LRTKレフィクシア株式会社

造作家具の墨出しで巾木・コンセント干渉を防ぐ7項目

造作家具の墨出しで干渉確認が重要な理由

造作家具は、壁面収納、カウンター、下足入れ、洗面台、受付台、飾り棚、テレビボードなど、建物の寸法や仕上がりに合わせて製作される家具です。既製品のように設置場所を変更しやすいものではなく、現場の壁、床、天井、巾木、コンセント、配管などと一体的に納めることが前提となります。そのため、製作や取付けの前に行う墨出しの精度が、完成品質を大きく左右します。

造作家具の墨出しでは、家具を置く位置に線を引くだけでは不十分です。設計図に示された家具寸法を現場へ移し、実際の壁や床の状態と照合しながら、周囲の仕上げ材や設備との干渉がないかを確認する必要があります。図面上では問題なく納まっていても、現場では壁のふくらみ、床の傾き、巾木の出幅、コンセントプレートの厚みなどによって、家具が予定位置まで入らないことがあります。

特に巾木とコンセントは、造作家具との干渉が起こりやすい部分です。巾木を残す納まりなのか、家具設置範囲だけ切り欠くのか、家具側を欠き込むのかによって、家具の製作寸法や取付位置が変わります。コンセントについても、家具の背板で隠れる、棚板と重なる、差し込んだプラグが家具内部に納まらないといった問題が発生します。

墨出し段階でこれらを見落とすと、現場で家具を削る、背板を開口する、巾木を撤去する、コンセントを移設するといった追加作業が必要になります。修正できたとしても、仕上がりが不自然になったり、他工種の手戻りを招いたりするおそれがあります。製作済みの家具を現場に合わせて大きく変更することは容易ではないため、墨出し時に干渉条件を整理することが重要です。

造作家具の墨出しでは、設計図の寸法をそのまま信用するのではなく、図面、現地寸法、仕上げ条件、設備位置を重ねて確認します。ここからは、巾木やコンセントとの干渉を防ぐために確認したい7項目を詳しく解説します。

1.基準線と家具の完成寸法を確認する

最初に確認するのは、家具位置を決めるための基準線です。基準が曖昧な状態で家具の外形線だけを墨出しすると、壁、建具、柱、設備機器などとの位置関係が崩れやすくなります。まずは建物の通り芯、壁仕上げ面、床の基準高さなど、現場で管理されている基準を確認します。

家具の平面位置を決める際には、躯体面を基準にするのか、仕上げ後の壁面を基準にするのかを明確にします。設計図に記載された寸法が躯体寸法であるにもかかわらず、仕上げ面から同じ寸法を追うと、下地や仕上げ材の厚み分だけ位置がずれます。反対に、仕上げ面基準の寸法を躯体面から追ってしまう場合も同様です。

壁の仕上げが完了していない段階で墨出しをする場合は、下地材、仕上げ材、接着層などを含めた完成位置を想定しなければなりません。家具の背面を完成壁に密着させる計画なのか、下地段階で固定して後から仕上げを回す計画なのかによっても、必要な位置は変わります。

家具の完成寸法については、図面上の幅、奥行き、高さだけでなく、扉や見付け材、化粧板、調整材などを含めた外形を確認します。本体寸法と完成外形寸法が異なることは珍しくありません。例えば、箱本体の横に壁との隙間を調整するフィラー材を取り付ける場合、墨出しすべき範囲は箱本体だけではなく、フィラー材を含めた完成外形です。

カウンター材が本体より張り出す場合も注意が必要です。本体の奥行きだけで墨出しすると、カウンターの先端が通路側へ出過ぎたり、近くの扉と干渉したりすることがあります。家具本体、扉、取っ手、カウンター、側板、見切り材を含め、最も外側へ出る部分を確認します。

高さ方向では、床仕上げ面を基準にするのか、床下地面を基準にするのかを区別します。床仕上げ前に墨出しする場合は、仕上げ材や下地調整材の厚みを考慮します。天井まで達する家具では、天井仕上げ面の予定高さだけでなく、施工時に家具を起こせるか、上部のクリアランスを確保できるかも確認が必要です。

墨出しでは、家具の左右端、前面、背面、中心線など、取付けに必要な線を整理して表示します。何を示す線なのか分からなくならないよう、家具番号、基準からの寸法、仕上げ面の方向なども記録します。単に四角形を描くだけではなく、家具製作図と照合できる情報を残すことが重要です。

2.壁と床の不陸を実測して逃げ寸法を決める

図面上の壁は直線で、床は水平に描かれています。しかし、実際の現場では壁面にふくらみや倒れがあり、床にも高さのばらつきや傾きが存在します。造作家具は直角に製作されることが多いため、現場の不陸を確認せずに寸法を決めると、家具が壁に当たって入らない、片側だけ大きな隙間ができるといった問題が起こります。

壁面を確認するときは、家具が接する範囲の複数箇所を測ります。床付近だけを測るのではなく、中間高さ、天板高さ、家具上端付近などでも壁との距離を確認します。下部では予定寸法が確保されていても、上部で壁が室内側へ倒れていれば、背の高い家具が途中で当たる可能性があります。

左右の壁に挟まれる家具では、開口幅を一箇所だけ測らないことが重要です。手前と奥、下部と上部で幅を確認し、最も狭い部分を把握します。家具の幅を最大値に合わせて製作すると、狭い箇所を通過できません。搬入経路や家具を回転させる空間も含めて確認し、必要な調整代を設定します。

床については、家具設置範囲の高さを複数点で測ります。床が傾いている場合、家具をそのまま置くと天板が傾いたり、扉の隙間が不均一になったりします。家具側の台輪やアジャスターで調整するのか、床側で高さを調整するのか、施工方法を事前に決めておく必要があります。

巾木が設置されている壁では、壁面までの寸法と巾木表面までの寸法を分けて確認します。巾木の上部だけで壁の不陸を測ると、家具下部が巾木に当たることを見落とす可能性があります。家具が接する高さごとに、最も室内側へ出ている部分を把握します。

壁や床の不陸を家具側で吸収する場合は、調整材や見切り材の幅を確保します。ただし、調整代を大きく取り過ぎると、意匠上の隙間が目立ちます。反対に調整代をほとんど設けないと、わずかな施工誤差で家具が納まらなくなります。現地の測定結果、家具の製作精度、取付方法を踏まえて、適切な逃げ寸法を決めます。

墨出し時には、基準線から壁までの距離だけでなく、測定した高さや位置も記録します。例えば、床から一定高さの位置で壁が室内側へ出ている場合は、その位置を家具製作担当者へ伝えなければなりません。数値だけを伝えるのではなく、どの範囲のどの高さで測った数値なのかを共有することが重要です。

3.巾木の厚みと納まりを確認する

巾木は、床と壁の境界を保護し、仕上げを整えるために設けられます。造作家具を壁際へ設置する場合、この巾木が家具の背面や側面と干渉することがあります。巾木の存在を考慮せずに家具位置を墨出しすると、家具下部だけが壁から押し出され、家具全体が傾いたり、背面に不自然な隙間が生じたりします。

最初に確認したいのは、巾木を残すのか、家具設置範囲だけ撤去するのかという納まりです。家具を設置した後も巾木を連続させる計画であれば、家具側に欠き込みを設ける方法があります。家具背面や側板下部を巾木の高さと出幅に合わせて加工し、家具本体を壁面へ近づけます。

家具設置範囲の巾木を先に撤去する場合は、撤去範囲と家具の外形を正確に合わせます。撤去範囲が家具より広いと、設置後に巾木のない部分が見えてしまいます。反対に撤去範囲が狭いと、残った巾木に家具が当たります。家具の見付け材、側板、フィラー材を含めた完成外形で範囲を決めることが重要です。

巾木の厚みは、表面から壁仕上げ面までの出幅を測ります。図面や仕様書に記載された寸法だけでなく、現地の仕上がり寸法を確認します。接着材や下地調整によって、予定より室内側へ出ていることがあるためです。角部では継ぎ手や役物によって出幅が変わる場合もあります。

巾木の高さも家具の欠き込み寸法に影響します。床の高さが変化していると、同じ巾木でも家具の左右で上端高さが異なることがあります。欠き込みを一律寸法で製作する場合は、最も高い部分を基準にしつつ、見え方や隙間が許容できるかを確認します。

家具前面まで巾木を連続させる場合は、家具の台輪や側板との取り合いも検討します。巾木の端部が家具側板の手前で止まるのか、側板へ突き付けるのか、家具前面まで回り込むのかによって、墨出し位置と施工順序が変わります。内装工事と家具工事の担当範囲も明確にしておく必要があります。

巾木を切断する作業は、家具搬入前に行うことが多い一方、墨出し後に家具の実寸を再確認してから行う方が安全な場合もあります。先に広く切ってしまうと修復が必要になるため、家具製作図、現場寸法、墨出し線の三つを照合してから加工範囲を確定します。

また、巾木の裏側に配線が通っている場合や、壁下地の端部がある場合は、安易に撤去できません。見た目上は単純な干渉でも、内部条件によって対応方法が変わります。巾木を残して家具側を加工するのか、配線を確認したうえで巾木を撤去するのか、関係者と協議して決めます。

4.コンセントやスイッチの位置を確認する

造作家具とコンセントの干渉は、墨出し段階で特に注意したい項目です。家具の背面にコンセントが隠れるだけであれば、用途によっては問題にならないこともあります。しかし、使用予定のコンセントが家具で塞がれる、棚板と重なる、プラグを差せない、配線が扉や引き出しに挟まるといった状態は避けなければなりません。

確認するときは、コンセントの中心位置だけでなく、プレートを含めた外形寸法を測ります。墨出し線がコンセント中心から離れていても、家具の側板や背板がプレートの端部と重なることがあります。家具側に開口を設ける場合は、プレートを取り外せるだけの余裕や、将来の交換作業ができる空間も必要です。

高さ方向では、床仕上げ面からコンセント中心までの寸法だけで判断しないことが重要です。家具の台輪、棚板、引き出し、背板の補強材などと重ならないかを製作図で確認します。コンセント中心が棚の上下に外れていても、プレートの外形や差し込むプラグの形状によって干渉する可能性があります。

家具内部でコンセントを使用する場合は、プラグを差した状態で必要となる奥行きを確認します。背板に開口を設けただけでは、家具内部の機器や収納物とプラグが干渉することがあります。配線を横方向や下方向へ逃がす空間があるか、ケーブルが強く曲がらないかも確認します。

カウンター上で使用するコンセントは、家具天板や立ち上がり材との位置関係が重要です。家具の天板を設置した結果、コンセントの下部が隠れたり、プレートが取り外せなくなったりすることがあります。壁付けコンセントを残す場合は、天板上端とプレート下端の間に施工と維持管理に必要な余裕があるかを確認します。

スイッチ、通信端子、設備操作部なども同じように確認します。家具の側板や扉で操作部が隠れると、使用性が低下します。家具扉を開けた状態でしか操作できない配置や、家具の奥へ手を伸ばさなければ操作できない配置は、利用方法を踏まえて適否を判断します。

コンセントを家具内部へ移設する計画では、電気工事との作業順序を調整します。家具を設置してからでは配線やボックスの固定が難しくなる場合があります。墨出し時に家具の背面位置、側板位置、開口予定位置を電気工事担当者と共有し、移設位置が家具の構造材と重ならないようにします。

コンセントの移設可否は、壁内部の配線経路や下地条件によって変わります。現地で見えているプレート位置だけを基準に、移設できると断定することは避けます。必要に応じて壁内部の状況を確認し、施工可能な範囲で位置を決めます。

家具側に開口を設ける場合も、現場加工を前提にするのか、工場で加工しておくのかを決めます。工場加工は仕上がりを整えやすい一方、現地寸法が正確でなければ位置がずれます。現場加工は実際の位置に合わせやすい一方、加工スペースや養生、仕上げ処理が必要です。墨出し段階で位置を正確に記録し、どちらの方法が適切かを判断します。

5.扉・引き出し・点検口の可動範囲を確認する

造作家具の外形が壁や設備に当たらなくても、扉や引き出しを動かしたときに干渉することがあります。墨出しでは家具本体の設置範囲だけでなく、使用時の可動範囲まで床面や壁面上で確認します。

開き扉の場合は、扉の幅、開く方向、取っ手の出寸法を考慮します。家具の近くに壁、柱、建具枠、手すり、設備機器などがある場合、扉が十分に開かないことがあります。扉自体は開いても、取っ手が壁に当たる、隣接する扉同士がぶつかるといった問題もあります。

家具の側面が壁に近い場合は、扉の回転に必要な逃げを確保します。扉の厚みや金物の動きによっては、家具本体を壁に密着させると扉端部が壁へ接触します。設計図の外形寸法だけでは判断できないため、家具製作図に示された開閉条件を確認します。

引き出しでは、最大に引き出したときの前方寸法を確認します。通路、建具、別の家具、設備機器などと重ならないかを墨出し上で確認します。引き出しを開けられても、その前に人が立って物を出し入れできない場合は、使用性に問題が残ります。

巾木や床見切り材との関係も確認が必要です。家具下部の扉が床に近い場合、床の傾きや見切り材の出っ張りによって扉下端が擦れることがあります。家具のレベル調整後に必要な下端隙間を確保できるかを確認します。

家具の背面や内部に設備点検口がある場合は、点検口を開けるための経路を確保します。家具の棚板を取り外せば点検できるのか、背板に脱着可能なパネルを設けるのか、家具自体を移動させる必要があるのかを決めます。固定家具で点検口を完全に塞ぐと、将来の保守作業が困難になります。

壁や天井の点検口も見落とせません。背の高い家具を設置することで、天井点検口の開閉や脚立の設置ができなくなることがあります。家具の平面位置だけではなく、上方の設備や保守空間も確認します。

墨出し時には、扉や引き出しの可動範囲を仮の線で示すと、干渉を把握しやすくなります。ただし、家具本体の位置を示す線と混同しないよう、線種や注記を分けます。現場で確認した結果、開き勝手や家具位置を変更する場合は、関係図面にも反映し、墨だけが変更された状態を避けます。

6.配線や設備機器の接続経路を確認する

造作家具には、照明、電源、通信機器、給排水設備、換気設備などが組み込まれることがあります。家具の外形とコンセント位置だけを確認しても、配線や配管を接続する経路が確保されていなければ施工できません。

家具内部へ電源を引き込む場合は、壁側の取り出し位置から家具内の機器まで、どのように配線を通すかを確認します。背板の裏側を通すのか、台輪内部を通すのか、棚板に開口を設けるのかによって、必要な墨出し位置が変わります。

台輪内部を配線経路として使う場合は、巾木との干渉にも注意します。家具側の台輪を巾木に合わせて欠き込むと、配線用の空間が狭くなることがあります。固定金物や床へのアンカー位置と配線経路が重ならないように調整します。

照明を組み込む棚では、電源線の引き込み位置だけでなく、制御部や接続部を収納する場所が必要です。点検や交換ができるよう、脱着可能な部分を設けるか、扉内部から作業できる配置とします。接続部を完全に密閉した空間へ入れると、将来の保守が難しくなります。

洗面台や流し台など、給排水を伴う造作家具では、給水、排水、電源の位置を家具製作図と照合します。配管中心が家具内部へ入っていても、引き出しや補強材と重なれば納まりません。排水管には勾配や接続作業のための空間も必要になるため、中心位置だけで判断しないことが重要です。

壁付けの機器と家具を組み合わせる場合は、機器本体の外形、接続部、点検範囲を確認します。家具で機器を囲うと、放熱や換気に必要な空間が不足することがあります。必要な離隔や開口については、採用する機器の仕様や設計条件を確認し、家具側の納まりへ反映します。

配線や配管の位置は、施工途中で変更されることがあります。墨出し前に確認した図面だけでなく、現地に設置されたボックス、配管、貫通部などを実測します。変更内容が図面へ反映されていない場合は、現況を関係者と確認し、どの位置を正として家具を製作するかを決めます。

家具固定用の金物やアンカー位置についても、壁内部の配線や配管と重ならないようにします。壁面上のコンセント位置から配線経路を推測して固定位置を決めるのは危険です。下地や設備の状況を確認し、適切な方法で固定位置を決定します。

7.墨出し結果を記録して関係者と共有する

造作家具の墨出しは、現場で線を引いて終わりではありません。確認した寸法や干渉条件を記録し、家具製作、内装、電気、設備などの関係者と共有することで、初めて製作や施工へ確実につなげられます。

記録する内容には、家具の基準位置、左右端、前面、背面、完成高さ、巾木の寸法、コンセントの位置、不陸の測定結果、調整が必要な箇所などがあります。数値だけでは位置関係が分かりにくいため、簡単なスケッチや位置が分かる写真と組み合わせると伝達しやすくなります。

写真を撮る際は、対象部分だけを近接撮影するのではなく、家具設置場所全体が分かる写真も残します。近接写真では巾木やコンセントの状態を確認できますが、どの壁のどの位置か判断できないことがあります。全景、基準線、寸法表示、干渉部分が分かるように段階的に記録します。

複数の家具がある現場では、家具番号や部屋名を統一して管理します。図面上の家具番号と現場写真の名称が一致していないと、別の家具の寸法として扱われるおそれがあります。現場、図面、製作資料で同じ識別情報を使用することが重要です。

墨出し後に変更が生じた場合は、古い線や数値を残したままにしないよう注意します。不要な墨を消す、変更済みであることを明記する、改訂後の記録を共有するなど、現場で誤認されない状態にします。変更前と変更後の情報が混在すると、製作や取付けの担当者が誤った線を基準にする可能性があります。

現場で家具位置を変更した場合は、墨出し線だけでなく家具製作図や施工図にも反映します。現場の口頭連絡だけで進めると、工場では変更前の寸法で製作されることがあります。誰が変更を承認し、どの資料を正とするのかを明確にします。

また、巾木の撤去、コンセントの移設、下地補強など、家具取付け前に必要な作業は一覧化しておくと管理しやすくなります。家具搬入日に初めて未施工が発覚すると、取付けを開始できません。墨出し時に先行作業を洗い出し、担当者と実施時期を確認します。

位置情報を含む写真や測定記録を利用すると、広い現場や複数階にわたる現場でも、撮影場所を整理しやすくなります。LRTK Phoneのように現場位置と写真を関連付けて記録できる仕組みを活用すれば、どの家具設置場所で確認した情報なのかを後から追いやすくなります。ただし、屋内や遮蔽物の多い場所では位置情報の取得条件が変わるため、部屋名、家具番号、基準線などの情報も併記して管理します。

造作家具の墨出しを進める基本手順

造作家具の墨出しを効率よく進めるには、図面確認、現地確認、位置決定、干渉確認、記録という順序を意識します。最初から床へ家具外形を描くのではなく、必要な資料と現場条件を整理してから作業を始めます。

まず、平面図、展開図、家具製作図、仕上げ表、設備図などを確認します。家具の幅、奥行き、高さだけでなく、扉の開き方向、カウンターの張り出し、巾木の納まり、コンセントの用途などを把握します。資料間で寸法や位置が異なる場合は、現場判断で一方を選ばず、正しい条件を確認します。

次に、家具を設置する壁と床の施工状況を確認します。壁仕上げや床仕上げが完了しているのか、これから施工されるのかによって、基準とする面が変わります。仕上げ前であれば、完成厚みを考慮して墨出しします。

基準を確認したら、家具の中心線や片側の基準線を出します。左右の壁から別々に寸法を追うと、誤差が中央へ集まることがあります。どの基準から寸法を展開するのかを決め、一貫した方法で家具位置を示します。

家具外形を墨出しした後は、巾木、コンセント、スイッチ、配管、建具、点検口などとの位置関係を確認します。家具本体だけでなく、扉や引き出しを動かした状態も想定します。床へ可動範囲を仮表示すると、通路や建具との干渉を確認しやすくなります。

続いて、壁と床の不陸を測定します。家具の四隅だけでなく、背の高い家具では中間高さも確認します。測定結果を踏まえ、調整材、台輪、欠き込みなどで吸収できるかを検討します。

干渉が見つかった場合は、家具側で対応するのか、建築仕上げや設備側で対応するのかを決めます。例えば、巾木を撤去する、家具を欠き込む、コンセントを移設する、背板に開口を設けるといった方法があります。複数の方法が考えられる場合は、意匠、施工性、維持管理、費用負担などを踏まえて関係者が判断します。

対応方法が決まったら、墨出し線と図面へ反映し、寸法と写真を記録します。家具製作前の最終確認では、現地の墨出し寸法と製作図の寸法を照合します。製作を開始した後の変更は影響が大きいため、承認された寸法を明確にしてから進めます。

造作家具の墨出しで起こりやすい失敗

造作家具の墨出しで多い失敗の一つは、設計図の寸法だけを使い、現地を十分に測らないことです。図面は重要な基準ですが、現場の仕上がりには施工上のばらつきがあります。特に壁に挟まれる家具や天井まで達する家具は、実測を省略すると納まらない可能性があります。

次に多いのが、家具本体の寸法だけを墨出しし、扉、取っ手、カウンターなどの張り出しを考慮しない失敗です。家具本体は予定位置へ入っても、扉を開くと壁へ当たる、カウンターが通路へ出るといった問題が起こります。完成状態で最も外側へ出る部分まで確認する必要があります。

巾木を図面寸法だけで判断することも失敗につながります。同じ高さや厚みに見えても、現場では継ぎ手や床の不陸によって位置が変化しています。欠き込みを工場で加工する場合は、現地寸法の測り方と基準位置を明確にします。

コンセント中心だけを測り、プレート外形やプラグの奥行きを考慮しないケースもあります。背板開口がコンセント中心に合っていても、プレートを外せない、プラグを差せない、配線が棚板に当たるといった問題が生じます。使用状態と保守状態の両方を想定することが重要です。

床の完成高さを取り違える失敗もあります。床下地面から測った寸法を完成床面からの寸法として家具製作へ反映すると、カウンター高さやコンセントとの位置関係がずれます。測定した高さがどの面を基準としているのかを記録します。

墨出し後の変更を口頭だけで伝えることも避けるべきです。現場では変更済みでも、製作図や設備図が更新されていなければ、旧寸法で作業が進みます。変更内容、変更日、対象家具、承認者を確認できる形で残します。

写真を残していても、対象場所が分からない場合は有効な記録になりません。巾木やコンセントの近接写真だけでなく、周囲の壁や家具番号が分かる写真も撮影します。測定値を撮影する場合は、どの基準からどこまでを測っているかが分かるようにします。

墨出し精度を高めるための現場管理

墨出し精度を高めるには、測定器具の扱いだけでなく、情報管理と施工順序の調整が重要です。高精度に線を出しても、基準が誤っていたり、変更情報が共有されていなかったりすれば、正しい家具位置にはなりません。

まず、現場で使用する基準線を統一します。複数の担当者が異なる壁面や柱面から寸法を追うと、家具ごとに位置関係がずれることがあります。基準となる通り、仕上げ面、高さを事前に共有します。

測定は可能な限り往復確認します。基準線から家具端部までを測るだけでなく、家具端部から隣接する壁や建具までの残り寸法も確認します。全体寸法と部分寸法が一致するかを確認することで、転記や読み違いを発見しやすくなります。

高さについても、床からの直接測定だけに頼らず、現場の高さ基準から展開します。床に不陸がある場合、家具ごとに床面から測ると天板高さがそろわないことがあります。共通の高さ基準から家具の完成高さを管理し、床との隙間は台輪などで調整します。

墨出し線には、線の意味を記載します。家具前面、家具中心、仕上げ面、欠き込み範囲などを区別し、施工担当者が見ても判断できる状態にします。不要になった線は消去するか、無効であることを明示します。

確認作業は、一人で測って一人で記録するだけでなく、重要箇所について別の担当者が照合すると効果的です。特に製作開始後の変更が難しい大型家具、壁間に納める家具、設備を内蔵する家具では、図面と現地寸法の相互確認が重要です。

家具工事だけで完結しない箇所は、関係工種との合同確認を行います。巾木撤去は内装工事、コンセント移設は電気工事、給排水接続は設備工事、下地補強は壁下地工事など、複数の担当者が関係します。誰がどの作業をいつまでに行うかを墨出し段階で整理します。

また、家具搬入前には、墨出し時から現場条件が変わっていないかを確認します。後施工の巾木、仕上げ材、設備機器などが追加され、当初確保していた寸法が狭くなっている可能性があります。家具の製作前確認だけでなく、搬入前確認も行うことで、現場での手戻りを防ぎやすくなります。

まとめ

造作家具の墨出しでは、家具の位置と外形を示すだけでなく、壁や床の不陸、巾木、コンセント、可動部分、配線経路などを総合的に確認する必要があります。造作家具は現場寸法に合わせて製作されるため、墨出し時の見落としが製作後の大きな手戻りにつながります。

基準線と完成寸法を確認し、壁と床を実測したうえで、適切な調整代を決めることが基本です。巾木については、残す、撤去する、家具を欠き込むといった納まりを明確にし、厚みと高さを現地で確認します。コンセントやスイッチは中心位置だけではなく、プレート外形、プラグ、配線、保守作業に必要な空間まで確認します。

さらに、扉や引き出しの可動範囲、設備の接続経路、点検口へのアクセスも墨出し段階で検討します。確認結果は家具番号、寸法、写真、スケッチなどを組み合わせて記録し、製作担当者や関係工種へ共有します。

墨出し情報を現場写真と関連付けて残しておけば、製作前の確認や変更履歴の整理にも活用できます。造作家具の位置、巾木の状態、コンセントの実測位置を効率よく記録したい場合は、現場の位置情報と写真をまとめて管理できるLRTK Phoneの活用もご検討ください。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

LRTK Phoneの使い方・実例を見る
資料請求導入相談
現場をスマホで3DスキャンLRTK Phone実例を見る