張力が加わっていないかを見ます。

端子カバー、絶縁板、保護板、盤内カバーを取り外した場合は、すべて正しく復旧します。ねじの不足、カバーの浮き、パッキンの挟み込み、配線の噛み込みがないことを確認します。屋外盤では、扉の閉鎖、施錠、防水に関係する部分も確認します。

盤内に工具、ビット、ねじ、清掃用品などが残っていないことを確認します。持ち込み品を作業前後で照合する仕組みを使うと、残置防止に役立ちます。

復旧は手順書に定めた順序で行います。盤内作業の完了、作業者の退避、保護カバーの復旧、ロックや表示の解除権限を確認してから、運転担当者が再投入します。

通電後は、異常音、異臭、振動、警報、電圧、電流、監視値を確認します。負荷が流れている状態で安全に実施できる場合は、端子周辺の温度も確認します。点検直後の負荷が低いと異常温度が表れにくいため、発電出力が上がる時間帯に再確認する計画も検討します。

温度評価では、点検前後の単純な温度差だけでなく、同じ盤内の類似端子、同じ相、並列回路と比較します。電流値、外気温、天候、撮影距離、撮影角度なども記録し、条件が異なる画像を安易に比較しません。

記録には、点検日、設備区画、盤名称、回路名、端子番号、接続方式、指定トルク、確認方法、使用工具、工具管理番号、作業前の状態、作業結果、トルクマーク、異常の有無、写真番号、処置区分を残します。異常端子については、増し締め、再施工、部品交換、継続監視のどれを行ったかを区別します。

「全端子増し締め実施」とだけ記録しても、対象と条件を後から検証できません。端子単位または管理可能な端子群単位で記録し、同じ箇所で再発した場合に履歴を追跡できるようにします。

大きく回転した端子、変色があった端子、温度差が見られた端子は重点監視対象とします。次の定期点検まで待たず、設備のリスクに応じた時期に再確認し、再発や進行の有無を確認します。

点検周期と優先順位を現場条件に合わせる

端子台の点検周期は、すべてのメガソーラーで一律に決められるものではありません。機器の取扱説明書、保守要領、保安規程、設備の重要度、運転年数、設置環境、負荷、過去の不具合履歴を踏まえて設定します。

新設直後や改造直後の設備では、施工状態や初期的な変化を確認するため、機器の指示と保守計画に基づいて重点確認を行うことが考えられます。ただし、ねじ式以外の端子や、再締め付けを前提としない部品もあるため、全端子を一律に増し締めする計画にはしません。

過去に発熱、変色、警報が生じた盤は、通常より優先度を上げます。同じ施工時期、同じ作業班、同じ端子構造、同じケーブル支持条件の設備区画にも類似不具合がないか確認します。

沿岸部、粉じんの多い場所、湿気や結露が生じやすい場所、温度変化が大きい場所では、腐食や汚損の進行にも注意します。盤の密閉、換気、排水に問題がある場合は、端子台だけでなく筐体全体の点検計画を見直します。

振動が伝わりやすい機器の近く、扉の開閉が多い盤、太いケーブルの荷重が端子へかかりやすい場所も優先対象です。点検回数を増やすだけでなく、ケーブル支持や盤内配置の改善を検討します。

監視データから回路間の電流差や出力低下が見つかった場合も、端子接続部を調査候補に含めます。ただし、出力差には日射、影、汚れ、モジュールや機器の不具合など複数の原因があるため、端子台だけに原因を限定しません。

温度分布を定期測定している場合は、単発値ではなく推移を見ます。類似負荷条件で温度差が拡大している箇所を優先し、外観、締結、導体、腐食、負荷の偏りを総合的に調査します。

業界団体が公開する太陽光発電設備の保守点検資料でも、点検周期は例示値をそのまま固定するのではなく、設備の状況や環境に応じて増減する考え方が示されています。事業用設備の定期点検例には端子台や内部機器のゆるみ確認が含まれますが、実際の周期は保安規程、機器仕様、現場リスクに合わせて決める必要があります。JPEA

増し締め作業を形骸化させない管理方法

増し締め確認が形骸化する主な原因は、対象、指定値、確認方法、異常判定が曖昧なまま、作業件数だけを管理することです。「盤内のねじを確認する」という指示だけでは、担当者によって範囲や方法が変わります。

まず、端子台管理台帳を整備し、対象端子と仕様を明確にします。図面だけで分かりにくい場合は、盤全体、端子群、端子番号が分かる写真をひも付けます。全景写真と近接写真を同じ位置関係で残すと、次回点検との比較が容易になります。

作業手順書には、対象範囲、安全措置、使用工具、指定値、確認方法、外観判定、作業中止条件、異常時の対応、記録、復旧確認を記載します。ねじ式以外の端子については、増し締め対象外であることと、代わりに確認する項目を明記します。

作業者教育では、トルク工具の使い方だけでなく、過締めの危険性、既設ねじの評価限界、異常端子の見分け方、作業を止めるべき状態を共有します。工具が作動すれば合格という考え方ではなく、端子、導体、周辺部品、盤内環境を総合的に見る必要があります。

複数人で作業する場合は役割を明確にします。一人が対象確認と締め付けを行い、もう一人が端子番号、設定値、結果を照合する方法にすると、設定間違いや記録漏れを減らせます。作業区画ごとに開始と終了を確認し、未点検箇所が残っていないか照合します。

写真記録では、同じ角度、距離、端子番号表示を意識します。毎回異なる構図では、トルクマークや変色の変化を比較しにくくなります。撮影位置や必要な写り込みを手順書へ示すと、担当者が変わっても記録品質をそろえやすくなります。

異常時の判断経路も事前に定めます。現場作業者が手順どおり処置できる範囲、設備管理者や電気主任技術者などの判断が必要な範囲、専門修理が必要な範囲を分けます。焦げ、溶融、導体損傷がある端子を、その場の判断だけで締め直して再投入しない仕組みが必要です。

点検後は、異常を一覧化するだけでなく傾向を分析します。特定の盤、端子構造、施工時期、ケーブル支持条件、環境条件に集中していないかを確認します。繰り返し異常が発生する箇所では、点検回数を増やすだけでなく、端子部品、導体処理、圧着、配線経路、振動、温度、筐体環境を見直します。

外部へ保守を委託している場合も、「実施済み」という記載だけで完了としません。対象端子、根拠資料、確認方法、使用工具、異常箇所、処置、写真を確認し、発電所側の設備台帳へ反映します。

端子台点検の記録を監視データ、警報履歴、故障履歴と結び付けると、対策の効果を評価できます。処置後に温度差が解消したか、一定期間後に再発していないか、同じ区画の停止が減ったかを確認し、次回の保守計画へ反映します。

まとめ

メガソーラーの端子台ゆるみを防ぐには、ねじを一律に強く締めるのではなく、対象端子と接続方式、指定トルクと工具、停電・隔離・無電圧、端子周辺の異常、正しい締め付け手順、作業後の表示・温度・記録という6つの確認を一体として実施することが重要です。

端子台の発熱や変色は、ねじのゆるみだけでなく、圧着不良、腐食、導体損傷、外力、異物、部品劣化などでも起こります。異常箇所を見つけたときは、増し締めだけで処置を終えず、原因に応じて再施工、部品交換、盤内環境の改善へつなげます。

また、運転停止の操作だけで安全が確保されたと判断してはいけません。特に直流側では、日射下で太陽電池側に電圧が残る可能性があります。設備構成に応じた解列、誤操作防止、残留電荷への対処、適切な測定器による無電圧確認を徹底します。

点検結果は、設備番号、端子番号、接続方式、指定条件、使用工具、作業前後の状態、温度、写真、処置区分とともに記録します。履歴を蓄積して、繰り返し異常が生じる設備区画や端子構造を把握することで、点検周期の見直しと根本的な再発防止につなげられます。

広いメガソーラーで端子台点検を確実に進めるには、現場位置、設備番号、写真、作業結果をその場で正確に結び付ける仕組みも重要です。点検箇所の記録と関係者への共有を効率化したい場合は、Phoneの活用方法もご確認ください。

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