盛土工事の数量を検討するとき、土木CADで算出した体積をそのまま搬入土量や掘削土量として扱うと、計画と実績に差が生じることがあります。土は、地山にある状態、掘削してほぐれた状態、運搬時の状態、盛土として締め固めた状態で密度と体積が変わるためです。
ただし、締固め度の数値だけを体積へ単純に掛けたり割ったりすることはできません。締固め度は一般に、現場で得られた乾燥密度を、所定の試験条件で求めた最大乾燥密度で除した割合です。また、要求締固め度が合否判定の下限として定められている場合、その値が施工後の実際の乾燥密度と一致するとは限りません。
締固め度差を数量計画へ反映するには、土質ごとの最大乾燥密度、想定または実測した施工後乾燥密度、供給状態の乾燥密度、含水比、施工区分、土量変化率、損失や余盛りなどを区別して扱う必要があります。
この記事では、土木CADを使って盛土数量を扱う実務担当者に向けて、締固め度差を体積換算へ反映するときの6つの確認ポイントを解説します。設計体積、理論換算量、搬入計画、施工実績を同じ基準で整理し、数量差の原因を説明できるようにするための進め方をまとめます。
盛土の形状体積と施工に必要な土量が一致しない理由
土木CADから求める盛土体積は、基本的には現況地盤面と計画地盤面の間に形成される幾何学的な空間の体積です。計画横断面と現況横断面の差を測点ごとに求め、平均断面法などで積み上げる方法や、現況面と計画面から作成した三次元モデルの差分を計算する方法があります。
一方、実際に準備すべき土量は、完成形状の体積だけでは決まりません。地山を掘削すると土粒子の配列や間隙の状態が変化し、掘削前とは異なる体積になります。運搬された土を敷き均して締め固めると密度が高くなり、同じ乾燥質量でも体積は小さくなることがあります。このため、地山土量、ほぐし土量、運搬時の数量、締固め後の完成体積は、状態を明記して管理する必要があります。
要求される品質管理条件も施工区分によって異なる場合があります。構造物背面、道路の路体や路床、造成盛土などでは、使用材料、施工条件、品質管理方法が同じとは限りません。同じ材料と完成体積を前提に、施工後乾燥密度が高くなるほど、その区分を構成する乾燥土の質量も多くなります。
ただし、仕様上の要求締固め度が下限値である場合、その数値だけから実際の施工後乾燥密度や搬入量を一意に決めることはできません。実際の乾燥密度は、材料、含水状態、締固め機械、施工層厚、締固め回数などの影響を受けます。要求値を使った計算は、一定の仮定を置いた比較値または計画値として扱い、試験施工や施工中の測定結果で見直すことが必要です。
締固め度と土量変化率を同じものとして扱わないことも重要です。締固め度は、施工後乾燥密度が基準となる最大乾燥密度に対してどの程度であるかを示す品質管理上の指標です。これに対し、土量変化率は、地山、ほぐし、締固め後など、異なる状態間の体積を換算するために使用されます。両者は関連しますが、定義と用途は同一ではありません。
したがって、土木CADで計算した完成形状体積に一つの係数を掛けるだけでは、数量の根拠が不明確になることがあります。どの状態の体積を起点とし、どの状態へ換算するのかを決め、採用する密度や土量変化率の定義を確認して計算することが大切です。
確認ポイント1 締固め度と体積換算の定義を統一する
最初に確認するのは、設計、積算、施工計画、品質管理で使われている用語と数値の定義です。同じ土量という表現でも、設計図書では締固め後の完成体積を指し、施工計画では搬入時のほぐし土量を指していることがあります。状態を確認せずに数値だけを比較すると、計算が合っていても数量差の原因を説明できません。
体積の状態は、少なくとも地山状態、ほぐした状態、締固め後の状態に分けて考えます。地山状態は掘削前の原位置にある土の体積、ほぐした状態は掘削や積込みによって状態が変化した土の体積、締固め後の状態は盛土として敷き均し、所定の品質管理を経た後の体積です。
締固め度については、分子と分母に用いる密度を確認します。一般には、現場で測定または算定した乾燥密度を、室内試験などで求めた最大乾燥密度で除して百分率で表します。ただし、適用する試験方法、試料の扱い、礫などを含む材料の補正方法、基準密度の設定方法は、材料や工事条件によって異なることがあります。数値が同じでも、基準となる条件が異なれば単純には比較できません。
締固め度90%と95%の差を、完成体積の5%として直接増減させるのは適切ではありません。同一材料で最大乾燥密度が共通し、要求値を施工後の想定締固め度として使用するという仮定を置けば、それぞれの想定乾燥密度を求めて必要乾燥質量を比較できます。しかし、異なる材料を使う場合や最大乾燥密度が変わる場合は、締固め度の割合だけでは換算できません。
また、要求締固め度が合否判定の下限である場合、90%区分が必ず90%、95%区分が必ず95%で完成するわけではありません。実際の搬入計画に使用する密度は、仕様上の下限値、施工目標値、試験施工から得た想定値、施工中の実測値のどれであるかを明記します。
土量変化率を使用する場合は、係数の向きにも注意が必要です。地山体積に対するほぐし土体積の比、地山体積に対する締固め後体積の比、ほぐし土体積に対する締固め後体積の比など、資料によって表す関係が異なることがあります。係数名だけで判断せず、分子と分母がどの状態の体積なのかを計算書へ記載します。
土木CADの数量属性にも体積の状態を記録します。盛土体積とだけ記載するのではなく、完成形状体積、締固め後設計体積、搬入換算体積、地山換算体積などに区別します。図面、数量計算書、施工計画書で同じ名称と定義を使うことが、締固め度差を安全に扱う第一歩です。
確認ポイント2 土質と施工区分ごとに対象範囲を分ける
盛土全体へ一律の締固め度や換算係数を設定すると、局所的な条件差が数量に反映されません。盛土材料の種類、施工場所、要求品質、施工層厚、締固め方法などが異なる範囲は、土木CAD上でも区分して管理します。
同じ発生場所から搬入される土でも、採取位置や深さによって粒度、含水状態、細粒分、最大乾燥密度などが変化することがあります。複数の掘削箇所から発生する土を混合する場合は、材料の構成が施工時期によって変わる可能性もあります。材料区分をまとめすぎると、採用した代表密度と実際の材料との間に差が生じます。
施工区分については、路体、路床、構造物背面、法肩付近、法面部、埋設物周辺などを分けて検討します。狭い場所や構造物に近い場所では大型の締固め機械を使用できず、小型機械による施工が必要になることがあります。施工条件が異なれば、実際に得られる乾燥密度や施工上の損失も一律とは限りません。
土木CADで区分する場合は、平面範囲だけでなく高さ方向の層も確認します。平面上では同じ盛土範囲に見えても、下層と上層で材料や要求品質が異なることがあります。三次元モデルを使用する場合は、材料境界や施工区分の境界を面として設定し、区分ごとの体積を算出します。横断図を基に計算する場合は、各断面に区分線を示し、断面積を分けて集計します。
区分境界が測点間にある場合も注意が必要です。二つの横断面の間で材料や施工条件が切り替わるのに、区間全体を一方の条件で計算すると、境界付近の体積が誤った区分へ入ります。数量への影響を確認したうえで、境界位置に補助断面を設けるなどして区間を分割します。
また、設計形状による区分と材料供給元による区分が一致するとは限りません。設計上は一つの盛土区分でも、複数の土取場や仮置場から材料を供給する場合があります。完成形状体積は設計区分で集計し、搬入量や密度は材料供給区分で記録するという二つの管理軸を持つと、差異の原因を追いやすくなります。
区分を増やしすぎると管理が複雑になり、入力間違いや集計漏れが起こりやすくなります。最大乾燥密度、想定乾燥密度、要求品質、供給状態、採用する土量変化率など、数量へ実質的な影響を与える条件が変わる境界を基準に区分します。
確認ポイント3 最大乾燥密度と現場乾燥密度の根拠を確認する
締固め度差を体積換算へ反映するには、締固め度の基準となる最大乾燥密度と、施工後に想定または測定される乾燥密度の根拠が必要です。締固め度の数値だけが記載されていても、最大乾燥密度が分からなければ、単位体積に対応する乾燥質量は求められません。
乾燥密度は、土と水を含む湿潤状態の単位体積質量とは異なります。運搬時の計量値や湿潤質量を、そのまま乾燥土の質量として扱うことはできません。水の質量を含むため、含水比が変わると、同じ乾燥土を積載していても湿潤質量が変化するからです。
密度を使って体積換算する場合は、乾燥質量を共通の基準にします。締固め後の乾燥質量は、完成体積に施工後乾燥密度を掛けて求めます。同一材料について、計画上の締固め度を仮定する場合は、最大乾燥密度にその締固め度を掛けて計算上の乾燥密度を整理できます。
たとえば、最大乾燥密度が1.80トン毎立方メートルで、計算上の締固め度を90%と仮定すると、乾燥密度は1.62トン毎立方メートルです。95%と仮定すると1.71トン毎立方メートルになります。完成体積が1,000立方メートルで、それぞれの密度を一様に達成すると仮定した場合、計算上の乾燥質量は1,620トンと1,710トンです。
この90トンの差は、最大乾燥密度が共通であり、各締固め度を実際の施工後密度として仮定した理論上の比較値です。要求値が下限として定められている場合や、現場密度にばらつきがある場合、この値をそのまま実際の必要量や発注量とすることはできません。搬入計画には、試験施工、過去の施工実績、供給状態の確認結果などを併せて使用します。
材料が変わり最大乾燥密度も変わる場合は、材料ごとに計算する必要があります。締固め度の数値が高い材料ほど、必ず単位体積当たりの乾燥質量が多くなるわけではありません。最大乾燥密度と締固め度の組み合わせで比較します。
最大乾燥密度の採用値については、試験実施日、試料採取場所、材料区分、試験条件、適用範囲を確認します。別の採取場所や性状の異なる材料の結果を流用すると、現場へ搬入される材料と一致しない可能性があります。施工中に材料の性状が変化した場合は、基準値を見直す必要があるかを発注者、設計者、施工者などの関係者間で確認します。
現場乾燥密度の測定結果には通常ばらつきがあります。一点の結果だけで広い盛土範囲の代表値を決めず、測定位置、施工層、施工日、材料供給元と関連付けて評価します。平均値だけでなく分布も確認すると、換算に使用した想定密度と施工実態との差を把握しやすくなります。
確認ポイント4 乾燥土量を基準に換算式を組み立てる
状態の異なる土量を換算するときは、乾燥土の質量を共通の基準にすると、計算の向きを整理しやすくなります。ただし、この考え方は、計算対象の区間で乾燥土の追加、流出、こぼれ、材料選別、異物除去などがなく、同じ材料を追跡できることを前提とします。
締固め後の完成体積をVc、計算に採用する締固め後乾燥密度をρdcとすると、乾燥質量Mdは次の関係で表せます。
Md=Vc×ρdc
ここで使用するρdcは、要求締固め度から機械的に決めた値とは限りません。要求値を達成値とみなした仮定値、施工目標値、試験施工から得た想定値、施工中の実測代表値など、どの値を採用したかを明記します。
供給時のほぐした土について、代表的な乾燥密度をρdlとすると、理論上のほぐし土体積Vlは次の関係で求められます。
Vl=Md÷ρdl
同様に、掘削前の地山乾燥密度をρdbとすると、理論上の地山体積Vbは次の関係で表せます。
Vb=Md÷ρdb
このように、一度乾燥質量を経由すると、各状態の密度を区別して体積を換算できます。計算書には、完成体積、採用した施工後乾燥密度、乾燥質量、供給状態の乾燥密度、換算体積の順に記載すると、計算条件を確認しやすくなります。
ただし、ほぐした土の体積と乾燥質量から求める供給時乾燥密度は、積載方法や計測方法によって変動します。車両の荷台容積を基にした見掛け体積と、測量から求めた仮置土の体積も同じ精度とは限りません。代表密度の根拠と測定方法を計算条件に残します。
前述の例で、完成体積1,000立方メートル、最大乾燥密度1.80トン毎立方メートル、計算上の締固め度95%とすると、乾燥質量は1,710トンです。供給時の代表乾燥密度を1.35トン毎立方メートルと仮定すれば、損失を含まない理論上の供給体積は約1,267立方メートルとなります。
この値は、各密度が対象範囲を代表し、乾燥土の損失がなく、施工後に仮定した密度が一様に得られる場合の計算値です。実際の発注量や配車台数は、密度のばらつき、計量方法、材料選別、損失、施工条件を確認して決める必要があります。
土量変化率が設計図書や積算条件として指定されている場合は、その定義と適用目的を優先して確認します。密度比による換算と指定された変化率が同じ状態間の変化を表している場合、両方を重ねて使うと二重計上になる可能性があります。一方で、積算上の数量と施工管理上の実測換算を別に管理する必要がある場合もあります。採用方法と用途を計算書に明記します。
実測密度がない計画初期には、設計条件や過去の実績を仮定値として使うことがあります。その際は確定値のように扱わず、計画用仮定値、試験結果により更新予定など、数値の位置付けを明確にします。
確認ポイント5 土木CADの形状体積と換算数量を分離する
土木CADで作成する盛土モデルは、設定した現況面、計画面、境界に基づく幾何学的体積を算出する役割を持ちます。一方、締固め度や密度を反映した搬入換算数量は、材料と施工条件を含む管理数量です。この二つを同じ項目へ上書きすると、設計変更や実績比較の際に元の形状体積が分からなくなります。
まず、現況地盤面と計画地盤面の基準をそろえます。座標系、標高基準、測量時点、地形データの範囲が異なると、密度換算以前に形状体積へ差が生じます。現況測量後に掘削、仮置き、表土除去などが行われている場合は、どの時点の地盤を基準とした数量なのかも確認します。
次に、盛土と切土の境界、構造物による控除範囲、既設地盤との重複、表土除去範囲を確認します。盛土モデルの中に構造物や別材料の置換層が含まれていると、必要土量を過大に算出する可能性があります。反対に、法面部、擦り付け部、段切り部などがモデルから漏れていると、必要量を過小に見積もる可能性があります。
土木CAD上の数量属性には、形状体積と換算後体積を別項目で保持します。形状体積は設計面から求めた値として残し、換算後体積は材料区分、採用乾燥密度、供給状態の乾燥密度などから求めます。設計変更があった場合は形状体積を更新し、材料条件が変わった場合は換算条件を更新できる構成にします。
横断図による数量計算では、断面ごとの面積と区間長を残します。合計体積だけを管理すると、区分変更が生じたときに影響範囲を追跡しにくくなります。測点ごとの盛土断面積、材料別断面積、区間体積を分けておけば、条件が変わる範囲を限定して再計算できます。
三次元モデルによる計算では、面の欠落、重複、自己交差、不自然な三角形、境界外への延長などを確認します。表示上は滑らかに見えても、モデル内部の不整合によって体積が過大または過小になることがあります。代表測点の横断図と三次元モデルから切り出した断面を比較し、計画高、法勾配、境界が一致しているかを確認します。
数量表では単位と丸め方法も統一します。断面積、区間体積、最終合計のどの段階で丸めるかによって結果が変わることがあります。原計算では必要な桁数を保持し、提出値や管理値を作成する段階で、適用する基準や発注者との取り決めに従って丸めます。
確認ポイント6 損失や余盛りを締固め度とは別に管理する
現場で必要となる土量には、締固めによる体積変化以外の増減要因があります。運搬中のこぼれ、仮置き場での混入、材料選別による除外、降雨などによる流出、施工面への食い込み、法面整形時の切取りなどです。これらを締固め度の差として処理すると、品質管理上の指標と施工上の収支が混在します。
余盛りも締固め度とは別の要素です。沈下や仕上げ整形などを考慮し、計画面より高く施工する場合があります。余盛りの必要性や設定方法は、構造、材料、基礎地盤、施工条件、設計図書などによって異なります。完成形状体積に含める数量なのか、施工途中だけ必要となる数量なのかを区別します。
表土除去後の凹凸や段切り部への充填も見落としやすい要因です。現況地盤面の計測密度が粗い場合、小さな凹凸がモデルへ十分に反映されないことがあります。施工実績との差が締固め度に起因するように見えても、実際には基盤面の形状把握やモデル化の差が含まれている可能性があります。
材料の不適合による除外も分けて管理します。搬入した土の一部を使用できなかった場合、その数量は締固めによる収縮ではなく、使用可能な乾燥土の減少です。搬入総量、使用量、除外量、仮置量、場外搬出量を区別して記録すると、完成体積との収支を説明しやすくなります。
損失率を用いる場合は、その率の分母と適用方法を確認します。必要量に対する割増率なのか、搬入量に対する損失割合なのかによって計算式が異なります。土量変化率の中に施工上の増減が含まれている場合もあるため、係数の定義を確認して二重計上を避けます。
施工中は、設計形状体積、理論換算体積、計画搬入量、実搬入量、除外量、実測完成体積を段階別に比較します。差が発生したときに、密度差、含水状態、損失、形状変更、測量条件のどこに原因があるかを切り分けるためです。締固め度を体積換算へ反映する作業は、単なる係数計算ではなく、土量収支全体を整理する作業として捉えます。
締固め度差を反映した体積換算の実務手順
実務では、最初に土木CADで完成形状体積を算出します。現況地盤面と計画地盤面を重ね、盛土範囲、控除範囲、材料境界、施工区分を確認します。横断図を使う場合は、測点間の地形変化が大きい場所や区分が切り替わる場所に補助断面を設ける必要があるかを検討します。
次に、各区分へ材料情報を割り当てます。材料名だけでなく、供給元、最大乾燥密度、要求締固め度、計算に採用する施工後乾燥密度、供給状態の乾燥密度、試験結果の適用範囲を対応させます。複数の材料を使用する場合は、完成形状体積を材料区分ごとに整理します。
要求締固め度を用いて計算上の乾燥密度を求める場合は、それが仕様上の下限値を使った比較計算なのか、施工目標値を使った計画計算なのかを明記します。そのうえで、完成形状体積に採用乾燥密度を掛け、乾燥質量を算定します。供給状態の代表乾燥密度が分かる場合は、乾燥質量をその密度で除し、理論上の地山体積またはほぐし土体積へ換算します。
ここまでの計算結果は、適用した仮定とともに理論数量として残します。その後、使用できない材料、運搬や仮置きに伴う損失、余盛り、施工面への食い込みなど、現場条件による数量を別項目として反映します。理論数量と施工計画数量を分けておけば、現場実績との差を検証しやすくなります。
施工開始後は、搬入実績、材料試験、現場密度試験の結果を照合します。想定した供給時乾燥密度と実態が異なる場合は、残りの搬入計画を更新します。使用材料の最大乾燥密度が変化した場合も、同じ締固め度に対応する乾燥密度が変わるため、適用範囲と計算条件を見直します。
施工途中の地形を測量できる場合は、中間時点の盛土体積を算出し、累計搬入量と比較します。比較する際は、搬入量が荷台などによる見掛け体積なのか、質量から換算した体積なのか、乾燥質量なのかを確認します。状態や単位の異なる数量をそのまま差し引かないことが重要です。
最終的には、完成形状体積、現場乾燥密度、累計搬入量、除外量、仮置量、残土量などを使って土量収支を確認します。理論値との差が大きい場合は、締固め度だけを原因とせず、現況面、完成面、材料区分、含水比、計量方法、損失記録まで戻って検証します。
体積換算で起こりやすい誤りと見直し方
代表的な誤りは、締固め度90%と95%の差を、完成体積の5%として直接加減することです。締固め度は密度の割合であり、体積の割合そのものではありません。最大乾燥密度と施工後に採用する乾燥密度を確認し、乾燥質量を経由して換算します。
同じ材料で乾燥質量が一定であり、乾燥密度だけが変わる場合、体積は密度に反比例します。このため、密度が5ポイント増えたから体積も5%増減するという計算にはなりません。また、完成形状体積が固定されている場合は、密度差が乾燥質量の差として現れます。何を固定して比較する計算なのかを最初に決めます。
次に注意したいのは、要求締固め度を実際の施工後締固め度とみなすことです。要求値が下限の場合、実際の施工後密度はその値を上回ることがあります。要求値だけから正確な搬入量を決定せず、施工目標や実測値の根拠を確認します。
湿潤密度と乾燥密度の混同も誤差の原因です。降雨後や散水後は水の質量が増えるため、湿潤状態の単位体積質量や運搬質量が大きくなります。しかし、水の増加がそのまま乾燥土の増加を意味するわけではありません。質量管理を行う場合は、適切な方法で含水比を把握し、乾燥質量へ換算して比較します。
異なる材料に同じ最大乾燥密度を使うことも避ける必要があります。供給元が同じでも、材料の層や採取範囲が変われば性状が変化することがあります。施工中の試験結果を材料履歴と対応させ、どの範囲にどの基準値を適用したかを残します。
土木CAD上では、現況面と計画面の範囲不一致にも注意します。一方の面だけが施工範囲外まで延びている場合や、対象境界が適切に設定されていない場合は、意図しない体積が集計されることがあります。数量計算の対象境界を明示し、平面図、横断図、三次元表示などで照合します。
設計変更後に換算数量だけを修正し、元の形状体積を更新し忘れる場合もあります。計画高、法勾配、施工範囲が変わった場合は、最初に形状モデルを更新し、その後に換算計算を再実行します。形状変更による差と密度条件による差を分けて記録します。
密度換算と土量変化率を重ねて使用すると、同じ体積変化を二重に計上する可能性があります。計算結果が想定より大きい場合は、締固めに関する係数、ほぐしに関する係数、損失率、余盛りに関する数量のそれぞれが何を表しているかを確認します。
現場計測を体積換算の精度向上につなげる方法
体積換算の精度を高めるには、計画時の仮定を施工中の実測値で見直す仕組みが必要です。現況地盤、施工途中の盛土面、完成面を共通の座標および標高基準で記録すれば、土木CAD上で時点ごとの形状体積を比較できます。
施工途中の計測では、比較範囲の境界をそろえることが重要です。測量範囲が異なるデータを比較すると、施工量ではなく範囲差が体積差として表れることがあります。基準点などを用いて位置と高さを確認し、計測日、施工層、材料区分、計測範囲を記録します。
現場密度試験の位置も、土木CAD上の施工区分と対応させます。試験結果を単独の帳票として保管するだけでは、どの体積区分へ適用すべきか判断しにくくなります。測点、座標、標高、施工層、施工日、材料供給元を関連付ければ、区分ごとの代表密度や計画条件を見直しやすくなります。
搬入実績については、車両台数だけでなく、積載量のばらつき、計量方法、含水状態、材料区分を確認します。一台当たりの固定体積を累計する方法は簡便ですが、積載状態の変動が大きい場合は誤差が蓄積します。実績の把握方法を統一し、計画数量と同じ状態の体積または乾燥質量へ換算して比較します。
LRTK Phoneを利用する場合は、取得した位置情報を施工範囲、測点、現場密度試験位置などと関連付けて記録する運用が考えられます。ただし、得られる位置や高さの品質は、測位状態、補正情報、周辺の遮蔽物、座標設定、計測方法などの影響を受けます。用途に必要な精度を確認し、既知点などで整合を点検したうえで使用します。
現場データを土木CADへ取り込むときは、座標系、標高の扱い、単位、データ取得時点、対象範囲を確認します。現況面、施工途中面、完成面を同じ基準で重ねることができれば、形状体積の変化と搬入実績を照合し、換算条件が施工実態に合っているかを検証できます。
まとめ
盛土の締固め度差を体積換算へ反映するには、完成形状体積へ締固め度を単純に掛けるのではなく、乾燥密度と乾燥質量の関係を整理することが重要です。まず、地山、ほぐし、締固め後という土の状態を区別し、どの状態からどの状態へ換算するのかを明確にします。
そのうえで、土質と施工区分ごとに完成形状体積を分け、最大乾燥密度、要求締固め度、施工目標、実測値などから計算に採用する乾燥密度を決めます。完成形状体積に採用乾燥密度を掛ければ乾燥質量を算定でき、供給状態の乾燥密度で除すことで理論上の地山体積や搬入体積へ換算できます。
ただし、要求締固め度が合否判定の下限である場合、その数値は実際の施工後乾燥密度と一致するとは限りません。要求値を使った計算は前提を明記した理論値として扱い、試験施工や施工中の測定結果で更新する必要があります。
土木CADでは、設計形状から求めた幾何学的体積と、密度条件を反映した換算数量を別に管理します。運搬中の損失、材料選別、余盛り、施工面への食い込みなども、締固め度とは異なる要因として分離します。これにより、設計変更による数量差と施工条件による数量差を切り分けやすくなります。
計画時の密度や土量変化率は、施工中の試験結果や搬入実績によって見直します。現場密度、材料履歴、施工途中の地形、完成面を共通の座標基準で記録し、土木CAD上で照合すれば、残りの搬入量や換算条件をより実態に近い形で検討できます。
LRTK Phoneを現場記録や位置確認に利用する場合も、測位状態、座標基準、既知点との整合を確認することが大切です。締固め度、乾燥密度、形状体積、搬入実績を根拠とともに管理することが、盛土数量の過不足を抑え、説明可能な体積換算につながります。