玄関ドア前のエクステリアで寸法確認が重要な理由
玄関ドア前のエクステリアは、住宅の出入り口として毎日使う場所です。門柱、ポスト、手すり、屋根柱、照明、植栽、階段などが集まりやすく、限られた範囲で複数の設備を調整しなければなりません。外観の整い方だけを優先すると、ドアの開閉、鍵の操作、人の待機、荷物の搬入が互いに干渉することがあります。
玄関前の計画では、ドアが物理的に開くことと、利用者が無理なく使えることを分けて考える必要があります。買い物袋を持って帰宅する、傘を閉じながら鍵を操作する、子どもと並んで出入りする、配達員から大きな荷物を受け取るといった場面では、扉だけでなく人の体や荷物も移動します。扉の軌跡だけを空けても、立つ場所や逃げる方向がなければ使いやすい玄関にはなりません。
特に外開きの玄関ドアは、開くとポーチやアプローチ側へ張り出します。ドア正面に階段や門柱が近いと、利用者が扉を避けるために後退し、その移動先が段差になることがあります。接触しない数センチメートルの隙間があっても、安全に操作できるとは限りません。
反対に、必要以上に大きな一律寸法を当てはめれば、敷地条件に合わない計画になる場合があります。玄関ドアの幅、開放角度、ハンドル形状、利用者、将来の介助や車いす利用の有無によって必要な空間は変わるためです。国土交通省の建築設計標準も、建物の用途や利用状況を想定して設計する考え方を示しており、掲載される基本寸法をすべての戸建て住宅へ同じように適用するものではありません。([国土交通省][1])
本記事の数値は、法令上の最低寸法やすべての住宅に共通する保証値ではなく、図面検討を始めるための参考です。最終的には、採用する玄関ドアの承認図や施工説明書、完成床の高さ、地域の条例、建築確認上の条件、利用者の動作を照合して決めます。数値だけで判断せず、開閉中の扉、人、荷物、設備を同じ図面へ重ねることが重要です。
寸法1|ドアの開閉軌跡と障害物の離隔
最初に確認する寸法は、玄関ドアが開閉するときに通過する範囲です。開き戸の先端は吊元を中心に円弧を描きます。門柱、屋根柱、手すり、照明、植栽などがこの円弧へ入ると、扉本体やハンドルが接触する可能性があります。
開閉軌跡を描くときは、図面に記載された呼称寸法だけでなく、吊元の回転中心から扉の最突出部までを確認します。扉幅が同じでも、枠の納まり、丁番の位置、ハンドルの突出量によって外周の軌跡は変わります。扉先端よりハンドルが外側へ張り出す形状では、ハンドル先端の軌跡を優先して確認します。
離隔は、閉じた状態のドア枠から測るのではなく、全開時を含む最大軌跡から設備の完成仕上げ面まで測ります。門柱の下地位置ではなくタイルや笠を含む表面、手すりの中心線ではなく握り部分や固定金具の外面を基準にしてください。
扉と設備が計算上ぎりぎり接触しないだけの配置は避けます。施工位置のばらつき、仕上げ厚、扉の調整、風による急な開放、将来の建付け変化を考慮し、承認図で示される必要空間に設計上の余裕を加えます。余裕の具体値は製品と納まりで異なるため、100ミリメートルや200ミリメートルを一律の基準にするのではなく、最接近する部位と起こり得る変動量から決めるのが安全です。
最大開放角度も重要です。約90度で止まる扉と、それ以上開く扉では、ハンドルが最も設備へ近づく位置が異なります。ドアクローザーや戸当たりで角度を制限する場合は、通常の停止位置だけでなく、故障や調整変更でそれ以上開く可能性がないかも確認します。
外壁に沿って開く配置では、壁付け照明、縦樋、インターホン、装飾材、手すりとの干渉を立面でも確認します。平面図で扉先端が離れていても、ハンドルと照明の高さが重なれば接触することがあります。扉上部、中央部、下部で最接近する設備が違う場合もあります。
開閉軌跡の内側は、原則として常設物を置かない管理区画として考えます。完成時に問題がなくても、入居後に傘立て、植木鉢、清掃道具、荷物受取設備を置くと、扉が十分に開かなくなるためです。生活用品の置き場所は、計画段階から軌跡の外側へ確保します。
もう一つ確認したいのが、開いた扉と設備の間へ人が入り込む可能性です。扉と柱が接触しなくても、その隙間が人の待機場所や通路と重なると、挟まれたり行き止まりになったりします。離隔寸法は、物同士の接触防止と人が使う空間を分けて検討してください。
寸法2|玄関ポーチに必要な有効奥行き
2つ目は、玄関ドア前にある平らな部分の有効奥行きです。ここでいう有効奥行きは、外壁からポーチ端までの総寸法ではありません。閉じた扉やハンドルの外面付近から、階段の下り始め、柱、手すりなどまでの、実際に立って動ける寸法です。
外開きの玄関ドアを手前へ引くと、利用者は後方または横へ移動します。ポーチの奥行きが扉の張り出し量とほぼ同じでは、扉を避けたあとに立つ場所が残らない場合があります。必要奥行きは、扉の張り出し量に、人が姿勢を変えるための空間を加えて求めます。
一般的な検討では、1200ミリメートル前後を初期案として描き、傘、荷物、複数人、歩行補助具などを想定する場合は1500ミリメートル前後まで広げて動作を確認する方法があります。ただし、これらは戸建て住宅に一律に課される法定最低値ではありません。扉幅が大きい場合や、車いすで方向転換する場合には不足することもあり、引き戸や小さな扉では別の配分が合理的なこともあります。
有効奥行きを確認するときは、ポーチ端にある屋根柱や手すり支柱を差し引きます。床の外形が1500ミリメートルあっても、途中へ柱が入れば、利用者が移動できる連続した平場は小さくなります。平場の面積ではなく、ドア操作の開始位置から終了位置まで動ける形になっているかを見ます。
玄関直前に階段がある場合は、扉を避けるために最上段へ後退しなくてよい奥行きが必要です。ドアを全開にした状態で、利用者の両足が平場へ収まり、さらに階段を上がってくる人と衝突しないかを確認します。扉の軌跡と階段の上端線が重なる配置は、数値の大小にかかわらず見直し対象です。
家具や家電を搬入する場面では、扉を大きく開き、荷物の向きを変えます。ポーチが細長く、門柱や手すりで横方向が塞がれていると、奥行きだけを広げても搬入しにくいことがあります。玄関前で長方形の荷物を回せるか、門から玄関までの曲がり角を通過できるかも確認します。
ベビーカー、台車、歩行器などを想定する場合は、ドア操作中に車輪が動きにくい平場が必要です。アプローチの勾配がドア直前まで続くと、一方の手で車輪を支えながら鍵を操作することになりかねません。排水勾配は必要ですが、操作範囲に局部的な傾きや段差が生じないよう断面で調整します。
屋根の出幅も有効奥行きと合わせて考えます。床面が広くても、人が扉を避けて移動する位置が庇の外なら、雨天時の使い勝手は向上しません。傘を閉じる位置、鍵を操作する位置、扉を避ける位置が連続して屋根下へ入るかを確認してください。
寸法3|ハンドル側と吊元側の操作余白
3つ目は、玄関ドアの左右に必要な操作余白です。正面の奥行きが十分でも、ハンドル側へ壁や門柱が迫ると、腕や肩を動かしにくく、荷物を持ったまま扉を引く動作が窮屈になります。
ハンドル側では、ドア枠端から障害物までの単純な横寸法だけでなく、利用者がハンドルへ近づく方向と、扉を引きながら体を逃がす方向を確認します。正面から近づくのか、階段やアプローチから斜めに近づくのかによって必要な余白は変わります。
元本文にある300ミリメートルという値は、検討開始時の仮置きには使えても、すべての玄関へ適用できる確定値ではありません。縦長ハンドル、レバーハンドル、電気錠の操作部、荷物を持った姿勢などで必要空間が変わるためです。実施設計では、ハンドル中心、壁や柱の最突出部、利用者の立ち位置を図面へ記入し、操作を模擬して決めます。
インターホン、表札、照明、スイッチ類をハンドル側へ集める場合は、操作する来客が扉の開閉軌跡へ立たないようにします。室内側から急にドアを開けたとき、来客の体や荷物へ当たらない位置へ待機点を設けることが大切です。
吊元側では、扉が全開になったときの扉面、ハンドル、丁番側の出っ張りと、壁や柱との離隔を確認します。ここでも100ミリメートルや200ミリメートルを固定基準とせず、製品図の最大外形、戸当たり位置、施工余裕をもとに決定します。
吊元側へ手すりを設ける場合は、握り部分だけでなく支柱、ブラケット、笠木端部まで確認します。扉中央は離れていても、扉下部が支柱へ近づく場合があります。接触を避けるために開放角度を小さくすると、大きな荷物の搬入や避難時の通過に影響することがあるため、設備位置の変更を優先して検討します。
左右の余白は対称である必要はありません。ハンドル側は人の操作空間、吊元側は扉と設備の干渉防止という役割が中心です。左右を同じ数値にそろえるより、それぞれの動作に必要な形を確保する方が合理的です。
荷物の一時置き場を設ける場合も、ハンドル側の余白を塞がないようにします。荷物を置いたあと、片手で鍵を開け、扉を引き、体を移動できるかまで連続して確認します。
寸法4|アプローチに確保したい有効通路幅
4つ目は、門から玄関ドアまで続くアプローチの有効通路幅です。有効幅は、舗装の見付け幅や構造物の中心線間ではなく、門柱、手すり、植栽、照明、ポストなどの最突出部を除いた通行可能な幅です。
一人の歩行を中心に考える住宅では、900ミリメートル前後を初期検討値とすることがあります。買い物袋、傘、子どもとの並行歩行、将来の手すり追加まで考える場合は、1000ミリメートルから1200ミリメートル程度を描いて比較すると、狭さを発見しやすくなります。ただし、これらも住宅へ一律に適用できる値ではなく、門扉や玄関ドアの開き方、曲がり角、利用者によって必要幅は変わります。
車いす利用を想定する場合は、一般歩行だけの目安を流用しません。国土交通省の建築設計標準では、基本寸法の意味として、800ミリメートルは車いすで通過できる寸法、900ミリメートルは通過しやすい寸法、1200ミリメートルは通路を通行しやすい寸法、1400ミリメートルは180度方向転換、1500ミリメートルは回転できる寸法として整理されています。これは設計検討の参考になりますが、建物用途や適用基準を確認したうえで使う必要があります。([国土交通省][2])
重要なのは、玄関ドアや門扉を開いた状態でも必要幅が残ることです。閉じた状態で十分な幅があっても、外開きの扉が通路へ張り出せば、通行可能な幅は大きく減ります。人が扉の横を通る配置では、扉を全開にした状態の残存幅を測ります。
門柱と建物の間が最も狭い場合は、門柱本体だけでなく笠、表札、照明、ポスト扉の突出を含めます。ポストの取り出し扉を開いた状態で通路が塞がれないか、郵便物を取る人と通行する人が交差できるかも確認します。
手すりを設ける場合は、床幅から握り部分の出幅を差し引きます。支柱式では足元の幅が狭くなり、壁付け式では肩や荷物が触れやすくなることがあります。将来追加する可能性があるなら、完成時にぎりぎりの幅とせず、手すりの設置帯を先に確保します。
植栽のあるアプローチは、植え付け時の枝葉ではなく、管理後に想定する外形で評価します。成長や雨による枝垂れで通路へ張り出すと、実質的な幅が狭くなります。剪定できる範囲、隣地側へ越境しない位置、照明を遮らない高さも合わせて決めます。
直角に曲がるアプローチでは、直線部分の幅だけでなく曲がり角の外側に余裕が必要です。ベビーカー、台車、長い荷物は内輪差のように内側へ寄るため、角の内側へ門柱や植栽を置くと通りにくくなります。搬入する可能性のある物の外形を図面へ重ねてください。
寸法5|門柱・手すり・屋根柱との離隔
5つ目は、玄関ドアと門柱、手すり、屋根柱などとの離隔です。これらを開閉軌跡の外へ置くだけでは不十分で、ドアを開いた人が立つ場所、来客の待機位置、設備を操作する範囲まで重ならないようにします。
屋根柱は、玄関ポーチの角やアプローチとの境へ設けられることがあります。柱が扉先端に近いと、扉との接触だけでなく、人が柱と扉の間へ追い込まれる配置になります。元本文の200ミリメートルという値は、人が通れる幅ではなく、すべての製品に共通する接触防止値でもありません。柱位置は、最大開閉軌跡、戸当たり、施工余裕、人の待避方向を重ねて決めます。
ドアと柱の間を通路として使う場合は、単なる離隔ではなく有効通路幅として評価します。扉を全開にした状態でも、想定利用者が通過できる連続幅が必要です。数センチメートルの余裕を足しただけでは通路になりません。
門柱を玄関正面へ設ける場合は、全開時の扉先端やハンドルから門柱の最突出面までを測ります。表札、照明、笠、ポストなどが本体より張り出す場合は、その位置が基準です。正面から見た見栄えだけで門柱を中央へ寄せると、扉を避ける横移動ができなくなることがあります。
ポストや荷物受取設備には、扉を開く空間と、人が手を伸ばしたりしゃがんだりする空間が必要です。玄関ドアと設備扉を同時に開いたときの干渉、二人が同時に操作したときの接触、荷物を取り出して向きを変える動作を確認します。
手すりは移動を支える設備ですが、配置によってはドア操作空間を狭めます。手すりを握ったままハンドルへ届くか、扉を引いたときに腕が交差しないか、支柱が足元の逃げ場を塞がないかを確認します。後付けを予定する場合は、基礎や下地だけでなく将来の完成外形を図面へ入れておきます。
ベンチや腰掛けを設ける場合は、本体寸法だけでなく、座った人の膝、足、手荷物まで使用範囲に含めます。植栽は幹の位置ではなく、管理後の枝葉の範囲を基準にします。元本文の300ミリメートルという離隔は一律の安全値ではないため、樹種、成長、剪定頻度、扉表面への接触可能性から決めてください。
傘立て、植木鉢、清掃用品の置き場所も、固定設備と同じように図面へ記入すると有効です。空いた場所へ後から置く運用では、開閉軌跡や待機位置へ物が集まりやすくなります。
玄関ドアの形式によって変わる必要寸法
玄関ドア前に必要な寸法は、ドア形式によって変わります。外開きの開き戸では、扉がポーチ側へ張り出すため、開閉軌跡、正面奥行き、左右の操作余白を一体で確認します。
片開き戸は一枚の扉が吊元を中心に動きます。扉幅が広くなるほど一般に先端の移動範囲も大きくなりますが、必要空間は呼称幅だけでは決まりません。枠、丁番、ハンドル、ドアクローザー、戸当たりを含む承認図で確認します。
親子ドアなど大小の扉を組み合わせる形式では、通常使う扉だけでなく、子扉を開放した状態も確認します。大型家具や家電の搬入時だけ子扉を使う計画でも、そのときに門柱、手すり、照明が妨げになれば本来の開口を確保できません。
引き戸は前方への張り出しを抑えやすい一方、扉が横へ移動する側の壁面や袖部を塞げません。植栽、手すり、照明、配線、荷物置き場が引き込みや走行部へ近づかないようにします。引き戸でも、鍵や取っ手を操作する人が安定して立てる平場は必要です。
引き戸の取っ手側に門柱や壁が近いと、手を差し入れにくくなることがあります。開き戸と同じ数値を当てはめるのではなく、取っ手を握る方向、扉を横へ動かす腕の範囲、全開後に通過する経路を確認します。
将来の交換も考慮します。現在の扉だけに合わせて柱や門柱を極端に近づけると、交換時に選択できる形式や幅が限られます。防火設備、断熱性能、電気錠などの条件で交換品の外形が変わる可能性もあるため、改修余地を残しておくと対応しやすくなります。
玄関前の階段と段差で確認したい寸法
玄関ドア前に階段や段差がある場合は、平面上の離隔に加え、高さ、踏面、平場、床勾配を確認します。外開きの扉を避けるために後退した位置が階段になると、足元を確認しにくい状態で段差へ近づくことになります。
玄関ドアと階段上端の間には、扉を全開にしても利用者が平らな面へ立てる空間を設けます。1200ミリメートル前後を初期検討値とし、傘、荷物、介助、車いすなどを想定して1500ミリメートル前後まで比較する方法はありますが、扉幅と利用方法を無視して確定してはいけません。
階段の最上段だけを広くしても、扉の軌跡、来客の待機位置、上ってくる人の動線が重なれば十分ではありません。インターホンを押す人が開閉軌跡へ立たず、扉が開いても階段側へ逃げなくてよい配置にします。
手すりは、階段昇降に使いやすい位置と、玄関ドアの開閉を邪魔しない位置を両立させます。握り部分、支柱、端部、固定金具によって平場が狭くならないかを確認します。手すりを握った状態からドアハンドルへ無理なく手が届くかも重要です。
排水のために床へ勾配を設ける場合でも、ドア直前に局部的な段差や強い傾斜をつくらないようにします。水勾配の方向が玄関側へ向くと、雨水が下枠付近へ集まりやすくなります。排水溝、集水桝、階段側の流れを断面でつなげて確認します。
床仕上げの厚みにも注意します。仕上げ材の変更や重ね張りによって完成床が上がると、扉下端、下枠、玄関マットと干渉することがあります。設計時の下地高さではなく、完成仕上げと使用予定のマットまで含めて隙間を確認してください。
寒冷地では、水たまりや凍結が安全性へ影響することがあります。地域の気候、日照、屋根からの落水、融雪水の流れも考え、寸法だけでなく表面状態を管理できる計画にします。
雨の日や荷物の受け取りまで想定する
玄関ドア前のエクステリアは、晴天時に手ぶらで一人が通る場面だけで評価すると、生活上の不便を見落とします。雨の日、買い物帰り、子ども連れ、介助、大きな荷物の受け取りなど、空間を多く使う場面を基準に確認します。
雨の日は、傘を差したまま玄関へ近づき、屋根下で傘を閉じ、鍵を操作してドアを開けます。傘を閉じる位置が開閉軌跡と重なると、濡れた傘と荷物を持ったまま何度も移動することになります。ドア正面または横に、傘を扱える平らな余白を確保します。
屋根の範囲も平面で確認します。ポーチ床が広くても、扉を避ける位置や来客の待機位置が庇の外なら、雨天時には濡れます。屋根柱を動線から外しつつ、鍵操作から入室まで屋根下を移動できるようにします。
買い物袋や鞄を持つ場合は、片手で鍵やハンドルを操作します。ハンドル側が狭いと、荷物が壁や門柱へ当たり、扉を引くための体の移動も妨げられます。荷物を一時的に置く台を設ける場合は、開閉軌跡と有効通路を塞がない位置にします。
配達員の待機位置も重要です。インターホンを押した人が扉正面へ立つ配置では、室内側から開けたドアが人や荷物へ接近します。インターホン、荷物置き位置、開閉軌跡をずらし、来客が平場へ待機できるようにします。
大型荷物の搬入では、ドアを全開にし、玄関前で荷物の向きを変えます。門柱と屋根柱の間、手すりの内側、階段上の平場が連続しているかを確認してください。個々の寸法が足りていても、曲がり角が鋭いと搬入できないことがあります。
子どもと出入りする場合は、大人が鍵を操作する間、子どもが開閉軌跡や階段から離れて待てる場所が必要です。高齢者や歩行に不安がある人には、大きく後退せず横へ移動できる余白と、必要に応じて体を支えられる位置関係が求められます。
図面と現地で寸法を確認する手順
玄関ドア前の寸法を正確に計画するには、建築図面、ドア承認図、エクステリア図面、現地の完成位置を照合します。平面図だけ、カタログだけ、現地だけの確認では、見落としが生じます。
最初に、吊元と開き方向を確認します。屋外側から見た左右、室内側から見た左右を混同しないよう、図面へ「屋外から見て右吊元」など基準を明記します。親子ドアや引き戸では、通常使用時と全開時を分けて示します。
次に、扉本体、枠、ハンドル、ドアクローザー、戸当たりの寸法と最大開放角度を承認図で確認します。カタログの代表図ではなく、採用する型式、幅、高さ、ハンドル仕様に対応した図面を使用してください。
平面図には、閉鎖時の扉、全開時の扉、最突出部の軌跡を記載します。その上へ、門柱、ポスト、屋根柱、手すり、照明、植栽、傘立て、荷物置き場を完成外形で重ねます。接触の有無だけでなく、人の立ち位置と移動方向も矢印で描くと判断しやすくなります。
立面図では、ハンドル、照明、インターホン、手すり、ポスト扉の高さを確認します。断面図では、玄関ポーチ、階段、アプローチ、完成床、ドア下端、屋根、排水の高さ関係を確認します。
施工前の現地では、門柱や柱を固定する前に床面へ外形を仮表示します。テープや仮型枠で完成外形を示し、玄関ドアを実際に開閉して、扉先端、ハンドル、扉下部が予定位置へ近づかないかを見ます。
有効幅は、構造物の中心線ではなく完成後の最突出面同士で測ります。寸法表記も「ドアから何ミリメートル」ではなく、「全開時のハンドル最外端から柱仕上げ面まで」のように基準点を明確にします。
完成確認では、接触しないことだけで終わらせません。荷物を持つ、傘を閉じる、二人で立つ、ポストを開く、階段を上がるといった動作を再現します。設計値を満たしていても使いにくい場合は、戸当たり、設備位置、運用方法を見直します。
玄関ドア前で起こりやすい失敗
起こりやすい失敗の一つは、門柱を玄関へ近づけすぎることです。敷地を広く見せようとして門柱を建物側へ寄せると、開閉軌跡、ハンドル側の操作余白、来客の待機場所が重なります。
門柱本体は離れていても、ポスト扉、照明、表札、笠などの突出部がハンドルへ接近する場合があります。設備を取り付ける前の下地寸法だけで判断しないことが大切です。
玄関ポーチの直前から階段が始まる計画も注意が必要です。ドアを引くために階段側へ下がる配置では、雨天時や荷物を持った状態で足元が不安定になります。扉を全開にしても平場へ立てる形を確保します。
屋根柱の位置を屋根構造だけで決めると、扉先端や人の待避位置へ柱が残ることがあります。屋根、柱、扉、階段を別々に設計せず、同じ平面図と断面図で調整してください。
手すりを後から追加して有効幅が狭くなる失敗もあります。床幅だけを基準にすると、握り部分や支柱の出幅を見落とします。将来設置する可能性があるなら、必要な設置帯をあらかじめ確保します。
植栽を扉へ近づけすぎると、成長後の枝葉が軌跡へ入り、扉表面をこすったり、雨水を付着させたりします。一律の離隔値ではなく、樹種と管理後の外形で配置を決めます。
傘立てや植木鉢の置き場を決めなかったため、開閉軌跡へ生活用品が集まることもあります。玄関前で使う物を整理し、固定設備と同じように置き場を図面へ入れます。
床仕上げ変更による干渉も見落としやすい点です。厚い玄関マットや後施工の床材によって、扉下端がこする場合があります。完成床高さと使用物を含めて確認します。
図面上の寸法だけを信用し、現地で確認しないことも避けます。仕上げ厚、基礎位置、施工上のばらつきによって有効寸法は変わります。柱や門柱を固定する前に、完成外形と開閉動作を現地で確認してください。
まとめ|5つの寸法を関連付けて計画する
玄関ドア前のエクステリアでは、ドアが開くかどうかだけでなく、人が安全に操作し、荷物を持って通行できるかを確認します。
1つ目は、ドアの最大開閉軌跡と障害物との離隔です。扉本体だけでなく、ハンドル、戸当たり、完成仕上げ面を含め、製品図と施工余裕から決めます。
2つ目は、玄関ポーチの有効奥行きです。1200ミリメートル前後や1500ミリメートル前後は比較案を作るための参考にできますが、戸建て住宅へ一律に適用する法定値ではありません。扉の張り出し量と利用者の動作を重ねて判断します。
3つ目は、ハンドル側と吊元側の操作余白です。300ミリメートルなどの固定値だけで判断せず、ハンドルへ近づき、扉を引き、体を逃がす一連の動作を確認します。
4つ目は、アプローチの有効通路幅です。900ミリメートル前後から1200ミリメートル前後を比較する方法はありますが、扉を開いた状態の残存幅、曲がり角、手すり、利用者を含めて決めます。車いす利用を想定する場合は、通過、方向転換、回転を分けて検討します。
5つ目は、門柱、手すり、屋根柱などとの離隔です。物同士が接触しないことと、人が待機または通過できることは別の条件です。設備の最突出部と使用中の外形まで図面へ反映します。
これらは個別に満たせばよい寸法ではありません。ポーチが広くても、門柱がハンドル側を塞げば使いにくくなります。通路幅が広くても、外開きの扉が通路を横切れば安全な動線は残りません。
玄関ドアの形式、開き方向、階段位置、家族構成、将来の介助、荷物の受け取り方法を整理し、5つの寸法を同じ図面上で確認してください。施工前には現地で扉を開閉し、柱や門柱の予定位置を仮表示して動作を確かめます。
玄関前は毎日使う場所です。見た目や単独の数値だけを優先せず、製品仕様、完成仕上げ、利用者の動作を基準に有効寸法を確保することが、使いやすいエクステリアにつながります。玄関ドア前の配置や必要寸法に迷ったときは、建物図面、ドア承認図、現地寸法を整理したうえで、Phoneから相談してください。