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道路地図データベースの活用例10選|自治体向け

道路地図データベースとは

道路地図データベースとは、道路の位置、形状、幅員、種別、管理区分、交差点、歩道、標識、信号、橋梁、トンネル、道路附属物など、道路に関するさまざまな情報を地図上で管理できるようにしたデータ基盤です。

従来、自治体の道路情報は、紙の道路台帳、個別の図面、Excelファイル、部署ごとの管理簿、現場担当者の経験や記憶などに分散しがちでした。そのため、道路の状態を確認するだけでも複数の資料を突き合わせる必要があり、情報更新の遅れや確認作業の重複が発生しやすい状況がありました。

道路地図データベースを整備すると、道路に関する情報を地図上で視覚的に確認できるようになります。たとえば、ある路線をクリックすれば、路線名、管理者、幅員、舗装種別、補修履歴、占用物、通学路指定の有無、災害時緊急輸送道路との関係などを一覧で確認できます。

また、GISやクラウド型地図システム、道路台帳システム、施設管理システム、住民通報アプリ、災害情報システムなどと連携することで、道路情報を単なる「保管資料」ではなく、行政判断や現場対応に活用できる「業務基盤」へと発展させることができます。

自治体が道路地図データベースを活用する意義

自治体にとって道路は、住民生活、物流、通勤・通学、防災、観光、福祉、都市計画など、あらゆる行政分野に関わる重要な社会基盤です。しかし、道路に関する業務は多岐にわたり、担当部署も道路管理、都市計画、防災、福祉、教育、交通政策、上下水道、農林、観光などに分かれていることが少なくありません。

道路地図データベースを整備する意義は、道路管理課だけの業務効率化にとどまりません。庁内の複数部署が同じ地図情報を共有することで、施策の重複を防ぎ、現場確認の回数を減らし、住民説明の質を高めることができます。

たとえば、道路補修の予定箇所と上下水道工事の予定箇所を同じ地図上に重ねれば、舗装を剥がす工事が短期間に重複することを防げます。通学路の危険箇所と交通事故発生地点、見通しの悪い交差点、歩道未整備区間を重ねれば、優先的に対策すべき場所を客観的に判断できます。

さらに、人口減少や職員数の減少が進むなか、道路管理の属人化を防ぐことも重要です。ベテラン職員の経験に頼っていた道路情報をデータベース化することで、異動後の引き継ぎが容易になり、新任職員でも一定水準の判断がしやすくなります。

道路地図データベースは、単なる地図の電子化ではありません。自治体の道路行政を、経験依存型からデータ活用型へ移行するための基盤といえます。

活用例1:道路台帳・道路施設台帳の高度化

道路地図データベースの代表的な活用例が、道路台帳や道路施設台帳の高度化です。

自治体では、認定道路、法定外道路、里道、管理道路、橋梁、照明灯、カーブミラー、ガードレール、標識、側溝、街路樹など、多数の道路関連情報を管理しています。しかし、これらが紙台帳や個別ファイルで管理されている場合、情報の検索や更新に時間がかかります。

道路地図データベースに台帳情報を登録すると、地図上で対象箇所を選択するだけで関連情報を確認できます。道路の起終点、延長、幅員、認定年月日、管理区分、道路区域、供用開始日、舗装構成、道路附属物の設置年月、点検履歴などを一元管理できるため、調査や照会への対応が大幅に効率化されます。

特に有効なのは、道路台帳図と現況情報の差異を把握しやすくなる点です。道路改良、拡幅、寄附採納、開発行為、区域変更などが行われても、台帳更新が遅れると現況と管理情報が一致しなくなります。地図データベースを運用すれば、変更箇所を地図上で可視化し、更新漏れを発見しやすくなります。

また、道路施設ごとに写真や点検結果を紐づけることで、現場確認の負担も軽減できます。たとえば、カーブミラーの問い合わせがあった場合、設置位置、管理番号、過去の修繕履歴、現況写真を庁内で確認できれば、現地へ向かう前に状況を把握できます。

道路台帳のデジタル化は、行政内部の効率化だけでなく、住民や事業者への説明にも役立ちます。道路境界、道路種別、管理者、幅員などに関する照会では、地図を見ながら説明できるため、認識のずれを減らせます。

活用例2:道路維持管理・補修計画の効率化

道路の維持管理では、舗装の劣化、ひび割れ、わだち掘れ、段差、陥没、側溝破損、路肩崩れ、区画線の薄れなど、日々さまざまな不具合が発生します。限られた予算と人員のなかで、どの箇所を優先的に補修するかを判断するには、客観的な情報が不可欠です。

道路地図データベースを活用すれば、点検結果や住民通報、過去の補修履歴、交通量、通学路指定、緊急輸送道路指定、バス路線、事故発生状況などを地図上で重ねて分析できます。これにより、単に「傷んでいる道路」だけでなく、「住民生活や安全性への影響が大きい道路」を優先して補修する判断がしやすくなります。

たとえば、同じ程度の舗装劣化がある道路でも、交通量が多く、通学路に指定され、過去に転倒事故が発生している区間は、優先度が高いと判断できます。一方、交通量が少なく、代替路があり、緊急性が低い箇所は、次年度以降の計画に回すことも検討できます。

補修履歴をデータベース化しておくことも重要です。過去に何度も同じ箇所で陥没や舗装破損が発生している場合、単なる表層補修ではなく、排水不良、路盤の劣化、地下埋設物の影響など、根本原因の調査が必要になることがあります。履歴を地図上で確認できれば、再発箇所を見逃しにくくなります。

さらに、道路維持管理の年間計画や中長期計画の作成にも役立ちます。劣化度をランク化し、補修費用の概算を登録しておけば、限られた予算のなかでどの路線を組み合わせて施工するかを検討できます。複数年度にわたる補修計画を地図化することで、議会説明や住民説明の資料としても活用しやすくなります。

活用例3:通学路・生活道路の安全対策

通学路や生活道路の安全対策は、自治体にとって非常に重要なテーマです。児童生徒の登下校、歩行者、自転車、高齢者、障がいのある方など、道路を利用する人の安全を守るためには、危険箇所を正確に把握し、優先順位をつけて対策を進める必要があります。

道路地図データベースを使うと、通学路、学校区、保育施設、交差点、横断歩道、歩道の有無、見通しの悪い箇所、交通事故発生地点、速度規制、路肩幅員、カーブミラー、ガードレール、防護柵などを一つの地図上に整理できます。

これにより、学校、教育委員会、道路管理者、警察、地域住民が同じ地図を見ながら危険箇所を確認できます。従来のように、紙の地図に手書きで印をつけるだけでは、情報共有や更新が難しくなりがちです。データベース化すれば、危険箇所の登録、対策状況の更新、現場写真の添付、対応済み・未対応の管理が容易になります。

たとえば、通学路点検で「歩道が狭い」「車両の速度が高い」「横断歩道が遠い」「見通しが悪い」といった指摘があった場合、それぞれの内容を地図上の地点や区間に紐づけて登録できます。その後、カラー舗装、路側帯の整備、注意喚起看板の設置、ガードパイプの設置、路面標示、ゾーン30などの対策を実施したら、対応内容と日付を記録します。

このように管理すれば、毎年の通学路点検で同じ危険箇所が繰り返し指摘されているのか、対策後に改善されたのかを検証できます。また、未対応箇所が多い地域を把握し、予算要求や関係機関との協議に活用できます。

生活道路の安全対策にも同じ考え方が使えます。高齢者の多い地域、歩行者が多い商店街、観光客が利用する道路、自転車通行量の多い区間などを地図上で把握すれば、地域特性に応じた安全対策を検討しやすくなります。

活用例4:防災・災害対応における道路情報管理

災害時、道路は避難、救助、物資輸送、復旧作業の生命線になります。地震、豪雨、台風、土砂災害、津波、豪雪などが発生した際、どの道路が通行可能か、どこで冠水や崩土が発生しているか、どの橋梁が点検対象かを迅速に把握することが求められます。

道路地図データベースを防災業務に活用すれば、緊急輸送道路、避難所、避難路、消防署、病院、福祉施設、備蓄倉庫、土砂災害警戒区域、浸水想定区域、河川、橋梁、アンダーパス、急傾斜地、過去の災害履歴などを地図上で重ね合わせられます。

災害発生時には、通行止め箇所、冠水箇所、倒木箇所、道路陥没箇所、橋梁損傷箇所などをリアルタイムに近い形で登録することで、庁内の関係部署が同じ状況認識を持てます。道路管理担当だけでなく、防災担当、消防、福祉、広報、避難所運営担当などが同じ地図情報を参照できれば、対応のスピードと正確性が高まります。

たとえば、豪雨時に複数の道路で冠水が発生した場合、通行止め情報を地図上に登録すると、避難所までの代替ルートを検討しやすくなります。福祉施設や病院へのアクセス道路が被災している場合は、優先的に復旧対応を行う判断材料になります。

また、平時から災害リスクを把握するためにも有効です。過去に冠水した道路、落石が多い道路、土砂崩れが発生しやすい道路、冬季に凍結しやすい道路などを履歴として登録しておけば、点検や予防対策の計画を立てやすくなります。

災害対応では、情報の鮮度と共有範囲が重要です。道路地図データベースをクラウド化し、現場職員がスマートフォンやタブレットから状況を登録できるようにすれば、現地確認の結果が即座に庁内で共有されます。これにより、電話や紙メモによる情報伝達の混乱を減らせます。

活用例5:除雪・凍結対策業務の最適化

積雪地域や山間部の自治体では、除雪や凍結対策が住民生活に直結する重要業務です。除雪路線、優先順位、委託業者の担当区域、消雪施設、融雪剤散布箇所、急勾配区間、日陰で凍結しやすい区間、バス路線、通学路などを正確に把握する必要があります。

道路地図データベースを活用すると、除雪対象路線を地図上で管理できます。路線ごとに除雪区分、担当業者、作業開始基準、車道・歩道の別、待避所、雪捨て場、消雪パイプ、融雪装置、融雪剤保管場所などを登録しておけば、除雪計画の作成や委託管理が効率化されます。

特に、除雪業務では「どの路線を誰が担当しているか」を明確にすることが重要です。担当区域があいまいだと、除雪漏れや重複作業が発生する可能性があります。地図上で業者ごとの担当範囲を色分けすれば、業務分担を視覚的に確認できます。

また、住民からの問い合わせ対応にも役立ちます。「自宅前の道路はいつ除雪されるのか」「この道路は除雪対象なのか」「通学路の歩道除雪は実施されるのか」といった問い合わせに対し、担当職員が地図を見ながら説明できます。

さらに、除雪車両のGPS情報と連携すれば、作業済み路線、未作業路線、作業中の位置を把握できます。これにより、現場状況に応じた作業指示が可能になります。大雪時には住民からの通報が集中しやすいため、地図上で対応状況を共有できる仕組みがあると、混乱を抑えやすくなります。

凍結対策にも活用できます。過去にスリップ事故が発生した区間、橋梁部、坂道、日陰、カーブ、交差点手前などをデータベース化し、重点的な融雪剤散布箇所として管理すれば、限られた人員と資材を効果的に使えます。

活用例6:都市計画・まちづくりへの活用

道路は都市の骨格を形成する重要な要素です。都市計画道路、幹線道路、生活道路、歩行者空間、自転車ネットワーク、駅前広場、商店街、観光動線などを検討する際、道路地図データベースは強力な分析基盤になります。

都市計画では、将来の土地利用、人口動態、公共交通、交通需要、災害リスク、景観形成などを総合的に考える必要があります。道路情報を地図データベースとして整備しておけば、用途地域、都市計画道路、開発予定地、公共施設、空き家、商業施設、公共交通網などと重ね合わせて検討できます。

たとえば、駅周辺のまちづくりを検討する場合、歩道幅員、横断歩道、バリアフリー経路、バス停、タクシー乗り場、自転車駐輪場、店舗立地、人流の多い区間などを地図上で整理できます。これにより、歩行者が安全に移動しやすい道路空間をどこに整備すべきかを検討しやすくなります。

また、コンパクトシティや立地適正化計画の検討にも役立ちます。居住誘導区域、都市機能誘導区域、公共交通沿線、主要道路、生活サービス施設を重ねることで、道路整備がまちの将来像と整合しているかを確認できます。

道路整備は、一度実施すると長期間にわたり地域の構造に影響を与えます。そのため、個別の要望に対応するだけでなく、地域全体の将来像を踏まえた判断が必要です。道路地図データベースを使えば、道路改良の優先順位や整備効果を地図上で説明でき、住民や議会との合意形成にも活用できます。

さらに、景観や観光施策との連携も可能です。観光地へのアクセス道路、眺望ポイント、歴史的街並み、散策ルート、無電柱化対象路線などを管理すれば、観光まちづくりと道路整備を一体的に進められます。

活用例7:交通渋滞・公共交通施策の検討

道路地図データベースは、交通渋滞対策や公共交通施策の検討にも有効です。交通量、交差点形状、信号、右折レーン、バス停、バス路線、鉄道駅、駐車場、渋滞発生箇所、事故多発地点などを地図上で整理することで、交通課題を可視化できます。

渋滞対策では、単に「混雑している道路」を把握するだけでは不十分です。なぜ渋滞が発生しているのか、どの時間帯に発生しているのか、周辺道路へどのような影響があるのかを分析する必要があります。道路地図データベースに交通量調査結果や旅行速度データ、交差点の滞留状況などを登録すれば、対策箇所を検討しやすくなります。

たとえば、朝夕の通勤時間帯に特定の交差点で渋滞が発生している場合、右折車両の滞留、信号サイクル、バス停位置、歩行者横断、周辺施設への出入りなどが原因になっている可能性があります。地図上で道路構造や周辺施設を確認することで、交差点改良、信号調整、バス停移設、右折レーン設置などの選択肢を検討できます。

公共交通施策では、バス路線と道路状況の関係を把握することが重要です。バスが通行する道路の幅員、曲がり角、待避スペース、停留所位置、積雪時の除雪優先度などを管理すれば、路線再編や新規ルート設定の検討に役立ちます。

また、高齢者や交通弱者の移動支援にも活用できます。公共交通空白地域、主要道路、歩道の有無、坂道、病院、買い物施設、公共施設を重ねれば、移動支援が必要な地域を把握しやすくなります。コミュニティバス、デマンド交通、乗合タクシーなどの導入を検討する際にも、道路地図データベースが判断材料になります。

活用例8:占用物・工事情報の一元管理

道路上や道路地下には、水道、下水道、ガス、電気、通信、街路灯、標識、看板、電柱、マンホール、地下埋設管など、さまざまな占用物があります。これらの情報が十分に整理されていないと、道路工事や掘削工事の際に確認作業が増え、調整不足による手戻りが発生する可能性があります。

道路地図データベースを活用すれば、道路占用物の位置、管理者、許可番号、占用期間、占用面積、更新期限、添付図面、現況写真などを地図上で管理できます。これにより、占用許可の確認や更新管理が効率化されます。

特に重要なのは、道路工事と占用工事の調整です。道路舗装を補修した直後に上下水道工事で再び掘削するような事態は、住民からの不満につながりやすく、行政コストの面でも非効率です。道路地図データベースに各部署や事業者の工事予定を登録し、地図上で重ね合わせれば、工事時期や施工範囲の調整がしやすくなります。

また、道路使用許可や道路占用許可の窓口対応にも役立ちます。申請箇所がどの道路管理者の管轄なのか、過去に同じ場所で占用許可が出ているのか、周辺で工事予定があるのかを地図上で確認できれば、審査や調整のスピードが向上します。

占用物の老朽化対策にも有効です。電柱、街路灯、標識柱、マンホール蓋などの設置年、点検履歴、修繕履歴を登録しておけば、更新時期の見通しを立てやすくなります。特に道路附属物は数が多く、現場確認だけで全体像を把握するのは困難です。地図データベースで一元管理することで、点検計画や更新計画を立てやすくなります。

活用例9:住民サービス・問い合わせ対応の迅速化

道路に関する住民問い合わせは、自治体の日常業務のなかでも件数が多い分野です。たとえば、「道路に穴があいている」「カーブミラーが曲がっている」「側溝のふたが壊れている」「街路灯が切れている」「道路の境界を確認したい」「この道路は市道か私道か」といった問い合わせが寄せられます。

道路地図データベースを整備しておくと、問い合わせ対応が大幅に効率化されます。住民から住所や目印を聞き取り、地図上で該当箇所を確認し、道路種別、管理者、過去の対応履歴、施設情報を即座に調べることができます。

これにより、担当部署のたらい回しを減らせます。たとえば、住民が「道路が壊れている」と連絡した場合でも、その道路が市道なのか、県道なのか、国道なのか、私道なのかによって対応窓口は異なります。地図上で管理区分を確認できれば、適切な案内がしやすくなります。

住民通報アプリや電子申請システムと連携すれば、さらに効果が高まります。住民がスマートフォンで不具合箇所の写真と位置情報を送信し、その情報が道路地図データベースに登録される仕組みを作れば、現場確認や対応状況の管理が効率化されます。

また、問い合わせ内容を蓄積することで、地域ごとの課題を把握できます。特定の道路で舗装破損の通報が多い、ある地域で街路灯の故障が多い、同じ交差点で見通しに関する苦情が繰り返されている、といった傾向を地図上で確認できます。これにより、個別対応にとどまらず、予防的な維持管理や安全対策につなげられます。

住民説明にも効果があります。道路整備や交通安全対策では、住民の理解を得ることが欠かせません。地図を使って現状、課題、対応方針を説明すれば、文章だけの説明よりも伝わりやすくなります。特に、複数の候補箇所から優先順位を決める場合、客観的なデータを示すことで納得感を高められます。

活用例10:自動運転・スマートシティ施策の基盤整備

道路地図データベースは、将来的な自動運転やスマートシティ施策の基盤としても注目されています。自動運転車両、配送ロボット、オンデマンド交通、MaaS、防災DX、デジタルツインなどの取り組みでは、道路空間に関する正確なデータが不可欠です。

自動運転の実証実験を行う場合、道路幅員、車線数、交差点形状、信号、横断歩道、停止線、標識、勾配、カーブ半径、路肩、歩道、バス停、駐車車両が多い区間などを把握する必要があります。道路地図データベースが整備されていれば、実証ルートの選定やリスク評価を行いやすくなります。

また、スマートシティでは、道路を単なる移動空間ではなく、データを活用した都市サービスの基盤として捉えることが重要です。道路照明、人流センサー、防犯カメラ、交通量センサー、環境センサー、デジタルサイネージ、EV充電設備などを道路地図データベースに登録すれば、都市全体のインフラ管理に活用できます。

さらに、デジタルツインの構築にもつながります。デジタルツインとは、現実の都市や道路空間をデジタル上に再現し、シミュレーションや分析に活用する考え方です。道路地図データベースがあれば、交通流、防災、都市開発、公共交通、物流などのシミュレーションを行う基礎データとして利用できます。

もちろん、すべての自治体がすぐに高度なスマートシティ施策に取り組む必要はありません。重要なのは、将来の拡張を見据えて、道路情報を標準的で扱いやすい形に整備しておくことです。いま道路台帳や維持管理情報を地図データベース化しておけば、将来的に新しい技術やサービスと連携しやすくなります。

道路地図データベースは、現時点の業務改善だけでなく、次世代の行政サービスを支える基盤にもなります。

導入時に整理すべきデータ項目

道路地図データベースを導入する際は、最初からすべての情報を完璧に登録しようとすると、作業量が膨大になり、運用開始が遅れてしまいます。まずは自治体の業務で利用頻度が高い情報から整理し、段階的に拡張することが現実的です。

主なデータ項目としては、以下のようなものがあります。

分類主な項目活用場面道路基本情報路線名、路線番号、起終点、延長、幅員、道路種別、管理区分道路台帳、問い合わせ対応、住民説明道路構造車線数、歩道、側溝、舗装種別、勾配、交差点形状維持管理、安全対策、都市計画道路附属物標識、照明灯、カーブミラー、防護柵、区画線、街路樹点検、修繕、更新計画防災関連緊急輸送道路、避難路、冠水履歴、土砂災害リスク、橋梁災害対応、復旧計画、防災訓練交通関連交通量、事故地点、バス路線、通学路、自転車ルート渋滞対策、交通安全、公共交通施策維持管理情報点検結果、劣化度、補修履歴、工事予定、苦情履歴補修計画、予算要求、現場対応占用・工事情報占用物、地下埋設物、許可番号、工事期間、事業者工事調整、占用管理、掘削規制住民対応情報通報内容、受付日、対応状況、現況写真、完了日問い合わせ対応、苦情管理、改善分析 導入初期は、道路基本情報、管理区分、主要な道路附属物、補修履歴、住民通報情報などから始めると効果が出やすくなります。次に、通学路、防災情報、工事予定、交通量などを加えることで、庁内横断的な活用が進みます。

運用を成功させるためのポイント

道路地図データベースは、導入するだけでは十分な効果を発揮しません。重要なのは、日常業務のなかで継続的に更新され、複数部署で活用される仕組みにすることです。

1. 更新ルールを明確にする

道路情報は、工事、補修、占用許可、災害、住民通報などによって日々変化します。誰が、いつ、どの情報を更新するのかを決めておかなければ、データはすぐに古くなります。

たとえば、道路補修工事が完了したら工事担当者が補修履歴を登録する、カーブミラーを新設したら施設管理担当者が位置情報と写真を登録する、災害時の通行止め情報は防災担当と道路担当が共有して更新する、といったルールが必要です。

2. 現場で使いやすい仕組みにする

道路管理は現場業務が多いため、庁内のパソコンでしか使えない仕組みでは活用が限定されます。スマートフォンやタブレットから地図を確認し、写真や点検結果を登録できるようにすると、現場と庁内の情報共有がスムーズになります。

現場職員が使いやすい入力画面、検索しやすい地図表示、写真添付、簡単なステータス管理など、日常業務に合った操作性が重要です。高機能であっても操作が複雑すぎると、利用が定着しません。

3. 部署横断で活用する

道路地図データベースは、道路管理課だけで使うよりも、防災、教育、都市計画、交通政策、上下水道、福祉、観光などの部署と共有したほうが効果が大きくなります。

ただし、すべての部署が同じ情報を同じ権限で扱う必要はありません。閲覧だけできる部署、編集できる部署、特定レイヤーだけ更新できる部署など、権限を整理することで安全に運用できます。

4. 既存システムと連携する

すでに道路台帳システム、施設管理システム、電子申請システム、住民通報アプリ、防災情報システムなどを導入している場合は、道路地図データベースとの連携を検討する価値があります。

すべてを一つのシステムに統合する必要はありません。むしろ、既存システムの役割を活かしながら、地図上で情報を参照できるようにすることが現実的です。データ連携の範囲を整理し、二重入力を減らすことが運用負担の軽減につながります。

5. 小さく始めて段階的に拡張する

道路地図データベースの整備では、最初から完璧なデータを目指すよりも、効果が見えやすい業務から始めることが重要です。

たとえば、最初は道路台帳と道路附属物の管理から始め、次に住民通報、補修履歴、通学路、防災情報へと広げる方法があります。小さな成功事例を積み重ねることで、庁内の理解が進み、予算や人員の確保もしやすくなります。

6. データ品質を定期的に点検する

地図データは、位置がずれていたり、属性情報が古かったりすると、業務判断を誤る原因になります。年に一度、または主要な工事完了後などに、データ品質を点検する仕組みが必要です。

特に、道路区域、管理区分、通学路、緊急輸送道路、橋梁、占用物などは、誤りがあると住民対応や災害対応に影響する可能性があります。重要度の高いデータから優先的に点検することが望まれます。

まとめ

道路地図データベースは、自治体の道路行政を効率化し、住民サービスの質を高めるための重要な基盤です。道路台帳の電子化にとどまらず、維持管理、防災、通学路安全対策、除雪、都市計画、交通政策、占用管理、住民対応、スマートシティ施策まで、幅広い分野で活用できます。

特に、道路に関する情報を地図上で一元管理できることは大きなメリットです。これまで紙資料、個別ファイル、担当者の経験に分散していた情報を集約することで、検索、確認、共有、説明、分析がしやすくなります。

自治体が抱える道路管理の課題は、老朽化するインフラ、限られた予算、人員不足、災害リスクの高まり、住民ニーズの多様化など、年々複雑になっています。こうした課題に対応するには、現場の経験だけでなく、データに基づいた判断が欠かせません。

道路地図データベースの導入では、最初から大規模なシステムを目指す必要はありません。まずは道路基本情報、管理区分、補修履歴、道路附属物、住民通報など、日常業務でよく使う情報から整備することが有効です。そのうえで、防災、交通安全、都市計画、公共交通、スマートシティなどへ段階的に活用範囲を広げていくことが現実的です。

重要なのは、データベースを「作って終わり」にしないことです。更新ルールを定め、現場で使いやすい仕組みにし、庁内横断で活用し、継続的に改善していくことで、道路地図データベースは自治体の実務に根づいた強力な行政基盤になります。

道路は、住民の暮らしを支えるもっとも身近なインフラです。その道路を正確に把握し、適切に管理し、将来に向けて活用していくために、道路地図データベースは今後ますます重要な役割を果たすでしょう。

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