LRTKレフィクシア株式会社

12条点検で高架水槽架台の腐食とボルト緩みを調べる6箇所

12条点検で高架水槽架台を確認する意味

建物の屋上に設置された高架水槽は、建物内へ水を供給する設備の一部です。水槽本体だけでなく、水槽を支える鋼製架台、固定金物、柱脚、コンクリート基礎、屋上との接合部が健全でなければ、安定した支持状態を維持できません。

高架水槽は、水を貯めた状態では大きな重量になります。その荷重を継続して受ける架台に著しい腐食、断面欠損、接合部の緩み、部材の変形などが生じると、荷重の伝達状態や地震・強風時の安定性へ影響する可能性があります。ただし、外観上の錆だけで直ちに耐力不足と断定することはできません。腐食の位置、範囲、深さ、部材の役割、接合状態を整理して評価する必要があります。

建築基準法第12条に基づく定期報告制度では、一定の建築物や建築設備などについて、所有者または管理者が資格者に調査・検査を行わせ、その結果を特定行政庁へ報告します。対象となる用途、規模、設備、報告時期は、国の定めに加えて特定行政庁の指定や規則が関係するため、所在地ごとの確認が必要です。([国土交通省][1])

特定建築物の定期調査では、屋上や屋根にある機器・工作物について、本体や屋上との接合部の著しい錆・腐食、支持部分の緊結不良、緊結金物の著しい腐食、コンクリート基礎の著しいひび割れや欠損などが確認対象として示されています。高架水槽の架台も、設置状況や使用する調査結果表に応じて、屋上機器等の支持部分として確認されることがあります。([国土交通省][2])

一方、給水設備及び排水設備の定期検査では、給水タンク等の設置状況、腐食・漏水、タンクやポンプ等の取付け状況などが確認項目に含まれます。したがって、高架水槽では、特定建築物の定期調査と建築設備の定期検査の双方に関連する確認が生じる場合があります。どの報告区分で、どの範囲まで扱うかは、対象建物、設備の指定状況、特定行政庁の様式を確認して整理します。

定期報告制度の調査・検査内容は2025年7月1日にも見直しが施行されています。過去の報告書や古い様式だけを根拠にせず、調査年度に有効な告示、施行規則、特定行政庁の案内、調査結果表を確認することが重要です。

また、12条点検で架台や取付け状態を確認することと、水槽内部の清掃、水質管理、容量管理、給水機能の保守は同じ業務ではありません。定期調査や定期検査を実施したことだけを理由に、高架水槽設備全体の衛生管理や保守が完了したと判断しないようにします。

実務では、単に「錆あり」「ボルトあり」と記録するだけでは不十分です。どの部材のどの位置に、どのような異常があり、周囲の変形や漏水とどのように関係しているかを整理し、必要に応じて追加調査や改修へつなげます。

調査前に整理しておく資料と安全条件

高架水槽架台の調査では、屋上へ上がってから初めて設備の形を確認するのではなく、可能な範囲で事前資料を整理します。屋上平面図、架台の構造図、設備図、確認申請時の図書、改修履歴、塗装履歴、過去の定期調査・定期検査報告書、漏水や異音に関する記録などがあると、確認箇所を絞り込みやすくなります。

架台の構造図が残っている場合は、柱、梁、ブレース、接合プレート、柱脚、アンカーボルトの位置を確認します。図面と現況が一致しているとは限らないため、現地では増設材、撤去跡、補強材、使用されていない金物、後付けの配管支持材なども確認します。

過去の写真がある場合は、同じ位置を同じ方向から撮影できるように準備します。腐食は一度の調査だけでは進行の有無を判断しにくいため、前回との比較が有効です。前回は塗膜の変色だけだった部分が、今回は膨れや剥離に進んでいることもあります。補修後に再発していない場合は、補修範囲と原因対策が適切だったかを確認する材料になります。

屋上での調査には、転落、滑り、つまずき、熱中症、強風、雷、落下物などの危険があります。屋上出入口、昇降設備、手すり、立入禁止範囲、作業床の状態を事前に確認し、安全を確保できない場所には無理に近づかないことが原則です。

架台の下に配管、ケーブル、防水設備などが密集している場合は、足を置ける場所が限られます。対象部へ近づくことを優先しすぎると、配管を踏む、防水層を傷つける、固定されていない部材へ体重を掛けるといった二次的な事故につながります。調査できた範囲と調査できなかった範囲を明確に分け、未確認部分と理由を記録します。

テストハンマーなどを使用する場合も、すべての部材を強く打撃すればよいわけではありません。腐食した薄板、配管、樹脂製水槽、シール材、防水層などを損傷させないよう、対象の材質と状態に応じて目視、触診、軽い打診などを選びます。

従来の目視に代えて可視カメラやセンサーなどを使用する場合は、単に撮影できることではなく、対象部位の状態を必要な精度で確認できる方法かを資格者が判断します。定期報告制度では、目視に類する方法として新技術を活用できる方向が示されていますが、撮影条件、死角、解像度、記録方法を含めて適切性を確認する必要があります。([国土交通省][3])

水槽が満水に近いか、低い水位かによって架台に作用する荷重は変わります。調査時の水位が把握できる場合は記録しておくと、変形や振動を検討する際の参考になります。ただし、12条点検のために無断で水槽を排水したり、給水系統を停止したりしてはいけません。設備管理者と調整し、建物利用への影響を確認して作業します。

1箇所目は水槽直下の受け材と固定部

最初に確認したいのは、水槽の荷重を直接受ける架台上部の受け材です。水槽底部を支える梁、受け台、支持金具、固定バンドなどは、水槽の重量が最初に伝わる重要な部分です。

この部分は水槽本体に隠れやすく、屋上面から見上げるだけでは全体を確認できないことがあります。特に受け材の上面、水槽との接触面、部材の重なり、固定金具の裏側は、水分や汚れが滞留しやすい場所です。

水槽表面の結露、配管接続部からのにじみ、オーバーフロー管や排水管からの水滴により、同じ位置が繰り返し濡れることがあります。塗膜の傷や端部から水分が入り込むと、局部的な腐食が進む可能性があります。

確認時には、塗膜の膨れ、剥離、赤錆、錆汁、層状に浮いた腐食生成物、局部的なくぼみ、孔食が疑われる部分を見ます。錆が表面に広がっているだけなのか、鋼材の厚さが減るほど進行している疑いがあるのかを区別することが重要です。

正面からは塗膜の変色程度にしか見えなくても、受け材の端部や接触部で腐食が進んでいる場合があります。安全に確認できる範囲で斜め方向や反対側から見て、死角は鏡や可視カメラなどの利用を検討します。確認できない部分を推測で健全とせず、未確認として残します。

水槽と架台を固定する金物がある場合は、固定位置のずれ、金物の変形、ボルトの欠落、ナットの浮き、長穴内での移動跡、周囲の擦れ跡などを確認します。新しい金属光沢や塗膜の摩耗がある場合は、部材同士が動いた可能性があります。

ただし、水槽の固定方法には複数の形式があります。見える隙間があるからといって直ちに施工不良とは限りません。温度変化や材質の特性を考慮した納まりである可能性もあるため、構造図や設備仕様を確認せずに隙間を埋めたり、ボルトを追加したりしないことが重要です。

水槽直下で漏水跡が見つかった場合は、架台の腐食だけでなく、漏水の発生源を整理します。水槽本体、オーバーフロー管、排水管、給水管、継手、結露など、原因によって必要な対応は異なります。架台の塗装だけを補修しても、水分の供給が続けば腐食が再発する可能性があります。

2箇所目は架台の支柱と部材端部

支柱は、水槽と架台上部から伝わる荷重を柱脚へ流す主要な部材です。支柱の中央部だけでなく、上端、下端、接合部付近を重点的に確認します。

鋼製支柱では、雨水や漏水が流れ落ちる経路に沿って錆汁の筋が生じることがあります。錆汁が見える場合は、その上方に水の侵入源、塗膜の欠損、部材内部からの流出がないかを追います。表面の汚れだけを拭き取っても、発生源を確認しなければ原因は分かりません。

支柱の下端は、水分や汚れが滞留しやすい場所です。柱脚を覆うモルタル、シール材、塗装などがある場合、その境界から水が入り込むことがあります。塗膜が残っていても、膨れや浮きがある場合は内部の腐食を疑います。

角形鋼管、溝形鋼、山形鋼などでは、内側や凹部に水が残ることがあります。開口部のふさぎ材が外れている、排水穴が詰まっている、後付け金物で排水経路が塞がれているといった状態がないかを確認します。

腐食だけでなく、支柱の曲がり、局部的なへこみ、ねじれ、傾きも見ます。過去の工事、資材の衝突、地震、強風などが関係している可能性があります。支柱が垂直に見えない場合は、架台全体の傾きなのか、特定部材だけの変形なのかを分けて記録します。

変形部の近くに塗膜の割れ、新しい金属面、ボルト穴周囲の擦れがある場合は、比較的新しい動きが生じた可能性があります。変形が古く見えても、荷重の伝達に関係する位置であれば、図面照合や専門的な検討が必要です。

支柱に配管やケーブルが固定されている場合は、その金物周囲も確認します。異なる金属が直接接触する部分、結束材が食い込む部分、保温材から水が伝わる部分では、局部的な腐食が生じることがあります。

後付けの穴あけや溶接跡も重要です。設備改修で架台へ支持金物を追加し、主要部材へ穴や溶接が加えられていることがあります。変更の目的や設計確認の有無が不明な場合は、写真と位置を記録し、管理者へ経緯を確認します。

3箇所目は梁・ブレース・接合プレート

梁は水槽から受けた荷重を支柱へ伝え、ブレースは架台の横揺れや変形を抑える役割を持ちます。細い部材に見えるブレースでも、架台全体の安定に関係するため、欠損や接合不良を軽視できません。

梁では上面、下面、端部、接合部を確認します。上面には水や粉じんがたまりやすく、下面には上部から流れた錆汁が現れることがあります。梁端部が接合プレートで覆われている場合は、重なり部分の隙間に水分が残りやすくなります。

ブレースでは、部材中央の腐食だけでなく、両端の固定部を重点的に見ます。ブレース本体が健全でも、端部のボルト、プレート、溶接部が劣化していれば、本来の働きを十分に発揮できない可能性があります。

ブレースが曲がっている、たるんでいる、他の部材と接触している場合は、位置と程度を記録します。施工時からの納まりである可能性もありますが、接合部の移動や外力で変形した可能性もあるため、過去写真や図面と比較します。

交差するブレース同士が接触している部分では、振動により塗膜が摩耗することがあります。塗膜が擦れて鋼材が露出すると、その位置から腐食が進む可能性があります。接触部に錆粉、擦れ跡、新しい金属面がないかを確認します。

接合プレートでは、縁部の腐食、板の浮き、変形、割れ、ボルト穴周囲の異常を見ます。板同士の隙間から錆汁が出ている場合は、重なり部分の内部で腐食が進んでいる可能性があります。

溶接部では、溶接線だけでなく、その周囲の塗膜割れや錆を確認します。線状の割れが疑われる場合や溶接部の形状が不連続に見える場合は、現場判断で削ったり強く打撃したりせず、専門的な追加調査へつなげます。

接合プレートやブレースの一部だけが新しく塗装されている場合は、過去に補修された可能性があります。補修履歴が残っていなければ、塗装範囲、色の違い、部材交換の形跡、周囲の再発状況を記録します。

4箇所目は接合ボルト・ナット・座金

高架水槽架台では、梁、支柱、ブレース、接合プレートなどをボルトで接合していることがあります。ボルトの緩みや欠落は、部材間の力の伝達へ影響する可能性があるため、接合部ごとに位置関係を確認します。

まず確認するのは、ボルト、ナット、座金が必要な位置にそろっているかです。ボルトが残っていてもナットがない、座金が片側だけない、同じ接合部の一部だけ異なる部品が使われているといった状態がないかを見ます。

ナットと接合面の間に隙間がないか、座金が浮いていないか、ナットが傾いていないかも確認します。座金の一部だけが接触している場合は、プレートの変形、異物の挟まり、ボルト穴のずれなどが関係している可能性があります。

施工時や保守時の合いマークが付いている場合は、線のずれを確認します。ただし、マーキングがないこと自体を異常とは判断しません。新たにマーキングを行う場合も、管理方法と基準を決めたうえで実施します。

ボルト周囲の錆粉、塗膜の割れ、擦れ跡も緩みや相対移動の手掛かりになります。接合面がわずかに動くと、塗膜が摩耗し、粉状の錆が生じることがあります。ボルト穴が広がって見える場合やプレートのずれがある場合は、周囲の変形と合わせて確認します。

ねじ山の露出状態も見ます。同じ接合部の中で一本だけ露出長さが大きく異なる場合は、ボルトの長さや締結状態が異なる可能性があります。ただし、露出長さだけで緩みを断定せず、図面、仕様、過去写真と照合します。

腐食が進んだボルトでは、頭部やナットの角が失われ、工具を掛けにくい状態になることがあります。軸部の断面減少が疑われる、層状の錆がある、座金と一体化して見える場合は、表面処理だけでよいか、交換や詳細調査が必要かを検討します。

緩んでいるように見えるボルトを発見しても、許可なくその場で締め直すことは避けます。接合方法によっては、定められた締付け方法、締付け順序、使用部品の組合せが必要です。著しく腐食したボルトは、増し締めによって破断するおそれもあります。

緩みが疑われる場合は、対象位置、部材名称、ボルト本数、ナットや座金の状態、周囲の変形、腐食状況を記録し、構造や施工に詳しい専門者へ確認を依頼します。「増し締め済み」で終わらせず、緩みや移動が生じた原因まで検討することが大切です。

5箇所目は柱脚・ベースプレート・アンカーボルト

柱脚は、架台の荷重をコンクリート基礎や建物側へ伝える重要な部分です。水分が集まりやすく、鋼材、アンカーボルト、モルタル、コンクリートが接するため、複数の劣化が同時に生じることがあります。

ベースプレート上面では、支柱との接合部、四隅、アンカーボルト周囲を確認します。上面に水がたまる状態では塗膜が劣化しやすくなります。土や落ち葉が堆積していると濡れた状態が長く続き、腐食範囲を確認しにくくなります。

ベースプレート端部から錆汁が出ている場合は、下面やモルタルとの境界で腐食している可能性があります。見える上面が比較的きれいでも、下面の状態を推測だけで健全と判断しないようにします。

プレートが浮いて見える、モルタルとの間に隙間がある、隙間へ水が入っている場合は、位置と範囲を記録します。充填材の収縮による隙間なのか、柱脚の移動や基礎の変形が関係しているのかは、他の柱脚と比較して判断します。

アンカーボルトでは、露出部分の腐食、ナットの緩み、座金の浮き、ねじ山の損傷、欠落を確認します。ボルト根元に錆が集中している場合は、コンクリートやモルタルとの境界から水分が入っている可能性があります。

アンカーボルト周囲のコンクリートに放射状のひび割れや欠損がある場合は、単なる表面劣化として扱わず、基礎との一体性や定着部への影響を検討します。錆汁を伴うひび割れでは、内部金物の腐食が関係している可能性があります。

ナットが著しく腐食している、アンカーボルトの断面減少が疑われる、座金が変形している、複数本のうち一部が欠落している場合は、早めの安全確認が必要です。架台全体が傾いて見える場合は、一つの柱脚だけでなく、すべての柱脚を比較します。

柱脚周囲をシール材やモルタルで覆った補修跡がある場合は、その境界の割れや剥離も確認します。腐食部を覆うだけの補修では、内部に水分が残ることがあります。補修材が新しいという理由だけで、内部まで健全と判断しないことが重要です。

6箇所目はコンクリート基礎と屋上接合部

架台の鋼材が健全でも、それを支えるコンクリート基礎や屋上との接合部に問題があれば、架台全体の安定性へ影響します。基礎、屋上防水、排水状況を関連づけて確認します。

コンクリート基礎では、ひび割れ、欠損、浮き、剥離、鉄筋の露出、錆汁、沈下の兆候を確認します。角部が欠けている場合は、欠損の深さとアンカーボルト位置の関係を見ます。

細いひび割れがすべて危険というわけではありませんが、位置、方向、幅、長さ、錆汁の有無、前回からの変化を記録することが重要です。柱脚を囲むひび割れや、アンカーボルトから外側へ伸びるひび割れは、周囲の浮きや欠損も含めて確認します。

基礎が複数ある場合は、高さや傾きに差がないかを比較します。一部の基礎だけが沈下していると、架台にねじれや偏った荷重が生じる可能性があります。支柱やブレースの変形が同時に見つかった場合は、個別の損傷として切り離さず、関連を検討します。

屋上防水との取り合いでは、防水層の立ち上がり、シール材、保護材の割れや剥離を確認します。基礎周囲に水がたまると、鋼材の腐食だけでなく、防水層の劣化や漏水につながる可能性があります。

排水口までの水の流れも見ます。架台基礎や配管支持材で排水経路が塞がれていると、降雨後に水が長く残ります。土、落ち葉、鳥の羽、工事資材などが排水を妨げていないかを確認します。

架台周囲に不要な物品が置かれていると、部材を確認できないだけでなく、湿気や汚れがたまりやすくなります。資材を架台へ立て掛けると、塗膜の傷や局部的な変形につながる可能性もあります。

高架水槽からの排水やオーバーフロー水が基礎付近へ直接流れている場合は、排水経路を確認します。排水管の外れ、支持金物の緩み、継手からの漏れによって、基礎が繰り返し濡れていることがあります。

腐食の原因が防水不良や排水不良にある場合、架台だけを再塗装しても再発する可能性があります。鋼材補修、防水補修、排水改善を関連づけて検討します。

腐食とボルト緩みを見落とさない記録方法

高架水槽架台の調査記録では、異常の有無だけでなく、位置と状態を第三者が再現できるように残します。調査した本人にしか分からない記録では、補修業者への引き継ぎや次回調査との比較が難しくなります。

写真は、架台全体が分かる全景、部材の位置関係が分かる中景、異常部分の接写を組み合わせます。接写だけでは、どの柱のどの面を撮影したのか分からなくなるためです。

架台の支柱に管理番号がない場合は、屋上出入口側、方位、建物の基準位置などを使って区別します。「北東側支柱の下端」「屋上出入口側ブレースの上端」といった位置表現を統一すると、再確認しやすくなります。

腐食を撮影するときは、大きさが分かる尺度を安全な方法で添えます。ただし、浮いた錆へ無理に物差しを押し当てると、錆片が落下したり、手を負傷したりすることがあります。安全な距離を保ちながら記録します。

記録文では、「錆あり」だけで終わらせず、表面錆、塗膜剥離、膨れ、層状腐食、孔食、断面欠損の疑いなど、観察できた状態を具体的に書きます。断面欠損量を測定していない場合は数値を推測せず、「断面欠損が疑われる」と記載して追加調査の必要性を示します。

ボルトについても、「緩み」と断定できる根拠を整理します。ナットの浮き、座金との隙間、合いマークのずれ、周囲の擦れ跡、ボルト穴の変形など、確認した事実を書きます。工具による確認をしていない場合は、外観上の緩みの兆候として記録します。

同じ種類の異常が複数箇所にある場合も、代表写真一枚だけで済ませないようにします。補修数量や優先順位を判断するには、異常が集中している位置と分散している位置を把握する必要があります。

調査できなかった箇所は、未確認であることと理由を記録します。水槽との隙間が狭い、作業床がない、転落防止措置を確保できない、配管で遮られているといった理由を残せば、追加調査の計画を立てやすくなります。

前回記録との比較では、腐食範囲の拡大、塗膜剥離の進行、ひび割れの延長、ナット位置の変化などを確認します。撮影方向や距離をそろえると、変化を把握しやすくなります。

調査結果図には、異常箇所の位置と写真番号を対応させます。写真、図面、所見が別々に管理されていると、報告書を受け取った担当者が位置を特定できません。一つの識別番号で写真、所見、補修記録を関連づけます。

指摘後の応急対応と改修判断

調査で異常が見つかった場合は、すべてを同じ緊急度で扱うのではなく、状態に応じて対応を整理します。ただし、法定報告上の判定は、調査年度に使用する結果表と資格者の判断に従います。

著しい断面欠損、部材の破断、溶接部の割れ、接合ボルトの欠落、複数箇所の明らかな緊結不良、アンカーボルト周囲の大きな欠損、架台の傾きなどが確認された場合は、早急に安全性を確認します。

落下する可能性のある錆片や金物がある場合は、架台直下や周辺への立入りを制限します。ただし、危険箇所へ無理に近づいて除去するのではなく、足場や墜落防止措置を含む安全な作業方法を計画します。

腐食部へ錆止め塗料を塗るだけでは、失われた断面は回復しません。塗装補修の前に、浮き錆や旧塗膜の状態を確認し、必要に応じて残存板厚の測定、部材交換、補強の要否を検討します。

ボルトの交換や増し締めも、対象接合部の仕様を確認して実施します。外観が似ているボルトでも、材質、径、長さ、強度区分、締付け方法が同じとは限りません。既存接合部の一部だけを異なる仕様へ交換すると、性能がそろわない可能性があります。

アンカーボルトが腐食している場合は、露出部だけでなく、コンクリートやモルタルとの境界、埋込み部の状態も検討します。表面だけを新しいナットで覆っても、根元の断面が失われていれば十分な対策になりません。

腐食原因が漏水や滞水である場合は、原因を先に、または鋼材補修と同時に改善します。排水管の外れや防水不良を残したまま再塗装しても、同じ位置が濡れ続けます。

改修後は、完了写真、使用材料、交換部材、施工範囲、締付け管理、補修原因を記録します。補修前の写真と対応させ、どの異常に対して何を行ったのかを明確にします。

外観上の応急措置を行った場合も、それだけで対応完了としないようにします。支持部材の健全性を確認できていない場合は、追加調査や恒久対策の期限、責任者、確認方法を決めて管理します。

高架水槽架台を継続的に管理するポイント

高架水槽架台の劣化は、12条点検の実施時だけに生じるものではありません。日常点検、設備保守、屋上防水の確認、法定の定期調査・定期検査をつなげることで、異常を早期に把握しやすくなります。

設備担当者が水槽周辺で漏水や錆汁を見つけた場合は、次回の法定報告まで放置せず、建物管理担当者へ共有します。架台から異音がする、強風時の揺れが以前より大きく見える、床面へ錆片が落ちているといった変化も記録します。

屋上で別工事を行う場合は、架台への穴あけ、溶接、物品の固定、塗膜の損傷がないかを確認します。工事完了時の写真を残し、架台へ変更を加えた場合は図面や台帳へ反映します。

塗装履歴には、施工年月だけでなく、素地調整の方法、塗装範囲、腐食が強かった位置、漏水対策の有無を残します。同じ位置で短期間に錆が再発する場合は、塗装仕様だけでなく、漏水、結露、排水、部材の重なりに原因がないかを確認します。

水槽や配管を更新した際は、架台に作用する荷重や固定方法が変わっていないかにも注意します。外形が似ていても、容量、満水重量、支持位置、重心位置が異なる可能性があります。既存架台を流用する場合は、必要に応じて設計者や構造の専門者へ確認します。

記録は担当者個人の端末や紙だけに残さず、建物単位で引き継げるように管理します。所有者、管理会社、設備担当者、調査資格者、補修業者が変わっても、過去の状態と対応履歴を確認できる環境が必要です。

高架水槽架台は屋上の目立たない場所にあり、日常的に利用者の目へ触れにくい設備です。定期調査や定期検査を単なる報告書作成の機会にせず、過去記録を更新し、次の保全計画へつなげることが重要です。

まとめ

12条点検で高架水槽架台を確認するときは、水槽直下の受け材、支柱、梁とブレース、接合ボルト、柱脚、コンクリート基礎と屋上接合部の6箇所を関連づけて見ます。

腐食は、見えている錆の広さだけでは評価できません。塗膜の膨れ、重なり部分からの錆汁、層状腐食、断面欠損の疑い、部材の変形などを確認し、荷重を支える部分への影響を整理します。

ボルトの緩みも、ナットの位置だけで判断せず、座金の浮き、接合面の隙間、擦れ跡、ボルト穴の変形、周囲の部材のずれを合わせて確認します。異常が疑われても、その場で安易に増し締めせず、接合仕様と部材の状態を確認して対応します。

架台の腐食だけを補修しても、漏水、結露、滞水、防水不良が残っていれば再発する可能性があります。鋼材、ボルト、基礎、防水、排水を一体として管理することが、長期的な安全確保につながります。

調査写真には全景、位置関係、接写をそろえ、図面上の位置と対応させます。前回と同じ方向から撮影し、未確認範囲と補修履歴まで残すことで、劣化の進行と対策の効果を判断しやすくなります。

最終的な調査項目、判定、報告区分、追加調査の要否は、建物所在地の特定行政庁が示す最新の案内と、資格者の判断に基づいて整理してください。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

LRTK Phoneの使い方・実例を見る
資料請求導入相談
現場をスマホで3DスキャンLRTK Phone実例を見る