土地改良工事で残土搬出計画が重要な理由
土地改良工事では、農地の区画整理、用排水路の整備、農道の改良、暗渠排水の設置、ため池や調整施設の整備などに伴い、さまざまな性状の土が発生します。掘削した土を現場内ですべて利用できるとは限らず、余剰となった土については、適切な搬出先を確保して計画的に運搬しなければなりません。
残土搬出は、掘削が始まってから受入先を探せばよい業務ではありません。搬出先の受入可能量が不足している、土質が受入基準に合わない、降雨で含水比が高くなり運搬しにくい、運搬車両を確保できないといった問題が起きると、掘削作業そのものを止めることがあります。
特に土地改良工事は、営農との調整や通水期間、作付け時期、周辺農道の利用条件などにより、施工できる期間が限られる場合があります。残土搬出の遅れによって掘削工程が止まると、その後の構造物施工、埋戻し、整地、通水試験まで連鎖的に遅れる可能性があります。
また、土地改良工事の現場は、市街地の工事とは異なる搬出条件を抱えることがあります。道路幅が狭い農道を通行する必要がある、通学路や集落内道路を避けなければならない、降雨後に未舗装道路が軟弱化する、大型車両が旋回できる場所が少ないといった条件です。搬出先までの距離だけでなく、現場出入口から幹線道路までの区間を含めて計画することが重要です。
実務上は、掘削数量、土質、仮置き能力、搬出先、運搬車両、走行ルート、搬出時間、記録方法を一つの流れとして整理する必要があります。どれか一つだけを先に決めても、ほかの条件と整合しなければ搬出計画は成立しません。
資源有効利用促進法に基づく制度では、建設発生土を500立方メートル以上搬出する工事などについて、再生資源利用促進計画の作成が必要です。建設発生土を搬出する場合は、搬出先の適正性や発注者等が行った土壌汚染対策法等の手続状況を確認し、計画の発注者への説明、現場掲示、運送事業者への通知、搬出後の受領書確認などを行うことが求められます。公共工事では発注者が指定する様式や運用も確認し、施工計画と書類管理を切り離さないことが大切です。
ここからは、土地改良工事の残土処分で工程を止めないための搬出計画を、五つのステップに分けて解説します。
ステップ1 発生量と土質を掘削前に把握する
最初のステップは、搬出対象となる土の量と性状を、掘削開始前にできる限り具体化することです。設計図書に記載された掘削数量を、そのまま残土搬出量として扱うだけでは十分ではありません。
掘削した土の一部を埋戻しや盛土に利用する場合、設計上の掘削量から現場内利用量を差し引く必要があります。一方で、地山状態の土は掘削によってほぐれるため、運搬時の体積は設計数量と一致しないことがあります。運搬計画では、地山数量だけでなく、ほぐした状態でどの程度の体積になるかを考慮しなければなりません。
用排水路の改修工事では、既設構造物の撤去範囲や床掘り幅の変更により、実際の掘削量が設計時の想定を上回ることがあります。軟弱地盤対策では、掘削後に不良土が追加で確認され、置換範囲が広がることもあります。搬出量を一つの確定値として扱うのではなく、標準的な数量と増加した場合の上限数量を設定しておくと、搬出先や車両の余裕を判断しやすくなります。
数量と同時に確認したいのが土質です。同じ現場でも、表土、粘性土、砂質土、礫質土、転石を含む土、腐植物を含む土などが混在する場合があります。農地では耕作土と下層土を分けて扱う必要があり、表土を仮置きして復旧時に戻す計画が採用されることもあります。
再利用できる良質土と、搬出が必要な不良土を掘削段階で混ぜてしまうと、現場内利用できたはずの土まで搬出対象になる可能性があります。その結果、搬出量の増加だけでなく、埋戻し材料や盛土材料を別途搬入する必要が生じます。掘削前に土層ごとの扱いを決め、現場内利用、仮置き、場外搬出の区分を明確にすることが重要です。
土質の確認では、既存の地質調査結果や設計資料だけに頼らず、現地踏査、試掘、施工前測量などを組み合わせます。過去に盛土された区域や、旧水路、埋戻し跡、湿地状の場所では、短い距離でも土質が変わる可能性があります。
含水状態も運搬性を左右します。晴天時には積込み可能だった粘性土が、降雨後には付着性や流動性を増し、荷台からの漏出や道路への土砂落下を招くことがあります。仮置き中の排水、シートによる雨水対策、搬出前の状態確認まで計画に含めておく必要があります。
ここで注意したいのは、掘削土をすべて一般的な建設発生土として扱えるとは限らないことです。環境省の通知では、地山の掘削によって生じる掘削物は原則として土砂とされる一方、建設工事の掘削に伴って排出されるもののうち、含水率が高く粒子が微細な泥状物は、発生時の状態や工法などに応じて建設汚泥として取り扱う考え方が示されています。名称の変更や土砂との混合だけで、廃棄物に該当するものを通常の残土として扱えるわけではありません。
したがって、掘削前の段階で、土の発生場所、概算数量、土質、含水状態、異物の有無、現場内利用の可否、仮置き先、搬出区分を整理します。判断が難しい土については、発注者、監督職員、関係行政機関、受入先などへの確認を早めに行い、搬出直前になって取扱いを変更する事態を避けます。
発生量の把握は、一度計算して終わりではありません。施工中は、掘削済み数量、現場内利用量、仮置き量、搬出済み数量、残存見込み数量を定期的に更新します。実績値を反映して搬出終了日を予測することで、車両不足や受入可能量の超過を早期に発見できます。
ステップ2 現場内利用と土量バランスを先に検討する
二つ目のステップは、搬出先を探す前に、現場内で利用できる土を整理することです。残土処分を検討するとき、すぐに全量搬出を前提とすると、不要な運搬が増える可能性があります。
土地改良工事では、掘削土を埋戻し、盛土、畦畔の復旧、農道路体、構造物周辺の整形などに利用できる場合があります。ただし、発生した土であれば何でも利用できるわけではありません。使用箇所が求める締固め性能、粒度、含水状態、強度、異物の有無などを確認する必要があります。
例えば、水路構造物の背面に埋め戻す土と、農地表面に戻す耕作土では、求められる性質が異なります。表土を下層の埋戻しに使用してしまうと、農地復旧時に良質な耕作土が不足することがあります。反対に、石や構造物片を多く含む土を表層に戻すと、営農に支障が生じる可能性があります。
現場内利用を増やすには、土の用途を先に決めることが効果的です。どの掘削場所から発生する土を、どの施工箇所で、いつ、どれだけ使うかを工程と結び付けます。利用時期が近ければ掘削場所から直接運搬できますが、時期が離れていれば仮置きが必要です。
仮置き場所を選ぶ際は、容量だけでなく、農作業への影響、排水条件、周辺への土砂流出、車両動線、地盤支持力、復旧方法を確認します。仮置き土が長期間残ると、降雨で含水状態が変わったり、雑草や異物が混入したりするため、利用時期を明確にした仮置き計画が必要です。
土量バランスを作成するときは、掘削量、現場内利用量、場外搬出量、外部からの搬入量を工程ごとに対応させます。工事全体では土量が釣り合っていても、発生時期と使用時期がずれていれば仮置き場所が不足します。月別や施工区間別に土量を確認することで、こうした時間的なずれを把握できます。
現場内利用を増やすために土を改良する方法も考えられますが、改良後の品質、用途、施工方法、周辺環境への影響などを確認しなければなりません。単に搬出量を減らすことを目的として処理するのではなく、使用先の要求品質を満たし、計画どおり確実に利用できることが前提です。
現場内利用の計画は、設計図書や発注者の承認条件とも整合させます。施工者の判断だけで使用箇所や材料を変更すると、完成後の沈下、排水不良、法面変状などにつながる可能性があります。利用方法を変更する場合は、必要な協議、品質確認、施工記録を行います。
土地改良工事では、営農者や施設管理者への配慮も欠かせません。仮置きによって農地への進入路を塞がないか、用水管理の支障にならないか、隣接農地への排水を妨げないかを確認します。工事終了後に仮置き跡の不陸や締固めが残らないよう、原状回復の方法も決めておきます。
土量バランスを適切に管理できれば、場外搬出量と外部からの材料搬入量を同時に抑えやすくなります。運搬車両の通行回数が減ることで、周辺道路への影響、出入口での混雑、道路清掃の負担も軽減できます。
ただし、現場内利用を優先するあまり、利用に適さない土を無理に使ってはいけません。再利用の可否は数量だけでなく、品質と施工後の安定性を含めて判断します。利用できる土と搬出すべき土を早期に分けることが、結果として確実な搬出計画につながります。
ステップ3 搬出先の受入条件と適法性を確認する
三つ目のステップは、搬出先を名称や所在地だけで決めず、受入条件と必要な手続を具体的に確認することです。搬出先が見つかったとしても、工事で発生する土を全量受け入れられるとは限りません。
最初に確認するのは、搬出先が受け入れる土の種類です。粘性土、砂質土、礫質土、岩塊を含む土、表土などについて、受入条件が異なることがあります。異物、草根、木片、コンクリート片、アスファルト片、金属片などが混入した土は受け入れられない場合があるため、現場での分別方法を決めておきます。
次に、土の含水状態や一回当たりの搬入量、日当たりの受入可能量、受付時間、休業日、車両の大きさ、荷下ろし方法を確認します。搬出計画上は一日に多数の車両を運行できても、搬出先が受け入れられる台数が少なければ計画は成立しません。
受入可能量は、工事全体の予定数量に対して余裕を持たせます。土地改良工事では、追加掘削や地盤条件の変化によって土量が増える可能性があります。当初数量と同量しか枠を確保していない場合、わずかな増加でも別の搬出先を探さなければなりません。
搬出先の確認では、その場所で土砂の受入れや盛土を行うために必要な許可、届出、管理上の条件などが整っているかを確認します。施工者が搬出先から口頭で受入可能と聞いただけでは不十分です。所在地、管理者、受入目的、受入期間、受入予定数量、必要な手続の状況を文書で確認できる状態にします。
建設発生土の搬出先計画制度では、建設発生土を搬出する工事について、搬出先が盛土規制法、土砂条例その他の法令に基づく許可地や届出済みの場所などであるかを確認するとともに、発注者等が行った土壌汚染対策法等の手続状況を確認する運用が示されています。搬出後には受領書の確認を受け、計画書に記載した搬出先と実際の搬出先が一致しているかを確認します。
一つの搬出先だけに依存することもリスクになります。受入先の設備故障、場内混雑、降雨による受入停止、受入容量の変更などが起きると、現場の掘削を止めることになります。主となる搬出先に加え、変更時の対応手順や代替候補を整理しておくと安心です。
ただし、代替候補を決めているだけでは十分ではありません。実際に変更する場合には、発注者との協議、計画書の修正、運送事業者への通知、受入条件の再確認などが必要になる場合があります。現場担当者が独断で別の場所へ運ばせないよう、変更を決定できる責任者と連絡経路を明確にします。
搬出土に汚染のおそれがある場合は、通常の建設発生土とは分けて考えます。過去に工場、資材置場、廃棄物保管場所などとして使用された土地や、油臭、変色、埋設物などの異常が確認された場所では、調査結果や発注者の指示を確認します。
要措置区域等から汚染土壌を区域外へ搬出する場合には、土壌汚染対策法に基づく搬出届出や管理票の交付などが必要となる場合があります。搬出者、運搬受託者、処理受託者の間で適正な運搬と処理を確認する仕組みであるため、一般的な建設発生土の搬出と同じ手順で進めないよう注意が必要です。
受入先との確認内容は、現場担当者の個人的な連絡記録だけに残さず、工事関係者が共有できる形で整理します。担当者が交代した場合でも、受入条件や残りの受入可能量を確認できる状態にしておくことが重要です。
ステップ4 運搬車両と搬出ルートを工程に組み込む
四つ目のステップは、運搬車両の台数と搬出ルートを、掘削工程と一体で計画することです。搬出先が確保できても、必要な時間に車両が来なければ掘削作業は進みません。
まず、一日の搬出目標量を設定します。予定する掘削量から現場内利用量を差し引き、その日に場外へ搬出する量を求めます。次に、一台当たりの積載可能量、搬出先までの往復時間、積込み時間、荷下ろし時間、休憩や待機の時間を考慮し、必要な車両台数を算定します。
往復時間は、地図上の距離だけで判断しないことが重要です。農道や集落内道路では、対向車とのすれ違い、時間帯による交通量、交差点での右左折、道路幅、橋梁の通行条件などによって所要時間が変わります。現場出入口と搬出先の両方を実走し、時間帯別の条件を確認すると計画の精度が高まります。
土地改良工事では、農耕車両との通行調整も必要です。田植え、収穫、資材搬入などの時期には、農道を大型の農業機械が通行します。工事車両が連続して走行すると、営農者の移動を妨げる可能性があるため、地域の作業時間や主要な通行経路を事前に確認します。
通学路や集落内道路を利用する場合は、通行時間を限定したり、別のルートを設定したりする必要があります。早朝からの連続走行や、住宅の近くでの待機は、騒音や振動に関する苦情につながりやすいため、車両の集合場所と運行開始時刻も決めておきます。
現場出入口では、車両同士の交錯や後退をできるだけ減らします。積込み場所まで一方通行にできるか、場内で方向転換できるか、誘導員をどこに配置するかを検討します。軟弱な地盤では、車両の通行によってわだち掘れや沈下が進み、運行速度が低下することがあります。
積込み場所の地盤が不安定な場合は、敷材、排水、段差解消などの対策を行います。重機と運搬車両の作業範囲を分け、荷台への過大な積込みや偏った積込みを防ぎます。荷こぼれを防ぐため、土の状態に応じて荷台の清掃や飛散防止措置も計画します。
公道へ出る前には、タイヤや車体に付着した土を確認します。道路への土砂持出しが予想される場合は、洗浄設備、清掃要員、清掃用具を配置し、汚れを確認したときにすぐ対応できる体制を整えます。降雨時には泥の持出しが増えやすいため、晴天時と同じ運行台数を前提にしないことが重要です。
工程計画では、掘削能力と搬出能力を合わせます。重機が一日に掘削できる量より搬出量が少なければ、場内に土が滞留します。反対に、搬出車両を過剰に手配すると、積込み待ちの車両が周辺道路に並ぶことになります。
仮置き場所が十分にある場合は、掘削と搬出を一時的に分けられます。ただし、仮置きに頼りすぎると、土の二重運搬や積み直しが発生します。仮置きは工程調整のための余裕として利用し、常に満杯の状態で運用しないことが大切です。
降雨予報や搬出先の休業日も工程に反映します。粘性土の搬出では、雨が止んだ後も土の状態が回復するまで時間がかかることがあります。天候によって搬出できない日数を想定し、工程終盤に大量の残土を残さないよう、掘削開始時から安定した搬出量を確保します。
車両の運転者には、搬出先の名称、所在地、指定ルート、現場内の走行方法、受領手続、緊急連絡先を確実に伝えます。口頭説明だけでは、似た名称の場所への誤搬入や、指定外ルートの走行が起きる可能性があります。地図や位置情報を用いて、誰が運転しても同じ場所へ到着できるようにします。
ステップ5 計量・受領・変更履歴を一貫して残す
五つ目のステップは、搬出量と搬出先を記録し、計画と実績の違いを追跡できるようにすることです。残土搬出は、車両が現場を出た時点で完了するわけではありません。計画した場所へ搬入され、必要な受領確認が行われたことまで管理する必要があります。
搬出記録には、日付、車両、搬出元、搬出先、土の区分、運搬回数、数量などを残します。数量の管理方法は、重量によるもの、車両一台当たりの積載量によるもの、掘削範囲の測量によるものなどがあります。どの方法を採用する場合でも、工事途中で計算基準が変わらないようにします。
車両の台数だけで数量を管理すると、積載量のばらつきによって実際の搬出量と差が生じることがあります。一台当たりの換算数量を使用する場合は、車種、荷台容量、土の状態、積載方法を確認し、過積載を前提としない数量設定にします。
掘削前後の地形を測量して数量を算出する方法は、広い範囲の土量把握に役立ちます。ただし、測量から得られる地山状態の体積と、運搬時のほぐれた土の体積は同じではありません。車両記録、受入先の受領数量、測量結果を相互に確認し、大きな差がある場合は原因を調べます。
建設発生土を搬出した後は、搬出先から受領書の確認を受け、計画書に記載した搬出先と一致していることを確認します。資源有効利用促進法に基づく現行制度では、受領書の写しを工事完成後五年間保存することが求められています。
記録は、月末や工事完成時にまとめて作成するのではなく、搬出した当日に整理することが基本です。後日まとめて入力しようとすると、車両番号、土の区分、搬出先の変更理由などが分からなくなる可能性があります。
予定外の搬出先へ変更した場合は、変更先の名称と所在地だけでなく、変更した理由、決定者、発注者との協議状況、変更後の数量、受領確認を記録します。現場担当者が一時的な対応として指示した変更であっても、記録がなければ工事完成時に搬出経路を説明できません。
2024年6月以降は、計画書に記載した搬出先から建設発生土がさらに別の場所へ搬出される場合、元請業者は原則として最終搬出先までの名称、所在地、搬出量などを記録し、保存する必要があります。ただし、国や地方公共団体が管理して受領書を交付する場所、他の建設工事で利用する場所、国に登録されたストックヤード、盛土利用などを行って再搬出しない土砂処分場などに搬出された場合は、最終搬出先確認の対象外とされています。実際の適用は搬出先の区分や契約条件を確認して判断します。
工事中は、計画数量、搬出済み数量、現場内利用量、仮置き量、残りの搬出予定量を定期的に照合します。計画より搬出量が増えている場合は、追加掘削、現場内利用量の減少、積算時の条件差などを確認します。
数量の差を放置すると、終盤になって搬出先の受入枠が不足したり、契約数量との不整合が発生したりします。一定量ごとに出来高を確認し、早い段階で発注者と共有することが重要です。
写真記録も有効です。掘削場所、土の状態、積込み状況、搬出車両、現場出入口、搬出先の入口、受領時の状況などを撮影しておくと、記録の裏付けになります。ただし、写真だけでは数量や搬出先を確定できないため、日時、位置、車両記録、受領書などと関連付けて管理します。
最終的には、計画書、変更記録、日々の搬出台帳、受領書、写真、測量結果、発注者との協議記録を一つの流れとして整理します。個別の書類が存在していても、相互の数量や日付が一致していなければ説明に時間がかかります。施工中から整合を確認することが、完成時の書類作成を軽減します。
残土搬出で起こりやすいトラブルと予防策
残土搬出で多いトラブルの一つが、実際の発生量が計画を上回ることです。設計数量だけで搬出先を確保していると、追加掘削が必要になった時点で受入枠が不足します。予備数量を設定し、数量増加時に誰へ報告するかを決めておくことが有効です。
次に多いのが、搬出先による受入停止です。雨天、場内整備、設備の不具合、受入容量の上限到達など、現場側では制御できない理由で停止することがあります。一日の停止でも仮置き場所が満杯になる現場では、掘削工程全体に影響します。
予防策としては、受入先の稼働状況を定期的に確認し、翌日の搬出台数を前日までに調整します。現場、運搬会社、搬出先の三者で情報が分断されると、受入停止を知らない車両が出発してしまうため、連絡担当者を一本化します。
土質不適合も注意が必要です。受入可能と確認していた土でも、木片や構造物片が混入していたり、想定以上に水分が多かったりすると、搬入を断られることがあります。積込み前に土の状態を確認し、異物を分別する作業場所を確保します。
異なる種類の土を同じ仮置き場所に積むと、良質土まで受入条件を満たさなくなる可能性があります。仮置き区画を分け、区画名や土の種類を現場内で表示しておくと、重機の担当者が交代しても混合を防ぎやすくなります。
運搬車両の待機列もトラブルになりやすい要素です。積込み能力を超える車両を手配すると、現場周辺の道路に車両が滞留します。近隣住民や農業関係者の通行を妨げるほか、交通事故の危険も高まります。
車両の到着時刻を分散し、場内に待機できる台数を明確にします。待機場所がない現場では、現場から離れた集合場所で時間調整を行うなど、道路上での待機を避ける運用が必要です。
道路への土砂持出しは、周辺からの苦情だけでなく、二輪車や歩行者の安全にも影響します。出入口の洗浄だけでなく、場内の排水、走行路の整備、積込み場所の地盤対策を行い、泥が付着しにくい環境をつくります。
指定外のルート走行にも注意します。運転者が交通混雑を避けようとして、集落内の狭い道路や通行を避けるべき農道へ入る場合があります。指定ルートを明確に示し、変更が必要なときは現場責任者の判断を受けるようにします。
搬出記録の不一致も完成時に問題になります。現場の車両台帳、運搬会社の運行記録、搬出先の受領数量が一致しない場合、どの数量を実績とするか確認が必要です。施工開始前に数量管理の基準を決め、定期的に照合します。
残土搬出のトラブルは、個別の担当者の注意だけでは防ぎきれません。数量、土質、搬出先、車両、天候、記録を日々更新し、関係者が同じ情報を見られる仕組みをつくることが重要です。
LRTK Phoneで搬出管理を見える化する
土地改良工事の残土搬出では、掘削範囲、仮置き場所、積込み位置、現場出入口、搬出先など、位置に関係する情報が多く発生します。これらを紙の図面と手書きの記録だけで管理すると、現場の変化を反映するまでに時間がかかります。
LRTK Phoneを活用すると、現場で取得した位置情報と写真を結び付け、どこで何を確認したかを記録しやすくなります。例えば、掘削前後の状況、土質が変化した位置、異物が見つかった場所、仮置き区画、出入口の清掃状況などを、位置付きの現場記録として残せます。
残土の発生範囲を現地で確認し、測位した位置を図面や地図上で共有すれば、設計上の掘削範囲と実際の施工範囲を比較しやすくなります。追加掘削が発生した場合も、その場所と理由を写真とともに整理できます。
仮置き場所では、土の区分ごとに位置を記録しておくと、どの区画にどの土を置いたかを共有できます。表土、埋戻し用土、搬出予定土などの区分が分かれば、重機担当者の交代時にも誤った積込みを防ぎやすくなります。
搬出先の入口、進入方向、待機場所、注意箇所などを位置付き情報として記録し、指定ルート図と合わせて共有する使い方も考えられます。運転者や現場担当者が事前に確認できれば、誤搬入や指定外ルートへの進入を減らしやすくなります。
残土数量の確認では、施工前後の地形情報を取得し、掘削範囲や仮置き土の形状を記録する方法があります。すべての条件で測量値だけから確定数量を求められるわけではありませんが、車両台帳や受領書と照合するための補助情報として役立ちます。
また、搬出状況を日ごとに撮影し、位置、日時、作業内容を関連付けておけば、後から写真を探す時間を減らせます。写真ファイル名だけで管理する場合と比べ、どの場所の記録かを地図上で確認しやすくなります。
現場で異常が見つかった場合にも、位置付きの記録が有効です。油臭、変色土、埋設物、湧水、想定外の軟弱土などを確認した位置を記録すれば、発注者や関係者へ状況を説明しやすくなります。
ただし、デジタル機器を導入するだけで搬出管理が完成するわけではありません。誰が記録するか、どのタイミングで共有するか、写真に何を写すか、数量台帳とどのように関連付けるかを決める必要があります。
残土搬出計画の中に記録ルールを組み込み、掘削、仮置き、積込み、搬出、受領確認までを同じ流れで管理することが重要です。現場の位置情報と施工記録を結び付けることで、搬出計画の変更や数量差の説明もしやすくなります。
まとめ
土地改良工事の残土処分で困らないためには、掘削開始前に搬出先を決めるだけでは不十分です。発生量と土質を把握し、現場内利用の可能性を検討したうえで、搬出先の受入条件、運搬車両、ルート、記録方法まで一体的に計画する必要があります。
最初に、設計数量だけでなく、追加掘削の可能性や土のほぐれ、現場内利用量を踏まえて搬出予定量を整理します。次に、表土や良質土を分け、埋戻しや盛土などに利用できる土を確保します。
場外へ搬出する土については、受入可能な土質、受入容量、受付時間、必要な手続を確認します。口頭での受入確認だけに頼らず、搬出先の所在地、管理者、受入目的、数量、受領方法を明確にすることが重要です。
運搬計画では、一日の掘削量と搬出能力を一致させます。農道や集落内道路の通行条件、農耕車両、通学時間、降雨後の路面状態など、土地改良工事特有の条件も反映します。
搬出後は、車両台帳、数量記録、受領書、写真、測量結果を整理し、計画した搬出先へ計画数量が運ばれたことを追跡できるようにします。搬出先や数量を変更した場合は、理由と協議内容を含めて記録します。
残土搬出は、掘削工程を支える重要な施工管理業務です。土が現場に滞留してから対策を考えるのではなく、数量、品質、場所、車両、記録を掘削前から管理することで、工程の停止や追加対応を防ぎやすくなります。
位置情報と写真、測量結果を現場で一体的に管理し、残土の発生場所から搬出記録までを見える化したい場合は、LRTK Phoneの活用を検討してください。