LRTKレフィクシア株式会社

善意の基準局掲示板のRTCM形式を確認する6つのチェック項目

善意の基準局掲示板でRTCM形式を確認する理由

善意の基準局掲示板は、個人や事業者などが公開しているGNSS基準局を探す際に役立つ情報源です。現場の近くに利用可能な基準局があれば、RTK測位に必要な補正情報を受信する選択肢の一つになります。しかし、掲示板上で基準局を見つけたからといって、その局が自分の移動局ですぐに利用できるとは限りません。

特に確認したいのがRTCM形式です。RTCMは、基準局から移動局へGNSSの観測情報や基準局に関する情報などを伝えるために広く使われているデータ形式です。RTK測位では、移動局が基準局と共通して観測した衛星信号を利用しながら、搬送波位相などを処理して高精度な位置を求めます。そのため、基準局から必要な情報が適切な形式で届いていることが重要です。

ここで注意したいのは、掲示板に「RTCM3」などと記載されていても、それだけでは配信内容のすべてを判断できないことです。RTCM 3系の中には複数のメッセージタイプがあり、基準局座標を示す情報、各衛星の観測情報、アンテナに関する情報などがそれぞれ異なるメッセージとして送られます。

また、基準局が複数の衛星測位システムを受信できる設備であっても、そのすべてがRTCMとして出力されているとは限りません。移動局側が多くの衛星を受信していても、基準局との共通観測として利用できる衛星や信号が少なければ、RTK固定解に移行しにくくなる場合があります。

さらに、善意で公開されている基準局は、設備構成、座標の決定方法、配信設定、メンテナンス方法、稼働時間などが局ごとに異なる可能性があります。常時運用が保証されているとは限らず、設定変更や設備停止が発生することも想定しておく必要があります。

そのため実務では、「掲示板に載っている」「RTCM3と書かれている」「接続できた」という三つだけで判断せず、RTCMの中身から実際の測位結果まで段階的に確認することが重要です。

以下では、善意の基準局掲示板から利用候補を選ぶ際に確認したい6つの項目を順番に解説します。

チェック1 RTCMの世代と形式を確認する

最初に確認したいのは、基準局が配信しているRTCMの形式です。

現在のRTK測位ではRTCM 3系のデータが広く利用されています。掲示板にデータ形式の記載がある場合は、まず移動局が対応できるRTCM形式と一致しているかを確認します。

ただし、「RTCM3」という表記は確認の出発点であり、最終判断ではありません。

RTCM 3系には複数のメッセージがあり、どの情報を送るかは配信側の設定によって異なります。同じRTCM 3系であっても、ある基準局では複数の衛星系の観測データを送っている一方、別の基準局では限定された衛星系だけを配信していることがあります。

また、移動局側にも対応範囲があります。RTCM 3系の入力に対応していたとしても、すべてのメッセージタイプやすべての衛星信号を利用できるとは限りません。したがって基準局と移動局の両方を確認する必要があります。

実務で避けたいのは、「RTCM3と表示されているから、この基準局なら必ずFIXする」と考えることです。RTCMは補正情報をやり取りするための形式であり、FIXの成否にはほかにも衛星配置、共通衛星数、周囲の遮蔽物、通信状態、基準局までの距離など複数の要素が関係します。

まずRTCM形式を確認し、それから配信されているメッセージ内容へ進むという順番にすると、確認作業を整理しやすくなります。

過去に同じ基準局へ接続できた実績がある場合でも、現在の設定が同じとは限りません。配信側で設備更新や設定変更が行われれば、RTCMの出力内容が変わることがあります。重要な作業で使用する場合は、過去の実績だけに頼らず、作業前に現在の受信状況を確認することが望ましいです。

チェック2 配信されるRTCMメッセージタイプを確認する

2つ目のチェック項目は、RTCMの中で実際にどのメッセージタイプが送られているかです。

RTCM 3系では、一つのデータストリームの中に役割の異なる複数のメッセージを含めることができます。そのため、RTCM3という形式名だけを確認するより、可能であればメッセージタイプまで把握したほうが適合性を判断しやすくなります。

代表的なものとして、1005や1006と呼ばれるメッセージがあります。これらは固定基準局の基準となる位置情報を伝えるために利用されます。1006では1005に含まれる情報に加えてアンテナ高に関する情報が含まれる構成になっています。

一方、GNSSの観測データにはMSMと呼ばれる形式が利用されます。MSMは複数の衛星測位システムや複数信号に対応するためのメッセージ群で、MSM4、MSM5、MSM6、MSM7など、含まれる情報の内容や分解能が異なる形式があります。

ここで重要なのは、数字が大きければ必ず現場に適しているという単純な関係ではないことです。実務では、基準局から送られているメッセージを移動局側が適切に利用できることが重要です。

また、すべてのメッセージが同じ周期で送信されるとは限りません。GNSSの観測データは比較的短い周期で送られ、基準局やアンテナに関する情報はそれより低い頻度で送られる構成もあります。

そのためRTCM内容を調べる場合、受信開始直後の一瞬だけを見るのではなく、一定時間継続して確認することが大切です。短時間では確認できなかったメッセージが、しばらく待つと受信されることがあります。

現場で「通信量は増えているのにFIXしない」という状況になった場合にも、メッセージタイプの確認は役立ちます。データが届いているからといって、RTK計算に必要な観測情報が十分に含まれているとは限らないためです。

反対に、必要なメッセージが正常に受信されていることが確認できれば、次は衛星系、信号、周囲環境、基準局までの距離など別の要因へ確認を進められます。

RTCMメッセージタイプは難しそうに見えますが、すべての番号を暗記する必要はありません。実務では、基準局位置に関係する情報があるか、観測データが継続して届いているか、利用したい衛星系のメッセージが含まれているかという視点で確認すると整理しやすくなります。

チェック3 対応する衛星系と信号の組み合わせを確認する

3つ目は、基準局から配信されている衛星系と信号の組み合わせを確認することです。

現在のGNSS測位では、一つの衛星測位システムだけでなく、複数の衛星系を利用することで、観測できる衛星数を増やしやすくなります。さらに複数の周波数帯の信号を利用することで、RTK測位の処理に有利な条件を確保できる場合があります。

ただし、移動局が受信できる衛星すべてをRTK計算に使えるわけではありません。基準局と移動局の両方が観測し、さらに基準局からその観測情報がRTCMとして送られている必要があります。

たとえば移動局の画面上では多くの衛星を受信しているように見えても、基準局から送られている観測情報が限定されていれば、RTK処理で利用できる共通衛星数は少なくなることがあります。

この違いは、上空条件が厳しい場所で特に重要です。

周囲に高い建物がある場所、樹木が密集した場所、山や法面の近く、橋梁や高架構造物の周辺、構造物に囲まれた場所では、空の一部が遮られます。さらに建物や金属構造物の近くでは、衛星信号が反射して受信されるマルチパスの影響も考慮する必要があります。

上空の開けた場所であれば十分な共通衛星を確保できる基準局でも、遮蔽物の多い現場では利用できる衛星が減り、固定解への移行に時間がかかる場合があります。

善意の基準局掲示板で候補局を選ぶ際は、単純な位置の近さだけでなく、実際に接続したときの共通衛星数や測位状態を見ることが大切です。

また、「衛星数が多いほど必ず精度が高い」と断定することもできません。衛星数は重要な要素ですが、衛星の配置、信号品質、遮蔽、反射などによって結果は変わります。利用衛星数が十分であっても、一方向に衛星が偏っている場合などは測位条件が悪化する可能性があります。

したがって3つ目のチェックでは、基準局がどの衛星系を配信しているかだけで終わらせず、移動局側で実際にどの程度の共通観測が成立しているかまで確認することがポイントです。

チェック4 RTCM形式と配信条件を分けて確認する

4つ目のチェックでは、RTCMというデータ形式と、補正データを届けるための配信条件を分けて考えます。

RTCMが「何を送るか」を表すデータ形式だとすれば、インターネット経由の配信は「どのように届けるか」に関する仕組みです。この二つを混同すると、トラブルの原因を間違って判断しやすくなります。

善意の基準局を利用する場合には、一般に接続先のアドレス、ポート番号、配信先を識別する名称、必要に応じた認証情報などが設定項目になります。これらのどれかが誤っていると、RTCMの中身を確認する以前にデータを受信できません。

したがって、接続できない場合は最初からRTCMの互換性を疑うのではなく、通信経路を順番に確認します。

まず現場端末がインターネットへ接続できているかを確認します。次に補正情報の配信先まで接続できているかを確認します。その後でRTCMデータが実際に流れているかを確認します。

データが継続して受信できていることが分かった後に、RTCMの内容や測位状態を確認します。

この順番にすると、「通信が成立していない状態」と「補正情報を受信しているがFIXしない状態」を分けて考えられます。

現場では通信品質も一定とは限りません。作業開始時には正常でも、移動によって電波状況が悪化する場合があります。また、一時的な通信断が発生することも考えられます。

補正情報の受信が途切れれば、一定時間後にRTK測位状態へ影響する可能性があります。そのため、測位状態が急に変わった場合には上空環境だけでなく補正情報の更新状況も確認するとよいでしょう。

掲示板の接続情報を設定するときには、数字や文字を手入力することで誤りが発生することもあります。接続できないときに基準局そのものを疑う前に、入力内容を一項目ずつ確認することも大切です。

RTCM形式が正しいかどうかと、RTCMを安定して受信できるかどうかは別の問題です。両方を確認して初めて、現場で継続的に利用できる補正環境か判断できます。

チェック5 基準局座標とアンテナ情報を確認する

5つ目は、基準局に設定されている座標とアンテナ情報の確認です。

ここは高精度測位を成果として利用する場合に特に重要です。

RTKで固定解になったという表示は、整数アンビギュイティが固定された測位状態を示すものであって、基準局に設定された絶対座標が目的に対して正しいことまで自動的に保証するものではありません。

RTKでは基準局の位置を基準に移動局位置が求められます。そのため、基準局に設定されている座標に一定のずれがあれば、移動局で求めた座標にもその影響が現れる可能性があります。

善意で公開されている基準局の場合、基準局座標をどのような方法で決定しているかは設置者によって異なる可能性があります。長時間観測を利用して決定している場合もあれば、別の方法で設定されていることも考えられます。

したがって、境界確認や施工基準、高さ管理など、既存の座標との整合が重要になる用途では、基準局座標の扱いを確認する必要があります。

可能であれば、現場周辺の既知点を観測して既知座標との差を確認します。

ここで一度だけ測って差が小さいから問題ないと判断するより、時間を変えた再観測や再初期化後の観測も行い、再現性を見るほうが確実です。複数回の結果が近くても既知座標から一定量ずれている場合は、基準局座標、座標系、測地基準、高さの扱いなどを確認する必要があります。

高さについては特に注意が必要です。

GNSSで求められる高さと、現場で一般的に使われる標高がそのまま同じ値になるとは限りません。どの高さを表示しているのか、必要な変換が適用されているのか、成果として必要な高さ基準と一致しているのかを確認する必要があります。

また、アンテナ高を扱う場合には、どこからどこまでを測っているかを統一しなければなりません。アンテナの基準点と実際に入力するアンテナ高の定義が食い違えば、高さ方向を中心に測位成果へ影響する可能性があります。

RTCMの1005や1006などに含まれる基準局情報を理解することは、この切り分けにも役立ちます。

重要なのは、「FIXしているから正しい」という判断ではなく、「FIXした結果が業務で必要な座標基準と整合しているか」を確認することです。

チェック6 実際の移動局で受信状態とFIXを確認する

6つ目は、実際に使用する移動局で基準局へ接続し、測位状態を確認することです。

ここまでRTCM形式やメッセージ、衛星系、通信条件、基準局座標を確認してきましたが、最終的な利用可否は実際の測位結果で判断します。

まず、補正情報が継続して受信できているかを確認します。

接続直後だけデータが届いていても、その後停止している場合は安定した運用にはつながりません。補正情報の経過時間や更新状態を確認できる場合は、値が適切に更新されているかを見ます。

次に測位状態を確認します。

RTK測位では、固定解、浮動解、補正を十分に利用できていない状態など、複数の測位状態があります。現場で高精度な位置を記録する場合には、単に何らかの座標が表示されていることではなく、どの測位状態で取得した値なのかを確認する必要があります。

固定解になった場合も、それだけで試験を終えないことが大切です。

FIXするまでに極端に長い時間がかかっていないか、FIX後に短時間で解除されないか、少し移動したあとに再び固定解へ戻れるかなどを観察します。

さらに同じ地点を複数回観測し、再現性を確認します。

一度FIXした状態で連続的に値を見るだけでなく、いったん場所を移動したり測位を再初期化したりしてから、同じ点をもう一度測ります。その結果が大きく変化しないかを確認することで、一回の表示だけに依存しない評価ができます。

試験を行う場所も重要です。

最初はできるだけ上空が開けた場所で確認します。ここで安定してFIXできなければ、RTCMや接続条件、基準局までの距離などを疑いやすくなります。

開けた場所で正常に測位できた後、実際の作業場所へ移動します。そこで状態が悪化した場合には、建物、樹木、法面、橋梁などによる衛星遮蔽やマルチパスの影響を考えます。

このように試験地点を分けることで、補正情報側の問題と現場環境側の問題を切り分けやすくなります。

RTCM3と表示されていても同じ条件とは限らない

善意の基準局掲示板を使う担当者が特に覚えておきたいのは、RTCM3という表示が同じでも、すべての基準局を同じ条件として扱うことはできないという点です。

RTCM3は大きな形式の区分です。その中でどのメッセージを送るか、どの衛星系を対象とするか、どの信号を含めるか、どの周期で情報を配信するかは基準局側の設定によって変わります。

そのため、基準局Aでは短時間で安定してFIXした移動局が、基準局Bでも同じ結果になるとは限りません。

また、配信内容以外にも基準局座標や基準局までの距離が異なります。基準局側の上空環境も同じではありません。

RTKでは基準局側でも良好な衛星観測が必要です。移動局の上空が開けていても、基準局側で衛星信号が遮られたり反射の影響を受けたりしていれば、観測品質へ影響する可能性があります。

善意の基準局を比較するときには、「RTCM形式」「配信内容」「通信状態」「基準局位置」「基準局までの距離」「実測結果」を分けて確認することが重要です。

これらを一つずつ確認すると、FIXしない場合にも原因を整理しやすくなります。

基準局までの距離だけで選ばない

掲示板上で複数の基準局を見つけた場合、多くの担当者が最初に比較するのが現場から基準局までの距離です。

距離は重要です。RTKでは基準局と移動局が離れるほど、両地点での大気の影響などが同じとみなしにくくなり、固定解の得やすさや測位結果に影響する場合があります。

そのため、ほかの条件が同じなら、より近い基準局を候補にする考え方には合理性があります。

ただし、距離だけで決めるのは適切ではありません。

最も近い基準局であっても、利用する移動局と対応する衛星系が少なかったり、必要なRTCMメッセージが十分に利用できなかったりすれば、別の基準局のほうが安定する可能性があります。

また、基準局自体の設置環境も重要です。基準局のアンテナ周辺に遮蔽物が多い場合は、観測環境の影響を受けることがあります。

通信の安定性もあります。近い基準局でも補正データが頻繁に途切れる状態では、現場運用に向かない場合があります。

したがって候補局が複数あるなら、距離だけで一つに絞り込まず、実際にそれぞれへ接続して比較する方法が有効です。

同じ地点で、できるだけ近い時間に、同じ条件で測位すると比較しやすくなります。FIXまでの時間、固定解の維持、利用衛星数、既知点との差、再観測時の再現性などを見ると、現場に適した基準局を判断する材料になります。

FIXしても座標が正しいとは限らない理由

RTKを使い始めた担当者が誤解しやすいのが、FIXという表示と座標の絶対的な正しさの関係です。

FIXは非常に重要な状態ですが、FIXになったことだけで、表示座標が目的とする座標基準に完全に一致していることを意味するわけではありません。

たとえば基準局の設定座標自体が目的とする基準からずれていれば、移動局はその基準局座標を前提にした位置を算出します。計算内部では高い再現性で固定解が得られていても、既知点と比較すると一定方向に差が見られることがあります。

また、座標系の設定が異なる場合もあります。

緯度、経度、高さとして取得したGNSS座標を平面座標へ変換する場合には、利用する座標系や変換条件を揃える必要があります。異なる条件で比較すれば、RTK測位そのものが正常でも数値が一致しません。

高さも同様です。

GNSS測位による高さを現場の標高として扱う場合には、使用している高さの種類や変換方法を確認する必要があります。高さだけ大きな差が生じるときは、アンテナ高だけでなく高さ基準についても確認します。

実務で重要なのは、測位状態と成果座標の確認を分けることです。

まずRTKとして安定してFIXできるかを確認します。その後、既知点や基準となる座標と比較し、現場で必要な座標基準に整合しているかを確認します。

この二段階を運用ルールにしておけば、「FIXだったからそのまま成果に使った」というトラブルを防ぎやすくなります。

善意の基準局を現場で使う前の確認手順

善意の基準局を初めて利用する場合は、確認する順番を決めておくと効率的です。

最初に掲示板で現場周辺の基準局を探します。この時点では距離だけでなく、RTCM形式、公開状態、接続条件、基準局の位置に関する情報などを確認します。

次に利用する移動局が、そのRTCM形式に対応しているかを確認します。

その後、現場作業とは別に接続試験を行います。いきなり重要な測点で本番観測を始めるのではなく、上空の開けた場所で補正情報を受信できることを確認します。

補正情報が受信できたら、データが継続的に更新されていることを確認します。

次に測位状態を見ます。FIXするまでの時間と、FIX後の安定性を確認します。

さらに同じ地点を複数回観測します。時間を置いた再観測でも近い座標が得られるかを見ることで再現性を評価します。

業務上、絶対座標の整合が必要であれば既知点を測ります。既知座標との差を確認し、目的に応じて許容できる状態か判断します。

ここまで問題がなければ、実際の作業場所でも測位状態を確認します。

作業場所で急にFIXしにくくなる場合は、基準局を変更する前に周囲の遮蔽物を確認します。数メートル移動するだけで空の見え方が変わり、測位状態が改善するケースもあります。

一連の確認を標準化しておけば、新しい基準局を利用するときも担当者ごとの判断差を減らせます。

接続できるのにFIXしない場合の切り分け方

善意の基準局利用でよく困るのが、「接続済みと表示されるのにFIXしない」という状態です。

この場合、むやみに設定を変更するのではなく、段階的に確認します。

最初に見るのは、本当にRTCMデータが継続受信されているかです。配信先への接続だけ成功し、実際のデータが流れていない場合も考えられます。

次に、補正情報が古くなっていないかを確認します。補正データを一度受信した後に停止している場合、画面上では接続状態が残っていてもRTK処理に十分利用できなくなる可能性があります。

データが継続して届いているなら、利用衛星数や共通衛星数を確認します。

移動局自身は多くの衛星を受信していても、RTK計算に利用できる衛星が少ない場合は、基準局側の配信衛星系や現場の遮蔽状況を確認します。

次に上空環境を変えて試します。

建物のすぐ横でFIXしない場合は、開けた場所へ移動して再試験します。開けた場所ですぐFIXするなら、RTCMそのものより現場環境による影響を疑いやすくなります。

反対に、上空が十分に開けた場所でも継続的にFIXしない場合は、基準局までの距離、RTCMメッセージ、共通信号、基準局側の観測状況などを確認します。

別の公開基準局が利用できる場合は、同じ地点で切り替えて比較する方法も原因の切り分けに役立ちます。

ただし、別局でFIXしたという事実だけで元の局に障害があると断定することはできません。衛星系や距離、基準局設備、配信設定など複数条件が同時に変わるためです。

重要なのは、一つずつ条件を変えて確認することです。

通信設定、RTCM受信、衛星観測、上空環境、基準局距離を同時に変更してしまうと、何が原因だったのか分からなくなります。

継続利用では基準局と測位条件を記録する

善意の基準局を繰り返し業務で利用する場合は、測位結果だけでなく利用条件も記録しておくと管理しやすくなります。

まず、どの基準局を利用したかが分かるようにします。

同じ現場でも日によって利用局を変更すると、過去データとの差が生じたときの原因確認が難しくなります。利用基準局を記録しておけば、座標差が発生した場合の検証材料になります。

観測日時も重要です。

衛星配置は時間とともに変化するため、同じ場所でも常に同じ測位条件になるわけではありません。日時が分かれば、後から観測条件を整理しやすくなります。

測位状態も残します。

固定解で取得した点なのか、それ以外の状態で取得した点なのかが分からなければ、後から座標品質を評価することが難しくなります。

可能であれば、FIXまでのおおよその時間、衛星の利用状況、周囲環境、補正情報の受信状態も記録しておくと便利です。

特に定期観測では、毎回できるだけ同じ方法で測ることが重要です。

同じ基準局、同じ座標系、同じ高さ処理、同じ測点で観測すれば、時間変化を比較しやすくなります。

逆に、毎回利用基準局や処理条件が変わると、測定対象が動いたのか測位条件が変わったのか判断しにくくなります。

善意の基準局は便利な選択肢ですが、公開条件が将来も変わらないとは限りません。接続先やRTCM内容が変わったときに気付けるよう、過去の正常時の状態を記録しておくことも有効です。

LRTK Phoneで補正情報を利用するときの考え方

善意の基準局掲示板から補正情報を選ぶ場合、最終的に大切なのは、現場で利用する測位環境全体として安定した結果を得られるかどうかです。

これはLRTK Phoneを使って高精度測位を行う場合も同じです。

最初に、利用する補正情報と測位環境の組み合わせを確認します。RTCM形式だけでなく、補正情報が継続的に受信できること、必要な衛星観測が利用できること、現場で適切な測位状態になることを確認します。

そのうえで、実際に記録する点では測位状態を確認します。

現場では作業効率が優先されるため、一度設定した接続条件をそのまま使い続けたくなります。しかし、前回利用できた基準局でも、今回必ず同じ状態になるとは限りません。作業開始時に測位状態を確認し、必要であれば既知点で座標を確認する運用が重要です。

また、屋外の高精度測位では測る場所も結果に大きく関係します。

同じ補正情報を使っていても、空が大きく開けた場所と建物の壁際では測位条件が異なります。FIXしにくい場所で長時間待つだけでなく、周囲を確認し、安全に移動可能であれば一度開けた場所で初期化状態を確認する方法もあります。

善意の基準局掲示板は補正情報を探す入口として便利ですが、掲示板情報だけで測位品質を決定することはできません。

RTCMの形式、メッセージ内容、衛星系、通信状態、基準局座標、現場での実測結果を一つずつ確認していくことが、安定した高精度測位につながります。

LRTK Phoneを現場の位置確認、記録、施工管理などへ活用する場合も、補正情報の選定を測位準備の一部として扱うことが大切です。

まとめ

善意の基準局掲示板でRTK用の基準局を探すときは、「RTCM3」と表示されているかだけを見て利用可否を判断しないことが重要です。

最初のチェックでは、利用する移動局が対応可能なRTCM形式かを確認します。RTCM 3系であることは重要な入口ですが、同じRTCM 3系でも配信内容が同じとは限りません。

2つ目では、配信されているRTCMメッセージタイプを確認します。基準局位置に関係する情報やGNSS観測情報がどのように送られているかを確認することで、単なる接続状態より一歩進んだ判断ができます。

3つ目では、基準局と移動局で共通して利用できる衛星系や信号を確認します。移動局が多くの衛星を受信していることと、RTK計算で多くの衛星を利用できることは同じではありません。

4つ目では、RTCM形式と配信条件を分けます。接続先やポートなどの設定に問題がある状態と、データ受信後のRTK処理に問題がある状態を切り分ければ、原因を追いやすくなります。

5つ目では、基準局座標とアンテナ情報を確認します。FIXになったことだけでは、目的とする絶対座標との整合までは保証されません。成果として座標を利用する場合は、既知点との比較や高さ基準の確認が重要です。

6つ目では、実際に使用する移動局で補正データを受信し、FIXまで確認します。さらに固定解の維持、再観測時の再現性、実際の作業場所での状態まで見ることで、基準局を実務に利用できるか判断しやすくなります。

善意の基準局は、高精度測位に利用できる補正情報の選択肢を広げてくれる有用な仕組みです。一方で、善意による公開である以上、すべての局が同じ設備、同じ座標品質、同じ配信設定、同じ運用条件で管理されているわけではありません。

だからこそ、掲示板の表示だけで判断せず、自分が利用する環境で検証することが大切です。

「RTCM3だから使えるか」ではなく、「必要なRTCM情報が届いているか」「基準局と移動局で十分な共通観測ができるか」「通信が安定しているか」「座標基準が用途に合っているか」「現場でFIXし、再現性を確認できるか」という順番で評価すると、判断を誤りにくくなります。

善意の基準局掲示板を利用して現場の高精度測位を行うときは、今回の6項目を作業前チェックとして活用し、補正情報の受信から実測結果まで一連の流れで確認してください。高精度な位置情報を現場で取得し、記録や施工管理へ活用する方法を具体的に検討する際には、LRTK Phoneを使った測位運用も次の選択肢として確認するとよいでしょう。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

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