LRTKレフィクシア株式会社

建築限界ゲージの使い方|現場測定で失敗しない5手順

建築限界ゲージとは何を確認する道具か

鉄道工事や線路周辺の設備工事では、構造物や設備が列車の安全な走行に必要な空間を支障していないかを確認する必要があります。その確認に用いられる器具には、実物大の断面形状を再現するもの、レール上に設置して測定アームを伸ばすもの、レーザーなどで非接触測定するものなど、複数の形式があります。本稿では、これらのうち現場で建築限界との位置関係を確認する器具を便宜上、建築限界ゲージと呼びます。

建築限界は、車両の走行に伴う動揺などを考慮して、線路周囲に確保する空間の境界です。実際に適用する形状や寸法は、鉄道事業者が定める実施基準や設計条件によって異なり、普通鉄道、新幹線、特殊鉄道の別だけでなく、線区、軌間、使用車両、直線と曲線、カント、プラットホームの有無、電化設備などの条件も関係します。全国のすべての線路へ同一形状のゲージを適用できるわけではありません。

建築限界内には建物その他の建造物等を設けないことが基本ですが、車両の走行や設備の維持管理に必要で、走行安全を支障するおそれがないものについては、実施基準で限定的な取扱いが定められている場合があります。そのため、ゲージに何も触れなければ一律に適合、触れれば直ちに違反とだけ判断するのではなく、適用図、設備の取扱い、測定誤差、現場条件を含めて判定しなければなりません。

建築限界ゲージは、設定された断面または測定方向において、周辺構造物との位置関係を確認する道具です。ゲージを所定位置へ設置できない、構造物と接触する、または管理上必要な離隔が不足している場合には、建築限界を支障している可能性があります。ただし、接触しなかったという事実だけで、完成形全体の適合が保証されるわけではありません。

判定の信頼性は、適用する限界形状、軌道中心、レール面、曲線拡大、カント、測定断面、器具の状態に左右されます。ゲージが変形していたり、軌道中心からずれていたりすれば、実際には支障している箇所を見逃すことがあります。反対に、異なる線区や異なる条件の限界を適用すると、必要のない是正工事につながるおそれがあります。

したがって、現場ではゲージを当てる作業だけで完結させず、適用条件の確定、器具点検、基準設定、測定、判定、記録、必要な再測定までを一連の管理として実施することが重要です。

建築限界ゲージを使う前に理解したい前提

建築限界ゲージを正しく使うには、構造物側ではなく軌道側の基準から限界形状を再現するという考え方を理解する必要があります。壁面、ホーム端、トンネル中心、施工基面の中央を基準にゲージを置くのではなく、適用図と測定要領で指定された軌道中心、レール面、カントなどを基準にします。

軌道中心は、見た目で判断した線路の中央ではありません。通常は左右レールの所定位置を基準に求めますが、レールの摩耗、軌間、分岐器、ガードレール、特殊軌道などにより、一般部と同じ設定方法を使えないことがあります。使用するゲージの取扱要領と鉄道事業者の測定要領を優先し、どの点から中心を設定したかを記録します。

高さの基準も同様です。多くの建築限界図はレール面との関係で示されますが、具体的にレールのどの位置を基準とするか、左右に高低差がある場合にゲージの姿勢をどう設定するかは、適用図と器具の仕様で確認します。レール頭頂面の異物、著しい摩耗、継目部の段差などがある状態で設置すると、ゲージの高さや傾きが変わる可能性があります。

曲線部では、車両の偏りに応じて直線部の建築限界を拡大し、カントに伴って傾斜させる考え方が基本です。ただし、具体的な拡大量や省略条件は、鉄道の種類、車両条件、曲線半径、プラットホームの有無などで異なります。直線用ゲージを曲線部へそのまま鉛直に立てる、または一律の補正値を加える方法では、正しい判定にならない場合があります。

緩和曲線や円曲線端付近では、建築限界の拡大量が位置に応じて変化することがあります。測点が直線、緩和曲線、円曲線のどこにあるかを確認せず、近接する代表断面の条件を流用すると判定を誤るおそれがあります。

鉄道の技術基準は性能規定を中心としており、現場で使用する具体的な限界形状、測定方法、判定区分は、各鉄道事業者の実施基準、工事仕様書、設計図、施工図、協議資料などで確認する必要があります。一般的な標準図や過去工事の測定票だけを根拠にしないことが大切です。

測定目的も事前に明確にします。新設構造物の出来形確認、補修後の確認、既設設備の点検、仮設物の設置確認、軌道整備後の再確認では、対象範囲と測定時期が異なります。完成状態だけを確認すればよいとは限らず、列車を運行しながら工事を進める場合には、型枠、足場、養生材、仮設ケーブル、仮置き資材など、施工途中に存在する物件も管理対象になります。

手順1 適用する建築限界と測定範囲を確定する

最初の手順は、対象箇所へ適用する建築限界と測定範囲を確定することです。ここが曖昧なままでは、ゲージを正しく設置しても判定の根拠が成立しません。

まず、線区名、線別、上下線、キロ程、測点、軌間、直線または曲線の別、曲線半径、カント、緩和曲線の位置、プラットホームの有無、電化方式、対象設備を確認します。複線区間や駅構内では、測定対象となる線路と方向を取り違えないよう、図面と現地表示を照合します。

次に、適用する建築限界図と関連する実施基準を確認します。同じ線区でも、一般部、トンネル部、橋梁部、駅部、プラットホーム部、分岐器部、車両基地内などで取扱いが異なる場合があります。走行や維持管理に必要な設備について個別の条件が定められている場合は、その条件も判定資料に含めます。

図面は、名称だけでなく作成年月日、改訂番号、承認状況を確認します。紙図面と電子データが併存している場合には、現場責任者または監督側と最新版を特定します。過去の測定記録を参考にする場合も、当時と現在で軌道位置、使用車両、設備条件、適用基準が変わっていないかを確認します。

測定範囲は、構造物の代表断面だけで決めないことが重要です。柱や壁の中央が限界外であっても、端部の面取り、ボルト、アンカー、取付金具、配管継手、ケーブル支持材、点検扉などが突出していることがあります。

トンネル内であれば、設備本体だけでなく、固定バンド、継手、配線、排水部材、標識、照明なども確認対象になり得ます。プラットホーム周辺では、ホーム縁端、笠石、仕上げ材、排水部、固定金具、案内設備などを、適用図と設備条件に照らして確認します。

扉や蓋などの可動部は、通常状態だけでなく、点検時や故障時を含めてどの状態を管理対象とするかを定めます。開放時に建築限界へ入る可能性がある場合でも、直ちに同一の判定をするのではなく、列車運行中の開放防止、インターロック、施錠、作業手続など、設備の取扱いを含めて確認します。

長い壁、配管、ケーブルなどは、始点、中央、終点だけでは形状変化を捉えられないことがあります。施工継目、支持点、曲がり部、取付高さが変わる箇所、目視で突出が疑われる箇所ごとに測定断面を追加します。

測定位置は、再測定できる方法で記録します。キロ程や構造物番号に加え、まくらぎ番号、固定標、レール継目からの距離などを併記すると再現性が高まります。現地へ印を付ける場合は、レール踏面や設備を損傷、汚損しない方法とし、無断で塗装や刻印を行わないようにします。

手順2 軌道中心とレール面を正しく設定する

二つ目の手順は、ゲージ設置の基準となる軌道中心とレール面を設定することです。基準設定の誤差はゲージ全体へ伝わるため、離隔が小さい箇所ほど慎重な確認が必要です。

左右レールの所定位置を確認し、器具の取扱要領と現場の測定要領に従って軌道中心を求めます。軌間を実測して中心を設定する形式では、測定位置と測定方法を統一します。まくらぎ、道床、トンネル断面の見た目の中央を軌道中心として代用してはいけません。

レールは摩耗や汚れによって測定位置が分かりにくくなることがあります。レール頭頂面や側面のどこへ器具を当てるかを確認し、測定に影響する異物がある場合は、作業手続に従って処置します。運行や軌道状態へ影響するおそれがあるため、作業者の判断だけでレールを加工したり強く研磨したりしないようにします。

左右レールの高低差も確認します。曲線部では実カントを把握し、設計値と異なる場合に、どの値をゲージ設定や判定へ用いるかを現場要領で確認します。直線部でも軌道変位や施工途中の状態により左右の高さが一致しない場合があるため、見た目だけで水平と判断しません。

建築限界は現況の軌道との位置関係で確認する必要があります。設計図上の軌道中心だけを使い、現地の軌道位置を確認しなければ、現在の支障状態を正しく評価できない場合があります。

構造物工事と軌道工事が別工程で進む現場では、測定時点を明記します。構造物施工時には余裕があっても、その後の軌道こう上、通り整正、カント修正などで位置関係が変わる可能性があります。反対に、軌道整備前の仮高さだけで完成時の適合を判定することも避けます。

測定断面付近に分岐器、ガードレール、レール継目、特殊締結装置などがある場合は、一般部用のゲージが安定して載らないことがあります。無理に設置せず、専用の治具、別の基準点、座標計測など、承認された方法へ切り替えます。

基準設定後は、ゲージを一度取り外しても同じ位置へ戻せるように、測点情報と基準点を記録します。着脱可能な目印を使う場合も、列車走行、信号設備、軌道回路、保守作業へ影響しないことを確認します。

手順3 建築限界ゲージを組み立てて設置する

三つ目の手順は、ゲージの使用前点検、組立て、設定、設置です。現場へ搬入した器具を前回の状態のまま使用せず、今回の測定条件に合わせて確認します。

ゲージ本体に曲がり、ひび割れ、腐食、摩耗、欠損がないかを確認します。分割式では、継手のがたつき、固定ピンの抜け、締結部の緩みを点検します。伸縮部や調整部がある場合は、目盛の読取り、固定機構の作動、設定後のずれを確認します。

前回の設定値が残っていても、そのまま使用しません。今回適用する建築限界図、曲線条件、カント、内方と外方を照合し、必要な設定をやり直します。曲線用の設定が左右で異なる器具では、線路の曲線方向とゲージの内外表示を二人以上で照合すると取り違えを減らせます。

組立て後は、器具が所定の形状になっているかを確認します。管理寸法、部材間の角度、直角、基準線など、取扱要領で指定された項目を別の測定器で点検します。器具に管理番号を付け、点検日、点検者、異常の有無、必要に応じて寸法確認結果を記録すると追跡しやすくなります。

線路内へ搬入する前に、作業計画と安全手続を確認します。線路閉鎖、列車見張り、隣接線防護、き電停止、接地、待避方法などの要否は、設備条件と鉄道事業者の規程に従って決定します。ゲージは大きな断面を持つことがあるため、運搬中の隣接線、架線、電気設備、構造物への接近にも注意します。

ゲージを設置したら、軌道中心との一致、レールとの接触位置、異物の挟み込み、取付部の浮きやがたつきを確認します。片側へ寄った状態や、締結装置へ乗り上げた状態で測定しないようにします。

次に姿勢を確認します。直線部では適用要領で定められた基準姿勢へ合わせ、曲線部ではカントと限界形状の設定方法に従います。一般的な水平器の表示だけを見て鉛直に立てればよいとは限りません。ゲージ自体がカント追従する形式か、設定機構で傾斜させる形式か、測定値を後処理で補正する形式かを事前に確認します。

ゲージを構造物へ強く押し付けてはいけません。ケーブル、薄板、養生材などを押し動かすと、自然な状態での位置関係を確認できません。自立しない形式では、保持者が一定の位置と姿勢を保ち、確認者が基準と接触状態を別に確認します。

設置完了後は、測定開始前の写真を残します。ゲージ全体、左右レールとの取付状態、測点表示、曲線の内外が分かる写真があると、後から設定条件を確認しやすくなります。

手順4 支障物との位置関係を測定する

四つ目の手順は、ゲージと周辺構造物との位置関係を測定することです。単に通過できるかを見るだけでなく、最も接近する箇所、離隔、測定方向、対象物の状態を記録します。

まず、ゲージの全周を目視します。壁、柱、桁、配管、ダクト、ケーブル、取付金具、ボルト、標識、照明、排水設備などを確認し、接触や著しい接近がないかを調べます。ゲージの裏側や高所、レール面付近は見落としやすいため、必要に応じて照明や鏡、撮影機器を使用します。

接触していない場合でも、離隔が小さい箇所は数値で確認します。目視だけでは数ミリメートルから数センチメートルの差を安定して判断できません。測定対象とゲージ境界のどの点を結んだ値かを明確にし、現場要領で指定された方向に測ります。

離隔を斜めに測ると、水平距離や法線方向の距離より大きく見えることがあります。水平、鉛直、境界に対する法線方向など、判定に必要な方向を先に定め、写真や略図へ残します。最短距離という表現だけでは測定方向が不明確になるため、記録票に方向欄を設けると有効です。

構造物に凹凸がある場合は、最も線路側へ突出する部分を探します。ボルト頭、溶接余盛、金具の角、配管継手、ケーブルのたるみ、扉の取っ手などが本体より突出していることがあります。

柔らかいケーブルやホースは、手で押しのけた状態だけを測定しません。固定状態、たるみ、振動、風圧、温度変化、保守作業時の移動などを考慮し、必要な支持や固定が維持されているかを確認します。ただし、想定変位量を根拠なく数値化せず、設計条件や設備要領に基づいて評価します。

仮設物では、設置直後だけでなく使用中の変形や移動も考えます。足場材、養生材、仮設配管、仮設ケーブル、シートなどは、荷重、風、雨水、作業者の接触で位置が変わる可能性があります。固定方法と日常点検の条件も合わせて記録します。

扉や蓋などの可動部は、管理対象とした状態ごとに確認します。開放状態が列車運行中に生じない仕組みがある場合は、その仕組みと作業手続も確認します。単に最大開放角だけで判定せず、通常運用、点検運用、異常時の扱いを区別します。

曲線区間では内方と外方を取り違えないようにします。建築限界の拡大量は内方と外方で異なる場合があり、緩和曲線では位置に応じて条件が変わります。測定票と写真に曲線内方、曲線外方を明示します。

測定結果は、接触なしという記録だけで終わらせません。最小離隔、測点、レール面からの高さ、軌道中心に対する左右、測定方向、対象物名称、設備状態を記録します。接触または疑義がある場合は、作業手続で認められた方法により位置を識別し、全景、近景、測定状態を残します。

手順5 測定結果を判定し記録する

五つ目の手順は、測定結果を適用基準と照合し、判定、報告、記録を行うことです。ゲージを撤去した時点で作業を終了せず、設定条件と記録の整合まで確認します。

判定前に、使用したゲージが対象箇所の建築限界を正しく再現していたかを再確認します。線区、線別、測点、直線と曲線、曲線内外、カント、設定値、器具管理番号に取り違えがないかを確認します。

ゲージと構造物が接触した場合、または所定の離隔が不足した場合は、支障の可能性があるため、現場責任者へ報告して定められた手順に従います。作業者の判断だけで構造物を削る、金具を曲げる、ケーブルを移動するなどの処置を行ってはいけません。設備機能や強度、電気的安全、保守性へ別の問題を生じさせる可能性があります。

接触していなくても、境界に極めて近い場合は安易に適合と判断しません。ゲージの設置誤差、器具寸法の誤差、離隔測定の誤差、軌道変位、温度による伸縮、荷重によるたわみ、設備の振動など、対象箇所で考慮すべき不確かさを確認します。具体的な許容値や管理余裕は、鉄道事業者の基準、設計条件、測定計画に従います。

判定区分は現場要領で統一します。適合、不適合だけでなく、再測定、設計照査、補修検討、経過観察などの区分がある場合は、その定義に従います。判定者と確認者の役割も明確にし、測定者だけで最終判断しない体制を整えます。

記録には、工事件名、線区名、線別、キロ程、測点、測定日時、測定者、確認者、測定目的、適用図面、ゲージ管理番号、設定条件、曲線半径、カント、軌道状態、対象設備の状態を記載します。天候や温度が測定対象へ影響する可能性がある場合は、その条件も残します。

写真は、線路と構造物の位置関係が分かる全景、ゲージの設置状態、最接近部、離隔の測定状態、読取り値の順に整理します。写真番号と測定票の測点番号を一致させ、後から写真だけを見ても対象断面を特定できるようにします。

測定値は単位を明記し、小数の扱いと丸め方を統一します。ミリメートルとセンチメートルの混在、測定器表示値の転記誤り、写真値と測定票値の不一致をその場で確認します。

不適合または重大な疑義があり、列車運行への影響が考えられる場合は、工事継続より安全確保を優先し、現場の連絡体制に従います。是正後は同じ基準と測点で再測定し、是正前記録を削除や上書きせず、是正後記録と関連付けて保存します。

建築限界ゲージ測定で起こりやすい失敗

建築限界ゲージ測定では、器具の操作そのものより、適用条件や基準設定の誤りが判定へ大きく影響します。

代表的な失敗は、異なる建築限界図を使用することです。直線用を曲線部へ適用する、一般部用をプラットホーム部へ適用する、改訂前の図面を使う、線別を取り違えるといった誤りが考えられます。

軌道中心の設定誤りにも注意が必要です。まくらぎ、道床、トンネルの中央を軌道中心とみなすと、ゲージ全体が左右へずれます。離隔が小さい箇所では、わずかなずれでも判定が変わる可能性があります。

レール面の基準を誤る失敗もあります。異物を挟んだまま設置する、継目や締結装置へ乗り上げる、左右レールの高低差を無視する、摩耗した位置を基準にするなどにより、ゲージの高さや姿勢が変わります。

曲線部で、偏りによる拡大やカントを反映しないことも重大な誤りです。さらに、緩和曲線を円曲線と同じ条件で一律に扱うと、測点ごとの限界形状を正しく再現できない場合があります。

測定断面が少なすぎることも問題です。柱の中央、壁の始点、設備本体だけを確認すると、端部金具、支持部、配管の蛇行、途中のはらみを見落とします。

完成状態だけを確認し、施工途中の仮設物を管理しない失敗もあります。列車を運行しながら工事する場合は、施工段階ごとに存在する足場、型枠、配線、養生材、資材の位置を確認する必要があります。

ゲージを対象物へ押し当て、ケーブルや薄板を動かした状態で接触なしと判断することも避けます。自然な設置状態を変えてしまうと、通常時の位置関係を確認できません。

ゲージ本体の変形、継手のがたつき、設定値の固定不足を見落とすと、正しい限界形状を再現できません。運搬中に衝撃を受けた器具は、定期点検時期を待たずに確認します。

測定値を写真だけに残し、測点、方向、単位、基準高さを記録しない失敗もあります。写真に定規が写っていても、どの方向の距離か分からなければ再判定できません。

建築限界への適合と、線路周辺設備に必要な他の条件を混同する点にも注意が必要です。建築限界外にあっても、係員の通路、待避、避難、電気的離隔、保守空間、排水、視認性などの別条件を満たさない場合があります。建築限界ゲージだけですべての安全性を確認できるわけではありません。

測定精度を安定させる現場管理のポイント

測定精度を安定させるには、担当者の経験だけに頼らず、現場全体で同じ手順と記録様式を使用することが重要です。

測定前の打合せでは、ゲージを設置する人、姿勢を確認する人、離隔を測る人、記録する人、最終確認する人を明確にします。一人が設置、測定、記録を同時に行うと、基準のずれや転記漏れを見逃しやすくなります。

測定票は現場へ入る前に準備します。線区、線別、測点、対象物、適用図面、曲線条件、ゲージ設定値など、事前に確定できる項目を記入しておけば、現場での確認漏れを減らせます。

測定順序も統一します。軌道条件の確認、ゲージ点検、基準設定、設置、姿勢確認、全周目視、最小離隔測定、写真撮影、記録照合という流れを定めると、担当者が変わっても品質をそろえやすくなります。

測定後は、線路外へ退出する前に記録を照合します。測点番号、写真番号、測定値、単位、曲線内外、設備状態が一致しているかを確認します。事務所へ戻ってから記載漏れに気付いても、同じ軌道条件や設備状態を再現できるとは限りません。

ゲージは、取扱要領と現場の管理規程に基づいて定期的に寸法確認します。落下、接触、長距離運搬、修理があった場合は、予定時期を待たずに確認します。正式な校正対象となる測定器を併用する場合は、校正または点検の有効性も確認します。

保管時は、長尺部材が自重で変形しないよう、指定された支持位置と姿勢を守ります。部材の上へ重量物を載せたり、通路へ不安定に立て掛けたりしないようにします。

既設構造物を継続管理する場合は、毎回同じ測点、同じ基準、同じ測定方向で確認します。測点が異なると、構造物が変位したのか、測定位置が変わっただけなのかを判別しにくくなります。

余裕が小さい箇所では、再現可能な管理点や座標を設定する方法もあります。ただし、軌道自体が整備により移動するため、構造物側の固定点だけでなく、測定時の軌道中心とレール面を同時に記録することが重要です。

LRTK Phoneを使った建築限界管理

建築限界ゲージは、適用した断面と構造物との位置関係を現場で確認しやすい一方、設置した断面以外の連続形状を把握するには測定回数が増えます。長い壁、配管、ケーブル、複雑な設備では、代表断面の間に突出部が残る可能性があります。

この課題を補完する方法として、三次元点群を活用できます。線路周辺の形状を点群として記録すれば、壁面のはらみ、配管の蛇行、金具の突出など、断面間の変化を確認するための資料にできます。国の鉄道技術開発でも、点群上に軌道中心線や建築限界を設定し、施設との離隔を確認する管理手法が検討されています。

LRTK Phoneは、高精度GNSS測位、点群スキャン、測位写真などを現場で扱うための自社プロダクトです。対象区間を点群として記録し、測点や写真と関連付けることで、ゲージを設置する候補箇所の抽出、施工前後の比較、関係者間の状況共有を補助できます。

ただし、LRTK Phoneで点群を取得しただけで、建築限界への適合が自動的に証明されるわけではありません。点群上で判定するには、現況の軌道中心、レール面、カント、曲線条件、適用する建築限界形状を正しく設定し、座標系と必要精度を確認する必要があります。点群作成機能と建築限界の正式な合否判定は分けて考えます。

GNSS測位の精度は、衛星の受信状況、補正情報、初期化状態、周辺の反射環境などに影響されます。トンネル、地下、橋梁下、切土、建物近傍など、GNSSが遮蔽される場所では、外部の既知点との接続、標定点、ローカル座標での位置合わせなど、現場条件に合った方法が必要になる場合があります。使用する方法と達成精度を事前に検証し、点群が絶対座標に正しく配置されていると無条件にみなさないことが重要です。

点群には、物陰、設備の裏側、細いケーブル、反射条件の悪い表面、移動物などが欠測または不安定になる場合があります。点密度が高く見えても、対象物の境界が必要精度で取得できているとは限りません。重要箇所は現地で再確認し、ゲージや寸法測定の結果と照合します。

施工前後を比較する場合は、同じ座標系へ適切に位置合わせできていることを確認します。位置合わせにずれがあると、設備が動いていないのに変位したように見えたり、実際の変位を小さく評価したりする可能性があります。

実務では、LRTK Phoneの点群で対象区間を広く確認し、突出が疑われる箇所や余裕が小さい箇所を選定したうえで、建築限界ゲージまたは承認された測定器により詳細確認する流れが考えられます。点群は見落とし低減と情報共有を補助し、最終判定は鉄道事業者の実施基準、工事仕様書、測定要領に従って行います。

まとめ

建築限界ゲージを正しく使うには、器具を線路上へ設置する技術だけでなく、適用基準の確認、軌道中心とレール面の設定、曲線拡大とカントの反映、測定範囲の設定、判定と記録までを一貫して管理する必要があります。

最初に、対象区間で有効な建築限界図と実施基準を特定します。一般的な標準図や過去資料だけで判断せず、線区、線別、軌間、車両条件、曲線、緩和曲線、プラットホーム、設備条件を確認します。

次に、現況の左右レールを基準として、測定要領に従い軌道中心、レール面、カントを設定します。曲線部では内方と外方、拡大量、傾斜条件を確認し、直線用の設定をそのまま流用しません。

測定では、構造物本体だけでなく、金具、ボルト、配管、ケーブル、可動部、仮設物まで確認します。接触の有無だけでなく、最小離隔、測点、高さ、左右、測定方向、設備状態を記録します。

結果に疑義がある場合は、安易に適合とせず、再測定、設計照査、器具確認を行います。不適合箇所を是正した後は、同じ基準と測点で再確認し、是正前後の記録を別に残します。

建築限界ゲージによる直接確認と、LRTK Phoneによる点群計測や位置記録を適切に組み合わせることで、長い構造物や複雑な設備の測定箇所を選びやすくなり、施工前後の状況を共有しやすくなります。ただし、点群は補助資料として扱い、GNSS環境、座標設定、欠測、必要精度を確認したうえで、最終判定は適用基準と承認された測定方法に従うことが重要です。

現場を3Dで残して、あとから測る。
実際の画面と動画で使い方を確認できます。

LRTK Phoneの使い方・実例を見る
資料請求導入相談
現場をスマホで3DスキャンLRTK Phone実例を見る