CADで面取り寸法が合わないとはどのような状態か
CADで面取りを作成したとき、入力した数値と完成した形状の寸法が一致していないように見えることがあります。例えば、10ミリメートルの面取りを指定したにもかかわらず、面取り線そのものを計測すると約14.1ミリメートルになっているケースです。また、二つの辺に同じ距離を指定したはずなのに、寸法記入後の数値が異なって見えることもあります。
このような現象の多くは、面取り機能の故障ではなく、入力した値がどの部分を表しているのかを正しく把握できていないことから発生します。一般的なCADの面取りでは、交点から各辺に沿って後退する距離を指定する方式と、一方の辺に沿った距離と角度を指定する方式があります。入力値が示すのは面取り線の長さではなく、元の辺に沿った距離であることが少なくありません。
直角に交わる二つの辺に対して、それぞれ10ミリメートルずつ後退する面取りを行った場合、形成される斜めの線は直角二等辺三角形の斜辺になります。そのため、面取り線の長さは約14.1ミリメートルです。入力した10ミリメートルと斜線の実測値が異なるのは正常であり、作図ミスとは限りません。
一方で、図面単位の設定、対象図形の傾き、座標系、寸法値の丸め、拘束条件などが原因で、意図していない形状が作られることもあります。見た目だけで判断せず、入力値の定義と実際に計測している部分を整理することが重要です。
面取り寸法が合わないと感じたときは、すぐに図形を削除して描き直すのではなく、設定を順番に確認する必要があります。原因を切り分けずに操作を繰り返すと、同じ問題が再発するだけでなく、周辺の図形まで変形させるおそれがあります。まずは、面取りの計算方法と図面環境の両方を確認しましょう。
設定1 図面単位と尺度を確認する
最初に確認したいのが、CAD図面で使用している単位と尺度です。画面上では同じ長さに見える図形でも、図面内部で扱われている数値が異なれば、面取り結果も変わります。面取り距離に10と入力した場合、その10が10ミリメートルを意味するのか、10センチメートルを意味するのか、あるいは別の単位として扱われているのかを確認しなければなりません。
CADでは、原則としてモデル空間を実寸で作図する運用が安定します。例えば、1単位を1ミリメートルとして作図するのであれば、長さ1000ミリメートルの部材は1000という数値で描きます。印刷時の縮尺はレイアウトや出力設定で調整し、モデル自体を印刷尺度に合わせて縮小しないことが基本です。
ところが、他の担当者から受け取った図面や古い図面では、1単位を1メートルとして作図している場合があります。この図面で10ミリメートルの面取りを作成したい場合、入力すべき値は10ではなく0.01です。単位を確認せずに10と入力すると、実際には10メートルに相当する大きな面取りを指示することになります。
逆に、メートル単位の図面をミリメートル単位だと思って操作すると、面取りが大きすぎて作成できなかったり、対象の辺がほとんど消えたりすることがあります。面取りが実行されない場合も、機能の不具合と決めつけず、対象線の長さに対して入力値が大きすぎないかを確認してください。
図面単位を調べるときは、寸法表記だけを信用しないことが大切です。寸法文字は、実際の計測値に係数を掛けて表示している場合があります。図面上に1000と記載されていても、図形の内部寸法が1になっている可能性があります。既知の長さを持つ部分をCADの計測機能で直接測り、実際の図形寸法を確認しましょう。
外部から読み込んだ図形では、読み込み時に自動的な尺度変換が行われる場合もあります。同じデータを別の図面へ挿入したときだけ面取り寸法が合わないのであれば、挿入先と挿入元の単位設定が異なる可能性があります。面取りを実行する前に、基準となる既知寸法を一か所以上測定し、図面全体の尺度が正しいことを確かめると安全です。
また、画面表示の拡大率と図形の実寸は別のものです。画面上で大きく見えるからといって、図形の内部寸法が大きいとは限りません。表示を拡大した状態では、非常に小さな面取りでも大きく見えます。見た目ではなく数値で判断する習慣を付けることが、面取り寸法の誤解を防ぐ第一歩です。
設定2 面取り方式と入力値の割り当てを確認する
面取り機能には、複数の指定方式が用意されていることがあります。代表的なのは、二つの距離を指定する方式と、距離と角度を指定する方式です。名称や操作順序はCADによって異なりますが、入力値が何を意味しているかを理解しないまま使用すると、意図と異なる面取りが作成されます。
二距離方式では、交点から一方の辺に沿って後退する距離と、もう一方の辺に沿って後退する距離を設定します。両方を同じ値にすれば、元の二辺が直角に交わっている場合は45度の面取りになります。ただし、元の二辺が直角でなければ、同じ距離を指定しても面取り線が45度になるとは限りません。
距離と角度を指定する方式では、最初に選択した辺を基準として距離が設定され、そこから指定角度で面取り線が作られます。そのため、辺を選択する順番を変えると、同じ数値を入力しても異なる形状になる場合があります。特に、二辺の長さや向きが異なる箇所では、どちらを基準辺として選択したかが重要です。
例えば、第一距離を20、第二距離を10として設定した場合、最初に選択した辺側が20になるのか、二番目に選択した辺側が20になるのかを確認する必要があります。前回の設定値が保持されるCADでは、以前使用した20と10がそのまま残っていることもあります。今回は等距離の面取りを作成するつもりでも、設定を更新せずに操作すると左右非対称の面取りが作成されます。
面取り線の長さを直接指定できると思い込むことも、寸法が合わない原因です。二距離方式で指定する値は、通常、元の辺に沿った切り取り距離です。面取り線そのものの長さではありません。直角部分に同じ距離を指定する場合、面取り線の長さは指定距離より長くなります。
面取り線の実長を狙った値にしたい場合は、必要な後退距離を計算する必要があります。例えば、直角部分に45度の面取りを作り、斜めの面取り線を10ミリメートルにしたい場合、各辺に沿った後退距離は約7.07ミリメートルです。斜線の長さと辺上の距離を混同しないようにしましょう。
機械部品や加工図では、Cに数値を添えた面取り指示が使用されることがあります。多くの機械製図では45度面取りの大きさを示す表記として用いられますが、数値の基準となる方向や省略表記の扱いは、適用規格、図面内の注記、社内標準に従って判断する必要があります。
面取り機能を使う前に、現在選択されている方式、第一距離、第二距離、角度、トリムの有無を確認してください。トリムとは、面取り線を作成すると同時に元の辺を切り詰める処理です。トリムを行わない設定では、元の辺が残るため、面取りが二重に見えたり、寸法取得時に別の線を選択したりする可能性があります。
設定3 対象図形の端点と交差状態を確認する
面取りは、二つの図形を延長したときに形成される交点を基準として作成されることがあります。そのため、画面上では接しているように見えても、実際には端点がずれていたり、図形同士が重複していたりすると、意図した位置に面取りが作成されません。
特に注意したいのが、拡大しなければ分からない微小な隙間です。二本の線がほぼ接していても、端点間にわずかな隙間がある場合、CADは別々の位置関係として認識します。面取り機能が図形を仮想的に延長して処理できることもありますが、図形の方向や距離によってはエラーになったり、遠い位置に交点が設定されたりします。
逆に、二本の線が交差したまま余分な部分を残している場合も注意が必要です。選択した位置によって、どちら側を残すかの判断が変わることがあります。面取りを作成したつもりが反対側に形成されたり、必要な辺が削除されたりする場合は、選択位置と交差状態を確認してください。
線分の上に別の線分が重なっていると、面取り後の見た目が不自然になることがあります。一方の線だけが切り詰められ、重複しているもう一方の線が残れば、面取り前の角が残っているように見えます。寸法を取得するときに残った線を選択すると、面取り後とは異なる数値が表示されます。
複数の線分をまとめた連続図形では、頂点ごとの情報が内部に保持されています。見た目は通常の線と同じでも、面取り機能の処理方法が異なる場合があります。連続図形全体に面取りを適用する設定と、指定した一頂点だけを処理する設定を混同しないようにしましょう。
また、対象図形が完全な水平線や垂直線ではなく、わずかに傾いているケースもあります。例えば、水平に見える線の端点高さが0と0.01で異なっていれば、その線には微小な傾きがあります。直角だと思っていた二辺が実際には89.9度で交わっている場合、同じ距離を指定しても想定した45度の面取りにはなりません。
面取り寸法が合わないときは、対象となる二辺の長さ、角度、端点座標を確認してください。角度表示が丸められていると、画面上では90度と表示されても、内部ではわずかにずれている場合があります。必要に応じて表示精度を上げ、端点同士の位置関係を細かく調べます。
図形の修正には、端点を一致させる機能、余分な部分を切り取る機能、線を延長する機能などを使います。ただし、面取り後に周辺形状を無理に移動して合わせるよりも、面取り前の二辺を正しい状態に整えてから再実行する方が確実です。
面取り対象が円弧や曲線を含む場合は、直線同士の面取りとは処理結果が異なることがあります。曲線の接線方向を基準として形状が決まる場合があるため、単純な直角三角形の計算では確認できません。曲線を含む箇所では、接点や接線方向も確認しましょう。
設定4 作業平面と座標系を確認する
二次元図面を扱っているつもりでも、図形の高さ方向の座標が一致していないことがあります。画面を真上から見ている場合、高さが異なる図形も重なって表示されるため、同一平面上にあるように見えます。しかし、CAD内部では異なる平面上の図形として認識され、面取りが正しく作成できない可能性があります。
例えば、一方の線の高さ座標が0、もう一方の線の高さ座標が5になっている場合、平面表示では交差しているように見えても、三次元空間では交差していません。この状態で面取りを実行すると、処理を拒否されたり、意図しない投影結果が作成されたりすることがあります。
外部データを読み込んだ図面では、非常に小さな高さのずれが含まれることがあります。高さ座標が0と0.0001のように異なる場合、通常の表示では判別できません。二次元図面として編集するのであれば、対象図形の高さ座標を統一し、同一の作業平面上に配置する必要があります。
座標系の向きも面取りの結果に影響します。通常の平面とは異なる座標系が設定されていると、画面上の水平と図面内部の水平が一致しないことがあります。その状態で距離と角度を指定すると、想定外の方向へ面取り線が作成される可能性があります。
作業中に一時的な座標系を設定した場合、別の図面へ移動した後もその設定が残っていることがあります。面取り角度が反対方向になる、水平線に対して角度が合わない、寸法の向きが不自然になるといった現象がある場合は、現在の座標系を確認してください。
三次元モデルでは、画面の向きではなく、選択した面や作業平面を基準に面取りが行われます。正面から見ているつもりでも、裏側の稜線を選択している可能性があります。また、隣接面の角度によっては、同じ面取り距離でも見かけ上の幅が変わります。
二次元の面取りと三次元の稜線処理は、似た形状を作る機能であっても計算方法が同じとは限りません。二次元では辺に沿った距離を指定し、三次元では隣接する面上の距離や稜線からの幅を指定する方式があります。画面上の投影寸法だけを測ると、設定値と一致しないことがあります。
作業平面の問題を確認するには、対象図形を正面、側面、斜め方向などから表示し、同一平面上にあるかを確認します。二次元図面の場合は、高さ座標や厚みの値も確認してください。必要があれば図形を基準平面へ投影し、不要な高さ情報を取り除いてから面取りをやり直します。
ただし、三次元情報が必要な図面を無条件に平面化すると、設計上必要な高さ情報まで失われます。図面の用途を確認し、二次元化してよい範囲だけを修正することが重要です。元データを複製してから作業すれば、修正前後の比較もしやすくなります。
設定5 寸法表示の精度と丸め設定を確認する
面取り形状は正しく作成されていても、寸法表示の設定によって数値が合わないように見えることがあります。CADの寸法機能では、小数点以下の表示桁数、末尾のゼロ表示、丸め単位、尺度係数などを設定できることがあります。
例えば、実際の寸法が9.96ミリメートルであっても、小数点以下を表示しない設定では10と表示されます。逆に、実寸が10.04ミリメートルでも同じく10と表示される可能性があります。複数の箇所がすべて10と表示されているからといって、内部寸法まで完全に同じとは限りません。
面取り寸法を厳密に確認するときは、寸法表示の小数点以下桁数を一時的に増やします。通常の図面では小数第一位までで十分でも、原因調査時には小数第三位や第四位まで表示すると、微小なずれを発見しやすくなります。
丸め設定にも注意が必要です。一定の単位で数値を丸める設定が有効になっていると、実寸とは異なる値が表示されます。例えば、0.5単位で丸める設定では、10.2が10.0、10.3が10.5として表示される可能性があります。入力値と寸法文字が一致していても、図形が正確とは限りません。
寸法尺度係数が設定されている場合、計測した実寸に倍率を掛けた値が表示されます。縮小図として作図された古いデータや、異なる単位を表示上だけ合わせた図面では、この設定が使用されていることがあります。図形の内部寸法が10であっても、係数が1000なら寸法文字は10000になります。
寸法文字が手作業で上書きされているケースもあります。実際の計測値とは関係なく、任意の文字列が表示されている状態です。この場合、図面上に10と書かれていても、図形の実寸が10である保証はありません。寸法を選択し、計測値の上書きが行われていないか確認してください。
面取りの確認では、元の辺に沿った距離、面取り線の実長、面取り角度を分けて計測することが重要です。一つの寸法だけを見ても、設定値との関係を判断できません。直角部分の等距離面取りであれば、二つの後退距離が同じであること、面取り線が想定した角度になっていることを確認します。
寸法を配置する方向によっても表示値は変わります。水平寸法、垂直寸法、図形に沿った寸法では、同じ二点を選択しても異なる値になることがあります。面取り線の長さを測りたい場合は、面取り線に沿った実長を取得できる方法を使います。水平距離だけを測ると、斜線の投影長さが表示されます。
図面の見た目を整えるために表示桁数を減らすこと自体は問題ありません。ただし、設計確認用の精度と提出図面の表示精度を混同しないことが大切です。作図段階では十分な桁数で確認し、最終出力時に必要な表示へ調整する運用が安全です。
設定6 拘束条件と作図補助機能を確認する
CADには、図形の角度や長さ、平行、直角、一致などの関係を保持する拘束機能が備わっていることがあります。拘束が設定された図形へ面取りを追加すると、既存の条件を維持するために周辺形状が移動したり、面取り操作が制限されたりする場合があります。
例えば、二本の線に直角条件と固定長条件が設定されている状態で面取りを行うと、元の線を切り詰める処理が拘束と矛盾することがあります。CADによっては面取りを作成できず、別のCADでは拘束を保つために他方の端点が移動する可能性があります。
寸法拘束が設定されている場合、画面上の寸法文字は単なる計測結果ではなく、図形を制御する値です。通常の寸法と拘束寸法を混同すると、数値を変更したときに予想以上の範囲が変形します。面取り部分だけを修正したつもりでも、部材全体の長さや位置が変わることがあります。
面取りを行う前に、対象図形へどのような拘束が付与されているか確認してください。不要な拘束を削除する方法もありますが、設計意図を維持するために必要な条件である可能性があります。無条件に解除するのではなく、拘束の意味を確認してから変更しましょう。
スナップ機能も確認が必要です。面取り後に補助線や寸法を追加するとき、端点ではなく近接点や交点へ吸着すると、意図した位置とは異なる点を選択することがあります。見た目ではわずかな差でも、寸法値には影響します。
グリッドに合わせてカーソルを移動する設定が有効な場合、端点の移動量が一定間隔に制限されることがあります。細かな面取りを手作業で修正しようとすると、必要な位置へ移動できず、近い格子点へ配置されます。面取り機能で正確に作成できていても、その後の手動編集でずれる可能性があります。
角度方向を制限する補助機能も、面取りの修正時に影響します。水平、垂直、一定角度へカーソルを誘導する設定が有効な状態で端点を移動すると、本来の面取り角度から外れたり、反対に特定角度へ強制されたりします。
自動的に拘束を追加する設定が有効なCADでは、作図操作に応じて平行、直角、一致などの条件が付与されることがあります。最初は問題なくても、編集を重ねるうちに複数の拘束が競合し、面取り形状の変更が難しくなることがあります。
面取り結果がおかしいときは、補助機能をすべて無効にするのではなく、一つずつ影響を確認します。まず対象図形の拘束条件を調べ、次にスナップ、グリッド、角度制限、自動拘束の順で確認すると原因を切り分けやすくなります。
面取り寸法が合わない原因を切り分ける手順
面取り寸法の不一致を効率よく解決するには、確認順序を決めておくことが重要です。思いついた設定を無作為に変更すると、どの操作で直ったのか分からなくなります。また、元の設定へ戻せず、別の箇所に新たな問題を生じさせる可能性があります。
最初に、対象部分を複製するか、元の図面を別名で保存します。面取り操作では元の辺が切り詰められることがあるため、検証用データを用意しておくと安心です。元の形状と結果を並べて比較できるようにすると、どの辺がどれだけ変化したかを確認しやすくなります。
次に、面取り対象となる二辺の実寸を測ります。図面単位が想定どおりであることを確認し、各辺に割り当てた面取り距離が、その辺で交点から確保できる長さを超えていないかを調べます。入力値が各辺で確保できる長さを超える場合、正常に処理できない可能性があります。
その後、二辺の角度を確認します。直角であることを前提に等距離の面取りを作成する場合は、実際の角度が90度になっているかを調べます。表示上は直角に見えても、内部では微小に傾いていることがあります。
続いて、端点座標と高さ座標を確認します。二辺が同一平面上にあり、意図した交点を形成しているかを確認してください。微小な隙間、重複線、余分な交差部分がある場合は、この段階で整理します。
図形側に問題がなければ、面取り機能の設定を確認します。二距離方式なのか、距離と角度を使用する方式なのか、第一距離と第二距離が何になっているのか、選択順で割り当てが変わるのかを調べます。前回値が保持される場合は、今回必要な値へ明示的に設定し直します。
面取りを実行した後は、元の辺に沿った後退距離を測ります。面取り線の長さだけを測って入力値と比較してはいけません。どの数値を指定し、どの部分を検証しているのかを対応させる必要があります。
最後に寸法表示の精度を上げ、丸めや係数、文字上書きの有無を確認します。図形の実寸が正しいのに寸法文字だけが異なる場合は、作図をやり直す必要はありません。寸法スタイルや寸法オブジェクトの設定を修正すれば解決できます。
検証用として、単純な直角の二本線を新規作成し、同じ面取り設定を適用する方法も有効です。新規図形では正しい結果になる場合、元の図形に角度ずれ、座標差、重複、拘束などの問題が含まれている可能性が高いと判断できます。
2D図面と3Dモデルで異なる注意点
二次元図面の面取りと三次元モデルの面取りは、見た目が似ていても確認すべき寸法が異なります。二次元では、交差する二辺を切り詰めて斜線を追加する処理が中心です。三次元では、立体の稜線を削り、二つの面の間に新しい面を形成します。
三次元モデルでは、面取り幅をどの面上で測るかによって数値の意味が変わります。隣接する二面上の距離を個別に指定する方式では、第一面と第二面の選択順が結果に影響します。対称の面取りを作成するつもりでも、異なる距離が設定されていれば、新しく形成される面は片側へ寄ります。
隣接面が直角でない場合、同じ距離を設定しても新しい面の幅や投影寸法は変わります。正面図に投影された面取り幅だけを測って設定値と比較すると、一致しないように見えることがあります。三次元では、対象面上の実距離を確認しなければなりません。
稜線が直線ではなく曲線の場合、面取り面の幅や形状が位置によって変化することもあります。一定距離で処理されていても、画面上の見え方は均一とは限りません。曲面同士の境界では、接線方向や曲率の影響も受けます。
三次元モデルから二次元図面を作成した場合、投影方向によって面取り寸法の見え方が変わります。面取り面を正面から見ていない投影図では、実寸より短く表示されます。寸法を記入するときは、実長を示しているのか、投影長さを示しているのかを確認してください。
また、三次元モデルの面取り後に二次元図面が更新されていないケースもあります。モデルでは寸法を変更したのに、図面側には変更前の線が残っていると、寸法が合わなくなります。図面の再生成や表示更新を行い、最新のモデル形状が反映されているか確認しましょう。
受け取ったCADデータを修正するときの確認事項
社外や別部署から受け取ったCADデータでは、作図ルールや設定が自社と異なる可能性があります。自分の環境では10が10ミリメートルを意味していても、受け取った図面では10メートルを意味するかもしれません。まず既知寸法を測り、単位と尺度を把握する必要があります。
図面内の寸法文字だけを基準にすると、尺度係数や手入力による上書きの影響を受けます。通り芯の間隔、部材の標準寸法、既知の外形寸法など、複数の箇所を直接計測して単位を判断しましょう。一か所だけでは、そこだけ寸法が修正されている可能性があります。
図形の種類も確認します。通常の線分に見えても、連続図形、参照図形、複合図形、三次元図形などである場合があります。編集できない図形を無理に分解すると、属性や関連情報が失われることがあるため注意が必要です。
外部参照された図面の場合、表示されている図形を現在の図面上で直接編集できないことがあります。面取りを追加するには、参照元のデータを修正するか、必要な図形を現在の図面へ取り込む必要があります。どのデータが正式な原本であるかを確認してから作業しましょう。
図面内に重複線が多い場合は、面取り作業の前に整理が必要です。ただし、一括して重複を削除すると、意図的に重ねている線や異なる属性を持つ線まで消える可能性があります。対象範囲を限定し、修正前後を比較できる状態で作業してください。
設定変更を図面全体へ適用する場合も慎重さが求められます。単位、寸法スタイル、座標系、拘束条件を変更すると、面取り箇所以外の表示や形状にも影響する可能性があります。問題のある箇所だけを複製し、検証用の図面で設定を確認してから本番データへ反映すると安全です。
面取り寸法の不一致を再発させない運用方法
面取り寸法の問題は、その場で修正するだけでなく、再発しにくい作図ルールを整えることが重要です。担当者ごとに単位や面取り方式が異なると、図面を引き継いだ際に誤解が生じます。
まず、モデル空間の作図単位を統一します。ミリメートルで作図するのか、メートルで作図するのかを案件ごとに明確にし、図面内の分かりやすい位置に記録しておくと確認しやすくなります。単位を表示上の寸法係数だけで調整する運用は、できる限り避けた方が安全です。
面取り指示の表記方法も統一しましょう。辺に沿った距離を示すのか、面取り線の実長を示すのか、角度を併記するのかを明確にします。図面内に複数の解釈が可能な表現があると、設計者と加工担当者の間で認識がずれる可能性があります。
作図テンプレートには、寸法表示の桁数、丸め設定、尺度係数などを適切に設定しておきます。案件ごとに一から設定するよりも、承認済みのテンプレートを使用した方がばらつきを減らせます。
面取り操作後の確認項目を決めておくことも有効です。元の辺に沿った距離、面取り角度、周辺の全体寸法を確認すれば、面取り部分だけでなく、操作によって周囲が意図せず変形していないかも把握できます。
重要な図面では、作図者とは別の担当者が寸法を確認する方法も効果的です。作図者は入力した数値を知っているため、正しいはずだという思い込みが生じやすくなります。第三者が実測値と指示内容を照合することで、入力値の取り違えや選択順の誤りを発見しやすくなります。
修正履歴には、単に面取りを変更したと記録するだけでなく、どの部分をどの基準で変更したかを残します。例えば、辺方向の距離を変更したのか、角度を変更したのか、表示精度だけを修正したのかが分かるようにします。
頻繁に使用する面取り寸法がある場合は、標準形状として登録しておく方法もあります。ただし、既存形状を流用するときも、挿入先の単位や尺度が一致しているかを確認してください。標準化は有効ですが、異なる図面環境へ無条件に適用すると、かえって寸法ミスを招きます。
現況計測データとCAD図面を照合するポイント
既存構造物や施工済み部分の面取りをCADへ反映する場合、図面上の設計寸法だけでなく、現況との違いも確認する必要があります。施工誤差、摩耗、欠損、補修などにより、現地形状が設計図と完全には一致しないことがあるためです。
現場で計測した値をCADへ入力する際は、どの位置間の距離を測ったのかを明確にします。面取り線の実長を測ったのか、元の二辺を延長した仮想交点からの距離を測ったのかによって、CADへ入力する数値は変わります。
既存の角が失われている場合、仮想交点を正確に求めることが難しくなります。周辺の直線部分を延長して交点を推定し、その位置から面取り開始点までの距離を求める必要があります。現場で測った斜線長さを、そのまま二距離方式の入力値として使用しないように注意してください。
写真だけを見て形状を判断すると、撮影角度や遠近によって寸法を誤認する可能性があります。現況をCADへ反映する場合は、基準点や既知寸法と組み合わせて形状を確認することが重要です。
現況形状を広い範囲で記録したい場合は、LRTK Phoneで取得した位置情報や点群などを参考にし、CAD図面との位置関係を確認する方法があります。ただし、取得データの精度、計測条件、対象物の形状を考慮し、必要に応じて追加の実測を行うことが大切です。
計測データをCADへ取り込んだ後も、単位と座標系を確認してください。現場側のデータがメートル単位、CAD図面がミリメートル単位であれば、尺度を適切に変換する必要があります。また、任意座標と公共的な座標を混同すると、形状は合っていても配置位置が大きくずれます。
まとめ
CADで面取り寸法が合わないときは、面取り線の長さと辺に沿った指定距離を混同していないかを最初に確認することが重要です。直角部分へ等距離の面取りを行った場合、斜めに形成される線は入力値より長くなるため、数値が異なっていても正常なことがあります。
確認すべき六つの設定は、図面単位と尺度、面取り方式と入力値の割り当て、対象図形の端点と交差状態、作業平面と座標系、寸法表示の精度と丸め、拘束条件と作図補助機能です。これらを順番に確認すれば、図形そのものの問題と表示上の問題を分けて考えられます。
原因調査では、元図面を保護したうえで対象辺の実寸と角度を測り、同一平面上にあることを確認します。その後、面取り機能の現在値と選択順を調べ、面取り後は元の辺に沿った距離と面取り線の実長を分けて計測します。
面取り部分だけを見て修正すると、周辺寸法や拘束条件を変えてしまうことがあります。図面全体への影響を確認しながら作業し、単位や表記方法を社内で統一することが再発防止につながります。
現況の形状をCAD図面へ反映する業務では、どの部分を計測した値なのかを明確にし、座標系や単位をそろえる必要があります。現場の位置情報や点群を使って図面との整合を確認したい場合は、LRTK Phoneの活用も検討してみてください。