LRTKレフィクシア株式会社

CADのビューポート尺度を固定して誤操作を防ぐ5つの手順

CADのビューポート尺度を固定する必要性

CADで図面を作成するときは、モデル空間に実寸で作図し、レイアウト上のビューポートを通して必要な尺度で印刷する方法が広く用いられています。この方法では、一つのモデルデータから異なる用紙サイズや尺度の図面を作成しやすくなります。平面図を100分の1、詳細図を20分の1、位置図を500分の1で配置するなど、用途に応じて表示尺度を変えられることが大きな利点です。

一方で、ビューポート内を操作しているときにマウスのホイールを回したり、拡大や縮小の操作を実行したりすると、意図せず尺度が変わることがあります。画面上ではわずかな変化に見えても、印刷すると寸法や文字の見え方、線種の間隔、図形の配置などに影響が生じる場合があります。

特に注意が必要なのは、図面を複数人で編集するときです。作図担当者が正しい尺度に設定していても、確認担当者がビューポート内を移動しようとして誤って拡大した結果、設定尺度が変わることがあります。そのまま保存されると、次に開いた担当者が変更に気づかず、誤った尺度で図面を出力する可能性があります。

ビューポートの尺度を固定しておけば、このような偶発的な操作を防ぎやすくなります。尺度を確定した後に表示を固定し、固定状態を確認する手順を標準化することで、印刷ミスや再出力、図面の差し戻しを減らせます。

ただし、単に固定機能を有効にするだけでは十分とは限りません。表示範囲や尺度が正しく設定されていない段階で固定すると、後から解除して調整する作業が発生します。また、尺度を固定していても、ビューポート枠の大きさを変えたり、注釈尺度や線種尺度を変更したりすると、図面の見え方が変わる場合があります。

そのため、対象の確認、尺度設定、表示確認、固定、印刷確認という順序で作業することが重要です。ここからは、CADのビューポート尺度を固定して誤操作を防ぐための手順を、実務で確認しやすい流れに沿って解説します。

ビューポートと尺度の基本を理解する

ビューポートとは、レイアウト上からモデル空間の図形を表示するための窓のような領域です。モデル空間に作成された図形そのものを複製するのではなく、指定した位置や方向、尺度で参照表示します。そのため、同じモデルデータを複数のビューポートで表示し、それぞれ異なる範囲や尺度を設定できます。

モデル空間では、原則として対象物を実寸で作図します。例えば、実際の長さが10メートルの構造物であれば、CAD内の単位設定に合わせて実寸値を入力します。レイアウトでは、用紙上に収まるようにビューポートの尺度を設定します。

ここでいうビューポート尺度は、モデル空間の図形を用紙上にどの比率で表示するかを表します。100分の1であれば、モデル上の100の長さが用紙上の1に相当する関係です。ただし、実際の尺度設定は、モデル空間で使用している作図単位とレイアウト側の用紙単位によって変わります。モデルをミリメートル単位で作図している場合と、メートル単位で作図している場合では、同じ尺度表記でも内部の設定値が異なることがあります。

尺度を確認するときは、画面に表示される図形の大きさだけで判断しないことが重要です。ビューポート枠の大きさや画面の表示倍率が変わると、見た目の大きさも変わるためです。必ずビューポートのプロパティや尺度設定欄を確認し、意図した値になっているかを判断します。

また、ビューポートを選択した状態と、ビューポート内部を操作している状態を区別する必要があります。ビューポート枠を選択しているときは、枠の大きさや位置、表示尺度、固定状態などを設定できます。ビューポート内部が操作対象になっているときは、モデル空間の表示位置を移動したり、図形を編集したりできます。

この切り替えを理解していないと、レイアウト上の図形を移動するつもりでモデル図形を動かしたり、用紙表示を拡大するつもりでビューポート尺度を変えたりする可能性があります。作業前に、現在どの空間を操作しているのかを確認する習慣が必要です。

ビューポート尺度の固定は、ビューポートを通したモデル表示の拡大や縮小を制限するための機能です。固定後もビューポート枠の移動やレイアウト上の注記編集が可能な場合がありますが、操作内容はCADの設定や選択状態によって異なります。固定したからすべての変更が禁止されるわけではないため、尺度以外の項目も含めた確認が欠かせません。

手順1 対象レイアウトとビューポートを確認する

最初の手順は、尺度を固定する対象のレイアウトとビューポートを正しく特定することです。複数のレイアウトがある図面では、似た名称の図面や複製されたレイアウトが混在している場合があります。誤ったレイアウトを編集すると、必要な図面の尺度が固定されないだけでなく、別の図面設定を変更してしまう可能性があります。

まず、レイアウト名、用紙サイズ、図面番号、図面名称、改訂番号などを確認します。レイアウト名だけでは判断できない場合は、図枠内の情報も照合します。複数ページの図面では、同じ平面図でも施工段階や対象範囲が異なることがあるため、表示内容まで確認することが大切です。

次に、レイアウト内に配置されているビューポートの数を確認します。一つのレイアウトに一つだけ配置されている場合もあれば、全体図、詳細図、断面図、位置図などが複数のビューポートに分けて配置されている場合もあります。

複数のビューポートが重なっていると、目的とは異なる枠を選択することがあります。背景が透明で枠線も非表示になっている場合、ビューポートの存在自体に気づきにくくなります。必要に応じてビューポートを管理している画層を一時的に表示し、枠の位置と範囲を確認します。

ビューポートを選択したら、プロパティ情報などから現在の尺度、表示固定の状態、中心位置、表示方向を確認します。この時点では、まだ不用意に設定を変更しないことが重要です。現在の値を記録しておけば、変更後に差異を確認しやすくなります。

既存図面を修正する場合は、前回発行時の図面や出力済みデータと比較する方法も有効です。前回と同じ尺度で改訂する予定であれば、尺度表記や寸法の見え方、図形の収まりを照合します。過去の状態が必ず正しいとは限りませんが、意図しない変化を見つける手掛かりになります。

ビューポート内部に入ってモデルを操作している状態では、枠そのものを選択できないことがあります。その場合は、いったんレイアウト側の操作状態に戻してから、ビューポート枠を選択します。枠の四隅や中央に選択用の目印が表示されているかを確認し、対象を誤っていないことを確かめます。

また、ビューポート枠が印刷される設定になっているかどうかも確認します。実務では、ビューポート枠を専用の画層に配置し、その画層を印刷対象外にする運用がよく行われます。枠を非表示にすることと、尺度を固定することは別の設定です。枠が見えないから固定されているとは限らないため、必ず固定状態を個別に確認します。

手順2 表示範囲と尺度を正しく設定する

対象のビューポートを特定したら、モデルの表示範囲と尺度を設定します。尺度を先に決めるか、表示範囲を先に整えるかは図面の状態によって異なりますが、最終的には意図した尺度を維持したまま必要な範囲が収まっている必要があります。

最初に、図面で求められている尺度を確認します。設計条件、図面作成基準、発注者の仕様、社内の作図ルール、既存図面の表記などを確認し、採用する尺度を決定します。見た目だけで適当な尺度を選ぶと、図面間で統一が取れなくなり、寸法確認や数量確認に影響する可能性があります。

尺度を設定するときは、可能な限り標準的な尺度を選択します。一般的な尺度を使用すれば、図面利用者が内容を理解しやすくなり、尺度定規などを用いた確認もしやすくなります。特殊な尺度が必要な場合は、図面内の尺度表記を明確にし、部分的に異なる尺度を使用している箇所が分かるようにします。

尺度を入力または選択した後は、ビューポート内部で表示位置を調整します。このとき、マウス操作だけで拡大や縮小を行うと、設定した尺度が変わる可能性があります。表示位置の調整は、尺度を維持したまま画面を平行移動する操作を使用します。

平行移動によって、必要な図形がビューポート内に収まるように調整します。図形が枠に近すぎる場合は、印刷時に線や注記が切れる可能性があります。一方、余白を大きく取りすぎると、図面上の情報が小さくなり、可読性が低下します。図枠内の注記やほかのビューポートとの間隔も考慮して配置します。

図面の中心を単純にビューポートの中央へ合わせるだけではなく、重要な情報が見やすい位置にあるかを確認します。構造物の一部だけを表示する詳細図では、基準となる通り芯、座標、寸法、接続部などが適切に表示されている必要があります。必要な注記が枠外に隠れていないかも確認します。

表示範囲が狭い場合に、図形を収めるために尺度を下げるだけでは、図面の目的を満たせないことがあります。必要な尺度が決まっている場合は、ビューポート枠の大きさや配置を見直します。別の図面に分割する、用紙方向を変更する、詳細図を追加するなどの対応も検討します。

ビューポートの形状は、長方形に限らず、図面構成に合わせて変形できる場合があります。ただし、複雑な形状は編集時に選択しにくくなり、意図しない表示欠落の原因になることがあります。特殊な形状を使用するときは、境界がどこにあるかを確認しやすい管理方法を決めておく必要があります。

尺度と表示位置の調整が終わったら、再度プロパティ情報を確認します。画面操作の途中で尺度が変わっていないか、指定した尺度になっているかを数値で確認します。ここで正しい状態を確定してから、注釈や線種の確認に進みます。

手順3 注釈や線種の見え方を確認する

ビューポート尺度が正しく設定されていても、文字、寸法、記号、ハッチング、線種などの見え方が適切でなければ、図面として十分な品質を確保できません。尺度を固定する前に、印刷時の可読性と表現を確認します。

文字や寸法には、モデル空間の尺度に合わせて大きさを設定する方法と、レイアウト上の印刷寸法を基準に表示する方法があります。どちらの方法を採用しているかによって、ビューポート尺度を変更した際の見え方が異なります。図面内で両方の管理方法が混在していると、文字サイズが不ぞろいになる場合があります。

まず、図面タイトル、寸法値、引出線、注記、測点名、構造物名称などの文字が読みやすい大きさになっているかを確認します。画面上で読めることだけでなく、実際の用紙サイズで印刷したときに読めることが重要です。画面を拡大して確認すると、小さな文字でも読めてしまうため、レイアウト全体表示や印刷プレビューで判断します。

寸法線や引出線がビューポート境界で切れていないかも確認します。寸法値だけが表示され、寸法補助線の一部が枠外に隠れていると、対象位置を誤解する可能性があります。注記の矢印が目的の図形を正しく指しているか、ほかの線と重なっていないかも見直します。

破線や一点鎖線などの線種は、尺度設定によって間隔の見え方が変わる場合があります。モデル空間では適切に見えていても、レイアウト上では実線のように見えたり、間隔が広がりすぎたりすることがあります。線種尺度に関する設定を確認し、同じ図面内で統一された見え方になっているかを確認します。

複数のビューポートで異なる尺度を使用している場合、同じ線種でもビューポートごとに見え方が変わることがあります。全体図と詳細図を並べて配置しているときは、線種の表現が図面の意味を損なっていないかをそれぞれ確認します。

ハッチングについても、パターンの間隔や密度を確認します。尺度が合っていないと、塗りつぶしのように密集したり、間隔が広すぎて領域の区別が難しくなったりします。ハッチングを修正するときは、尺度だけでなく、角度や境界の状態も確認します。

ビューポートごとに画層の表示状態を変更している場合は、必要な図形が非表示になっていないかを確認します。モデル空間では表示されていても、特定のビューポートだけで画層が非表示になっていることがあります。反対に、不要な補助線や作業用図形が表示されていることもあります。

図面内の尺度表記も確認します。タイトル欄に記載された尺度と、実際のビューポート尺度が一致していなければなりません。一枚の図面に複数尺度がある場合は、各ビューポートや図名の近くに個別の尺度を記載し、図面利用者が誤解しないようにします。

尺度表記を手入力している図面では、ビューポート尺度を変更しても文字が自動更新されないことがあります。設定値だけでなく、記載内容まで照合することが必要です。特に既存図面を複製して作成した場合は、以前の尺度表記が残っていないかを確認します。

手順4 ビューポートの表示を固定する

尺度、表示位置、注釈、線種の確認が終わったら、ビューポートの表示を固定します。固定するタイミングは、図面の表示内容が確定した後が基本です。調整途中で固定すると、作業のたびに解除と再固定を繰り返すことになり、固定忘れの原因になります。

ビューポートを固定するときは、レイアウト側で対象のビューポート枠を選択します。ビューポート内部を操作する状態ではなく、枠自体が選択されていることを確認します。そのうえで、プロパティや表示設定にある固定項目を有効にします。

固定項目の名称はCAD環境によって異なりますが、一般的にはビューポート表示のロックや固定を意味する項目として用意されています。有効と無効の状態が文字や記号で表示される場合があるため、変更後の状態を確認します。

複数のビューポートがある場合は、一つずつ固定状態を確認します。複数選択でまとめて設定できる環境もありますが、異なる種類の図形が同時に選択されていると、目的の項目が表示されない場合があります。確実性を優先する場合は、対象を一つずつ選択して設定します。

固定後は、意図的にビューポート内部へ入り、拡大や縮小の操作に対して尺度が保持されるかを確認します。ただし、確認操作によってモデル図形を移動したり編集したりしないよう注意が必要です。確認後は速やかにレイアウト側へ戻ります。

尺度が変わらなくても、表示位置が移動できる状態が残っている場合があります。固定機能の動作範囲は使用環境によって異なるため、尺度だけでなく表示中心も保持されているかを確認します。必要に応じて、ビューポートを配置している画層もロックし、枠自体の移動や変形を防ぎます。

ビューポートの表示固定と画層のロックは目的が異なります。表示固定は、ビューポートを通したモデル表示の尺度や位置を保護するために使います。画層のロックは、ビューポート枠や同じ画層上の図形を誤って移動、削除、変形することを防ぐために使います。

両方を組み合わせることで、尺度変更だけでなく、ビューポート枠の位置ずれや大きさの変更も防ぎやすくなります。ただし、同じ画層に編集が必要な図形を配置していると、必要な作業まで制限されます。ビューポート専用の画層を設け、ほかの図形と分けて管理する方法が有効です。

固定後に図面を保存するときは、保存前に対象のビューポートがすべて固定されているかを再確認します。保存操作の直前に別の担当者が設定を変更した場合や、図面の複製作業で固定状態が引き継がれなかった場合も考えられます。最終状態を確認してから保存することが大切です。

手順5 固定状態と印刷結果を最終確認する

ビューポートを固定した後は、印刷結果を想定した最終確認を行います。固定機能が有効になっていても、設定した尺度や表示内容が正しいことを保証するものではありません。誤った尺度のまま固定されている可能性もあるため、別の方法で検証します。

まず、ビューポートを選択し、プロパティ情報から尺度値と固定状態を確認します。図面内に複数のビューポートがある場合は、それぞれの尺度を確認します。全体図、詳細図、断面図などで尺度が異なる場合は、図面内の尺度表記と照合します。

次に、印刷プレビューを確認します。用紙サイズ、用紙方向、印刷範囲、印刷尺度、余白、線の太さ、色の出力設定などを確認し、図面全体が正しく収まっているかを見ます。ビューポートの尺度が正しくても、レイアウト全体の印刷設定が誤っていると、想定した大きさで出力されません。

レイアウトは通常、用紙上の寸法を基準に作成します。そのため、レイアウト全体を用紙に合わせて自動拡大や自動縮小する設定が有効になっていると、ビューポート尺度とは別の段階で出力サイズが変わる場合があります。印刷時の倍率が等倍になっているかを確認します。

図面内に尺度確認用の基準寸法がある場合は、出力した図面で測定して確認します。ただし、紙の伸縮、印刷機器の補正、出力データの閲覧設定などによってわずかな差が生じる場合があります。図面の利用目的に応じて、許容できる確認方法を選びます。

寸法値と図形の関係も確認します。寸法値が正しく表示されていても、ビューポート尺度が誤っていると、印刷物から尺度を用いて読み取った長さが合わなくなります。図面を尺度計測に利用する可能性がある場合は、尺度表記と出力倍率の整合を特に慎重に確認します。

固定後にビューポート枠の大きさを変更していないかも確認します。表示が固定されていても、枠を狭くすると図形や注記が切れる可能性があります。枠を広げた場合は、意図していなかった範囲まで表示されることがあります。

ビューポート枠が印刷されない設定になっているかも確認します。作業時には枠を表示し、印刷時には出力しない運用が一般的ですが、画層設定の変更によって枠線が印刷されることがあります。印刷プレビューで枠線が見えていないかを確認します。

最終確認は、作成者とは別の担当者が行うと効果的です。作成者は図面の意図を理解しているため、誤りを無意識に補って見てしまうことがあります。確認担当者には、尺度、固定状態、図面表記、表示欠落、印刷倍率などの確認項目を共有します。

確認が完了したら、図面の改訂情報を更新し、確定状態で保存します。必要に応じて、編集用データとは別に発行用データを作成し、確定後の不用意な変更を防ぎます。

尺度を固定しても表示が変わる主な原因

ビューポート尺度を固定していても、図面の見え方が変わることがあります。そのため、固定機能だけに頼らず、関連する設定や操作も理解しておく必要があります。

一つ目の原因は、ビューポート枠の形状や大きさが変更されたことです。尺度が維持されていても、枠が小さくなれば表示される範囲が減ります。枠が移動すれば、レイアウト上の配置が変わります。ビューポートを専用画層に配置し、その画層をロックすることで誤操作を防ぎやすくなります。

二つ目の原因は、モデル図形そのものが移動または変更されたことです。ビューポートはモデル空間の図形を参照しているため、モデル側の位置や形状が変われば、レイアウト上の表示も変わります。尺度が固定されていても、モデル図形の編集までは防げません。

三つ目の原因は、画層の表示状態が変更されたことです。特定のビューポートだけで画層を非表示にしている場合、その設定が解除されると不要な図形が表示されます。反対に、必要な画層が非表示になると、図形の一部が欠落します。

四つ目の原因は、注釈や文字の尺度設定が変更されたことです。ビューポート尺度が同じでも、注釈の表示対象尺度や文字の高さが変われば、見え方が変化します。尺度ごとに表示する注釈を管理している場合は、対象尺度の登録状態も確認します。

五つ目の原因は、線種尺度やハッチング尺度の変更です。図形の位置や大きさは変わっていなくても、破線の間隔やハッチングの密度が変わると、図面の印象や読みやすさが大きく変わります。

六つ目の原因は、印刷設定の変更です。用紙に合わせる設定や出力倍率が変更されると、レイアウト全体が拡大または縮小されます。ビューポート尺度を固定していても、最終出力の尺度が一致しない可能性があります。

七つ目の原因は、別のレイアウトや図面を開いて確認していることです。似た名称のレイアウトや複製データがあると、固定した図面とは異なるデータを確認している場合があります。ファイル名、保存場所、更新日時、レイアウト名を確認します。

複数のビューポートを安全に管理する方法

一つのレイアウトに複数のビューポートを配置する図面では、尺度固定の管理が複雑になります。各ビューポートの役割、尺度、表示画層、固定状態を明確にすることが重要です。

まず、ビューポートごとの用途を決めます。全体平面図、部分詳細図、断面図、位置図など、何を表示するための枠なのかを明確にします。用途が分かれば、必要な尺度や表示範囲を判断しやすくなります。

次に、図名と尺度表記をビューポートの近くに配置します。一つの図面内に異なる尺度が混在している場合、タイトル欄に一つの尺度だけを記載すると誤解を招くことがあります。各図の名称と尺度を対応させて表示します。

ビューポート枠は、できるだけ専用の画層にまとめます。専用画層を利用すれば、枠の表示、選択、ロック、印刷対象外の設定を一括して管理しやすくなります。補助線や図枠と同じ画層に配置すると、ロックした際にほかの編集まで制限されるため注意が必要です。

ビューポート同士が重ならない配置にすることも重要です。重なっていると、選択時に手前の枠しか選べなかったり、意図しないビューポート内部へ入ったりすることがあります。図面構成上、重ねる必要がある場合は、選択方法や表示順序を事前に確認します。

尺度設定が完了したビューポートから順に固定し、未確定のビューポートと区別します。すべての調整が終わるまで固定しない方法もありますが、作業途中の誤操作を防ぐため、確定したものだけ先に固定する運用も有効です。

ただし、一度固定したビューポートを修正する場合は、解除、修正、再確認、再固定までを一つの作業として扱います。解除したまま別の作業へ移ると、再固定を忘れやすくなります。修正が終わった直後に固定状態を戻すことが重要です。

複数尺度の図面では、注釈の管理方法も統一します。同じ文字や寸法を複数のビューポートで表示する場合、尺度ごとに適切な大きさで見える仕組みを採用するか、表示するビューポートを限定します。重複表示や文字の重なりがないかを確認します。

誤操作を減らすための社内運用ルール

ビューポート尺度の誤操作を継続的に防ぐには、個人の注意だけでなく、運用ルールを整えることが効果的です。担当者ごとに操作方法が異なると、図面品質にばらつきが生じます。

まず、レイアウトを作成するときの基本手順を統一します。モデル作図、ビューポート作成、尺度設定、表示調整、注釈確認、表示固定、印刷確認という流れを標準化します。この順序をチェック項目として整理すれば、固定前の確認漏れを防ぎやすくなります。

次に、ビューポート専用画層の名称と設定を統一します。図面ごとに異なる名称を使用すると、どの画層をロックすべきか分かりにくくなります。印刷対象外、通常表示、編集完了後はロックなど、基本的な運用を決めます。

図面テンプレートに、標準的な用紙設定、図枠、ビューポート画層、代表的な尺度を登録しておく方法も有効です。新規図面のたびに設定を作り直す必要がなくなり、設定ミスを減らせます。ただし、テンプレートの設定が古いまま使われないよう、定期的な見直しが必要です。

図面を複製して使用する場合は、元図面の尺度や固定状態をそのまま信用しないことも重要です。複製後にレイアウト名、図面名称、尺度表記、ビューポート尺度、表示範囲を確認します。元図面に誤りがあれば、そのまま引き継がれるためです。

図面の発行前には、作成者と確認者で役割を分けます。作成者は設定内容を確認し、確認者は印刷結果と表記の整合を中心に確認します。固定状態を確認項目に含めることで、担当者の経験に左右されにくい検査ができます。

修正作業の記録も有効です。どのレイアウトのどのビューポートを、何のために解除し、どの尺度へ設定したかを記録すれば、後から変更理由を確認できます。大規模な図面や複数人で編集する図面では、変更履歴が特に重要です。

編集用データと発行用データを分ける運用も検討できます。編集用データでは必要に応じて固定を解除し、発行用データではすべてのビューポートを固定した状態にします。発行用データへの変更権限を限定すれば、確定後の誤操作を抑えやすくなります。

現場計測データをCADで扱う際の注意点

CADでは、設計図面だけでなく、現場で取得した座標、点群、出来形、構造物位置などの計測データを重ねて確認する場面が増えています。計測データをレイアウトへ配置するときも、ビューポート尺度の管理が重要です。

現場計測データを読み込む前に、CAD図面と計測データの単位、座標系、基準点、標高の扱いを確認します。単位や座標の前提が異なると、図形が極端に大きく表示されたり、遠く離れた位置へ配置されたりします。この状態をビューポートの拡大や縮小だけで合わせようとすると、本来の尺度管理が崩れる可能性があります。

計測データが正しい位置と大きさで配置されていることを確認してから、ビューポートの表示範囲を調整します。既知点や設計上の基準点を照合し、位置関係が合っているかを確認します。見た目が重なっているだけで判断せず、座標値や既知距離も確認します。

点群データは情報量が多いため、全体を表示すると画面操作が重くなる場合があります。必要な範囲を切り出す、表示密度を調整する、用途ごとに画層を分けるなどの方法で、図面確認に必要な情報を整理します。

出来形確認図では、計測結果と設計図を同じビューポートに重ねる場合があります。このとき、ビューポート尺度が意図せず変わると、印刷上の比較が分かりにくくなります。表示範囲と尺度を確定した後に固定し、凡例や基準位置、計測日なども明記します。

現場で取得したデータを事務所へ共有し、CAD図面へ反映する工程では、取得から図面化までの手順を統一することが重要です。LRTK Phoneのように、現場で取得した位置情報や計測結果をデジタルデータとして扱える仕組みを活用すると、現地記録とCAD図面を結び付けやすくなります。

ただし、計測機器やアプリから出力したデータをCADへ読み込むだけで、図面として完成するわけではありません。単位、座標、基準高さ、データ取得条件、表示尺度を確認し、目的に合った図面表現へ整える必要があります。

まとめ

CADのビューポート尺度を固定することは、図面作成中の誤操作を防ぎ、印刷尺度を安定させるための基本的な管理方法です。特に複数人で図面を編集するときや、一つのレイアウトに複数尺度の図を配置するときは、固定状態を明確に管理する必要があります。

作業では、最初に対象となるレイアウトとビューポートを確認し、必要な尺度と表示範囲を正しく設定します。その後、文字、寸法、線種、ハッチング、画層表示などを確認し、図面の見え方を確定させます。表示内容が整った段階でビューポートを固定し、最後にプロパティと印刷プレビューで結果を確認します。

尺度を固定した後も、ビューポート枠の変更、モデル図形の移動、画層設定、注釈尺度、線種尺度、印刷倍率などによって図面の見え方が変わる可能性があります。固定機能だけでなく、関連する設定を含めて確認することが重要です。

ビューポート専用画層の利用、図面テンプレートの整備、確認手順の標準化、作成者と確認者による検査を組み合わせれば、尺度変更による手戻りを減らせます。解除して修正した後は、再確認と再固定までを一つの作業として完了させることがポイントです。

また、現場で取得した座標や点群などをCAD図面へ反映する場合は、尺度だけでなく、単位や座標の整合も確認しなければなりません。LRTK Phoneを活用して現場計測データをデジタル化し、CADで適切に整理することで、現地確認から図面作成、情報共有までの流れを効率化しやすくなります。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

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