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CADソフト選びで失敗しないための比較ポイント8選

CADソフトは、図面の作成や修正を効率化するために欠かせない業務ツールです。しかし、CADには二次元作図を中心とするもの、三次元モデルを扱うもの、建築や土木、機械、設備などの分野に特化したものがあり、搭載されている機能や操作方法も大きく異なります。 機能が多いCADを選べば必ず業務が効率化するとは限りません。実際には、自社の業務内容や既存の図面形式、利用する端末、担当者の習熟度、取引先とのデータ交換方法などを整理したうえで選定することが重要です。確認が不十分なまま導入すると、必要な図面を開けない、操作を覚えるまでに時間がかかる、現場と事務所でデータを共有しにくいといった問題が起こる可能性があります。 この記事では、CADソフト選びで失敗しないために確認したい8つの比較ポイントを解説します。これからCADを導入する担当者だけでなく、現在使用しているCADの見直しや、現場業務のデジタル化を検討している実務担当者にも役立つ内容です。

CADソフトを比較する前に利用目的を整理する

CADソフトを選ぶ前に、まず明確にしておきたいのが利用目的です。CADを使って何を作成し、誰が利用し、完成したデータをどのように活用するのかを整理しなければ、必要な機能を判断できません。 たとえば、紙図面をデジタル化して簡単な修正や印刷を行うことが目的であれば、高度な三次元機能は必須ではない場合があります。一方、立体形状を確認しながら設計したい場合や、数量算出、干渉確認、施工シミュレーションなどに活用したい場合は、三次元データを扱えるCADが候補になります。 また、同じCADという言葉でも、建築図面、土木図面、機械部品、電気配線、設備配置、測量成果など、扱う対象によって必要な機能は異なります。単に人気や機能数だけで比較するのではなく、自社の実務で頻繁に行う作業を基準に選ぶことが大切です。 選定を始める際は、現在の業務で作成している図面、受け取っているデータ、出力している成果物を洗い出します。新規作図が多いのか、既存図面の修正が中心なのか、取引先から受け取ったデータを確認する用途が多いのかによって、重視すべきポイントが変わります。 さらに、利用者の人数や利用場所も整理しておく必要があります。設計担当者が事務所内で利用するだけなのか、施工管理担当者が現場でも確認するのか、複数拠点で同じデータを扱うのかによって、適切な運用方法は異なります。 CAD選びでは、機能を比較する前に業務要件を明文化することが重要です。必要な機能と、あれば便利な機能を分けておくと、過不足の少ない選定がしやすくなります。

比較ポイント1 対応する図面の種類と業務分野

最初に確認したい比較ポイントは、CADソフトが対応している図面の種類と業務分野です。CADには幅広い用途に対応する汎用型と、特定の分野に必要な機能をまとめた業務特化型があります。 汎用型のCADは、線分、円、文字、寸法、ハッチング、画層など、基本的な作図機能を備えています。業種を限定せずに利用しやすく、一般的な平面図や配置図、詳細図などを作成する用途に向いています。ただし、特定分野の専門的な計算や部材管理については、標準機能だけでは対応できない場合があります。 業務特化型のCADは、建築、土木、機械、電気、設備など、それぞれの分野で使われる図面や部材に合わせた機能を備えています。たとえば、建築分野では壁や柱、建具などを配置しやすい機能、土木分野では座標や縦横断図を扱う機能、機械分野では部品や組立構造を管理する機能が重視されます。 専門機能が充実していると、定型作業を効率化できる可能性があります。ただし、対象分野が限定されているほど、別の用途に転用しにくいこともあります。現在の業務だけでなく、今後取り扱う可能性のある図面も考慮して選ぶことが大切です。 図面の縮尺や単位への対応も確認が必要です。建築図面では縮尺を使い分ける場面が多く、土木や測量では実座標を扱うことがあります。機械設計では細かな寸法公差が求められる場合もあります。自社の業務で必要な精度、単位、座標の扱い方に対応しているかを確かめましょう。 さらに、作図する図面だけでなく、最終的な出力形式も重要です。印刷した図面を提出するのか、電子データで納品するのか、三次元モデルを他工程で利用するのかによって必要な機能は変わります。 選定時には、普段使用している図面を実際に読み込み、表示、編集、保存、印刷まで試すことが有効です。機能一覧に対応と書かれていても、線種、文字、寸法、画層、塗りつぶしなどの再現状態が業務上十分とは限らないためです。

比較ポイント2 二次元CADと三次元CADの違い

CADソフトを選ぶ際は、二次元CADと三次元CADのどちらが業務に適しているかを検討します。両者には得意な作業があり、三次元に対応しているから常に優れているというわけではありません。 二次元CADは、平面上に線や円、文字、寸法などを配置して図面を作成します。平面図、立面図、断面図、配置図、部品図など、従来の図面作成に適しています。既存の紙図面に近い考え方で操作できるため、図面作成の経験がある担当者にとって理解しやすい傾向があります。 既存図面の修正や、寸法、注記、線種を整える作業が中心であれば、二次元CADで十分対応できる場合があります。使用する機能を絞りやすく、端末への負荷も比較的抑えやすい点が特徴です。 三次元CADは、立体形状を作成し、さまざまな方向から確認できます。部材同士の位置関係を把握しやすく、複雑な形状を直感的に確認できることが利点です。作成したモデルから平面図や断面図を生成したり、体積や面積を確認したりできるものもあります。 建築や土木では、完成形の共有、施工手順の確認、構造物同士の干渉確認などに三次元データを活用できます。機械分野では、部品を組み合わせた状態の確認や、形状変更に伴う影響の把握に役立ちます。 ただし、三次元CADは二次元CADよりも操作やデータ管理が複雑になることがあります。利用端末に高い処理性能が必要となる場合があり、データ容量も大きくなりやすいため、保存や共有の方法まで考える必要があります。 二次元図面と三次元モデルを併用する業務では、両方を扱えるCADが便利です。ただし、二次元機能と三次元機能の使いやすさは必ずしも同じではありません。三次元機能が充実していても、日常的な二次元図面の編集に手間がかかる場合があります。 選定時は、将来的に三次元化したいという理由だけで決めるのではなく、実際に三次元データをどの工程で利用するのかを明確にします。目的が曖昧なまま導入すると、三次元機能を使わず、従来の作図だけを続ける状態になりかねません。 設計、施工、検査、維持管理など、三次元データを利用する工程と担当者を具体化し、その効果が見込める場合に導入を検討することが重要です。

比較ポイント3 ファイル形式とデータ互換性

CADソフトを比較するうえで、ファイル形式とデータ互換性は非常に重要です。社内だけで図面を扱う場合でも、過去に作成したデータを引き継ぐ必要があります。取引先や協力会社と図面を交換する場合は、互換性の確認がさらに重要になります。 CADデータには、編集可能な図面形式、閲覧や印刷に向いた文書形式、三次元形状を受け渡す形式、点群や座標を扱う形式などがあります。同じ拡張子を読み込める場合でも、すべての情報が完全に再現されるとは限りません。 特に確認したいのが、文字、寸法、線種、線の太さ、色、画層、塗りつぶし、外部参照、画像、属性情報などです。読み込み後に図形そのものが表示されていても、文字の位置がずれたり、線種が変わったり、寸法値の見え方が異なったりすることがあります。 三次元データでは、形状だけが受け渡され、部材名や材質、階層構造などの情報が失われる場合もあります。どの情報を保持したまま交換する必要があるのかを整理し、実データで確認することが大切です。 保存時の互換性にも注意が必要です。受け取ったデータを開けるだけではなく、編集して保存したファイルを相手側で問題なく開けるかまで確認します。保存を繰り返すことで、一部の情報が変換されたり失われたりする可能性もあります。 過去の図面資産が多い企業では、一括変換を前提にするのではなく、必要なときに旧データを開ける環境を残す方法も検討できます。すべての図面を新しい形式へ変換すると、確認作業に大きな負担がかかるためです。 また、図面データだけでなく、座標データ、表計算形式のデータ、画像、文書、点群、地形モデルなどとの連携も確認します。CADを単独で使用するのではなく、測量、設計、積算、施工管理、検査などの工程でデータを利用する場合は、入出力できる形式が業務効率を左右します。 互換性については、仕様上の対応だけで判断せず、自社が実際に使用している複数のデータで試験することが重要です。単純な図面では問題がなくても、外部参照や複雑な文字設定を含む図面では変換結果が異なることがあります。 取引先と交換する代表的な図面を用意し、読み込み、編集、保存、再読込、印刷までの一連の作業を確認すると、導入後の問題を減らしやすくなります。

比較ポイント4 操作性と習得のしやすさ

CADソフトの操作性は、導入後の生産性に直接影響します。高機能なCADであっても、担当者が操作を習得できなければ、期待した効果は得られません。 操作性を比較するときは、画面の見た目だけで判断せず、日常業務で行う一連の作業を試します。図面を開く、必要な範囲を拡大する、図形を選択する、移動や複写を行う、寸法や文字を追加する、画層を切り替える、保存するという流れが円滑に行えるかを確認します。 よく使う機能へ少ない操作で到達できるかも重要です。機能数が多いほど、目的のコマンドを探しにくくなる場合があります。画面上のボタン配置を変更できるか、ショートカットを設定できるか、よく使う機能だけをまとめられるかといった点も確認するとよいでしょう。 既存のCADから切り替える場合は、操作方法の違いが教育負担になります。コマンドの考え方、図形の選択方法、右クリックの動作、画面の拡大縮小、座標入力、確定や取消の方法などが異なると、慣れるまで作業速度が落ちる可能性があります。 導入初期の一時的な速度低下を見込んだうえで、どの程度の教育期間が必要かを検討します。特定の担当者だけが使える状態では、異動や退職、繁忙期の応援時に業務が滞るおそれがあります。複数の担当者が基本操作を習得できる運用が理想です。 操作説明の資料が充実しているかも比較ポイントです。基本操作だけでなく、自社の業務に近い作図例や問題解決の手順を確認できると、習得を進めやすくなります。検索しやすい操作資料や、画面上で参照できる案内機能があると、担当者自身で解決できる場面が増えます。 文字の大きさや画面表示の見やすさも無視できません。高解像度の画面や複数の画面を使用した際に、ボタンや文字が適切に表示されるかを確認します。長時間使用する業務では、画面の見やすさや操作時の負担が作業効率に影響します。 導入担当者だけで試すのではなく、経験年数や担当業務の異なる複数の利用者に操作してもらうことが有効です。熟練者には使いやすくても、初心者には難しい場合があります。反対に、初心者向けの操作が中心で、熟練者が求める細かな設定や連続操作に向かない場合もあります。 CADソフトの評価では、機能の多さだけでなく、必要な作業を安定して繰り返せるかを重視することが大切です。

比較ポイント5 必要な動作環境と利用端末

CADソフトを導入する前に、必要な動作環境を確認します。既存のパソコンで起動できることだけではなく、実際の図面を快適に編集できるかが重要です。 動作に影響する主な要素には、演算処理能力、メモリー容量、画像処理性能、保存装置の速度、画面解像度などがあります。二次元の小規模な図面では大きな負荷がかからなくても、複雑な三次元モデルや点群、大量の外部参照を含むデータでは処理が重くなることがあります。 必要環境として示される最低条件は、起動や基本操作が可能な水準を表している場合があります。実務で使用するデータ量を考慮し、推奨される環境や余裕のある構成を検討することが大切です。 既存端末を使用する場合は、代表的な図面を開き、拡大縮小、画面移動、図形選択、再描画、保存、印刷などの動作を確認します。操作のたびに待ち時間が発生すると、短時間では小さな差でも、日々の業務では大きな負担になります。 保存容量にも注意が必要です。三次元モデル、点群、画像を含む図面は容量が大きくなりやすく、保存先の空き容量や通信環境に影響します。自動保存や一時ファイルによって追加の容量が必要になる場合もあります。 CADを使用する場所も重要です。事務所の固定端末だけで利用するのか、持ち運び可能な端末で利用するのか、現場で図面を確認するのかによって適切な構成は異なります。 現場で利用する場合は、処理性能だけでなく、画面の見やすさ、電源の確保、通信状況、端末の持ち運びやすさなども検討します。屋外では画面が見えにくい場合があり、手袋を着用した状態での操作や、雨、ほこりへの対策が必要になることもあります。 複数の種類の端末を利用する場合は、同じデータをどこまで操作できるかを確認します。事務所では詳細編集を行い、現場では閲覧や簡単な注記だけを行う運用も考えられます。すべての端末で同じ機能を使えることよりも、業務ごとに必要な操作ができることが重要です。 通信環境に依存するCADでは、通信が不安定な場所での動作も確認します。通信が切れたときに図面を閲覧できるか、編集内容が失われないか、再接続後に正しく同期されるかなどを試しておくと安心です。

比較ポイント6 共同作業とデータ共有の方法

CADデータを複数人で扱う場合は、共同作業とデータ共有の方法を確認します。図面を作成する担当者が一人でも、確認者、承認者、施工担当者、取引先など、複数の関係者がデータを利用することがあります。 従来のようにファイルを複製して受け渡す方法では、どれが最新版なのか分からなくなることがあります。修正前の図面を参照したり、別々に編集した内容を統合できなくなったりすることもあります。 共有機能を比較するときは、単にデータを保存できるかではなく、版管理や変更履歴を確認できるかが重要です。誰が、いつ、どのデータを変更したのかを確認できれば、誤った更新があった場合にも原因を追いやすくなります。 同時編集に対応している場合でも、同じ図形を複数人が編集したときの動作を確認する必要があります。編集範囲を分ける方式、担当者ごとに作業データを分ける方式、変更内容を後から統合する方式など、共同作業の仕組みはさまざまです。 図面上にコメントや確認事項を記録できる機能も便利です。電子メールや口頭だけで修正指示を伝えると、対象箇所が分かりにくくなることがあります。図面上の位置と指示内容を関連付けられれば、修正漏れや認識違いを減らしやすくなります。 ただし、共有機能が充実していても、運用ルールが曖昧では十分に活用できません。ファイル名、保存場所、更新手順、承認方法、完成データの確定方法などを決める必要があります。 アクセス権限の設定も重要です。すべての利用者が自由に編集できる状態では、意図しない変更や削除が起こる可能性があります。閲覧だけを許可する担当者、編集できる担当者、確定や公開を行う担当者など、役割に応じて権限を分けられるかを確認します。 社外とデータを共有する場合は、相手が同じCAD環境を持っていなくても確認できる方法があると便利です。ただし、共有範囲や公開期間、再配布の可否など、情報管理上のルールも整える必要があります。 現場で図面を利用する場合は、更新内容がどのタイミングで反映されるかも確認します。事務所で修正した図面が現場端末に反映されるまで時間がかかると、古い図面を参照する危険があります。同期状態や最終更新時刻を分かりやすく確認できることが望まれます。 共同作業の機能は、人数が増えるほど重要になります。CADソフト単体の使いやすさだけでなく、図面が作成されてから確認、承認、共有、施工に使われるまでの流れ全体を想定して比較しましょう。

比較ポイント7 拡張性と外部データとの連携

CADを長期間利用する場合は、拡張性と外部データとの連携も比較する必要があります。導入時点では基本的な作図だけで十分でも、業務の変化に伴って必要な機能が増えることがあります。 拡張性には、追加機能を組み込める仕組み、定型作業を自動化する機能、独自の部品や図形を登録する機能、外部の業務システムとデータを交換する機能などが含まれます。 日常的に同じ作業を繰り返す場合は、自動化による効果が期待できます。図面枠の作成、文字や寸法の配置、属性情報の入力、連続した図形の作成、図面情報の集計などを自動化できれば、作業時間の短縮と入力ミスの抑制につながります。 ただし、自動化機能の作成や管理には知識が必要な場合があります。特定の担当者しか設定を理解していない状態になると、その担当者が不在の際に修正できません。拡張機能を導入するときは、作成方法だけでなく、更新、引き継ぎ、保守の方法まで考える必要があります。 部品や定型図形を登録できる機能も確認したいポイントです。よく使う図形を毎回作成するのではなく、社内で統一した部品として再利用できれば、作図時間を短縮できます。名称、分類、属性情報を整理して登録できると、必要な部品を探しやすくなります。 外部データとの連携では、座標、測量結果、表計算形式の情報、写真、点群、地形データなどを取り込めるかを確認します。CAD上で図形を作成するだけでなく、現場で取得したデータを設計や施工管理へつなげることで、入力の重複を減らせる可能性があります。 反対に、CADで作成した情報を別の工程へ渡せるかも重要です。数量の集計、施工位置の確認、検査記録の作成、維持管理情報の登録など、後工程で利用できる形式に出力できると、CADデータの活用範囲が広がります。 座標を扱う業務では、座標系、単位、基準高さなどの設定に注意が必要です。データを読み込めても、基準が一致していなければ位置がずれることがあります。変換機能の有無だけでなく、設定内容を確認しやすいか、変換結果を検証できるかを確認します。 将来的な拡張を考える際は、機能を追加できるかだけではなく、追加後も安定して運用できるかが重要です。CAD本体の更新によって追加機能が動作しなくなる可能性や、古いデータとの互換性が変わる可能性も考慮します。 導入時点で想定される連携先を整理し、必須の連携と将来的に検討する連携を分けておくと、過剰な機能を避けながら拡張性を確保できます。

比較ポイント8 サポート体制と運用継続性

CADソフトは導入して終わりではありません。業務で継続して利用するためには、操作上の疑問、データの不具合、端末の更新、利用者の追加など、さまざまな対応が必要になります。そのため、サポート体制と運用継続性は重要な比較ポイントです。 サポートを確認するときは、問い合わせ方法だけでなく、対応する内容や時間帯も確認します。操作方法に関する質問、ファイルが開けない場合の調査、設定の移行、端末変更時の手続きなど、どこまで支援を受けられるかを把握しておきます。 問い合わせへの回答方法も重要です。文章だけの案内で解決できる問題もあれば、画面やデータの状態を確認しなければ判断できない問題もあります。自社の担当者がどの程度まで対応できるかを考え、必要な支援が得られる体制かを確認します。 操作資料の更新状況も見ておきたいところです。CADの画面や機能が更新された後も、説明資料が古いままでは利用者が混乱します。最新の操作方法を確認できる仕組みや、変更内容を把握できる案内があると運用しやすくなります。 社内での教育体制も重要です。導入時に研修を行っても、時間がたつと新しい担当者が加わります。新任者が基本操作を学べる資料や練習用データを用意し、継続的に教育できる状態を整える必要があります。 データの保存と引き継ぎについても確認します。CADソフトを変更した場合や、利用を終了した場合に、作成した図面をどのように保管し、閲覧するのかを考えておきます。特定の環境がなければ開けない形式だけで保存すると、将来的に図面を参照できなくなる可能性があります。 重要な完成図面については、編集用データに加えて、長期保管や閲覧に適した形式でも保存する方法があります。ただし、閲覧用データだけでは再編集しにくいため、目的に応じて複数の形式を使い分けることが大切です。 端末や基本ソフトウェアの更新への対応も確認します。新しい端末へ移行した際に正常に動作するか、古い端末でいつまで利用できるか、更新前にどのような確認が必要かを把握しておくと、突然業務が止まるリスクを抑えられます。 CADの運用継続性は、提供側の体制だけで決まるものではありません。社内で設定情報、図面様式、部品データ、操作手順、問い合わせ履歴などを管理し、担当者が変わっても引き継げる状態を作ることが重要です。 選定時には現在の機能だけを見るのではなく、数年後も必要な図面を開き、修正し、共有できるかという視点を持ちましょう。

CADソフトを試用するときに確認したいこと

CADソフトの候補を絞ったら、可能な範囲で実際の業務に近い条件で試用します。紹介資料や機能一覧だけでは、操作時の細かな違いや実データの互換性までは判断できません。 試用では、簡単な練習図面だけでなく、普段扱っている代表的な図面を使用します。容量の小さな図面、複雑な図面、文字や寸法が多い図面、外部参照を含む図面など、条件の異なるデータを準備すると評価しやすくなります。 最初に、図面を開いたときの再現状態を確認します。文字化け、文字位置のずれ、線種の違い、寸法表示の変化、画像の欠落、画層状態の変化などがないかを見ます。 次に、日常的な編集作業を行います。図形の追加、移動、複写、削除、文字修正、寸法変更、画層切り替え、印刷設定などを一通り試します。目的の操作に必要な手順や、誤操作したときの戻しやすさも確認しましょう。 保存後は、再び同じデータを開き、編集内容が保持されているかを確認します。可能であれば、取引先や社内の別環境でも開き、データ交換に問題がないかを確認します。 印刷確認も欠かせません。画面上では正常でも、印刷すると線の太さ、色、文字、余白、縮尺などが想定と異なることがあります。普段使用している図面サイズや出力条件で試すことが重要です。 動作速度については、起動時間だけでなく、図面を開く時間、拡大縮小、図形選択、保存、印刷処理などを確認します。短時間の試用では問題がなくても、一日中使用すると小さな待ち時間が負担になることがあります。 複数の利用者で試す場合は、同じ確認項目を用意して評価します。感覚だけで判断すると、慣れている操作方法によって意見が分かれやすくなります。必要な作業を完了できたか、どこで迷ったか、どの機能が不足していたかを記録すると比較しやすくなります。 試用で見つかった問題は、設定変更で解決できるものと、製品の仕様として変更できないものに分けます。初期設定だけを見て使いにくいと判断するのではなく、画面配置やショートカット、単位、保存形式などを調整した状態でも確認しましょう。

導入後の運用ルールもあわせて整備する

適切なCADソフトを選んでも、運用ルールが整っていなければ図面管理の問題は残ります。導入と同時に、社内で共通して使用する基本ルールを決めることが重要です。 まず、ファイル名とフォルダー構成を統一します。案件名、図面番号、図面種類、作成日、版番号など、何をファイル名に含めるかを決めます。担当者ごとに異なる方法で保存すると、必要な図面を探しにくくなり、古いデータを誤って使用する原因になります。 図面の版管理方法も明確にします。作業中、確認中、承認済み、提出済みなどの状態を区別し、どのデータが正式な最新版なのか分かるようにします。完成データを修正する場合の手順も決めておく必要があります。 画層名、線種、色、文字、寸法、図面枠などの作図基準を統一すると、担当者が変わっても見やすい図面を作成しやすくなります。テンプレートを用意する場合は、誰が更新し、どこに保管するのかも決めます。 部品や定型図形を共有する場合は、登録方法と変更手順を整備します。似た部品が複数登録されると、どれを使うべきか分からなくなります。名称や分類を統一し、使用しなくなったデータを整理することが大切です。 外部から受け取った図面については、原本と作業用データを分けて保存すると、変換や編集による変更を確認しやすくなります。受領日や提供元、変換方法などを記録しておくと、後から経緯を追いやすくなります。 定期的なバックアップも必要です。端末の故障、誤削除、保存先の障害などが起きた場合に復旧できるよう、保存先とバックアップ頻度を決めます。バックアップが作成されているだけでなく、実際に復元できるかを確認することも重要です。 CADの設定や運用ルールは、一度決めたら固定するのではなく、業務の変化に応じて見直します。利用者から操作上の問題や改善案を集め、必要な範囲で更新すると、現場に合った運用を維持できます。

CADと現場計測を連携して業務を効率化する

CADは図面を作成するためのツールですが、現場で取得した位置情報や形状データと組み合わせることで、活用範囲を広げられます。 従来は、現場で測定した内容を紙に記録し、事務所へ戻ってからCADへ入力する流れが一般的でした。この方法では、転記に時間がかかるだけでなく、数字の読み間違いや入力位置の誤りが生じる可能性があります。 現場で取得した座標や点群などのデータをCADへ取り込めれば、既存構造物や施工位置の確認、現況図の作成、計画図との比較などに活用できます。手入力を減らすことで、作業の効率化と確認精度の向上が期待できます。 ただし、現場データをCADへ取り込む際は、座標系、単位、標高基準、方位などを一致させる必要があります。設定が異なるまま読み込むと、図面上で位置がずれたり、縮尺が合わなかったりすることがあります。 データを連携する前に、基準となる点や既知の距離を使って位置関係を確認することが重要です。自動的に読み込めたから正しいと判断せず、複数の確認点を使って検証します。 現場で位置情報を取得できるLRTK Phoneを活用すると、取得した座標や点群などを、CADを用いる後工程につなげられる可能性があります。現場の状況や目的に応じて計測方法を選び、必要なデータ形式や座標の扱いを事前に確認することが大切です。 CADソフトを比較するときも、作図機能だけではなく、現場で取得するデータをどのように取り込み、設計、施工、検査、維持管理へ受け渡すのかを考えると、より実務に合った選定ができます。

まとめ

CADソフト選びで失敗を防ぐためには、機能の数や知名度だけで判断せず、自社の業務に必要な条件を整理することが重要です。 比較するときは、対応する図面の種類と業務分野、二次元と三次元の違い、ファイル形式と互換性、操作性、動作環境、共同作業、拡張性、サポート体制という8つのポイントを確認します。 特に、実際に使用している図面を読み込み、編集、保存、印刷、再共有まで試すことが大切です。仕様上は対応していても、文字や寸法、線種、画層などの再現状態が実務に適していない場合があります。 また、CADを導入するだけでは業務全体の効率化にはつながりません。ファイル名、版管理、画層、文字、寸法、保存先、バックアップなどの運用ルールを整え、複数の担当者が同じ方法で利用できる状態を作る必要があります。 今後は、CADで図面を作成するだけでなく、現場で取得した座標や点群などを設計や施工管理へつなげる活用も重要になります。CADとLRTK Phoneを組み合わせた運用を検討することで、現場計測から図面作成、確認、記録までのデータ連携を進めやすくなります。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

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