LRTKレフィクシア株式会社

土地改良工事で既設暗渠を壊さない位置確認6ステップ

土地改良工事では、ほ場の整地、区画拡大、農道整備、用排水路の改修、表土の移動などに伴い、地中へ埋設されている既設暗渠を誤って損傷することがあります。暗渠は地表から見えにくく、古い施設では図面が残っていなかったり、記録された位置と実際の施工位置がずれていたりするため、設計図だけを頼りに掘削を始めるのは危険です。

既設暗渠を破損すると、排水機能の低下によって農地に滞水が生じるほか、土砂の流入、管路の閉塞、地盤の局所的な軟弱化、作物の生育不良などにつながる可能性があります。破損箇所の特定や復旧に時間がかかれば、工程の遅延や追加作業も発生します。そのため、施工前に資料、現地状況、測量、探査、試掘を段階的に組み合わせ、暗渠の位置と深さを施工に必要な精度で把握することが重要です。

この記事では、土地改良工事の実務担当者に向けて、既設暗渠を壊さないための位置確認を6つのステップに分けて解説します。単に埋設位置を探すだけではなく、確認結果を現場へ反映し、掘削作業中の損傷を防ぐところまでを一連の手順として整理します。

土地改良工事で既設暗渠の確認が重要な理由

農地の暗渠排水は、土壌中の余分な水を集め、排水路などへ導くための施設です。一般的には、吸水管、集水管、疎水材、接続部、排水口などで構成されますが、施工された時期や地域の条件によって材料や配置は異なります。古い暗渠では、現在一般的に用いられる管材だけでなく、陶製の管、コンクリート系の管、石や枝材を利用した構造、砂利のみで形成された排水層などが残っている場合もあります。

このような暗渠は、すべてが測量成果や完成図に正確に記録されているとは限りません。施工時に現地の湿潤部を避けて管路を変更したり、地権者や耕作者が後から補助的な暗渠を設置したりしていることもあります。また、図面に記載された位置が中心線なのか管端なのか、地表面からの深さなのか一定の標高なのかが不明確な場合もあります。

土地改良工事では、ほ場面を大きく切り下げる作業だけでなく、表土剥ぎ、基盤切盛り、路床掘削、水路床掘削、構造物基礎掘削、杭や支柱の施工など、暗渠に接触する可能性のある作業が数多くあります。重機のバケットが管へ直接当たらなくても、暗渠上部へ過大な荷重が作用したり、周辺の土を引き抜いたりすることで、接続部のずれや管の変形が生じる場合があります。

暗渠の位置確認では、一本の線を正確に探すことだけを目的にしてはいけません。暗渠の種類、深さ、流下方向、分岐、排水先、現在の機能、施工時に必要となる離隔をまとめて把握する必要があります。複数の情報を照合し、確実性の高い範囲と不確実な範囲を区別することで、現場に適した掘削方法や保護方法を選べるようになります。

ステップ1 既存資料を集めて暗渠の全体像を整理する

位置確認の最初のステップは、既存資料をできる限り集めることです。現地で探査や試掘を行う前に情報を整理しておくことで、調査範囲を絞り込み、不要な掘削を減らせます。

確認したい資料には、土地改良事業の計画図、暗渠排水工の平面図と縦断図、出来形図、完成図、施工写真、工事記録、維持管理記録、補修履歴などがあります。暗渠単独の図面が見つからない場合でも、ほ場整備の区画図、排水計画図、道路横断図、用排水路の構造図などに、暗渠の排水口や横断位置が記載されていることがあります。

図面を確認するときは、暗渠を示す線だけを見るのではなく、図面の作成時期、縮尺、基準点、座標系、方位、地番、ほ場番号、道路や水路との位置関係も確認します。複数の時期に作成された図面がある場合は、区画変更や水路改修によって基準となる地物が移動していないかを確認する必要があります。

特に注意したいのは、計画図と出来形図を混同しないことです。計画図には当初予定した配置が示されていますが、現場条件によって施工位置が変更されている可能性があります。出来形図が存在する場合でも、記載精度や測定方法によっては、現在の施工管理にそのまま使用できないことがあります。

紙の図面を使用する場合は、縮尺の伸縮や複写時のゆがみにも注意します。紙面上で測った距離をそのまま現地へ当てはめるのではなく、道路端、水路角、構造物、境界標など、現在も確認できる複数の基準物から位置関係を復元します。一つの地物だけを基準にすると、その地物自体が改修によって動いていた場合に大きな誤差が生じます。

資料から得た暗渠情報は、確定情報と推定情報に分けて整理します。施工時に測量された座標、確認済みの排水口、試掘記録がある場所は比較的確度が高い情報です。一方、縮尺の小さい概略図、口頭情報だけで記録された線、計画段階の配置は、推定情報として扱います。

この段階では、暗渠の推定線だけでなく、想定される調査範囲を幅のある帯として設定することが大切です。例えば図面上の位置に誤差がある可能性を考慮し、中心線の左右を一定範囲まで確認対象とします。必要な調査幅は、資料の精度、施工年代、現地の改変状況、予定する掘削深さなどによって決めます。

既存資料の確認が十分であれば、次の聞き取りや現地調査で確認すべき場所が明確になります。反対に、資料が少ない場合は、最初から位置を一本に決めつけず、複数の配置候補を持って調査を進めることが安全です。

ステップ2 管理者と耕作者への聞き取りで情報を補う

図面や記録だけでは分からない情報を補うため、施設管理者、土地改良区の担当者、地権者、耕作者、過去の工事関係者などへ聞き取りを行います。暗渠は地表から見えないため、長年ほ場を利用している人が持つ記憶や経験が、位置を絞り込む重要な手掛かりになります。

聞き取りでは、暗渠を施工した時期、施工した範囲、管を入れた方向、排水先、施工時に使用した機械、過去に補修した場所、排水が悪化している部分などを確認します。単に「暗渠はどこですか」と尋ねるだけではなく、道路や水路、畦畔、樹木、電柱、構造物などとの位置関係を具体的に聞くことが重要です。

耕作者は、降雨後に早く乾く場所や、反対に水がたまりやすい場所を把握している場合があります。暗渠の上部では土壌水分の状態や作物の生育が周囲と異なることがあり、その経験的な情報が管路の推定に役立ちます。ただし、生育差や乾湿差は土質、地形、耕盤、表面排水などの影響でも発生するため、聞き取り情報だけで位置を確定してはいけません。

後から設置された補助暗渠の有無も確認します。公共事業や土地改良事業で施工された暗渠とは別に、耕作者が独自に排水管や疎水材を埋設していることがあります。このような施設は公的な図面へ反映されていないことが多く、重機掘削時に見落とされやすい対象です。

排水口の位置についても詳しく確認します。暗渠の出口が水路法面、集水ます、道路横断管、既設排水管などへ接続されていれば、出口から上流方向を追うことで配置を推定できます。ただし、排水口が土砂や植生で覆われている場合や、改修工事によって閉塞または切断されている場合もあります。

聞き取り結果には、話を聞いた相手、確認した日、指示された場所、情報の確からしさを記録します。複数の関係者から異なる説明があった場合は、どちらか一方をすぐに採用するのではなく、両方を調査候補として残します。記憶による情報には距離や方向の誤差が含まれるため、現地測量や探査で必ず裏付けを取ります。

関係者との聞き取りは、位置確認だけでなく、施工後のトラブルを防ぐうえでも有効です。暗渠を残す部分、撤去してよい部分、仮復旧が必要な部分、新設暗渠へ接続する部分などの考え方を早期に共有しておけば、施工中に判断が止まる事態を減らせます。

ステップ3 現地踏査と測量で推定位置を絞り込む

資料と聞き取りによって暗渠の候補位置を整理したら、現地踏査を行います。踏査では、暗渠そのものだけでなく、暗渠の配置を推定できる地表の特徴を広い範囲で確認します。

最初に確認したいのは排水口です。水路法面や集水施設の周辺に管端、開口部、補修跡、コンクリートの変色、局所的な湿潤、土砂の流出跡などがないかを調べます。草が繁茂している場合は、安全に配慮しながら視認できる範囲を確保します。排水口から水が出ていなくても、管が存在しないとは限りません。乾燥時や非かんがい期には流出が見られないこともあります。

ほ場内では、地表のわずかな沈下、土の色の違い、植生の変化、過去の掘削跡、埋戻し跡などを確認します。暗渠の施工後に埋戻した部分では、周囲と締まり方が異なり、細い線状の凹凸として残っている場合があります。ただし、耕起や均平作業を繰り返した農地では、地表の痕跡が消えていることも多いため、外観だけで判断しないことが重要です。

位置を測る際は、道路、水路、境界、構造物など、工事期間中も残る基準物との関係を記録します。工事の進行によって畦畔や仮設物が撤去される場合は、それらを基準にしてはいけません。現場で再現可能な基準点を設け、暗渠の推定位置を座標または距離と方向で管理します。

過去の図面に座標がある場合は、現在使用する座標系や標高基準と一致しているかを確認します。異なる座標系を混在させると、数値上は整って見えても現地では大きくずれることがあります。座標変換を行った場合は、変換方法と確認に使用した既知点を記録し、複数の地物で整合性を確かめます。

暗渠の深さを推定するときは、図面上の土被りだけでなく、施工後の地盤高変化を考慮します。客土、切土、盛土、畦畔除去、道路改修、表土移動などが行われていると、当初の地表面から測った深さは現在の深さと一致しません。可能であれば、管底または管中心の標高として管理し、現在地盤との差を計算します。

RTK方式の測位機器や測量機器を利用すると、排水口、試掘箇所、推定線、基準点などを座標として一元管理しやすくなります。ただし、測位値は常に同じ精度で得られるわけではありません。周辺の樹木、建物、法面、重機、電線、衛星配置、補正情報の受信状態などによって結果が変動するため、測位状態と観測条件を確認しながら使用します。

LRTK Phoneを利用する場合も、画面に表示された位置をそのまま確定位置とみなすのではなく、固定状態、アンテナ高、座標設定、既知点との整合を確認します。現地写真や座標を関連付けて記録しておけば、調査時の判断を施工担当者へ共有しやすくなります。

現地踏査と測量の目的は、この段階だけで暗渠を確定することではありません。次に行う探査や試掘の場所を合理的に決めることが目的です。推定線が複数ある場合は、それぞれを区別して現地図へ示し、調査の優先順位を決めます。

ステップ4 非破壊探査で暗渠の反応を確認する

現地測量で候補範囲を絞り込んだ後は、必要に応じて非破壊探査を行います。非破壊探査は、地面を広く掘り返さずに地中の異常や埋設物の反応を確認する方法です。ただし、暗渠の材質や土質によって検出しやすさが大きく異なるため、探査結果だけで位置を確定しないことが重要です。

地中レーダーを用いる方法では、地中へ電磁波を送り、その反射から埋設物や地層の変化を推定します。管本体だけでなく、暗渠周辺に施工された砂利や疎水材、埋戻し土と地山の境界が反応として現れる場合があります。非金属製の管でも条件によって検出できる可能性がありますが、粘性土、水分量の多い土、塩分を含む土、深い埋設、細い管などでは反応が不明瞭になることがあります。

電磁誘導を利用する探査は、金属製の管や金属線がある場合に有効です。しかし、一般的な暗渠排水管は非金属材料で構成されていることも多く、管だけでは反応しない場合があります。施工時に位置確認用の線が設けられていれば追跡できる可能性がありますが、その有無は資料や聞き取りで確認する必要があります。

排水口から通線できる暗渠であれば、管内へ探査用の線や発信器を挿入し、地表から位置を追跡する方法も考えられます。ただし、管内に土砂が堆積している場合、管がつぶれている場合、急な屈曲や接続部がある場合は挿入できないことがあります。無理に押し込むと、既設管の損傷や器具の抜き取り不能につながるため、管の状態を見ながら慎重に作業します。

探査は、暗渠が想定される方向に対して直角に横断する測線を設定すると、線状の構造を捉えやすくなります。一つの測線だけでは地層変化や石を暗渠と誤認する可能性があるため、平行する複数の測線で反応の連続性を確認します。暗渠であれば、一定方向へ連続する傾向が見られることが多い一方、石や局所的な空洞は反応が途切れる場合があります。

探査結果は、反応があった位置だけでなく、測線の始点と終点、測定方向、地表条件、使用した設定、反応の深さ、信頼度を記録します。反応がなかった場所についても記録しておくと、調査範囲の抜けを確認できます。

非破壊探査で重要なのは、検出できなかったことを暗渠が存在しない根拠にしないことです。土質や管材によっては、暗渠があっても明確な反応が得られません。反応が不明瞭な場合は、資料、排水口、地表状況、聞き取り結果を再度照合し、試掘位置を決めます。

ステップ5 試掘で位置と深さを直接確認する

資料調査、聞き取り、測量、非破壊探査によって候補位置を絞り込んだら、重要箇所では試掘を行い、暗渠の位置と深さを直接確認します。試掘は最も確実性の高い確認方法ですが、方法を誤ると確認対象の暗渠を試掘作業で破損するため、慎重な施工が必要です。

試掘箇所は、工事の掘削範囲と暗渠の推定線が交差する場所、構造物基礎に近い場所、重機が繰り返し走行する場所、暗渠の分岐や接続が想定される場所などから選びます。暗渠全線を連続して掘り出すのではなく、施工上重要な位置を複数確認し、管路の方向と勾配を推定します。

試掘は、暗渠の推定方向に対して直角に行うと位置を確認しやすくなります。推定線と同じ方向に細長く掘ると、わずかな位置ずれによって管を見逃す可能性があります。確認溝には十分な幅を持たせ、図面誤差や探査誤差を考慮した範囲を確認します。

掘削の初期段階では機械を使用できる場合でも、想定深さへ近づいたら一度に深く掘らず、薄く段階的に土を取り除きます。バケットの爪を地中へ突き刺すような操作や、暗渠の方向に沿って土を引く操作は避けます。管の上部が近いと考えられる範囲では、人力掘削や小型の道具へ切り替えます。

暗渠の上部には、砂利や粗粒材などの疎水材が設けられていることがあります。掘削中に周囲と異なる粒径の材料、線状に続く砂利層、埋戻し境界などが現れた場合は、暗渠へ接近している可能性があります。管本体が見えるまで機械で掘り続けず、材料の変化を手掛かりに掘削方法を切り替えることが重要です。

暗渠を確認したら、管の材質、外径、向き、管頂または管中心の深さ、周辺の疎水材、接続状態、破損の有無を記録します。管の深さは、試掘時の一時的な地表からの距離だけではなく、基準点からの標高として記録すると、工事で地盤高が変わった後も利用できます。

試掘箇所を埋め戻す際は、既設暗渠の機能を損なわないようにします。掘り出した管の周囲へ粘性の高い土を詰め込むと、吸水性が低下する可能性があります。既存の疎水材を乱した場合は、設計や管理者との協議内容に基づき、適切な材料と方法で復旧します。

試掘によって図面と異なる位置が判明した場合は、その場で現地表示を修正し、関係者へ共有します。最初に確認した一本だけを基準に全線を推定すると、途中の屈曲や分岐を見落とす可能性があります。長い区間や重要区間では複数箇所を確認し、位置の連続性を確かめます。

ステップ6 確認結果を現場表示して施工管理へ反映する

暗渠の位置を確認しても、その情報が掘削担当者へ正確に伝わらなければ損傷防止にはつながりません。最後のステップでは、調査結果を現場へ表示し、施工計画、作業手順、重機誘導、立会い方法へ反映します。

現場表示では、暗渠の中心位置だけでなく、注意が必要な範囲を幅で示します。位置確認には一定の誤差が残るため、一本の細い線だけを表示すると、作業者がその線の外側は安全だと誤解する可能性があります。暗渠の外径、調査精度、掘削方法、周辺地盤の状態を考慮し、立入や機械掘削を制限する範囲を設定します。

表示方法には、測量くい、マーキング、見通しくい、仮設標識などがあります。工事中に表土を剥いだり、盛土を行ったりすると地表の表示が消えるため、施工範囲の外側にも逃げの基準を設けます。二点以上の基準から暗渠位置を復元できるようにしておけば、表示が失われても再設置できます。

施工前の打合せでは、暗渠の位置、深さ、流下方向、確認方法、確実性、立会いが必要な範囲を共有します。重機の運転者だけでなく、施工管理者、測量担当者、作業指揮者、誘導員、協力会社にも伝えることが重要です。図面を配布するだけではなく、現地で実際の位置を示しながら説明します。

暗渠付近の施工方法は、通常区間と分けて定めます。機械掘削を停止する深さ、人力確認へ切り替える範囲、バケットの向き、重機の走行位置、仮保護の方法、損傷時の連絡先などを施工前に決めておきます。作業中に暗渠らしい材料や空洞が見つかった場合は、直ちに掘削を止め、管理者が確認する手順を明確にします。

確認された暗渠を存置する場合は、工事中の荷重や振動にも注意します。管へ直接接触しなくても、上部を大型機械が繰り返し走行することで変形や接続部のずれが生じる可能性があります。必要に応じて走行経路を変更し、敷板や保護材によって荷重を分散します。ただし、保護方法は管の材質、土被り、地盤条件、機械重量などを踏まえて個別に検討します。

暗渠を一時的に切断する必要がある場合は、無断で切り離さず、管理者や発注者と復旧方法を確認します。仮排水が必要か、施工中の降雨で周辺に滞水しないか、新設管との接続高さが適切かなども検討します。復旧時には管を接続するだけでなく、周囲の疎水材や勾配も回復させる必要があります。

LRTK Phoneなどを活用して、確認位置、注意範囲、現場写真を座標と関連付けて管理すると、紙図面だけでは伝わりにくい現地情報を共有しやすくなります。ただし、施工中の再現では測位条件を確認し、必要に応じて基準点からの測量を併用します。

位置確認で見落としやすい暗渠の特徴

既設暗渠の位置確認では、暗渠が直線で一定間隔に配置されているという思い込みが見落としにつながります。実際には、地形、土質、過去の湿潤状況、施工機械の進入条件などに応じて、曲線や斜め方向に施工されている場合があります。

本線へ接続する短い支線や、局所的な湿地だけを処理する補助暗渠も見落とされやすい対象です。図面には主要な集水管しか記載されず、細い吸水管や後施工の管が省略されていることがあります。一本の暗渠を確認した後も、その周辺に平行管や分岐管が存在する可能性を考えます。

排水口の高さから一定勾配で直線的に延びているとは限りません。地中障害物を避けるために屈曲していたり、途中で深さが変化していたりする場合があります。排水先が改修され、現在見えている排水口と旧暗渠が接続されていない可能性もあります。

古い暗渠では、管の周囲に明確な疎水材がないこともあります。反対に、管がなくても砂利や粗朶などで排水経路を形成している場合があります。このような構造は、管探査を前提とした方法では把握しにくいため、地層や埋戻し材の変化を含めて確認します。

過去の補修箇所にも注意が必要です。部分的に異なる管材へ交換されていたり、接続位置が横へずらされていたりすると、探査反応の連続性が途切れます。地表に補修跡が残っていなくても、聞き取りや維持管理記録から候補位置を把握できることがあります。

暗渠が現在機能していない場合でも、地中に管や空洞が残っている可能性があります。排水が確認できないことを理由に存在しないと判断すると、掘削時に突然管へ接触するおそれがあります。機能の有無と埋設物の有無は分けて考える必要があります。

既設暗渠付近を掘削するときの施工上の注意点

既設暗渠の位置を確認した後も、施工中の管理が不十分であれば損傷は防げません。特に注意したいのは、確認位置と実際の掘削位置を日々照合することです。工事の進行に伴って地表面や基準物が変化すると、最初に設置した表示が使えなくなる場合があります。

掘削開始前には、作業範囲内の暗渠表示が残っているか、逃げの基準が使用できるか、予定掘削深さとの離隔が確保できるかを確認します。施工図や機械の掘削管理画面へ暗渠位置を登録する場合も、座標設定、基準高、機械位置の補正が正しいかを確認します。

掘削面に疎水材や埋戻し境界が現れたときは、確認済みの暗渠位置から離れていても作業を止めます。未記録の支線や別系統の暗渠である可能性があるためです。機械で材料を引き抜くと、離れた位置の管や接続部まで損傷することがあります。

暗渠の上部を横断して掘削するときは、管の両側を急激に深く掘り下げないようにします。周辺土が失われると、管が宙づりになったり、局所的な曲げが生じたりします。存置する管の近くで法面を形成する場合は、崩壊やゆるみによって管周辺の支持が失われないようにします。

重機の旋回時には、バケットや排土板だけでなく、機体後部、アウトリガー、運搬車両のタイヤ位置にも注意します。暗渠上へ機械を据え付けると、静的な荷重だけでなく振動や繰返し荷重が作用します。土被りが浅い場所や試掘後の埋戻し部では、特に沈下や管変形が起こりやすくなります。

暗渠を誤って損傷した場合は、見える部分だけを応急的に埋め戻さず、損傷範囲を確認します。管の割れ、つぶれ、接続部の離脱、勾配の変化、土砂流入などが周辺へ広がっている可能性があります。復旧方法は管材と施設構造に適合させ、排水の連続性を確認します。

損傷の疑いがある場合は、降雨時や通水時の排水状況も確認します。外観上は接続されていても、管内に段差や土砂が残ると流下能力が低下します。復旧後の位置、材料、接続方法、確認結果を記録し、管理者へ引き継ぎます。

記録を残して将来の維持管理につなげる方法

既設暗渠の位置確認で得られた情報は、その工事だけで終わらせず、将来の維持管理や改修へ利用できる形で残すことが重要です。特に、図面と実際の位置が異なっていた箇所や、未記録の暗渠が見つかった箇所は、正確に記録します。

記録する内容には、暗渠の平面位置、標高、深さ、方向、管径、材質、排水先、分岐、接続状態、確認方法、確認日などがあります。位置を地表からの深さだけで記録すると、将来の切盛りや耕作によって基準が変化します。可能な範囲で管頂、管中心、管底のいずれかを標高で記録します。

試掘位置は、埋め戻した後でも再現できるよう、座標と周辺地物からの距離を併記します。座標だけに依存すると、座標系や測位条件の違いによって再現できない場合があります。反対に、地物からの距離だけでは、地物が撤去されたときに使えません。複数の方法を組み合わせることが有効です。

写真は、管の近接写真だけでなく、周辺との位置関係が分かる全景も撮影します。近接写真では管材、接続部、損傷、疎水材などを記録し、全景写真では道路、水路、構造物、基準くいなどを一緒に写します。写真の撮影方向と撮影位置も記録しておくと、後から理解しやすくなります。

調査結果には、確認済みの位置と推定位置を明確に区別します。試掘で直接確認した点と、二点間を結んで推定した区間では確実性が異なります。図面上の線をすべて同じ表示にすると、将来の工事で推定区間まで確定位置として扱われるおそれがあります。

工事によって暗渠を撤去、移設、新設、接続した場合は、変更後の状態を完成図へ反映します。旧管が地中に残っている場合は、使用中の管と廃止管を区別します。廃止管であっても、将来の掘削では埋設物として影響するため、位置情報を残す価値があります。

LRTK Phoneを活用すれば、現地で取得した位置情報と写真を関連付け、暗渠の確認記録を共有しやすくなります。紙図面、写真、座標表が別々に保管される状態を避け、現地で確認した情報を一つの流れで整理することで、施工担当者から維持管理担当者への引継ぎも円滑になります。

まとめ

土地改良工事で既設暗渠を壊さないためには、掘削直前に地表を見ただけで判断するのではなく、複数の確認方法を段階的に組み合わせる必要があります。

最初に既存図面、完成記録、補修履歴などを集め、暗渠の全体像と資料の確実性を整理します。次に、施設管理者や耕作者への聞き取りを行い、図面にない補助暗渠、過去の補修、排水不良箇所などの情報を補います。その後、現地踏査と測量によって排水口や地表の痕跡を確認し、暗渠の候補位置を現場で再現できる形にします。

候補範囲を絞った後は、地盤条件や管材に応じて非破壊探査を行い、反応の連続性を確認します。ただし、探査で反応がないことだけを理由に暗渠が存在しないと判断してはいけません。工事への影響が大きい場所では、試掘によって位置、深さ、材質、方向を直接確認します。

確認後は、暗渠の中心位置だけでなく注意範囲を現場へ表示し、機械掘削を停止する範囲、人力確認へ切り替える深さ、重機の走行経路、損傷時の対応を施工計画へ反映します。位置を把握する調査と、施工中に守る管理を一体として考えることが、破損防止の要点です。

また、調査で得られた座標、標高、写真、試掘記録、確実性を整理し、工事完成後も利用できる資料として残すことが重要です。今回の工事で正確な記録を整備すれば、次回の改修、維持管理、排水不良調査でも同じ確認作業を繰り返さずに済みます。

暗渠の確認位置や試掘箇所を現場で効率よく記録し、写真と位置情報を関連付けて関係者へ共有したい場合は、測位と現場記録を一体化できるLRTK Phoneの活用が、土地改良工事における埋設施設管理の効率化につながります。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

LRTK Phoneの使い方・実例を見る
資料請求導入相談
現場をスマホで3DスキャンLRTK Phone実例を見る