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CLAS測量は国交省の公共測量で使える?準則・精度・手続きの5つの確認点

CLAS測量を公共工事や測量業務に導入する際、「国土交通省の公共測量で認められているのか」「作業規程の準則に適合するのか」「センチメートル級の精度があれば正式な測量成果として使えるのか」と疑問に感じる実務担当者は少なくありません。

CLASは、準天頂衛星システムから配信されるセンチメータ級測位補強情報を利用する技術です。対応する受信機と良好な衛星受信環境があれば、地上の通信回線を利用できない場所でも高精度な衛星測位を行える可能性があり、建設現場の位置確認、施工管理、地形情報の取得などへの活用が期待されています。

ただし、CLASに対応した測量機器を使用すれば、その観測結果が自動的に公共測量の正式な成果として認められるわけではありません。公共測量では、測量法に基づく作業規程、測量方法ごとの適用条件、必要精度、成果の検証、所定の手続きなどを確認する必要があります。

特に注意したいのは、CLASによる測位と、作業規程の準則に規定されたGNSS測量方法を同一視しないことです。新しい測量技術を採用する場合には、既存の規定に適合するかを確認し、適合しない部分があれば、準則の特例規定による対応を検討することになります。

この記事では、「CLAS測量 国交省」で情報を探している測量会社、建設会社、公共工事の発注者、施工管理担当者に向けて、CLASを公共測量に利用する際に確認したい5つの重要ポイントを解説します。制度上の位置付けから精度管理、座標の整合性、事前協議、実際の現場運用まで、判断に必要な情報を整理します。

CLAS測量は国交省の公共測量に使えるのか

結論からいえば、CLAS測量は公共測量への利用を検討できる技術ですが、CLASという測位方式だけを理由に、すべての公共測量で使用できると判断することはできません。

公共測量の正式な成果を作成する場合には、適用される作業規程で認められた測量方法を使用するか、新しい技術に関する所定の確認手続きを経て、必要な精度を確保することが重要です。

国土交通省が実施する公共測量には、国土交通省公共測量作業規程が用いられます。この作業規程は、測量法第34条に基づく「作業規程の準則」を一部読み替えて準用したものです。一方、地方公共団体などが実施する公共測量では、それぞれの測量計画機関が承認を受けた作業規程を確認する必要があります。

作業規程の準則は、測量技術の進展に合わせて改正されています。令和7年3月31日の一部改正では、全国の標高成果の改定に伴う対応や、3級水準測量を対象とするGNSS標高測量の導入、三次元点群データを利用した断面図作成方法の追加などが行われました。

しかし、GNSS標高測量が規定されたことと、CLASを用いた任意の単点観測が同じ手続きで利用できることは別の問題です。使用する観測方式や計算方法が、規定された作業条件と一致するかを個別に確認しなければなりません。

また、作業規程の準則第17条では、準則に定めのない新しい測量技術を使用する場合の取扱いが定められています。必要な精度を確保できることを検証し、あらかじめ国土地理院の長の意見を求めることなどにより、新しい技術を公共測量に採用するための手続きが設けられています。

国土地理院が対象となる新技術の測量方法についてマニュアルを定めている場合には、そのマニュアルを利用する方法もあります。ただし、既存のマニュアルがCLASによる測位を対象としているかどうかは、別途確認が必要です。

つまり、CLAS測量の公共測量への適用は、「使用できる」「使用できない」という単純な二択ではなく、業務の種類、適用規程、測量精度、採用手続きの組み合わせによって判断するものです。

実務では、CLASを正式な成果作成に使うのか、それとも既存の測量方法を補助する位置確認に使うのかを、最初に区別することが重要になります。

確認点1:公共測量と現場管理用の測位を区別する

CLAS測量の導入を検討する際、最初に確認したいのは、実施する作業が測量法上の公共測量に該当するのか、それとも公共工事に付随する施工管理や現場確認なのかという点です。

公共工事で使用する測量機器だからといって、その機器によるすべての測定が公共測量に該当するわけではありません。この区別を曖昧にすると、本来必要な手続きを見落としたり、反対に必要以上に複雑な手続きを想定したりする原因になります。

公共測量は、測量法に基づいて実施される測量の区分です。国や地方公共団体による費用負担など、法律上の条件によって該当性が判断されます。また、測量の目的、精度、規模などによって、公共測量への該当性や法的な取扱いが異なる場合があります。

例えば、自治体が道路整備のために基準点を設置し、正式な測量成果を作成する業務では、公共測量としての作業規程や成果管理が重要になります。一方、施工会社が重機の配置を確認したり、資材置場の位置を記録したりする作業は、直ちに同じ扱いになるとは限りません。

CLAS測量は、現場の状況把握や作業支援において利便性を発揮する可能性があります。しかし、公共測量の成果として使用する場合には、測量法や承認済みの作業規程、個別の業務仕様書に基づく判断が必要です。

特に重要なのは、成果の利用目的です。

現場の目印となる位置を確認するための測位と、後続の工事や測量に利用される基準点の座標を決定するための測量では、求められる信頼性が異なります。概略位置の確認で十分な作業に対して、基準点測量と同じ手順を適用する必要があるとは限りません。

反対に、数センチメートル程度の位置差が施工品質や安全性に影響する業務では、CLAS測量による測位結果を、そのまま施工基準として採用することが適切とは限りません。設計上の許容差、測量方法、機器性能、現場環境を合わせて判断する必要があります。

また、公共工事の出来形管理については、公共測量の作業規程とは別に、発注者が適用する施工管理基準や出来形管理要領などが関係します。測量法上の公共測量として利用できるかという問題と、出来形管理の計測方法として採用できるかという問題は、分けて確認することが大切です。

例えば、CLASを利用した位置確認が施工会社の自主的な管理に役立つ場合でも、その測位結果を正式な出来形計測の根拠として提出できるとは限りません。適用する出来形管理要領で認められた計測方法や精度確認手順を満たしているかを確認する必要があります。

実務では、まず発注仕様書や測量業務計画を確認し、CLASで取得した位置情報をどの成果に使用する予定なのかを明確にします。

概略位置の確認、施工状況の記録、写真への位置情報付与、既知点の探索、正式な基準点の座標決定など、用途を具体化すると必要な精度と手続きが見えやすくなります。

さらに、計測結果を誰が利用するかも重要です。現場担当者だけが参考情報として使用するのか、発注者に提出するのか、後続工事の設計や施工の基準として使用するのかによって、求められる品質管理や記録内容が変わります。

CLASを導入する目的が現場作業の効率化であれば、正式な公共測量を規定された方法で実施し、CLASを補助的な計測や記録に使用する運用も考えられます。このように用途を整理しておくことで、制度への適合性を確保しながら技術の利点を活用しやすくなります。

確認点2:作業規程の準則と適用可能な測量方法を照合する

CLAS測量を公共測量に利用するうえで、中心となる確認事項が「作業規程の準則」との関係です。

作業規程の準則は、測量法第34条に基づいて国土交通大臣が定める、公共測量の標準的な作業方法や精度管理に関する規準です。実際の公共測量では、測量計画機関が承認を受けた作業規程に従って業務を実施します。

令和7年3月31日に改正された準則では、全国の標高成果の改定への対応に加え、GNSS標高測量の導入や三次元点群データを利用した断面図作成方法の追加などが行われました。

このように、公共測量の制度では新しい測量技術の活用が進められています。ただし、GNSSに関する技術が規定されていることだけで、すべてのGNSS測位方式が同じ条件で使用できることにはなりません。

CLASによる測位は、衛星から送信される補強情報を利用し、高精度な位置を推定する方式です。一方、作業規程の準則に規定されるGNSS測量には、スタティック法やRTK法、ネットワーク型RTK法など、目的に応じた観測方式があります。

これらは、使用する補正情報、観測方法、既知点の扱い、計算処理、品質確認の条件が同一ではありません。

CLASはPPP-RTKの技術を利用する測位方式ですが、地上の基準局との相対観測を前提とする一般的なRTK法やネットワーク型RTK法と、計算の仕組みがそのまま一致するわけではありません。

したがって、準則にネットワーク型RTK法が記載されていることを根拠に、CLASによる観測を無条件で同じ方法として扱うことは避ける必要があります。

確認すべきなのは、使用する機器がGNSSに対応しているかだけではありません。観測方式、使用する既知点、観測時間、計算処理、座標の取扱い、点検方法まで含めて、規定の測量方法に適合しているかを判断します。

例えば、準則に規定された方法では複数の観測点を組み合わせた処理が必要になる場合があります。一方、CLAS対応機器で単独の位置を測定しただけでは、その規定に必要な観測構成を満たさない可能性があります。

観測結果の数値が近いことと、測量方法が準則に適合することは、別の評価項目です。

準則に直接規定されていない新技術を使用したい場合には、第17条の特例規定が重要になります。

準則第17条第2項では、準則に定めのない新しい測量技術を使用する場合、使用する資料、機器、測量方法などによって必要な精度が確保できることを検証結果などに基づいて確認し、あらかじめ国土地理院の長の意見を求める取扱いが定められています。

また、第17条第3項では、国土地理院が新しい測量技術による測量方法についてマニュアルを定めている場合、そのマニュアルを確認のための資料として使用できることが規定されています。

国土地理院は、新技術を使用する場合について、準則や既存のマニュアルで定められている方法と、いずれにも規定されていない方法を区別して案内しています。後者では、作業マニュアルや精度検証報告書を作成して事前に提出し、内容の確認を受けることが必要になります。

一方、国土地理院が定めた対象技術のマニュアルを使用する場合には、そのマニュアルの名称を公共測量実施計画書の所定欄に明記する取扱いが案内されています。ただし、マニュアルの適用範囲や条件を満たすことが前提です。

ここで注意したいのは、GNSSに関するマニュアルが存在することと、そのマニュアルがCLASによる観測方法を対象としていることは同義ではない点です。

特に、令和7年に導入されたGNSS標高測量は、所定の電子基準点やジオイド・モデルなどを使用する測量方法です。CLASによる任意の単点測位を、そのままGNSS標高測量として扱えるわけではありません。

CLASを利用する際には、適用予定のマニュアルの対象技術や観測条件を確認し、必要に応じて国土地理院へ相談することが適切です。公開されているマニュアルの名称だけで適合性を判断せず、実際の技術内容と規定を照合することが重要になります。

具体的には、対象とする測量種別、精度区分、観測機器の性能、観測条件、精度管理方法、成果の計算方法について整理します。

その結果、準則に定められた方法に適合する場合は、当該方法の規定に従って実施できるかを検討します。適合しない場合は、準則第17条に基づく確認が必要になるかを、測量計画機関と国土地理院に確認します。

国交省の公共測量にCLASを導入する場合は、機器の性能を説明するだけでなく、作業規程のどの規定または特例に基づいて測量するのかを説明できる状態にしておくことが重要です。

確認点3:必要精度を実測・独立点検で立証する

CLAS測量の利用可否を判断するうえで、測位精度は重要な要素です。

ただし、「センチメータ級」という表現だけで公共測量の精度要件を満たしていると判断することはできません。公共測量では、測量の種類や等級、成果の用途によって求められる精度や点検方法が異なります。

準天頂衛星システムの公式なCLASサービス仕様では、所定の利用条件における測位誤差の性能指標として、静止時は水平6cm以下、垂直12cm以下、移動体では水平12cm以下、垂直24cm以下という95%の基準が示されています。

これらはCLASの性能を理解するための重要な情報ですが、すべての測定で誤差が必ずその範囲に収まるという意味ではありません。また、実際の公共測量における成果の合否を直接判定する数値でもありません。

95%という基準は、一定の条件を前提とする統計的な性能指標です。公共測量の個々の成果に要求される精度や許容差とは、評価対象と考え方が異なるため、そのまま置き換えて使用することは適切ではありません。

測位精度は、衛星配置、受信環境、補強情報の状態、測位演算の安定性、アンテナの設置条件などによって変化します。公表された性能条件と実際の現場環境が異なる場合には、結果に差が生じる可能性があります。

特に、山間部、建物が密集した市街地、橋梁の周辺、樹木の多い場所では、測位衛星からの信号が遮られたり、反射波が混入したりすることがあります。

こうしたマルチパスの影響は、受信機に表示される測位状態が良好であっても、位置の偏りとして現れる場合があります。測位状態の表示だけを根拠に、測定した座標が正しいと判断することは避ける必要があります。

公共測量への適用を検討する場合、最初に行いたいのは、精度が確認された既知点での比較観測です。

既知点とは、必要な精度と適切な手続きによって座標が決定されている点を指します。CLASで観測した座標と既知点の成果を比較することで、測位結果にどの程度の差があるかを確認できます。

このとき重要なのは、水平位置だけでなく、高さ方向も別に評価することです。

例えば、平面位置の差が小さくても、高さ方向に大きな差が生じている場合があります。高さを必要とする業務では、水平位置の精度だけを確認しても十分ではありません。

なお、高さを比較する際は、楕円体高と標高の違い、使用するジオイド・モデル、基準面補正などを事前に統一する必要があります。異なる高さの基準を比較すると、測位性能とは別の理由で差が生じるためです。

また、1回だけの測定では、偶然良好な結果が得られた可能性を排除できません。

測位を開始してから安定するまでの時間を確保し、必要に応じて再初期化を行い、時間帯を変えた複数回の観測を実施することが重要です。複数の観測結果を比較することで、短時間の変動や一時的な測位不良を把握しやすくなります。

ただし、同じ場所で短時間に繰り返し観測した結果は、同じ環境要因による誤差を共有している可能性があります。独立性を重視する場合には、観測時間帯や測位初期化の状態を変えるなど、検証方法を工夫する必要があります。

精度評価では、単に平均値を求めるだけでは不十分です。

測定値の平均が既知点の座標に近くても、個々の観測結果が大きくばらついている場合には、作業結果の再現性に問題があります。反対に、ばらつきが小さくても、すべての観測結果が同じ方向に偏っている場合は、系統的な誤差が存在している可能性があります。

そのため、既知点との差、観測値のばらつき、最大偏差、水平と鉛直の誤差傾向などを分けて確認することが適切です。統計的な評価を行う場合には、誤差指標の定義や計算方法も明示しておく必要があります。

さらに、測位機器そのものの性能と、作業全体の測量精度を区別することが大切です。

GNSS受信機の測位結果が高精度でも、アンテナ高の入力間違い、測量ポールの傾き、アンテナの据付位置のずれ、座標変換の誤りなどがあれば、最終成果の誤差が大きくなります。

例えば、測量ポールを使用して地面上の点を測定する場合、アンテナの位置と地上の測定点は一致しません。ポールの高さや傾き補正、アンテナ位相中心に関する取扱いが適切でなければ、地上点の座標を正しく求められない可能性があります。

精度検証では、CLAS測位だけでなく、測量作業の一連の工程を対象にする必要があります。

公共測量の正式な成果に利用する場合には、適用規程に応じた機器の検定や現場試験、規定された観測方法、計算方法、点検測量などを確認します。新技術として扱う場合には、精度検証報告書に観測条件や比較結果を記録し、再現性を説明できる状態にしておくことが重要です。

特に効果的なのは、CLASとは異なる原理や観測条件の測量方法で独立した点検を実施することです。

例えば、適用規程に従った地上測量機器やGNSS測量方法で確認した結果と比較すれば、CLASだけでは発見しにくい座標の偏りを把握できる可能性があります。

また、測位条件が悪化した際の対応も検証対象に含めることが望まれます。補強情報の受信が不十分な状態や測位解が不安定な状態で記録された点をどのように扱うか、再測定を判断する条件は何かを明確にしておく必要があります。

なお、必要な精度を満たすかどうかは、CLASの性能仕様だけで決めるものではありません。業務ごとの作業規程や要求事項に照らして、観測方法と成果全体を評価する必要があります。

確認点4:国家座標・標高・補正条件を整合させる

CLAS測量を公共測量で利用する場合、精度と同じくらい重要になるのが座標の整合性です。

測位結果の数値が安定していても、その座標が業務で採用している基準と一致していなければ、既存の図面や基準点成果との間に位置ずれが生じる可能性があります。

公共測量では、測量法に基づく測量の基準を使用します。日本国内の測量成果を扱う際には、国家座標との整合性を確保することが重要です。

CLASによる測位では、高精度な位置情報を取得できる可能性がありますが、出力された座標がそのまま既存の公共測量成果と一致するとは限りません。

その理由の一つが、地殻変動の影響です。

日本列島では、地殻変動によって地表面の位置が時間とともに変化します。測量成果として公表されている座標は、所定の基準時点に対応する位置を表しているため、観測した時点の位置との差が生じることがあります。

この違いを適切に扱うため、測量や位置情報の利用目的に応じた地殻変動補正が必要になる場合があります。

ここで区別したいのが、セミ・ダイナミック補正と定常時地殻変動補正です。

セミ・ダイナミック補正は、主に電子基準点のみを既知点とする相対測位方式の基準点測量などで、地殻変動によるひずみの影響を補正するために使用されます。

一方、CLASなどによって取得した高精度測位情報を国家座標に整合させる用途では、国土地理院が提供する定常時地殻変動補正の仕組みであるPOS2JGDが利用できる場合があります。

この二つは地殻変動を扱うという点では共通していますが、補正の目的やパラメータの取扱いが同一ではありません。CLASの測位結果にセミ・ダイナミック補正を機械的に適用すれば正しい国家座標になる、という理解は避ける必要があります。

CLASで得られた位置情報については、受信機が出力する座標の基準座標系、観測時点、国家座標への変換処理の有無を確認することが重要です。

POS2JGDを利用する場合も、CLASが採用している基準座標系と、測位した時期に対応する補正パラメータを選ぶ必要があります。適用するパラメータは時期によって異なるため、過去の観測データを処理する場合には、その観測時点に対応した条件を確認します。

また、受信機や処理ソフトウェアによって、補正済みの座標を出力する場合と、別途座標変換や補正が必要になる場合があります。

補正処理が自動化されている場合でも、使用するパラメータが適切であるか、補正を二重に適用していないかを確認することが重要です。

特に、異なる測量機器や異なる時期の成果を組み合わせる場合は、座標系や補正条件を統一しておく必要があります。

令和7年4月1日には、全国の基準点の標高成果が改定され、測地成果2024が公表されました。この改定では、衛星測位を基盤とする標高体系への移行が行われています。

測地系の名称も日本測地系2024へ変更されていますが、全国の標高改定に伴って、従来の測地成果2011における水平位置の数値が一律に変更されたわけではありません。基本的な水平位置の成果値は引き継がれています。

これに伴い、GNSSで求めた高さと公共測量の標高成果を整合させる方法についても、適用する規定を確認する必要があります。

GNSSで直接求められる高さは、基本的に楕円体高です。一方、土木設計や施工管理で一般的に使用する標高は、楕円体高と同じものではありません。

楕円体高を標高に変換するには、適切なジオイド高や、適用する標高体系に応じた補正を考慮する必要があります。

令和7年の標高成果改定に対応した測量では、新しいジオイド・モデルである「ジオイド2024日本とその周辺」が使用されます。また、地域や測量方法によっては基準面補正量の取扱いも関係します。

ただし、測量機器やソフトウェアが既に標高変換を行っている場合は、その処理内容を確認する必要があります。利用者が別途ジオイド高を適用すると、変換が重複する可能性があるためです。

仮にCLASによる水平位置が十分な精度を持っていても、高さの処理が適切でなければ、土工の出来形確認や排水施設の高さ管理などで問題が発生する可能性があります。

特に注意したいのは、既存図面の標高が古い成果に基づいている場合です。

新しい標高体系で取得した位置情報と、改定前の標高を使用した設計データを直接比較すると、測量機器の誤差ではない差が生じる場合があります。

このような差をCLASの測位精度の問題として扱ってしまうと、原因を誤って判断するおそれがあります。

さらに、経緯度から平面直角座標へ変換する場合には、使用する座標系の系番号や計算条件を確認する必要があります。

公共測量の成果は、現場で使用する平面座標と関係付けられることが多いため、座標系の指定を誤ると、データを重ね合わせた際に大きな位置ずれが発生します。

現場で複数の測量機器を使用する場合は、使用する測地基準系、座標の基準時点、平面直角座標系、標高体系、補正パラメータの適用条件を事前に整理しておくことが適切です。

CLASの測位精度が高いことと、測位結果が公共測量で採用する国家座標に正しく整合していることは、別の確認事項です。

正式な成果を作成する前には、既知点との座標比較や補正条件の確認を行い、位置ずれの原因を説明できる状態にしておく必要があります。

確認点5:計画機関への確認と国土地理院への手続きを済ませる

CLAS測量を公共測量に導入する際には、技術面だけでなく、手続き面の確認も重要です。

測量作業機関がCLASの精度を検証し、業務に使用できると判断した場合でも、それだけで公共測量の測量方法として正式に採用できるとは限りません。

公共測量では、測量計画機関が作業規程を定め、必要な承認を受けたうえで業務を実施します。

測量法第33条では、公共測量を実施する場合に、観測機械の種類、観測法、計算法などを定めた作業規程について、あらかじめ国土交通大臣の承認を得ることが規定されています。

既に承認された作業規程を変更する場合にも、原則として変更承認の手続きが必要になります。ただし、令和7年3月31日の準則の一部改正に関しては、従来の告示番号の準則を準用している計画機関が改正後の準則を引き続き準用する場合、変更申請は不要と案内されています。

そのため、CLAS測量を導入する場合は、最初に測量計画機関が採用している作業規程を確認します。

国土交通省が測量計画機関となる業務では、国土交通省公共測量作業規程が関係します。自治体などが計画する業務では、当該計画機関の作業規程や業務仕様書を確認することが必要です。

そのうえで、予定しているCLASの利用方法が、既存の作業規程に適合するかを判断します。

準則に直接規定されていない新しい測量方法としてCLASを採用する場合には、第17条に基づく対応について確認することになります。

国土地理院は、新技術を使用する公共測量について、作業マニュアルや精度検証報告書などを用意し、公共測量実施計画書の提出前に相談することを案内しています。

実務では、測量計画機関と測量作業機関が協議し、CLASを使用する目的と範囲を明確にすることが出発点になります。

例えば、公共測量の成果作成に使用するのか、規定された測量方法の補助として使用するのかによって、説明すべき内容は異なります。

正式な成果作成に利用する場合は、作業方法を具体的に示す必要があります。CLASで取得した座標をどのように処理し、どのような観測条件で測定し、どのような基準で精度を確認するのかを説明します。

精度検証報告書には、使用する機器、観測方法、観測環境、既知点との比較結果、誤差の評価方法、測位が不安定な場合の対応などを整理することが考えられます。

また、作業マニュアルでは、観測前の確認、測定時の操作、データの保存、点検方法、異常値の取扱い、成果の整理方法まで定めておくことが重要です。

技術的な資料が十分でなければ、必要精度を確保できるかについて適切な判断を行うことが難しくなります。

公共測量実施計画書についても確認が必要です。

測量法第36条では、測量計画機関が公共測量を実施する場合、あらかじめ目的、地域、期間、精度、方法を記載した計画書を提出し、国土地理院の長の技術的助言を求めることが定められています。

測量計画機関は、原則として、この技術的助言を受けた後でなければ公共測量を実施できません。また、計画書を変更する場合にも、同条に基づく手続きが関係します。

CLASを新しい測量技術として採用する場合には、適用するマニュアルや確認を受けた作業方法を実施計画書の所定欄に適切に記載する必要があります。

ここで重要なのは、技術的な事前確認と公共測量実施計画書の提出を混同しないことです。

新技術の適用について事前に相談したからといって、公共測量に必要な他の手続きがすべて完了するわけではありません。また、新技術について国土地理院の意見を求める手続きと、機器の個別認証や測量成果の自動的な承認とは別のものです。

測量法では、公共測量の実施に関する通知や、実施終了時の通知なども規定されています。これらについても、測量計画機関が必要な手続きを確認することが重要です。

また、公共測量を開始した後に観測方法を変更する場合も、計画機関との協議が必要です。変更内容によっては実施計画書の変更などが関係するため、現場の判断だけで測量方式を切り替えないことが重要です。

例えば、当初は規定されたRTK法で観測する計画だったものの、現場の通信環境が悪いためCLASによる測位に変更したい場合があります。

この場合、CLAS対応機器で同程度の測位結果が得られたとしても、当初の作業規程や実施計画に適合するかを確認せずに変更することは適切ではありません。

観測方式の違いが、精度管理や計算方法、成果の検証に影響する可能性があるためです。

さらに、公共測量が終了した後には、成果や記録に関する手続きがあります。測量法第40条では、測量計画機関が公共測量の成果を得たとき、遅滞なくその写しを国土地理院の長に提出することが規定されています。

成果の提出に際しては、測量成果だけでなく、所定の測量記録や品質に関する資料を整理することが重要です。測量計画機関が指定する成果については、適用規程に基づく第三者機関による検定などが必要になる場合もあります。

CLAS測量を新技術として使用した場合には、観測時の条件や精度検証の記録が、成果の品質を説明するための重要な資料になります。

測量方法の採用を検討する段階から、最終的にどのような記録を残し、どのような成果を提出するのかを明確にしておくことが望ましいです。

CLAS測量を公共工事で活用しやすい場面と注意すべき場面

CLAS測量の利用可能性を判断するには、公共測量としての制度上の適合性に加えて、現場でどのような効果が得られるかを考えることも重要です。

CLASの特徴の一つは、準天頂衛星から直接受信する補強情報を使用できることです。対応する受信機と十分な衛星受信環境があれば、地上の通信回線を利用できない場所でも高精度測位を実施できる可能性があります。

この特徴は、山間部や通信環境の悪い施工現場などで役立つ場合があります。

ただし、通信回線が不要であることと、どのような場所でも測位できることは同じではありません。CLASを使用するには、測位衛星と補強情報を送信する衛星からの信号を適切に受信できる環境が必要です。

周囲を高い建物に囲まれた場所や、樹木の影響が強い場所、トンネル内部などでは、衛星信号の受信条件が悪くなり、測位精度や測位の継続性が低下する可能性があります。

そのため、現場の通信環境だけを根拠にCLASが有利と判断するのではなく、天空の開け具合や作業時間帯なども考慮する必要があります。

CLASが活用しやすい場面としては、現場の概略位置確認や施工状況の記録が考えられます。

例えば、道路工事で仮設物の位置を確認したり、工事区域内の構造物や設備の位置情報を整理したりする場合です。求められる精度を確認したうえで使用すれば、現場情報の収集を効率化できる可能性があります。

また、施工前後の現場写真に位置情報を付与する用途も考えられます。

工事写真を撮影した場所が分かるようになると、後から現場の状況を確認する際に、撮影位置と対象物の関係を把握しやすくなります。

特に、広い工事区域や同じような構造物が連続する現場では、写真に位置情報を関連付けて管理することに意味があります。

ただし、写真に高精度な位置情報が付いているからといって、写真に写る構造物のすべての座標が同じ精度で決まるわけではありません。

カメラの位置と撮影対象の位置は異なります。写真から対象物の座標を求める場合には、撮影方向や距離、画像計測の方法などによる誤差も考慮する必要があります。

三次元点群の取得でも、CLASは位置情報を関連付ける手段として利用できる場合があります。

ただし、点群全体の位置精度は、GNSS測位の精度だけで決まるものではありません。点群を取得する計測機器の精度、移動中の位置姿勢推定、データの位置合わせ、基準点との整合性なども関係します。

そのため、CLASに対応した機器で取得した点群であっても、公共測量の三次元点群成果として利用する場合には、適用される規程や精度確認を満たす必要があります。

一方、特に慎重な判断が必要なのは、基準点の新設や高い精度が要求される測量です。

基準点は、その後の測量や施工の基礎となる重要な位置情報です。基準点自体に誤差が含まれていると、その点を利用して実施する測量全体に影響する可能性があります。

また、構造物の精密な据付、境界位置の決定、高さの管理などでは、CLASの一般的な性能をそのまま採用の根拠とすることは適切ではありません。

例えば、数ミリメートル程度の施工精度が必要な位置決めでは、CLASによる測位結果だけに依存せず、要求精度に適した測量方法を使用する必要があります。

地籍調査や境界に関係する測量についても、関係法令、作業規程、調査方法、成果の精度区分などが関係します。CLASで測定した位置が既存の成果に近いという理由だけで、筆界や境界を確定できるわけではありません。

CLASを活用する際には、要求精度が比較的緩やかな用途と、高い精度や厳格な手続きが必要な用途を明確に区別することが重要です。

現場作業の効率化を目指す場合は、CLASを補助的な位置確認や記録に使用し、正式な測量成果については規程に適合した方法で取得するという組み合わせも有効です。

CLAS測量と国交省の公共測量に関するよくある疑問

「CLASは国土交通省が認めた測量方法ですか?」という疑問については、CLASの測位サービスとしての性能と、公共測量での採用条件を分けて考える必要があります。

CLASは国が提供する衛星測位補強サービスですが、サービスが提供されていることだけで、すべての公共測量における利用が認められるわけではありません。公共測量で使用する場合は、個別の作業規程への適合性や新技術の取扱いを確認する必要があります。

「CLAS対応の測量機器なら、公共測量でもそのまま使用できますか?」という質問についても、機器の対応状況だけでは判断できません。

公共測量では、使用する機器の性能だけでなく、観測方法や計算方法、精度管理、成果の点検などが重要です。必要に応じて測量機器の検定や現場試験の対象になるかも確認しなければなりません。

また、機器の仕様に記載された測位精度は、所定の条件における性能を示すものであり、現場で作成した測量成果の精度を保証するものではありません。

「CLASはネットワーク型RTK法と同じ扱いにできますか?」という疑問もあります。

CLASとネットワーク型RTK法は、どちらも衛星測位によって高精度な位置情報を求める技術ですが、補正情報の生成や配信、測位計算の仕組みが異なります。

したがって、両者を同一の測量方法として扱えるかどうかは、適用する作業規程やマニュアルに基づいて確認する必要があります。単に測位精度が近いという理由だけで、同じ規定を適用できるとは限りません。

「CLASで数センチメートルの精度が出ていれば、公共測量の基準点を設置できますか?」という質問については、観測結果だけで判断しないことが重要です。

基準点測量では、等級ごとに観測方法や精度管理などの条件があります。数センチメートル程度の差に収まった測定結果が得られたとしても、規定された測量方法や必要な点検を満たしていなければ、正式な成果として使用できるとは限りません。

また、成果の座標が国家座標に整合していることも重要です。単に繰り返し観測した値が安定しているだけでは、既存の基準点成果との整合性を確認したことにはなりません。

「CLASを使うには国土地理院への申請が必ず必要ですか?」という疑問については、使用目的や業務の取扱いによって答えが変わります。

一般的な現場確認や施工記録にCLASを使用することと、公共測量の正式な成果作成に新しい測量方法を採用することでは、必要な手続きが異なります。

公共測量で新技術を採用する場合には、準則第17条に基づく確認が必要になる可能性があります。また、公共測量そのものには測量法に基づく手続きがあります。具体的な内容については、測量計画機関と国土地理院に事前に確認することが適切です。

「令和7年の作業規程の準則改正で、CLASが使えるようになったのですか?」という疑問もあります。

令和7年の改正では、GNSS標高測量の導入などが行われました。しかし、これはCLASによる任意の単点観測を公共測量のすべての用途で使用できるようにしたという意味ではありません。

特に、GNSS標高測量の対象となる測量や観測条件と、CLASの観測方法を混同しないことが重要です。

「CLASの測位結果を国家座標に合わせるには、セミ・ダイナミック補正を使えばよいですか?」という疑問については、測位方式に応じて補正方法を確認する必要があります。

CLASなどの高精度測位情報を国家座標に整合させる用途では、POS2JGDによる定常時地殻変動補正が利用できる場合があります。セミ・ダイナミック補正とは目的やパラメータが異なるため、使用する受信機の出力座標や観測時期に応じて適切な処理を選択することが重要です。

「CLASで取得した位置情報を公共工事の施工写真に付けても問題ありませんか?」という質問については、位置情報を補助的な記録として使用するのか、正式な出来形計測の根拠として使用するのかを区別する必要があります。

施工写真に位置情報を関連付けて管理すること自体は、現場情報の整理に役立つ方法です。ただし、発注者が定める写真管理基準や電子納品に関する要件を満たすことが必要です。

位置情報付き写真を保存しただけで、所定の出来形測定や品質確認を省略できるわけではありません。

「CLASの測位結果が不安定な場合はどうすればよいですか?」という疑問については、まず受信環境や測位状態を確認し、必要に応じて再観測することが基本になります。

ただし、不安定な結果を単純に平均するだけでは、正しい位置が得られるとは限りません。観測条件や誤差の原因を確認し、要求精度を満たさない場合には別の測量方法へ切り替えることも重要です。

特に公共測量では、作業を継続することよりも、必要な精度を確保することを優先しなければなりません。あらかじめ代替の測量方法を準備しておくことが、現場での手戻り防止につながります。

まとめ:CLASの採用可否は準則・精度・手続きで判断する

CLAS測量は、準天頂衛星から配信される補強情報を利用し、地上の通信回線に依存せず高精度な位置情報を取得できる可能性がある技術です。

公共工事の現場では、概略位置の確認、施工状況の記録、写真への位置情報付与、現況把握など、幅広い用途での活用が考えられます。

一方で、国土交通省の公共測量に正式な測量成果としてCLASを利用する場合は、サービスの測位性能だけで採用を判断することはできません。

重要なのは、公共測量に該当する業務かどうかを確認し、作業規程の準則と使用する測量方法を照合したうえで、必要精度、座標の整合性、手続きの適切さを総合的に判断することです。

特に、準則に直接規定されていない方法でCLASを使用する場合は、第17条に基づく新技術の取扱いを確認し、必要な作業マニュアルや精度検証結果を準備して、測量計画機関や国土地理院と事前に協議することが重要です。

また、令和7年の全国の標高成果改定により、GNSSで取得した位置情報と公共測量成果を整合させる際には、適用する標高体系や補正方法の確認も重要になっています。

CLASによる測位結果については、国家座標への整合に必要な補正処理を確認し、セミ・ダイナミック補正と定常時地殻変動補正の違いも理解しておくことが大切です。

CLASの技術的な特徴を生かすためには、正式な公共測量としての成果作成と、現場管理を支援する位置情報の活用を分けて考えることが効果的です。

例えば、基準点や高精度な測量成果は適用規程に従って取得し、その成果を活用しながら、現場の写真や位置情報、施工状況の記録を効率的に管理する方法が考えられます。

こうした現場情報の管理には、位置情報と現場写真、施工記録を関連付けて扱えるLRTK Phoneの活用も選択肢になります。

LRTK Phoneは、高精度な位置情報の取得に加え、現場写真と位置情報を関連付けた記録や、現場で取得した情報の整理・共有に役立つ自社プロダクトです。測定位置と写真を結び付けて管理することで、施工箇所の確認や現場状況の振り返りを効率化できます。

ただし、LRTK Phoneを含め、CLAS対応機器による測位結果を公共測量の正式な成果として使用する場合には、適用規程や必要精度、所定の手続きを別途確認する必要があります。

公共測量に求められる品質と信頼性を確保しながら、CLASによる高精度測位とデジタルな現場記録を適切に組み合わせることが、測量業務や施工管理の効率化につながります。

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