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外壁検査で足場設置前に確認すべき調査準備6項目

外壁検査は足場設置前の準備で精度が変わる

外壁検査では、足場を設置してから外壁を確認すれば十分と考えられがちですが、実務では足場設置前の調査準備が検査全体の精度や効率に大きく関わります。足場が完成した後に初めて調査対象を整理すると、確認したい部分に足場部材が重なっていたり、予定していた経路では対象部へ近づけなかったりすることがあります。反対に、設置前の段階で建物の状態や調査範囲を整理しておけば、外壁検査を実施しやすい作業環境をつくることができます。

特に規模の大きな建物では、外壁の仕上げが全面で同じとは限りません。タイル仕上げ、塗装仕上げ、パネル系の仕上げなどが混在し、窓まわり、目地、庇、設備貫通部、看板取付部など、劣化の現れ方が異なる部位が多数存在します。建物を一周して見ただけでは確認できない場所もあるため、どの部位をどの方法で調査するのかを事前に明確にしておく必要があります。

また、足場は外壁検査だけのために組まれるとは限りません。補修工事、塗装工事、防水工事などと並行して利用するケースもあります。その場合、検査担当者、施工担当者、建物管理者の間で認識が異なっていると、調査前に補修されてしまったり、劣化状況を撮影する前に養生で覆われたりする可能性があります。

外壁検査における調査準備とは、単に図面を用意する作業ではありません。建物の情報を集め、現地を確認し、調査対象を決め、足場との位置関係を整理し、記録方法や安全条件まで共有する一連の作業です。

ここからは、足場設置前に確認しておきたい調査準備を6項目に分けて解説します。

1. 建物図面と過去の修繕・検査資料を確認する

外壁検査の準備で最初に行いたいのが、建物に関する既存資料の確認です。現地だけを見て調査計画を立てることもできますが、建物図面や過去の検査記録が残っている場合は、先に確認することで調査対象を整理しやすくなります。

まず確認したいのが、建物の平面図、立面図、断面図などです。外壁検査では立面図が特に重要です。立面図を確認すると、窓や庇、バルコニー、外壁の仕上げ区分などを把握しやすくなり、どの面をどのように調査するかを検討できます。

ただし、図面だけを信用するのではなく、実際の建物との違いを確認することも重要です。建築後に設備が追加されていたり、看板や配管が設置されていたり、改修工事によって外壁仕上げが変更されていたりすることがあります。足場設置前の現地確認では、図面と現況が一致しているかを見ることが必要です。

過去の修繕履歴も重要な資料です。以前ひび割れ補修を行った場所、シーリングを打ち替えた場所、タイルを部分的に張り替えた場所などが分かれば、今回の外壁検査で重点的に確認する位置を決めやすくなります。

過去に補修した箇所では、同じ場所に劣化が再発していないかを見ることが重要です。補修跡の周辺に新たなひび割れが発生している場合や、補修材との境界に変化が見られる場合などは、単純に現在の状態を見るだけでなく、過去からどのように変化してきたのかを確認する必要があります。

以前の外壁検査報告書が残っている場合は、指摘箇所の写真や位置図も確認します。過去の写真と現在の状態を比較できれば、劣化が進行しているのか、ほぼ変化していないのかを判断する材料になります。

例えば、以前から存在するひび割れについて、今回の外壁検査で見つけた時点だけを記録しても、その変化までは分かりません。過去写真と撮影方向を合わせることができれば、ひび割れの長さや周囲の変色などの変化を追いやすくなります。

また、建物の改修履歴から外壁材料の違いを整理しておくことも有効です。同じ立面でも、増築部や改修部だけ材料が異なっている場合があります。仕上げが異なれば確認ポイントも変わるため、調査担当者が現地で迷わないように事前に把握しておくことが重要です。

資料が十分に残っていない建物では、無理に推測して調査範囲を決めるのではなく、現地確認を通じて現況図を補う考え方が必要です。建物管理者への聞き取りによって、過去に漏水があった位置や部分補修を行った場所が判明することもあります。

外壁検査は現在の状態だけを見る作業ではありません。既存資料を活用して過去と現在をつなげることで、調査結果の意味をより具体的に整理できます。

2. 外壁の劣化状況を事前に目視調査する

足場を設置する前に、地上から建物全体を目視確認しておくことも重要です。足場を設置した後は外壁へ近づけるようになる一方で、足場の支柱、手すり、シートなどによって建物全体を一度に見渡しにくくなることがあります。

そのため、足場のない状態で建物を外側から一周し、外壁全体の特徴を把握しておきます。

この段階では、細かな劣化をすべて確定することが目的ではありません。どの面に変状が多いのか、どの高さに特徴的な劣化があるのか、重点的に確認すべき場所はどこかを把握することが目的です。

例えば、特定の面だけ汚れが強い、窓の下に雨だれ跡が集中している、外壁の一部に変色が見られる、目地沿いにひび割れが連続しているなど、建物全体を引いた位置から見ることで分かる特徴があります。

近距離で外壁を見ると局所的な劣化は確認しやすくなりますが、外壁全体に対する位置関係を把握しにくくなる場合があります。そのため、外壁検査では遠景と近景の両方の視点を持つことが重要です。

足場設置前の目視確認では、建物の各面を区分して記録しておくと、その後の調査が進めやすくなります。東西南北などの方位だけで整理する方法もありますが、建物形状が複雑な場合は、立面ごとに管理番号を設定する方法もあります。

さらに、建物の角部、屋上付近、低層部など、位置による特徴も確認します。角部では複数の面が接続するため、外壁材や目地の取り合いが複雑になることがあります。低層部では地面からの水はねや外部からの接触などの影響を受けやすく、上層部では地上から細部を確認しにくいという違いがあります。

窓や扉などの開口部周辺も事前に確認しておきたい場所です。外壁面が連続している場所とは異なり、開口部周辺には複数の材料や部材が集まっています。シーリング、サッシ周辺、庇、外壁仕上げなどの位置関係を把握しておけば、足場上で確認すべきポイントを具体化できます。

設備配管や換気口、外部照明、看板などが取り付けられている場所も確認しておきます。外壁に取り付けられた設備の周辺は、外壁だけではなく取付部や貫通部も確認対象になる場合があります。

足場設置前には可能な範囲で建物全体の写真を撮影しておくことも有効です。足場完成後には建物全景を撮影しにくくなるため、設置前の記録が基準となります。

この時点で異常が疑われる場所を図面や写真に記録しておけば、足場完成後に対象位置まで移動して詳細確認できます。地上調査と足場上の近接調査を分断せず、一つの調査としてつなげることが大切です。

3. 足場設置範囲と調査対象部位を照合する

外壁検査を目的として足場を利用する場合、調査したい位置に実際に近づけるかを足場設置前に確認しておく必要があります。

足場があるからといって、すべての外壁面を同じ条件で確認できるとは限りません。建物形状、庇、バルコニー、設備、屋根などによって足場の配置条件は変わります。また、足場床の高さと確認対象の位置関係によっては、対象部位を正面から確認しにくくなる場合があります。

重要なのは、足場計画と外壁検査計画を別々に考えないことです。

例えば、窓上部のシーリングを確認したい場合、足場床の位置によっては目線より高くなり、近づきにくい可能性があります。反対に、窓下部や腰壁付近を確認したい場合も、足場部材との位置関係によって姿勢を変えなければならないことがあります。

そのため、調査対象となる部位をあらかじめ図面へ落とし込み、足場計画と照合することが有効です。

特に確認しておきたいのが、建物形状が変化する場所です。セットバックしている外壁、低層部から張り出した庇、屋上設備周辺、吹き抜け部分などでは、通常の外壁面と同じように足場を配置できない場合があります。

また、外壁の補修工事と同時に検査を進める場合は、調査と施工の順番も決めておく必要があります。調査前に既存シーリングを撤去したり、塗膜を除去したりすると、元の劣化状態が分からなくなる場合があります。

原則として、確認が必要な既存状態については、補修や撤去を行う前に記録しておくことが重要です。

調査対象部位を整理するときは、外壁面だけを見るのではなく、付帯部も含めて考える必要があります。庇、手すり、外部階段、配管支持部、設備取付部、目地など、建物によって確認対象は異なります。

外壁の検査範囲と工事範囲が同じとは限らない点にも注意が必要です。塗装工事では対象外となっている設備周辺であっても、外壁検査として確認が必要になることがあります。

足場設置前に検査担当者と足場計画の担当者が調査範囲を共有しておけば、施工後に「この場所へ近づけない」という事態を減らせます。

また、足場設置後に外壁の一部が養生材などで覆われる予定がある場合、その位置も事前に確認しておきます。外壁検査で写真記録が必要な位置については、撮影や確認のタイミングを調整する必要があります。

外壁検査では、対象部へ近づけることだけでなく、対象を適切な方向から確認できることが重要です。足場は検査のための観察環境でもあるため、調査計画と一体で確認することが求められます。

4. 建物周辺の障害物と作業条件を確認する

足場設置前の調査では、外壁だけでなく建物周辺の状況も確認する必要があります。

外壁の前にはさまざまな設備や構造物が存在します。植栽、塀、看板、室外設備、配管、駐車スペース、駐輪場、外灯などが足場設置や調査の動線に影響することがあります。

これらを確認せずに調査計画を立てると、足場完成後に一部の外壁へ移動しにくくなったり、調査機材を持ち込めなかったりする可能性があります。

敷地境界に近い建物では、外壁と隣接地との距離も確認しておきます。建物周囲に十分なスペースがない場合は、通常とは異なる方法で調査環境を確保する必要が生じることがあります。

道路沿いの建物では、歩行者や車両との位置関係も重要です。足場設置前の調査段階から、作業区域と一般通行区域を分けて考えておくことで、安全計画を立てやすくなります。

商業施設、共同住宅、ホテル、学校、病院など、建物を使用しながら外壁検査を行う場合は、利用者の動線も重要です。出入口の近くに足場を設置する場合や、建物利用者が頻繁に通行する場所で調査を行う場合は、検査そのものだけでなく周辺運用を含めて計画する必要があります。

また、搬入口や駐車場を日常的に使用している建物では、時間帯によって周辺状況が大きく変わることがあります。事前調査が休日に行われ、実際の検査が平日に行われる場合、現地条件が異なる可能性もあります。

そのため、建物管理者から日常の利用状況を確認しておくことも有効です。

植栽についても注意が必要です。樹木が外壁近くまで伸びている場合、外壁の確認を妨げることがあります。また、足場設置のために一時的な処置が必要になるケースもあるため、無断で作業せず、所有者や管理者と対応を調整します。

外壁近くに設備が設置されている場合は、その設備を動かせるのか、稼働を止められるのか、常時運転が必要なのかも確認します。

設備周辺では、単に足場が設置できるかどうかだけでなく、検査担当者が安全に移動できるスペースが確保できるかを見ることが重要です。

さらに、屋上やバルコニーを経由する調査が予定されている場合は、出入口、鍵の管理、利用可能な時間帯なども確認しておきます。足場上から近づけると思っていた場所が、実際には建物内部を経由しないと確認できないこともあります。

外壁検査の現場では、調査そのものよりも準備不足による待ち時間が発生することがあります。立入許可が必要だった、鍵がなかった、設備を停止できなかったといった問題は、外壁の技術的な調査能力とは別の部分で生じます。

足場設置前に建物周囲と運用条件を整理しておくことで、こうした中断を減らし、予定した範囲を効率的に確認できるようになります。

5. 調査方法と記録ルールを事前に統一する

外壁検査では、現地で何を見るかと同じくらい、どのように記録するかが重要です。

足場設置前に調査方法と記録ルールを決めていないと、担当者ごとに写真の撮り方や名称が異なり、後から整理しにくくなります。複数人で調査する現場では特に注意が必要です。

まず決めたいのが、建物の位置をどのように表すかです。

例えば、立面、階、高さ、通り、開口部番号などを組み合わせて位置を整理する方法があります。重要なのは、現場で記録した情報から後日同じ位置へ戻れることです。

「外壁にひび割れあり」という記録だけでは、その位置を再確認することができません。「南側の外壁」という記録でも、規模の大きな建物では位置を特定できない可能性があります。

そこで、図面上の位置と写真を対応させます。

写真撮影では、建物全体に対する位置が分かる写真と、劣化部分を詳細に確認できる写真を組み合わせる考え方が有効です。細部だけを撮影すると、後から写真を見たときにどこの外壁か分からなくなることがあります。

また、同じ部位を継続的に調査する場合は、できるだけ撮影方向や距離をそろえると比較しやすくなります。

記録する劣化項目についても統一が必要です。

ひび割れ、浮きが疑われる箇所、欠損、変色、汚れ、腐食、シーリングの劣化など、現場で使用する分類をあらかじめ決めておくと、担当者による表現のばらつきを減らせます。

ただし、分類を細かくしすぎると現場で判断に迷うことがあります。そのため、調査目的に応じた分類レベルを設定することが重要です。

外壁検査で測定を行う場合は、測定値の記録方法も統一します。長さや幅などを記録するのであれば、単位や記載位置をそろえておきます。

さらに、同じ場所を将来再測定する可能性がある場合は、位置情報の残し方も重要になります。

従来は図面へ手書きで記録したり、写真番号を図面へ記入したりする方法が一般的ですが、建物が大きくなるほど位置管理が複雑になります。写真枚数が数百枚になると、写真だけを見て位置を整理する作業にも時間がかかります。

そのため、現場で位置情報と写真記録を結び付ける方法を検討しておくと、調査後の整理を行いやすくなります。

外壁検査では「撮影すること」が目的ではなく、「後から状況を理解できる記録を残すこと」が目的です。

どの面の、どの高さの、どの部位に、どのような状態があったのかが分かる記録になっているかを基準に、写真や図面の管理方法を決めておく必要があります。

また、調査中に想定していなかった変状が見つかることもあります。その場合にどのような手順で追加記録するかも決めておくと、担当者が判断しやすくなります。

例えば、通常記録とは別に重点確認対象として扱うのか、その場で管理者へ共有するのかなど、現場内での情報共有方法を決めておくことが重要です。

足場設置後は多数の場所を連続して確認するため、現場で記録方法を相談しながら進めると作業効率が下がります。足場設置前の段階で記録方法を試し、実際に運用できるか確認しておくことが理想です。

6. 危険箇所と立入制限範囲を整理する

外壁検査では、調査対象だけでなく安全条件の整理も欠かせません。

足場が完成すると、外壁の高い位置まで近づけるようになりますが、それによって新たな危険がなくなるわけではありません。足場上での移動、開口部周辺、設備付近など、確認対象によって注意すべき条件が変わります。

足場設置前には、建物周辺で危険が想定される場所を整理しておきます。

例えば、車両が頻繁に通る場所、搬入口周辺、設備機器の近く、屋上端部などは、通常の外壁面とは異なる注意が必要になる場合があります。

建物を利用しながら検査する場合は、外壁側だけでなく地上側の安全管理も重要です。

調査中に物を落とさないよう管理することはもちろんですが、作業区域の下を第三者が通行する可能性がある場合は、立入管理を含めて検討する必要があります。

足場設置前の現地確認では、どこまでを作業区域として管理するのかを整理します。

出入口付近では利用者の動線を完全に止められないこともあるため、建物管理者や関係者と運用方法を確認します。店舗や施設などでは、営業時間や利用者が多い時間帯を避けて調査するなど、建物の運用に応じた調整が必要になる場合があります。

外壁の状態そのものに危険があるケースにも注意が必要です。

劣化が進み、部材の一部が脱落する可能性が疑われる場所では、調査担当者が不用意に接触しないよう対応を検討します。外壁検査は状態を確認する作業ですが、調査によって不安定な部位をさらに動かしてしまわないよう注意が必要です。

事前の目視調査で著しい変状が確認された場合は、その場所を重点確認箇所として共有しておきます。

また、設備周辺には外壁検査とは異なる危険が存在する可能性があります。外壁上の設備や配管周辺を確認する場合は、設備の管理担当者とも情報を共有し、触れてよい範囲と避けるべき範囲を確認します。

安全管理では、担当者個人の経験だけに頼らないことが重要です。

熟練者であれば危険に気付ける場合でも、初めて現場に入る担当者には分からないことがあります。そのため、危険箇所を図面や現場資料に記録し、関係者が共通認識を持てるようにします。

足場設置前に危険箇所を整理しておくことは、足場設置作業の安全だけでなく、その後の外壁検査や補修作業の安全にもつながります。

調査計画、足場計画、安全計画を別々のものとして扱わず、同じ建物情報を共有しながら準備することが重要です。

足場設置前調査で見落としを減らす進め方

ここまでの6項目は、それぞれ独立した準備ではありません。実際の外壁検査では、資料確認、現地調査、足場計画、記録計画、安全管理をつなげて進めることで効果を発揮します。

まず既存図面と過去資料を確認し、建物の基本情報を整理します。そのうえで現地を確認し、図面と現況の違いを把握します。

現地では、外壁全体を遠くから見る時間と、低層部や出入口周辺などを近くから見る時間を分けて考えると、建物の特徴を把握しやすくなります。

次に、事前調査で確認した重点箇所を図面へ記録します。

この段階で重要なのは、異常を断定することではありません。足場完成後に詳しく確認したい場所を抽出することです。

例えば、高所の外壁に変色が確認されたとしても、地上から原因まで判断できるとは限りません。その場合は、変色の位置を記録し、足場完成後に近接して状態を確認します。

事前調査の記録には、建物全景、各立面、重点箇所の位置関係が分かる写真を残しておきます。

その情報をもとに足場計画と照合し、すべての重点箇所へ安全に近づけるかを確認します。

近づけない場所がある場合は、足場計画を調整する方法だけでなく、別の調査方法を検討する必要が生じることもあります。

外壁検査では、現場に入ってからその場で対応するより、事前に調査できない場所を把握しておくことの方が重要です。

調査範囲を明確にした後は、関係者間で情報を共有します。

検査担当者だけが調査計画を把握していても、補修担当者が知らなければ、記録前に補修作業が進んでしまう可能性があります。

そのため、「どこを確認するのか」「どの状態を記録するのか」「いつ補修へ移るのか」を事前に整理しておきます。

特に、補修前の状態を証拠として残したい場所では、調査と施工の順番を明確にすることが重要です。

また、外壁検査は予定どおりに進まないこともあります。足場上で新たな変状が確認されれば、追加調査が必要になる可能性があります。

このような場合に備え、重点確認箇所以外でも異常が見つかったときの記録方法を決めておくと対応しやすくなります。

最初からすべての異常を予測することはできません。しかし、予期しない異常が見つかった場合の対応方法を決めることはできます。

調査準備とは、現場で判断しなくてよい状態をつくることではなく、現場で判断しやすい情報とルールを整えることだと考えると分かりやすいでしょう。

外壁検査の記録を次回調査へつなげる

足場設置前の調査準備は、今回の外壁検査を効率化するだけではありません。記録方法を工夫すれば、次回の検査や修繕計画にも活用できます。

外壁は一度検査して終わるものではありません。経年によって状態が変化するため、過去の記録と比較できる形で残すことが重要です。

例えば、今回見つけたひび割れについて、位置と写真だけでなく撮影時期や状態を整理しておけば、次回の調査で同じ位置を確認できます。

変化がほとんどないのか、長くなっているのか、周囲に新たな変状が生じているのかを比較できれば、単発の検査だけでは分からない情報を得ることができます。

このとき課題になるのが、位置管理です。

外壁写真を大量に保存していても、撮影場所が分からなければ比較に時間がかかります。ファイル名だけで管理する方法では、建物規模が大きくなるほど整理が複雑になります。

そのため、図面上の位置情報と写真を対応させておくことが重要です。

さらに、位置情報を取得できる機器を利用することで、現場記録をより管理しやすくできる場合があります。

外壁そのものを高精度に測定する目的だけでなく、建物周囲の基準となる位置や調査地点を記録し、現場写真や測定結果と関連付ける使い方も考えられます。

例えば、大規模な建物や複数棟を管理する現場では、「どの建物のどの位置で取得した記録なのか」を一定の方法で整理することが重要になります。

また、外壁検査前に建物周囲の現況を三次元的に記録しておけば、後から現場状況を確認する際の参考資料として利用できる場合があります。

足場設置前は建物外観を確認しやすい貴重なタイミングです。足場が設置されると建物全体の外観が隠れるため、必要に応じて設置前の状態を記録しておくことが有効です。

こうした現場記録では、LRTK Phoneのように位置情報を活用できる機器を利用する方法もあります。現場で取得した位置情報、写真、点群などを調査記録と組み合わせることで、単なる写真保存ではなく、場所と結び付いた記録として管理しやすくなります。

重要なのは、機器を使うこと自体ではありません。

次回の担当者が記録を見たときに、現場へ行けば同じ場所を確認できる状態になっているかどうかです。

外壁検査は担当者が変わることもあります。数年後に別の担当者が検査する場合でも、過去の記録から対象位置を特定できれば、建物の経年変化を追いやすくなります。

今回の検査結果を今回だけの報告書として完結させず、次回調査の基礎資料として残す視点を持つことが重要です。

まとめ

外壁検査を適切に進めるためには、足場が完成してから調査を始めるのではなく、設置前から準備を進めておくことが重要です。

まず建物図面や過去の修繕・検査資料を確認し、建物の構造や外壁仕上げ、過去の劣化箇所を把握します。次に足場のない状態で建物全体を確認し、変色、ひび割れ、汚れ、目地、開口部周辺など、重点的に確認したい場所を整理します。

そのうえで足場計画と調査対象を照合し、確認したい外壁へ安全に近づけるかを検討します。建物周辺の障害物、利用者の動線、設備、敷地条件なども足場設置前に把握しておくことで、現場に入ってからの予定変更を減らせます。

さらに、調査担当者が複数いる場合は、写真の撮り方、位置の表し方、劣化項目の分類などを統一しておくことが重要です。位置情報が曖昧な写真を大量に残しても、後から整理できなければ有効な調査記録にはなりません。

安全面についても、足場設置後だけでなく設置前から危険箇所と立入条件を整理し、検査担当者、施工担当者、建物管理者などの関係者で共有しておく必要があります。

外壁検査の品質を高めるために必要なのは、現場で劣化を見つける能力だけではありません。どこを見るのか、どのように近づくのか、どの状態を記録するのか、どのように次回へ残すのかまで計画することが重要です。

特に規模の大きな建物では、写真や図面だけで多数の調査地点を管理すると、位置の照合作業が複雑になりやすくなります。足場設置前から位置情報を意識して現況を記録しておけば、足場完成後の詳細調査や将来の再調査にも活用しやすくなります。

外壁検査の現場情報を位置と結び付けて残したい場合や、写真だけでなく点群なども活用して現況を記録したい場合は、LRTK Phoneを使った現場記録という方法もあります。足場設置前の調査準備から記録方法を整え、外壁検査をその場限りの確認で終わらせず、次回の点検や修繕へつながる情報として残していくことが重要です。

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