LRTKレフィクシア株式会社

土地改良のサイホン管で空気だまりを防ぐ5つの確認

土地改良のサイホン管で空気だまりが問題になる理由

土地改良施設では、道路、河川、排水路、谷部などを横断して農業用水を送るために、管水路形式のサイホンが設けられます。設計図書や地域によっては、伏越し、逆サイホン、サイホン管などの名称が使われます。この記事では、主に管内が満水となる圧力管路形式の施設を想定しています。実際の点検や操作では、対象施設の完成図、設計条件、操作規程を優先してください。

サイホン管は、開水路と比べて管内の状態を直接確認しにくい施設です。外観に漏水や破損が見られなくても、内部に空気が滞留すると、実際に水が流れる断面が狭くなり、通水能力が低下することがあります。空気だまりの大きさや位置が変化すると、水の流れが不規則になったり、圧力が変動したりする場合もあります。農林水産省の設計基準でも、管路内に空気がたまると通水能力の低下や不都合な圧力変動につながるため、通気施設に空気の排除と吸入に必要な機能を持たせる考え方が示されています。

空気は、最初から一か所に大きな塊として入るとは限りません。空管への充水時に排出しきれなかった空気、圧力低下などによって水中から析出した気体、上流側で巻き込まれた微細な気泡などが、管路の凸部や勾配が変化する部分に集まることがあります。落水後に再び通水する施設では、毎回の充水操作が空気残留の程度に影響します。

農業用パイプラインの通気施設には、充水時の排気、通水中に集まる空気の排出、落水や排水時の吸気といった役割があります。また、下り勾配が途中で急になる場所では、流速によって空気を下流へ運べない場合があるため、縦断形状と流速を踏まえて空気弁の要否を検討する考え方が示されています。

ただし、空気弁を設置しているだけで十分とは限りません。設置位置が実際の空気滞留位置と合っていない、空気弁までの枝管に空気が入りにくい、補修用のバルブが閉じている、弁室に水や泥がたまっている、弁内部が固着しているといった状態では、期待した吸排気機能を得られない可能性があります。

土地改良の実務担当者が空気だまりを防ぐには、設備単体を見るのではなく、管路全体の高さ、空気の抜け道、充水方法、運転中の水理状態、維持管理履歴を一つの系統として確認することが重要です。ここからは、現場で押さえたい5つの確認を順番に解説します。

確認1 縦断線形と空気が集まる位置を確認する

最初に確認するのは、サイホン管の縦断線形です。空気は水より密度が小さいため、管内では凸部や管頂側へ移動しやすくなります。そのため、図面上の最高点だけでなく、勾配が緩くなる場所、上り勾配から下り勾配へ変わる場所、下り勾配の傾きが変わる場所、局部的に管が持ち上がっている場所を把握する必要があります。

サイホン管は、全体として低い位置を通過していても、管路の途中に局部的な凸部が存在することがあります。曲管や異形管を組み合わせた部分、既設管との接続部、空気弁の取付部、構造物前後の取合い部では、短い区間だけ管頂が高くなっている場合があります。平面図だけでは見落としやすいため、縦断図、配管詳細図、出来形記録を重ねて確認します。

完成時の縦断図があっても、現在の状態と一致しているとは限りません。埋戻し後の地盤沈下、盛土の変形、地震、周辺工事、管下部の空洞化などにより、管路の高さが変化している可能性があります。不同沈下によって管路の一部が相対的に高くなると、当初の設計では想定していなかった空気だまりが生じる場合があります。

確認では、管底高だけでなく、管中心高と管頂高も意識します。空気は管頂側に滞留するため、空気弁の取出口が縦断変化点付近にあっても、その前後の管頂がさらに高ければ、空気が空気弁まで移動しにくい可能性があります。空気弁を縦断変化点の近くに設置した場合も、接続する枝管の傾きや取出し位置によっては空気が残ることがあります。農林水産省の技術資料でも、立上り管の取付方法によっては空気だまりが残るおそれがあることが示されています。

農業用パイプラインの設計資料では、下り勾配が途中で急になる地点について、空気を流れで下流へ運ぶための最小限界流速を確認し、管内流速がそれより遅い場合に空気弁の設置を検討する考え方が示されています。単に縦断上の最高点だけを探すのではなく、勾配変化、管径、流速、運転流量を組み合わせて判断することが重要です。([農林水産省][1])

上流側と下流側の水位も、縦断線形と併せて確認します。上流の取入口水位が低下したとき、管路の凸部付近で圧力が下がる場合があります。実際の運用水位が設計時の想定より低い場合は、満水状態や必要な圧力を維持できるかを水理的に確認する必要があります。

反対に、上流水位が十分にあるにもかかわらず流量が不足する場合は、空気だまりだけでなく、管内堆積、バルブの開度不足、スクリーンの閉塞、管路の変形、下流水位の影響なども考えられます。縦断線形の確認は、空気だまりの場所を推定するだけでなく、別の原因と切り分けるための基礎資料になります。

既設管が埋設されていて直接測れない場合は、空気弁室、制水弁室、取入口、吐出口、露出管、構造物天端など、位置と高さを確認できる点を測ります。そのうえで、完成図、過去の測量成果、管径、土被りを照合し、管頂高や管中心高を推定します。推定値は確定値と区別し、どの資料と条件から求めたのかを記録しておくことが大切です。

確認2 空気弁と排気設備の配置・作動状態を確認する

2つ目は、空気弁と排気設備の確認です。空気弁は、管路の高い位置に取り付けるだけの設備ではありません。充水時、通常通水時、落水や排水時では求められる動作が異なるため、施設の運用条件に対して必要な吸排気能力が確保されているかを確認します。

充水時には、空管の中にある多量の空気を排出します。通常通水時には、水中から分離して集まる空気を圧力下で排出します。落水や排水時には、管内の過度な負圧を防ぐため外部から空気を取り込みます。農林水産省の設計基準では、通気施設は使用目的に応じた空気の排除・吸入機能と構造を持つものを選定することとされています。

空気弁の口径は、本管の口径だけで一律に決めるものではありません。使用目的、設置位置、充水時の流速、排水時に必要な吸気量、許容する圧力差などを踏まえて選定します。排気能力を大きくすれば常に安全になるとは限らず、急速な水面上昇や弁の急閉によって衝撃が生じる可能性も考慮します。農林水産省の技術資料では、初期充水時の多量排気を手動の排気弁で行い、充水後の排気を空気弁で行う方法が示されています。

現場点検では、まず空気弁下部の補修用バルブが、施設の運用手順で定められた状態になっているかを確認します。過去の修理や漏水対応で閉じたままになっていれば、空気弁本体が正常でも吸排気できません。ただし、操作履歴が分からないバルブを現場判断だけで急に開閉するのは危険です。管内圧力、弁室の状態、管理者の操作手順を確認したうえで対応します。

次に、空気弁と立上り管の姿勢を確認します。浮球式の空気弁は、内部機構が所定の姿勢で円滑に作動することを前提としています。農林水産省の技術資料では、立上り管を垂直に取り付け、やむを得ない場合でも傾斜角を小さくする考え方が示されています。既設施設では、弁室の沈下や接続部の変形によって据付姿勢が変わっていないかを確認します。

立上り管や分岐部の内部に土砂、さび、異物が堆積していないかも重要です。空気弁本体だけを交換しても、本管から空気弁までの通路が狭くなっていれば、十分な吸排気はできません。分岐管の口径、曲がり、補修弁の内部状態まで含めて確認します。

弁室では、雨水や地下水の浸入、泥の堆積、通気部や排水部の閉塞、腐食、凍結の痕跡を確認します。弁室が水没して空気弁の排出口や通気経路がふさがれると、所定の機能を損なう可能性があります。農林水産省の技術資料でも、弁室内の通気、雨水・地下水の浸入防止、排水、修理作業に必要な空間を考慮することが示されています。

通常通水中に安全に点検できる場合は、空気弁周辺からの異音、漏水、断続的な排気、弁室内の湿りを観察します。空気弁から安定運転後も大量の空気が繰り返し排出される場合は、単なる充水時の残留空気だけでなく、上流側での空気巻込み、低圧部での気体析出、負圧時に接合部などから空気が流入する可能性を含めて調べます。空気弁だけを繰り返し修理するのではなく、空気が供給され続ける原因を管路全体で確認する必要があります。

確認3 充水手順とバルブ操作の速さを確認する

3つ目は、サイホン管へ水を入れるときの手順です。空気だまりは設備の不足だけでなく、充水操作によって発生することがあります。とくに、かんがい期の開始時、工事後の再通水時、点検のために落水した後は、管内の多くが空気で満たされています。

充水前には、空気弁、排気弁、必要な給水口や吐出口が、操作規程に従って排気できる状態であることを確認します。管路の凸部に空気の出口がない状態で水を急激に入れると、空気が圧縮されて圧力変動や事故につながるおそれがあります。空気が別の凸部へ移動して閉じ込められれば、充水直後には目立たなくても、流量を増やした段階で通水不良が表面化する場合があります。

注水は、排気の状態を確認しながら段階的に行います。上流側の制水弁を一気に全開にするのではなく、管内から排出できる空気量に合わせて流入量を調整します。排気口から水と空気が激しく交互に出ている間は、管内に空気が残っている可能性があります。気泡を含まない連続した水を確認した後も、直ちに最大流量へ移行せず、水位、圧力、漏水、異音の有無を確認しながら増量します。

岩手県の農業土木工事施工管理基準では、水張り時に空気弁や給水栓などを開放し、注水速度を排気速度に応じて調整すること、制水弁を上流側から徐々に開くこと、吐出口などから気泡を含む水が出なくなってから徐々に計画流量を通水することが示されています。施設ごとの操作規程がある場合は、その手順を優先します。([岩手県公式ウェブサイト][2])

充水作業では、担当者ごとに異なる判断をしないよう、操作順序を事前に決めておきます。どの弁を開けるのか、どの弁は触らないのか、どの地点で排気を確認するのか、異常時に誰が停止を判断するのかを共有します。離れた地点のバルブを複数人で操作する場合は、連絡手段と合図を統一することが欠かせません。

バルブ操作の速さは、水撃や圧力変動にも関係します。充水時だけでなく、通常運転中に流量を変更するときも、急閉や急開を避け、設計条件と操作規程に従います。下流側のバルブを急に閉じれば圧力が上昇する可能性があり、急な流出や落水では負圧が生じる場合があります。空気弁は吸排気のための設備であり、水撃対策を空気弁だけに依存してはなりません。必要な水撃対策は、非定常水理解析や施設条件に基づいて別途検討します。農林水産省の設計基準でも、通気施設と水撃圧緩衝装置は異なる目的の施設として整理されています。

通水開始後は、一定時間を置いて再度排気状態を確認します。最初の充水で細かな気泡が管内に分散し、運転を続けるうちに凸部へ集まることがあるためです。開始直後に一度確認して終わりにするのではなく、流量を上げた後、安定運転へ移行した後にも空気弁や圧力の状態を確認します。

毎年同じ施設を充水する場合は、日時、上流水位、開始時のバルブ開度、排気に要した時間、気泡が収まった時刻、安定後の流量と圧力を記録します。前年より排気時間が長い、同じ開度でも流量が少ない、特定の空気弁だけ排気が続くといった変化があれば、施設状態の変化を早期に把握する手掛かりになります。

確認4 水位・圧力・流量の変化から空気だまりを確認する

4つ目は、水位、圧力、流量の関係を確認することです。空気だまりは管内を直接見なくても、水理状態の変化から推定できる場合があります。ただし、一つの計測値だけで断定せず、複数の情報を同じ時刻に確認することが重要です。

最初に、上流側水位と下流側水位を確認します。前年と同程度の水位差があるにもかかわらず流量が低下している場合は、管路内部の抵抗が増えている可能性があります。空気だまりのほか、土砂堆積、異物の閉塞、管内面の状態変化、バルブの開度不足などが候補になります。

圧力を測定できる場合は、空気が集まりやすい凸部の近く、制水弁の前後、サイホン管の入口側と出口側などを候補にします。農林水産省の技術資料では、布設後の流況把握や維持管理のため、空気弁工などを利用して管内圧力を測定できる構造とする考え方が示されています。

空気だまりがあると、同じ運転条件でも圧力や流量が不安定になったり、周期的な変動が見られたりする場合があります。空気の塊が圧縮と膨張を繰り返すと、水だけが流れている場合とは異なる応答を示す可能性があります。バルブを少し操作しただけで圧力が大きく変わる、流量が急に増減する、管路から脈動音が聞こえる場合は、空気の影響を候補の一つとして検討します。

ただし、圧力変動があれば必ず空気だまりとは限りません。上流のゲート操作、ポンプの運転、分水量の急変、下流側のバルブ操作でも圧力は変動します。計測時には、施設全体の運転状態を記録し、外部操作による変動と管路内部の異常を分けて考えます。

流量計が設置されている場合は、瞬時値だけでなく時間変化を確認します。一定の開度で運転しているのに流量が周期的に揺れる、通水開始後に徐々に低下する、排気操作後だけ一時的に回復するといった現象は、空気だまりを推定する材料になります。

流量計がない施設では、下流側水路の水深、堰の越流水深、一定区間を流れる時間、分水口の状態などから相対的な変化を確認します。簡易な測定であっても、同じ地点、同じ方法、同程度の上流水位で継続すれば、異常の早期発見に役立ちます。ただし、測定方法ごとの適用条件と誤差を把握しておく必要があります。

計測値は、単位、計測位置、計器の高さ、計測時刻を明確にします。圧力計の取付高さが異なれば、同じ管内状態でも表示値は変わります。交換した計器の測定範囲やゼロ点が以前と異なる場合もあります。空気だまりを判断する前に、計器自体の異常や記録条件の違いを除外します。

現場では、正常時の基準値を持っているかどうかが判断の速さを左右します。完成直後や良好に通水している時期に、水位、圧力、流量、バルブ開度を一組として記録しておけば、異常時に比較できます。設計値だけでなく、実際に安定して運転できたときの値を残すことが重要です。

確認5 維持管理履歴と管路の変状を確認する

5つ目は、維持管理履歴と管路の変状です。空気だまりは、その場の排気操作で一時的に解消しても、原因が残っていれば再発します。再発を防ぐには、過去の異常、修理、周辺工事、地盤変化を時系列で確認する必要があります。

まず、空気弁の点検履歴を確認します。弁本体の交換時期、内部部品やシール部の状態、補修弁の操作履歴、弁室の排水状況、通気部の清掃記録などを整理します。点検表に「異常なし」とだけ記載するのではなく、通水時に作動を確認したのか、外観だけを確認したのかを区別します。

次に、サイホン管周辺の地形や構造物の変化を確認します。道路の拡幅、盛土、河川改修、護岸工事、重機の走行、隣接埋設物の工事などが行われていれば、管路へ新たな荷重や変位が生じた可能性があります。地表に沈下や段差があれば、その直下で管路が変形していると断定はできませんが、重点的に調べる根拠になります。

弁室や接続構造物の傾きも確認します。弁室が沈下すると、空気弁の立上り管が傾いたり、本管との接続部に無理な力が加わったりする可能性があります。空気弁本体が鉛直でも、本管からの枝管に空気が抜けにくい勾配が生じていれば、空気が弁まで到達しにくくなる場合があります。

漏水履歴も重要です。内圧が大気圧より高い状態では、漏水箇所から水が外へ出るのが一般的です。一方、運転停止や急な排水などで局部的に大気圧を下回る状態が生じる管路では、接合部や損傷部から空気や地下水が流入する可能性も検討します。補修後に空気弁からの排気量が変化した場合は、漏水と空気流入の関係も確認します。

サイホン管の内部に入って点検できない場合は、流量と圧力の測定、漏水調査、弁室から行える調査、露出部の外観確認などを組み合わせます。調査方法は、管径、管種、延長、バルブ配置、通水停止の可否によって異なります。無理に一つの方法だけで結論を出さず、段階的に原因を絞り込みます。

点検時期は、異常が発生してからだけでは不十分です。かんがい期前の充水前、充水直後、安定運転時、落水後を基本の確認機会とし、大雨、地震、周辺工事、漏水補修の後にも必要に応じて追加確認を行います。季節ごとに運転と停止を繰り返す施設では、前年の停止時に問題がなくても、次回の充水時に空気弁が正常に作動するとは限りません。

点検結果は、担当者個人の記憶ではなく、位置情報を付けて残します。「第2空気弁」だけでは、図面の番号変更や引継ぎ時に混乱することがあります。施設番号、測点、座標、写真方向、点検日時を統一して記録し、次回も同じ位置を確認できる状態にします。

空気だまりを疑うときに現場で確認したい兆候

空気だまりは、流量不足として現れることが多いものの、初期段階では明確な異常にならない場合があります。小さな変化を組み合わせて判断することが大切です。

代表的な兆候は、上流側の水位が十分にあるのに下流側の流量が少ない状態です。同じ季節、同じバルブ開度、同程度の取水条件と比較して低下しているかを確認します。単日の値では、需要量や取水条件の違いが影響するため、過去の記録との比較が必要です。

空気弁から断続的に空気が出続ける場合も注意が必要です。充水直後であれば残留空気の排出と考えられますが、安定運転後も繰り返す場合は、管内で空気が継続的に発生または流入している可能性があります。

管路、弁室、吐出口付近の音も手掛かりになります。水が連続して流れる音に加えて、周期的な打撃音、気泡が崩れるような音、脈動する音が聞こえる場合は、圧力と流量を同時に確認します。音だけで原因を断定せず、発生時刻とバルブ操作の関係を記録します。

吐出口で気泡を多く含む水が長時間続く場合は、管内から空気が排出されている可能性があります。ただし、落差のある吐出口では、正常な流れでも吐出後に空気を巻き込みます。管内から排出された空気なのか、吐出後に混入した空気なのかを観察位置によって区別します。

排気操作後に流量が回復し、時間の経過とともに再び低下する現象は、空気が同じ場所へ再度集まっている可能性を示します。この場合、排気作業の回数を増やすだけでは根本対策になりません。縦断線形、空気弁位置、運転水位、空気の流入源を調べます。

バルブを操作した際の反応が以前と異なる場合も確認が必要です。少し開けただけで急激に流量が変化する、閉じた後も長く振動が続く、操作中に空気弁から大量の排気が始まるといった現象は、管内の空気量や圧力状態が変化している可能性があります。

空気だまりと他の通水不良を切り分ける方法

流量不足が発生したとき、原因を空気だまりに決めつけると、必要な対策を見誤ることがあります。土地改良施設では、取入口の閉塞、スクリーンへのごみ付着、土砂堆積、バルブの故障、管路の漏水、管の変形、下流水位の上昇などでも通水量が低下します。

最初に確認するのは、取水できる水量そのものです。上流水位が低い、取入口が閉塞している、上流側水路の流量が不足している場合は、サイホン管内を調べる前に取水条件を整理します。上流水位だけでなく、取入口直前の流況やスクリーン前後の水位差も確認します。

次に、バルブの開度を確認します。操作ハンドルの位置と弁体の実際の開度が一致しているとは限りません。開度表示のずれ、弁棒の損傷、異物のかみ込みなどがあれば、全開表示でも通水断面が確保されていない可能性があります。

空気だまりを切り分ける際は、排気前後の変化を記録します。安全な手順に従って排気した後、同じ水位条件とバルブ開度で流量や圧力が改善すれば、空気が影響していた可能性が高まります。ただし、一時的な運転条件の変化で改善した可能性もあるため、時間を置いて再測定します。

土砂堆積が疑われる場合は、流量を変えたときの損失の増え方を確認します。空気だまりと堆積物では、水位、圧力、流量の関係が異なることがありますが、現場の簡易計測だけで完全に区別できない場合もあります。必要に応じて管内調査や水理計算を行います。

漏水の場合は、流量不足に加えて周辺地盤の湿潤、湧水、陥没、弁室への異常流入などが見られる可能性があります。表面に水が出ていなくても、地下へ流出している場合があります。圧力低下の位置を複数地点の計測から推定し、空気弁、継手、曲管、構造物取合い部などを重点的に確認します。

原因が一つとは限りません。空気弁の機能低下と土砂堆積が同時に起きている場合や、漏水や運転条件の変化によって管内圧力が低下し、空気の影響が現れやすくなる場合もあります。対策後にすべての症状が解消したかを確認し、残った異常から次の原因を絞り込みます。

改修や更新工事で空気だまりを再発させない考え方

既設サイホン管を更新または部分改修するときは、元の配管をそのまま再現するのではなく、これまでの運転記録を設計へ反映します。過去に空気だまりが発生した位置、排気に時間がかかった場所、流量が不安定だった条件を整理します。

縦断線形を変更する場合は、新たな局部高点をできるだけ作らないことが基本です。施工性を優先して曲管を追加すると、短い区間に空気が集まる形状が生じることがあります。管底高だけでなく管頂高を連続的に確認し、空気がどの方向へ移動するかを検討します。

空気弁の位置は、管理しやすさだけで決めないことが重要です。道路外の点検しやすい場所へ移動した結果、実際に空気が集まる位置から離れ、枝管へ空気が入りにくくなる可能性があります。縦断変化点と弁室の位置をずらす場合は、接続管の勾配、口径、曲がり、吸排気能力を検討します。

空気弁室は、将来の点検と交換を前提に計画します。弁本体を取り外せる高さ、作業者が安全に工具を扱える空間、排水経路、通気、防寒、周辺からの雨水流入を確認します。完成時には問題がなくても、土砂や落ち葉で排水部が閉塞することを想定した管理方法が必要です。

充水時に多量の空気を排出する必要がある施設では、通常通水時の空気弁とは別に、手動で排気できる設備を設ける方法があります。農林水産省の技術資料でも、本管と空気弁の間に排気弁を設け、充水時の多量排気に対応する考え方が示されています。

施工完了後は、通水試験を単なる漏水確認にしないことが大切です。充水中の排気状況、各空気弁へ水が到達した時刻、安定後の圧力と流量、バルブ操作への反応を記録します。異常がない状態の基準データを完成時に残しておけば、供用後の維持管理に利用できます。

管路を埋め戻す前には、管中心高、管頂高、曲管位置、空気弁取出し位置を測定します。完成後に地表から確認できない情報ほど、施工中の記録が重要です。測点番号だけでなく座標を付け、図面上の位置と現地を一致させます。

サイホン管の現場情報を記録して管理につなげる

空気だまりを防ぐための確認では、測った情報を次回の管理へ引き継ぐことが重要です。図面、写真、点検表、圧力記録が別々に保存されていると、異常発生時に必要な情報をすぐに集められません。

現場記録では、取入口、吐出口、空気弁室、制水弁室、縦断変化点、露出管、補修箇所を共通の位置情報で管理します。各地点について、施設番号、座標、標高、管径、管種、設置年月、点検日、写真方向を関連付けます。

写真は、空気弁本体だけを大きく撮影するのではなく、弁室全体、周辺地形、蓋の位置、排水方向が分かる写真も残します。接写写真には、腐食、漏水跡、バルブ開度、管理番号などを記録します。写真の撮影方向を図面上で再現できれば、担当者が変わっても比較しやすくなります。

標高を記録する場合は、基準とした点を明確にします。異なる年度の測量値を比較するには、同じ基準点または整合性を確認した基準点を使用する必要があります。弁室天端だけでなく、可能であれば空気弁取出口、本管中心、周辺地盤の高さを区別して記録します。

埋設されたサイホン管の位置は、地表面を測っただけでは確定できません。施工時の出来形、管径、土被り、弁室内で確認できる管高などを組み合わせて管理します。推定した管路位置は、実測した地表点や構造物位置と同じ精度で扱わず、推定条件を記録します。

現場の三次元情報を取得できる環境では、弁室周辺や取入口、吐出口、露出構造物を立体的に記録する方法も有効です。地表の沈下、構造物の傾き、改修前後の形状を同じ座標系で比較しやすくなります。ただし、計測条件や基準点の整合性を確認し、必要な精度に応じて測定方法を選びます。

LRTK Phoneを活用すれば、位置情報を付けた写真や座標付きの三次元データを取得し、現場記録の整理に利用する運用を検討できます。([Lefixea Irtk][3]) ただし、地中の埋設管そのものを地表から直接計測できるわけではありません。施工時の出来形資料や既設図面と組み合わせ、確認できた事実と推定した情報を分けて管理することが重要です。

空気だまり対策は、空気弁を一度点検して終わる作業ではありません。充水、通常運転、落水、補修という施設の周期に合わせて記録を更新し、前回との変化を確認する仕組みにすることで、異常の早期発見につながります。

まとめ

土地改良のサイホン管で空気だまりを防ぐには、空気弁だけに注目するのではなく、管路全体を水理的に確認する必要があります。

1つ目の確認は、縦断線形です。図面上の最高点に加え、勾配変化点、曲管部、接続部、沈下によって生じた局部高点を確認します。空気が空気弁まで移動できる形状になっているかを見ることが重要です。

2つ目の確認は、空気弁と排気設備です。設置位置、吸排気能力、立上り管の姿勢、補修弁の状態、弁室の排水と通気、内部の詰まりや作動不良を確認します。

3つ目の確認は、充水手順です。排気できる状態を確保してから注水を始め、排気能力に合わせて流入量を調整します。気泡の排出が収まる前に流量を急増させないことが大切です。

4つ目の確認は、水位、圧力、流量です。正常時の記録と比較し、同じ運転条件で流量が低下していないか、圧力が周期的に変動していないか、排気後に状態が改善するかを確認します。

5つ目の確認は、維持管理履歴と管路の変状です。過去の修理、漏水、周辺工事、地盤沈下、弁室の傾きなどを時系列で整理し、空気が再び集まる原因が残っていないかを調べます。

空気だまりは、一時的な排気で改善しても再発することがあります。現地の位置、標高、圧力、流量、バルブ操作、排気状況を継続して記録し、原因と対策の関係を残すことが重要です。サイホン管周辺の現況を座標付きで整理し、点検や改修の判断に使える情報へ変えていく方法として、LRTK Phoneの活用を検討できます。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

LRTK Phoneの使い方・実例を見る
資料請求導入相談
現場をスマホで3DスキャンLRTK Phone実例を見る