CADで文字化けが起きる主な原因
CAD図面を開いたとき、注記が読めない記号に置き換わったり、漢字だけが空白になったり、文字の幅や高さが大きく変わったりすることがあります。実務ではこれらをまとめて「文字化け」と呼ぶことがありますが、実際には原因が一つとは限りません。文字そのもののデータが正しく解釈されていない場合もあれば、文字データは正常でも、表示に必要なフォントが利用できないため別の形に見えている場合もあります。
CADで特に多いのは、図面作成時に指定されていたフォントが、図面を開く側の環境に存在しないケースです。CADでは文字列だけでなく、どの文字スタイルを使うか、その文字スタイルがどのフォントを参照するかといった情報も図面内に保存されます。そのため、同じCADデータでも、作成した環境と受け取った環境で使用可能なフォントが異なると、表示結果が変わることがあります。
このときCAD側が利用可能な別のフォントへ自動的に置き換えると、文章自体は読めても文字幅が変わり、寸法値が寸法線からはみ出したり、表題欄の文字が枠線と重なったりすることがあります。逆に、置換先のフォントが必要な文字を持っていなければ、一部の漢字や記号だけが表示されないこともあります。したがって、読めるか読めないかだけで判断するのではなく、文字の位置、幅、高さ、改行位置まで含めて確認する必要があります。
もう一つ注意したいのが、CAD固有の線画型フォントと、OS側で広く利用されるアウトライン型フォントの違いです。CAD図面では軽量な表示を目的として線で構成されたフォントが使われることがあります。この種のフォントには、日本語表示のために別の補助フォントや関連設定を組み合わせる構成もあります。必要なファイルや設定の一部だけが不足すると、英数字は読めるのに日本語だけが崩れるといった症状が起こり得ます。
文字コードやデータ変換が原因になる場合もあります。古い図面、他形式から変換された図面、異なるシステム間で何度も保存された図面では、文字列の扱い方や特殊文字の解釈が変化していることがあります。例えば、通常の日本語は表示できても、丸付き文字、単位記号、特殊な施工記号などだけが別の文字になる場合は、単純なフォント不足だけでなく、文字の変換過程も確認したほうがよいでしょう。
さらに、同じ図面の中で文字スタイルが多数作られ、似た名前のスタイルが混在しているケースもあります。過去図面からコピーした文字、外部データから取り込んだ文字、ブロック内部の文字などがそれぞれ別のスタイルを参照していると、一つの設定を直しただけでは全体が復旧しません。「一部は直ったのに、別の場所はまだ文字化けしている」という場合は、複数の文字スタイルや個別設定が存在している可能性を疑う必要があります。
CADの文字化けを効率よく直すためには、最初から文字を打ち直すのではなく、原因を段階的に切り分けることが重要です。以下では、元データを壊さずに確認しながら、フォントや文字設定を修正していく7つの手順を解説します。
手順1 元データを保全して文字化けの範囲を確認する
文字化けを見つけたら、最初に行いたいのは元データの保全です。すぐに文字スタイルを変更したり、表示のおかしい文字を直接入力し直したりすると、後から原因を検証できなくなる可能性があります。まず受領したCADデータをそのまま保存し、修正作業は複製したファイルで進めます。
特に外部から受け取った図面では、修正前の状態を残しておくことが重要です。文字化けを直す過程では、フォントの置換、文字スタイルの変更、データ形式の保存し直しなどを行うことがあります。元の設定と比較できるファイルが残っていれば、修正によって意図しない変化が生じた場合にも戻して確認できます。
次に、文字化けが図面全体で発生しているのか、特定の文字だけなのかを確認します。例えば、表題欄、寸法文字、引出線の注記、施工上の注意書き、ブロック内部の属性文字など、文字の種類ごとに症状を見ていきます。同じように見える文字でも、内部では異なる文字スタイルが使われていることがあるためです。
症状の違いも重要な判断材料です。日本語がすべて記号になる場合、漢字だけ表示されない場合、英数字は正常だが日本語だけ崩れる場合、文章は読めるものの幅が大きく変わる場合では、疑うべき原因が異なります。文字が「読めない」のか、「別の書体になっている」のか、「配置だけ崩れている」のかを分けて考えると、原因を絞り込みやすくなります。
画面上だけではなく、別の表示倍率でも確認しておくと安心です。表示倍率によって一時的に文字の描画が崩れて見えるケースや、表示更新によって状態が変わる場合もあるためです。画面表示の問題なのか、図面データそのものの設定なのかを判断するためにも、再表示や再読込を試しながら確認します。
可能であれば、作成者が意図した状態を確認できる資料も用意します。過去に出力された図面、確認用に保存された文書、現場で使った紙図面などがあれば、正しい文字列や配置を判断する参考になります。文字が完全に読めない状態で推測して修正すると、フォントだけでなく文章そのものを誤って変更するおそれがあるためです。
また、文字化けが発生した場所をいくつか代表例として記録しておくと、修正後の確認が容易になります。図面番号、レイアウト、付近の通り芯、測点、部材番号など、再度同じ場所を見つけられる情報を残しておきます。修正前後を同じ位置で比較することで、問題が本当に解消したか判断しやすくなります。
この段階では、まだ大きな設定変更を行わないことがポイントです。まず「どこが」「どのように」文字化けしているのかを把握し、原因調査の対象を明確にしてから次の手順へ進みます。
手順2 使用されているフォントと文字スタイルを確認する
文字化けの範囲を確認したら、次は対象文字が参照している文字スタイルとフォントを調べます。CADでは、文字オブジェクトが直接フォントを指定しているとは限らず、文字スタイルを介してフォントを参照していることが一般的です。そのため、表示がおかしい文字を選択し、どの文字スタイルが割り当てられているかを確認することが重要です。
文字スタイルの設定画面では、登録されているスタイル名と、それぞれが参照するフォントを確認します。ここで、環境内に存在しないフォントが指定されている場合は、フォント不足が原因である可能性が高くなります。ただし、名前だけを見て判断するのではなく、実際にCADがそのフォントを正常に認識しているかも確認します。
同じ図面内に似た名称の文字スタイルが複数存在する場合は注意が必要です。例えば、標準注記用、寸法用、表題欄用、既存図面から取り込まれた文字用など、用途別に異なるフォントが設定されていることがあります。一つのスタイルだけを変更しても、別のスタイルを使った文字は変化しません。
また、文字オブジェクト側に個別設定が上書きされていないかも確認します。文字スタイルでは正常なフォントが指定されているのに、一部の文字だけ表示が異なる場合は、個別の書式設定や特殊な文字情報が含まれている可能性があります。複数行の文字では、文章の途中だけ異なる書体や記号設定が含まれている場合もあります。
寸法文字については、一般の注記文字とは別の設定を参照していることがあります。寸法スタイルの中で文字スタイルが指定されていれば、その参照先まで追って確認します。引出線や注釈、ブロック属性などについても同様です。見た目が「文字」であっても、どの設定から表示条件を引き継いでいるかはオブジェクトの種類によって異なります。
ブロック内の文字が化けている場合は、ブロックの外側にある通常文字だけを確認しても原因を特定できません。ブロック定義の内部に文字スタイルが保持されていたり、属性文字が別設定を利用していたりするためです。図面の一部だけが直らない場合は、ブロック内部も確認対象にします。
ここで大切なのは、文字スタイル名を変更することではなく、「どのスタイルが、どのフォントを参照し、そのフォントが現在の環境で利用できるか」という関係を把握することです。この関係が分かれば、必要なフォントを用意するべきか、利用可能なフォントへ置換するべきか判断しやすくなります。
文字スタイルを整理するときは、いきなり複数のスタイルを同じフォントへ変更せず、まず代表的な一つで表示結果を確認する方法が安全です。変更後に文字幅や高さが大きく変わらないかを確認し、問題がなければ対象範囲を広げます。
手順3 不足しているフォントを特定して利用環境をそろえる
文字スタイルが参照しているフォントが利用環境に存在しないと分かった場合は、不足しているフォントを特定します。図面を開いた際にフォント不足に関する通知が表示されるCAD環境では、その情報も確認材料になります。
フォントをそろえる際には、利用権限や社内ルールを確認したうえで適切に扱うことが重要です。外部から受け取ったフォントファイルを無条件にコピーして使用できるとは限りません。組織で利用が認められているフォントか、配布や共有が認められているかを確認します。フォント不足を直すためであっても、利用条件を無視してファイルを受け渡す方法は避けます。
社内で標準フォントを定めている場合は、その標準環境に合わせる方法が管理しやすくなります。同じ部署やプロジェクト内で端末ごとに異なるフォント環境を使っていると、一度直した図面でも別の担当者が開いたときに再び表示が変わる可能性があります。個人の端末だけで直すのではなく、図面を扱うチーム全体で利用できる環境を意識することが重要です。
CAD固有の線画型フォントを使用している場合には、関連するフォントファイルの配置場所も確認します。CADが参照するフォルダにファイルが存在していても、検索対象として設定されていなければ認識されないことがあります。逆に、同じ名前の古いファイルが別の検索先に残っていると、意図しないものが参照される可能性もあります。
日本語用の補助フォントを組み合わせて使用する構成では、英数字用のフォントだけが存在していても十分ではありません。英数字が正常だからフォントに問題はないと判断せず、日本語表示に関係する設定まで確認する必要があります。特に古いCADデータを再利用するときは、当時の社内標準設定が現在の環境に残っていない場合があります。
不足フォントを追加した後は、CADを再起動したり図面を開き直したりして、正常に認識されたか確認します。設定画面にフォント名が表示されただけではなく、実際の文字が想定どおり描画されることを確認します。
ただし、元のフォントを必ず復元しなければならないわけではありません。長期間使う図面や複数組織で共有する図面では、特殊なフォントへの依存を残すより、利用環境をそろえやすい標準的なフォントへ移行したほうが管理しやすいケースもあります。その場合は、次の手順で代替フォントを設定し、配置への影響を確認しながら置換します。
手順4 代替フォントの設定を見直して表示を復旧する
元のフォントを利用できない場合や、今後の共有を考えて標準フォントへ統一したい場合は、代替フォントを設定します。ただし、読めるフォントを適当に選ぶだけでは十分ではありません。フォントによって文字幅、高さ、基準位置、記号の形状などが異なるため、図面全体のレイアウトに影響する可能性があります。
まず代表的な文字スタイルを一つ選び、利用環境で安定して使える日本語対応フォントへ変更します。そのうえで、文字が正しく表示されるか確認します。漢字、ひらがな、カタカナ、英数字、括弧、単位記号など、図面で使用頻度の高い文字を確認するとよいでしょう。
次に確認したいのが文字幅です。元のフォントより横幅が広いフォントへ変更すると、枠内に収まっていた注記がはみ出す場合があります。逆に狭いフォントへ変更すると、文章の折り返し位置が変わり、複数行文字の高さが変化することがあります。表題欄、図面注記、数量表示、部材名称など、枠や線の近くに配置された文字は特に確認が必要です。
寸法文字では、フォント変更による影響がさらに分かりやすく現れます。寸法値が長くなることで寸法補助線や矢印との位置関係が変わり、図面が読みづらくなることがあります。単に数字が読めるかだけでなく、寸法線全体の見え方を確認します。
代替設定を使う場合には、どの不足フォントをどのフォントへ置換したのか記録しておくと便利です。後日元の環境で開く可能性がある場合や、他部署へデータを渡す場合に、表示が変わった理由を説明しやすくなります。
CADによっては不足フォントに対して自動的に代替フォントを使うことがあります。この機能によって図面を開くこと自体はできても、意図したフォントが復元されたわけではありません。「警告が出なくなったから直った」と判断せず、文字スタイルの参照先を確認し、意図した設定になっていることを確かめます。
また、同じ不足フォントが複数の文字スタイルから参照されている場合は、修正範囲を把握してから変更します。一括置換は効率的ですが、図面内で意図的に書体を使い分けていた場合、その違いまで失われる可能性があります。まず用途を確認し、同じ目的で使われているスタイルだけを整理することが安全です。
代替フォントへ変更した後は、代表位置だけでなく図面全体を確認します。文字化けがなくなったとしても、文字の重なり、改行ずれ、枠外へのはみ出しなどが発生していれば、まだ修正完了とはいえません。
手順5 文字スタイルと個別文字の設定を整理する
フォントを正しく設定しても一部の文字が直らない場合は、文字スタイルと個別文字の設定が混在していないか確認します。長期間更新されてきたCAD図面では、コピーや流用を繰り返すうちに多数の文字スタイルが蓄積していることがあります。
例えば、見た目が同じ注記でも、一方は現在の標準文字スタイルを使い、もう一方は過去図面から持ち込まれた別のスタイルを使っている場合があります。この状態では、標準文字スタイルのフォントを直しても、過去のスタイルを参照する文字は変化しません。
まず文字化けしている箇所をいくつか選び、文字スタイル名を比較します。同じ症状なのに異なるスタイルが使われているなら、それぞれの設定を確認します。反対に、同じスタイルなのに一部だけ表示が異なる場合は、文字オブジェクト側の個別設定を疑います。
複数行の注記では、文章の一部だけ別のフォント情報を保持していることがあります。コピーした文章を貼り付けた場合などには、見た目では分かりにくい書式情報が残ることがあります。このようなケースでは、文字スタイル側を変更しても一部が追従しない可能性があります。
ブロック属性についても注意が必要です。図枠の図面番号、部材番号、測点名、設備名称などが属性として管理されている場合、通常の文字とは異なる設定経路を持つことがあります。ブロック定義側の文字スタイルを修正しても、既に配置済みの属性値へ反映させるために更新操作が必要な場合があります。
寸法や引出線なども同様に、文字スタイルだけでなく、それぞれの注釈設定を確認します。図面全体の文字を統一したい場合でも、一般文字、寸法文字、属性文字などを同じ操作で一括変更できるとは限りません。
文字スタイルを整理するときは、不要なスタイルをすぐ削除するより、まず参照状況を確認するほうが安全です。現在使われていないように見えても、ブロック内部などから参照されている可能性があります。整理の目的はスタイル数を減らすこと自体ではなく、どの文字がどのフォントを利用しているか分かりやすい状態にすることです。
社内標準の文字スタイルが決まっている場合は、修正後の図面をそのルールへ近づけておくと、次回以降の文字化け防止につながります。スタイル名、使用フォント、文字高さの考え方などを統一しておけば、担当者が変わっても原因を追いやすくなります。
ただし、既存図面の見た目を大きく変える必要がない場合は、過剰な整理をしないことも重要です。文字化けの復旧と図面全体の標準化は別の作業として考え、今回必要な範囲を明確にして進めます。
手順6 文字コードやデータ変換による文字化けを確認する
フォントと文字スタイルを修正しても正しい文字にならない場合は、文字データそのものが変換過程で変化していないか確認します。特に他形式から取り込んだデータ、古い環境で作成されたデータ、複数のシステム間を行き来したデータでは注意が必要です。
フォント不足の場合、元の文字列データが残っていれば適切なフォントへ変更するだけで正常表示に戻る可能性があります。一方、文字コードなどの変換で文字列自体が別の文字に置き換わっている場合は、フォントを変更しても元の文章には戻りません。
この違いを判断するには、同じ文字列が別の場所でも同じように崩れているかを確認します。例えば、特定の記号だけが図面全体で共通して異なる文字になっている場合は、データ変換時の扱いを疑う材料になります。また、通常の日本語は読めるのに特殊文字だけが崩れている場合も、使用文字とフォントの収録範囲、または変換処理を分けて確認します。
元データが残っている場合は、変換前の図面と比較することが最も確実です。変換前では正しく表示され、変換後だけ文字が変わっているなら、保存形式や変換方法が原因である可能性が高まります。同じデータを異なる手順で変換し、結果を比較する方法も有効です。
文字を直接打ち直す場合は慎重に行います。図面上の文章が読み取れない状態で推測して入力すると、技術的な指示内容を変えてしまうおそれがあります。施工条件、材料名称、寸法に関する注記などは、文字の誤りが実務へ影響する可能性があります。元図、承認済み資料、設計資料など、正しい内容を確認できる資料と照合してから修正します。
また、記号が別のフォントに依存している場合もあります。見慣れない記号が文字化けに見えても、もともと特定用途の記号として登録されているケースがあります。この場合、一般的な日本語フォントへ変更すると別の文字に置き換わる可能性があります。記号の意味が不明な場合は、単純に削除したり似た文字へ置換したりせず、元図との照合を優先します。
データ形式を保存し直す場合は、いきなり元ファイルを上書きせず、別名保存で検証します。保存前には正常だった文字が再読込後に崩れる場合、保存時の変換処理が関係している可能性があります。修正した直後の画面だけを見るのではなく、保存して閉じ、もう一度開いた状態まで確認することが重要です。
古いCADデータを現在の運用環境へ移行する場合は、一度に大量の図面を変換する前に代表図面で検証します。文字種類、寸法、ブロック属性、特殊記号などが多い図面を選び、問題なく移行できることを確認してから対象範囲を広げると、後戻りを減らせます。
手順7 保存・再読込・出力で修正結果を確認する
文字化けが画面上で直ったら、最後に保存、再読込、出力まで確認します。CADでは編集画面上で正常に見えていても、再度開いたときや印刷用データを作成したときに表示結果が変わることがあります。そのため、画面上で読める状態になっただけで完了と判断しないことが重要です。
まず修正版を別名で保存し、いったん閉じてから再度開きます。保存後も文字スタイルとフォントの設定が維持されているか、代替設定に戻っていないかを確認します。特に外部フォントへの参照設定を変更した場合は、再起動後にも同じ表示になるか確認します。
次に、手順1で記録した代表箇所を順番に見直します。表題欄、寸法値、一般注記、ブロック属性、特殊文字など、種類の異なる文字を確認すると、修正漏れを見つけやすくなります。
確認するときは、文字内容だけでなくレイアウトも見ます。文字が枠線に重なっていないか、複数行注記の改行位置が変わっていないか、寸法値と寸法線の関係が崩れていないか、文字高さが周囲と不自然に異なっていないかを確認します。
続いて、実際の運用で使用する出力状態を確認します。印刷用の出力や確認用データなど、普段図面を共有する方法で表示を確認します。CAD画面では問題がなくても、出力処理でフォントの扱いが変わる可能性があるためです。
複数の担当者が利用する図面であれば、可能なら別の作業環境でも確認します。修正した端末だけに存在するフォントへ依存していると、他の担当者が開いた際に再び文字化けする可能性があります。チームで利用するCAD図面は、一人の環境で正常に開くことより、運用対象となる環境で同じ結果を再現できることが重要です。
外部へ渡すデータでは、使用フォントの扱いについても共有ルールを確認します。特殊なフォントを使い続ける場合は、相手側でも利用可能かを事前に確認する必要があります。一方、組織間でフォント環境をそろえることが難しい場合は、汎用的に利用できる文字設定へ整理しておくほうがトラブルを減らしやすくなります。
最終確認では、文字化け修正と同時に図面内容を変更していないかも確認します。文字スタイルの修正中に文章を誤って編集したり、寸法文字を直接変更したりしていないことを確認します。CAD図面では表示上の問題と設計内容の変更を分けて管理することが大切です。
修正内容を簡単に記録しておくことも有効です。どの文字スタイルを変更したか、どのフォントを置換したか、どの範囲を確認したかが分かれば、同じ提供元から別の図面を受け取ったときにも対応しやすくなります。
CADデータを受け渡すときに文字化けを防ぐポイント
文字化けは発生してから直すこともできますが、図面を受け渡す段階で予防しておくほうが効率的です。特に複数部署や協力会社との間でCADデータをやり取りする現場では、文字設定を一定のルールで管理することが重要です。
まず、図面作成に使用するフォントを必要以上に増やさないことが基本です。担当者ごとに異なるフォントを使うと、図面を統合した際に多数の文字スタイルが混在します。使用するフォントや文字スタイルをある程度標準化しておけば、別環境へ移したときの問題を減らせます。
過去図面からオブジェクトをコピーするときも注意します。図形だけをコピーしたつもりでも、その図形が参照する文字スタイルなどの設定が一緒に取り込まれることがあります。異なるプロジェクトから繰り返しコピーすると、図面内に似た文字スタイルが増え、どれを修正すればよいか分かりにくくなります。
受領したCADデータを社内標準図面へ取り込む場合は、取り込み前に文字スタイルを確認する運用も有効です。文字化けが発生してから大量の文字を修正するより、外部データを取り込む段階で設定を確認したほうが影響範囲を抑えられます。
図面を渡す側では、受け手が特殊なフォントを持っていることを前提にしないことも大切です。自分の作業端末だけでは長年正常に表示されているため、特殊なフォントに依存していることへ気付かないケースがあります。別環境で開くテストを行えば、こうした依存関係を発見しやすくなります。
古い図面を再利用する場合にも文字設定を確認します。何年も前に作成されたCAD図面は、現在とは異なるフォント構成や文字スタイルを使用している可能性があります。そのまま新しい図面のひな型として利用すると、古い設定が新規図面へ引き継がれます。過去図面を流用するときこそ、文字スタイルの整理が重要です。
また、図面上の文字を単なる表示要素として扱わず、情報管理の一部として考えることも必要です。測点名、部材番号、施工位置、注記などは、現場で実物と照合するための重要な情報です。文字化けして読めなくなれば、図面操作上の不便だけでなく、現場確認や記録整理にも影響します。
そのため、CADデータを共有するルールには、保存形式だけでなく、使用文字スタイルやフォント環境についても含めておくと管理しやすくなります。担当者が変わっても同じ条件で図面を開ける状態を目指すことが、長期的な文字化け対策につながります。
図面修正だけで終わらせず現場情報との対応も確認する
CADの文字化けを修正するときは、図面上で文字が読めるようになったことだけで終わらせず、必要に応じて現場情報との対応関係も確認することが大切です。特に施工管理や測量で利用する図面では、測点名、位置番号、構造物名称、出来形確認位置などの文字情報が、現地の対象物を識別する手掛かりになります。
例えば、文字化けによって測点名が読めなかった図面を修正した場合、復元された名称が現地の記録と一致しているか確認しておくと安心です。フォントの問題だけであれば元の文字列がそのまま表示されますが、過去のデータ変換で文字そのものが変わっていた場合、見た目を整えただけでは正しい情報にならないことがあります。
施工位置の確認では、CAD上の座標情報と現地記録のつながりも重要です。同じ名称の測点や部材が複数存在する現場では、名称だけで判断すると取り違えが起きる可能性があります。位置、日時、写真などを合わせて管理できれば、文字情報を修正した後の照合もしやすくなります。
図面修正を行った際には、現地で撮影した写真や位置記録と対応させる方法もあります。例えば、CAD上の測点番号と現地写真の位置を照合できれば、注記の内容がどの場所を示しているのか確認しやすくなります。文字化けした図面の復旧だけでなく、図面情報と現場記録を一体として確認することで、修正後の情報を実務へつなげやすくなります。
LRTK Phoneを活用する場合は、現地の位置情報を基準に写真や計測記録を整理し、CAD上の対象位置と照合する運用を検討できます。図面内の文字情報だけに頼らず、位置を手掛かりとして現地記録へつなげることで、測点名や施工箇所の確認を補助できます。
CAD図面は設計や施工情報を整理する重要な資料ですが、現場では図面だけで判断するのではなく、実際の位置や記録との整合を確認することが重要です。文字化け修正をきっかけに、図面内の名称、座標、現場写真、施工記録などの管理方法まで見直すと、将来のデータ再利用もしやすくなります。
まとめ
CADで文字化けが起きた場合、原因をフォントだけに限定して考えると、修正に時間がかかることがあります。文字化けには、不足フォントによる代替表示、文字スタイルの参照違い、個別書式の残存、CAD固有のフォント設定、文字コードやデータ変換など、複数の原因が考えられます。
まず元データを保全し、どの文字がどのように崩れているかを確認します。次に文字スタイルと参照フォントを調べ、不足しているフォントや代替設定を確認します。それでも直らない場合は、個別文字の設定やブロック属性、寸法文字などへ確認範囲を広げます。フォントを変えても文字そのものが正しくならない場合は、データ変換の過程まで確認する必要があります。
修正後は、画面で読めることだけを確認するのではなく、保存して開き直した状態や実際の出力状態まで確認します。フォントを変更すると文字幅や改行位置が変化する可能性があるため、表題欄、寸法、注記などの配置確認も欠かせません。
また、文字化けを繰り返さないためには、使用するフォントや文字スタイルを標準化し、図面を受け渡す環境を意識して管理することが重要です。過去図面から設定を無制限に引き継がないことや、特殊なフォントへの依存を把握しておくことも予防につながります。
施工や測量でCADを利用する場合には、図面上の文字が示す名称と、実際の現場位置や写真、計測記録との対応も重要です。CADの文字設定を正しく整えたうえで、LRTK Phoneを使って位置や現場記録を整理し、図面上の対象位置と照合できる運用へつなげれば、図面修正後の確認や現場情報の整理をより進めやすくなります。