ビューポートごとの画層表示を理解する
CADで一つのモデルから複数の図面を作成するとき、同じ図形を使用しながら、ビューポートごとに異なる情報を表示したい場面があります。たとえば、平面図では寸法と通り芯を表示し、設備図では一部の建築注記を非表示にして設備記号を読み取りやすくするといった使い分けです。
このような表示制御には、ビューポートごとの画層フリーズ機能を利用します。モデル空間の図形や画層を削除することなく、特定のレイアウトビューポートからだけ対象画層を見えない状態にできます。ただし、すべてのCADに同じ機能があるとは限らず、機能名、操作手順、対応範囲はソフトや版によって異なります。作業前に使用中のCADのヘルプで、現在のビューポートに対する画層フリーズ機能が利用できるかを確認すると安全です。
通常の画層の非表示や全体フリーズと、ビューポート単位のフリーズは意味が異なります。通常の画層非表示や全体フリーズを使用すると、その画層はモデル空間やほかのビューポートでも見えなくなります。一方、現在のビューポートだけを対象とするフリーズを使用すれば、選択したビューポートの表示だけを変更できます。
ここで重要なのは、ビューポート単位のフリーズは、図面全体で表示中または解凍中の画層に対して追加する表示制御だという点です。図面全体で画層が非表示またはフリーズになっている場合、現在のビューポート側だけで表示へ戻せない仕様のCADがあります。対象画層をそのビューポートだけで表示したい場合は、まず図面全体の表示状態を確認し、その後に各ビューポートのフリーズ状態を調整します。
作業を始める前に、現在操作している場所がモデル空間なのか、レイアウト上の用紙空間なのかを確認します。ビューポートごとの画層設定は、一般にレイアウト上で対象のビューポートをアクティブにした状態で行います。
ビューポートの内側をダブルクリックするなどして、その表示窓内のモデル空間を操作できる状態にすると、そのビューポートが現在の操作対象になります。この状態で画層管理画面を開くと、現在のビューポートだけを対象にする表示項目を操作できることがあります。画面上の表記はCADによって異なりますが、「現在のビューポートでフリーズ」「ビューポートフリーズ」「VPフリーズ」など、現在の表示窓だけに作用することが分かる項目を選びます。
ビューポートごとの設定は、主にモデル空間にある図形がレイアウトビューポート内でどのように表示されるかを制御します。用紙空間に直接配置した注記、タイトル、図枠、凡例などは、そのビューポートの内側にあるモデル図形ではないため、別途、用紙空間側の画層表示や印刷設定を管理する必要があります。
画層を非表示にした後は、意図したビューポートだけが変化しているかを確認します。複数のビューポートを並べた状態で比較すると、図面全体の設定を変更してしまったのか、現在のビューポートだけを変更できたのかを判断しやすくなります。
方法1 現在のビューポートだけで画層をフリーズする
最も基本的な方法は、レイアウト上で対象のビューポートをアクティブにし、そのビューポートだけで不要な画層をフリーズする方法です。特定の図面表示から一つまたは少数の画層を除外したいときに適しています。
最初に、画層を非表示にしたいビューポートが配置されているレイアウトを開きます。複数のビューポートがある場合は、どのビューポートを編集するのかを明確にします。ビューポートの内側を操作し、その表示窓がアクティブな状態になっていることを確認します。
次に画層管理画面を開き、現在のビューポートに対するフリーズ設定を探します。通常の表示、非表示、全体フリーズとは別の列として用意されていることがあります。対象画層の現在のビューポート用フリーズを有効にすると、そのビューポート内では対象画層の図形が表示されなくなります。
この操作で重要なのは、図面全体に作用する通常の画層フリーズを選ばないことです。全体フリーズを使用すると、別のビューポートやモデル空間でも同じ画層が見えなくなります。画層管理画面に似た形のアイコンが並んでいる場合は、列の見出し、ツールチップ、ヘルプを確認してから操作します。
また、対象画層が図面全体で非表示またはフリーズになっていると、現在のビューポート用の設定を解凍しても図形が表示されない場合があります。現在のビューポート用フリーズは、図面全体の表示状態より優先して非表示にするための設定であり、全体で非表示の画層を例外的に表示する機能とは限りません。
設定後は、ビューポートの外側をダブルクリックするなどして用紙空間へ戻ります。そのうえで、ほかのビューポートに同じ画層の図形が残っているかを確認します。対象のビューポートだけで図形が消えていれば、設定は正しく反映されています。
たとえば、一つのレイアウトに全体平面図と部分詳細図を配置しているとします。全体平面図では基準線や補助記号を表示し、部分詳細図では仕上げ線を見やすくするために補助記号を非表示にしたい場合があります。このとき、部分詳細図のビューポートだけで補助記号用画層をフリーズすれば、全体平面図の表示を変えずに詳細図を整理できます。
この方法は単純で分かりやすい反面、対象画層が多い場合は操作回数が増えます。数十個の画層を個別に探して設定すると、選択漏れや別画層の誤操作が起こりやすくなります。画層数が多い図面では、後述する画層フィルターや設定済みビューポートの複製を併用すると効率的です。
設定が完了したら、ビューポートの尺度と表示位置も確認します。画層設定の作業中に画面を拡大、縮小、移動すると、意図せず表示範囲が変わることがあります。図面の表示範囲が確定した後は、ビューポートをロックしておくと、誤操作による尺度変更や表示位置のずれを防ぎやすくなります。
方法2 図形を選択して所属画層を非表示にする
非表示にしたい画層名が分からない場合は、ビューポート内に表示されている図形を直接選択し、その図形が所属する画層を現在のビューポートでフリーズする方法が便利です。選択した図形の画層をフリーズする機能と、現在のビューポートだけに適用する設定の両方に対応しているCADで利用できます。
複雑な図面では、画層名だけを見ても、どの図形が含まれているのか判断しにくいことがあります。画層数が多く、似た名前が並んでいる場合は、画層管理画面から目的の画層を探すよりも、図面上の対象図形を選択したほうが早く設定できます。
作業するときは、対象のビューポートをアクティブにし、非表示にしたい図形を選択します。その後、選択した図形の所属画層を現在のビューポートでフリーズする機能を実行します。CADによっては、画層関連の操作メニュー、右クリックメニュー、画層ツール、コマンド設定の中に同様の機能があります。既定動作が図面全体のフリーズになっている製品もあるため、実行前に「現在のビューポートのみ」が選択されているかを確認します。
この方法を使うと、選択した図形だけではなく、その図形と同じ画層に所属するほかの図形も非表示になります。そのため、操作前に画層の内容を確認することが大切です。
たとえば、平面図内の一つの注記を選んで画層をフリーズしたところ、同じ画層に配置されていた必要な寸法まで消えることがあります。これは機能の不具合ではなく、画層単位で表示が制御されているためです。図形単体を一時的に隠す操作と、図形が所属する画層を非表示にする操作を混同しないようにします。
選択した図形の画層を事前に確認したい場合は、図形情報やプロパティ画面を開きます。画層名だけでなく、図形の種類やブロック参照、外部参照の一部であるかも確認すると、非表示による影響範囲を判断しやすくなります。
ブロックや外部参照を選択した場合は、選択方法やネスト階層の設定によって、ブロック参照自体の配置画層が対象になるのか、内部で指し示した図形の画層が対象になるのかが変わることがあります。意図した内部画層ではなく参照全体の配置画層をフリーズすると、ブロックまたは外部参照全体が消える場合があります。実行前に、ブロックや外部参照に対する選択設定を確認します。
外部参照の一部だけを隠したい場合は、参照先の画層構成を確認し、目的の図形が分けて管理されている画層を選択します。参照元で多数の図形が同じ画層にまとめられていると、現在の図面側から一部だけを画層単位で隠すことはできません。
この方法は、画面上で不要な図形を見つけながら設定できるため、確認作業と表示整理を同時に進められる点が利点です。特に、詳細図や部分拡大図など、限られた範囲の表示を短時間で整えたい場合に向いています。
一方で、複数の図形を次々に選択して画層を非表示にすると、どの画層を変更したのか分からなくなることがあります。作業後に画層管理画面を開き、現在のビューポートでフリーズされている画層を確認しておくと、後から修正しやすくなります。
方法3 画層フィルターで複数画層をまとめて非表示にする
多くの画層をまとめて非表示にする場合は、画層フィルターを利用する方法が効率的です。設備、寸法、注記、補助線、既設物、新設物など、用途ごとに画層名が整理されている図面で特に有効です。
画層フィルターは、名前や属性などの条件を使い、条件に一致する画層だけを画層管理画面に表示したり、グループとして扱いやすくしたりする機能です。図面全体に多数の画層が含まれていても、対象となる画層だけを絞り込めるため、選択ミスを減らせます。
まず、対象のビューポートをアクティブにします。次に画層管理画面を開き、既存の画層フィルターを選択するか、新しい条件を設定します。画層名に共通する文字が含まれている場合は、その文字を条件にすると対象をまとめやすくなります。
絞り込まれた画層を確認してから複数選択し、現在のビューポート用フリーズを有効にします。CADによっては、フィルター自体に対して現在のビューポートの表示を切り替えられる場合もあります。いずれの操作でも、対象がフィルターに含まれる画層なのか、含まれない画層なのかを画面の説明で確認してから実行します。
たとえば、施工説明用のビューポートでは、測量補助線や作業用メモを表示する必要がない場合があります。補助情報用の画層名に共通の分類が設定されていれば、その分類をフィルターで抽出し、まとめて非表示にできます。
フィルターを使う際は、画層名の付け方が統一されていることが前提になります。同じ用途の画層でも名称が不統一だと、一部の画層が条件から外れます。結果として、非表示にしたつもりの情報がビューポート内に残ることがあります。
また、名前だけで抽出すると、似た文字を含む別用途の画層まで選ばれる可能性があります。まとめてフリーズする前に、抽出された画層名を確認し、対象外の画層が混ざっていないかを確認します。
画層フィルターは、画層そのものを統合したり削除したりする機能ではありません。画層を絞り込んで操作しやすくするためのものです。そのため、フィルター表示を解除しても、すでに設定したビューポートごとのフリーズ状態は通常そのまま残ります。
実務では、図面用途に応じたフィルターをあらかじめ準備しておくと作業が安定します。たとえば、印刷不要画層、設備関連画層、寸法関連画層、既設情報画層など、頻繁に使う分類を用意します。担当者ごとに異なる条件を作るのではなく、社内や案件内で共通のフィルターを使用すると、誰が作業しても同じ範囲を選択しやすくなります。
画層フィルターを使った一括操作は便利ですが、一度に大きく表示を変えるため、変更前後の確認が欠かせません。特に印刷直前の図面では、必要な注記、寸法、基準線まで消えていないかをレイアウトと印刷プレビューの両方で確認します。
方法4 新しく作成するビューポートの初期表示を設定する
特定の画層を新しいビューポートでは常に非表示にしたい場合は、新規ビューポートに対する初期フリーズ設定を使用します。この機能に対応するCADでは、ビューポートを作成するたびに同じ画層を手作業で非表示にする必要がなくなり、設定漏れを減らせます。
図面には、作図補助線、確認用記号、社内メモ、仮設情報など、モデル空間では必要でも完成図面には通常表示したくない画層があります。このような画層を新しいビューポートで最初から非表示にしておけば、レイアウト作成後の整理作業を短縮できます。
画層管理画面には、今後作成する新しいビューポートで画層をフリーズするための設定が用意されている場合があります。この設定を有効にした画層は、既存のビューポートには影響を与えず、設定後に新しく作成したビューポートで非表示になるのが一般的です。
既存のビューポートまで非表示になると考えて操作すると、期待した結果になりません。新規ビューポート用の設定は、これから作成するビューポートの初期状態を決めるためのものです。すでに配置されているビューポートについては、個別に現在のビューポート用フリーズを設定します。
この方法は、図面テンプレートと組み合わせると効果的です。案件で共通して使用する画層を整理し、印刷用ビューポートでは通常表示しない画層に初期フリーズを設定しておけば、レイアウトを追加した時点で基本的な表示状態が整います。
ただし、すべてのビューポートで不要とは限らない画層を初期フリーズすると、必要な情報が表示されないまま作業が進む可能性があります。初期設定の対象は、補助作業専用など、通常の出力では使用しないことが明確な画層に絞るのが安全です。
新規ビューポート用のフリーズ設定が有効になっていることを知らない担当者が作業すると、「モデル空間には図形があるのに、新しく作ったレイアウトビューポートでは表示されない」という混乱が起こります。画層管理画面で現在のフリーズ状態だけを確認しても原因が分からない場合は、新規ビューポート用の設定も確認します。
運用ルールとして、初期フリーズを設定する画層の目的を画層名や図面管理資料に記録しておくと、後から理由を確認しやすくなります。不要になった設定を放置せず、図面の用途が変わったときに見直すことも重要です。
新規ビューポートの初期表示を整える方法は、同じ形式のレイアウトを多数作成する業務に向いています。複数階の平面図、区間別の施工図、縮尺の異なる案内図などを連続して作る場合、毎回の画層操作を減らせます。
方法5 設定済みビューポートを複製して表示を統一する
同じ画層表示を持つビューポートを複数作成する場合は、一つのビューポートを正しく設定し、それを複製する方法が効率的です。多くのCADでは複製したビューポートに尺度や表示範囲などのプロパティが引き継がれますが、ビューポート固有の画層フリーズや注釈関連設定まで同じ状態で複製されるかは、製品、版、複製方法によって確認が必要です。
最初に基準となるビューポートを作成します。表示範囲、尺度、画層のフリーズ状態を整え、印刷プレビューで問題がないことを確認します。その後、ビューポートを用紙空間上で複製し、複製したビューポートの表示位置や範囲を変更します。
たとえば、同じ縮尺で複数の区画を掲載するレイアウトでは、区画ごとに新しいビューポートを一から作るよりも、設定済みのビューポートを複製したほうが、画層表示を統一しやすくなります。
複製後は、画層のフリーズ状態、尺度、表示スタイル、注釈尺度、表示範囲をそれぞれ確認します。複製元の状態が引き継がれているように見えても、一部の設定が初期化されたり、別の設定に依存したりする可能性があります。複製しただけで同一になると決めつけず、各ビューポートを確認することが安全です。
ビューポートを複製した後、モデルの表示範囲を移動するときは、尺度を変えないように注意します。画面操作によって意図せず拡大率が変わると、同じレイアウト内で図面尺度が不統一になります。表示位置を調整した後は、尺度の数値を確認し、ビューポートをロックします。
複製する方法は、表示設定の標準化にも役立ちます。案件内で使用する代表的なビューポートをあらかじめ用意し、全体図用、詳細図用、設備図用、確認図用などの基準として管理します。担当者は目的に近いビューポートを複製し、必要な部分だけを変更します。
ただし、複製元に誤った画層設定が含まれていると、その誤りも引き継がれる可能性があります。基準となるビューポートは、必要な画層が表示されているか、不要な画層が非表示になっているかを確認してから使用します。
また、複製したビューポートの枠が印刷対象の画層に配置されていると、枠線が印刷される場合があります。ビューポート枠は専用画層に配置し、その画層の印刷設定を適切に管理すると、画面上では枠を確認しながら、印刷物には枠を出さない運用ができます。
ビューポート枠の画層を非表示またはフリーズにすると、境界が見えなくなり、選択や編集が難しくなることがあります。枠線を印刷しない目的であれば、画層を常時非表示にする方法だけでなく、画面上では表示したまま印刷対象から除外する設定も検討します。
設定済みビューポートの複製は、単なる作業短縮ではなく、図面品質をそろえるための方法です。尺度、表示範囲、画層構成を基準化し、複製後の確認項目も統一することで、担当者による仕上がりの差を抑えられます。
ビューポートで画層を非表示にできない原因
正しい操作をしたつもりでも、画層が消えない、別のビューポートまで消える、設定が元に戻るといった問題が起こることがあります。原因を切り分けるときは、操作対象、図面全体の画層状態、現在のビューポートの状態、図形の所属を順番に確認します。
最初に確認したいのは、対象のビューポートがアクティブになっているかどうかです。用紙空間の状態で図面全体の画層フリーズを操作すると、現在のビューポートだけではなく、モデル空間やほかのビューポートにも影響します。ビューポートの内側を操作し、現在の表示窓が対象になっていることを確認します。
次に、使用した項目が通常の非表示なのか、全体フリーズなのか、現在のビューポート用フリーズなのかを確認します。画層管理画面では似た記号が並ぶことがあるため、誤った列を操作しやすくなります。
図面全体で画層が非表示またはフリーズになっている場合も注意が必要です。現在のビューポート用フリーズを解除しても、全体設定が優先されて図形は表示されません。まず全体の画層を表示または解凍し、そのうえで不要なビューポートだけをフリーズする順番で整理します。
図形が想定した画層に所属していないケースもあります。見た目が同じ図形でも、別の画層に配置されていることがあります。消したい図形が残る場合は、その図形を選択し、実際の所属画層を確認します。
ブロック化された図形では、ブロック参照の配置画層と、ブロック定義内の各図形の画層が異なることがあります。ブロック参照の配置画層を非表示またはフリーズにすると、通常はブロック全体が見えなくなります。一方、参照の配置画層を表示したまま内部図形の画層をフリーズすると、内部の画層構成に応じて一部だけが見えなくなる場合があります。選択による画層フリーズを使うときは、参照自体と内部図形のどちらの画層を選んでいるのかを確認します。
外部参照を使用している場合は、参照図面から読み込まれた画層と、現在の図面で作成した画層を区別します。参照図面側で画層が追加、削除、名称変更されると、以前のビューポート設定と対応しなくなることがあります。参照を更新した後に表示が変わった場合は、参照由来の画層設定を確認します。
画層が非表示になっているのに図形のようなものが残る場合は、同じ位置に重複図形がないかを確認します。異なる画層に同じ線が重なっていると、一方を非表示にしても見た目が変わらないことがあります。図形を選択して所属画層を確認するか、周囲の画層を一時的に分離して重複を調べます。
設定が反映されないように見えるときは、表示の再生成や更新で改善する場合があります。大きな図面や複雑な参照データを扱っていると、表示情報の更新に時間がかかることがあります。ただし、再生成で直らない場合は、表示処理だけの問題と決めつけず、画層設定、参照状態、ビューポートの重なりを見直します。
ビューポートが重なっている場合も注意が必要です。別のビューポートが同じ範囲を表示していると、対象の画層を非表示にしても、ほかのビューポートを通じて図形が見えているように感じることがあります。ビューポートの境界を一時的に確認し、重なり、形状、配置順を調べます。
画層状態を復元する操作や、テンプレート、スクリプト、連携機能によって設定が戻る場合もあります。ビューポート固有の設定を保存対象に含めるかどうかは機能によって異なるため、復元後に画層状態が変わる場合は、保存対象と適用範囲を確認します。
画層表示の設定ミスを防ぐ管理方法
ビューポートごとの画層設定は便利ですが、図面が複雑になるほど管理が難しくなります。設定ミスを防ぐためには、画層名、ビューポートの用途、変更手順、確認方法を標準化することが重要です。
画層名は、図形の内容だけでなく、用途や表示対象が判断できるようにします。寸法、文字、補助線、既設、新設、設備、施工範囲などの分類が名称から分かれば、ビューポートごとの表示設定を行いやすくなります。
同じ意味の画層に複数の命名方法を使用すると、フィルターや一括設定が機能しにくくなります。案件開始時に命名規則を決め、途中で追加する画層にも同じ規則を適用します。
ビューポートにも用途が分かる識別情報を持たせると管理しやすくなります。画面上で直接名称を表示できない場合でも、レイアウト名、周囲の注記、図面管理資料などに用途を記録します。
設定後は、モデル空間とレイアウトの両方を確認します。モデル空間で図形が存在することを確認し、各ビューポートで必要な情報だけが表示されているかを比較します。表示だけでなく、印刷プレビューで線や文字が正しく出力されるかも確認します。
図面をほかの担当者へ渡す場合は、ビューポートごとのフリーズ設定が使用されていることを共有します。仕組みを知らない担当者が通常の画層表示だけを確認すると、図形が消えている理由を判断できないことがあります。
修正作業では、変更前に現在の設定を記録しておくと安全です。画層状態を保存する機能が利用できる場合は、対象のビューポートをアクティブにした状態で、ビューポート固有の設定が保存対象に含まれるかを確認します。保存機能によっては、通常の画層状態だけを保存し、ビューポート固有の状態を含めるには追加設定が必要です。
ビューポートの編集後はロックを行います。ロックは画層設定そのものを固定する機能ではありませんが、尺度や表示位置の誤変更を防ぐために有効です。画層を確認するために表示範囲を移動した後、そのまま保存してしまう事故を減らせます。
基準となるレイアウトやビューポートをテンプレート化する場合は、必要な画層が追加されたときの扱いも決めます。既存のフィルター条件に新しい画層が含まれるのか、新規ビューポート用フリーズが自動的に適用されるのかを確認しないと、後から追加した情報だけが意図せず表示されることがあります。
最終確認では、各ビューポートの役割に応じたチェックを行います。全体図では位置関係を示す情報が不足していないか、詳細図では不要な広域情報が残っていないか、説明図では補助情報が過剰になっていないかを確認します。
図面の種類に応じた使い分け
ビューポートごとの画層非表示は、図面の種類によって使い方が変わります。すべてのビューポートで同じ基準を適用するのではなく、図面の目的に合わせて表示情報を整理します。
平面図では、建物や構造物の全体関係を把握できることが重要です。基準線、主要寸法、名称、方向を示す情報は残し、詳細施工だけに必要な補助線や確認記号を非表示にします。
詳細図では、対象部分を読み取りやすくすることを優先します。全体図で必要な通り芯や広域の注記が、詳細図では線の重なりを増やすことがあります。対象部分の形状、寸法、材料、施工条件に関係しない画層をビューポート単位で整理します。
設備図では、背景となる構造情報を完全に消すのではなく、必要な範囲を残しながら設備情報を見やすくします。背景の情報を非表示にしすぎると、設備の位置関係や施工箇所が判断しにくくなります。
施工ステップを示す図面では、工程ごとに表示する画層を切り替える方法が有効です。既設状態、撤去範囲、新設範囲、完成状態を画層で分け、ビューポートごとに必要な工程だけを表示します。一つのモデルから複数の工程図を作れるため、同じ図形を工程ごとに複製して管理する作業を減らせます。
比較図では、同じ表示範囲と尺度を持つビューポートを並べ、一部の画層だけを切り替えます。変更前と変更後、計画と実績、既設と新設などを比較しやすくなります。ビューポートの位置や尺度をそろえたうえで、表示画層だけを変えることがポイントです。
案内図や説明資料では、専門的な情報を減らし、読み手に必要な情報を残します。作図担当者には必要な補助線でも、説明を受ける側には不要なことがあります。ビューポートごとの画層表示を使えば、元の図面データを維持しながら、用途に合わせた簡潔な図面を作成できます。
ただし、非表示にする情報が多すぎると、図面の根拠や位置関係が分かりにくくなります。見やすさだけを優先せず、その図面を使う人が判断に必要な情報を確認できるかという観点で調整します。
まとめ
CADでビューポートごとに画層を非表示にすると、一つのモデルを使いながら、図面の用途に応じた表示を作成できます。図形を削除したり別の場所へ移動したりする必要がないため、データの重複を抑えながら複数種類の図面を管理できます。
基本となるのは、対象のビューポートをアクティブにし、現在のビューポートだけを対象とするフリーズ設定を使用する方法です。画層名が分からない場合は図形を選択して所属画層を確認し、対応するCADでは選択図形の画層を現在のビューポートでフリーズします。多数の画層を扱う場合は、画層フィルターで対象を絞り込んでからまとめて設定します。
新しいビューポートを多数作成する場合は、新規ビューポート用の初期フリーズ設定を利用すると、毎回同じ画層を非表示にする手間を減らせます。同じ形式の図面を繰り返し作る場合は、設定済みのビューポートを複製することで作業を標準化できますが、複製後に画層フリーズ、尺度、表示範囲などが正しく引き継がれているかを確認します。
操作後は、対象以外のビューポートに影響していないか、必要な寸法や注記まで消えていないかを確認します。図面全体の非表示やフリーズが有効になっていると、現在のビューポート側だけでは表示へ戻せない場合があるため、全体設定とビューポート固有設定を分けて確認することが重要です。
ブロックや外部参照を選択して画層をフリーズする場合は、参照自体の配置画層と内部図形の画層を区別します。選択設定を誤ると、目的の一部ではなく参照全体が消えることがあります。図形を選択する方法を使うときほど、実行後の画層一覧と表示結果を確認します。
画層名とビューポートの用途を整理し、設定方法を案件内で統一すれば、表示漏れや誤った非表示を防ぎやすくなります。特に複数人で図面を編集する場合は、ビューポートごとの画層設定を使用していることを共有し、変更前後の状態を確認できるようにしておきます。
CADのビューポート表示を適切に管理できると、同じ図面データから全体図、詳細図、説明図、工程図などを効率よく作成できます。さらに、図面作成だけでなく、現場で取得する位置情報や点群データの活用まで効率化したい場合は、次にLRTK Phoneの活用方法を確認してみてください。